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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2009/06/26 [Fri] 03:18:31 » E d i t
栃木県足利市で1990年、女児=当時(4つ)=が誘拐殺害された「足利事件」の再審請求即時抗告審で、東京高裁(矢村宏裁判長)は平成21年6月23日、無期懲役刑の執行停止で釈放された菅家利和さん(62)について、「犯人と認めるには合理的疑いが生じた」として、再審請求を棄却した宇都宮地裁の決定を(刑事訴訟法426条2項により)取り消し、(同法448条1項により)再審開始を決定しました。

死刑か無期懲役の確定事件で再審が開始されるのは、「島田事件」の東京高裁決定(87年3月確定)以来約22年ぶりで、再審は早ければ秋にも宇都宮地裁で始まる見通しです。再審では、検察側が無罪判決が出るよう手続きを進め、無罪が言い渡される公算が極めて大きいとされています。弁護側は警察庁科学警察研究所(科警研)のDNA型鑑定など捜査の問題点を検証するよう求めていますので、再審でどこまで審理されるかが焦点となっています(時事通信:2009/06/23-12:53)。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年6月23日付夕刊

足利事件 再審を決定 東京高裁 無罪の公算大
2009年6月23日10時17分

 栃木県足利市で90年に当時4歳の女児が殺害された「足利事件」の再審請求の即時抗告審で、東京高裁は23日、無期懲役が確定した菅家利和さん(62)=服役先の千葉刑務所から今月4日に釈放=の再審を開始する決定を出した。矢村宏裁判長は「菅家さんが犯人であると認めるのには合理的な疑いがある」と判断した。

 決定について検察、弁護側の双方は、最高裁に特別抗告しないことを明らかにした。再審は宇都宮地裁で開かれる。検察側は論告で無罪を求めるか求刑を放棄する方針で、菅家さんに無罪判決が言い渡される公算が大きい。

 即時抗告審で高裁は、菅家さんの有罪立証の柱となった警察庁科学警察研究所(科警研)によるDNA型鑑定の証拠価値を判断するため、2つの再鑑定を実施した。決定は、そのうち、検察側が推薦した素鈴木広一・大阪医大教授(法医学)の鑑定結果を検討。鈴木鑑定が「女児の肌着に残された体液のD
NA型と菅家さんの型とは一致しない」としたことを受けて、「菅家さんは犯人でない可能性が高い」と指摘した。

 さらに、この鑑定結果によって、捜査・公判段階での菅家さんの「自白」は「信用に疑問を抱かせるのに十分だ」と判断。これらの認定を踏まえ、再審開始の要件となる「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」にあたると結論づけた。

 一方、弁護側が推薦した本田克也・筑波大学教授(法医学)は再鑑定で科警研の鑑定結果を「誤鑑定」と指摘していたが、決定は本田鑑定の当否は判断しなかった。

 菅家さんは、91年12月に逮捕された。当初は犯行を「自白」。宇都宮地裁での一審公判の途中から否認に転じた。公判では、DNA型鑑定の結果が刑事裁判の証拠となるかが主な争点になった。地裁は93年、鑑定結果や「自白」が信用できるとして無期懲役を宣告。二審・東京高裁も96年に有罪と判断して控訴を棄却した。

 弁護団は、科警研の鑑定は信用できないとして上告中の97年に最高裁に再鑑定を求めた。しかし、最高裁は00年に鑑定について「その後の科学技術の発展により新たに解明された事項なども加味して慎重に検討されるべきだが、これを証拠として用いることが許される」との判断を示し、無期懲役が確定していた。

 菅家さんは02年に宇都宮地裁に再審請求。地裁が08年に棄却したため、東京高裁に即時抗告していた。」



(2) 東京新聞平成21年6月23日付夕刊1面

足利事件 再審が決定 菅家さん無罪確定へ
2009年6月23日 夕刊

 栃木県足利市で一九九〇年、四歳の女児が殺害された「足利事件」で、無期懲役が確定し、十七年半ぶりに釈放された菅家利和さん(62)が裁判のやり直しを求めた再審請求の即時抗告審で、東京高裁(矢村宏裁判長)は二十三日、「菅家さんが犯人ではない可能性が高い」と再審開始を決定した。近く、一審の宇都宮地裁で再審公判が開かれるが、検察側は有罪立証をせず、菅家さんに無罪判決が言い渡される。

 無期懲役以上が確定した事件で、再審無罪になれば、八九年一月の静岡県の「島田事件」以来になる。

 矢村裁判長は決定で、検察側が推薦した大阪医科大の鈴木広一教授による再鑑定結果について「菅家さんと女児の下着に付着した体液のDNA型が一致しないことが認められる。菅家さんが犯人であると認めるには、合理的な疑いが生じている」と述べた。

 捜査段階の自白にも「有罪とされた一つの根拠であるが、再鑑定の結果は、自白の信用性に疑問を抱かせるのに十分な事実といえる」と指摘した。

 弁護側が推薦した筑波大の本田克也教授による再鑑定に関し、検察側が「信用性に欠ける」とする意見書を出したが、決定は「鈴木鑑定のみで菅家さんのDNA型と一致しないことが認められる。本田鑑定の信用性を判断するまでもない」と触れなかった。

 弁護側は、捜査段階の鑑定が誤っていたことや虚偽の自白の経緯を明らかにするため、鑑定を担当した警察庁科学警察研究所の技官らの証人尋問を求めたが、矢村裁判長は採用しなかった。

 足利事件は二〇〇〇年七月、最高裁が初めて、DNA型鑑定の証拠価値を認め、菅家さんを無期懲役とした一、二審判決が確定。再審請求について東京高裁が再鑑定の実施を決め、今年五月、検察、弁護側が推薦した法医学者二人は、DNA型を不一致とする再鑑定書を提出した。

 検察側は今月四日、再鑑定結果が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」とする意見書を東京高裁に提出し、再審開始決定前の異例の釈放に踏み切った。」





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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

裁判例 *  TB: 2  *  CM: 0  * top △ 
2009/06/23 [Tue] 23:59:20 » E d i t
免田事件や島田事件など、死刑確定後、再審で無罪となった4事件の元弁護人有志が「誤判を防ぐための8つのお願い」という提言をまとめ、平成21年6月22日、東京都内の弁護士会館で発表しました。

元弁護人は、これら4事件で誤判が生じた原因には、捜査機関が自白を強要したり、「誤った鑑定」を出し、被告人に有利な証拠を隠匿したなど4つの共通点があると指摘し、裁判員になるかもしれない市民に対して、誤判を防止するために、「取り調べが適正だったか」「鑑定は適正だと確認できたか」など8点に配慮して、審理や評議に臨んでほしいと呼び掛けています(時事通信:2009/06/22-12:17)。



1.報道記事を幾つか。

(1) 共同通信(2009/06/22 12:46)

裁判員向けに「誤判防いで」 死刑冤罪事件の元弁護人が訴え

 8月から始まる裁判員裁判を前に、香川県の財田川事件など確定死刑囚が再審無罪となった冤罪4事件の元弁護人有志が22日、東京都内で記者会見し、裁判員を務める国民に向け「被告は無罪という前提で裁判に臨んでください」などとする「誤判を防ぐための八つのお願い」を公表した。

 元弁護人32人の連名で、誤判の原因には自白の強要などの共通点があると指摘。有罪の確信が持てなければ無罪にし、自白調書があっても取り調べが適正と確認できないときは信用しないよう求めている。

 さらに、(1)DNA鑑定など鑑定結果をよく理解し、その方法が適正かどうかを確認する(2)有罪、無罪の判断は、被害者の心情と離れて判断する(3)違法な捜査や信用できない証拠にはノーを唱える-などの点を強調している。

2009/06/22 12:46 【共同通信】」



(2) 朝日新聞平成21年6月23日付朝刊37面(14版)

「冤罪4事件」元弁護人 裁判員へお願い文

 裁判員裁判が実際に始まるのを前に、いったん死刑が確定した人が再審で無罪となった「冤罪4事件」で弁護人を務めた弁護士の有志が22日、裁判員となる市民に向けて「誤判を防ぐための8つのお願い」と題した緊急アピールの文書を公表した。再審開始が確実視されている「足利事件」にも触れ、 「『自白』に対する疑問を持ち続けてほしい」と訴えている。

 4事件は、80年代に再審無罪判決が出た「免田」 「財田川」 「松山」 「島田」の各事件。<1>被告が「犯人でない可能性」が残る場合は無罪とする<2>自白に至るまでの取り調べが適正だと確認できなければ、自白は「信用できない」と判断する<3>DNA型鑑定などに「専門知識がないから」とひるまず、鑑定人に質問し、資料の入手法などが適正かを確認する――といったことを要望している。

 記者会見を開いた松山事件を担当した青木正芳弁護士は「裁判員が刑事裁判の原則を理解し、裁判所の判断に厳しい目を向けていけば誤判は減っていくだろう」と裁判員制度に期待を込めた。 (市川美亜子)」


この提言は、新聞報道では、朝日新聞が少しは目に付くように見出しを大きくしているものの、他紙ではごく小さく扱っているだけですから、半ば無視されているに近いものです。「誤判を防ぐための8つのお願い」として8つの点に絞っているにもかかわらず、どこも8つを紹介することもしていないのです。

報道機関として、本当にそれでいいのでしょうか?



