会見には、6府県の代表者らが参加し、昨年夏から、各地で取り組んできた、住宅支援や就職相談の現状などを報告しています。また、「派遣切り」のさらなる増加が懸念される年度末に向け、3月中旬ごろに各地で実施される炊き出しや臨時宿泊場の開設といった企画を紹介しています(時事通信:2009/02/27-17:44)。この各地で実施される“派遣村”企画についての記事を紹介しておきます。
1.報道記事を幾つか。
(1) 「東京新聞平成21年2月28日付朝刊27面「雇用破壊」
「日比谷から全国5カ所へ 広がる派遣村
2009年2月28日 朝刊
職と住居を失った人の生活支援のため、昨年大みそかに東京・日比谷公園に開設された「年越し派遣村」と似た試みが全国に広がっている。非正規労働者の失業者は厚生労働省の調査で、三月末までの半年間に約十五万八千人に達する。失業のピークとされる三月には、全国五カ所で“派遣村”が企画される。各地の主催者は「生活保護と自立支援のためのシェルター(緊急避難施設)が必要だ」と行政に支援を求めている。 (菊谷隆文)
■来月開村 大量解雇懸念
多くの企業が決算を迎える三月は労働者の新たな大量解雇が予想される。このため、各地の派遣村は中旬から下旬にかけ、仙台市、さいたま市、浜松市、愛知県岡崎市、大阪市で開かれる。公園や公共施設などを会場に、炊き出しや生活労働相談のほか、仙台市以外では宿泊施設のあっせんも行う予定。京都市では生活相談会を開催。鹿児島市でも今後、準備を進める予定という。
各地の主催者グループの弁護士らは二十七日、生活保護の積極活用を求める要望書を舛添要一厚労相に提出。記者会見で「各地のシェルターは路上生活者らで常時満室。増設が必要だ」と訴えた。東京の派遣村の名誉村長を務めた宇都宮健児弁護士は「もともと派遣村は全国に必要だと考えており、自発的に広がっているのは喜ばしい」と話した。
東京の派遣村には約五百人の失業者やホームレスらと多数のボランティアが参加。炊き出しや生活・就職相談を行い、大半の人が生活保護を受けるなどして住居を確保。職探しをしている。
実行委員会は厚労省に「派遣切り」で空いた企業の寮などを活用し、相談窓口を併設したシェルターの増設を要望しているが、全国的な取り組みは実現していない。
派遣村の村長を務めた「自立生活サポートセンター・もやい」の湯浅誠事務局長は「事態が深刻化する三月に行政がこのまま無策であれば、派遣村の教訓が生かされておらず、政府や行政に国民生活を守る力がないということだ」と強調した。
◆きょうホットライン開設派遣法改正連絡会
全国コミュニティ・ユニオン連合会などでつくる「派遣法改正連絡会」は28日と3月1日の2日間、「派遣切りホットライン」を全国に開設し、製造業などで雇い止めされた元派遣労働者や元期間工らを対象に電話相談を行う。同ホットラインは昨年11月以来、2度目。
時間はいずれも午前10時から午後8時まで。首都圏の相談電話は東京が03(5371)5202、(5304)1253、茨城(3月1日のみ)が029(827)0966。また、全労連などは28日午後1-4時、池袋、新宿、渋谷の各駅前で街頭相談を行う。詳しくは東京社保協=フリーダイヤル(0120)978156=へ。」(*なお、ホットラインには、「前回は2日間で約470件の相談が寄せられた。」(11版)とのこと。)
「各地の派遣村と連絡先
・仙台 反貧困市民フェスタ――3月15日「反貧困みやぎネットワーク」 電話022(262)1901
・さいたま 反貧困・駆け込み大相談会――3月21~24日「ほっとポット事務局」 電話048(793)5160
・浜松 トドムント浜松派遣村――3月29日~30日「生活保護支援ネットワーク静岡」 電話054(636)8611
・愛知・岡崎 反貧困・愛知三河なんでも相談会――3月21日~22日(予定)「愛知派遣村実行委員会」 電話052(916)5080
・大阪 反貧困・春の大相談会――3月21日~24日「反貧困ネットワーク大阪事務局」 電話06(6361)1143」
(2) 毎日新聞平成21年2月28日付東京朝刊28面
「派遣村:仙台、愛知、大阪…各地に 来月、年度末にらみ計画
◇炊き出し、労働・生活相談
年末年始に東京・日比谷公園で行われた「年越し派遣村」と同様の取り組みが、3月、全国9カ所以上で計画されている。各地で準備を進める労働団体などは27日、厚生労働省を訪れ、シェルター(緊急避難所)の増・開設や生活保護の積極活用を求める要望書を舛添要一厚労相あてに提出した。開催場所は、仙台▽さいたま▽浜松▽愛知(2カ所)▽京都▽大阪▽岐阜▽滋賀--など。東京は検討中。年度末で経済環境が悪化するとみられる3月中旬の土日などに宿泊を伴わない炊き出しと労働、住居、生活に関連する総合相談の実施を検討している。
仙台市では、反貧困みやぎネットワークが2月から独自にシェルターを準備。外国人労働者の多い浜松市などでは通訳をつけて相談を手厚くするなど各地で独自の取り組みを企画している。大阪市で企画する小久保哲郎弁護士は「できるかぎりのことをやりたい」と話した。
主な連絡先は以下の通り。仙台(022・711・6225)▽さいたま(048・793・5160)▽浜松(054・636・8611)▽愛知・三河(052・916・5080)、愛知・保見ケ丘(0565・48・1108)▽大阪(06・6361・1143)▽岐阜(058・264・7350)▽滋賀(077・522・2118)。【東海林智】
