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2010/01/26 [Tue] 03:52:03 » E d i t
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件については、新聞報道やテレビ報道を見ている限り、東京地検特捜部は一体何を問題としているのか(=何罪の容疑で捜査をし続けているのか)、これからどうなろうとしているのかが、さっぱり分かりません。「いずれは小沢幹事長が逮捕されるのではないか」と勘違いしている市民も多いのではないでしょうか。

そこで、いつも分かりやすい説明をしてくれる元NHK報道記者主幹でジャーナリストの池上彰さんによる説明を紹介したいと思います。池上彰さんは、朝日新聞の夕刊で「池上彰の新聞ななめ読み」というコラムを連載していますが、そのコラムにおいて、「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件の報道について分かりやすく説明していましたので引用してみます。



1.朝日新聞平成22年1月25日付夕刊3面「池上彰の新聞ななめ読み」

小沢氏の金をめぐる報道 捜査の意味や見通し示して

 なんとも、もどかしい。何が問題で、これからどうなろうとしているのか。新聞は見通しを示してほしい。

 このところ、そんな気分にさせられます。民主党の小沢一郎幹事長のお金をめぐる問題の記事のことです。

 小沢幹事長の資金管理団体「陸山会」の会計事務を担当した秘書らを、東京地検特捜部が政治資金規正法違反の容疑で逮捕しました。

 連日の大々的な新聞報道で、「いずれ小沢幹事長がお金の問題で東京地検に逮捕されるのではないか」と考えてしまっている読者が、私のまわりには大勢います。

 ところが、記事を読むかぎり、そんな話ではないのですね。新聞報道によれば、小沢氏の当時の秘書で会計事務担当だった石川知裕容疑者(現在は衆議院議員)が、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたという容疑です。

 東京地検は、石川議員個人による行為なのか、小沢氏の指示があったのかを調べている、という段階のようです。

 政治資金規正法違反の容疑が出てくれば、捜査するのは当然のこと。その結果、不自然なお金の流れが見つかれば、徹底的に捜査するのも当たり前でしょう。お金の流れを解明せずに捜査を終了すれば、今度は検察が批判されてしまいます。

 お金の流れを解明していたら、お金が建設業者から出ていた疑いが浮上したので、建設業者からも話を聞く。これも当然の捜査です。

 ところが、もし建設業者から小沢氏側にお金が渡されていても、小沢氏は当時野党議員でしたから、何の職務権限もありません。職務権限のない人にお金を渡しても、贈収賄事件にはなりません。

 ただし、小沢氏側が、職務権限のある当時の与党議員あるいは官僚に働きかけをしていれば、「あっせん収賄罪」ないしは「あっせん利得罪」の容疑が出てきます。

 とはいえ、新聞報道を読むかぎり、いまのところ、小沢氏に、そんな疑惑が浮上しているようには見えません。

 となると結局、小沢氏をめぐる報道は、「小沢氏が4億円も現金を持っていた。土地を購入する際、不思議なお金のやりとりがあった。よくわからないが、けしからん」というレベルです。

 検察は、石川議員の事件の立証のための証拠集めをしているだけなのか。小沢氏の別の容疑を視野に入れているのか。新聞は、単に東京地検の捜査状況を報道するだけでなく、捜査の持つ意味や見通しまで説明してくれなくては、読者の不満が募ります。(ジャーナリスト)

◆東京本社発行の最終版を基にしています。」」



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2010/01/25 [Mon] 04:35:12 » E d i t
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」による土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記入)事件で、東京地検特捜部は平成22年1月23日午後、東京都千代田区のホテルで小沢氏を任意での事情聴取(刑事訴訟法223条)を行いました。聴取は同日午後2時ごろから約4時間半、行われました。小沢氏は聴取後、同ホテルで記者会見し、収支報告書の虚偽記入について「全く把握していない。相談されたり、報告を受けたこともない」と身の潔白を主張しています。ゼネコンからの裏献金についても否定しています。
1月25日付追記:当初は参考人としての取調べ(刑訴法223条1項)かのように報道されていましたが、黙秘権を告知しての聴取であったため、参考人取調べ(刑訴法223条1項)ではなく、(在宅の)被疑者の取調べ(刑訴法198条1項)に当たるものだったようです。)



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年1月24日付(日)朝刊1面

小沢氏会見、疑惑関与を全否定 「幹事長職を全う」
2010年1月24日3時3分

 小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」をめぐる政治資金規正法違反事件で、東京地検特捜部は23日午後、小沢氏から任意で事情聴取した。容疑者としての聴取で、小沢氏は終了後に説明内容を文書で公表するとともに、予定になかった記者会見を開いて改めて関与を否定。「与えられた職責を全うしたい」と述べ、幹事長を続投する考えを示した。鳩山由紀夫首相もこれを認め、捜査状況を当面見守る考えだ。特捜部は聴取内容を受けてさらに捜査を進めるとみられる。

 特捜部は約4時間半に及んだ聴取で、陸山会が2004年10月に購入した東京都世田谷区の宅地の購入にあてた4億円の原資や、資金の動きを政治資金収支報告書に記載しなかった理由を聴いた。並行してゼネコン各社からの聴取などを続けており、供述内容と収集した資料を分析し、再聴取も視野に、今後の捜査方針や本人の立件の可否の検討に入る。

 一方、小沢氏は同日夜、聴取を受けていたホテルで会見した。政権党の幹事長として極めて異例の聴取だった。市民団体から同法違反(虚偽記載)の容疑などで告発されているため、黙秘権を告知されたうえ、2通の被疑者調書に署名したと自ら明かした。

 小沢氏は会見や配布文書で、4億円を陸山会に貸した理由を「政治団体の資金をかき集めれば土地は買えたが、活動費がなくなってしまうので個人の資産を貸し付けることにした」とした。原資については「東京・湯島の自宅の売却代金や、家族名義で銀行に預けていた資金を1989~2002年に引き出し、事務所の金庫に保管していたもの」と説明した。

 この原資について、「胆沢(いさわ)ダム」(岩手県奥州市)建設工事を下請け受注した中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)からの裏金が含まれている疑いがあるとの特捜部の見方については、「不正な金は水谷建設はもちろん、ほかの会社からも一切受け取っていない」と主張。それでも、秘書らについては、「受け取っていないと確信している」と断定を避けた。

 土地取引や、この4億円を載せていない収支報告書が作られたことについては、「具体的な事務については担当の者がおこなったということで、私が実務的な点についてまで、立ち入って関与したことはない」「担当秘書を信頼し、実務については一切任せていた」「私自身が帳簿や収支報告書を見たことはない」と秘書らに任せて自らは関与していなかったとする説明を続けた。

 小沢氏は当初、特捜部から5日にあった聴取要請を拒否。衆院議員の石川知裕(とも・ひろ)容疑者(36)や会計責任者の大久保隆規(たかのり)容疑者(48)ら3人が同法違反(虚偽記載)容疑で逮捕されたことを受け、16日の党大会で「自らの信念を通し、戦っていく」と検察に「全面対決」の姿勢を示していたが、その後、応じる姿勢に転じていた。」



(2) 毎日新聞平成22年1月24日付(日)東京朝刊23面

小沢氏団体不透明会計:小沢氏聴取後会見 強硬転じ「捜査に協力」

 ◇4時間半「隠さずに」 検察側に注文も

 「隠し立てすることはないので包み隠さず説明した」。小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る政治資金規正法違反事件で23日、東京地検特捜部による事情聴取を受けた小沢氏は記者会見で「潔白」を強調した。16日の党大会では検察側との対決姿勢を示していたが、この日は「捜査については今後も協力してまいりたい」。4時間半に及んだ聴取での小沢氏の説明は、果たして検察側を納得させたのか。【鈴木一生、山本将克、松谷譲二】

 23日午後8時15分、事情聴取が行われた東京都千代田区の「ホテルニューオータニ」1階の「芙蓉(ふよう)の間」に設けられた記者会見場。小沢氏は弁護士2人とともに約300人の報道陣の前に姿をみせた。議員バッジを付けた紺色のスーツに同色のネクタイ。無数のフラッシュを浴びて着席する際、「よし」と気合を入れるような声を出し、ゆっくりした口調で語り始めた。

 冒頭、「午後2時から6時半まで特捜部に事情の説明を行いました。隠し立てするようなことではございませんでしたので、私の記憶している限り、包み隠さず、お話を申し上げた」と述べた。だが、質疑応答では険しい表情を見せることも。幹事長の進退を問われると「国民の皆さんにおわび申し上げなければならないが、与えられた職責を全うしたい」と辞任を強く否定。建設会社からの裏金提供を巡る質問には「不正な金は一切受け取っていない」と語気を強めた。

 虚偽記載とされる政治資金収支報告書の作成などには「まったく私の立場からすれば分からない」とし、元私設秘書の同党衆院議員、石川知裕容疑者(36)=政治資金規正法違反容疑で逮捕=らに任せていたことを強調。土地購入の原資に関する説明が変遷しているとの指摘には「個人資産の中身を公表する必要はないと思った」などと釈明した。

 この日になってようやく実現した事情聴取。その理由を「問題点が整理されてからの方がいいだろうということもありまして、結果として今日になった」と釈明し、検察に対して「公平、公正な捜査をしてもらいたい」と不満を口にする場面もあったが、最後は「ありがとうございました」と述べ、わずか約20分の会見を締めくくった。

 聴取が行われたのは小沢氏がここ数日泊まっていたとされるニューオータニ37階の部屋。「秘密通路があり検事が出入りしやすく聴取に適したテーブルの部屋もある」(小沢氏側の関係者)として小沢氏側が勧めたところ、検察側が応じ、今回の事件捜査を担当する特捜部特殊1班の主任、木村匡良(まさよし)検事が来室した。

 この日午前、小沢氏の聴取実施について、接見した弁護士に聞かされた石川議員は、「あ、そうですか。自分はともかく、小沢先生が虚偽記載になるんですかね」と語ったという。

 聴取後、小沢氏は弁護士から「腹減ったでしょ」と団子を手渡され、「一つ食おうか」と言って口にし、(報道陣の)ぶら下がり取材に答える意向を示した。

 弁護士が正規の会見を提案したところ、「それでいい」と了解。ホテル側に空きがあったため、急きょ実施が決まったという。

 会見後、ホテルを出た小沢氏は世田谷区の居酒屋に入った。午後11時すぎ、店から出てきた小沢氏は、報道陣の問いかけには答えず、千鳥足で迎えの車に乗り込んだ。

 ◇「被疑者」で聴取 市民団体の告発をうけ

 陸山会の土地購入を巡る事件で、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕された石川容疑者らと共謀したとして、市民団体が小沢氏本人について同容疑で東京地検に告発状を提出していたことが分かった。

 これを受け、東京地検特捜部による23日の聴取は被疑者として行われた。

 告発内容は小沢氏が石川議員らと共謀し、陸山会の政治資金収支報告書に土地購入費の原資4億円を記載しなかったとしている。

 ◇特殊1班の主任、政界捜査を担当--聴取の木村検事

 木村匡良(まさよし)検事は90年任官。東京、前橋、横浜地検検事や法務省刑事局付検事、公正取引委員会特別審査調整官などを歴任し、09年5月から東京地検特捜部特殊1班の主任に。特殊1班は政界捜査を主に担当し、主任は副部長の下で現場をとりまとめる。47歳。