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テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

2009/06/22 [Mon] 23:59:27 » E d i t
麻生首相の部落差別発言問題について、ご存知でしょうか? 麻生太郎氏が「野中のような部落出身者を日本の総理にはできないわなあ」と述べたために、元官房長官である野中広務氏が麻生太郎氏に面と向かって激怒した事件です。

麻生首相の部落差別発言問題については、「「ナチス発言」問題:ナチスに関する麻生氏の歴史認識は正しいのか?~研究者は“麻生氏の発言は歴史的にトンチンカン”と酷評(東京新聞平成20年8月6日付「こちら特報部」より)」(2008/08/06 [Wed] 22:03:21)において、取り上げたことがあります。

東京新聞のコラム(例えば、「本音のコラム」「大波小波」)では、麻生首相の被差別部落発言を取り上げることがありましたが、新聞社の編集委員が取り上げたことは過去においてなかったように思います。ところが、驚くべきことに、朝日新聞平成21年6月20日付「政治コラム 政態拝見」において、編集委員・坪井 ゆづるさんがこの部落差別発言を取り上げていました。

野中広務氏と辛淑玉(しんすご)さんの対談集「差別と日本人」(角川書店、平成21年)が切っ掛けになったようですが、麻生首相の政治家としての資質の有無、そして自民党の政権維持を認めるか否かを判断するために重要な意味があることだと思い、紹介したいと思います。



1.まず、朝日新聞平成21年6月20日付「政治コラム 政態拝見」を紹介する前に、いまだ残る「部落差別」について少しでも理解してもらうために、「差別と日本人」(角川書店、平成21年)の「はしがき」(17頁以下)を一部、引用しておきます。

 「部落差別とは、「部落」というレッテルを貼り、差別することである。差別とは、富を独り占めしたい者が他者を排除するために使う手段である。そして、この差別は、する側になんとも言えない優越感を与える享楽である。

          *          *          *

 差別は、いわば暗黙の快楽なのだ。例えば、短絡した若者たちが野宿者を生きる価値のない社会の厄介者とみなし、力を合わせて残忍なやり方で襲撃する時、そこにはある種の享楽が働いているのだ。それは相手を劣ったものとして扱うことで自分を保つための装置でもあるから、不平等な社会では差別は横行する。そして、あたかも問題があるのは差別される側であるかのように人々の意識に根付き、蓄積されていく。

 時の権力は、権力に不満が集まらないようにするためには、ただ、差別を放置するだけでいい。そうすれば、いつまでも分断されたシモジモ同士の争いが続く。

 他方、差別される側は、差別の理由を求めてさまよう。その理由をなくせば差別されなくなると考えるからだ。しかし、差別するための「理由」は、いくらでも付け足せる。結果、自らの努力ではどうにもならない状況が作り出され、多くは無力感を植えつけられていく。

 西日本を中心に今なお続く「部落差別」は、多くは朝廷政治の歴史の中から生み出されていった。

 その被差別者の解放への動きの始まりは、1871(明治4)年、明治政府が出した賤民(せんみん)廃止令である。しかしこれは、その後の地租改正条例へと続く、財源確保政策の一環として行われたものだ。権力は、かつては既得権を維持するために特定の人々を「卑しい」身分に落とし込み、今度は、彼らから金をむしりとるために「平民」とした。しかし、「平民」としたのは名義上のことだけで、彼らを取り巻く差別的な環境や意識には一切手をつけない、おためごかしでしかなかった。

 このとき、「賤民」が解放されて「増長」することを恐れた一般大衆は、焼き討ちや襲撃などの暴力を繰り返し、口々に「(賤民廃止令は)5万日(137年)先送りにされた」と悪意に満ちたデマを流した。そして、自らの生活圏に「賤民」が侵入してくることへの恐怖と、自らの位置の低下への不安から、暗示的な言葉やしぐさで差別を表現し、日常生活の中での匂いや味、趣といった感覚的な差異を作り上げて排除するという、より陰湿な差別を作り出していった。

 1871年8月28日から数えて「5万日」後は、2008年7月20日。

 2001年の国連人種差別撤廃委員会では、「部落差別はカースト制度」とまで指摘されたにも拘(かか)わらず、この国の多くの人々は無関心のままでいる。「賤民廃止令」は、差別した側の責任をいっさい問わないまま、いまに至っているのだ。5万日があけた今も、被差別者の苦悩は続いている。」



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2009/06/20 [Sat] 23:59:16 » E d i t
西松建設による小沢一郎民主党前代表の政治団体への違法献金事件で、政治資金規正法違反などの罪に問われた前社長国沢幹雄さん(70)の初公判が平成21年6月19日、東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれました。検察側は「違法献金のすべてで主導的に関与し、責任は重い」として、外為法違反罪と合わせて禁固1年6月を求刑しています。

国沢前社長は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴内容を全面的に認めており、弁護側は「事前に届け出なかっただけの形式犯にとどまる」として執行猶予付き判決を求めています。マスコミの注目を集めた公判ですが1回で結審し、判決は7月14日に言い渡される予定です。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊1面(13版)

前西松社長に1年6ヵ月求刑 西松事件 検察「寄付は闇献金」

 西松建設から民主党の小沢一郎前代表側への違法献金事件をめぐって、19日に東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれた初公判は、即日結審した。検察側は論告で「ダミー団体名義の寄付は闇献金と何ら異なることはない」と両者の「金銭的癒着」を厳しく非難。政治資金規正法違反などの罪に問われた同社前社長の国沢幹雄被告(70)に禁固1年6ヵ月を求刑した。判決は7月14日に言い渡される。 

 検察側は論告で、西松建設から小沢側への献金は、公共工事の受注談合をめぐって小沢事務所から「天の声」を得ることが目的だったと主張した。実際には西松建設が寄付しているのに、ダミー団体の名義を使って寄付の主体を偽り、談合の構造・実態を隠蔽(いんぺい)したことは「寄付の存在そのものを収支報告書に記載しない、いわゆる闇献金と何ら異なるところはない」と位置づけた。

 そのうえで、西松建設が少なくとも4件の公共工事を談合のうえ高い落札率で受注したことから、「納税者である国民に負担を強いた。まさに公共工事受注に係る建設業者と特定政治家側との金銭的癒着を国民の目から覆い隠した」と指摘。 「政治資金規正法の趣旨・目的を踏みにじる、きわめて悪質な犯行だ」と述べた。

 国沢前社長は、被告人質問で弁護人から心境を問われ、「他のゼネコンも大なり小なり(談合を)しているので、競争に勝つために必要だと思い続けてきた。悪弊をなくす発想がなかったのは、私の経営者としての限界で、忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。

 また、山口裁判長が「談合をしていた頃と、後とどちらが楽だったのか」と尋ねると、「談合がなくなって気は楽になったが、競争が激しくなって(会社の)実績そのものは伸びなかった」と説明した。

 国沢前社長の弁護側は最終弁論で、「一種の形式犯で、マスコミの過熱で贈収賄と同列かのような報道があった。罪刑を超える非難は許されない」と主張。身柄の拘束期間が長期にわたったことも批判し、「(小沢側への寄付は)ゼネコン他社との競争で無理からぬ面があった」と執行猶予付きの判決を求めた。

 外国為替及び外国貿易法違反の罪に問われた同社元副社長の藤巻恵次被告(68)には、検察側は懲役6ヵ月を求刑した。(浦野直樹、藤森かもめ)」」



(2) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊39面(14版)

争わぬ西松、一日結審 
株主総会前 会社再生優先
2009年6月20日5時31分

 東京地裁で19日開かれた西松建設前社長・国沢幹雄被告(70)らの初公判。即日結審は、会社再生のために早期に決着を着けたい西松建設側の意向だったが、立証に自信を見せる検察側も早急な公判準備に対応。政界からも注目された重要公判の審理は意外にも1日で幕を閉じた。検察側は「説明責任」に応えるべく議論を重ね、小沢事務所とゼネコン談合の癒着構造という、違法献金の「悪質性」を冒頭陳述で強調した。

 午前10時から始まった初公判は、被告人の罪状認否、検察側の冒頭陳述と速いテンポで進んだ。午後も公判は続き、被告人質問などがあった。

 弁護人から心境を問われた国沢前社長は「外為法違反、政治資金規正法違反とも大なり小なり競争に勝つためには必要であると思い続けてきた。立件されて、悪弊をなくす努力はなぜできなかったのか、と思う。忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。

 昼の休憩を挟み、予定された午後4時半より1時間半近く前に、弁護側の最終弁論が終わって結審した。

 西松建設関係者らによると、即日結審は、組織改革を進めている同社側が、6月26日の株主総会前に事件を総括するため、早期の結審を望んだ結果だったという。今月上旬から検察側に即日結審を打診し、検察側も論告求刑の準備まで急ピッチで進めた。

 民主党の小沢一郎前代表の公設第1秘書・大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反の罪で起訴=の初公判の日程のめどが立たない中で、西松建設側の公判でスムーズな審理を望む検察側の意向とも合致したとみられる。

 一方、裁判関係者によると、注目される大久保秘書の初公判については、検察側、弁護側とも総選挙に影響を与える可能性があることについて考慮しているため、「総選挙前に開かれる可能性は低い」という。

■説明責任を意識 検察、大久保被告裁判控え

 東京地検は、3月24日に大久保秘書を起訴した際、「看過しえない重大かつ悪質な事案」などと述べた。だが、「悪質な事案」の意味については、「公判で明らかにする」としていた。

 その後、国沢前社長らの初公判が6月19日に決定。検察関係者らによると、東京地検特捜部は、違法献金の動機を明らかにするためにも、東北地方の公共工事をめぐるゼネコン談合組織と小沢事務所の関係について、この初公判で指摘することを早期に決めたという。東京地検内には、「検察の説明責任を問う声も高まっていたので、ぜひそれに応えたい」という考えが強かったという。

 ただし、最高検など上級庁と公判の方針を検討する中で、「踏み込んだ内容にして、小沢氏側の余計な反発を招くことにならないか」との慎重論も出た。

 特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ。それが上級庁との検討を重ね、約半分となった。西松建設以外のゼネコン各社と小沢事務所の関係など、直接立証にかかわらない部分を削っていった結果だという。

 また、談合にかかわる罪は立件しておらず立証する必要もないことから、西松建設の献金の動機という範囲におさめるように工夫したという。」




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2009/06/18 [Thu] 23:58:58 » E d i t
衆議院は平成21年6月18日午後の本会議で、臓器移植法改正4法案のうち、脳死後の臓器提供の年齢制限(現行法で15歳以上)を撤廃するA案を賛成多数で可決、参院に送付しました。

