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2008/05/14 [Wed] 19:58:33 » E d i t
自公民の厚労部会長や医師出身の議員など、超党派のおよそ80人の議員からなる「修復腎移植を考える超党派の会」(杉浦正健会長)が、修復腎(病気腎)移植を容認するとの見解を打ち出したことについては、「病気腎移植容認・万波医師ら処分不要の提言へ、超党派議連が方針決定」(2008/05/10 [Sat] 17:01:26)「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表~5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)において、触れたとおりです。

この議連の見解は、病気の腎臓の移植を原則禁止とする厚労省の見解とは正反対の内容です。しかも、修復腎移植について保険診療を認めていくべきであるとしていることも重要です。

「厚生労働省や学会から「医学的妥当性がない」とされ、同省が臨床研究以外は「原則禁止」とした病気腎(修復腎)移植をめぐる情勢に13日、大きな変化が起きた。与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)が、逆に「容認」の見解を打ち出し、「保険診療も認めるべき」と、踏み込んだからだ。宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師の症例批判を展開する学会とは対極に踏み出した議連。議論の詳報をお伝えする。」(東京新聞5月14日付)



このように、東京新聞5月14日付「こちら特報部」では、超党派議連の議論の詳報を伝えているので、この記事を紹介したいと思います。

5月15日追記「現在のガン治療の功罪~抗ガン剤治療と免疫治療」さんも、超党派議連の見解報道について触れているので追記として紹介しました。)
5月20日追記:鈴木宗男議員も、超党派議連に参加なされていたので、触れた部分を引用しました。)



1.その前に。

あらゆる社会問題についても言えることではあるのですが、この修復腎移植問題についても、根本的な点について勘違いしている方がいる点が気になります。そこで、1つ触れておきます。それは、「修復腎移植を希望する患者がいるはずがない、大部分の患者さんは部分切除を望むはずだから、病腎移植を提供する者はほとんどいるはずがない」という否定論です。

(1) 徳洲新聞No.620[2008(平成20)年5月12日]3面

レストア腎、患者さんの半数が移植を希望

レストア腎移植(いわゆる病腎移植)問題で、とかく置きざりにされがちなのが患者さんからの視点。実際にレストア腎移植を希望する患者さんは、いったいどれほどいるのだろうか。こうした興味深い研究が発表された。

 横浜市で開催された「第96回日本泌尿器科学会総会」(4月25~27日)で、「腎移植ドナーの適応拡大は議論されるべきでは:腎癌腎移植に関する献腎移植希望登録者および透析患者の意識調査から」との演題を発表したのは、長崎医療センターの松屋福蔵・泌尿器科医長らのグループ。
 研究は、長崎県内の献腎移植希望登録更新者74名(男47名、女27名)、透析患者さん87名(男56名、女31名)が対象。一般的な腎がんの医学的解説を行い、転移しない可能性は約9割とした上で、レストア腎の移植を受けたいかどうかをアンケート調査した。
 その結果、条件つき希望を含め肯定的意見は更新者39名(53%)、透析者39名(45%)。絶対に受けないとしたのは、更新者で32名(43%)、透析者で41名(47%)となった。
 発表を行った松屋医師は「生体腎移植のあてもないまま、腎移植を待たざるを得ない患者さんやご家族の、移植できる腎臓さえあればとの思いを切実なものとして受け止め、ドナーの適応拡大について議論すべき時期にきている」と主張した。
 この発表に対し、日本移植学会の高原史郎副理事は「しっかりとしたインフォームドコンセント(十分な説明と同意)をすれば、大部分の患者さんは部分切除を望むはず。病腎移植といっても(全摘を前提としているため)数はほとんど限られるのではないか」と質問した。しかし、日本泌尿器科学会の公式データとして「修復腎移植を考える超党派の会」に提出された腎がんの全摘率は82%となっている。
 高原副理事の質問に松屋医師は「私の経験では、部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない。助かる患者さんがたとえ1人でも、その可能性を検討すべき。無条件にノーというべきではない」と答えている。
 また、発表後に同医師はレストア腎移植問題に言及。「C型肝炎問題と同じように、患者さんの声が大切。そうした臓器でも移植を望む患者さんがどれだけいるかによると思います」と話した。」