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毎日新聞 2010年1月24日 東京朝刊」



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2010/01/23 [Sat] 23:59:22 » E d i t
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件の報道に対して、鳩山内閣の閣僚が記者会見で批判を行っています。

 「小沢氏団体不透明会計:情報源「関係者」は不適 原口総務相、放送報道に対し見解

 原口一博総務相は19日の閣議後会見で、メディアの報道表現について「(一般論として)『関係者(によると)』という報道は、検察、被疑者どちらの関係者か分からない」と指摘。「少なくともそこを明確にしなければ、電波という公共のものを使ってやるにしては不適だ」との見解を示した。
 原口総務相は「(事実かどうか)争いのあるところでは、その発信源について、被疑者が逮捕されて検察側と弁護側の二つしかあり得ない場合は、どちらかを明らかにする姿勢は大事だ」と述べた。」(毎日新聞 2010年1月19日 東京夕刊


 「小沢氏団体不透明会計:「関係者によると」報道表現 平野長官も「公平でない」

 平野博文官房長官は20日の記者会見で、民主党の小沢一郎幹事長の資金管理団体を巡る事件の報道で用いられる「関係者によると」との表現について「すべてとは言わないが、記事の中身によっては公平でないものがあると思う」と述べ、「関係者」の所属をより明確にすべきだとの認識を示した。原口一博総務相も19日、同様の考えを表明している。」(毎日新聞 2010年1月21日 東京朝刊


いずれも、情報源を「関係者によると」とした報道記事について批判をています。その意味は、表面的には「批判の矛先が検察からメディアにも向かった」(毎日新聞 2010年1月22日 東京朝刊「社説」)とも言えますが、その真意は、検察庁による捜査情報漏洩による報道を隠す意図で、わざと「検察関係者」と書かずに、単に「関係者」としているのではないか、検察リークは公務員の守秘義務違反であって、違法行為に基づく虚偽交じりの捜査情報を垂れ流しは社会的偏見・冤罪の温床となると、疑問を呈したものといえます。




1.日本新聞協会は2008年1月16日、「裁判員制度開始にあたっての取材・報道指針」を発表し、「▽捜査段階の供述の報道にあたっては、供述とは、多くの場合、その一部が捜査当局や弁護士等を通じて間接的に伝えられるものであり、情報提供者の立場によって力点の置き方やニュアンスが異なること、時を追って変遷する例があることなどを念頭に、内容のすべてがそのまま真実であるとの印象を読者・視聴者に与えることのないよう記事の書き方等に十分配慮する。」としています。

(1) そこで、報道機関は、情報の出所をできる限り明らかにすることを定め、「毎日新聞は、事件・事故報道の記事スタイルの一部を見直した。『情報の出所』をできる限り明示し『関係者によると』の表現もできるだけ避けることを原則とした。多くの報道機関も同様の見直しをしている。」としています((毎日新聞 2010年1月22日 東京朝刊「社説」)。その点は、東京新聞でも同様です。

◆「情報の出所」を明示する

 事件・事故についての情報は、圧倒的に捜査当局に取材したものが多いが、そこには主観や誤導が入り込む可能性がある。弁護側に取材したものも同様にバイアス(偏り)がかかっている恐れがある。
 特に事実関係に争いがあるケースでは、互いに自らに有利になるよう情報提供することも考えられるが、情報源があいまいなままでは、読者はそうした「前提」を意識して読むことができない。
 今後は、読者に判断材料を提供するため、「○○署によると」「□□容疑者の弁護士によると」といったふうに可能な限り情報源を明示していく。」(【東京新聞の事件報道ガイドライン】本紙ガイドラインの概要 犯人視避け公正に(2009年2月15日)


捜査段階の被疑者も、公判段階の被告人も、いまだ犯罪者と確定されたわけではありません。刑事手続では、「刑事上の罪に問われているすべての者は、法律に基づいて有罪とされるまでは、無罪と推定される権利を有する」(人権B規約14条2項)のです。この「無罪の推定」(憲法31条、刑訴法336条)は、刑事手続のすべての段階において妥当する原則なのです(田口守一『刑事訴訟法(第5版)』(弘文堂、平成21年)20頁)。

このように、刑事手続・刑事事件では、無罪推定の原則が大原則ですが、特に、犯罪の嫌疑を受けている人が否認している場合に犯人視した報道を行うと、捜査及び公判中はもちろん、後に無罪が確定したとしても、市民の間に犯罪者であるとの拭い難い社会的偏見を植えつけてしまいます。ですから、そうした社会的偏見を防止し、社会的偏見に影響された誤判を防止するためにも、(特に、犯罪の嫌疑を受けている人が否認している場合)犯人視した報道は、絶対に止めなければいけません。例えば、「免田事件」の免田栄さんは、1983年に再審無罪となった今でも、犯人視されるという社会的偏見が残っているのです。

ですから、捜査機関側か弁護士側なのかなど、「情報提供者の立場によって力点の置き方やニュアンスが異なる」以上、無罪推定の原則を遵守するためにも、情報の出所を示すこと――最低限、「捜査関係者」か「被疑者側」か「被害者側」か――は必須といえます。



(2) こうして、「関係者」という曖昧な表現を避けると誓いを立てたにも関わらず、小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件の報道については、どの報道も「関係者によると」という表現ばかりです。「捜査関係者」という表現さえも皆無という、明らかに誓いを反故にしてしまっているのです。

「捜査関係者」という表現さえもしないという、明らかに誓いを反故にしているのにも関わらず、報道機関は、「情報の出所を明示することで取材源を守れない恐れがある場合は、『取材源の秘匿』が優先する……それが、国民の『知る権利』に応えるため、適切な方法だ」(毎日新聞 2010年1月21日 東京朝刊)、とか、「最終的にどう報じるかは、あくまで各報道機関が独自に決めることだ」(朝日新聞平成22年1月22日付(金)「社説」)などと開き直るのです。

しかも、「事件の取材先は、捜査関係者に限らず多岐にわたる(毎日新聞 2010年1月21日 東京朝刊)とも述べ、検察リークを否定することさえしてみせるのです。



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2010/01/20 [Wed] 03:58:47 » E d i t
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件については、東京地検特捜部は、3人の元秘書を逮捕し、幾つかの建設会社に対しても捜索を行っています。例えば、特捜部は「胆沢ダム」の工事に注目しているようで、2004年の工事を受注した大手ゼネコン鹿島の本社や支店を捜索し、1月19日、「胆沢ダム」の工事で下請けに入った中堅ゼネコン「山崎建設」(東京都中央区)や同「宮本組」(兵庫県姫路市)など関係先数カ所の捜索をしています(東京新聞2010年1月19日夕刊)。

しかし、何の目的で次々と強制捜査を行っているのか、報道記事を幾ら読んでも実に不可解です。政治資金規正法違反の容疑で逮捕・捜索をしていますが、「政治資金規正法は原資の記載を要求していない」のですから(「不可解な特捜の強制捜査 郷原信郎氏インタビュー」(ビデオニュース・ドットコム インターネット放送局(2010年01月14日))))、原資を探るような捜査は政治資金規正法違反(虚偽記載)以外の犯罪摘発を目的としたものです(いわゆる「別件逮捕及び別件捜索差押え」であるため捜査としては違法ですが。)。

そうすると、捜査機関は、一体何罪の摘発を目的とした捜査をしているのでしょうか? 捜査活動は、あくまでも起訴し有罪にできる刑罰に関して捜査する権限に限られるのですから、何罪の摘発なのかという法律問題の検討こそが最も肝心といえます。
(1月27日付追記:石川知裕議員の逮捕の容疑となった被疑事実について追記しました。)




1.そこで、「陸山会」の土地購入をめぐる疑惑事件について、<1>政治資金規正法違反以外の犯罪は本当に成立する可能性はあるのか?、<2>元々、政治資金規正法違反での有罪立証自体可能なのか?について、法律的な検討を加えている3人の元検察官の見解を紹介したいと思います。


(1) 夕刊フジ平成22年1月20日付(19日発行)2面

本丸攻略どこまで!?小沢金脈事件、検察捜査の行く末
2010.01.19

民主党を激震させている小沢一郎幹事長の「金脈」事件。元秘書ら側近3人が逮捕されたが、果たして検察はどこまで捜査を進めるのか。狙いや今後の見通しなど、識者4人に聞いた。

■元最高検検事・土本武司氏 「本人逮捕・起訴ない」

 「政治資金規正法違反はあくまで形式犯で、小沢氏本人の逮捕・起訴は考えられない。秘書らの逮捕容疑に本人の意向が働いていたことは容易に想像できるが、具体的な虚偽記載や不記載まで指示したとは考えにくく、あくまで小沢氏の意志を彼らが忖度(そんたく)した結果に過ぎない。土地購入資金の一部の出処がゼネコンだったとしても、当時野党幹部だった小沢氏が、贈賄を受けるに値する立場だったことを立証する手間は膨大。一政治家としての影響力というだけでは、現職政治家、しかも与党幹事長に対する収賄罪の適用根拠としては弱いといわざるを得ない」」



(2) 毎日新聞平成22年1月19日付東京夕刊2面

特集ワイド:小沢氏団体の虚偽記載事件を読む

 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件は、元秘書の石川知裕衆院議員らが政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕され、小沢氏は「断固として検察と戦う」と宣言した。政権党の幹事長と検察当局の対決が鮮明になった異様な事態を、識者たちはどう見るのか。

 ◇検察主義の国会議員逮捕--元東京地検検事・郷原信郎さん

 小沢一郎・民主党幹事長が16日の党大会で行った説明だけでは、疑惑が晴れたとは言い難い。小沢氏は、購入資金は土地購入の約6年前に信託銀行から引き出して自宅に保管していた父親の遺産と説明したが、遺産相続のこと、相続後の経過、現金化した目的など、もっと詳しく説明しなければ、国民が納得できるとは言えない。

 一方で、現職の国会議員を国会召集の3日前に逮捕した検察にも大きな問題がある。小沢氏側が土地を購入した4億円の出所に問題があるとの報道があるが、政治資金収支報告書に記載されなかった金は、どこから提供されたものなのか検察は特定していないとみられる。国会議員を国会開会中に逮捕する時はふつう容疑内容を明らかにするが、それすら特定しないのでは開会後の逮捕許諾請求は困難だったと思われる。

 政治家は日常的に、資金団体との間で経費の立て替えなどをしている。どこまで忠実に収支報告書に記載するかで収入・支出の総額はいかようにも変わる。それを虚偽記入だとして国会議員を逮捕できるなら、検察はどんな政治家も逮捕できることになる。検察が国会以上の強大な政治的権力を持つことになり、民主主義の崩壊を招きかねない。

 そもそも職務権限や時効の問題があって、収賄、談合、脱税など政治資金規正法以外での立件は考えにくい。水谷建設が国発注のダムの工事受注の謝礼として5000万円を小沢氏側に渡したと元幹部らが説明していると報道されており、今後の捜査の最大のポイントになっているようだ。だが、その元幹部の贈賄供述で立件された佐藤栄佐久前福島県知事の汚職事件の控訴審判決で「わいろ額はゼロ」とする無罪に近い判断が示されている。また元幹部が実刑判決を受けて受刑中であること、仮釈放ほしさに検察に迎合する動機も十分にあり、核心の供述として扱うのは危険だ。【聞き手・中山裕司】

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 ◇「特集ワイド」へご意見、ご感想を
t.yukan@mainichi.co.jp

