FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
06« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»08
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/04/13 [Sun] 23:59:42 » E d i t
雑貨輸入販売会社の元社長三浦和義氏は、米ロサンゼルスで1981年に起きた銃撃事件(いわゆる「ロス疑惑」事件)の容疑者として、日本で無罪が確定しながら、米自治領サイパン島で逮捕され身柄拘束されています。これは、カリフォルニア州では同一の犯罪で重ねて刑事責任を問われない「一事不再理」の原則を定めた州法があったのですが、これが修正されて米国外の判決は適用除外になりました。そこで、米捜査機関は、「一事不再理効」が及ばないとして起訴可能だと判断したことから、逮捕し身柄拘束しているわけです。

ところが最近、「ロス疑惑」事件と類似したケース(法改正前に米国外で判決が出ていたケース)について、米カリフォルニア州サンディエゴ郡地裁は4月11日、他国での判決確定後に同じ事件で再び刑事責任を問うことを禁じた「一事不再理」を適用し、メキシコ人セレスティノ・メンデス・マルチネス被告(43)の殺人罪での起訴を取り消しています。「ロス疑惑」事件の裁判のを行方を決定付ける判断ですので、紹介したいと思います。


1.まず、ロス市警側が、起訴可能だと判断した経緯についての記事を幾つか。

(1) 時事通信(2008/03/01-10:17)

州議会の適用廃止で可能に=国外裁判の一事不再理-ロス疑惑銃撃事件・米紙報道

 【ロサンゼルス29日時事】1981年に起きた米ロス疑惑銃撃事件で、地元の有力紙ロサンゼルス・タイムズは29日付紙面で、米警察が元会社社長三浦和義容疑者(60)を逮捕した経緯などを初めて詳細に報じた。
 同紙の記事によると、日本で無罪が確定した事件を改めて取り上げるのは、一事不再理の原則に反する恐れが以前はあった。しかし、カリフォルニア州議会は2004年、ロス郡保安官を殺害した外国人容疑者がメキシコに逃亡する事件が発生後、国外で裁判を受けた者への一事不再理適用を廃止したため、三浦容疑者の起訴も可能になったという。」



(2) 朝日新聞平成20年3月1日付夕刊1面

州刑法改正、三浦元社長訴追に道開く 適用の是非焦点
2008年03月01日17時02分

 米国ロサンゼルス市内で81年に妻を殺害したとして元雑貨輸入販売会社社長、三浦和義容疑者(60)が逮捕されたことがわかって1日で1週間。同市があるカリフォルニア州では、04年の州法改正で、米国外で判決が確定した容疑者の再訴追が可能なことをはっきりさせていたことが分かった。元社長の身柄を拘束しているサイパンの自治領政府は、カリフォルニア州の引き渡し要請に応じる見通しだ。一方、ロサンゼルスでは、日系人社会の印象が悪くならないか、懸念が広がっている。

 銃撃事件の舞台になった米カリフォルニア州では、同じ犯罪行為の刑事責任を何度も追及することを禁じる「一事不再理」の原則を定めた州刑法が04年に改正されていた。この改正は、米国外での裁判に対して同原則を適用しないとするもので、ロス市警など捜査当局は、日本で無罪判決が確定した元社長を同州で訴追できると判断したという。

 ただ、元社長の日本での無罪確定は03年で同州法改正前。さかのぼって同法が適用されるか、議論が分かれる可能性がある。

 米国で「二重危険の禁止」と呼ばれる同原則を記した州刑法は、改正前は「米国内の他州や他国で有罪または無罪判決を受けた場合は」訴追できないと定めていた。ロサンゼルス市当局者は「この法改正で元社長の訴追が可能になった」とロサンゼルス・タイムズ紙に語った。

 02年にロサンゼルス郡保安官が殺害されてメキシコ人容疑者がメキシコに逃亡する事件が起きたことから、法改正の機運が高まり、04年9月に改正法が成立。条文から「他国」が削られた。  (以下、省略)」



朝日新聞の記事に出ているように、米カリフォルニア州の州刑法が改正されたとはいえ、04年の改正ですから、03年に無罪が確定した三浦氏に対しては、遡及して改正法を適用しなければなりません。本来、改正法を遡及して適用できるか否かは、明文規定で明示しておくべきものなのですが、どうやらそのような規定がないようですので、法解釈論として議論になっていました。