この発表での質疑は実に興味深いものがあります。

日本移植学会の高原史郎副理事は、「大部分の患者さんは部分切除を望むはず」だと批判しているのに対して、松屋医師は「私の経験では、部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない」と答えています。松屋医師の経験は、実績のある泌尿器科専門医では誰もが共通して経験している事実なのですから、高原氏は、泌尿器科専門医の経験則について無知であることを自ら暴露しています。



(2) 「第96回日本泌尿器科学会総会」での長崎医療センターの松屋福蔵・泌尿器科医長らのグループの研究発表によれば、「条件つき希望を含め肯定的意見は更新者39名(53%)、透析者39名(45%)。絶対に受けないとしたのは、更新者で32名(43%)、透析者で41名(47%)」という調査結果が出ています。これは、腎臓移植を希望している患者のうち、修復腎移植を希望する患者が半数を超えているのですから、病気腎移植を希望する患者はいるのです。

また、十分な実績のある泌尿器科専門医の経験からすれば、「部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない」(松屋医師の話)のです。ですから、「日本泌尿器科学会の公式データとして「修復腎移植を考える超党派の会」に提出された腎がんの全摘率は82%となっている」のです。このように、80%も捨ててしまっている腎臓があるのですから、病気腎移植を提供する者はいるのです。

このように、「修復腎移植を希望する患者がいるはずがない、大部分の患者さんは部分切除を望むはずだから、病腎移植を提供する者はほとんどいるはずがない」という否定論は、間違っているわけです。

修復腎移植問題は、死体腎移植の平均待機期間は16.6年というあまりにも深刻なドナー不足の状況において、修復腎移植であっても移植を望む「患者の声を大切」しようではないか、ということなのです。

「患者の声を大切」にする――。

これは医師としてごく基本的な態度であるのですが、修復腎移植の是非は、「医師としてごく基本的な態度」が問われている問題でもあるのです。


2.東京新聞平成20年5月14日付朝刊24・25面【こちら特報部】

SOS臓器移植:厚労省・学会にNO 超党派議員連盟「容認」のわけ 政治の出番 悩む患者は待ったなし
2008年5月14日

 厚生労働省や学会から「医学的妥当性がない」とされ、同省が臨床研究以外は「原則禁止」とした病気腎(修復腎)移植をめぐる情勢に13日、大きな変化が起きた。与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)が、逆に「容認」の見解を打ち出し、「保険診療も認めるべき」と、踏み込んだからだ。宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師の症例批判を展開する学会とは対極に踏み出した議連。議論の詳報をお伝えする。 (片山夏子)

◆26万人余の人工透析者

 午前9時、東京・永田町の衆院議員会館。カメラの放列を前に口火を切った杉浦氏は全国26万人余の人工透析患者を念頭に「(腎臓の)提供者は少ない現実がある。問題を学会だけではなく、社会全体で考えたかった」。

 議員らは「改革的なことをしようとすると、タブーが立ちはだかる。従前のことに縛られていては前進はあり得ない」(島村宣伸元農相)、「私自身、弟の腎臓をもらい移植した。病気で摘出した腎臓が使えるなら、いいと思っている。厚労省はぜひ、検討してほしい」(山田正彦・民主党ネクスト厚労相)と畳みかけ、杉浦氏が強(こわ)ばった表情の厚労省幹部に「見解案」を手渡した。

 泌尿器科医でもある森田高参院議員(無所属)は「現状では、海外に道を求める人も多い。公正なシステムの中で行い、データを集積して5年、10年後に日本からデータを発信していくべきだ」。

 「(万波氏らが)取らなくてよい腎臓を取ったかどうか、検証すべきだ」との意見も出たが、見解案を中心的に作成した外科医で弁護士の古川俊治参院議員(自民)が「インフォームドコンセント(十分な説明と同意)の問題。(直径3―4センチ以下の)小腎がんなどは数%でも(再発の)リスクが残るなら摘出してほしいという患者もいる」とおさめ、9時40分、全員一致で見解案を了承した。

◆「議員立法は選択肢」

 意見が分かれたのは、議員立法に踏み切るか否か。「学会の異論を取り除いていくためにも、法的に作っちゃってやるというのは、どうか」「議員立法にしても、学会や厚労省との大筋合意が必要」とは慎重派議員ら。一方、山田氏は「患者は本当に困っている。政治で、ある程度、きちんとした形でできるようにした方がいい」。