ファクス03・3212・0279

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 ■人物略歴

 ◇ごうはら・のぶお


 1955年生まれ。東大理学部卒。名城大教授。元東京地検特捜部検事。昨年、民主党が設置した「政治資金問題第三者委員会」で委員を務めた。

毎日新聞 2010年1月19日 東京夕刊」



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2010/01/18 [Mon] 03:09:40 » E d i t
民主党の小沢一郎幹事長は平成22年1月16日午後、東京・日比谷公会堂で開かれた党大会で挨拶し、自らの資金管理団体をめぐる政治資金規正法違反事件で東京地検特捜部が強制捜査したことについて、「党大会に合わせたかのような逮捕は到底容認できない。これがまかり通るならば、日本の民主主義は暗たんたるものになってしまう。私は到底、このようなやり方を容認することはできない。断固として戦っていく決意だ」と語り、検察当局を厳しく批判しています。

鳩山由紀夫首相も小沢氏に「戦ってください」と伝え、支持する考えを表明しています。首相のこうした発言によって、昨年3月の西松建設の違法献金事件に端を発する一連の問題は、元々小沢氏と検察の対立から、鳩山政権全体と検察庁の全面戦争、言い換えると、国の政策決定は政治主導か官僚主導に戻すのか、民主主義の維持か特高警察の復活か、を巡る権力闘争に発展したことが明確になりました。



1.1月16日に行われた民主党大会での小沢一郎・民主党幹事長の挨拶を。

(1) asahi.com:政治(2010年1月16日18時42分)(要旨は、1月17日付朝刊3面に)

小沢氏「民主主義を憂慮」 民主党大会あいさつ全文
2010年1月16日18時42分

 民主党の小沢一郎幹事長が16日、党大会で行ったあいさつの全文は以下の通り。


 【冒頭あいさつ】

 お互いに新しい年をつつがなくむかえることができたことをお喜び申し上げます。本日は党務報告を申し上げる予定でしたが、みなさまご存じのような事態になりましたので、今までは捜査中ということも考慮いたしまして私も、ものを言わずにできるだけ静かにしておったわけでございますが、現職の国会議員が逮捕されるという事態まで立ち至りましたので、私はこの機会にみなさま、そして国民のみなさまに、今までの経緯と、そして私の考え方と今後の決意について申し上げたい。そのことは党大会にふさわしいことではございませんが、皆さまお許しをいただきたい。(拍手)

 【検察捜査批判】

 この私の政治団体に関係する問題は、昨年の春、総選挙の前に起こりました。私の秘書の大久保がある日突然、呼び出しを受け、そしてその場で逮捕、強制捜査ということになりました。それ以来、今日までずっと捜査が続いておったようでございますが、昨日、今日、石川(知裕・衆院)議員と同時に、私の事務所にいた者も逮捕されるということになりました。私どもの事務所、もちろん収支報告におきまして、計算の間違いや、あるいは記載の間違いやら、それはあったかと思います。しかしながら、このような形式的なミスにつきましては、今までのほとんどのケースで、報告の修正、あるいは訂正ということで許されてきたものであります。それにもかかわらず、今回の場合はなぜか、最初から逮捕、強制捜査という経過をたどって本日に至りました。私は、この点につきまして、何としても納得のできない気持ちでおります。

 【土地購入の原資】

 そしてさらには、最近の報道で、土地の購入にあたりまして、私どもが不正な資金を入手して、その購入に充てた、というような報道がなされていると聞いております。私どもは、この資金について、何ら不正なお金を使っておるわけではありません。そのことについて、実は、今月の初めごろだったでしょうか、検察当局から、私のほうに弁護士を介して、「このお金はどういうものですか」という問い合わせがありました。私は別に隠し立てするお金ではありませんでしたので、はっきりと、これは私どもが積み立ててきた個人の資金でございまして、金融機関の名前、支店名もはっきりと申し上げて、どうぞ検察当局でお調べくださいと返事をいたしておったのでございます。

 そしてその翌日、翌々日だったかとおもいますけれども、検察当局からその預金口座の書類は入手した、と。そういう返答が弁護士を通じてありました。したがいまして私は、ああ、これで、この資金についての疑いは晴れたと、そのように考えて、安心して、良かったなと思っていたところでございます。

【民主主義を憂慮】

 それがまた突然、昨日、今日、現職議員を含む3人の逮捕ということになりまして、ほんっとうに、私は本当に驚いております。しかも、意図していたかどうかは分かりませんけれども、我が党の、この党大会の日に合わせたかのように、このような逮捕が行われている。私は、とうてい、このようなやり方を容認することはできませんし、これがまかり通るならば、日本の民主主義は本当に暗澹(あんたん)たるものに、将来はなってしまう。わたくしは、このことを個人のうんぬんよりも、非常に憂慮いたしております。

 【闘う決意】

 そういう意味におきまして、わたくしは、断固として、このようなやり方、このようなあり方について、毅然(きぜん)として、(※力を込めて)自らの信念を通し、そして闘っていく決意でございます。(拍手)

 お昼前に、鳩山総理ともお話をいたしました。そして、ただいまは、総理から、たいへん力強い言葉をいただきました。私はこの総理のお気持ちを自らの支えとして、今後とも与えられた職責を全力で果たしていくと同時に、当面、こういう権力の行使の仕方について、全面的にきちんと対決して参りたいと、そのように考えているものでございます。(拍手)

 【幹事長職代行の提案】

 ただ、当面は、このことにつきまして私も、力をいれ時間を割かないといけないことが多くなるかと思いますので、当面の間は、表向きの仕事につきましては、輿石幹事長職務代行にお願いする機会が多くなることと思いますけれども、それはみなさまのご了解を賜りたいと思います。

 【参院選への決意】

 いずれにしましても、本当に、国民のみなさんの力で、ようやく日本に議会制民主主義が定着している、この矢先でございます。私は、本当に40年の、この政治生活のなかで、日本に議会制民主主義や、政権交代可能な、本当の民主主義が定着すること。それのみを願って本日まで頑張ってまいりました。ことしは、さきほどからも話がありますように、参院選も予定されております。これに勝利することが、我が党の、鳩山政権の基盤を盤石にすると同時に、日本の議会制民主主義を定着させることになると信じております。

 どうか、みなさん、当面私、その闘いに力を注意で参りたいと思いますが、いずれにしましても、あすの参院の通常選挙、お互いに、力を合わせて、本当に、日本の国民の生活が第一の政治を、そして、議会選民主主義の確立のために、みんなで力を合わせて頑張ろうではありませんか。どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました。(拍手)」



(2) 小沢一郎・民主党幹事長が述べるように、小沢氏の元秘書で民主党議員である石川氏は1月15日夜に逮捕されたのですから、「(民主党の)党大会の日に合わせたかのように、このような逮捕が行われ」たのです。

政党は、現代議会政治において、民意を議会に媒介し、議会内での政策論争を行い、内閣の形成のプロセスに参加するなど、重要な役割を果たすものです(戸波江二「憲法(新版)」355頁)。ですから、こうした憲法上、重要な役割をもつ公的性格を有する政党の大会は、公的色彩のある大会であって、そうした重要な大会を潰すような逮捕は、到底「容認することはできません」し、「これがまかり通るならば、日本の民主主義は本当に暗澹(あんたん)たるものに、将来はなってしまう」といえます。

ですから、議会制民主主義の定着を願ってきた小沢一郎・民主党幹事長にとっては、「断固として、このようなやり方、このようなあり方について、毅然(きぜん)として、(※力を込めて)自らの信念を通し、そして闘っていく」と演説するのは当然といえるでしょう。ことは、国の政策決定は政治主導か官僚主導に戻すのか問題だけでなく、議会制民主主義の行方が検察庁により左右されるという、いわば特高警察の復活を認めるのか否かという権力闘争に発展したことが明確になったのです。

検察庁は、こうした不退転の決意をもって戦うことを表明した小沢一郎・民主党幹事長と全面対決することになりました。小沢一郎氏は民主党幹事長であるがゆえに、検察庁は民主党全体に対して敵対する姿勢を示したことになりますが、検察庁は民主党全体と全面戦争をすることを覚悟しての強制捜査だったのでしょうか? 


 
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2010/01/17 [Sun] 23:58:53 » E d i t
小沢一郎・民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」が2004年に取得した土地の購入原資4億円が政治資金収支報告書に記載されていない事件で、東京地検特捜部は平成22年1月15日夜、いずれも小沢氏の元秘書で同会の事務担当者だった、衆院議員の石川知裕(ともひろ)さん(36)=同党、北海道11区=と池田光智さん(32)を、政治資金規正法違反(虚偽記載)容疑で逮捕しました(朝日新聞平成22年1月16日付朝刊)。

会計責任者だった公設第1秘書・大久保隆規(たかのり)さん(48)=公判中=についても同容疑で逮捕状を取っており、16日午前、政治資金規正法違反容疑で大久保容疑者を逮捕しました。

東京地検特捜部は平成22年1月13日、政治資金規正法違反容疑で、東京都港区の陸山会事務所や元赤坂の小沢氏の個人事務所、同会の事務担当だった民主党の石川知裕衆院議員(36)=北海道11区=の議員事務所、大手ゼネコン鹿島の本社など約十カ所を一斉に家宅捜索していました(東京新聞2010年1月14日朝刊)。そうした強制処分だけでなく、身柄を拘束した上での供述を得ようとしたわけです。言い換えれば、任意提出や捜索差押えよる客観的証拠での立証を半ば諦め、任意性が保障された任意での事情聴取を止めて、身柄の拘束下での自白の強要という手段に踏み切ったのです。



1.平成22年1月15日夜での民主党・衆院議員の逮捕という事態は、1月16日民主党大会が開会される直前という時期にぶつけたものであるばかりか、1月18日から通常国会が開会される直前という、議会制民主主義にとって極めて重要な時期に国会議員を逮捕したということで、極めて異常な捜査といえます。国会会期中の国会議員逮捕には、憲法50条により不逮捕特権が保障されているため、国会に逮捕許諾請求を提出して議決を得る必要があることから、その不逮捕特権を没却するやり口だからです。

そこで、まず、憲法50条の不逮捕特権と関連する規定について触れておきます。

日本国憲法

第50条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。」


国会法

第33条 各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。

第34条 各議院の議員の逮捕につきその院の許諾を求めるには、内閣は、所轄裁判所又は裁判官が令状を発する前に内閣へ提出した要求書の受理後速かに、その要求書の写を添えて、これを求めなければならない。

第34条の2 内閣は、会期前に逮捕された議員があるときは、会期の始めに、その議員の属する議院の議長に、令状の写を添えてその氏名を通知しなければならない。
 2 内閣は、会期前に逮捕された議員について、会期中に勾留期間の延長の裁判があつたときは、その議員の属する議院の議長にその旨を通知しなければならない。

第34条の3 議員が、会期前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員20人以上の連名で、その理由を附した要求書をその院の議長に提出しなければならない。」



(1) 東京新聞平成22年1月16日付朝刊

◆現職議員7年ぶり 不測の事態恐れ一気

 東京地検特捜部が現職国会議員を逮捕したのは、二〇〇三年三月に政治資金規正法違反容疑で、坂井隆憲元衆院議員=有罪確定=を逮捕して以来、約七年ぶり。

 特捜部が、石川知裕容疑者の逮捕に踏み切ったのは、十四日に任意聴取した際、精神的に不安定な様子を見せていたことなどが理由の一つとみられる。過去の特捜部による捜査の過程で、関係者が自殺に追い込まれるケースが相次いだことも背景にありそうだ。