「銃撃事件の舞台になった米カリフォルニア州では、同じ犯罪行為の刑事責任を何度も追及することを禁じる「一事不再理」の原則を定めた州刑法が04年に改正されていた。この改正は、米国外での裁判に対して同原則を適用しないとするもので、ロス市警など捜査当局は、日本で無罪判決が確定した元社長を同州で訴追できると判断したという。

 ただ、元社長の日本での無罪確定は03年で同州法改正前。さかのぼって同法が適用されるか、議論が分かれる可能性がある。」



朝日新聞の記事では、「さかのぼって同法が適用されるか、議論が分かれる可能性がある」としていますが、明文規定がないのですから、「議論が分かれる可能性」ではなく、当然、議論が分かれます。



2.「ロス疑惑」事件と類似したケース(法改正前に米国外で判決が出ていたケース)について、カリフォルニア州の裁判所の判断の記事を幾つか。

(1) NHKニュース(4月12日 13時28分)

米地裁決定 ロス疑惑に影響か
4月12日 13時28分

 アメリカで殺人の罪に問われた男がメキシコで有罪判決を受けたことを理由に、同じ罪で2度裁くことはできないと申し立てていたことについて、カリフォルニア州の裁判所は申し立てを認め、起訴を取り消す決定をしました。カリフォルニア州では、いわゆるロス疑惑で日本で無罪判決を受けた三浦和義元社長が同じ法律上の争点で争っており、その審理にも影響を与えそうです。

 この事件は、1988年にアメリカ・カリフォルニア州で妻を殺害して本国に逃げ帰ったメキシコ人の男が地元で逮捕・起訴され、5年余り服役したあと、アメリカで再び逮捕され、起訴されたものです。

 弁護側は、カリフォルニア州では2004年に州法が改正されるまでは、外国で裁かれた事件を再びアメリカで裁くことを禁止しており、この法律が改正される以前に起きた事件で被告の罪を問えないとして、起訴の取り消しを求めていました。

 サンディエゴ地方裁判所は11日、「法律の規定をさかのぼって当てはめることは合衆国憲法と州法に反する」として、起訴の取り消しを認める決定をしました。

 カリフォルニア州では三浦和義容疑者の弁護側が同じ争点で逮捕の無効を申し立て、今月下旬から審理が始まります。メキシコの事件で検察側は控訴するとみられますが、同じカリフォルニア州の裁判所が起訴を取り消したことは、三浦元社長の審理にも影響を与えそうです。」(*原文と異なり、読みやすいよう段落分けをした。)



(2) 読売新聞平成20年4月12日付夕刊15面

米「二重処罰」を棄却、三浦元社長裁判に影響か

 【シアトル=飯田達人】20年前に米国で元妻を殺害した後、逃亡先のメキシコで殺人罪が確定した男が、仮出所後に再入国した米国で再び殺人罪に問われた事件の裁判が11日、カリフォルニア州サンディエゴ郡上級裁判所であり、裁判官は同じ罪で2度処罰することを禁じた「一事不再理」に違反するとし、公訴棄却の決定をした。ロス疑惑「一美さん銃撃事件」を巡って係争中の元輸入雑貨会社社長、三浦和義容疑者(60)(日本で無罪確定)のケースと構図が似ており、検察側は今後、厳しい法廷論争を強いられそうだ。

 決定などによると、メキシコ人のセレスティーノ・マルティネス被告(43)は1988年5月、離婚話のもつれで、同郡内で元妻を刺殺した後、メキシコの実家に戻ったところを逮捕され、同年、懲役11年の判決が確定。メキシコで服役し、94年に仮出所した。同被告が米国に不法入国したという情報をつかんだ同郡の未解決事件捜査班が、昨年9月に逮捕。同郡検事局が殺人罪などで起訴した。

 同州刑法は一事不再理の原則を外国判決にも及ぼしていたが、米国で犯罪を犯した後、メキシコに逃亡し、再入国するケースが相次いだことから、2004年、刑確定が外国の場合、再び同州内で処罰できるよう刑法を改正した。

