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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/12/31 [Wed] 19:55:35 » E d i t
大晦日となりました。


1.今年の日本の経済状況の一端をよく示している記事を、1つ引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成20年12月31日付朝刊27面(13版)「景気ショック ゆらぐ足元で」

「夜逃げ屋」大忙し 順番待ち40人、貸し倒れたヤミ金も利用
2008年12月31日3時2分

 夜逃げを手助けする「夜逃げ屋」。荷物をトラックに詰めて短時間で居所を移し、後の仕事まで面倒を見てくれる。最近、不況に苦しむ経営者らが、ヤミ金融業者からの高圧的な取り立てから逃れるために、利用する場合が増え、大忙しという。

  大阪市内のある「夜逃げ屋」の事務所では最近、朝からひっきりなしに依頼の電話がかかっている。関東にも事務所を持ち、例年、年間約100件ほどの夜逃げを手がける。今年は秋口にその数を超えたという。

■決行は午前

 社長(35)によると、秋の1件は、9月の「リーマン・ショック」の記憶が新しいある日の午前に決行された。男性スタッフ3人が2トントラックをマンションに横付けした。下見は終わっていて、持って行く荷物は決めてある。「夜逃げ」だが、音が響く夜には絶対にやらないという。

 荷物を丁寧に段ボール箱に入れている時間はない。債権者が暴力団であることも多く、見つかったら危ない目に巻き込まれるかもしれない。服をごみ袋に入れて緩衝材代わりにしながら、家財道具を裸のままどんどん積み込んだ。所要時間は長くて2時間。普通の引っ越し業者の半分から3分の1の短時間で済ませる。

 あらかじめ懇意の家主に手配しておいた部屋に荷物を運びこんだ。墓の横などの立地だったり、日当たりが良くなかったりするように条件が悪い物件を格安で貸してくれる。

 社長によると、こうした「夜逃げ」に現在約40人が順番待ちをしているという。今秋、不況の根深さを実感した出来事があった。本来、高圧的な取り立てをする側のヤミ金業者が、さらに怖い取り立てを恐れて夜逃げしたのだ。

 その業者には運送業の借り手が多かった。ガソリン高でコストが上がり、不況で受注件数が激減。業績悪化が急速に進んだ。そのため次々と貸し倒れが生まれてしまい、ヤミ金業者そのものの資金繰りが行き詰まった。残った債務は暴力団からの数億円。脅迫まがいの激しい取り立てを受け、相談してきた。

また数億円で建てたビルを所有していた40代前半の男性の夜逃げにも携わった。コンピューター関係の会社を経営していたが、今秋、銀行から突然融資の返済を迫られた。運転資金に行き詰まり、ヤミ金から1千万円を借りた。

■仕事も紹介

 ところがビルのテナントも思ったように入らず、入った物販店も退去して、収入も激減。ビルは借金のカタに取られ、ふくらんだ利子の返済に行き詰まった。取り立てで3人の娘に危害を加えると脅かされ、夜逃げの道を選んだ。

 夜逃げの費用は通常20万円前後。暴力団が絡むなど危険が伴うと手当がついて50万円ほどになる。行き先は、もちろん秘密。同じ県内は避けるが、債権者と接触する道を残せるよう、隣県の場合が少なくない。お金がない依頼者も多く、分割や出世払いも可能だ。かかった費用を払ってもらうために、旅館の住み込みといった仕事も紹介する。

 「夜逃げはあくまで一時避難」と社長は言う。弁護士や認定司法書士を入れてもやまず、身に危険が及ぶような激しい取り立てを、いったん行方をくらますことでかわし、改めて法律の専門家を入れた法的整理を勧めるという。」



■「借金が原因なら夜逃げの必要ない」 弁護士、相談呼びかけ

 ヤミ金問題に取り組み、映画「夜逃げ屋本舗」の監修もした宇都宮健児弁護士は、「借金が原因の場合、ほぼ間違いなく夜逃げする必要はない」と断言する。

 多重債務で厳しい取り立てに苦しんでいる場合、弁護士や認定司法書士に相談し、貸金業者に対し、受任通知を出してもらうことで取り立てを止められる。そのうえで任意整理や自己破産など法的整理に入ることを勧めている。

 もし夜逃げした場合、その後の生活には困難がつきまとう。貸金業者は住民票の異動を絶えずチェックしていて、行き先が分かるとすぐ取り立てを再開する。異動先の住民票がなくて、パートやアルバイトなど不安定な職にしかつけず、さらに借金を重ねるケースも多い。さらに国民健康保険にも加入しづらいなど不利益も多い。宇都宮弁護士は「わざわざ夜逃げしなくていいのに、それを知らない人があまりに多い。無料の相談窓口もあるので利用してほしい」と呼びかけている。

 東京の弁護士会の相談窓口「錦糸町法律相談センター」(03・5625・7336)は年末年始は休み。「全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会」に所属する東京都千代田区の「太陽の会」(03・5207・5520)は来年1月7日から受け付ける。相談はともに無料。(岡田健)」



(2) この記事にあるように、不況に苦しむ経営者らが「夜逃げ屋」に駆け込んでいます。ただ、逃亡生活には困難が付きまといます。ヤミ金問題に取り組み、映画「夜逃げ屋本舗」の監修もした宇都宮健児弁護士が述べているように、「借金が原因の場合、ほぼ間違いなく夜逃げする必要はない」のです(朝日新聞平成20年12月31日付朝刊1面)。

この記事では触れていませんが、企業や個人の破産の場合、ヤミ金(国(財務局)や都道府県に貸金業としての登録を行っていない貸金業者)だけでなく、ほとんどの消費者金融業者が法で定められた金利を越えた利息を超えて利用者に請求していました。キャッシング会社(信販会社系)も、例外ではありません。こうした過払い金は返還請求できる(もちろん、必ず発生したり、取り戻せるとは限りません)のですから、元々、執拗な取立て自体が根拠がない可能性もあるのです。