 特捜部による捜査の過程では、一九九八年二月、新井将敬衆院議員(自民)が東京都港区のホテルで自殺。新井氏は株取引をめぐり、日興証券(当時)から巨額の利益供与を受けた疑いが浮上、逮捕許諾請求が国会で議決される直前だった。

 緑資源機構の談合事件の捜査が続いていた〇七年五月には、同機構の発注業務で影響力を持っていたとされた松岡利勝農相(自民)が、港区の議員宿舎内で自殺した。

<国会議員の逮捕> 現職の国会議員は憲法50条の規定で、国会の会期中は現行犯を除いて、逮捕されない特権を持つ。会期中は捜査当局が国会に逮捕許諾請求し、犯罪にかかわった疑いがある議員が所属する議院が、逮捕許諾決議案を可決した場合は逮捕できる。今回の石川知裕衆院議員のように国会の会期前に逮捕された場合でも、石川議員が所属する衆議院が釈放の決議をすれば、捜査当局は会期中に石川議員を釈放しなければならない。」



(2) 日経新聞平成22年1月16日付朝刊38面

会期中なら不逮捕特権 議院要求あれば釈放も

 国民から選ばれた国会議員に対する不当な干渉を防ぐため、憲法50条は国会会期中の不逮捕特権を規定、その身分を保障する。所属する議院が逮捕許諾請求を認めた場合などを除き逮捕されないだけでなく、石川議員のように、会期前に逮捕された場合は所属する衆参いずれかの議院の要求があれば、会期中は釈放しなければならないと定めている。

 釈放要求は、国会法に基づき、所属する議院(石川議員の場合は衆院)の議員20人以上の連名で理由を示した要求書を議長に提出し、議決することが必要。また同法は、会期前に逮捕された議員がいる場合、内閣が議長に通知することを義務付けている。」



 イ 「全国民の代表」である国会議員は、国会での自由な活動を保障するため、不逮捕特権(憲法50条)が保障されています。この不逮捕特権の目的は、行政権による不当逮捕から議員の身体の自由を守り、議員活動への妨害を排除し、議院の審議権を確保する点にあります(戸波江二「憲法(新版)」374頁以下)。

行政権による不当逮捕はいかなる名目を使ってでも逮捕勾留を行ってきたのが歴史的事実ですから、国会法は、具体的な犯罪の中身を定めることはせずに、きわめてシンプルに「院外における現行犯罪」に限定しており、それ以外の場合はすべて「院の許諾」に委ねることとしています(国会法33条)。

この不逮捕特権を潜脱するために、(逮捕許諾請求を必要としない)会期直前に逮捕することもありうるため、会期前逮捕に対する釈放要求権も認められています(憲法50条後段、国会法34条の3)。ですから、議院による釈放請求は、会期中での不逮捕特権の保障の趣旨を徹底する意味をもつわけです。


 ロ 今回の事件のように会期直前の逮捕は、不逮捕特権を潜脱するものです。ですから、所属する議院(石川議員の場合は衆議院)の議員20人以上の連名で理由を示した要求書を議長に提出し、衆議院は釈放の決議を行うことにより、会期中に石川議員を釈放させるというのが本来のあり方といえます。

本来、不逮捕特権が予定していた事態は、政府の意向を受けた捜査機関が不当逮捕を行う場合なのですが、今回の事件は、政府の意向に反するばかりか、長期間にわたり執拗に民主党政権を捜査し続け、挙句の果てに与党幹事長の元秘書を3人も逮捕するという、現在の政府が転覆しかねない捜査であって、極めて異常な事例です。

不逮捕特権が予定していた事態とは異なりますが、経済・雇用政策、社会保障に専念しなければならない通常国会を混乱させ、議院の審議が大きく阻害されるという点で不逮捕特権を行使すべき場合と共通する以上、議会制民主主義の維持を図ることを表明するため、衆議院は釈放の議決をするべきです。



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2010/01/15 [Fri] 03:04:22 » E d i t
性同一性障害で女性から男性に戸籍上の性別を変えた夫が、第三者の精子を使って妻との間に人工授精でもうけた子を法務省が「嫡出子」と認めなかった問題をめぐり、千葉景子法相が1月12日の閣議後会見で、「これ(性同一性障害のケース)だけダメというのは、差別というか無理がある」として、「早急に改善に取り組みたい」と述べ、法務省の見解を見直す方針を表明しました。これにより、「嫡出子」として認める方向で検討されることになったのです。

この性同一性障害者の親子関係を巡る問題について、最も詳しい記事を掲載している朝日新聞が、1月14日付社説として掲載していましたので、紹介したいと思います。



1.朝日新聞平成22年1月14日付(木)「社説」

性同一性障害―千葉法相の妥当な判断

 結婚している男女が、第三者の精子を使って人工授精で子をもうけたら一般的には嫡出子だが、性同一性障害のため性を変えた夫と妻の場合は非嫡出子とする。こうした法務省の認定に、兵庫県宍粟(しそう)市に住む夫と妻は納得がいかなかった。

 夫妻の強い思いを知った千葉景子法相は、現行の扱いを改善し、そうした子を夫妻の嫡出子として認める方向で検討することを表明した。

 法相の判断を高く評価したい。

 心と体の性が一致しない性同一性障害の人たちが、望む性別を社会的に選べるようにと2004年、性同一性障害特例法が施行された。

 夫は手術を受け、特例法に基づいて戸籍上も男性となった。妻と法律上の婚姻関係を結んだ。

 だが、第三者から精子提供を受けて妻が人工授精で産んだ子を、嫡出子として届けようとして待ったがかかった。夫がもとは女性なので、「遺伝的に父子関係がないのは明らか」として法務省が認めなかった。同様の例が特例法施行以来、5件あるという。

 法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子を嫡出子と呼ぶ。その例外とされたわけだ。

 第三者の精子を使い人工授精で子をもうける夫妻は年100件以上。無精子症など夫側が原因の不妊症の治療として日本では60年前から行われ、1万人以上の子が生まれたという。

 夫婦の間にできたこれらの子は通常、嫡出子として出生届が受け付けられている。

 特例法は、性を変更した後は新たな性別で民法の適用を受けるとしている。親子関係について差別を受けるのは不合理だ。法相もそう判断したのだろう。

 障壁を乗り越えて心と社会的性別を一致させ、結婚した夫と妻が子どもを持ちたいと思うのは自然だ。性同一性障害で戸籍上の性を変えた男女は1400人以上いる。

 同じ障害に悩む人はさらに多い。これからも宍粟市の事例のような夫婦は増えるだろう。

 千葉法相が示した見直しの実現には運用の変更、法改正などいくつか方策があろう。早急に詰め、他の5例についても調査し、救済してほしい。

 法務省が性同一性障害の夫を別扱いしようとしたのは、民法が子どもは生来の男女の自然生殖で生まれるものだという前提に立っているからだ。だが現実には、民法が制定された明治には想定されなかったような状況で生まれる子が増えている。

 医療の進歩によって、これまで子どもを持てなかったようなカップルが子どもを持てる時代になった。それによりそった法律の考え方がもっと論じられていい。」



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2010/01/14 [Thu] 02:01:27 » E d i t
性同一性障害により女性から男性に戸籍上の性別を変えた夫が、妻との間で第三者からの精子提供による人工授精でもうけた子の法的な地位について、法務省(の役人)は「嫡出子と認めない」とする見解を示していました(「性別変えた夫の子、妻出産でも婚外子扱い(法務省見解)~性同一性障害者に対する不当な差別(憲法14条違反)ではないのか?」(2010/01/12 [Tue] 01:40:56)参照)。

要するに、法務省の見解は、「同じ人工授精で生まれ、同様に遺伝的な父子関係がない子であっても、父親が生来の男性の場合と性別変更で男性になった場合とを分けて対応する立場を明らかにしたもの」でした(朝日新聞)。

ところが、その法務省の見解が一転して見直されることになりました。千葉景子法相が1月12日の閣議後会見で、「これ(性同一性障害のケース)だけダメというのは、差別というか無理がある」と述べて、法務省の見解を見直す方針を表明したためです。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年1月13日付朝刊1面(14版)

性同一性障害夫婦の「非嫡出子」 法相、認定見直す方針
2010年1月12日17時44分

 性同一性障害で女性から男性に戸籍上の性別を変えた夫が、第三者の精子を使って妻との間に人工授精でもうけた子を法務省が「嫡出子」と認めなかった問題をめぐり、千葉景子法相は12日の閣議後会見で、「早急に改善に取り組みたい」と述べ、現行の取り扱いを見直す方針を表明した。「嫡出子」として認める方向で検討を進める。

 性同一性障害者が自ら望む性別を選べるようにした特例法が2004年に施行され、こうした事例が起きるようになった。法務省は全国で6件把握しているが、「生物学的な父子関係がないのは明らか」として、嫡出子と認めない見解を示してきた。

 しかし、千葉法相は「これ(性同一性障害のケース)だけダメというのは、差別というか無理がある」と述べ、「法の下の平等に反する」という見解を表明。6例についても経緯を改めて確認する意向を示した。ただ、見直しのあり方には、「運用でできるか、解釈で可能か、(民法改正など)法的措置が必要なのかも含めて検討しないといけない」と話した。

 この問題をめぐっては、兵庫県宍粟市の自営業者が戸籍を女から男に変更後、女性と結婚。実弟から精子の提供を受け、昨年11月、妻が体内受精で男児を出産した。市役所に嫡出子として出生届を出そうとしたが、市は性別変更を理由に受理を保留。法務省の判断を受け、「非嫡出子」として届け出るよう通知していた。(延与光貞)」



(2) 東京新聞平成22年1月13日付朝刊24面

性別変更者の子 非嫡出扱い救済 法相が検討指示
2010年1月12日 19時27分

 性同一性障害で戸籍の性別を女性から変えた兵庫県の男性(27)が、弟の精子の提供を受け非配偶者間人工授精(AID)で妻(28)との間に生まれた子どもを「非嫡出子(婚外子)」とされた問題で、千葉景子法相は12日、救済策の検討を省内に指示したことを明らかにした。

 生来の男性と女性の夫婦間にAIDで生まれた子どもの場合は、生物学的な父子関係がなくても、その事実が分からないため、夫の子どもと推定され、「嫡出子」として出生届を受理されているのが実態。

 この日の閣議後の記者会見で千葉法相は「(生物学的な父子関係がなくても)認めているケースがあるのに、片方だけ駄目とするのは、差別というか無理がある。改善すべき点がある」と表明。その上で「法整備が必要なのか運用で可能なのか、できるだけ早く議論を進めたい」と語った。(共同)」



千葉景子法相の記者会見のポイントとして、2点挙げることができます。(なお、省庁の見解に反する方向であっても、すぐに対応ができるのは民主党だからであり、今回の法相の対応は政権交代の恩恵であるといえます。)

 イ 1点目としては、「同じ非配偶者間人工授精(AID)で生まれ、同様に遺伝的な父子関係がない子であっても、父親が生来の男性の場合は嫡出親子関係を認めるが、性別変更で男性になった場合は認めないという両者を分けて対応する立場」(法務省の見解)は、憲法14条の「法の下の平等に反する」という趣旨の見解を表明したことです。