毎日新聞 2009年2月28日 東京朝刊」
(3) 2009/02/27 17:15 【共同通信】
「6府県で“派遣村”3月中開催へ 年度末の大量失業を懸念
大阪の弁護士らが27日、東京都内で会見し、年末年始に東京・日比谷公園で開かれた「年越し派遣村」と同様の取り組みを宮城、埼玉、静岡、愛知、京都、大阪の6府県でも3月中に実施すると発表した。景気の悪化により、年度末に向けて仕事と住居を失う人の増加が懸念されるため、生活相談などに応じる。
会見したのは「反貧困ネットワーク」メンバーの弁護士や司法書士、市民団体関係者ら。大阪市の小久保哲郎弁護士は「緊急事態をなんとかし、行政に働き掛けて共同で取り組むきっかけにしたい」と抱負を語った。
各地の「派遣村」は土日を中心に1-2日間。日程は仙台市(3月15日)、さいたま市(同21、22日)、浜松市(同29、30日)、愛知県岡崎市(同21、22日)、京都市(同8、22日)、大阪市(同21、22日)。
年越し派遣村で村長を務めた湯浅誠さんは「行政は年度末までの1カ月間で、できる限りのことをやってほしい」と訴えた。
2009/02/27 17:15 【共同通信】」
また、雇用が安定しているとされてきた「常用型」派遣でも、解雇例が多くなっている実態も判明しています。失職者数を都道府県別に見ると、愛知(2万3892人)が突出しているほか、長野(7652人)、静岡(7181人)、三重(5927人)など、製造業の集積地が上位に並んでいます。(時事通信:2009/02/27-12:13)
1.報道記事を幾つか。
(1) 東京新聞平成21年2月27日付夕刊1面
「非正規15万7806人失職 1ヶ月で3万3000人増
2009年2月27日 夕刊
世界的な景気悪化に伴う企業の「派遣切り」などで、昨年十月から今年三月までに失職したか、失職が決まっている非正規労働者が全国で十五万七千八百六人に上ることが二十七日、厚生労働省の調査で分かった。一カ月前の調査より約三万三千人増加、昨年十一月調査から三カ月で五倍超に膨らんだ。厚労省は年度末の三月に契約期限を迎え、職を失う非正規労働者がさらに増えるとみて危機感を募らせている。
■止まらぬ“弱者切り”
調査によると、失職者のうち派遣労働者が十万七千三百七十五人と全体の68%を占めた。期間従業員ら有期契約労働者は二万八千八百七十七人(18.3%)、請負労働者は一万二千九百八十八人(8.2%)。契約の中途解除や解雇は六万五千三百三十三人と全体の41.4%。派遣労働者は46.7%が中途解除だった。
契約を中途解除された派遣労働者五万百二十人のうち派遣先が関連会社などへの再就職先の確保を図っていない、厚労省の指針違反のケースは42%。派遣元から聞き取りできた二万千八十八人のうち、期間満了までの残期間が六カ月以上一年以内が27.4%、一年超が5.6%あった。
住居の状況が判明した約七万三千人のうち住居喪失者は4.2%で、これを全体にあてはめると六千六百人超が住居を失ったと推定できる。
産業別では製造業が十五万二千三百四人と96.5%を占め、都道府県別では愛知が最多の二万三千八百九十二人、次いで長野七千六百五十二人、静岡七千百八十一人。
一月調査で判明した失職者約十二万五千人のうち個人が特定できた約四万人についてハローワークのシステムで分析したところ、離職者で雇用保険受給資格があると推定されるのは87.6%、受給資格決定は65.2%だった。」
1.村薫さんの「社会時評」については、何度か紹介したことがあります。
<1>「米国基軸、マネー経済の終焉~次代に備える発想あるのか(東京新聞平成20年10月22日付「社会時評」)」(2008/10/23(木) 23:59:37)
<2>「敗戦記念日63年目を前に~戦争が遠い記憶になっているのではないか?(東京新聞平成20年8月12日「社会時評」より)」(2008/08/14(木) 23:54:02)
<3>「裁判員制度への困惑~民意を活かすところは、死刑か無期かの刑事裁判ではなく、本来は薬害訴訟などの民事裁判では?(東京新聞5月14日付「社会時評」より)」(2008/05/15(木) 23:10:49)
これらの論説にもいえますが、現実の生活に追われて物事が流されがちになっている私たちに対して、しばし立ち止まって熟考する機会を与えてくれる論説になっています。平成21年2月23日付「社会時評」は、いわば現実感を喪失しがちになっている私たちに対して、立ち止まって考えることを重要性を説く要素が強いものとなっています。
1.「良医はどこに? 専門医の腕は信用していいのか?~日本と異なり、米国では専門機関が研修の質を評価(朝日新聞平成21年2月15日付「安心社会へ 選択のとき」より)」(2009/02/15(日) 17:55:14)で触れたコメント主(医師と思われる方)は、「日本の医療の質、どの点が大きな問題だと思われますか?」と私に問い掛け、一方的に「問題点を冷静にご指摘頂ければ」と言い放つのですから、要するに、「日本の医師の質はほとんど問題はない」との自信を示したコメント内容となっています。
おそらくすべての職業において、社会状況が加速度的に進んでいる現在、より適切な結果を得るためには、常に新しい知識の習得を必要とします。資格試験を必要とするような専門職では、他者の身体・財産に影響を与える以上、その職を誠実に全うするため、ほとんど義務といえるほど新しい知識の習得が必要です。例えば、法律分野でいえば、主要な法律であっても常に改正されるため、改正法の内容・問題点、実務的な対応方法の習得は必至であり、対応できない者は(義務を全うできないのですから)自ずと「失職(事実上の失職も含む)」に追い込まれます。