衆議院本会議では、4つの改正案の採決が提出されたA・B・C・Dの順に始まり、採決は記名投票で行われました。その結果、欠席・棄権を除いたA案への投票総数430票のうち、賛成263票、反対167票であり、欠席・棄権は48人でした。A案の可決により、その他の3案(B・C・D案)は採決されずに廃案となっています。

与党や民主党などは「死生観にかかわる」として党議拘束をかけず、議員個人の判断で投票しています。そのため、麻生太郎首相、民主党の鳩山由紀夫代表、公明党の太田昭宏代表がA案に反対票を投じ、一方、自民党の小泉純一郎元首相・福田康夫前首相、民主党の小沢一郎代表代行は賛成票を投じ、自民党の安倍晋三元首相はD案を支持してA案の採決を棄権するといった、個々人で異なる投票行動をとっています(時事通信:2009/06/18-13:45、毎日新聞)。なお、他の政党とは異なり、共産党は(党議拘束をかけ)「審議が尽くされていない」として棄権しています(いずれの案の採決も棄権する方針でした)。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成21年6月18日付夕刊1面(4版)

「脳死は人の死」可決  0歳から移植容認

臓器法改正 A案が衆院通過 参院に慎重論
2009年6月18日13時24分

 衆院は18日午後の本会議で、臓器移植法改正案を採決し、原則「脳死は人の死」とし、臓器提供の拡大をめざすA案を賛成多数で可決した。残りのB、C、D各案は採決されないまま、廃案となった。ただ、参院では、多数を占める民主党内に臓器移植の要件緩和に慎重な議員が多く、独自案提出の動きもある。A案がそのまま成立するかどうかは不透明な情勢だ。

 衆院議員は現在、欠員を除き478人。採決は記名投票で行われ、欠席・棄権を除いたA案の投票総数は430(過半数216)、賛成263、反対167だった。共産党は「採決は時期尚早」として本会議には出席するが採決は棄権する方針を決定。自民、民主など他の主要政党は「個人の死生観」にかかわるとして党議拘束をかけずに採決に臨んだ。97年に成立した現行法の改正案が採決されたのは初めて。

 本人の意思が不明な場合でも家族が同意すれば臓器提供できるとするA案では、小児を含むすべての年齢で臓器提供が可能となる。移植学会や患者団体も推しており、最も多くの支持を集めているとみられていたが、原則「脳死は人の死」とすることなどに抵抗感も根強く、過半数確保のメドは立っていないとされていた。

 朝日新聞が5月に衆参両院の全議員を対象に行ったアンケートでも、7割近くが回答せず、回答者のなかでも「わからない・検討中」が2割超を占めるなど、多くの議員が態度を決めかねている様子が浮き彫りになった。A案が可決された背景には、今国会で改正が実現しなければ、当分、改正の機運が遠のくとの議員心理が働いた可能性もある。

 採決は国会提出順に、A、B、C、D各案の順で行われ、いずれかの案が投票総数の過半数の賛成を得た時点で、残りの案は採決されずに廃案になるルールだった。より広範な支持を集めようと、折衷案としてつくられたD案も、採決されないまま廃案となった。」



(2) 読売新聞平成21年6月18日付夕刊1面(4版)

移植法A案 衆院通過 年齢制限は撤廃

賛成263、反対167 参院審議、曲折も

 臓器移植法改正案は18日午後、衆院本会議で採決され、脳死を「人の死」とすることを前提に、現行では禁止されている15歳未満からの臓器提供を可能とすることを柱としたA案が賛成多数で可決された。

 審議の舞台は参院に移るが、A案の成立に消極的な意見や慎重審議を求める声が出ており、成立までには曲折も予想される。

 採決は記名投票で行われ、投票結果は賛成263、反対167だった。投票総数は430だった。共産党は時期尚早との理由で採決を棄権し、そのほかの政党は個人の死生観や倫理観に基づく問題であるとして、党議拘束をかけず議員個人の判断に委ねた。

 A案は脳死が「人の死」であることを前提として、臓器提供の条件について、書面による生前の意思表示と家族の同意を必要としている現行制度を大幅に緩和した。本人意思が不明でも生前の拒否がない限り家族の同意で臓器提供できるよう改める。現行では臓器提供の意思表示ができる年齢を15歳以上としているが、本人意思が不明でも臓器提供が可能になることで年齢制限は撤廃され、乳幼児からの臓器提供が可能となる。また親族への臓器の優先提供についても本人の意思表示ができると定めている。

 国会に提出された四つの改正案のうち、最も臓器移植の機会を拡大する可能性があり、患者団体や日本移植学会などが支持していた。

 残る3案は、臓器提供可能年齢を現在の「15歳以上」から「12歳以上」に引き下げるB案、脳死の定義を厳格化するC案、15歳未満について家族の同意と第三者による審査を条件に可能とするD案だったが、最初に採決されたA案が過半数の支持を得たため、採決されないまま廃案となった。

 A案は同日中に参院に送付され、参院厚生労働委員会で審議が行われる見通しだ。参院の民主、社民両党の有志議員はC案の考えに近い新案を参院に提出する構えを見せており、西岡武夫・参院議院運営委員長は「参院でまだ何の議論もしていない。この問題は慎重にあらゆるケースを考えないと禍根を残す」として、一定期間の審議が必要との認識を示している。

 現行の臓器移植法は1997年6月に成立した。施行後3年の見直し規定があり、臓器提供条件の緩和や15歳未満の臓器提供を認めるよう、患者団体や日本移植学会が法改正を求めてきた。2006年にA、B両案が与党の有志議員によって国会に提出された。C案は両案の対案として、野党の有志議員によって07年に提出されたが、長らくたなざらしの状態が続いていた。

 昨年5月、国際移植学会が自国外での臓器移植自粛を求めた「イスタンブール宣言」を採択し、世界保健機関(WHO)も臓器移植の自国内完結を促す指針を取りまとめる方向となった。このため、15歳未満の臓器提供が禁止されている日本の小児患者は臓器移植を受ける道が閉ざされる可能性が出てきたことから、にわかに同法の改正論議が活発化した。

(2009年6月18日 読売新聞)」




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2009/06/15 [Mon] 00:21:03 » E d i t
飯塚事件については、足利事件を契機として何度か触れています(<1>「「足利事件」の菅家さん、17年半ぶりに釈放~再審開始が確定的に」(2009/06/06 [Sat] 16:53:34)、<2>「「飯塚事件」再審請求へ~旧鑑定に依拠した死刑判決であったのに、なぜ死刑執行したのか?(東京新聞平成21年6月5日付「こちら特報部」より)」(2009/06/13 [Sat] 15:39:20)参照)。

「飯塚事件」とは、いわゆる「東の足利」が覆った今、「西の飯塚」はどうなるのかと囁かれる事件のことです(「「「足利事件」 の菅家さん釈放を巡る報道記事を紹介(2):朝日新聞の場合~「東の足利」が覆った今、「西の飯塚」はどうなるのか――。」(2009/06/07 [Sun] 23:59:44)参照)。何度も触れている問題ではありますが、東京(中日)新聞は、事件現場となった福岡県飯塚市に取材を行い、それを記事にしていたことから、紹介することにしました。



1.東京新聞平成21年6月14日付朝刊25面「現場考」

死刑 待てなかったのか  
 「飯塚事件」死後再審願う妻
2009年6月14日 朝刊

 東の足利、西の飯塚-。一九九〇年代前半、初期のDNA型鑑定によって有罪認定された受刑者が、再審を求める二つの事件があった。「足利事件」の菅家利和さん(62)は十七年半ぶりに釈放されたが、二人の女児を殺害したとして死刑判決を受けた「飯塚事件」の久間(くま)三千年(みちとし)元死刑囚は昨年十月、七十歳で死刑を執行された。再審請求前だったが執行の時期に誤りはなかったのか。一方で事件の現場では「もう済んだ話だと思っていたが」との戸惑いが広がっている。 (荒井六貴、佐藤直子)

■住民は「もう済んだ」

 「今、ここまで執行されているが、自分の番まではまだあるかな」。昨年九月、弁護団の徳田靖之弁護士が福岡拘置所で面会した際、久間元死刑囚は確定死刑囚のリストを示しながら語っていた。

 昨年十月中旬、足利事件の再審請求で、東京高裁が最新技術によるDNA型の再鑑定を実施する方針であることが報じられた。弁護団も希望を見いだした。しかし、久間元死刑囚は直後の同月二十八日に死刑が執行された。

 足利事件の再鑑定の動きを知りながら、法務省は精度の低い初期の鑑定を基に刑が確定した死刑囚の執行に踏み切った。確定から二年というスピード執行だった。

 「早く再審請求をしていれば」と弁護団は悔やむ。「足利の再鑑定が動きだす中での執行は、判断の誤りではないか」と指摘する。足利の弁護団と連携しながら、年内に死後再審の開始を請求するが、捜査に使われた試料は残っておらず、足利の再鑑定で、初期のDNA型鑑定の信ぴょう性が疑わしくなったことを突破口にしたい考えだ。

 「弁護士さんに(再審請求の)意思は伝えています」。久間元死刑囚の妻は九日、福岡県飯塚市の自宅前で心境を明かした。弁護団によると、妻は事件後も地元を離れず、働きながら一人息子を育てたという。

 「足利のことはよく分かりません。(無実だという)本人の言葉を取り上げてほしかった。(死刑を執行されたら)言いたいことを言えないままでしょ」と、記者に厳しい視線を向けた。

 飯塚市内の同じ小学校に通学する一年生の女児二人=当時(7つ)=が、登校途中に姿を消したのは一九九二年二月。現場は民家の壁に囲まれた三差路とみられ、現在も通学路になっている。

 近所の無職男性(80)は「もう済んだもんだと思っていたが、どう判断していいのか」と戸惑いを見せる。

 二人の女児の遺体は約二十キロ離れた薄暗い雑木林で見つかった。現場には三十センチほどの二体の地蔵が置かれていた。久間元死刑囚の再審請求の動きに、女児の母親は「もう結構です」とだけ答えた。