人工授精

 無精子症、乏精子症など不妊の原因が男性側にある場合の治療法である。精子を直接女性の子宮に送り込んで妊娠をさせる。夫の精子による配偶者間人工授精(Artificial Insemination by Husband、AIH)と、第三者の精子による非配偶者間人工授精(Artificial Insemination by Donor、AID)とがある。非配偶者間の人工授精では、父親と子どもの間には遺伝的な関係がないから、その倫理性が問題となる。日本では、1949年に慶應義塾大学病院ではじめて実施され、ここだけがその実施を公表してきたが、最近までの約50年間にほぼ1万人が誕生している。日本産婦人科学会は、1996年に会告をだして公認している。」(金城清子『ジェンダーの法律学(第2版)』(有斐閣、2007年)141頁)


この説明から分かるように、人工授精、特に非配偶者間の人工授精は、男性側に生殖能力が欠如している場合、夫婦間の自然生殖では妊娠に至らない場合に行われるわけです。

法務省は、性同一性障害により女性から男性に戸籍を変更した夫の場合は、「生物学上は同性同士で、子をもうけることは不可能」「民法は夫婦間の自然生殖を前提にしている」とした理由で、言い換えれば、男性側に生殖能力がないという理由で、嫡出親子関係を認めませんでした。

しかし、非配偶者間の人工授精を行うケースは、父親が生来の男性の場合であろうとも、性別変更で男性になった場合であろうとも、いずれも男性側に生殖能力が欠如している場合であることには変わりがないのです。それなのに、両者の場合に子供の地位ついて法的扱いを変えるのは、合理的な理由に欠けています。

父親が生来の男性の場合は、非配偶者間人工授精(AID)が夫の同意を得てなされた場合は、母とその夫の嫡出子と推定される(民法772条の推定が及ぶ嫡出子)のであって、しかも、同意した夫の否認権(=自分の子供ではないという主張)を排除する考えが一般的なのです(高橋朋子=床谷文雄=棚村政行『民法7 親族・相続(第2版)』(有斐閣、2007年)139頁、手嶋豊『医事法入門(第2版)』(有斐閣、2008年)。そして、裁判例もこうした学説と同様の立場を採っているのです(裁判例として東京高決平10・9・16家月51巻3号165頁・判例タイムズ1014号245頁)。ですから、性別変更で男性になった場合での非配偶者間人工授精(AID)をなしたケースも、父親が生来の男性の場合と同じ法的取り扱いをするべきです。

千葉景子法相が、憲法14条の「法の下の平等に反する」という趣旨の見解を表明したことは、妥当なものといえます。


 ロ 2点目としては、嫡出子として扱うとしても、その見直しのあり方には、「運用でできるか、解釈で可能か、(民法改正など)法的措置が必要なのか」についても検討するとしたことです。

この点については、当事者である、全国の性同一性障害者で構成する団体の意見を尊重するべきです。今回のケースが大きく報道されたことから、意見表明を行っています。そこで、その記事を引用しておきます。



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2010/01/12 [Tue] 01:40:56 » E d i t
心と体の性が一致しない性同一性障害により女性から男性に戸籍を変更した夫が、第三者から精子提供を受け妻との間に人工授精でもうけた子について、法務省が「嫡出子として認めない」とする見解を示していたことが明らかになりました。「嫡出子として認めない」のは、夫が元女性で生物学的に父子関係が成り立たないとの理由です。

法務省によると、元女性の夫が、妻との間に人工授精で子をもうけた事例は全国で少なくとも6件あるとのことですが、非嫡出子として扱うよう指示したため、「兵庫県宍粟市において、女性から性別を変更した自営業の夫(27)が実弟の精子を妻に提供してもらい、妻は人工授精で昨年11月に出産した」事例につき、嫡出子届は不受理となるわけです。法務省の見解に沿った場合、性別変更した父親が子との間で嫡出子と同等の法的効力のある親子関係を結ぶには、養子縁組を行う必要があります。

夫が生まれつき男性の場合、正式な婚姻関係があれば、同じ人工授精でも嫡出子として認められていることから、性同一性障害者に対する不当な差別(憲法14条の平等原則違反)であるとして、問題視する声が出ています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年1月10日付朝刊1面(14版)

性別変え夫に、人工授精で妻出産  国、嫡出子と認めず
2010年1月10日3時1分
  
 心と体の性別が一致しない性同一性障害との診断を受け、女性から男性に戸籍上の性別を変更した夫が、第三者の精子を使って妻との間に人工授精でもうけた子を、法務省は「嫡出子(ちゃくしゅつし)とは認めない」との見解を示した。全国で6件の出産例を把握、非嫡出子(婚外子)として届けるよう指示した。だが、同じ人工授精でも夫が生来の男性の場合は嫡出子として受理しており、「法の下の平等に反する」との指摘が出ている。(上原賢子)

 性同一性障害者が自ら望む性別を選べるよう、2004年に施行された特例法に基づき、兵庫県宍粟(しそう)市在住の自営業Aさん(27)が戸籍を「女」から「男」に変更したのは08年3月。翌月、妻(28)と結婚した。男性としての生殖能力はないため実弟から精子提供を受け、妻が体内受精で昨年11月に男児を出産した。

 市役所に「嫡出子」として出生届を出そうとしたところ、宍粟市はAさんの性別変更を理由に受理を保留。法務省の判断を受け、今月12日までに「非嫡出子」と書き改めて届け出るよう、昨年末にAさんに通知した。嫡出子は、法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子。非嫡出子となれば、戸籍に父親の名は記載されない。

 嫡出子と認めない理由について、法務省は朝日新聞の取材に「特例法は生物学的な性まで変更するものではなく、生物学的な親子関係の形成まで想定していない」と文書で回答。出生届を出す窓口で、戸籍から元は女性だったとわかるため、「遺伝的な父子関係がないのは明らか」(民事1課)と説明している。

 他人の精子を使う非配偶者間人工授精(AID)は、性同一性障害者に限らず夫の生殖能力に問題がある場合の不妊治療として戦後広く行われてきた。1万人以上の子が生まれたとされ、遺伝的な父子関係がないにもかかわらず、一般的には嫡出子として受理されている。「窓口ではAIDの子かどうか、わからないため」(宍粟市)だ。

 法務省の見解は、同じ人工授精で生まれ、同様に遺伝的な父子関係がない子であっても、父親が生来の男性の場合と性別変更で男性になった場合とを分けて対応する立場を明らかにしたものだ。

 ただ、民法には夫が生物学的な男性であるべきだとの規定はない。特例法は性別変更後は新たな性別で民法の適用を受ける(4条)と規定している。Aさんは「男として結婚は認めたのに、父親としては認めないのはおかしい」と反発。市の求めには応じず、市が非嫡出子として手続きを進めた場合は、神戸家裁に不服申し立てをする。

■性同一性障害を差別

 性同一性障害学会理事長の大島俊之・九州国際大大学院法学研究科長(民法)は「生まれた子と遺伝的な父子関係がない点では、Aさんも、人工授精によって子をもうけたほかの多くの夫も同じ。過去に女だったという事実をもとに嫡出子と認めないのは道理が通らない。性同一性障害者への差別だ」と話している。」

(*「過去に女だったという事実をもとに嫡出子と認めないのは道理が通らない。」との一文は、13版にはあるが14版にはないので追加した。)



「【嫡出子】 法律上の婚姻関係にある男女を父母として生まれた子。戸籍には夫婦の子として記載される。法律上の婚姻関係にない男女から生まれた子が非嫡出子(婚外子)で、原則として母親の戸籍に入り、父親の名は記載されない。将来、法定相続分が嫡出子の半分となるなど不利益を被る可能性がある。」



(2) 朝日新聞平成22年1月10日付朝刊34面(14版)

父親になれない「なぜ」 嫡出子と認めず 夫婦の決断 国の壁

 「父親」になれた喜びに胸を躍らせていた。性同一性障害を乗り越え、新たに男性となったAさん=兵庫県宍粟市=にとって、人工授精は妻とも十分に話し合った末の結論だった。だが、生まれた子は法務省に嫡出子としての届けを拒まれた。「父親になれないのはなぜ?」と悔しさを募らせている。(上原賢子)

 Aさんが女性だったことは戸籍を見ればわかる。昨年11月、市役所で出生届を出す際に押し問答になったのはそのためだ。嫡出子は法律上の婚姻関係にある夫婦から生まれた子、それ以外が非嫡出子――。「それなら僕らは結婚しているから嫡出子や」と詰め寄ったが、かなわなかった。

 非嫡出子では国に父親と認められないことになる。嫡出子にこだわるのは、長く性同一性障害に苦しんだ末に手に入れた「男であること」も否定されたと感じるからだ。

 2004年に性同一性障害との診断を受けた。妻とはその2年後、パーティーで知り合った。自分を男と思い込んでいた妻に「元は女性やった」と打ち明け、交際を申し込むまで1年かかった。妻は驚いたが、誠実な人柄にひかれた。

 2年前に結婚。「子どもがほしい」と言い出したのはAさんだ。男性ホルモンの投与や肝機能障害や心血管疾患のリスクを高めるとも聞いた。「将来、僕が先に死んで妻が一人になっても、支えてくれる子を残しておきたい」。実弟に精子を提供してもらおう、と妻に相談した。妻は半年以上迷った。「夫に残りの人生、生きていてよかったと感じてほしい」と心を決めた。

 11月4日午後、体重2310グラムの元気な男の子が誕生。寝顔をみて「おれの息子だ」と確信した。

 いつか性同一性障害のことを話してきかせるつもりだ。「血のつながりでは親子ではないけれど、父親はおれなんだよ」と伝えたい。 

■《解説》 法整備、現実に追いつかず

 性同一性障害を抱える人が自ら望む性別で社会生活が送れるよう、制度化したのが特例法だった。昨年3月までに戸籍上の性別を変更した男女は1468人。性同一性障害者はこの何倍もいるとみられる。だが今回、法務省が示した見解は、法に基づいて性別変更した人をなお「別扱い」にするもので、今後各地で争われる可能性が高い。

 民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(772条)と規定。法的に結婚した夫婦の間に生まれた子を嫡出子と定義している。夫以外から精子の提供を受ける非配偶者間人工授精(AID)でも、夫の同意があれば嫡出子として扱われてきたのは、そのためだ。

 日本産科婦人科学会の倫理委員会は、特例法により女性から男性に性別変更した人と妻がAIDを受けることについて「ガイドラインに抵触しない」との見方を07年に示した。学会理事長の吉村泰典・慶応大医学部教授も「法律婚であることがAIDの要件。今回のような夫婦に実施するのを否定する理由はない」と明言。ことは法の受け皿の問題であるのは明らかだ。

 早稲田大学の棚村政行教授(家族法)は「民法は夫について生来の男性とは規定しておらず、特例法でも特にルールを設けていないのだから性同一性障害者を別扱いする理由はない」と指摘。

 一方、学習院大学の野村豊弘教授(民法)は「民法は夫婦間の自然生殖を前提としている。今回のケースは、生来の男性が夫である場合の人工授精と違って夫の子ではあり得ないということが客観的に明らかなので、民法772条の嫡出子とみる『推定』は働かず、法務省のように判断するしかない」と話す。

 だが、両氏とも「第三者の精子や卵子を使って生まれた子と親の関係を決める法整備が現実に追いついていないことが今回の問題を招いた一因だ」という点では一致している。まずは特例法で子の法的な位置づけを明確にするなど、法整備を急ぐべきだ。」



 イ 民法は「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する」(772条)と規定しています。

(嫡出の推定)
民法第772条  妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。
2  婚姻の成立の日から二百日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から三百日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。