特に、医療の場合は、患者の命や(生涯にわたる)後遺症にかかわるという重大問題ですから、専門職である医師は現役でいる限り、常に新しい知識の吸収が必要であることは、論を待たないといえるでしょう。
では、現在、「開業医の質」を担保できる制度があるのでしょうか? 多くの開業医が参加する日本医師会は、開業医の質を担保するため「生涯教育制度」を設けています。その「生涯教育制度」について、朝日新聞は平成21年2月22日付「医を創(つく)る」で記事にしていましたので、紹介したいと思います。
1.東京新聞平成21年2月15日付朝刊1面
「事件報道のあり方 見直します 裁判員制度開始を前に
2009年2月15日 朝刊
東京新聞(中日新聞社)は、今年五月の裁判員制度開始を前に事件報道のあり方を見直し、「事件報道ガイドライン」を作成しました。事件報道の意義を再確認するとともに、可能な限り情報の出所を示すなど記事スタイルを一部修正。バランスの取れた事件報道を目指します。
ガイドラインに沿った新表記は既に試行しており、三月一日から正式に実施します。
ガイドラインは、捜査段階と裁判段階に大きく分けて、事件報道のあるべき姿を詳述。捜査段階では、「容疑者=犯人」ではないという原則をあらためて確認し、これまで以上に容疑者側の取材に努めて言い分を掲載していきます。
裁判段階では、法廷でのやりとりが中心となる裁判員裁判を視野に入れ、より分かりやすい報道を心掛けます。
写真や見出しについても、読者の予断や偏見を招くことがないよう注意します。」
次に、引用する「事件報道ガイドライン」を読む前に、2点ほど指摘しておきたいと思います。
(1) 捜査段階でも裁判の段階でも、刑事手続においては無罪推定の原則が適用されていることから、「被疑者・被告人=真犯人」であると決め付けてはいけないのです。
ですから、本来、新聞報道でどのように報じていようとも、どういう見出しであろうとも、どういう表情の写真であろうとも、どういう服装であろうとも、現行犯逮捕されたと報道されていようとも、「容疑者=真犯人」であると決め付けて理解してはいけない、ということです。
東京新聞は、今回の「事件報道ガイドライン」において、読者が被疑者が真犯人であると勘違いしないような言葉遣いにするように、できる限り努めたということです。その言葉遣いの工夫を十分に理解して欲しいと思います。
(2) 刑事手続においては無罪推定の原則が適用されていることから、被疑者・被告人が自白をしていようとも、「被疑者・被告人=真犯人」であると決め付けてはいけないのです。富山連続婦女暴行冤罪事件では、自白が強要されていたことから分かるように、自白をしていたからと言って真犯人であると決め付けることはできないのです。
ですから、本来的には、「否認」の主張が紙面に掲載されていても、掲載されていなくても、被疑者を真犯人かどうかの断定は出来ないのです。ただし、「否認」の主張は、犯罪と思われる事実の真相の一面を表したものといえますから、一般市民にとって重要な要素といえます。
東京新聞は、今回、【「否認」の主張は必ず盛り込む】とのガイドラインを発表しています。捜査機関側の一方的な情報だけでなく、被疑者側の主張が必ず紙面に掲載される点で、公正さを担保できるとともに、真相究明の点でも、高く評価するべきものといえます。
今後、東京新聞を読むと、(できる限りということではあるでしょうが、)「否認」の主張を知ることができることになります。
医師の技量や医学知識の程度については、書籍やインターネットでの評価も参考になることは確かです。しかし、数年間の一経験談の羅列にすぎないことも多く、しかも現在は異なっていることも少なくないため、「医師・医療の質」については、口コミという不確実で主観的な情報や「実際に診断を受けて経験しなければ分からない」という運で判断するしかないというのが、多くの方の実感であろうかと思います。
1.ところで、最近、医療問題について、医師と思われる方からコメントを頂きました。その一部を引用しておきます。
「専門医になるには、条件を満たした施設で一定の年数の研修が必要となり、求められる経験を満たして、初めて受験資格が得られます。専門医試験を経て専門医になります。もちろん更新性をとっています。
どの様な専門医が求められるのか、そのレベルはどうなのか、常に議論されているところです。また、リピーター医師といわれる連中への再教育についても当然議論され一部実践されています。専門医をどこが評価するかという問題ですが、専門医以外が評価することは困難というより、不可能だと思います。「学会と関係のない第三者機関」とは意味が良く分かりません。医師国家試験の問題を医者が作るのが当然のようなものではないでしょうか。
それに対して、医療の質を上げるには「医師免許の更新、医師会による処分、専門医を第三者が評価すること8/16」を挙げています。
まず、日本の医療の質、どの点が大きな問題だと思われますか?そして、上記三点が満たされれば医療の質が向上するという根拠はなんですか?上記三点が行われなければ「何もしていないのと同じ8/16」ですか?弁護士資格も更新性はないようですが、医師免許とどこが違いますか?
「簡単な試験を受ければ専門医になってしまいます。8/16」簡単だという根拠はなんでしょうか、他国との比較ですか?