多額の借金を背負ったとしても、債務整理(任意整理、民事再生、自己破産)をする道があるのですから、夜逃げをしたり、一家心中するまで思い詰める前に、まず、相談するべきです。何らかの救済手段はありえるのです。



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2008/12/30 [Tue] 23:59:19 » E d i t
全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は27件で、昨年より19件少なかったことが明らかになりました。一方で、今年の死刑執行は5回計15人(昨年9人)と急増しており、しかも、今年死刑が確定したのは10人(昨年23人)であったことから、今年の死刑確定者を上回る執行がなされたのです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月29日付朝刊22面

死刑判決27件に減少 確定者100人 執行は15人と急増 今年の集計
2008年12月28日 21時35分

 全国の地・高裁と最高裁で今年言い渡された死刑判決は27件で、昨年より19件少なかったことが28日、共同通信の集計で分かった。殺人と強盗が不況のどん底だった2003年をピークに減少していることを反映し、死刑判決の増加傾向が止まった形だ。今年死刑が確定したのは10人(昨年23人)で、現在の確定者は100人。

 一方、今年の死刑執行は5回計15人。確定者を上回り、10人以上の執行は1976年以来。死刑廃止国が増え、国連で死刑停止決議などが相次ぐ中で、突出した執行急増国となっている。

 集計は最高裁、法務省の統計と関係機関・団体への取材に基づく。

 今年の死刑判決のうち地裁は、長崎市長射殺事件の城尾哲弥被告(61)ら5件で、地裁の死刑判決が1けたにとどまったのは99年以来。

 高裁判決は、最高裁で無期懲役が破棄され、審理が差し戻された山口県光市の母子殺害事件の元少年(27)ら14件。暴力団組長ら3人射殺事件の高見沢勤(被告(53)は2月に前橋地裁で、12月には東京高裁でそれぞれ死刑を言い渡された。

 最高裁判決はオウム真理教元幹部林泰男死刑囚(51)、山口県下関駅15人殺傷事件の上部康明死刑囚(44)ら8件。

 死刑判決の合計件数は03年以降、30-40件台で、昨年は集計のある80年以降最多の46件。しかし、03年に1452件あった殺人が昨年は戦後最少の1199件となり、強盗も昨年は03年より約3100件少ない4567件に減った。

 今年の死刑確定者は最高裁判決を受けた被告のほか、控訴や上告を取り下げた2人。宝石商ら強盗殺人事件の元警察官沢地和夫元死刑囚=当時(69)=ら2人が獄死した。

 確定者100人のうち12月5日現在55人が再審を請求し、12人が恩赦を出願している。」



(2) 毎日新聞平成20年12月29日付東京朝刊24面

死刑判決:今年は27人 昨年より19人減、厳罰化は変わらず

 今年1年間に全国の裁判所で死刑を言い渡された被告は27人だったことが、毎日新聞の調べで分かった。最高裁にデータがある80年以降で最多の46人だった昨年から大幅に減少した。重大事件数の減少などが理由とみられるが、被害者が1人の殺人事件や少年事件で死刑が言い渡されるなど議論を呼ぶ判決が目立ち、厳罰化の流れに変化はなさそうだ。

 27人の内訳は▽1審5人▽控訴審14人▽上告審の最高裁で8人。主な判決では▽山口県光市の母子殺害事件で殺人罪などに問われた当時18歳の元少年(4月22日、広島高裁)▽伊藤一長・前長崎市長射殺事件の城尾哲弥被告(5月26日、長崎地裁)▽埼玉・本庄の保険金殺人事件の八木茂死刑囚(7月17日、最高裁)など。

 光市事件では、少年への死刑適用が争われた。市長射殺事件は、強盗や身代金目的誘拐などでない被害者1人の事件で死刑が選択された。最高裁が83年に死刑選択の判断要素9項目を示した「永山基準」やその後の判例に照らし、量刑に議論を呼ぶ判決が目立った。

 死刑判決を受けた被告数は80年以降、年間5~23人だったが、01年に30人に達した。その後は▽02年24人▽03年30人▽04年42人▽05年38人▽06年44人▽07年46人--と増え続けていた。【北村和巳】

毎日新聞 2008年12月29日 東京朝刊」


■死刑判決をうけた被告人数の推移

・99年―――16人―――獄死者1人
・00年―――16人
・01年―――30人
・02年―――24人
・03年―――30人―――獄死者2人
・04年―――42人―――獄死者1人
・05年―――38人
・06年―――44人
・07年―――46人―――獄死者1人
・08年―――27人―――獄死者2人」

(*毎日新聞平成20年12月29日付東京朝刊24面と、東京新聞平成20年12月29日付朝刊22面の図表を参考にしたもの。)



(3) 毎日新聞 2008年12月22日 東京朝刊

死刑執行:今年15人、確定者上回る 9年ぶり、加速鮮明

 今年1年間に死刑を執行された人数が、9年ぶりに年間の死刑確定者数を上回ることが確実になった。21日までに15人が死刑を執行された一方、死刑判決の確定者は10人。厳罰化の流れや確定死刑囚の増加を背景に、刑執行を加速する法務省の姿勢が鮮明になった。

 法務省の統計によると、99年は5人に死刑が執行された一方、確定者数は4人で、執行者数が上回ったが、00~07年の執行者数は1~9人、確定者数は2~23人で推移し、執行者数が下回っていた。

 だが、今年の死刑執行は鳩山邦夫元法相下で3回(2月3人、4月4人、6月3人)、保岡興治前法相下で1回(9月3人)、森英介法相下で1回(10月2人)と、ほぼ2カ月に1回のペースで計5回行われた。このうち連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤死刑囚は判決確定から2年4カ月で執行され、確定から執行までが短期化していることも特徴だ。

 一方、今年の死刑確定者は▽オウム真理教事件の林泰男死刑囚(51)=3月確定▽静岡・三島の女子短大生焼殺事件の服部純也死刑囚(36)=同▽埼玉・本庄の保険金殺人事件の八木茂死刑囚(58)=8月確定▽下関駅通り魔事件の上部康明死刑囚(44)=同=ら10人。