この民法772条の規定により、法的に結婚した夫婦の間に生まれた子は嫡出子と推定されることになります。その結果、夫以外から精子の提供を受ける非配偶者間人工授精(AID)でも、法的な婚姻関係があれば、(夫の同意があれば)父子関係は実子と扱うのが戸籍及び学説・判例上の運用となっています(高橋朋子=床谷文雄=棚村政行『民法7 親族・相続(第2版)』(有斐閣、2007年)139頁以下)。要するに、遺伝子上のつながりのない子も実子になっているわけです。

性同一性障害により性別を変更した者(元男性、元女性)であっても、民法772条にいう「夫」又は「妻」なのですから、法的に結婚した夫婦の間で生まれた子である以上、非配偶者間人工授精(AID)でも、民法772条により嫡出子として推定するのが基本であるはずなのです。


 ロ ところが、法務省は、この民法772条の基本原則を捻じ曲げる法解釈を行うわけです。その捻じ曲げのポイントは2点あります。

 <1>1点目のポイントは、「生物学的に親子関係がないことが明らか」(民事1課)・「民法は夫婦間の自然生殖を前提としている」(学習院大学の野村豊弘教授)という理屈、言い換えれば「自然の摂理ではありえない」「(性同一性障害者の子どもは)民法の想定外」という理屈を、民法規定に勝手に付け加えたことです。

しかし、「自然の摂理ではありえない」「(性同一性障害者の子どもは)民法の想定外」という点は、生殖補助医療すべてにおいて当てはまるものであって、なぜ、この場合のみ区別するのか根拠がありません。もし生殖補助医療に関する問題はすべて民法の想定外とするならば、すべて立法問題となるはずですが、既に述べたように非配偶者間人工授精(AID)の場合には、依頼夫婦と出生した子との嫡出親子関係を認めていることと、整合性に欠けています(吉田邦彦「死後凍結保存精子による体外受精子の亡父への死後認知請求(法律上の父子関係形成)の可否(最二判18・9・4)」判例評論604号7頁・判例時報2036号(平成21年6月1日号)153頁)参照)。

また、「夫婦間の自然生殖を前提」とか「自然の摂理」云々という理屈は、いわば「性交至高主義」という意味といえます。しかし、「現実には必ずしも崇高な意思に支配されているとは限られない性交に親子関係形成上の線引きを認めるのは何故なのかが、よくわからない」のです(前掲判例評論604号7頁・判例時報2036号(平成21年6月1日号)153頁参照)。

 <2>2点目のポイントは、性同一性障害特例法に基づいて性別変更した人であっても、なお法務省は「別扱い」にするとしたわけです。要するに、性同一性障害特例法上では、性別変更した人を「別扱い」していないのに、法務省は、例えば、戸籍上男性となっていても「女性」扱いするわけで、性同一性障害特例法を変容させた解釈をしたわけです。

しかし、性同一性障害特例法に基づいて性別変更した人は、その特例法に基づいてすでに元の性は失っているのに、「元の性」のまま扱いをすることは、いったい現在と元のどちらの性を有しているというのでしょうか。法務省は、特例法に基づいて性別変更した人を、どちらの性でもない、まるでコウモリ又はキメラ(=ギリシャ神話で、ライオンの頭・ヤギの胴・ヘビの尾をもち口から火を吐く怪獣)扱いしているのと同然であって、不当な扱いであるように思います。当事者たるAさんは「男として結婚は認めたのに、父親としては認めないのはおかしい」(朝日新聞)と反発していますが、当然の反応といえます。

このように、国自ら、性同一性障害者をいつまでも元の性から解放させない扱いをすることは、性同一性障害者にいつまでも元の性に苦しんだ悩みを強制し続け、また、性同一性障害特例法性同一性障害者に対する世間の差別を助長するものであって、妥当性を欠いています。


 ロ 性同一性障害特例法4条は、「性別の取扱いの変更の審判を受けた者は、民法(明治二十九年法律第八十九号)その他の法令の規定の適用については、法律に別段の定めがある場合を除き、その性別につき他の性別に変わったものとみなす」と規定しています。

そうすると、法律で例外規定を設けない限り、変更された性別の者として「みなす」のですから、性別変更後も「別扱い」することは違法であり、また、現在、民法772条の適用を排除する規定がない以上、民法772条の適用を排除する法解釈は不当であるというべきです。

このように、民法772条の基本原則を捻じ曲げる法解釈には、何らの合理性な理由がありません。法務省は、合理的な理由がないのに、同じ人工授精でも夫が生来の男性の場合は嫡出子として受理していることと差別的扱いし、性同一性障害者に対する差別を助長するものであるので、「法の下の平等に反する」(憲法14条)ものとして、違憲的な扱いであるというべきです。



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2010/01/10 [Sun] 23:59:26 » E d i t
医療法人徳洲会は平成21年12月30日、がん患者などから摘出し修復した腎臓を別の患者に移植する「修復腎移植(病気腎移植)」を、臨床研究として初めて実施しました。腎臓摘出については、光畑直喜医師が担当し、所属する呉共済病院(広島県呉市)で実施しています。3年間ストップしていた「修復腎移植(病気腎移植)」が臨床研究という形で再開されることになりました。宇和島徳洲会病院は、平成21年12月31日、記者会見を行っています。

修復腎移植(病気腎移植)をめぐっては、「厚生労働省が今年1月、『(ドナーの)対象疾患に制限を設けない』と全国の都道府県などに通知し、治療の手順やドナーから摘出した腎臓の修復に問題がなければ、腎がん患者をドナーとする臨床研究が可能とする見解を示していた」(産経新聞)ことを受けて、実施したものです。徳洲会は、「5年で5例の症例を目標とし、症例が集まった時点で、先進医療や保険適用の申請を行うとしており、将来的に通常医療を目指す」(中日新聞)としています。
1月11日付追記:「5.最後に」を追記し、まとめを行いました。)



1.まずは、記者会見前の報道記事を幾つか。

(1) 中日新聞平成21年12月31日付朝刊(東京新聞平成21年12月31日付朝刊3面(12版))

宇和島徳洲会、3年ぶりに病気腎移植 臨床研究で再開
2009年12月31日 朝刊

 がん患者などから摘出し修復した腎臓を別の患者に移植する病気腎移植について、愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で30日、臨床研究の1例目の移植手術が行われた。2006年11月に同病院の万波誠医師らが行っていた病気腎移植が問題化してから3年間、ストップしていた病気腎移植が臨床研究という形で再開した。

 ドナー(臓器提供者)は、直径4センチ以下の小さな腎臓がんの50代男性で部分切除など取り得る治療法の説明を受けた上で、腎臓摘出を強く希望。協力病院である呉共済病院(広島県呉市)で摘出手術が行われた。移植を受けた患者は、腎不全に苦しむ40代男性で、臨床研究での移植を希望する登録患者から、血液型や病状などから選ばれた。移植手術は万波医師らが行った。

 病気腎移植は原則禁止とされているが、厚生労働省が今年1月、小さい腎臓がんを修復した腎臓を含め、臨床研究を認める見解を示したことを受け、医療法人徳洲会の倫理委員会が7月、4センチ以下のがんを摘出した腎移植の臨床研究の実施計画書を了承した。

 患者が取り得る治療法の説明を受けた上で、摘出を希望した場合のみ協力を要請する。

 移植手術は、宇和島徳洲会病院と東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で行う。臓器提供はこの2病院と長崎医療センター(長崎県大村市)など7病院が行う。

 ドナーや移植患者から同意を得る時は、複数の第三者の確認を必要とし、各病院に設置した倫理委員会と、外部の専門家を含む「修復腎移植検討委員会」で適切かどうかを検討する。

 徳洲会は、5年で5例の症例を目標とし、症例が集まった時点で、先進医療や保険適用の申請を行うとしており、将来的に通常医療を目指すとしている。」



(2) 産経新聞平成21年12月31日付朝刊(地方・四国)(東京版では20面に掲載)

病腎移植を再開、臨床研究1例目 宇和島徳洲会病院
2009.12.31 09:46

 治療のために摘出した腎臓を修復し、他の腎臓病患者に移植する病腎(修復腎)移植を医療法人「徳洲会」などが30日に臨床研究として再開したことが徳洲会関係者への取材でわかった。手術は万波(まんなみ)誠医師の執刀で、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で実施され、約3年半ぶりの再開となる。

 徳洲会関係者によると、30日に呉共済病院(広島県呉市)で50代の男性患者(ドナー)に対する腎臓摘出手術とがん細胞の切除が実施され、宇和島徳洲会病院へ搬送された摘出腎を万波医師らのチームが修復し、別の重度の腎臓病患者の40代の男性へ移植した。

 ドナーは小径腎がんの患者で、呉共済病院などから病状の説明を受けた本人が腎臓の全摘出に同意し、臨床研究に参加した。移植を受けた男性は徳洲会の移植事務室にレシピエント登録され、確認作業をへた上で、徳洲会の外部委員で構成される移植検討委員会でドナーの適格審査とレシピエントの最終順位決定を実施、報告を受けた宇和島徳洲会病院が手術の実施を承認した。宇和島徳洲会病院が移植を受ける男性に手術のリスク説明などを行った。

 病腎移植をめぐっては厚生労働省が今年1月、「(ドナーの)対象疾患に制限を設けない」と全国の都道府県などに通知し、治療の手順やドナーから摘出した腎臓の修復に問題がなければ、腎がん患者をドナーとする臨床研究が可能とする見解を示していた。

 病腎移植は3~18年にかけ、万波医師らのグループが計42例を実施したが、「医学的妥当性に欠く」として日本移植学会など移植関連5学会は反対を表明している。徳洲会は平成26年7月ごろまでに臨床研究手術を5例実施し、厚労省などに対し手術の保険適用に向けた働きかけを行う。」


 イ 中日・産経新聞だけは、平成21年12月31日付で報道しています。このように中日・産経新聞は、宇和島徳洲会病院が平成21年12月31日に記者会見を行う前に、報道できる内容を取材できているのですから、この2つの報道機関は徳洲会病院側と良好な関係を維持できているようです。


 ロ 「(修復腎移植)移植手術は、宇和島徳洲会病院と東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で行う」とのことです。従来の修復腎移植は、宇和島徳洲会病院といった瀬戸内海近辺の地域に限られていましたが、今後は、「東京西徳洲会病院(東京都昭島市)」でも実施します。そうすると、今後は、関東在住の腎不全患者も移植を受けられる可能性があるといえそうです。



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2010/01/09 [Sat] 23:59:19 » E d i t
藤井裕久財務相(77)は平成22年1月5日、体調不良で通常国会の審議を乗り切れないことを理由に閣僚を辞任する意向を示し、1月5日午前の閣議後、鳩山首相と約15分間協議し、自らの進退について判断を仰いでいました。藤井氏は昨年末から体調を崩して検査入院中でした。

鳩山由紀夫首相は、5日に首相官邸で藤井氏に会った際、慰留していましたが、医師の判断を尊重して1月6日辞任を了承し、後任の財務相には菅副総理が就任することになりました。

鳩山由紀夫首相は1月7日午後、首相官邸で菅直人副総理、仙谷由人行政刷新担当相、川端達夫文部科学相にそれぞれ兼務する閣僚の辞令を交付しました(時事通信:2010/01/07-13:20)。体調不良を理由とした藤井裕久財務相の辞任に伴うもので、菅氏は財務相を、仙谷、川端両氏は菅氏が兼務していた国家戦略担当と科学技術担当をそれぞれ兼ねることになります。