日本の医療は世界的には高く評価されている部分も多いのが現状です。問題点を冷静にご指摘頂ければと思います。 」
要するに、現在の日本の専門医制度について、「常に議論されている」ものの、「第三者機関」が専門医の資格を認定することは必要でなく、また学会(=専門医)以外が判断することは不可能であって、「日本の医療は世界的には高く評価されている」として、現行の専門医制度はほとんど問題はないとの認識を示しています。
別にこの医師と思われる方宛てに問題点を「指摘」したわけでもないのに、突如として(他人の迷惑を顧みることなく)数多くの疑問点を突きつけて、一方的に「問題点を冷静にご指摘頂ければ」とまで言い放つのですから、「日本の専門医制度についてはほとんど問題はない、日本の専門医の腕は誰でも信用に足るものである」、という点において相当な自信を示しているものといっていいでしょう。
では、現行の専門医制度はほとんど問題はないとの認識は妥当なのでしょうか? この点について、朝日新聞平成21年2月15日付の記事を紹介したいと思います。
そればかりか、小泉氏は首相が早期成立を求める、定額給付金の財源に関する2008年度第2次補正予算関連法案に関しても、「この法案が3分の2を使ってでも成立させなければならない法案だとは思っていない」とし、衆院再議決に慎重な考えを表明し、首相発言を念頭に「あのとき賛成したが、実はそうじゃなかったと言いたくない」と再議決での造反の可能性を示唆しています(共同通信)。
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年2月13日付朝刊1面(14版)
「小泉元首相が麻生批判 郵政巡り、給付金再可決に異論
小泉元首相は12日、郵政民営化見直しを巡る麻生首相発言を「怒るというより笑っちゃうくらい、ただただあきれている」と痛烈に批判した。定額給付金を盛り込んだ第2次補正予算の関連法案も「3分の2を使ってでも成立させなければならないとは思わない」と語った。
小泉氏自身が呼びかけ人の議員連盟「郵政民営化を堅持し推進する集い」の役員会で語った。「政治に一番大事なのは信頼感だ。総理の発言が信じられなければ選挙は戦えない」とも述べ、麻生首相に強く自省を求めた。
定額給付金を配るための関連法案は、参院で審議中だ。首相は参院で否決されても衆院の3分の2で再可決して成立させる方針で、12日夜も小泉氏の発言について「聞いていないので何ともお答えのしようがない。給付金は政府与党で手順を踏んで決めた。粛々と進める」と記者団に強調した。
05年郵政選挙で与党に3分の2の議席をもたらした小泉氏が「衆院再可決」への反対姿勢を示したことで、定額給付金への反発を強める民主党が勢いづくのは必至だ。自民党内で沈静化していた首相批判の動きが再燃し、「麻生降ろし」に発展する可能性もある。」
(2) 朝日新聞平成21年2月13日付朝刊4面
「民営化生みの親 激怒 小泉氏、首相の郵政発言批判
麻生首相の郵政民営化見直し発言に、ついに民営化の生みの親・小泉元首相がかみついた。消費税政局が収束し、攻め手を失いつつあった中川秀直元幹事長ら反麻生勢力も息を吹き返しそうだ。小泉発言を機に「麻生降ろし」に拍車がかかりかねない情勢だ。(佐藤徳仁)
■自動内 驚き・動揺
「総理が、これから戦おうとしている人たちに鉄砲を撃ってんじゃないか」
12日夕の自民党本部で開かれた議員連盟「郵政民営化を堅持し推進する集い」の役員会。小泉氏は「(首相に)批判的な意見を述べれば、『後ろから鉄砲撃つな』と抑え込みがある」と指摘したうえで、首相を正面からこう批判し、激しい怒りをぶつけた。
久々の「小泉節」炸裂(さくれつ)に、出席した約20人の議員も、あっけにとられた表情だった。
小泉氏はさらに、「小泉チルドレン」の小野次郎衆院議員らがブログで首相批判した文書を首相に送りつけ、「こういう意見が耳に入っていないだろうからよーく読んどいてくれ!」と直接電話したエピソードも紹介。「政治に一番大事なのは信頼感。総理の発言を信じられなければ選挙は戦えない」とクギを刺した。
この日は自民党各派の総会でも首相批判が噴出。山崎派の山崎拓会長は「決戦を控えている我々の身を十分お考えいただき慎重に発言していただきたい」と批判した。
問題は、小泉氏が首相の郵政発言批判にとどまらず定額給付金に異を唱えたことだ。
小泉氏は「あの時賛成したが実はそうではなかったと言いたくない」と強調。「(民営化に)賛成ではなかったが内閣の一員だから最終的に賛成した」との麻生発言をあてこすった。定額給付金が盛り込まれた第2次補正予算関連法案の衆院再可決をめぐって、「造反政局」がにわかに起こらないとも限らない。
首相側近の党幹部も戸惑いを隠せない。「予想以上に郵政発言は影響が大きい。余計な発言でまた問題を抱えた」」
(3) 東京新聞平成21年2月13日付朝刊1面
「小泉氏が首相批判 給付金再可決に反対 『選挙戦えぬ』
2009年2月13日 朝刊
小泉純一郎元首相は十二日夕、自民党本部での郵政民営化推進派議員の会合であいさつし、麻生太郎首相の郵政民営化をめぐる発言について「怒るというよりも笑っちゃうくらい、ただただ、あきれている」と不快感を表明。「政治で一番大事なのは信頼。首相の発言に信頼がなければ選挙戦は戦えない」と、厳しい麻生政権批判を展開した。
小泉氏は、二兆円の定額給付金の財源を確保する二〇〇八年度第二次補正予算関連法案について「三分の二を使ってでも成立させなければならない法案だとは思っていない」と、衆院での再可決を行うべきではないとの考えを示した。政府・与党が再可決に踏み切った場合、小泉氏が造反する可能性も出てきた。
同法案は、野党が多数を占める参院では否決か採決されない見通しで、成立には衆院で三分の二以上の賛成多数で再可決する必要がある。自民党内で小泉氏の考えに同調し、造反の動きが広がれば成立しない。