【飯塚事件】 1992年2月、福岡県飯塚市の小学1年女児2人が行方不明になり、遺体が南東部にある甘木市(現・朝倉市)の山中で絞殺体で見つかった。目撃された車などから、久間三千年元死刑囚が浮上。女児の体内から検出された体液のDNA型が一致したことや、車のシートの繊維が女児のつめから見つかったなどの状況証拠から福岡県警が94年9月に逮捕。捜査段階から否認を続けたが、一審の福岡地裁は99年、「鑑定の証拠能力を肯定できる」と死刑を言い渡した。最高裁で2006年に確定し、昨年10月に死刑が執行された。」




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2009/06/14 [Sun] 08:55:34 » E d i t
鳩山邦夫総務相は平成21年6月12日、日本郵政の西川善文社長の更迭要求を麻生首相に受け入れられなかったとして、辞任しました。麻生太郎首相は首相官邸に鳩山氏を呼び、西川氏続投の方針を示しましたが、鳩山氏は受け入れを拒否し辞表を提出し、事実上、更迭しました。首相は後任の総務相に佐藤勉国家公安委員長の兼務を決めています。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年6月13日付朝刊1面

鳩山総務相が辞任 首相の説得拒否 自民離党に含み
2009年6月13日 朝刊

 鳩山邦夫総務相(60)=衆院福岡6区=は十二日午後、日本郵政の西川善文社長退任が受け入れられなかったとして、麻生太郎首相に官邸で辞表を提出、受理された。西川氏を続投させる意向の首相による事実上の更迭。過去三回の自民党総裁選で麻生陣営の選対本部長を務めた盟友の鳩山氏を説得できなかった首相の求心力低下は避けられず、次期衆院選前に「麻生降ろし」が再燃する可能性も出てきた。 

 鳩山氏は辞表提出後、自民党離党の可能性について記者団に「仲間と相談する」と含みを持たせた。

 首相は鳩山氏の後任に、佐藤勉国家公安委員長を兼任させた。

 麻生内閣の閣僚辞任は中山成彬前国土交通相、中川昭一前財務相に続き三人目。

 首相は十二日、鳩山氏と官邸で二度にわたって会談。西川氏が鳩山氏に謝罪することを条件に、続投を容認するよう説得したが、鳩山氏は拒否した。

 首相は同日夕、鳩山氏辞任について、官邸で記者団に「国民の共有財産である郵政事業に関し、政府と日本郵政との間に混乱を生じたような印象を与えたのは甚だ遺憾だ。早急に解決されてしかるべきだった」と強調した。

 政府・与党内では、郵政民営化を支持する勢力を中心に、許認可権を盾に社長退任を強く求める鳩山氏の対応に批判が高まっていたため、首相は混乱を収拾して次期衆院選への影響を最小限に抑えるためには、鳩山氏辞任もやむを得ないと判断した。

 これに対し、鳩山氏は辞表提出後、記者団に「世の中、正しいことが通らないことがある。今はそういう思いだ」と述べた。

◆厚労政務官も辞表

 戸井田徹厚生労働政務官は十二日午後、日本郵政社長の進退をめぐり、鳩山邦夫総務相が辞任したことを受け、「鳩山氏と行動を共にする」として、舛添要一厚労相あてに辞表を提出した。

 戸井田氏は、首相官邸で記者団に「国民の目から見れば『けんか両成敗』が最低の線だ。総務相だけ辞任したので『お供します』という気持ちだ」と理由を説明した。

 また、鳩山氏の元秘書だった古川禎久環境政務官も同日、所属する自民党山崎派の山崎拓会長に辞任の意向を伝えたが、同僚議員らの説得を受け、辞意を撤回した。

 古川氏は記者団に「鳩山氏は事実上更迭された。鳩山氏が言っていることは正しい」と述べた。

====================================================================
【日本郵政人事】 日本郵政の役員人事は同社の指名委員会(委員長・牛尾治朗ウシオ電機会長)が人事案を決め、株主総会に提案する。政府が全株を保有しているため、総会での議決は事実上、政府判断に委ねられている。一方、日本郵政株式会社法は、総務相の認可がない人事は「効力が生じない」と規定。指名委員会は株主総会で西川善文社長ら取締役9人全員を再任する人事案を決定している。」



(2) 東京新聞平成21年6月13日付朝刊27面

識者の声 民営化、社長の評価できぬ
2009年6月13日 朝刊

 識者は西川社長の経営責任を指摘し、社長続投を批判した。

 経済評論家の紺谷典子さんは「鳩山さんは法律的に(社長人事の)認可権限を持っている。おかしなことをやった人が社長に居座るのは許せないから大臣の権限として認めないというのはその通りだ。辞任は実質的に罷免で、とても変だと思う」と憤る。自民党内には、西川氏を辞任させるのは郵政民営化に逆行するとの意見が根強いが、紺谷さんは「逆行などしない。そもそも民営化は国民のため。実をあげてくれるなら社長は政治家でも役人でもいい」と述べ「西川さんはかんぽの宿を高く売るための努力をしたのか。国会では競争入札だとうそをついた。評価できることは一つもない」と断言する。

 田尻嗣夫・東京国際大教授(金融論)は「西川社長は日本郵政の資産売却収入を国民に還元する方策を全く示さなかった。鳩山氏も政府の一員として郵政民営化後、経営を日本郵政に丸投げ状態にした責任がある」と指摘。「今度の騒動を『郵政民営化を進めるか否か』という神学論争にしたことで、国民の利便性向上が取り残された」と批判した。」




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諸法 *  TB: 2  *  CM: 0  * top △ 
2009/06/13 [Sat] 15:39:20 » E d i t
福岡県飯塚市で1992年、女児2人(共に当時7歳)が殺害された「飯塚事件」で殺人罪などに問われ、2008年10月に死刑が執行された久間三千年(くま・みちとし)さん(執行時70歳)について、今年秋以降に再審を請求する予定であるとのことです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成21年6月6日付朝刊27面(12版)

飯塚事件、再審請求へ DNA新証拠提出目指す
2009年6月5日 23時00分

 福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、昨年10月に執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の遺族が今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めたことが5日、弁護団への取材で分かった。弁護団は菅家利和さん(62)の再審無罪が確定的となった足利事件と同様、DNA型鑑定をめぐる新証拠の提出を目指す。

 弁護団によると、飯塚事件は足利事件とほぼ同時期に、同じ「MCT118」という検査法で、DNA型鑑定が実施された。被害者の遺体に付いた血液と元死刑囚のDNA型が一致したとされ、確定判決の根拠の一つとなっている。

 血液は残っておらず、足利事件のようにDNA型を再鑑定することはできない。ただ血液から抽出された犯人のものとされるDNA型はMCT118の「16-26」タイプで、元死刑囚の遺族のDNA型と比較するなどして誤りを見つける。

 「16-26」タイプは足利事件の旧鑑定で、被害者の衣服に残った体液や菅家さんのDNA型とされたが、再鑑定では異なる結果となった。

 確定判決によると、元死刑囚は92年2月、飯塚市内の路上で小学1年の女児2人を車に乗せて誘拐し、首を絞めて殺害するなどした。94年の逮捕以降、一貫して無実を訴えていた。

(共同)」



(2) 読売新聞:九州発(2009年6月6日)

足利事件と同じDNA鑑定法、飯塚事件再審請求へ

 1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑判決が確定し、昨年10月に刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚の弁護団が、今秋以降にも福岡地裁に再審請求する方針であることがわかった。

 久間元死刑囚は無罪を主張していたが、最高裁は2006年9月、DNA鑑定の信用性を認めた。弁護団は「足利事件」と同じDNA鑑定法だったこともあり、鑑定の不備を柱に再審を求める方針。久間元死刑囚の親族も請求に同意しているという。

 久間元死刑囚は92年2月、小学1年の女児2人(いずれも当時7歳)を車で連れ去り、殺害して山中に遺棄した疑いで94年9月に逮捕された。犯行を直接裏付ける物証はなく、遺体周辺から採取された血痕のDNA鑑定が一致したことが逮捕につながった。

 飯塚事件の鑑定法は足利事件と同じく、DNAの配列の一部だけを目で見るなどして調べる「MCT118型検査法」を採用。弁護側は「鑑定は不正確」として無罪を主張したが、最高裁は鑑定結果の信用性を認めた。

 弁護団は約15人態勢で、7月上旬にも会議を開き、再審請求に向けた立証方針を決める見通し。まずはDNA鑑定に関する検証に取り組むが、当時の試料は残っておらず再鑑定はできないという。

 弁護団の岩田務弁護士は「再審請求に向けて、さらに鑑定不備を裏付けるような証拠を固めていきたい」と話している。

(2009年6月6日 読売新聞)」



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裁判例 *  TB: 4  *  CM: 1  * top △ 
2009/06/12 [Fri] 23:57:21 » E d i t
臓器移植法については、今国会で改正機運が高まっていますが、今国会での国会議員の議論からすると、「にわか議論」になっているようであり(「臓器移植法改正案の行方~乱立した4案に対する審議は深まらず」(2009/06/09 [Tue] 23:59:49)参照)、訳も分からずに改正してしまいそうで、このまま改正に突き進んでいいのか、躊躇してしまいます。


1.「訳が分からない」と言えば、日本医師会の動きもよく分からないところです。日本医師会と日本移植学会などは、常々臓器移植法改正を要望していたことはともかくとして、つい最近、B案に賛成している早川忠孝・自民党衆議院議員に対して、A案で採決すべきとの決議文を送っていながら、他方で、自民党の勉強会において採決につき慎重な態度を表明しています。

「日本医師会宮崎秀樹、臓器移植患者団体連絡会大久保通方、自由民主党中山太郎、民主党渡部恒三、公明党渡辺孝男、国民新党自見庄三郎の各氏の連名による決議文が届きました。