財務相人事・首相発言要旨

 鳩山由紀夫首相が6日、財務相人事に関して記者団に語った内容の要旨は次の通り。
 -菅直人副総理兼国家戦略担当相、仙谷由人行政刷新担当相との会談で藤井裕久財務相の後任問題は。
 きょうの午後、財務相から診断書と辞表が届けられた。健康上の問題はどうしようもないので、辞表を受け取ることにした。菅氏には副総理兼で財務相を、国家戦略(担当相)は仙谷氏に兼務してもらうことにし、快諾をいただいた。(菅氏が兼務していた)科学技術担当は川端達夫文部科学相に、経済財政担当は引き続き菅副総理にお願いした。迅速に結論を出さなければならないと思った。(藤井財務相が)辞めるには認証が必要で、最終的にはあした(7日)だ。
 -藤井財務相からどういう話があったか。
 きのう2度会い、「予算案を、補正予算も含めて作った。国民に大変喜んでいただけるものができたと思う。ただ、大変疲れた。体が言うことを聞かなくなっている」という話だったが、きょう診断書を見せてもらい、公務をこなすのは無理だと書かれていた。きのうは「子ども(予算案)を生んだのだから、しっかり育てていただきたい」と言ったが、「これからも財政に関してはお手伝いするけれども、大臣だけは勘弁してもらいたい」ということだった。
 -菅氏を財務相とした狙いは。
 予算案を決めるに当たって、財務相を側面で支えた第一人者が菅副総理だった。対外的に活動してもらわなければならないこともあり、菅副総理の兼務が最も適当だ。
 -人事に関して、民主党の小沢一郎幹事長に相談したか。
 幹事長には先ほど「こうしたいと思います」と伝えた。それに対して「これは総理の決めることだから結構です」ということだった。私の一存で決めてから、幹事長に伝えた。
 -閣僚の補充は。
 当面、考えてない。(2010/01/06-22:23)」(時事通信(2010/01/06-22:23)



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成22年1月7日付朝刊1面

藤井財務相の辞任了承、後任に菅副総理 鳩山首相発表
2010年1月6日22時30分

 鳩山由紀夫首相は6日夜、体調不良を理由に辞任する意向を示していた藤井裕久財務相(77)の後任に、菅直人副総理兼国家戦略担当相(63)を充てる人事を発表した。菅氏はこれまでの職務のうち副総理と経済財政担当を引き続き兼務する。国家戦略担当は仙谷由人行政刷新相が、科学技術担当は川端達夫文部科学相が、それぞれ兼務する。

 藤井氏の体調不良が理由とはいえ、予算審議が始まる直前の主要閣僚の交代は、国会運営の負担になりそうだ。

 7日に正式に任命する。昨年9月に発足した鳩山政権で閣僚が辞任するのは初めて。首相と閣僚を合わせた人数は18人から17人に減る。

 鳩山氏は6日夜、首相官邸で記者団に「藤井氏から診断書とともに辞職願の届けがあった。健康上の問題はどうしようもない話なので、辞表を受けとらせていただくことにした」と明らかにした。

 菅氏を選んだ理由については「ダメージを最小限にするために、予算案を作っていくにあたって一番近くで見てこられた方を後任にする」と説明。発表前に民主党の小沢一郎幹事長に人事案を伝え、小沢氏から「総理の決めることだから結構です」と了解を得たという。

 菅氏は昨年末の2010年度予算案編成で「子ども手当」などマニフェスト(政権公約)に盛り込んだ新規施策の取り扱いについて、閣僚間の調整役を務めた。予算案の内容や決定過程を把握しており、鳩山氏は18日召集予定の通常国会で予算審議に十分対応できると判断した。

 鳩山氏にとって、菅氏は96年の旧民主党発足時からの盟友で、信頼は厚い。副総理という閣内の「ナンバー2」に財務相を兼務させることで、藤井氏辞任の影響を最小限にとどめたい意向だ。

 首相の会見終了後、菅氏は記者団に「予算については私の立場でお手伝いをしてきた。そういう点ではしっかりと(藤井氏の)仕事を引き継いでいかなければならないと思う」と述べた。

 藤井氏は10年度予算編成が終わった昨年12月末、疲労を訴えて静養と検査のために入院。今月5日の閣議にも病院から出席していた。鳩山氏は同日、体力面の不安から辞意を漏らす藤井氏に対し「予算案という子どもを産んでいただいたので、育てていただきたい」と強く慰留。しかし、6日午後には、藤井氏から「公務をこなすのは困難」と書かれた診断書とともに、辞職願が官邸に届いた。

 一方、鳩山、菅、仙谷の3氏は6日午前中から官邸で断続的に対応を協議。藤井氏の負担を減らすため、国会答弁を野田佳彦財務副大臣らに委ねることも検討した。ただ、自民党など野党の厳しい追及が予想され、国会審議を乗り切るのは難しいと最終的に判断した。」




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2010/01/06 [Wed] 23:28:58 » E d i t
今年1年間に刑を執行された死刑囚は計7人で、2008年の15人を大幅に下回りました。死刑執行はいずれも自公政権下の森法相時代のもので、7月を最後に行われておらず、政権交代後、民主党の千葉景子法相が就任してからは、執行は1件もありませんでした。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年12月30日付朝刊26面

死刑判決 今年は34件  昨年比7件増 地・高裁は一けた

 全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決(いずれも裁判官だけの裁判)は、昨年より7件多い34件(被告32人)に上ったものの、地・高裁は10年ぶりにそろって一けたにとどまったことが29日、共同通信の集計で分かった。また検察側の死刑求刑を退け、無期懲役としたケースが19件(被告17人)あり、死刑選択に慎重な姿勢もうかがえる。

 今年死刑が確定したのは17人。確定者は106人となり、うち61人が再審を請求している。死刑執行は前政権の森英介法相時代に2回あり、計7人が処刑された。

 集計によると、今年の死刑判決のうち、地裁は9人殺傷事件の無職金川真大被告(26)や16人が死亡した個室ビデオ店放火事件の無職小川和弘被告(48)ら9件。高裁判決も9件で、スナック乱射事件の暴力団幹部矢野治被告(61)ら。地裁と高裁双方で死刑判決を受けた被告が二人いる。

 最高裁判決は、オウム真理教元幹部の井上嘉浩死刑囚(40)や毒物カレー事件の林真須美死刑囚(48)ら16件。昨年は地・高裁含め1件のオウム事件が4件もあった。

 死刑判決の合計数は、90年以降の10年間は21~7件で、年平均13件だったが、2000年以降は46~25件に増え、年平均も35件に。地裁は00~07年、高裁は01年、03~08年にそれぞれ二けたの死刑判決を言い渡した。

 一方、死刑求刑を退けたのは秋田の連続児童殺害事件の畠山鈴香受刑者(36)らで、地裁6件、高裁11件、最高裁2件。地・高裁とも死刑を回避した被告が2人いる。

 今年の死刑確定者は最高裁判決を受けた被告のうち15人と、控訴や上告を取り下げた闇サイト事件の神田司死刑囚(38)ら2人。28日に控訴を取り下げた金川被告は来年確定する見通し。

 死刑執行は1990~92年が0、93~07年は9~1人で推移し、昨年は15人に上った。9月に就任した民主党の千葉景子法相は「死刑廃止を推進する議員連盟」の元メンバーで、執行には慎重とみられている。」



◆地・高裁、最高裁の死刑判決

1990年――地裁2・高裁3・最高裁7=計12
1991年――地裁3・高裁4・最高裁4=計11
1992年――地裁1・高裁4・最高裁5=計10
1993年――地裁4・高裁2・最高裁5=計11
1994年――地裁8・高裁4・最高裁3=計15

1995年――地裁11・高裁4・最高裁3=計18
1996年――地裁1・高裁3・最高裁3=計7
1997年――地裁3・高裁2・最高裁4=計9
1998年――地裁7・高裁7・最高裁7=計21
1999年――地裁8・高裁4・最高裁4=計16

2000年――地裁14・高裁6・最高裁6=計26
2001年――地裁10・高裁16・最高裁5=計31
2002年――地裁18・高裁4・最高裁3=計25
2003年――地裁13・高裁17・最高裁2=計32
2004年――地裁14・高裁15・最高裁13=計42

2005年――地裁13・高裁15・最高裁10=計38
2006年――地裁13・高裁15・最高裁16=計44
2007年――地裁14・高裁14・最高裁18=計46
2008年――地裁5・高裁14・最高裁8=計27
2009年――地裁9・高裁9・最高裁16=計34



(2) 朝日新聞平成21年12月30日付朝刊31面

死刑執行、09年半減 千葉法相、来年の判断は?
2009年12月31日6時51分
  
 今年に入ってこれまでに死刑が執行された人数は7人で、2008年の15人を大幅に下回ることが確実になった。政権交代以降に執行がなくなっているのが主な理由だ。ただ、かねて死刑反対を唱えてきた千葉景子法相は、大臣就任後は「執行しない」との態度を明確にしているわけではなく、来年以降もこの傾向が続くかは未知数だ。

 執行ペースはここ数年、大幅に早まっていた。06年は4人だったが、鳩山邦夫元法相の時代に「2~3カ月に一度、1回に数人」が定着。07年は9人、08年は15人だった。今年は森英介前法相のもとで1月29日に4人、7月28日に3人の執行があった後は5カ月間、途絶えている。

 一方で死刑確定者は増えている。法務省が28日現在で把握しているところでは、今年は15人が新たに確定し、確定者の総数は104人になった。このほか最高裁で死刑が維持され、判決訂正の申し立ても24日付で棄却された被告が2人おり、今年の確定者はさらに増える見通し。

 増加の背景には「厳罰化」がある。朝日新聞のまとめでは、今年1年で延べ34人が地裁、高裁、最高裁のいずれかで死刑判決を受けた。27人だった08年に比べ7人増。1999年までの数年は年間20人未満で推移していたが、2000年から急増。この数年は04年42人、05年38人、06年44人、07年46人となっている。

 死刑廃止議連のメンバーでもあった千葉法相は9月の就任時に、執行について「できるだけ慎重に対処したい」「国民的議論を踏まえて道を見いだしたい」などと述べた。一方で、「制度的には執行が義務」とも語り、結局、執行命令書に署名するかどうかは明らかにしていない。

 来年は裁判員裁判で検察側が死刑を求刑する事件の審理が初めて行われる見通しだ。千葉法相は、25日にあった今年最後の記者会見でも、国民的議論の具体策を問われて「今、申し上げる段階にはない」と述べるにとどまった。しかし、死刑判決に市民の判断が反映される段階に来て、執行のあり方についての関心も高まるのは必至だ。(延与光貞、中井大助)」



(3) NHKニュース(12月30日 18時7分)

政権交代後 死刑執行“停止”

12月30日 18時7分
 死刑の執行は、ここ数年、ペースが速まり、平成21年も7月までに7人が執行されましたが、政権が交代した以降は事実上、停止しています。22年は一般の市民が死刑かどうか判断することになる裁判員裁判も開かれ、死刑制度をめぐる議論が高まることが予想されます。

 死刑の執行は、死刑囚の増加などを背景に、ここ数年、速まる傾向にあり、平成20年はこの10年間で最も多い15人が執行され、21年も7月までに7人が執行されました。しかし、その後、政権が交代した以降は1人も執行されていません。千葉法務大臣をはじめ、死刑廃止の立場をとっていた複数の国会議員が閣僚に就任したことが影響しているものとみられています。