小泉氏は首相だった二〇〇五年、郵政民営化を争点に衆院解散・総選挙に踏み切り、自民党は大勝し、衆院で与党が三分の二を占める議席を獲得した。今期限りでの引退表明後も、改革派や若手議員の信頼が厚い小泉氏の政権批判は「麻生降ろし」につながる可能性もある。
会合には中川秀直、武部勤両元幹事長ら約二十人が出席した。」
ところが、平成21年1月27日付の通知(健臓発第0127001号)では、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」と明記して、厚労省は、臨床研究での病気腎移植が実施できることを正式に認め、事実上、禁止されていた病気腎移植が解禁されることになりました。臓器移植法の運用指針自体を再改正してはいないのですが、「通知」と言う形で実質的に改正したことになります。
元々は、平成20年12月11日、超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」の会合において、厚労省は病気腎移植の実施を容認する見解を表明しており(「厚労省、がん腎移植も臨床研究容認の見解公表~「修復腎移植を考える超党派の会」の会合において」(2008/12/12 [Fri] 23:59:29)参照)、この見解どおりの「通知」を発表したというのが事の経緯です。
「この日、東京・永田町の参院議員会館で開かれた超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」の会合は熱を帯びた。(中略)
厚労省の担当審議官は「当初、われわれの説明が不十分な点があって混乱を招いた。われわれとしてはがんの修復腎も臨床研究の対象となるという見解」と明確に答えた。(中略)
担当課長は「この問題が起きた2年前の時点に比べ、今の医学界の常識は変わってきたように思う。2年前は医学的には認められなかったが、日本以外の国でも(病気腎移植を)しているし、がんは転移するのではないかということも言われていたが、新しい知見も出てきた」と発言。」(東京新聞平成20年12月12日付朝刊24面「こちら特報部」)
1.まず、 今年1月27日付の通知(健臓発第0127001号)を引用しておきます((参考)として掲載している「ガイドライン」は除く)。なお、この情報は、「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「厚労省 腎がん等の修復腎移植・臨床研究を正式に認める」 (2009/02/10 20:06)、「motosuke.net」さんの「2009年02月07日 修復腎移植(病腎移植)再開近し」、及び福岡市のHPでの「最近の通知・通達等(医療施設関係)」で知ることができました。お二方と、「通知」のPDFをいち早く掲載した福岡市に感謝します。
健臓発第0127001号
平成21年1月27日
各[都道府県・指定都市・中核市]衛生主管部(局)長 殿
厚生労働省健康局疾病対策課
臓器移植対策室長
「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)
の取扱いについて
臓器移植の推進については平素から御高配を賜り、厚くお礼申し上げる。
さて、平成9年10月8日付け健医発第1329号保険医療局長通知「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)については、平成19年7月12日に改正され、「第12 生体からの臓器移植の取扱いに関する事項」を追加したところである。
今般、「臨床研究に関する倫理指針」(平成20年厚生労働省告示415号)が本年4月より施行されること等を踏まえ、ガイドラインの正確な理解を進めるとともに、適正な臓器移植の実施を図るため、改めてその趣旨等を下記のとおり示すので、貴職におかれては内容を十分御了知の上、貴管下の医療機関等に対する周知方につきよろしく御配慮願いたい。
記
1 いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと。
2 個別の臨床研究の実施に際しては、臨床研究を行う者等が、「臨床研究に関する倫理指針」に規定する事項を遵守し、実施するものであること。
1月27日付通知(健臓発第0127001号)の意味を分かりやすく説明すれば、次の2点になります。すなわち、
<1>臓器移植法の運用指針では、臨床研究での病気腎移植を禁止していないのに、日本移植学会等関連学会は、事実上、臨床研究での病気腎移植を全面禁止にしていたのですから、いわば「ガイドライン」を歪めていたわけです。
超党派の国会議員らが宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師による病気腎移植を容認する見解を出したことについて、日本移植学会の寺岡慧理事長は平成20年5月19日、「医学的に(誤解が)かなりある」として、反対する考えを明らかにしていました(asahi.com:2008年5月19日18時54分)。 この見解表明も、「ガイドライン」を歪めることを堂々と公言していたことになります。
ですから、平成21年1月27日付の「通知」では、「ガイドラインの正確な理解を進める」ことを強調し、「病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していない」旨を明記して、臨床研究での病気腎移植の実施は許されているのだとして、学会の行動を批判したのです。
すなわち、「臓器移植法の運用指針では、臨床研究での病気腎移植を禁止していないのに、事実上、臨床研究での病気腎移植を全面禁止にしていた、日本移植学会等関連学会の対応は不当な制限であり、事実上であっても、臨床研究での病気腎移植の実施を阻害することは許されない」ことを示したのです。
<2>平成21年1月27日付の「通知」における「適正な臓器移植の実施を図るため」という点は、「2 個別の臨床研究の実施に際しては、臨床研究を行う者等が、「臨床研究に関する倫理指針」に規定する事項を遵守し、実施するものであること」に対応しています。