声明の尊厳を守り、国際規範に準拠し、人道的立場から下記を決議する。

●臓器を「提供する権利」・「提供しない権利」、移植を「受ける権利」・「受けない権利」をそれぞれ保証(ママ)する。脳死を認めない人の権利を保障する。

●小児、成人を問わず、移植によってしか救うことができない多くの生命を救えるよう、国内の臓器提供を増加させる。これによって国際規範を遵守する。

●小児、成人を問わず、被虐待者からの臓器提供を防止する。

●以上を実現するためにA案の成立が不可欠である。(中略)

なお、前述の決議文には、次のような一文が付いております。

「虐待については、現状でも内因性疾患以外の場合は警察に届け出ることが義務づけられており、警察の検視、犯罪捜査により少しでも疑いのある場合は司法解剖が行われ、臓器提供が行われることは絶対にあり得ない。」

大体言葉で、「絶対に」などという文言があるときは眉に唾を付けて読んだ方がいいのですが、これは実に大変な間違いです。
私は、異常死に対する死因究明制度議員連盟の副幹事長を引き受けておりますが、地域によっては異常死の相当部分が単なる心不全として処理されていること、解剖すれば犯罪に起因することが明らかとなったかも知れないのに、解剖もされないまま自然死として処理されているケースがあること等を学びました。」(「衆議院議員早川忠孝の一念発起・日々新たなり」の「臓器移植法改正案について困った展開」(2009-06-12 12:25:30)より、一部引用。)



■移植法改正に日医慎重

 日本医師会(日医)は11日、自民党が開いた臓器移植法の勉強会で、「『脳死を人の死と定義して良いのか』など、国民的にも十分議論を尽くしていない重要な課題が多い」として、拙速な法改正は慎むべきだとの見解を明らかにした。

 日医は07年5月、「本人が意思表示をしていない場合は、年齢にかかわらず遺族の書面による承諾で臓器提供が可能になるような法の改正を要望する」として、国会に提出されている改正A案に近い見解を出していた。」(朝日新聞平成21年6月12日付朝刊37面)



移植法、賛否で苦悩=議員勉強会-自民

 自民党は11日午後、異なる4案が国会で審議中の臓器移植法改正案に関する勉強会を党本部で開いた。同党は採決で党議拘束を外すため、投票の参考にしてもらう狙い。だが、説明を聞いて悩みを深めた議員も少なくなく、法改正の難しさを浮き彫りにした。
 日本医師会の木下勝之常任理事は、子供への臓器移植に道を開くA案とD案を評価しつつも、「国民的にも広く十分な議論を尽くすべきだ」と指摘。日本宗教連盟の斎藤謙次事務局長は「脳死は人の死ではない」と強調。全国交通事故遺族の会の井手政子理事も「拙速に結論を出すべきではない」と述べた。
 提出者の議員も各案を説明。C案の阿部知子氏(社民党)は「臓器提供者側に配慮がないといけない」と強調した。
 勉強会に出席した平沢勝栄氏は「ますます分からなくなった」。松島みどり氏も「国会議員になって9年だが、これほど悩んだことはない」と語り、どの案に賛成するか判断がつきかねていることを認めた。
 一方、自民党の柴山昌彦氏は小坂憲次衆院議院運営委員長と会い、最初の投票でいずれも過半数に達しなければ、上位2案で決選投票を行うよう求めたが、小坂氏は否定的な見解を示した。(2009/06/11-20:44)」(時事通信:2009/06/11-20:44



『脳死を人の死と定義して良い』というのがA案の骨格です。それなのに、A案を支持している日本医師会自らが、脳死を人の死としてよいのかという点につき、「国民的にも十分議論を尽くしていない」と言い出し、しかも、早川議員相手にはA案に賛同するよう仕向けつつ、他方で、自民党の勉強会では採決を抑制するといった相反する行動をとるようでは、日本医師会の主張は信用されなくなります。(なお、決議文に「保証」という誤字があるのは、間が抜けた感じを与えますが、日本医師会は気にしないのでしょうか。)

脳死下での臓器移植は、他者の死亡と「無償の善意」を前提とします。死亡という重大な生命に関わる点はもちろん、「無償の善意」すなわち「好意」という心情さえも法改正で広げるのであれば、臓器移植法を積極的に推進する側は、正しい情報を十分に提供するという説明責任があるはずです。

それなのに、この期に及んで「国民的にも十分議論を尽くしていない」と言い出すなんて、自らの説明責任を果たしていないことを他人の責任に押し付けようしている態度にしか見えません。

また、決議文では、小児に対する虐待については、「警察の検視、犯罪捜査により少しでも疑いのある場合は司法解剖が行われ、臓器提供が行われることは絶対にあり得ない」だなんて、嘘を吐くことは実に困ったものです。早川議員が「異常死に対する死因究明制度議員連盟の副幹事長」として知りえた事実からも分かるように、誰もがわかるような嘘を吐くようでは、臓器移植法改正を望む側にとっても有害になるだけです。

こうした状況下においては、市民の側が、もっと臓器移植や脳死について理解を深める必要があります。臓器移植法改正に関しては、日本医師会の主張は信用されないおそれがあるのですから。そこで、脳死に関して触れた朝日新聞の記事を紹介したいと思います。


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2009/06/11 [Thu] 23:59:43 » E d i t
1997年に臓器移植法は制定され、3年の見直し規定があるにもかかわらず、一度も改正されたことがありません。ところが、今国会において臓器移植法改正案が採決されようとしています。そこで、臓器移植法のあり方を考えるため、東京新聞は、「命の選択~臓器移植法改正を問う」という連載記事を掲載していましたので(東京新聞5月26日~30日連載)、紹介したいと思います。

連載記事は、「子どもの臓器提供は認められるのか。脳死は人の死とされるのか。2つの大きな問題を中心に、臓器移植のあり方を考える」ものです。そして、連載記事を大別すると、臓器移植を拡大する理由・必要性と、臓器移植を慎重にする理由について触れたものの2つに分けることができます。あらかじめ2つに大別して紹介します。


1.臓器移植を拡大する理由・必要性

(1) 東京新聞平成21年5月26日付朝刊24面「命の選択~臓器移植法改正を問う」(1)

年齢制限 焦る親「日本で助けて」

 4月のある晴れた日の午後。千葉県富津市の中学一年生金子亮祐君(12)は、自宅近くの空き地で父豊さん(43)のグラブに思いっきり直球を投げ込んだ。1年前に心臓移植を受けた体とは思えない躍動感があった。

 幼いころに原因不明の難病「川崎病」にかかり、後遺症で小学四年の暮れに心筋梗塞(こうそく)を起こした。2ヵ月半も意識が戻らず、その後は人工心臓の助けを借りて病院で寝たきりの状態が続いた。医師から心臓移植でしか助からないと言われ、さらに日本では15歳未満の子どもの臓器提供が禁止されていることを知る。豊さんは一時は絶望したが、海外での移植に望みをつなごうと決意した。

 友人らの支援で「救う会」が発足。1億円を超す募金があり、昨年3月にロサンゼルスの病院で10時間の大手術を受けた。手術は成功し、昨年6月に1年半ぶりに帰宅。半月後には所属していた野球チームの試合で始球式を務めるまでに元気を回復した。以前は冷たかった手足も、血のめぐりがよくなり温かくなった。

 「ドナーになってくれた子は、ぼくの中で友達になって一緒に動いている」と亮祐君。今年3月の「第二の誕生日」には心臓を提供してくれた子の分のケーキも切り分けた。「医者になってみんなの命を助けて恩返ししたい」と将来の希望を口にする。元気になった亮祐君を見つめながら豊さんは感じる。 「日本では臓器を提供したいという善意を法律が制限している」

          ■

 「私たちは2歳になる鳳究(ほうく)の命をあきらめることができない。みなさまの善意の力で、息子の命を助けていただければ」。25日午後、東京都庁。三鷹市の会社員片桐泰斗(やすと)さん(31)は記者会見を開き、必死に訴えた。

 鳳究君は昨年10月、拘束型心筋症と診断された。早期に移植手術をするしか命を救う方法はないとされ、今年2月、大阪大の福嶌教偉准教授の仲介で米コロンビア大病院に打診した。

 だが、同大では臓器移植に占める外国人の割合を5%に制限。今年に入って4人の日本人が移植を受けるなど米国人以外で5%に達したため、受け入れがかなわなかった。

 背景には世界的な臓器提供者(ドナー)不足がある。欧州で唯一、臓器移植が可能だったドイツが、3月から外国人の受け入れをやめたことも影響した。

 その後、幸運にも米国の別の大学病院で内諾が得られた。泰斗さんは、手術と渡航に必要な1億円の募金を呼びかけるため妻と会見に臨んだのだった。

 「国内で治療したいが、法律でできない。私たちには時間がないのです。こんなことはうちの子で最後にして、次の子からは日本で助けてもらいたい」

          ◇

 1997年の臓器移植法成立から12年。海外での臓器移植の自粛を求める世界的な流れを受け、国会は長い間たなざらしにしてきた法改正の審議を始めた。子どもの臓器提供は認められるのか。脳死は人の死とされるのか。2つの大きな問題を中心に、臓器移植のあり方を考える。

===========================================================
【海外での移植】 日本移植学会などによると、臓器移植法制定後、海外で心臓移植を受けた18歳未満は約60人。その10倍近い約500人が、渡航できずに死亡したとみられる。子どもに限らず、海外で移植を求める人が多くなり、国際移植学会は昨年、海外渡航移植の自粛を促すイスタンブール宣言を採択した。世界保健機関(WHO)は来年、臓器移植の自国内完結を促す指針を採択予定。」



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2009/06/10 [Wed] 23:59:31 » E d i t
栃木県足利市で1990年、女児(当時4つ)が誘拐殺害された「足利事件」で、17年半ぶりに釈放された菅家利和(すがや・としかず)さん(62)は、各報道機関のインタビューに応じています。
6月11日追記:「無知の暴露」について、説明を加えました。)