 年間の死刑確定者数は04年の14人以降、05年11人、06年21人、07年23人と2けたに乗り、年末時点の確定死刑囚数は05年の77人から急増し、現在は100人だ。【北村和巳】

毎日新聞 2008年12月22日 東京朝刊」




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テーマ:死刑 - ジャンル:政治・経済

2008/12/29 [Mon] 23:59:23 » E d i t
いわゆる「病気(修復)腎移植騒動」から2年経過しました。「修復(病気)腎移植」が騒動になったのは、次の記事(読売新聞)が出たあたり、すなわち2006年11月2日からだと分かります。


病気腎を移植11件 大半は親族以外…愛媛・宇和島徳洲会病院の万波医師

 生体腎移植手術に絡む臓器売買が明らかになった宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)は2日、過去に実施した生体腎移植で、病気のため摘出した腎臓を別の患者に移植したケースが11件あったという調査結果を発表した。病院関係者は、これらの腎臓は良性腫瘍(しゅよう)や動脈瘤(りゅう)などの病気で摘出されたものとしているが、他の腎移植医らによると、病気の腎臓を移植することは医学的にあり得ないという。臓器売買という法的な面だけでなく、移植手術そのものも大きな問題となりそうだ。(以下、省略)」(2006年11月03日掲載 読売新聞)



昨年も、「病気腎移植騒動から1年、万波医師ら語る~解禁ならすぐにでも(東京新聞11月24日付「こちら特報部」)(2007/11/24 [Sat] 21:34:39)において、1年を振り返ったので、朝日新聞の記事を紹介して、今年の1年もまた振り返ってみたいと思います。
12月30日追記:最後の部分について、幾らか追記しました。)

なお、次に引用する朝日新聞の記事を知ったのは、「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「国に翻弄された2008年-修復腎移植問題-」(2008/12/23 17:04)というエントリーです。「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんに感謝します。



1.asahi.com:マイタウン・愛媛(2008年12月19日)

【回顧 えひめ08】 国に翻弄され続け
2008年12月19日

◇保険医療機関取り消し問題 「聴聞会」延期のまま

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(68)が手がけた病気腎移植問題で、厚生労働省は今年2月、同病院と万波医師の前勤務先である市立宇和島病院の保険医療機関の指定と、万波医師の保険医登録のいずれも取り消す方針を固めた。しかし、国がこの行政処分について当事者の意見を聞く聴聞会の開催は、今なお延期されたままだ。南予の患者や住民、医療現場はこの1年、国の方針に翻弄(ほんろう)され続けた。

 ●12万人署名

 万波医師は徳洲会病院で11件、市立宇和島病院で25件の病気腎移植手術をした。

 厚労省と愛媛社会保険事務局は06年11月~今年1月に両病院を監査し、病気腎移植は保険請求が認められない「特殊療法」にあたると判断。両病院は病気腎移植を不正に保険請求し、市立宇和島病院では他の診療でも不正請求があったとして、両病院の保険医療機関の指定の取り消しや、不正請求分の全額返還などを求める方針を固めた。

 病院が保険医療機関の指定を取り消されると、原則5年間は保険診療ができず、患者は医療費を全額自己負担しなければならない。保険医登録を取り消された医師も5年間、保険適用外の自由診療しかできなくなる。

 市立宇和島病院は救命救急センターを併設し、がん診療連携拠点病院でもある。地域の基幹病院のピンチに対し、宇和島市連合自治会は1月、「保険医療機関の指定継続」を求める署名運動を展開。南予全域と高知県西部の自治体にも協力を求め、約10日間で12万人もの署名を集めて厚労省に提出した。

 宇和島市は2月下旬、不正請求は加算金を含め、約1億5千万円になることを明らかにし、全額返還する方針を決めた。

 ●徹底抗戦

 こうした中、愛媛社保事務局は2月末、宇和島徳洲会病院に対する聴聞会を松山市内で開いた。しかし、同病院側は「聴聞会に厚労省職員は同席できない」と行政手続法の解釈をめぐって異議を唱え、結局、聴聞会は延期された。

 5月中旬に開く予定だった同病院への聴聞会も、与野党の国会議員でつくる「修復腎移植(病気腎移植の別称)を考える超党派の会」が、病気腎移植を容認する見解をまとめて厚労省に処分の再考を促し、再び延期となった。

 事態が一向に動かないまま、愛媛社保事務局にも転機が訪れた。10月の社会保険庁の組織改革で、保険医療機関の指定や保険医登録など同事務局の業務の一部が、四国厚生支局(高松市)に移管された。

 同支局幹部は、聴聞会の再開について「超党派の会の動きもあり、本省の指示待ち状態だ」と打ち明ける。

 今月10日には、慢性腎不全患者7人が日本移植学会の幹部を相手取り、「病気腎移植の原則禁止という国の誤った判断を導いた」として、病気腎移植を否定した見解の撤回と慰謝料などを求める訴えを松山地裁に起こした。

 この間、市立宇和島病院では総事業費約198億円をかけた待望の新病院本館が10月に完成。 診療科目は28科、病床数435床の新病院として新たな一歩を踏み出した。開院式典で来賓の加戸守行知事は「病気腎移植をめぐり保険医療機関指定取り消しの動きがあったが、開院を機にすっぱり忘れていただければ」と祝辞を述べ、喝采を浴びた。

 国による処分問題を調査するため、3月に両病院を視察した社民党の阿部知子政審会長はこう話している。 

 「不正請求とされる内容は意図も作為もなく、医療事務上のミス。これで保険医療機関の指定を取り消すのは短絡的だ。国はまず指導し、是正すれば処分しないというルールをつくるべきだ」 (寺尾康行)」