 ここで、幹事長の衛藤晟一・自民党厚労部会長が「厚労省は一度、臨床研究は小腎がんは対象にならないと回答しながら、撤回した経緯がある。学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」。古川氏は「学会の合意を得られた場合は、強引に立法化するのもどうかと」。

 最後は、平沢勝栄衆院議員(自民)が「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討するということで。全国で、多くの患者が移植を受けられるようになるのを待っている。何とか早く結論を出したい」と、“官僚の出方論”にまとめた。

◆頑なに反対…「メンツでは?」

 議連は患者、万波氏、オーストラリアや米国で病気腎移植を進める医師だけでなく、厚労省・学会からもヒアリングしており、日本移植学会の医師らは、万波氏らの症例を「治療上、摘出する必要のない腎臓を移植した」「移植できる腎臓は患者に戻すべきだ」と指摘した。

 これに「良性疾患の症例の中には、内科的治療や画像診断が十分でないものがあった可能性がある。丁寧に説明すれば、摘出に同意しなかったと疑われる症例もある」と頷(うなず)くのは前出の古川俊治氏だが、一方で、宇和島の地域性や、万波氏らが病気腎移植を始めた当初はインフォームドコンセントが十分に広まっていなかったという時代的背景も考慮すべきだと指摘する。

 「第三者が結果から振り返って評価すると、多くの悪い点が指摘できるのは医療の常。医療は患者と医師の信頼関係で行われており、すべてに標準的な医療を押しつけるべきではない。やり方に疑いがあるなら、民事訴訟で解決すべきで、行政が踏み込むのは極めて異例。しかも、今回は、よくやってくれたという患者こそいるが、訴訟を起こした患者はいない」

 さらに学会が「小腎がんは部分切除すべきだ」としたことについては「今後、部分切除が増えるだろうが、現実に、今は全摘(全摘出)が相当数ある。(再発を恐れ)摘出を望む患者がいる」と指摘。

 「今までも、親族間では、病気腎移植を認めた例があり、医学的に同じこと。(修復した腎臓は)患者に戻せというが自家腎移植はほとんど行われていない。絶対的な臓器不足の中で、つなぎの次善の策として、修復腎移植をしてはいけない、ということはないのではないか」

◆「保険適用を」一歩踏み込む

 古川氏は日本外科学会に所属。

 「議連に入る時、私は学会寄りだったが、いろいろ意見を聞くうち、政治として踏み込める解決策は、この結論にならざるを得なかった。一例一例は過失があったかもしれないが、修復腎の方法論を全否定する話にはならない。海外では評価する声もある中で、なぜ学会は一辺倒に反対なのか?本来、患者の方を向くべきではないか」

 さらに「実地でも臨床研究でも、保険適用にしなければ、患者に莫大(ばくだい)な費用がかかり現実問題、進まない。第三者委員会のコントロール下で保険適用を」と求める。

 死体腎移植も進んでいない現状を踏まえ、「命が助かった患者が大勢いたのに、日本で病気腎移植ができなくなる可能性があった。なぜ、ここまで頑(かたく)ななのか。厚労省ははじめから駄目だと決めつけているように感じた。万波さんが誤っている点を直した上で、患者を救う手法として冷静な目で検証する建設的な姿勢はなかった。学会の意見だけを聞き、患者の声を聞いていない」と疑問を呈すのは平沢勝栄氏だ。

 「これが犯罪ならば告発すべきだと、厚労省や学会に言った。田舎の医師がやったこと、という意識やメンツがあったのではないか。悩んでいる患者はあまりにも多い。もっと前向きに取り組んでもいい」。こう言って、付け加えた。

 「厚労省が今までしてきたことが全部正しく、薬害エイズ事件などが起きていなかったら、こんなに疑問は持たなかった」


<デスクメモ>

 医師の値打ち。みなさんは、いつ感じますか。乗っている車を見て? まさか。論文の数? 世間の評判? 政府や自治体の審議委員になった? 医療機関の新しさ? 私は、お葬式です。質素な身なりの人々が詰めかけ、涙にくれる。そういう人は、生前、間違いなく腕利きだった医者ですから。 (隆)」