 一方、21年に新たに死刑が確定したのは、毒物カレー事件の林真須美死刑囚など17人で、全国の拘置所にいる死刑囚は106人になっています。

 首都大学東京法科大学院の前田雅英教授は「国民の80%が死刑制度を支持しているなかで、執行が行われないと裁判や法制度に対する信頼が損なわれる。仮に次の衆議院選挙まで執行が止まるようであれば問題だ」と指摘しています。日弁連死刑執行停止実現委員会の小川原優之事務局長は「この機会に制度の存廃について国民的な議論を進めるため、政府は死刑に関する情報をできるだけ明らかにすることが必要だ」と話しています。

 22年は一般の市民が裁判員として死刑かどうか判断することになる裁判も開かれ、死刑制度をめぐる議論が高まることが予想されます。」



(4) 毎日新聞 2010年1月1日 東京朝刊

死刑執行:09年は7人、08年から半減 現政権下はゼロ

 09年に死刑を執行された死刑囚は7人で、08年の15人を大きく下回った。執行はいずれも自民党政権下で、民主党政権下ではまだ行われていない。

 09年の執行は1月と7月に森英介前法相下で行われた。鳩山邦夫元法相が07年12月に執行後、一時期はほぼ2カ月に1度の執行だったが、裁判員制度の施行準備や足利事件の再審開始決定(6月)などの影響で間隔が空いたとみられる。00~07年の執行者数は年間1~9人で、従来の執行に戻ったともいえる。

 政権交代で「死刑廃止を推進する議員連盟」メンバーだった千葉景子氏が法相に就任後は一度も執行がない。ただ、千葉法相は「法相の法に基づいた職務は存在している」と発言し、今後執行するか否かについては態度を明らかにしていない。

 一方、死刑確定者数は08年末には100人だったが、09年末時点で106人に増えた。【石川淳一】

毎日新聞 2009年12月31日 18時22分(最終更新 12月31日 20時14分)



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2010/01/04 [Mon] 23:58:52 » E d i t
正月(年の初めを祝う行事が行われる期間)の意味やしきたりについて、皆さんはどれほど知っているでしょうか? 毎日新聞が記事にしていましたので、紹介したいと思います。



1.毎日新聞平成22年1月3日付東京朝刊11面

お正月:意味、知ってる?

 ◇健康、豊作神様に感謝 授かった力で今年もがんばろう

 お正月、どんなふうに過ごしていますか。お年玉はうれしいけど「おこづかいとどう違うの?」と思う子もいるかもしれませんね。お正月の意味やしきたりを親子で話してみませんか。【大和田香織】

 ●お正月と初詣で

 全国の神社のまとめ役、神社本庁(ほんちょう)(東京都渋谷区)の広報センター、石井裕子(ゆうこ)さんによると「一般の人の初(はつ)詣(もう)では、昭和の時代になって広まった風習。お正月は、自宅で年神(としがみ)様をお迎えするのが基本」なのだそうです。年神様とは、豊作の神様であり、ご先祖様のことです。「ふだんは山にいて、皆さんの健康や農作物の実りを見守っていますが、1年の変わり目に山から下りてきます。お正月は、その神様を迎え、新しい魂(たましい)、力を分けてもらう節目です」

 一方、初詣では、ふだん暮らしている地域の守り神、氏神(うじがみ)様へ新年のあいさつに行くこと。商売繁盛(はんじょう)、合格祈願(きがん)、縁結びなど、それぞれ得意分野を持つ有名な神社が各地にありますが、石井さんは「まずは地元の神様へ。お寺でも同じです」と勧めています。

 初詣でに行って「新しいゲームが欲しい」と祈ってきた子もいるのでは? それだけでは神様もあまり真剣に聞いてくれないそうです。まず、最初に、これまで平和に暮らせたことへの感謝、次に今年も平和に元気で過ごせるよう見守ってくださいと祈り、最後に自分の願いを伝えるといいようです。

 お参りの方法にも決まりがあります。鳥居(とりい)のところで軽くおじぎしたら、手水(ちょうず)で手と口を清める。鈴を振っておさい銭を奉納した後、2度お辞儀して2度拍手、最後にもう一度お辞儀をする「二拝二拍手一拝」が基本です。「混雑していて手水を素通りする人を見ますが、一番大切なので忘れずに」と石井さんは話しています。

 ●七草と鏡開き

 7日は「七草(ななくさ)がゆ」。セリ、ナズナ、ゴギョウ(ハハコグサ)、ハコベラ(ハコベ)、ホトケノザ、スズナ(カブ)、スズシロ(ダイコン)の7種の野草を朝、おかゆにして食べます。それぞれの名前を当てられるかな?

 伝統文化を学ぶ本や催しなどをてがける「こどもの感性研究所」(東京都中野区)の石田繁美(しげみ)さんは「七草の種類は、時代や地域によっても違う」といいます。昔の中国のカレンダーで季節の変わり目に健康や安全を願って行事を行う「節句(せっく)」のほか、1月15日にヒエ、アワなどの穀(こく)類を7種集めておかゆにし、健康や豊作を願う日本古来の風習があり、この二つが結びついたと考えられています。江戸時代に、重要な行事を行う日として幕府が「五節句」を定め、1月7日の「人日(じんじつ)」の節句に七草がゆを食べる形が広まりました。

 11日、お供えした鏡(かがみ)餅を下げて汁粉などを作って食べるのが「鏡開き」。もともとは1月20日に行われていた行事で、食べるときは刃物を使わず手や木づちで割り、「切る」と言わず縁起よく「開く」と言います。飾り方はさまざまですが、江戸時代の浮世絵に描かれた鏡餅にはいまと同じ、ウラジロ、ユズリハの葉などが見られます。「お供えした鏡餅を食べることは、神様と一体感を得る意味があるとの考え方があり、七草がゆは家族の健康や幸せを祈る行事でもあります。行事に込められてきた願いを感じながら、家族で行うのもいいですね」と石田さんは話しています。

 ●お年玉とマナー

 もう分かったと思いますが、お年玉も神様と関係があります。マナーデザイナーの岩下宣子(のりこ)さんは「年神様から授かった力を、家族の中で年上の人から年下の人に分ける意味がありました」。目上から目下に分ける物なので、自分より年上の人や、身分が上の人にあげるものを「お年玉」と呼ぶのは失礼になります。その場合は封筒に「年賀」と書きます。

 お年玉はもともと、お餅だったといいます。絵本やえとにちなんだ虎の置物など、お金以外の品を贈ってもいいそうです。子どもはお返しする必要はありませんが、いただいたら必ずお礼を言いましょう。岩下さんによると、ちょうど良い金額はお小遣いの1カ月分です。でも、たくさんいただいて家の人が気になる場合は、「年賀」としてお菓子などをお返しに送る方法もあります。岩下さんは「お年玉をもらったら、子どもは必ず家の人に話してください。そうしないと、お年玉をくれた人にお父さんやお母さんがお礼を言えません。とても恥ずかしいことです」と話しています。

 岩下さんは「お年玉と同じ意味合いで、歯ブラシや下着なども新品に替えてみては」と提案しています。年神様から授かった新たな力を身近に感じ、今年もがんばろうという気持ちになれるかもしれませんね。

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毎日新聞 2010年1月3日 東京朝刊




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2010/01/01 [Fri] 11:48:09 » E d i t
新年明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
今年は、多くの人が昨年よりも良き日々を過ごせますよう、心から願っています。


1.毎日新聞平成22年1月1日付「余録」

夢見る力

 「磨かぬ鏡」は前からも後ろからも同じ音の連なりとなる回文である。「長き夜の遠の眠(ねぶ)りの皆目覚め波乗り船の音の良きかな」は、この歌を記した宝船の絵を枕の下に置くと良い初夢が見られるといわれた回文歌だ。だが意味は今一つはっきりしない

▲民俗学者の折口信夫はこの歌はもともと眠気よけの呪文との説を述べている。吉夢を見るのに眠れなくてどうするといいたくなるが、宝船の絵そのものも良い夢を運んで来るというより、悪い夢を運び去るまじないから生まれたのだという

▲室町時代には宮廷や貴族の家々で船の絵を配り、人々は除夜にそれを床の下に置いて寝た。船には旧年中の悪夢がすべて積み込まれ、元旦になると川に流すか埋められたという。船の絵にはまだ宝の山も七福神も描かれていなかったそうだ

▲それが吉夢をもたらす宝船に変わり、正月2日夜の初夢のまじないになったのは江戸時代のようだ(折口信夫「古代生活の研究」)。悪夢を払うにせよ、吉夢を求めるにせよ、ひとまず取り散らかった現実に区切りをつけ、新しい時のページを開いてくれる年明けのありがたさだ

▲振り返れば、先行きの不安が人々の足をすくませ、袋小路の悪夢に苦しんだ昨年の日本社会だ。人々は政権交代を通し新しい船による悪夢一掃を求めたが、それも現実の大波に翻弄(ほんろう)されている。その船が年末に運んできた10年先の成長戦略も、まだ紙切れに描かれた宝にすぎない

▲人々の心を引きつけ、すくんだ足を前のめりに踏み出させる夢のほしい今年である。そこは吉夢を見るのに手を尽くしたご先祖をもつ日本人ではないか。「夢見る力」はきっと取り戻せる。

毎日新聞 2010年1月1日 0時18分」



昨年末には、派遣切りにあった失業者らが集まった「年越し派遣村」のような事態が起きましたが、今年は、年末年始に住む所がない失業者らの生活相談に応じ宿泊施設や食事を提供する東京都の“公設派遣村”が平成21年12月28日日、渋谷区の国立オリンピック記念青少年総合センターに開設されています(東京新聞2009年12月28日夕刊)。

同じ「派遣村」の名称はついてはいますが、今回の場合は、年末年始に住む所がない失業者の方たちに対して国や地方地自体が最初からバックアップしている点で大きく違いがあります。
バックアップの影響は大きいとはいえ、世界経済危機は長期化したためもあり、こうした危機的状況に対して大きな騒ぎになっていないのです。

こうした状況であるにしても、昨年は、日本では憲政史上これも初めてといえる本格的な政権交代が行われ、大きな政治変動が起きた年でした。日本の市民は、未来へ向けて変革する意欲は失っていないのです。

◆弱肉強食をこえた生存

 政権交代がありました。国民は政治の行き詰まりを実感していました。しかしそのずっと前、地方自治は変わり始めていました。役所仕事、税の無駄遣いに対する不満が元気な知事や市長を当選させた。日本人の現実主義は身近なところから現実を変えたのです。
 今年はダーウィンの生誕二百年でした。その進化論いわく、強いものが生き残るのでなく、賢いものが生き残るのでもなく、環境に適応したものが生き残る。弱肉強食、ジャングルの掟(おきて)をこえたところに適者生存、静かなる変異の本質はあります。
 このしなやかさも見えざる変化の一つかもしれませんね。
 未来とは夢想ではなく経験と現実が築くのです。」(東京新聞平成21年12月31日付【社説】)


「先行きの不安が人々の足をすくませ、袋小路の悪夢に苦しんだ昨年の日本社会」であっても、日本の市民は古来から、より良い未来へ向けて「ひとまず取り散らかった現実に区切りをつけ」ることをし、「現実を変え」てきたのです。
「夢見る力」をもって、より良い未来へ向けて変化を求めていこうではありませんか。





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