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2008/12/28 [Sun] 23:58:37 » E d i t
自動車や電機業界で始まった派遣社員や期間従業員など非正規雇用労働者の失職は、来年3月までに8万5千人に達すると厚生労働省が発表しています。それも、失業とともに社員寮の退去を余儀なくされ、住居や部屋を失った人は、確認できた3万5千人のうちだけで、2千人にのぼっています(朝日新聞平成20年12月26日付夕刊1面)。

このように急激に失業者が増えるなか、今何をなすべきなのでしょうか? 朝日新聞「耕論」欄において、論説を掲載していましたので、紹介したいと思います。

耕論:膨らむ解雇 今どうすれば

 派遣や契約、請負社員ら解雇される労働者の数が膨らみ続けている。新年を目前に職と、時に家さえも奪う社会とは何か。経営、労働運動、ホームレス支援の立場から3人が論じる。」(朝日新聞平成20年12月28日付朝刊1面)




1.朝日新聞平成20年12月28日付朝刊7面「耕論:雇用危機の姿」

<キーワード> 非正規労働者 正社員以外の労働者。以前はパート・アルバイト、契約社員ら直接雇用が主だった。職業安定、中間搾取防止の観点から、派遣には厳しい法規制があった。

 89年、雇用の多様化、人件費削減を目指す経済界の要請で、間接雇用を認める労働者派遣法を施行。04年の製造業への派遣解禁で一気に派遣労働者が増えた。請負を、派遣同様に扱う「偽装請負」も明らかに。正社員より低賃金で、雇用の調整弁として使われやすい非正規労働者は現在計約1800万人、全労働者の3分の1に。」



(1) 経営者の立場から。

人間見ようとしない経営

品川 正治(しながわ・まさじ)さん 経済同友会終身幹事

 職を失う非正規労働者が今年10月から来年3月までに8万5千人に達すると厚生労働省が発表した。来春採用の内定を取り消された大学生や高校生も800人近くいるという。異常な数字である。

 米国発の金融危機が欧州や新興国を巻き込み、実体経済に波及した。それが日本では雇用という経済社会の基本を揺るがす問題として浮かび上がっている。「構造改革なくして成長なし」という成長至上主義の呪縛にとらわれた米国型改革で派遣労働が緩和された結果、労働者が最大の犠牲を強いられている。

 これまで日本の資本主義には、果実は国民が分けるという実質があった。それが修正主義と批判され、果実は株主や資本家のものという考えが幅を利かせた。いったんは回復した景気の実感さえ得られないまま、リストラという名目で労働者への分配は減らされ、浮いた利益を配当に回すことで経営者の報酬を増す。そういう米国型の経営手法が当然とされてきた。

 非正規労働者を調整のための「物」とみなす風潮の横行に今年、労働者の危機感は高まった。小林多喜二の小説「蟹工船」が若い人たちの間で話題となり、「搾取」という古い言葉が議論に欠かせなくなった。労働者の危機感は現実となり、いまや「路頭に迷わせるな」というこれまた古い言葉が、切実さをもって復活している。

 話が飛ぶようだが、私は憲法9条を行動の指針としている。復員の船の中で初めて読んだ条文の根底に、国家ではなく、人間の目で戦争をとらえる確かな視線を感じたからだ。経済も人間の目でとらえることができるか。経営者として私は自ら問うてきた。

 現状はどうか。人間の目どころか国家の目でもとらえられないものに、経済は変質した。国際金融資本や多国籍企業の視線に、国家も国民も振り回されている。痛みは大きいが、米国型金融資本主義が崩壊したことに安心さえ覚える。あと5年も米国化が進行していたら、経済の変容は行き着くところまで行き、労働者も今以上に商品化していたことだろう。

 米国では80年代から進んだグローバル化も、日本で本格的に進んだのは00年以降のことだ。日本企業はまだ米国型に100%染まってはいない。役員会で労働者を切って配当を確保しようとする財務担当者に対して、雇用を守ろうと必死に主張する人事担当者がいると信じたい。

 雇用の確保が成長を遅らせるという反論に対する答えはノーだ。家も借りられず結婚もできない若い労働者は、内需のマーケットから完全に除外されている。彼らの生活の再生産と将来設計を可能にする雇用の保障は、長い目でみて外需頼みから内需への転換を促す要素になるはずだ。

 経営者は本来、資本家のためだけではなく、従業員や代理店などすべての利害関係者のために仕事をするものだ。いま、職と家を失った非正規労働者の受け皿を、他の企業や自治体が用意する動きが広がっている。彼らは人間の目で、人間を見ている。あなたには見えますかと、経営者に聞くとよい。

  (聞き手・今田幸伸)
-------------------------------------------------------------------
 24年生まれ。旧日本火災海上社長を経て、93~97年経済同友会専務理事。現在は国際開発センター会長
-------------------------------------------------------------------」


今、こうした先を見据えた見識を示してみせる経営者は、どれほどいるのでしょう。

品川正治さんは、「『構造改革なくして成長なし』という成長至上主義の呪縛にとらわれた米国型改革」に対して、以前から批判的であったお一人ではあるため、多くの人がこの方の名前と主張を知っているとは思います。そうした点を前提にした批判であるとしても、「非正規労働者を調整のための「物」とみなす風潮の横行」に対して、正面から批判する経営者側はほとんどいないこと自体が、問題であるように思います。


 
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2008/12/27 [Sat] 23:58:57 » E d i t
今年10月から来年3月までに職を失う非正規労働者が、全国で8万5000人に上ることが明らかになりました。しかも、「12月だけで3万4000人と半数近くを占め、年の瀬にかけて職を失う人が多い」(朝日新聞)ことも明らかになりました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月26日付夕刊1面

失職8万5000人に拡大 非正規労働者 年度末までに 前月比5万5000人増
2008年12月26日 夕刊

 世界的な景気悪化の影響で、少なくとも八万五千人の非正規労働者が十月から来年三月までの間に失職したり、失職が決まっていることが二十六日、厚生労働省の全国調査で分かった。一カ月前の調査より約五万五千人も増えており、雇用情勢が厳しさを増している実態が明らかになった。厚労省は今後、さらに増える可能性があるとみている。 