この点は、病気腎移植への批判というよりも、万波誠医師たちが実施した病気腎移植への批判を行っている日本移植学会側に配慮したものといえます。もっとも、臨床研究に関する倫理的指針に従うことには、誰も異存がないのですから、病気腎移植を肯定する側にとっても何の問題もないのです。
むしろ、「臨床研究に関する倫理指針」のみを遵守しさえすれば、病気腎移植を実施できるのですから、日本移植学会側が日本移植学会が承認した医療機関のみが実施できるといった、不当な制約を拒絶することができるのです。
要するに、厚労省は、(臨床研究に限るとはいえ、)いかなる疾患であっても病気腎移植をすることは可能であるとして、病気腎移植の医学的妥当性を認めて、病気腎移植の実施を肯定したのであり、医学的根拠が不十分なままで病気腎移植を禁じていてた日本移植学会等関連4学会を批判し、臨床研究の自由(学問研究の自由)という本来の医療のあり方の遵守を求めたのです。
1.コラム
(1) 朝日新聞2009年2月7日(土)付「天声人語」
「パリの裏通りを歩くと、たまにクラクションの合奏に出くわす。渋滞の源である配送車に、後続の車が遠慮がちに鳴らした一発。それがたちまち長い長い一斉射撃に転じ、荷下ろしの配達員をせかすのだ。「奏者」不詳の匿名性が、気と音を大きくする
▼インターネットでの中傷被害が絶えない。匿名に乗じて、小心者が振り回す言葉の暴力だ。巨大掲示板での雑言は、例えれば公園で怒鳴り散らすのたぐい、ブログへの悪態は民家に土足で乗り込む挙だろう
▼男性芸人が殺人事件に関与したというデタラメな情報をもとに、芸人のブログに「殺す」などと書き連ねた女が、脅迫の疑いで書類送検された。同じブログで中傷を重ねた17~45歳の男女18人も、名誉棄損の疑いで立件される
▼住所は北海道から九州まで。互いに面識はなかろう。同じ民家で暴れた縁とはいえ、「覆面に黒装束」では男女の別すら分からない。だが書き込みの記録から発信元は割れる。警察がその気になれば、覆面は造作なくはがされる
▼顔が見える集団討論でさえ、意見が次第にとんがり、結論が極端に振れることがある。匿名ゆえに責任感が薄まる場では、安易に同調し、論より情にまかせて過激さを競うような群集心理が働くという(岡崎博之『インターネット怖い話』)
▼自由に発信できるネットにより、善意の輪が広がることもあれば、権力やメディアの所業が問われもする。「情」と「報」の海に紛れる悪意をどう摘むか。もはや言論の裏通りとはいえない存在だけに、交通整理の知恵がいる。」
(2) 日経新聞平成21年2月7日付「春秋」
「「おりからの強風にあおられて神社の本殿が燃焼し……」。その昔、こんな火事原稿を差し出してデスクに「バカヤロー」と怒鳴られた記者がいたそうだ。「炎上」と書くべきを「燃焼」とやったわけで、新聞社の伝説のたぐいである。
▼誰が言い出したのか知らないが、被害のありさまを見ればこれもたしかに炎上に違いない。ネット空間の特定のブログなどに、たちの悪い批判や中傷が殺到する事態のことだ。お笑いタレントのブログに「殺人犯」「死ね」といった書き込みをしていた男女18人を、警視庁が名誉棄損容疑で書類送検するという。
▼このなかには北海道の女子高生もいれば関西のサラリーマンもいる。年齢も居所もまちまちな、まあ普通の人たちだ。それがデマや風説をきっかけに激しい言葉の暴力を繰り出し、抑えがきかなくなっていく。警察が摘発に乗り出すのは異例中の異例、あちこちで上がる邪悪な火の手に消火はとても追いつかない。
▼うまく操れば便利この上ないのに、使い方を一歩誤れば惨禍にもつながる。思えば、ネットという道具は人類がかつて得た「火」と似ている。ならばそれを扱うルールとマナーを、家庭で学校で社会で身に付けていくしかない。ブログを炎上させた人たちも、後味の悪さは燃焼もさせられず抱えていることだろう。」
(3) 北海道新聞平成21年2月8日付「卓上四季」
「卒業済みだ(2月8日)
何百万円、何千万円というお金を、そう簡単には他人に預けない。減らないお金などあるはずがないし、うまい話には落とし穴があることぐらい大抵の人が知っている
▼ところが大事な虎の子を巻き上げられてしまう。それどころか知人まで紹介して、意識しないうちに悪事に加担させられる。「円天」を利用した詐欺事件は、もちろん容疑者の会長らが悪い。だが被害者もつい目がくらんでしまったようだ
▼「人殺し」とか「犯罪者死ね」などという言葉を、そう簡単には人に投げつけない。面と向かって言うには勇気がいるし、相手が本当に犯罪にかかわったかどうか、わかりはしない
▼ところがネットの上では簡単に言えてしまう。それどころか「正義感」まで広がって、みんなで加担する。タレントのブログに中傷の文を書き込んだ「炎上」で、警察が悪質な人物の立件に踏み切った。キーボードを押して送信すれば相手の痛みは感じない。身勝手な腹立ちにわれを忘れてしまったようだ
▼円天と炎上、まったく違う事件のようだが、よく似た面がある。行動する前、本当かどうかを確かめるのが必要な局面で、安易な判断をしている。欲とか憤りとかの熱に浮かされてしまって、冷静に考えられなかったのだろう
▼「ほかの人もやっていた」も共通するキーワードだ。集団でデマに踊る。そんな時代は、卒業したはずではなかったか。」
同署によると、書類送検されるのは、大阪府高槻市の国立大職員の男性(45)や千葉県松戸市の男性会社員(35)、札幌市の女子高校生(17)ら。容疑では、18人は昨年1月から同10月にかけ、パソコンや携帯電話から男性タレントのブログに「人殺しが何で芸人やるんだ」「死ね、犯人のくせに」などと書き込んだ、とされています(東京新聞平成21年2月5日付夕刊9面)。
これに先立ち、同署は2月4日、同じブログに昨年12月、「殺してやる」と書き込んだとして、脅迫の疑いで、川崎市の女性会社員(29)を書類送検しました。