 決定は、同被告のケースはメキシコでの刑確定が改正前だったため、「(刑罰)不遡及(そきゅう)の原則に抵触する」とし、起訴は無効と判断した。

 検察側は「連邦最高裁は被害者のために、適正な処罰を行うことを認めている」と主張していた。

 三浦元社長がロサンゼルスで、逮捕状の破棄を求めた裁判の審問は23日に開かれる予定。三浦元社長のケースも、日本の最高裁で無罪が確定したのが03年で、カリフォルニア州刑法の改正前のため、今回の決定が影響する可能性がある。

 ロス郡検事局の広報担当官は、「サンディエゴ郡の検事とは情報交換して協力したが、三浦元社長の事件には影響ない」と強気の姿勢を崩さなかった。

(2008年4月12日14時36分 読売新聞)」



(3) 朝日新聞平成20年4月13日付朝刊34面

「ロス疑惑」の類似事件、再訴追不可の司法判断 米地裁
2008年04月12日19時10分

 【ロサンゼルス=堀内隆】米カリフォルニア州サンディエゴ郡の地裁は11日、国外ですでに判決が出た犯罪を米国内で再訴追できるかどうかが焦点となっている「ロス疑惑」事件と類似したケースで、再訴追不可の決定を下した。今後のロス疑惑の検察、弁護双方の法廷戦術に影響を与えそうだ。

 米メディアによると、メキシコ人のセレスティノ・メンデス・マルティネス被告(43)が88年に同州で元妻を殺害した後、逃亡先のメキシコで逮捕、起訴され、禁固11年の判決を受けて服役。仮出所後の07年、再渡航した同州で同じ容疑で逮捕された。

 カリフォルニア州刑法は04年に改正。国外で判決を受けた事件に限っては、同じ事件で再び罪に問われない「一事不再理」原則の対象外とし、米国内で再び裁くことを可能にした。今回の決定は「法改正を過去にさかのぼらせるのは連邦憲法に違反する」と判断。州刑法改正前に他国で判決が確定している以上、米国で再訴追はできないとした。

 ロサンゼルスで妻を銃撃したとされる事件で日本で03年に無罪確定後、米自治領サイパン島で逮捕された三浦和義元社長(60)の弁護側は、今回の決定と同様の主張をして逮捕状無効を申し立てている。」



「ロス疑惑」事件と類似したケースにつき、カリフォルニア州の裁判所は次のように判断しました。

「サンディエゴ地方裁判所は11日、「法律の規定をさかのぼって当てはめることは合衆国憲法と州法に反する」として、起訴の取り消しを認める決定をしました。」(NHK)

「決定は、同被告のケースはメキシコでの刑確定が改正前だったため、「(刑罰)不遡及(そきゅう)の原則に抵触する」とし、起訴は無効と判断した。」(読売新聞)

「今回の決定は「法改正を過去にさかのぼらせるのは連邦憲法に違反する」と判断。州刑法改正前に他国で判決が確定している以上、米国で再訴追はできないとした。」(朝日新聞)


いままで刑罰が課されなかったのに、法改正で刑罰を課すことができるようになるのですから、刑罰に関わるものです。そうすると、もし遡及効を認めるならば、刑罰不遡及の原則に抵触すると判断することは、素直な法解釈です。素直な法解釈ゆえ、裁判官が異なったとしても、どの裁判官も同じ判断をすると思います。(ロス疑惑事件の場合、犯罪地はロサンゼルスですが、加害者・被害者とも日本人ですから、米国と関連性が乏しく、米国で裁判する意義は乏しいと思います。)

このセレスティノ・メンデス・マルティネス氏の事件は、ロス疑惑事件と極めて類似した事案であり、同じカリフォルニア州刑法の法解釈論だけの問題ですから、 当然、ロス疑惑事件にも同じ判断が下される可能性が高いといえます。

ロス郡検事局の広報担当官は、「サンディエゴ郡の検事とは情報交換して協力したが、三浦元社長の事件には影響ない」と強気の姿勢を崩さなかったようですが、それはあまりにも根拠に乏しい態度であり、当然、影響があります。

そうすると、ロス疑惑事件にも、いずれ裁判所は、起訴の取り消しを認める決定をすることになるでしょう。




3.報道機関は、三浦氏の逮捕後、「ロス疑惑」事件について解明されるのではないかなどと盛んに報道していましたが、報道機関の期待とは異なり、これでロス疑惑事件は本当に終結することになります。