 調査によると、来年三月までに、契約の中途解除や契約期間満了に伴う雇い止め、解雇などで失職する非正規労働者は計八万五千十二人。うち、派遣労働者が五万七千三百人(67・4%)を占め、期間従業員などの有期契約労働者は一万五千七百三十七人(18・5%)、請負労働者は七千九百三十八人(9・3%)だった。年内に失職する人は五万二千六百八十四人に及ぶ。

 産業別では、製造業が八万千二百四十人(95・6%)でほとんどを占めた。都道府県別では、トヨタ自動車など自動車関連産業が多い愛知が最多の一万五百九人。長野四千百九十三人、福島三千八百五十六人、静岡三千四百六人と続く。

 また、住居の状況を把握できた三万五千二百八人のうち、二千百五十七人(6・1%)が住居を喪失。再就職状況が把握できた一万七千百七十一人のうち再就職先が見つかったのは二千二十六人(11・8%)にとどまった。」



(2) 朝日新聞平成20年12月26日付夕刊1面

非正規社員の失職、8万5千人に 来年3月までの半年で
2008年12月26日12時8分

 厚生労働省は26日、契約期間の満了に伴う「雇い止め」や期間途中の契約解除による解雇などで、今年10月から来年3月までに職を失う非正社員が、全国で8万5千人に上る見込みだと発表した。11月の前回集計では3万人だったが、わずか1カ月で2.8倍に膨れあがった。また、来春の就職予定者のうち、内定を取り消された大学生や高校生が769人に上ることも公表した。こちらも前回の331人から2.3倍に増えた。雇用情勢は厳しさを増しており、どちらも今後、さらに増える可能性がある。

 全国のハローワークなどを通じ、19日までに確認できた人数を集計した。

 失業する非正社員のうち、派遣が5万7千人と7割近くにのぼった。そのほか期間従業員など契約社員が1万6千人、請負が8千人など。業種別では、製造業が96%を占めた。

 全体のうち、契約期間が満了する前に、中途で契約を解除されたり解雇されたりした人が46%もいた。期間満了前の解雇は、労働契約法で「やむを得ない事由がある場合でなければできない」とされており、同省は指導を強める。

 雇い止めや解雇の時期をみると、確認できた7万2千人のうち、11月までの合計は1万8千人だったが、12月だけで3万4千人と半数近くを占め、年の瀬にかけて職を失う人が多いことが浮き彫りになった。1月に失職する予定の人も1万2千人いた。

 失業とともに社員寮の退去を余儀なくされ、住むところがなくなる人は、確認できた3万5千人のうちだけで、2千人にのぼった。

 都道府県別では、トヨタ自動車を中心に自動車産業が集積する愛知県が1万509人で最も多く、電機・精密機器が集まる長野県(4193人)と、自動車部品メーカーが多い福島県(3856人)が続いた。東海や北関東など、製造業の工場が集積している地域で、特に多かった。

 一方、内定を取り消されたのは、大学生や短大生などが632人で、高校生は137人。内定を取り消した企業は172社だった。業種別では不動産業の197人、製造業の187人、サービス業の136人が目立つ。

 取り消しの理由では、経営の悪化が555人、企業の倒産が207人で、その他・不明が7人だった。

 今回の数字は年度途中にもかかわらず、記録が残る93年度以降では94年度の512人を上回り、山一証券が自主廃業した97年度の1077人に迫る規模となっている。同省は十分な回避策を講じないなど悪質な企業名を公表するため、1月中にも職業安定法の施行規則を改正する方針だ。(林恒樹、生田大介) 」


「失業とともに社員寮の退去を余儀なくされ、住むところがなくなる人は、確認できた3万5千人のうちだけで、2千人にのぼった」(朝日新聞)のですから、現在、何千という人々が住む家もなく路頭に迷っているはずです。

ではどこが一番解雇しているかというと、「都道府県別では、トヨタ自動車を中心に自動車産業が集積する愛知県が1万509人で最も多く」(朝日新聞)ということです。そうすると、トヨタ自動車が最も罪深い行動をしていることになります。

「厚労省は今後、さらに増える可能性があるとみている」(東京新聞)ように、8万5000人でさえ、まだ少ない可能性があります。

 「失職する非正規労働者数の見通しが大幅に増大したことに、労働組合「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「国はまだ全容を把握し切れていないのではないか。派遣業界では『このままでは失業者は数十万人になる』という見方が出ている」と警告。

 「国の緊急対策は失業後の支援ばかりで、現状には追いつかない。『非正規切り』を規制する法的な緊急対策こそが必要だ」と批判している。」(東京新聞平成20年12月26日付夕刊11面


このように、ますます深刻になってきている非正規労働者の状況に対して、自治体や企業の一部が住宅提供、雇用で支援に動きだしています。こうした非正規労働者支援の現場をルポした記事を、東京新聞「こちら特報部」が記事にしていましたので、紹介したいと思います。



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寒しこの夜 
2008/12/24 [Wed] 05:17:15 » E d i t
今年は、気候だけでなく、心から寒々しいクリスマスとなりました。それに対して、各テレビ局のアナウンサーばかりが、世情と懸け離れて、「待ちに待ったクリスマス・イブです」(日本テレビ)など朗らかに笑いかけ、喜んでいるようにさえ、思えます。



1.東京新聞平成20年12月18日付夕刊7面「大波小波」

寒しこの夜

 多くの欧米の物語ではせめてクリスマスには素敵な奇跡が起こって、貧しい者にも幸福がやってくる。日本では代表的大企業が派遣切りや雇用削減を行って、年末の寒空に人々とその家族を放り出す。そして、複数の人から聞くのだが、教師や高給サラリーマンといった、知識のあるはずの人たちの、「負け組」に対する視線が極端に冷淡なのだと言う。同じく、「勝ち組マスコミ」の報道も、貧しい人たちの共感を得て、励まして行くには至らない。