キクチさんによると、中傷は約10年間続いたといい、「事実無根」と完全否定しています。ネット上で相次ぐ、こうした「炎上」と呼ばれる集団書き込みに対する一斉摘発は、全国初とみられています。
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年2月5日付夕刊(3版)1面
「男性タレントに「人殺し」書き込み ブログ集団中傷立件へ 警視庁18人名誉毀損容疑
2009年2月5日11時6分
お笑いタレントのスマイリーキクチさん(37)のブログに事実無根の中傷を書き込んだとして、警視庁は17~45歳の男女18人を近く名誉棄損容疑で書類送検する方針を固めた。5日、中野署への取材でわかった。また、同署は、キクチさんを「殺す」などと殺害を予告する内容を書き込んだとして、川崎市の女(29)を脅迫の疑いで4日に書類送検した。
ブログなどへの集団書き込みに対する一斉摘発は極めて異例で、同署は「同じようなネット上の中傷はたくさんあり、こういうことをすれば警察に摘発されるんだと警告する目的もある」としている。
同署によると、18人は札幌市の女子高校生(17)や、千葉県松戸市の会社員の男(35)、大阪府高槻市の国立大職員の男(45)ら。昨年1~10月、キクチさんが開いたブログ上で、少年4人が殺人罪などで実刑判決を受けた東京都足立区の女子高生コンクリート詰め殺人事件(89年)にキクチさんが関与したと決めつけ、「人殺し」「犯人のくせに」などと事実無根の悪質な中傷を書き込み、キクチさんの名誉を棄損した疑いがある。18人の住所は北海道から大分県に及んでおり、お互いに面識はないとみられる。
昨年1月のブログ開設直後から中傷が始まり、同4月以降は書き込みを一部制限した。所属事務所の太田プロダクションのホームページには以前から同様の書き込みがあり、「事件とは無関係」などと告知していたが、攻撃は続いていた。キクチさんが同8月、「芸能活動に支障が生じた」として被害を届け出た。
川崎市の女は、ブログへの書き込み制限が解除された後の昨年12月下旬、キクチさんのブログに「殺す」と書き込んだ疑いがある。女は「ほかの人の書き込みを信用した。内容を信じたことを反省している」と話しているという。
キクチさんは実名を明かした上で、事務所を通じて「全くの事実無根です。今後、このような事件がおきないことを心より願っております」とのコメントを出した。」
「やまぬ被害 抑止効果狙う
インターネット上の掲示板や日記風サイト「ブログ」などでの中傷被害は近年、深刻さを増している。警察庁によると、07年中の相談件数は8871件と前年より1割増え、03年の3倍になった。08年上半期は5482件と過去最悪ペースとなっている。
相談増加に伴い、検挙も年々増えている。08年上半期はネット上での脅迫が52件、名誉毀損が38件だった。
さらに、芸能人やスポーツ選手らが書いたブログの内容に批判が殺到し、一時的なサイト閉鎖などに追い込まれる例も後を絶たない。
一方で、有名人のブログを中心にブログ運営会社が監視を強める動きも徐々に広がっている。約150のブログ・掲示板を監視しているピットクルー(東京都)は、運営会社の依頼に応じて中傷や事実と異なる書き込みを確認すると、削除している。
監視業務にかかわる同社営業部の桃沢隼人さん(29)は「悪質な書き込みの当事者を数多く立件することで、相当の抑止効果があるのではないか」と話す。
ウェブコンサルタントの伊地知晋一さん(40)は「ブログへの誹謗(ひぼう)中傷と反対意見は線引きが難しく、言論の自由にもふれる問題で、警察も立件は慎重に判断したと思う。今回の事件は、複数の人間が長期間にわたって中傷を続ける非常に珍しいケースだ。個人がブログで中傷された場合、警察や弁護士、ネット事業者に相談できるが、労力や時間がかかるうえ、その間に問題が収まってしまうことも多い」と話す。」
(2) YOMIURI ONLNE(2009年2月5日)
「ブログ炎上 矛先が一般人にも
警視庁が異例の一斉摘発に乗り出した男性タレント(37)のブログ炎上事件。ささいな発言などがきっかけとなって批判の集中砲火を浴びる炎上は、インターネット人口の増加に伴い目立ってきた。悪意の矛先は話題になりやすい著名人ばかりではなく、一般の人にも向けられつつある。
矛先、一般人にも
「犯人扱いされ、そのせいでいろんなことがあった」
被害者となった男性タレントは昨年8月、自分のブログでこう心情を吐露した。
このタレントは長年、東京・足立区で起きた女子高生コンクリート詰め殺人事件に関与したという事実無根の中傷を受け続け、昨年4月からは自らのブログの書き込みを制限。悪質な書き込みは、タレントに好意的な投稿者のブログにまで「飛び火」し、そこでもタレントの中傷が続けられたという。
不特定多数から批判コメントなどが殺到するこうした現象がネット上で目立つようになったのは2003年頃。いったん批判に火がつくと手に負えなくなるほど広がり、ブログの閉鎖などに追い込まれる状況を火事などに見立て、「炎上」という言葉が生まれた。「祭り」と呼ばれることもある。
著名人のブログが攻撃を受けるケースは少なくない。
評論家の池内ひろ美さん(47)の場合、ブログでの発言を不愉快に感じた人たちからの中傷や脅迫が殺到。ネット掲示板に「(池内さんの講演会が)血の海になる」などと書き込み、講演会を中止させた無職の男が07年2月に脅迫などの容疑で逮捕された。その後も、掲示板に「暴力団組長の娘だ」などという事実無根の中傷が続いているといい、池内さんは「家族への中傷もあり、強いショックを受けた」と話す。
プロゴルファーの上田桃子さん(22)も、07年10月にテレビ番組でバスケットボールやバレーボールについて、先が見えないスポーツであるかのような発言をした後、批判がブログに集中し、一時閉鎖に追い込まれた。
