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2008/06/08 [Sun] 23:59:15 » E d i t
無期懲役の判決を受けて刑務所に服役している受刑者(無期懲役囚)の仮釈放者の平均入所期間は初めて30年を超えたとのことです。このように、仮釈放までの服役期間が長期化し、無期懲役が事実上の「終身刑」となっていることが明らかになりました。



1.報道記事を幾つか。

(1) YOMIURI ONLINE(2008年6月1日03時04分)

無期懲役囚が戦後最多、厳罰求める世論で仮釈放減少

 無期懲役の判決を受けて刑務所に服役している受刑者(無期懲役囚)が、昨年末時点で1670人に達し、戦後最多となったことが法務省のまとめ(速報値)でわかった。

 昨年は89人の無期懲役囚が新たに入所したのに対し、仮釈放は3人にとどまり、仮釈放者の平均入所期間は初めて30年を超えた。

 凶悪犯罪に対して厳罰を求める世論や仮釈放者の再犯に対する社会不安が背景にあるとみられ、仮釈放を認めない終身刑の新設を巡る議論にも影響を与えそうだ。

 米国など一部の国が設けている終身刑は、仮釈放を認めていないが、日本の無期懲役は、10年以上の服役で仮釈放が可能となる。

 法務省矯正局によると、昨年末に全国の刑務所で服役していた無期懲役囚は1670人で、1998年末の968人に比べ、72%増えた。戦後の混乱期に治安が悪化した影響で1279人(1961年)まで増えた後、713人(84年)まで減少していただけに、最近の急増ぶりが際立っている。

 新たに入所した無期懲役囚の数も、90年代には年間20~40人台で推移していたが、2003年に初めて100人を超え、昨年は89人に上った。これに対し、仮釈放された無期懲役囚は98年に18人だったが、その後の平均は年間9・5人で、昨年は3人にまで落ち込んだ。

 仮釈放者の平均入所期間も20年10か月だった98年以降、長期化する傾向が続き、昨年は31年10か月だった。無期懲役囚の今年4月時点での入所期間を見ると、40年以上が24人に上り、55年以上の受刑者も1人いた。

 刑務所は受刑者の受刑態度などを考慮して地方更生保護委員会に仮釈放を申請し、同委員会が悔悟の情や更生の意欲などを検討して仮釈放の可否を決定する。

 同省の調査では、06年に仮釈放中に事件を起こした元受刑者(有期刑、無期刑含む)は、殺人が4人、強盗が13人、傷害が25人に上った。法務省幹部は「厳罰化や再犯抑止を求める世論を背景に、仮釈放が認められにくくなり、事実上の終身刑化が進んでいる」と説明している。

(2008年6月1日03時04分 読売新聞)」



(2) 西日本新聞2008/06/08付朝刊

服役25年超 10年で3倍 仮釈放減り長期化 「無期刑」進む「終身刑」化
2008年6月8日 11:01

 無期懲役受刑者のうち服役25年以上の受刑者が今年4月現在で192人に達し、10年前の3倍近くに増えていることが、法務省や日本弁護士連合会(日弁連)の資料で分かった。このうち24人が40年以上服役し、55年以上も1人いた。高齢化も目立ち服役中の死亡例も少なくない。厳罰化を求める世論を背景に、仮釈放までの服役期間が長期化し、無期懲役が事実上の「終身刑」となりつつあり、裁判員制度導入を来年5月に控え、量刑制度をめぐり議論を呼びそうだ。

■厳罰求める世論背景

 法務省や日弁連によると、服役25年以上の無期刑受刑者は、1999年4月時点では67人。服役40年以上は11人だった。年齢構成は50歳代25人、60歳代33人、70歳代9人。これに対し、今年4月現在の受刑者192人は、40歳代7人、50歳代53人、60歳代85人、70歳代37人。80歳代も10人おり、高齢化がうかがえる。2007年は13人が受刑中に死亡した。

 仮釈放は服役10年過ぎれば可能だが、本人は申請できない。刑務所側の申請で地方更生保護委員会が悔悟の情や更生意欲などを検討して可否を決めるが、今年4月現在の受刑者のうち155人は一度も申請されていない。残り37人は延べ50回申請されたが認められていない。

 仮釈放減少の理由について、法務省は「個別審査の結果なので一概には言えない」とした上で(1)厳罰化を求める社会感情から、早期の仮釈放が困難な重大事案が多い(2)再犯の恐れなど、より慎重に審査している(3)服役が長期化するにつれて親族などが亡くなり、身元引受人の確保が難しい‐などと説明している。