(*見出しの文章自体は紙面のままですが、見出しの位置はこちらで適切な位置においています。)




(1) 幾つかの点について触れていきます。まず1点目。

 「「第三者が結果から振り返って評価すると、多くの悪い点が指摘できるのは医療の常。医療は患者と医師の信頼関係で行われており、すべてに標準的な医療を押しつけるべきではない。やり方に疑いがあるなら、民事訴訟で解決すべきで、行政が踏み込むのは極めて異例。しかも、今回は、よくやってくれたという患者こそいるが、訴訟を起こした患者はいない」(中略)

 古川氏は日本外科学会に所属。

 「議連に入る時、私は学会寄りだったが、いろいろ意見を聞くうち、政治として踏み込める解決策は、この結論にならざるを得なかった。一例一例は過失があったかもしれないが、修復腎の方法論を全否定する話にはならない。海外では評価する声もある中で、なぜ学会は一辺倒に反対なのか?本来、患者の方を向くべきではないか」

 さらに「実地でも臨床研究でも、保険適用にしなければ、患者に莫大(ばくだい)な費用がかかり現実問題、進まない。第三者委員会のコントロール下で保険適用を」と求める。」


医療行為は、患者の自己決定権(憲法13条)の尊重が基本なのですから、法律論としては「病気腎移植も患者、提供者の双方が納得すれば十分」です(「病気腎移植は学会と現場にギャップ~田辺功 (著)『ドキュメント医療危機』より」(2008/01/04 [Fri] 05:45:31))。しかも、病気腎移植の一例一例が個別的に見れば問題となるものであったとしても、医療行為は裁量の幅が広く、診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準に従った注意義務を尽くしていれば「過失」は否定され、民事責任は生じません(最判昭57・3・30判タ468-76〔日赤高山病院事件〕、最判平7・6・9民集49-6-1499〔日赤姫路病院事件〕など)。

ですから、医療行為に「疑いがあるなら、民事訴訟で解決すべき」であって、それなのに「今回は、よくやってくれたという患者こそいるが、訴訟を起こした患者はいない」という状況においては、病気腎移植問題では、法律上の問題点が見当たらないのです。法律を専門とする者であれば、その多くが、なぜ病気腎移植を問題視する必要があったのか、疑問であったと思うのです。

修復腎移植問題については、その議論をよく知らないままだと、「病気腎移植を認めると、強制的にがん細胞があるままの臓器を移植されてしまう」という杞憂論に惑わされ、つい日本移植学会の言い分を信用してしまうのです。日本外科学会に所属する医師である古川俊治議員も、「議連に入る時、私は学会寄りだった」のです。

ところが、超党派議連に入って、「いろいろ意見を聞くうち、政治として踏み込める解決策は、この結論にならざるを得なかった」わけです。要するに、正しい情報に接することで、日本移植学会や厚労省の言い分は妥当でないと理解でき、病気腎移植容認という結論に達したのです。古川議員の発言は、正しい情報に接することの重要さを物語っているのです。


ちなみに、記事中では、泌尿器科医でもある森田高参院議員(無所属)が超党派議連に参加し、次のように述べて、賛同しています(森田参院議員は、ご自分のブログでも触れています)。

「現状では、海外に道を求める人も多い。公正なシステムの中で行い、データを集積して5年、10年後に日本からデータを発信していくべきだ」。


修復腎移植問題については、ネット上賛同を表明している泌尿器科医がかなりいることからしても、森田議員の意見は泌尿器科医としては典型的な意見であるといえそうです。



(2) 2点目。

「意見が分かれたのは、議員立法に踏み切るか否か。「学会の異論を取り除いていくためにも、法的に作っちゃってやるというのは、どうか」「議員立法にしても、学会や厚労省との大筋合意が必要」とは慎重派議員ら。一方、山田氏は「患者は本当に困っている。政治で、ある程度、きちんとした形でできるようにした方がいい」。

 ここで、幹事長の衛藤晟一・自民党厚労部会長が「厚労省は一度、臨床研究は小腎がんは対象にならないと回答しながら、撤回した経緯がある。学会や厚労省の状況を見て、立法化を検討したらどうか」。古川氏は「学会の合意を得られた場合は、強引に立法化するのもどうかと」。