攻撃の対象は一般の人にも広がっている。最近では、自分のブログで山口県光市の母子殺害事件の被害を矮小化するような書き込みをした大学准教授や、交流サイトに「有害物質メラミンの入ったピザを食べたとうそをつき、ファミリーレストランからカネをとった」と書き込んだ高校生などが、それぞれネット上で批判を浴びた。
ウェブコンサルタントの伊地知晋一さん(40)の元には昨年以降、企業や一般の人から炎上対策についての相談が増加しているといい、「炎上はネットの中だけで完結する次元の話ではなく、個人の生活や企業イメージを左右する危機管理の問題になった」と指摘する。
メディアジャーナリストの藤代裕之さん(36)は「掲示板の情報を簡単に信じ込み、自分も安易に書き込みに応じてしまうような傾向がみられ、ネット上のマナーを学べる環境整備が必要」としている。
ネットの悪弊、歯止め必要
警視庁の狙いは事実無根の書き込みが拡散し、新たな中傷を生むネット社会の悪弊に歯止めをかけることだ。
ネット先進国の韓国では昨年、ネット上の中傷を苦にした人気女優(当時39歳)の自殺を契機に、「サイバー名誉棄損罪」を新設する動きが出ている。日本でも「炎上」の被害は深刻化しており、多くのブログや掲示板には他人を中傷する文言が並ぶ。
ネット犯罪に詳しい甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「匿名のネット社会とはいえ、一方的に中傷された側の社会的、精神的ダメージは計り知れず、摘発の意義は大きい」と話す。ホームページ上の記載を巡り都内の男性が名誉棄損罪に問われていた事件の控訴審判決で、東京高裁は先月30日、「ネット上でも名誉棄損成立の条件は同じ」などとして、無罪とした1審・東京地裁判決を破棄し、有罪とした。
今回の事件では、警視庁の事情聴取に対し、多くは「気軽に書き込んでしまった。こんなことになるとは思わなかった」などと供述しているという。書き込みする人は今後、炎上に安易な気持ちで加わるだけで捜査対象になることを肝に銘じるべきだ。(安井良典)
(2009年2月5日 読売新聞)」
「指針には条約のような法的拘束力はないが、各国の医療政策に生かされ、臓器移植に実質的に影響を与えてきた」(asahi.com)とされており、今年の5月の総会で正式決定する見通しです。日本移植学会は今年1月、WHOの改定を前に移植を受けた患者と提供者の情報管理を始めています。
では、「移植臓器に世界共通の通し番号をつけ管理」する意義はどこにあるのでしょうか、そうしたことを実施した結果・効果はどうなるのでしょうか。移植希望者にとって何か不利益は生じるのでしょうか。こうした点について論じてみたいと思います。
1.東京新聞平成21年2月1日付朝刊20面「こちら特報部」
「違法移植防止へWHO指針
世界共通 臓器通し番号
移植臓器に世界共通の通し番号をつけ管理―。世界保健機関(WHO)執行理事会が臓器移植を受けた患者が提供者(ドナー)の情報管理を加盟国に求めるガイドライン(指針)の改正案をまとめた。移植者やドナーの継続的な追跡調査と、臓器売買など不正な移植を防ぐためだが、どのようにやるのか。その実効性は? (片山夏子)
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今回の改正案は、1991年に制定された臓器移植の指針を改定するもので、5月の総会で正式に採択される見通し。臓器売買は同年の指針でも禁止されていたが「現実問題として、売買を防ぐことができなかった」とWHO移植委員の篠崎尚史・東京歯科大角膜センター長は説明する。
世界共通の通し番号を付けて管理するとはどういうことなのか。
手続きは「現在もすべての臓器や組織に番号がついている。それを国ごとに割り振った番号で始まる国際共通コード番号に変更するだけ」。コード番号を臓器提供時に作成し、その番号が移植患者のカルテ上にも記載され、追跡調査も可能となるという。
ドナーや移植患者のデータを番号と一緒に、臓器あっせん機関や医療機関などが蓄積。その情報に、各国の厚生労働省にあたる行政機関が許可した者がアクセスできるようにする。篠崎氏は「移植は世界で年間数万例程度。通し番号をつけるのもデータ管理も難しくないだろう。端末からの検索方法は各国での対応になると思う」とする。
データ蓄積で、移植医療の現状把握や分析、質の向上を目指す。臓器売買など違法な移植の場合は、正規の番号がつくことは考えにくく、「番号がついてない場合や、現存しない番号がついていることで不正な移植かわかる」。不正な場合、帰国後の治療が保険のきかない自由診療となる可能性が高く、「その点を考えても抑止力になる」とみる。
日本移植学会は指針改正を前に、今年から移植患者とドナーの登録を開始。約110の病院が参加し、性別や年齢、移植経緯や予後など約150項目を登録。情報は暗号化して学会が管理する。
■「闇に潜るだけ」疑問の声も
中国での死刑囚からの臓器移植やフィリピンでの臓器売買のほか、「営利目的の臓器提供や移植も後を絶たない」と篠崎氏。日本などの患者が、海外で移植を受けることへの批判も強い。
中国では外国人の移植が法律で禁止されているが、中国人の偽名をつけて移植をしているという。中国での移植を仲介する男性は「中国やインドを含め、本当に世界共通の通し番号ができるのか」と疑問を呈する。
WHOは先月26日、必要な臓器は各国内で確保する努力を求める指針を理事会で承認。外国人の移植を受け入れてきたドイツやイギリスでも、やめる方向にある。
仲介者男性は「命のかかった患者は必死。ますます闇での移植が増える。移植が進まない現状では、患者は行き場をなくし、生きる希望を断たれることになる」。中国の移植事情に詳しい別の男性も「厳しくはなるが、闇の移植はなくならない」と断言する。
前出の篠崎氏は言う。
「臓器が足りないのは世界共通。これまで人道的に外国人の移植もしてきた国が、受け入れなくなってきている。法改正や医療体制整備、教育を含めて早急に対応し、日本での移植ができるようにしなければならない」」