 人々はバラバラに分断されている。日本には宗教的共助の伝統が濃くないこともあるのかも知れないが、たぶんみんな、見たくないのだ。 「ああはなりたくない」と思うだけで、自分の今の立場を守るだけで精一杯なのだ。社会的活動に踏み出すどころではない。縛られ、怯(おび)えているのだ。

 帰るべき暖かい家があって、家族とクリスマス・ケーキを囲めるというのは、小さくはない倖(しあわ)せと言えるだろう。だが私たちの見ようとしないところに、それどころではない大勢の人たちがいる。

 ケーキに蝋燭(ろうそく)を灯(とも)してしばらくの間だけでいい、寒空の下の人々に思いを致す静かな時間を、今年からは持ったらどうか。そこから何かが、始まらないとも限らないのだ。 (貧者の一灯)」


景気の急速な悪化で派遣社員や期間従業員などを中心に失業する人が急増し、派遣会社の寮から退去を迫られるケースも多いのです。特に、今年は役所や会社のほとんどが12月27日から来年1月4日まで休みになるので、生活が困窮した駆け込み先が心もとない状態です(東京新聞平成20年12月18日付朝刊17面【暮らし】)。

そこで、「派遣切りで家もない困窮者は、どこへ相談したらいいのか?~東京新聞平成20年12月18日付記事を紹介」(2008/12/18 [Thu] 23:58:42)でも紹介したように、「反貧困ネットワーク」などは、12月24日(水)10時から、「生活保護・労働・多重債務・住まい何でも相談会」を実施します。

このように、12月24日という日であっても、「年末年始の寒空に放り出され、どうやって生きていこうか」と途方にくれている人たちがいるのです。日本では、小泉竹中「構造改革」の成果により、景気の調整弁と化した多数の非正規労働者を、代表的大企業が派遣切りや雇用削減を大量に行ったおかげで。

もし、このブログを読んでいる方が、「帰るべき暖かい家があって、家族とクリスマス・ケーキを囲める」のであれば、それだけでも十分に幸福なことなのです。

しかし、貴方は、周囲の全ての人たちに対して、どれほど善意のまなざしを向けたでしょうか? 年末の寒空に放り出され、または放り出されようとしている人々に対して、何か役立つような言動を行っているのでしょうか? せめて、「ケーキに蝋燭を灯してしばらくの間だけでいい、寒空の下の人々に思いを致す静かな時間」を過ごしてほしいと思います。



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論評 *  TB: 1  *  CM: 2  * top △ 
2008/12/23 [Tue] 23:57:00 » E d i t
民主、社民、国民新党提出の雇用対策4法案(採用内定の取り消し規制、派遣労働者等解雇防止緊急措置、住まいと仕事の確保、有期労働契約遵守の4法案)は、平成20年12月19日午前の参院本会議で賛成多数で可決されました。しかし、衆院本会議で12月24日、その雇用対策4法案は否決される見通しになったようです。

雇用法案:野党提出の法案、採決あすに延期--衆院委

 衆院厚生労働委員会は22日、民主、社民、国民新の野党3党が共同提出した雇用対策関連法案の質疑を行った。自民、公明両党は22日中に法案を採決し、否決する構えだったが、方針を転換。自民党の大島理森国対委員長が民主党の山岡賢次国対委員長に電話し、22日の採決を見送り、24日の委員会と衆院本会議で採決する方針を伝えた。関連法案は与党の反対多数で否決される見通し。【高本耕太】

毎日新聞 2008年12月23日 東京朝刊」(毎日新聞平成20年12月23日付東京朝刊2面


自民党の園田博之政調会長代理は、(第2次補正予算が成立していないので、ほとんど年末に役に立たない)政府の対策で「年末までの対応は間に合う」などと主張しているのです。自民党・麻生政権にとっては、大量の労働者が、職も住まいも失って路頭に迷っている現状を解決するつもりがないほど、無責任なのです(「NHK「日曜討論」での小池政策委員長の発言」(2008年12月22日(月)「しんぶん赤旗」)参照)。

数兆円の内部留保(利益剰余金)を抱えながら、極めて低額な賃金で雇用していた非正規労働者を、歯止めなく大量に解雇する大企業(「大企業の大量解雇撤回へ政府が責任をもって乗り出せ テレビ朝日系番組 志位委員長の発言」(2008年12月16日(火)「しんぶん赤旗」)「クビ切り“ギロチン”企業まだこんなに金持ちだ!」(2008年12月21日(日)10時0分配信 日刊ゲンダイ)参照)、野党提出の雇用対策4法案を否決し、「年末までの対応は間に合う」などという無責任な自民党と比べて、自治体は真摯な対応を行っています。


1.東京新聞平成20年12月23日付朝刊22面「こちら特報部」

企業はしらんぷり? 対応は寮退去延長程度

 各地で吹き荒れる「派遣切り」「雇い止め」の嵐に対し、公営住宅を提供したり、臨時雇用したり、自治体や民間団体からの支援がさらに広がっている。税金も投入し、自己保身に走る企業の尻ぬぐいをさせられているともいえるが、当の企業側は“知らんぷり”を決め込むつもりなのか。

◆「派遣切り」自治体支援は続々 臨時で定額給付金業務/資格取得助成

 大分県が16日、職を失うキヤノン関連などの非正規労働者向けに住宅助成制度をスタートさせたのを皮切りに、自治体などが続々と支援を表明した。ざっとリストアップ==しただけでも30を超えた。

 どの自治体もただせさえ財政状況が厳しく、大幅な税収減も見込まれる中での決断。年の瀬の大量失業という緊急事態、これに対応する臨時職員とはいえ、安易な採用とならないよう、苦心しながらの採用計画だ。

 多いのは、自治体の事務負担が増える定額給付金の一部業務を担当してもらうケース。また、通常なら職員が休日出勤して対応するような主催イベントの雑踏整理、年末年始に急増する清掃業務などの補助をしてもらうケースも目立った。