 最後は、平沢勝栄衆院議員(自民)が「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討するということで。全国で、多くの患者が移植を受けられるようになるのを待っている。何とか早く結論を出したい」と、“官僚の出方論”にまとめた。」


議員立法に踏み切るか否かについては、結論に達するまでに意見が分かれたようです。ですが、一応、学会や厚労省と話を付けてみて、何も変化がないのであれば、「議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討する」とのことです。

“官僚の出方次第”では、議員立法や政府提案の閣法で立法化するのであり、それも、ぐずぐず官僚の出方を待っているのではなく、早く結論を出す意図であるということのようです。早く結論を出すために議員立法も考えているという姿勢は、患者の利益に沿った判断であり、高く評価したいと思います。



(3) 3点目。

「死体腎移植も進んでいない現状を踏まえ、「命が助かった患者が大勢いたのに、日本で病気腎移植ができなくなる可能性があった。なぜ、ここまで頑(かたく)ななのか。厚労省ははじめから駄目だと決めつけているように感じた。万波さんが誤っている点を直した上で、患者を救う手法として冷静な目で検証する建設的な姿勢はなかった。学会の意見だけを聞き、患者の声を聞いていない」と疑問を呈すのは平沢勝栄氏だ。

 「これが犯罪ならば告発すべきだと、厚労省や学会に言った。田舎の医師がやったこと、という意識やメンツがあったのではないか。悩んでいる患者はあまりにも多い。もっと前向きに取り組んでもいい」。こう言って、付け加えた。

 「厚労省が今までしてきたことが全部正しく、薬害エイズ事件などが起きていなかったら、こんなに疑問は持たなかった」」



学会と臨床の現場とでギャップがあることは、常々言われていることです(「病気腎移植は学会と現場にギャップ~田辺功 (著)『ドキュメント医療危機』より」(2008/01/04 [Fri] 05:45:31))。

「日本の学会のほとんどは大学教授が牛耳っている。大学は研究優先で、多くの教授は臨床は得意ではなく、臨床を一段低く見ている。評判のいい臨床医には冷淡で、私から見ると、いじめとしか思えない行動を取る。その時によく持ち出されるのが「倫理」だ。」(田辺 功『ドキュメント医療危機』参照)


修復腎移植問題では、学会の側に「田舎の医師がやったこと、という意識やメンツ」で否定したという偏狭な考え方があり、学会の側が「患者の声を聞いていない」という医師としてあるべき基本的な姿勢に欠ける問題があったのです。

そして、問題なのは学会の言い分を鵜呑みにした厚労省の姿勢でしょう。「薬害エイズ事件」だけでなく、薬害肝炎問題、後期高齢者医療制度という「姥捨て山制度」を平気で創設したことも、厚労省を信用できないことの証左を示しています。

厚労行政に問題・失策があれば、政治の出番になる――。これも、残念ながら、いつものことであります。与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」は、日本では恒例になった厚労行政の失策に対する、政治家としての態度を示したものといえるのです。



<5月15日追記>

「現在のガン治療の功罪~抗ガン剤治療と免疫治療」さんは、万波医師たちの試みを高く評価していますが、「病気腎移植」(2008_05_14)でも、この超党派議連の見解を好意的に評価なされています。冷静に高く評価している医師は、必ずいるものだと思いました。

「学会も厚労省も、その目は、
悩める患者さんの方には向いていないことが、
またも、ハッキリと見えてきたように思います。(中略)

やはり、学会が推奨する標準治療だけをおこなっていくのが、
医者にとっては一番無難です。

しかし、あの移植手術が、
患者のためであり、
今後も認められる道筋ができたことは本当に喜ばしいことです。
同時に、大いに面子を潰された学会には
猛省を期待したいと思います。」



同じエントリーにおいて、次の点も気になりました。

「インフォームドコンセントは重要です。
それは、私の大好きな国立がんセンターが提唱してるとおりです。
しかし、そのがんセンターとて、
どれだけ十分なインフォームドコンセントを得ているでしょうか。
その国立がんセンターで治療を受けていて、
私のところにセカンドオピニオンに来られた患者さんで、
十分な説明を受け、
その上で治療に同意されていた患者さんは、
一人もいません。
インフォームドコンセントの重要性を、
日本で一番強調している病院で、
それが実行されてはいません。
マスコミはその事実には一切触れません。
マスメディアの報道とはその程度のものです。」