1.6月10日現在、共同通信、読売新聞、産経新聞、東京新聞がインタビュー記事を掲載しています。

(1) 【共同通信】(2009/06/06 20:17)

「裁判員でも有罪と判断」 釈放の菅家さん単独会見

 1990年の足利事件で再審請求中に釈放された菅家利和さん(62)=無期懲役が確定=が6日、東京都内で共同通信の単独インタビューに応じ「もし自分の一審が裁判員裁判でも、無罪は出なかったのではないか。裁判員は鑑定結果を信じて、有罪と判断しただろう」と述べ、証拠化される鑑定の精度を高める必要性を強調した。

 また「警察や検察がわたしや両親、兄弟に謝罪しなければ、永久に許さない。裁判官も謝ってほしい」と訴え、取り調べの録音・録画(可視化)を導入すれば強引な取り調べを防止できる、との考えも示した。

 菅家さんは「刑務所に収監された時には、一生出られないのではないかと思うこともあった」と服役生活を振り返り「白いご飯がおいしい」とあらためて釈放の喜びを語った。

 その上で「釈放には感激したが、DNA鑑定で無期懲役になり、再鑑定で釈放された」と複雑な心境も吐露した。

 捜査段階の取り調べについて「『おまえだよ』『証拠はある』と怒鳴られ続けた。否認すると髪を引っ張られ、足をけられた。いくら言っても聞いてもらえず『もう駄目だ』とやけになった」と自白に追い込まれた状況を詳述。「今は自白を後悔している。当時は気が小さかった」と述べた。

 確定判決では、菅家さんが90年5月、足利市内のパチンコ店から保育園女児=当時(4)=を近くの河川敷に誘い出し絞殺した、とされている。

2009/06/06 20:17 【共同通信】」



(2) 読売新聞平成21年6月8日付朝刊1面(14版) 

「やってません」13時間 絶望の「自白」  
菅家さん「悲しくて泣いた」

 4歳の女児が誘拐・殺害された「足利事件」の容疑者として逮捕されて17年半。今月4日に無期懲役刑の執行が停止され、釈放された菅家(すがや)利和さん(62)が6日夜、読売新聞の単独インタビューに応じ、「自白」の経緯などを明かした。

 暴力的な取り調べを受けたのは逮捕当日だけだったが、その後も「犯行ストーリー」を作り続けてしまったという菅家さん。なぜ「虚偽の自白」に追い込まれたのか。足利事件は、取り調べのあり方について改めて問題を投げかけている。

 「今から考えると自分でも分からないが、話をしないと、調べが前に進まない。早く終わらせたかったんだと思う」

 菅家さんは「自白」の経緯をこう振り返る。

 栃木県警の捜査員が自宅を訪れたのは1991年12月1日午前7時頃。「いきなり上がり込んできて、『子供を殺したな』と迫られ、女の子の写真を示され『謝れ』と言われました」。その日は知人の結婚式だったが、求められるまま警察署に向かった。

 署では「やったんだな」「やってません」といった押し問答が夜まで続いた。体液のDNA鑑定結果などを示されてもすぐには認めなかったが、「日は暮れ、心細くなって、このまま家に帰れないかもしれないと思うようになった」という。

 気持ちが折れてしまったのは、取り調べが始まって約13時間たった午後9時ごろ。「刑事の両手を力いっぱい握りしめ、泣いてしまった」

 「刑事は私がやったから泣いたと思ったらしいが、本当は、いくらやっていないと言っても聞いてもらえなくて、悲しくて泣いた。やけになってしまった」。容疑を認めたのは、その後だ。後は「何か(話を)作らないと前に進まない」と、報道された内容に想像を交えて、犯行状況を話した。

 「小さい時から、人からものを言われると何も言えなくなってしまう。相手の機嫌を損ねることが嫌い」と自己分析する菅家さんについて、弁護人の佐藤博史弁護士は、「捜査官に納得してもらわないといけない、と迎合的に考える傾向がある」とみる。その上で2007年に富山県氷見市の男性の冤罪(えんざい)が発覚した婦女暴行・同未遂事件との類似性を指摘、心理学者などを交えての事件の検証を訴える。

(2009年6月8日03時14分 読売新聞)」(*6月8日付朝刊30面にも関連記事)


共同通信でのインタビューでは、「警察や検察がわたしや両親、兄弟に謝罪しなければ、永久に許さない。裁判官も謝ってほしい」と述べており、捜査機関に対する強い憤りとともに、裁判所にも憤りを感じていることを表明している点が特徴的です。ですから、捜査機関側がどれほど真摯な謝罪をするか、最高裁判所長官が謝罪を表明するかどうかが今後の注目すべき点です。

読売新聞でのインタビューでは、「自白」の経緯などを明かしていますし、1面トップで掲載しており、重要なインタビューであるという扱いにはしています。ですが、あまりにもインタビュー内容が少なすぎです。ほんの少しだけしか紙面に掲載しないのであれば、読売新聞はもちろん、菅家さんにとっても意味のない取材であったと感じます。「絶望の自白」という見出しを掲げることで感情論を誘うつもりなのでしょうか。そこで、充実したインタビュー記事を掲載している東京新聞を紹介したいと思います。



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2009/06/09 [Tue] 23:59:49 » E d i t
臓器移植法改正案の国会審議が平成21年5月27日、衆院厚生労働委員会で、現在国会に提出されている4案に対する質疑が行われました。これまでは小委員会での参考人質疑のみでしたが、今国会での採決に向け、ようやく本格的に審議入りし、6月5日、事実上、終了しました。そして、衆院は6月9日午後の本会議で、衆院厚生労働委員会での審議の中間報告が行われ、6月19日にも衆議院本会議で各案を採決する方針です。


臓器移植法改正案 衆院で中間報告

 衆院は9日午後の本会議で、4つの案が提出されている臓器移植法改正案について、衆院厚生労働委員会での審議の中間報告をした。委員会での審議を打ち切り、委員会採決を省略する手続きだ。大半の政党が党議拘束をかけない方向であることを踏まえ、本会議で各議員が態度を示すべきだ、などの理由からで、与党は16日にも衆院本会議で各案を採決する方針。だが、民主党はさらなる審議を求めている。9日の本会議では、厚労委の田村憲久委員長(自民)が審議の経過について報告をした後、「A案→B案→C案→D案」の順に各案提出者が意見を表明する。いずれも過半数を得る見通しは立っていない。

 4つの案のうち、A案は、原則「脳死は人の死」と法で定め、臓器提供の年齢制限(現行法で15歳以上)を撤廃する▽B案は、臓器提供可能な年齢を12歳以上に引き下げる▽C案は、脳死判定の厳格化や生体移植のルール化を定める▽D案は、15歳未満は家族の承諾、第三者機関の確認で臓器提供を可能にする。」(朝日新聞平成21年6月9日付夕刊8面(4版))




1.臓器移植法改正案として提出されている4案と、国会議員に対するアンケートについて、触れておきます。

(1) 東京新聞平成21年5月24日付朝刊5面「ニュースがわかる」

臓器移植法 改正4案って?  年齢の制限や死生観に違い

  臓器移植法の改正案が4つも国会に提出されているけど、今のはどんな法律なの。

  現行の臓器移植法は、事故に遭ったり病気になったりした人が脳死になった場合、本人が臓器提供の意思を事前に書面で示していて、家族が同意した場合に限り、臓器の提供を認めています。

  脳死って。
 
  脳は大脳、小脳、脳幹で構成されていますが、呼吸など生命維持を司(つかさど)る脳幹を含む全体が停止した状態です。脳幹が機能し自発呼吸できる「植物状態」とは異なります。人工呼吸器で心臓は動いていますが回復の見込みはなく、多くが1週間以内で心停止に至るとされています。 

  脳死は死なのかな。 
 
  法が制定された1997年当時の議論では「死は呼吸と心臓の停止、瞳孔散大による三兆候が基準で、脳死は社会的に一律に人の死とまでは言えない」とされました。このため、生前に本人が臓器提供の意思表示をしていた場合のみ、意思を尊重して「脳死を人の死」と認め臓器移植を可能にしたのです。この考えから、民法上遺言を残せない15歳未満からの提供を認めないことになりました。

  なぜ今、法改正が議論されているの。
 
  世界保健機関(WHO)が海外渡航での臓器移植の自粛を求める方向で、今後海外移植が難しくなるとされているからです。特に幼い子どもは国内で移植を受けることが困難なので、望みを断たれかねません。移植を待つ人たちに国会が応えようとしています。

  改正案の内容は。
 
  提出順にABCD案と呼ばれ、いずれも超党派の議員が提出しました。A案は脳死を一律に人の死と考え、本人が拒否していない限り家族の同意だけで提供できるようにします。本人の提供意思が必要ないので、15歳未満からも提供可能になります。B案は現行法のまま年齢制限を12歳以上に引き下げます。C案は脳死移植の拡大に反対する立場から年齢制限は現行法のまま、脳死の判定基準を厳しくします。最後のD案は、脳死についての考えは変えないものの、15歳未満は家族の同意と第三者の意見で提供できるようにします。

  分類すると。
 
  年齢制限を撤廃するのがAD案、現行法をやや緩和するのがB案、厳しくするのがC案といえます。AD案の違いはA案が欧米の基準に合わせ脳死を一律に人の死として移植を大幅に拡大するのに対し、D案は伝統的な死生観に配慮して15歳以上は現行法のまま、子どもへの移植の道を開こうとしています。

  結論は出るの。
 
  与党は今国会で採決するといっています。ただ子どもの脳死判定は大人より難しいとされ、子どもの自己決定権をどう考えるかなど、慎重論も根強くあります。採決では各議員ごとに判断することになりそうですが、脳死や移植についての十分な理解が求められます。 (政治部・金杉貴雄)」