 ユニークなところでは群馬県太田市。富士重工業の減産で100人ほどの市民が職を失うというが、市職員の残業を減らし、時間外手当支給分を20人の臨時採用の財源に。いわゆるワークシェアリング的な発想だ。また、ホームヘルパー2級資格の取得に向けた助成も実施、失業とヘルパー不足の同時解決をねらう。

 大分市や、「こちら特報部」で地名論争を取り上げた新潟県上越市のように、地元の農業団体などと連携して雇用機会のパイを少しでも掘り起こす試みもある。

 では、当の企業はどうか。先を見通せなかった経営陣は責任を感じ、地元自治体に「済まない」との心情はないのか。自動車メーカー9社と、御手洗冨士夫会長が日本経団連会長を務めるキヤノンに聞いた。

 さすがに各社とも、期間従業員の入寮期間を延長する程度のことは始めた。自治体の支援に応じて何か考えていないのか聞くと、一様に「特にない」との回答だった。

 役員報酬カットに踏み込んだのはトヨタ自動車とホンダの2社だけ。日産自動車は「業績の見通しが立っていない段階では何ともいえない」。他の社からは「検討はしているが、まだ決まっていない」「もともと低いのもあって削減は考えていない」といったコメントが返ってきた。

 そしてキヤノン。御手洗氏が8日の会見で、子会社の大分キヤノンの派遣切りには、本社は直接関係なし、との認識を示し批判を呼んだ。そんなこともあってか、「発注元として、いろいろな影響が出ることは把握する立場にあり、社会的責任を感じている。何かできるか検討していきたい」(広報部)。宇都宮工場で労働者600人を削減する予定について、「退職者への配慮の原資」として派遣会社に1億円を支払うことを発表した。

 東京大大学院の神野直彦教授(財政学)は自治体負担、企業の社会的責任も踏まえこう語る。

 「非正規社員は賃金体系が違うばかりか、社会保障にも十分参加できていない。企業は非正規労働者の社会保障負担にも応じるべきだ。解雇されても安心してやっていけるセーフティーネットを政府と企業が張らないといえない」」


◆相次ぐ派遣切りや内定取り消し支援を表明した主な自治体など

<住宅支援>
・都道府県―――栃木県、埼玉県、神奈川県、愛知県、京都府、大阪府、鳥取県、山口県、大分県
・市町村―――小山市(栃木)、大和市(神奈川)、大阪市、米子市(鳥取)、広島市、防府市(山口)、下関市(山口)、北九州市、国東市(大分)
・民間―――中部地方の派遣会社でつくる「中部アウトソーシング協同組合」

<雇用支援>
・都道府県―――京都府、鳥取県、福岡県
・市町村―――奥州市(岩手)、米沢市(山形)、太田市(群馬)、大和市(神奈川)、新潟市、長岡市(新潟)、上越市(新潟)、金沢市、能美市(石川)、豊田市(愛知)、京田辺市(京都)、摂津市(大阪)、姫路市(兵庫)、米子市(鳥取)、下関市(山口)、佐賀市、大分市、杵筑市(大分)
・民間―――JAえちご上越(新潟)、進学塾経営「学究社」(東京)、居酒屋チェーン「モンテローザ」(東京)」




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2008/12/20 [Sat] 14:32:09 » E d i t
麻生首相の親族が経営していた旧「麻生鉱業」の吉隈炭坑(福岡県桂川町)に戦時中、外国人捕虜が300人いたと、厚生労働省が保管していた公文書に記載されていたことが18日分かりました。民主党の藤田幸久参院議員の求めに応じ、同省が回答したものです。

同省が藤田議員に示した公文書は4つあり、陸軍省を引き継いだ旧第一復員省などが作成したとみられています(12月18日16時57分配信:時事通信)。藤田議員によると、首相は外相時代から旧麻生鉱業に捕虜がいたことを一貫して否定しており、日本政府として認めたのは初めてだとのことです。

 「同社の捕虜問題を巡っては2006年11月に米国紙が報道した際、外務省は当時の麻生外相の指示で在ニューヨーク総領事館のホームページに反論を掲載。しかし、今回の資料が見つかったことを受け、同省は最近、削除した。」((2008年12月19日07時03分 読売新聞)(紙面未掲載)


このように麻生氏は外務大臣の権限で反論をさせていたのですが、結果として外務省は公文書の存在を無視して反論したのです。ですから外務省は、調査した上での反論だったのか、知っていて無視したのか、との批判が生じています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年12月19日付朝刊37面

旧麻生鉱業に外国人捕虜300人 厚労省公文書に記録
2008年12月18日21時52分

 戦時中、麻生首相の親族が経営していた旧麻生鉱業(福岡県)の炭坑に外国人捕虜が約300人いたことが18日、厚生労働省の保管する公文書でわかった。首相は同鉱業に捕虜がいたとの外国メディアの報道に対し、「事実関係は確認されていない」と反論してきたが、公文書が見つかったことで、改めて説明責任が問われることになる。

 公文書は1945年8月15日付で、旧麻生鉱業吉隈炭坑の捕虜収容所にオーストラリア人197人、英国人101人、オランダ人2人がいたとし、同年7月にはオーストラリア人2人が死亡したとの記述もある。陸軍省を引き継いだ旧第一復員省などが作成し厚労省が保管していた。民主党の藤田幸久参院議員の照会に厚労省が回答した。

 同鉱業の捕虜問題は、米紙ニューヨーク・タイムズが06年11月に取り上げ、外務省が在ニューヨーク日本総領事館のホームページ(HP)で反論していたが、状況が変わったとして17日に削除した。首相がかつて社長を務めた麻生セメントは同鉱業の流れをくむ。

 藤田氏が別途入手した米国立公文書館保有の資料にも、同鉱業が外国人捕虜に採炭作業をさせていたとの記述があるという。藤田氏は「これまで政府が認めてこなかった。首相には説明責任がある」と語っている。」



(2) AFPBB News(国際ニュース)(2008年12月19日 12:10 発信地:東京)