東京でのことですが、多くの病院に診察に行くようになると、今でも、いかにインフォームドコンセントを実行できていない医師が多いことを身に沁みて感じます。「国立がんセンター」でさえ、インフォームドコンセントが実行できてない事実があることは、いまだにインフォームドコンセントが事実上は画餅のままであることを示しています。

今でもこんな体たらくであるのに、どうしてマスコミや学会は万波医師たちを非難できるのでしょうか。しかも、「万波氏らが病気腎移植を始めた当初はインフォームドコンセントが十分に広まっていなかったという時代的背景」もあるのです(万波医師たちがインフォームドコンセントを怠っていたという批判自体疑問ですが)。このように、インフォームドコンセントが十分でなかったとして万波医師たちを批判することは、妥当ではないことは明らかです。




<5月20日追記>

鈴木宗男衆院議員の「ムネオ日記」の5月13日の日記から、一部引用しておきます。

「2008年5月13日(火) 鈴 木 宗 男

 8時半から修復腎移植(病気腎移植)を考える超党派の会の勉強会で、修復腎移植についての取りまとめが行われた。現在、透析患者が25万人おり、1万人が腎移植を必要としていると言われている。医学の進歩と相まって、時代にあった判断をしなくてはいけない。一歩前進した取りまとめができたので、更に今後専門家等の考え、意見を聞き、実現に向けた動きをしていかなくてはならない。」


どうやら鈴木議員もこの超党派議連に参加されているようですし、修復腎移植容認という議連の見解に賛同されているようです。鈴木議員のような信念を持って発言なされている議員が参加し、修復腎移植に賛同されていることは大変心強く感じます。

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

コメント
この記事へのコメント
春霞様
東京新聞記事の紹介ありがとうございました。
「容認」の内容そしてそれぞれの国会議員の方々のコメント・声明を聞き、本当に嬉しく感謝の気持ちでいっぱいになりました。
今後の厚労省の出方次第では、議員立法化も視野に入れていると言うことですね。
厚労省、学会はこれ以上面子にこだわるのはもう止めていただきたいと思います。
まだまだ予断は許せませんが、これが大きな分岐点となってほしいです。国会議員の先生が私どもの大きな後ろ盾、バックアップとなっていただいたことに感謝と今後の多いなる期待をしています。
2008/05/15 Thu 00:49:48
URL | hiroyuki #-[ 編集 ]
>hiroyukiさん:2008/05/15 Thu 00:49:48
コメントありがとうございます。


>厚労省、学会はこれ以上面子にこだわるのはもう止めていただきたいと思います

そうですね。超党派議連は、自公民の厚労部会長がメンバーであり、十分に議員立法の成立が可能であることを、よく頭に入れて判断してほしいです。


>まだまだ予断は許せませんが、これが大きな分岐点となってほしいです。

確かに、社会保険事務局の処分はまだ未定ですし、厚労省や学会側に、方針変更を迫った段階ですから、「まだまだ予断は許せない」状態ですね。ですが、本当に、「分岐点」になってほしいですね。


>国会議員の先生が私どもの大きな後ろ盾、バックアップとなっていただいたことに感謝と今後の多いなる期待をしています。

超党派議連の議員の方たちの態度決定には、心から感謝です。今後とも、その態度を貫いて欲しいと思います。
2008/05/15 Thu 23:26:21
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
移植学会の動きですけど
春霞様
透析者の半魚人です。
移植学会が修復腎移植に否定的な態度を崩さないようですが、見通しはどうなのでしょう。

議員立法も視野に入れるとか聞いてますが、法律にはあまり詳しくないもんですから、どうなるのか心配しています。

急がないと万波先生の優れたスキルを次の世代に継承しないといけません。そのためにも時間は大切だと思うのです。

それにしてもマスメデァの対応には驚きます。あれほど非難しておきながら今度はだんまりでは名誉の回復もままなりませんね。

そういうわけで続報を待っています。

2008/05/27 Tue 12:22:36
URL | 半魚人 #ZpAXj7wg[ 編集 ]
>半魚人さん:2008/05/27 Tue 12:22:36
コメントありがとうございます。