新聞報道は、抑制的な報道に努めてはいましたが、テレビ報道や週刊誌などでは、かなりの割合を占めており、またしても犯人扱いしていたことは確かです。日本での、昔のロス疑惑事件報道でも多くの問題がありましたが、テレビや週刊誌などの報道機関は結局はあまり反省をしていなかったようです。犯罪報道のあり方は果たしてこれでよかったのか、再び問われたように思います。




<5月6日付追記>

asahi.com(2008年04月30日11時10分)を引用しておきます。

米の殺人事件、再訴追不可が確定へ ロス事件審理に影響か
2008年04月30日11時10分

 国外で判決が出た犯罪を再訴追できるかが争われた米カリフォルニア州で起きた殺人事件で、同州サンディエゴ郡検事局は30日までに、郡地裁が下した再訴追不可の決定に対し上訴しないことを決めた。

 81年のロサンゼルスでの銃撃事件をめぐり、米自治領サイパン島で逮捕された三浦和義元社長(60)=日本では無罪確定=も一事不再理を訴えて争っており、今回の上訴断念は影響を与えそうだ。

 郡検事局の報道官が明らかにした。この事件は、メキシコ人の40代の被告が88年にカリフォルニア州で元妻を殺害後、逃亡先のメキシコで有罪判決が確定。同州で再び殺人罪で訴追されていた。」


刑罰不遡及の原則はあまりにも基本的な原則ですから、その原則に抵触してまで争うことは非常に困難です。 やはりというべきか、「再訴追不可の決定に対し上訴しないことを決めた」わけです。これで、ますます三浦氏の場合も、同じ扱いになることが確実になりました。

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 8  *  CM: 0  * top △ 
コメント
この記事へのコメント
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://sokonisonnzaisuru.blog23.fc2.com/tb.php/1031-339ec1a9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
ほとんどの方が書類の出し方を間違っています。一番多かったのが、3つ折りにして、縦長の茶封筒に入れている方。だいたいこれが60%。次が、4つ折りにして、縦長の封筒に入れている方。だいたい30%。6つ折りにしていらっしゃった方などもいらっしゃいます。あとは、折ら?...
2008/04/14(月) 00:20:42 | 職務経歴書の書き方
元ミス慶応でゆうこりんの愛称でしられるTBSの青木裕子アナ(24)に新恋人が発覚
2008/04/14(月) 20:40:43 | TBS青木裕子アナが番組で交際認める
 殺人鬼の三浦和義容疑者がアメリカ自治領のサイパンで逮捕された。  FBI(連邦捜査局)が新証拠を発見との報道がなされたが、公式の会見は、ロス市警のみであり、FBI(連邦捜査局)の新証拠については言及されなかった。  新証拠が発見されたとなると、日...
2008/04/18(金) 16:11:13 | Happy Holiday のブログで事件です
実行犯(狙撃犯)が特定されず、証拠不十分として、無罪判決の残念な結末となったロス疑惑。 その無罪判決の内容は、「 無実潔白の白色 」 だったということではなくて、 最高裁の裁判長の心証には、「 ドス黒い色を帯びた灰色 」 が浮かびあがったそうである。 そ?...
2008/04/18(金) 16:12:16 | Happy Holiday のブログで事件です
殺人鬼の三浦和義の知人である白石千鶴子さんが、ミイラ化になった死体となって、アメリカのロスで発見された。 警察の捜査で、殺された千鶴子さんの通帳から退職金などが、殺人鬼の三浦和義によって引き下ろされたことが判明した。 これは、明らかに犯罪である。 ...
2008/06/07(土) 13:21:00 | Happy Holiday のブログで事件です
あ・た・り・ま・え
2008/06/07(土) 13:21:19 | Happy Holiday のブログで事件です
いよいよ、殺人鬼の三浦和義がロスに移送される。  移送の要件は充たされている。 ? 殺人事件が生じた当時、殺人鬼の三浦和義はロスに居たか?? (YES) 共謀者である実行犯(狙撃犯)が、殺人鬼の三浦和義の脚をヤラセ狙撃しており、ロスに居た! ?...
2008/06/09(月) 15:53:22 | Happy Holiday のブログで事件です
(7月8日)外国判決の効力(刑法5条)から判断すると、 一事不再理(憲法39条)は、<無関係>な論点であり、<却下>されると思う。
2008/07/18(金) 19:01:00 | Happy Holiday のブログで事件です
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。