(2) 朝日新聞平成21年6月3日付朝刊1・30面

賛否不明が7割 臓器移植法改正で国会議員アンケート
2009年6月5日6時54分

 臓器移植法の四つの改正案をめぐり、朝日新聞は衆参両院の全議員を対象にアンケートをした。回答を寄せた3割超の議員のうちでは、脳死を「一律に人の死」として提供者の増加を目指すA案が最も多い支持を集めた。だが、全議員の7割近くが回答せず、回答者の中でも「わからない・検討中」が2割超を占めたため、全体では4人に3人の賛否が不明だ。採決になればこうした議員らの動向が結果を左右しそうだ。主要各党は党議拘束をかけない見通し。

 全議員720人に5月に書面で質問した。衆院170人、参院60人の計230人(32%)が回答した。衆院本会議の採決に向け、複数の案に投票できる方式が検討されており、アンケートでは「最も支持する案」と「賛成する可能性のある案」を尋ねた。

 「最も支持」と「賛成する可能性」を合わせて、A案を選んだ議員は44%。現行法では、本人が提供に同意する意思をあらかじめ記した書面が必要だが、A案は、本人が拒んでいなければ家族の同意で提供できるようにする。

 D案は現在は提供できない15歳未満の子から親の同意で提供できるようにする。27%の支持を集めた。脳死の条件を厳しくするC案は13%、提供できる年齢を12歳以上に下げるB案は5%。どれも支持しない人は4%だった。

 臓器移植法は97年に施行された。施行後3年の見直し規定があるが、議論は深まらず、今年4月にようやく審議入り。今回答えなかった議員らは「政治になじみの薄い生死の問題なので悩む」などと説明。「支持者の意見が割れていて選挙前に態度を表明しにくい」と話す議員もいた。

 脳死からの臓器提供者は毎年10人前後にとどまり、日本移植学会などは移植が必要な患者が毎年数千人死亡しているとしている。15歳未満は臓器提供できず、幼児は事実上、国内で移植を受けられない。半面、脳死になったとみられる小児が数カ月以上、心臓死に至らない例もあるため、脳死を死とすることに反対も根強い。」



(3) 朝日新聞平成21年6月6日付朝刊2面(14版)

臓器移植法改正案、16日にも採決へ 与党方針
2009年6月6日1時51分

 衆院厚生労働委員会が臓器移植法改正案の審議を事実上終えたことを受け、与党は16日にも衆院本会議で四つの改正案を採決する方針を固めた。9日には本会議でこれまでの委員会審議の中間報告を行い、各案提出者が意見表明する予定。

 ほとんどの政党は党議拘束をかけない上、議員らの関心は低く、意見集約が進んでいないため、いずれの案も現段階では可決に必要な過半数の確保は見通せない状況だ。朝日新聞が実施した国会議員アンケートでも7割近くが無回答で、回答者でも2割超が「わからない・検討中」としている。」



東京新聞平成21年6月9日付朝刊17面において、臓器移植患者団体連絡会による「臓器移植法改正 私たちはA案を支持します。」という意見広告が掲載されています。こうした意見広告でも分かるように、臓器移植法改正案が採決されることを強く願っています。

臓器移植法改正案の「焦点は、脳死での十五歳未満の臓器提供を認めるか、脳死を人の死とするか、の二つ」(東京新聞平成21年5月27日付夕刊9面「『移植法改正』審議入り 臓器提供 推進、慎重4案」)であるとされています。海外での臓器移植の自粛を求める世界的な流れを受け、今国会での採決を目指しています。

しかし、臓器移植法改正案は4通りもあり、ほとんどの政党は党議拘束をかけない上に、議員らの関心は低く、意見集約が進んでいません。6月9日の衆院本会議で、臓器移植法改正4案の審議経過に関する「中間報告」がなされましたが、報告中、居眠りする国会議員が数多くいたほど、議員らの関心は低いのです。

ですから、いずれの案も現段階では可決に必要な過半数の確保に至っていない状況です。現に、「朝日新聞が実施した国会議員アンケートでも7割近くが無回答であり、回答者でも2割超が『わからない・検討中』としている」(朝日新聞)のです。このように、多くの国会議員は、命を巡る問題を左右するという深刻な改正案であるにもかかわらず、採決間近になっても、どの改正案に賛同するか判断できる状態にないのです。



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2009/06/07 [Sun] 23:59:44 » E d i t
「足利事件」で、無期懲役が確定し、服役していた菅家利和(すがや・としかず)さん(62)は平成21年6月4日、千葉市若葉区の千葉刑務所から釈放されたという報道記事について、各紙で異なった様相を呈しています。そこで、何紙か引用しており、今回は朝日新聞です。


1.朝日新聞平成21年6月5日付

(1) 朝日新聞平成21年6月5日付朝刊1面(14版)

逮捕から17年「謝ってほしい」 足利事件 菅家さん釈放
2009年6月5日3時25分

 90年に栃木県足利市で女児が殺害された事件で00年に無期懲役が確定し、千葉刑務所で服役していた菅家利和(すがや・としかず)さん(62)が4日午後、釈放された。菅家さんが「犯人」とされた最大の根拠はDNA型鑑定だったが、菅家さんの再審請求に基づく再鑑定で、女児の肌着に残った体液の型と菅家さんの型が「一致しない」とする結果が出たことを受け、検察側が刑の執行を停止した。

 法務省によると、再審請求中の受刑者について刑の執行が停止されるのは初めて。

 再鑑定は、再審請求の即時抗告審を行う東京高裁が昨年12月に実施を決定。検察側、弁護側がそれぞれ推薦する鑑定人が鑑定し、5月、いずれも「一致しない」との結果が高裁に報告された。これを受けて東京高検は4日、「肌着から抽出されたDNAが、真犯人の体液によるものだった可能性が否定できない」として、菅家さんの無罪を事実上認める意見書を高裁に提出。高裁は、検察側、弁護側双方の意見書の内容を踏まえ、再鑑定結果が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠の新たな発見にあたる」として再審開始を決定するとみられる。

 91年12月の逮捕・勾留(こうりゅう)以来17年半にわたって身柄を拘束されていた菅家さんは、釈放後、千葉市内のホテルで記者会見した。「真犯人にされ、ずっと我慢してきたが、間違ったではすまない。当時の警察官、検察官を絶対に許さない。私と亡くなった両親、世間の皆様に絶対に謝ってほしい」と話した。

 菅家さんの公判では、一審・宇都宮地裁判決(93年)、二審・東京高裁判決(96年)とも無期懲役とした。弁護側は上告中の97年、独自に依頼した鑑定でDNA型が異なる結果が出たとして最高裁に再鑑定を請求。しかし最高裁は00年、捜査段階の91年に行われた鑑定の「一致する」との結果を裁判の証拠として認める判断を示し、上告を棄却した。02年に始まった再審請求審でも、宇都宮地裁は再鑑定を実施せずに08年に請求を棄却していた。

 再審開始が決定すると、一審の宇都宮地裁で再審が開かれる。検察側は有罪を裏付ける証拠がないとする意見を述べるとみられ、その場合、裁判所が無罪を言い渡す公算が大きい。弁護側は、再審で無罪が確定した場合、刑事補償法に基づく補償を国に求めていくとしている。

    ◇

〈おことわり〉 これまで「菅家利和受刑者」と表記してきましたが、刑の執行停止や釈放などを受け、今後は「菅家利和さん」と改めます。」




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2009/06/07 [Sun] 23:58:26 » E d i t
「足利事件」で、無期懲役が確定し、服役していた菅家利和(すがや・としかず)さん(62)は平成21年6月4日、千葉市若葉区の千葉刑務所から釈放されたという報道記事について、各紙で異なった様相を呈しています。そこで、何紙か引用してみたいと思います。まずは、東京新聞です。

東京新聞は、東京新聞平成21年4月23日付朝刊22・23面【こちら特報部】の「『DNA鑑定』再考」において、次のように記しています。

<デスクメモ>

 足利事件最高裁判決の際、各メディアはDNA鑑定万能論に傾いた。ひとり、最高裁がDNA鑑定に「お墨付きを与えたわけではない」と当初のDNA鑑定に対する過大評価に警鐘を鳴らしたのは本紙だった。手前みそだが、孤立を恐れず冷静な解説記事を書いた後輩記者がいたことを誇りに思う。」


足利事件最高裁判決当時から、警察庁科学警察研究所の鑑定については問題視されていたのですから、「DNA鑑定万能論」は妥当ではありませんでした。「孤立を恐れず」に多様な視点を提供したという点だけでなく、妥当な情報を提供したという点でも、東京新聞だけが、国民の知る権利(憲法21条)に奉仕するという報道機関としての矜持を示したといえそうです。



1.東京新聞平成21年6月5日付

(1) 東京新聞平成21年6月5日付朝刊1面(12版)

「人生返してほしい」  菅家さん 17年半ぶり釈放 足利事件

■最高検 問題点検証へ
2009年6月5日 朝刊

 栃木県足利市で一九九〇年、女児=当時(4つ)=が殺害された「足利事件」で、無期懲役が確定して服役中だった菅家利和さん(62)は四日午後、千葉刑務所から釈放された。菅家さんと女児の下着に付着した体液のDNA型が一致しないとする再鑑定を受け、東京高検は無罪の可能性が高まったと判断した。再審開始前の釈放は異例で、東京高裁は近く、裁判をやり直す再審の開始を決定するとみられる。一方、最高検は捜査や公判の問題点を検証する方針を明らかにした。 

 菅家さんは千葉刑務所(千葉市)から釈放された後、同市内のホテルで記者会見し、「本当にうれしく思います。私は無罪で、犯人ではありません。まったく身に覚えはありません。無実だから、鑑定は一致しないと思っていた」と笑顔で語った。

 冤罪(えんざい)を生み出した捜査当局については、「当時の刑事や検察官は、私や家族に絶対に謝ってほしい。絶対に許せない。間違ったでは済みません。自分の人生を返してほしい」と強い口調で訴えた。

 釈放は「検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる」と規定した刑事訴訟法四四二条に基づいており、この規定に基づき釈放されたのは異例。