>移植学会が修復腎移植に否定的な態度を崩さないようですが、見通しはどうなのでしょう。

確かに日本移植学会は、5月19日、超党派議連を批判する記者会見をしています。


「病気腎移植あらためて批判 死体からの提供増をと学会

 日本移植学会の寺岡慧理事長らは東京都内で19日記者会見し、超党派の国会議員グループが条件付き容認の見解をまとめた「病気腎移植」について「適切ではない」と、あらためて批判した。
 寺岡理事長は、議員グループと対立する意図はないことを強調しつつ、移植を進めるには死体からの臓器提供を増やすべきだとして、議員らに「そのための施策を考えてほしい」と述べた。
 理事長はまた、病気腎移植の問題点を学会としてあらためて分かりやすくまとめ、近く発表する方針を明らかにした。
 病気腎移植は、治療のために摘出した腎臓を別の患者に移植する行為。
 宇和島徳洲会病院(愛媛県)の万波誠医師らの実施が社会問題化し、厚生労働省が原則禁止を決めたが、国会議員でつくる「修復腎移植問題を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)が今月13日、第三者による客観評価などを条件に、容認できるとする見解をまとめていた。

2008/05/19 18:49 【共同通信】」
http://www.47news.jp/CN/200805/CN2008051901000658.html

平沢勝栄衆院議員は、議連の会合で「学会や厚労省と話をし、選択肢として議員立法や(政府提案の)閣法にするかを検討する」と述べています。日本移植学会は、「病気腎移植の問題点を学会としてあらためて分かりやすくまとめ、近く発表する方針」だそうですから、超党派議連としては、その発表の内容を読んでから対応するのだと思います。

ただし、学会が頑なな態度ですから、超党派議連としては、すでに議員立法を行う覚悟を決めているのだとは思います。日本移植学会の意見発表後、厚労省も同様な見解であれば、(患者団体が立法化を要望するなど要請が強いのであれば)立法化作業に入っていくと思います。

さすがに、今国会は1ヶ月ほどで閉会ですから、立法化の時期は、早くても次期国会です。もし次期国会に法案を提出することができれば、かなり早く成立の可能性があるでしょうね。内閣提出法案ですと、次期国会というようにそんなに早く立法化は難しいでしょうが、議員立法だと早く立法化可能です。もちろん、超党派議連の国会議員の方たちがどれほど積極的に動いてくれるかによりますから、立法化の次期は明確にはなりませんけど。


>急がないと万波先生の優れたスキルを次の世代に継承しないといけません。そのためにも時間は大切だと思うのです。

仰るとおりだと思います。
折角の万波先生たちの優れた技量、修復腎移植を行える臓器か否かの判断方法など、直接、習得できるとその利益は大きいものがあります。いくら優れているとはいえ、万波先生のお年を考えると、はやく早く多くの医師が習得できる機会を得る方がいいですし。

きっと、日本移植学会の会員は万波医師から教えを請うのは嫌なのでしょうが、諸外国の医師はぜひ学びたいと思っているでしょう。海外の医師たちが宇和島に押しかけてくるという事態になるかもしれませんね。


>それにしてもマスメデァの対応には驚きます。あれほど非難しておきながら今度はだんまりでは名誉の回復もままなりませんね。

日本移植学会による「超党派議連批判の記者会見」を伝える報道も小さなものでしたし、仰るとおり、全体としては「だんまり」ですね。新聞社も95年の“欠陥US腎報道”問題を覚えているでしょうから、その二の舞は避けたいとして、「だんまり」なのでしょうけどね。非難が間違っていたのであれば、素直に非を認める報道をしてほしいものです。


>そういうわけで続報を待っています。

何か動きがあればブログで伝えて行きたいと思います。
2008/05/31 Sat 00:15:13
URL | 春霞 #5oClkA7g[ 編集 ]
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本日、超党派国会議員連盟 病気腎移植「容認」 を提言 写真は、あいテレビ キャッチあいニュースから(以下同じ)  本日5月13日(火)開催された「修復腎移植を考える会」超党派議員連盟の会合                     あいテレビニュース http://ww...
2008/05/14(水) 20:53:17 | 修復腎移植推進・万波誠医師を支援します
腎がん をサーチエンジンで検索し情報を集めてみると…
2008/05/25(日) 14:47:21 | おまとめブログサーチ
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2008/05/28(水) 21:08:04 | κ?
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