 裁判員裁判の対象となり無期懲役が刑罰として定められている殺人、強盗致死など重大事案の検挙人数は1989年以降ほぼ横ばいだが、無期懲役判決は近年急増。受刑者数も89年末の864人から昨年末には1670人にまで増えた。一方、70年代に年60人程度認められていた仮釈放は減少し、近年は年間1けた台も目立つ。平均服役期間も90年代前半は20年未満だったが、ここ数年は25‐30年に延びている。 (東京報道部・相本康一)

=2008/06/08付 西日本新聞朝刊=」




2.幾つかの点に触れていきます。

(1) 1点目。

 「仮釈放者の平均入所期間も20年10か月だった98年以降、長期化する傾向が続き、昨年は31年10か月だった。無期懲役囚の今年4月時点での入所期間を見ると、40年以上が24人に上り、55年以上の受刑者も1人いた。」(読売新聞)」

 「法務省や日弁連によると、服役25年以上の無期刑受刑者は、1999年4月時点では67人。服役40年以上は11人だった。年齢構成は50歳代25人、60歳代33人、70歳代9人。これに対し、今年4月現在の受刑者192人は、40歳代7人、50歳代53人、60歳代85人、70歳代37人。80歳代も10人おり、高齢化がうかがえる。2007年は13人が受刑中に死亡した。」(西日本新聞)



平成16年刑法改正前は、有期懲役・禁錮の法定刑の上限は15年、加重された場合で20年とされていたのですが、平均寿命が伸びたことを理由に平成16年刑法改正は、それぞれ20年、30年に引き上げました(刑法12条1項、14条)。

平成16年刑法改正の無期懲役受刑者の仮釈放者の平均入所期間が30年というのならば、有期懲役とのバランスからして理解できます。しかし、今回の統計は、刑期の上限が20年のときの平均服役期間なのです。不相当といえるほど、無期懲役囚が入所していることが判明したわけです。

「2007年は13人が受刑中に死亡」したというのですから、かなりの多数が生きて刑務所を出ることができないわけです。無期懲役に関しては、仮釈放制度がほとんど機能していないといえそうです。



(2) 2点目。

「仮釈放は服役10年過ぎれば可能だが、本人は申請できない。刑務所側の申請で地方更生保護委員会が悔悟の情や更生意欲などを検討して可否を決めるが、今年4月現在の受刑者のうち155人は一度も申請されていない。残り37人は延べ50回申請されたが認められていない。」(西日本新聞)


仮釈放は、本人が申請できないため、刑務所側が申請しなければ生涯、仮釈放されることはありません。「今年4月現在の受刑者のうち155人は一度も申請されていない」とのことですが、その個別事情は分からないため、一概には言えないとはいえ、刑務所側としては、多数の無期懲役の受刑者を仮釈放する意思がないことを示しています。



(3) 3点目。

「仮釈放減少の理由について、法務省は「個別審査の結果なので一概には言えない」とした上で(1)厳罰化を求める社会感情から、早期の仮釈放が困難な重大事案が多い(2)再犯の恐れなど、より慎重に審査している(3)服役が長期化するにつれて親族などが亡くなり、身元引受人の確保が難しい‐などと説明している。」


仮釈放減少の理由として、厳罰化を求める社会感情を挙げてはいますが、 「服役が長期化するにつれて親族などが亡くなり、身元引受人の確保が難しい」が重要です。要するに、仮釈放しても誰も身寄りがないため、仮に仮釈放しようとしても、仮釈放することができないわけです。




3.終身刑の創設などを目指す議員連盟「量刑制度を考える超党派の会」(会長=加藤紘一・自民党元幹事長)の会合が5月30日、国会内で開かれ、量刑のうち、死刑と無期懲役の間に、仮釈放のない終身刑を創設することで一致したとのことです。

しかし、(無期懲役囚)の仮釈放者の平均入所期間が31年10ヶ月となり、仮釈放までの服役期間が長期化し、無期懲役が事実上の「終身刑」となっていることが明らかになったのです。要するに、終身刑は無期懲役を創設するのとほとんど変わらないのです。

ですから、「量刑制度を考える超党派の会」は、終身刑創設だけを考慮しないで、無期懲役の実態を明らかにし、無期懲役の運用の妥当性をも視野に入れて、検討してほしいと思います。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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2008/06/10(火) 11:28:44 | Ťκ?
こちら 自由刑(自由を剥奪する刑罰)の種類と特徴について詳説しています。是非(というかできれば必ず)お読みください。
2008/06/24(火) 21:57:35 | 無期懲役刑に関する誤解の蔓延を防止するためのブログ
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