 無期以上が確定した事件で、再審が開始され無罪となれば、八九年の「島田事件」以来になる。

 一方、最高検は伊藤鉄男次長検事をトップに、事件の捜査や公判の過程を検証する。記者会見した最高検の鈴木和宏刑事部長は「すべての記録、証拠を精査し、確定した受刑者を釈放することになった原因、問題を調べる」と述べ、速やかに結果をまとめるとした。

 また、精度の低い初期のDNA型鑑定を実施した他の事件についても、最新のDNA型鑑定を求められる可能性を考慮、現在残っている証拠品を廃棄せず、保管するよう全国の検察庁に指示する。

 <お断り> 足利事件は再審開始を待たず受刑者が釈放され、再審無罪の公算が極めて大きいことから、呼称を「菅家利和さん」とします。



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2009/06/06 [Sat] 16:53:34 » E d i t
栃木県足利市で1990年、女児=当時(4つ)=が誘拐殺害された「足利事件」で、無期懲役が確定し、服役していた菅家利和(すがや・としかず)さん(62)は平成21年6月4日、千葉市若葉区の千葉刑務所から釈放されました。

釈放されたのは、「菅家利和(すがや・としかず)受刑者(62)の再審請求で、東京高検は4日、女児の肌着に残った体液のDNA型と菅家受刑者の型が一致しないとするDNA型の再鑑定結果を受けて、『新鑑定が無罪を言い渡すべき明らかな証拠にあたる可能性が高いと判断した』とする意見書を東京高裁(矢村宏裁判長)に提出した。あわせて菅家受刑者の刑の執行を停止する手続きを取った。」(朝日新聞平成21年6月4日付夕刊1面(14版))ためです。

釈放は「検察官は、再審の請求についての裁判があるまで刑の執行を停止することができる」と規定した刑事訴訟法442条に基づいたものであり、この規定に基づき釈放されたのは異例とのことです。しかし、91年12月の逮捕・勾留からは約17年半も経過しています。



1.「足利事件」について、報道記事を読む前に。

(1) 「足利事件」においては、極めて精度が低かった当時のDNA型鑑定を妄信し、暴行を加えてまで虚偽の自白を強要した点が冤罪の原因です。その「原因」を作り出したのが警察庁の捜査官(科学警察研究所も含む)と検察庁の検事であり、最大の責任を負っています。日本の捜査機関には、「暴行を加えてまでも自白を強要する捜査手法は違法である」という意識が根付いていないのです。

また、極めて精度が低かった当時のDNA型鑑定にお墨付きを与えた最高裁判所の裁判官(最高裁平成12年7月17日決定刑集54巻6号550頁。この決定の裁判官は、亀山継夫、河合伸一、福田博、北川弘浩、梶谷玄)、それらの「原因」を17年半も見直すことがなく、鵜呑みにし続けた数々の裁判官も重大な責任を負っています。「被告人の弁解こそ真相ではないかという意識」をもつ裁判官が少数派にとどまっている点が背景にあります(「裁判員に選ばれるかもしれないあなたへ(1)~「被告人の弁解こそ真相では」との意識を(木谷明・法政大学法科大学院教授)」(2009/05/20 [Wed] 23:59:26)参照)。

そして、いまだに「逮捕=有罪」視する報道行い(例えば、「西松建設献金事件」)、DNA型鑑定という新しい科学的捜査手法・科学的証拠を疑問視することなく、稚児のように嬉しがった報道機関にも責任があります。当時、DNA型鑑定を調査・疑問視するキャンペーンを張っていれば、違う経過になりえたからです。

絶対に忘れてはならないことは、<1>警察、検察、裁判所により、真犯人とされた菅家さんの人生や家族の人生が滅茶苦茶にされてしまったことと、<2>警察、検察、裁判所が何時までも菅家さんを犯人視したことで公訴時効期間が過ぎてしまい、「足利事件」の本当の真犯人が処罰を免れてしまったことです。「足利事件」の被害者や遺族にとって、また、菅家さんとは別の者が犯人ではないかと感じていた一部の捜査官にとって、無念でならないはずです。

さらに言えば、<3>福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」では、久間三千年さんに対して、極めて精度が低かった当時のDNA型鑑定に基づいて死刑が確定し、昨年10月に執行されてしまっています(「10月28日、2人の死刑を執行:前回9月11日から47日という最短の間隔での執行~さらに加速してきた「自動執行化」」(2008/10/30 [Thu] 01:41:11)参照)。国は死刑執行により、久間さんを殺してしまった以上、もはや取り返しが付かないのです。



(2) これらの「原因」や17年半も無実の者を釈放できないでいる現状を解消するためには、取り調べの全面可視化が必要ですし、再鑑定の権利の明文化が必要です。

しかし、現在そうした法制度はありません。取り調べの全面可視化については、民主党などの野党と異なり、自民党や公明党は見直す気がありません。はっきり言えば、自民党や公明党は、冤罪を放置するに等しい政党であるのです。また、再鑑定の権利については、科学警察研究所は試料を使い切って再鑑定を不可能にすることさえあります。再鑑定を不可能にするなんて、これをはっきり言えば、証拠隠滅行為に等しいというべきです。

そして、原因を作り出した者に対する責任追及は(原則として)できず、原因を作り出した者が正式で真摯な謝罪や徹底した原因究明をすることは、ほとんどありません。

 イ:【共同通信】(2009/06/04 18:13)

足利事件「慎重に判断した」 担当元裁判官

 足利事件で無期懲役がいったんは確定した菅家利和さん(62)が釈放され、再審開始が決定される見通しになったことについて、有罪とした判決や決定に関与した元裁判官は4日、取材に対し「慎重に判断した結果だった」などと話した。

 2000年に上告を棄却した元最高裁判事の一人は「当時の証拠や全体の審理を踏まえた上で慎重に出した決定だったという思いは変わらない。新しく出てきた証拠で劇的に状況が変化し、検察が対応したということは理解できる」と話した。

 別の元判事は「当時の判断は判決理由に書いてある。それ以上のことは言うべきではない」と言葉少なだった。

2009/06/04 18:13 【共同通信】」


 ロ:【共同通信】(2009/06/04 19:40)

人を裁く重さを考えて」 再審無罪の免田さん

 足利事件で再審請求中の菅家利和さん(62)が釈放されたことについて、死刑囚として初めて再審無罪となった免田栄さん(83)は4日、共同通信の取材に対し「とにかく、おめでとうと声を掛けたい」と述べるとともに「今回の件が、人が人を裁く重さについて国民全体で考えるきっかけになればいい」と話した。

 自身の再審が決まった後、多くの死刑確定者から再審請求についての相談を受けたと話す免田さん。「弁護士を頼む金が無かったり、頼る人がいなかったために再審をあきらめた死刑確定者をたくさん見てきた」とし、「隠れた冤罪被害者はまだいると思う」との見方を示した。

2009/06/04 19:40 【共同通信】」


 ハ:2000年に上告を棄却した元最高裁判事の一人というと、亀山継夫、河合伸一、福田博、北川弘浩、梶谷玄のうち誰かということになります。その方は、「当時の証拠や全体の審理を踏まえた上で慎重に出した決定だったという思いは変わらない」と話していますが、呆れ果てた言い訳です。

「足利事件」では、「被告人と犯人との結びつきを示す証拠が、自白の他には、DNA型鑑定しか実質上存在しなかった」(中島宏「MCT118型DNA鑑定の証拠能力」判例時報1776号(判例評論519号)214-217頁(2002年))のです。ところが、最高裁裁判官が行ったことは、無実を主張し続けた被告人を嘘つき扱いして、真摯に被告人の弁解に耳を傾けることをせず、捜査官が菅家さんの髪を引っ張ったり足を蹴るなど暴行を加えた挙句に得た虚偽の自白を鵜呑みにし、当時から多くの批判があったDNA型鑑定((弁護側鑑定人によると)当時の科警研のDNA型鑑定は、「約185人に1人」の精度であったどころか、人によっては10人に2、3人程度という精度にすぎず、それ以前に科警研の鑑定技術が稚劣すぎて全く信用性に欠ける。)を鵜呑みにし、実質的にその2つだけで菅家さんを有罪にしてしまったのです。

ですから、「当時の証拠や全体の審理を踏まえた上で慎重に出した決定」であるわけがないのです。「嘘を付くのもいい加減しろ」と言いたくなります。憲法38条2項は、「強制、拷問……による自白……は、これを証拠とできない」としているにも関わらず、「足利事件」のように暴行を加えた上での自白であっても証拠として認めているという異常さを少しも異常と思わない人権感覚のなさが問題といえます。

「足利事件」に限らず、元々、裁判官・検事・弁護士出身のほとんどの最高裁判官は、事案を審理する能力を失っています。最高裁裁判官になる法曹出身者は、司法行政に長年携わるなどして実務から離れているか、また、弁護の実務は二の次にして、弁護士会内部の「長年の政治活動」の末の推薦の果てなのですから。ですから、実質的に最高裁の判決を出しているのは最高裁の調査官であって、事件を担当した最高裁調査官がどれほど優秀かどうかによって、判決内容が左右されるのです。もし、ご自身が本気で「当時の証拠や全体の審理を踏まえた上で慎重に出した決定」だと信じているのであれば、その元最高裁裁判官は正気ではないというべきでしょう。

死刑囚として初めて再審無罪となった免田栄さん(83)は4日、共同通信の取材に対し「今回の件が、人が人を裁く重さについて国民全体で考えるきっかけになればいい」と話しています。最高裁平成12年7月17日決定の裁判官である「亀山継夫、河合伸一、福田博、北川弘浩、梶谷玄」も、免田さんの言葉をよく噛み締めて猛省するべきです。



(3) 「足利事件」において冤罪を作り出した「原因」や17年半も無実の者を釈放できないでいる現状について、どのように報道しているのでしょうか? 6月4日~6日に至る新聞報道を幾つか紹介していきたいと思います。まずは、釈放された日(6月4日付)の新聞報道を幾つか紹介します。

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