旧麻生鉱業に外国人捕虜、厚労省の公文書で明らかに
2008年12月19日 12:10 発信地:東京

【12月19日 AFP】麻生太郎(Taro Aso)首相の親族が経営していた福岡県の旧「麻生鉱業(Aso Mining)」に第2次大戦中、外国人捕虜がいたことが18日、厚生労働省が保管していた公文書で明らかになった。麻生首相は外相時代から同社に外国人捕虜がいたことを一貫して否定しており、政府として認めたのは今回が初めてだという。

 厚労省が開示した文書によると、英国人やオランダ人、オーストラリア人の捕虜300人が、1945年5月10日から終戦の8月15日まで、麻生鉱業の吉隈炭坑にいたという。このうち2人のオーストラリア人捕虜が死亡しているが、厚労省はプライバシー保護を理由に死因や他の捕虜の個人情報については明らかにしていない。

 文書は、民主党の藤田幸久(Yukihisa Fujita)参院議員の求めで開示された。藤田議員は、「首相は捕虜の労働条件や死因について検証する責任がある」と述べ、炭鉱側の捕虜の待遇状況や強制労働だったかどうかなどについて、さらに追求していく姿勢を示した。

 一方、中曽根弘文(Hirofumi Nakasone)外相は野党側からの質問に対し、麻生首相が外相当時の2006年に、在ニューヨーク(New York)総領事館のホームページに掲載された麻生鉱業の捕虜問題を否定するコメントを、外務省が削除したことを明らかにした。中曽根外相は、「厚労省の文書で新たな事実が明らかになったことを受け、削除を決定した」と話した。(c)AFP」



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2008/12/18 [Thu] 23:58:42 » E d i t
日産自動車は平成20年12月17日、期初時点で約2000人在籍していた派遣社員全員を、契約途中での解雇を含め、来年3月末までに解約することを公表しました。非正規労働者の「雇い止め」や「中度解除」が相次いでおり、このように急速に多量の「派遣切り」が横行しています。

自動車ニッポン失速 日産 派遣ゼロ、減産拡大
2008年12月18日 朝刊

 日産自動車とホンダは十七日、追加的な減産や投資削減計画を発表した。日産は減産に伴い派遣従業員を追加削減し、三月末までにゼロとする。一方、ホンダは下期決算で赤字に転落する見通し。世界的な景気後退に伴う自動車販売台数の落ち込みは日本の主力メーカーを直撃し、雇用悪化は底が見えない状態になっている。

 日産自動車は十七日、世界的な販売不振を受け、来年一月から三月末までに国内で約七万八千台の追加減産を実施すると発表した。既に約十四万七千台の減産を発表しており、減産規模は計二十二万五千台になる。これに伴い、三月末までに派遣従業員五百人を追加削減することを決定。国内の生産調整は、十月の時点で約二千人いた派遣従業員全員の契約打ち切りという異例の事態に発展した。

 また、約五十人在籍している期間従業員についても来年三月末までに「ほぼゼロになるだろう」としている。一部の派遣従業員については期間途中で契約を打ち切る。(以下、省略)」(東京新聞平成20年12月18日付朝刊1面


こうした非正規労働者は、派遣会社の寮などから直ちに退去を迫られるケースも多く、職も住居もすべてなくしてしまい、「生活を破たんさせずに年を越すのが困難」という人が目立ってきました。このように切羽詰まった困窮者は解決策や相談先をどこに求めればいいのでしょうか。東京新聞が記事にしていましたので、紹介しておきたいと思います。



1.東京新聞平成20年12月18日付朝刊17面【暮らし】

派遣切りで家もない… 生活困窮 相談を
2008年12月18日

 景気の急速な悪化で派遣社員や期間従業員などを中心に失業する人が急増。派遣会社の寮から退去を迫られるケースも多く、「生活を破たんさせずに年を越すのが困難」という人が目立ってきた。切羽詰まった困窮者は解決策や相談先をどこに求めればいいのか。 (白井康彦)

 「生きるか死ぬかの瀬戸際」と窮状を訴える電子メールが最近、本紙生活部に届いた。

 発信者は北陸地方の四十六歳男性。派遣会社の寮に一人暮らしで、派遣先の大手電機メーカーの工場で働いていた。ところが、先月十九日に派遣会社から「この工場の仕事はあと一カ月で終わり」と通告された。派遣会社には「寮も十二月十九日に出てください」と言われた。

 次の仕事を必死で探したが、みつからない。蓄えはほとんどない。北海道出身。両親は既に死亡しており、頼れる親せきもない。

 「こんな場合にはどうすればいいか」と、記者は弁護士や司法書士らがメンバーの「生活保護問題対策全国会議」に尋ねると「国が打ち出す『雇用促進住宅の活用事業』がぴったり」という答えが返ってきた。派遣切りに遭って派遣会社の寮を出る人が主な対象の緊急事業で、ハローワークに申し込んで離職前の所得額などの条件があえば、財団法人・雇用振興協会(本部・東京)が運営する雇用促進住宅に入居することができる。

 雇用促進住宅は全国各地にあり、約一万三千戸の空きがある。この事業では入居期間は半年。敷金や礼金はなく、家賃は全国平均で約二万五千円。ハローワークでの手続きは十五日から。男性はハローワークに行こうかと考えた。

 その十五日に記者が男性に電話すると「事情が変わった」と返事があった。関西地方のタクシー会社に入社できることになったという。その会社の寮にすぐ入れる。男性は「雇用促進住宅に入っても不況なので、いい仕事が見つかるとは限らない。タクシーの仕事で頑張る」と話した。

   × ×

 解雇や雇い止めに遭って住まいを失う人に対して国は緊急に「就職安定資金貸付事業」も実施する。賃貸住宅に入居する際の敷金や礼金、家賃などを各地の労働金庫を通じて融資するもので、貸付上限額は百七十六万円。貸付金利は年1・5%と低く、担保や保証人は不要。ハローワークで申し込める。生活保護問題対策全国会議事務局長の小久保哲郎弁護士は「この貸付事業と雇用促進住宅の活用事業の利用は考える価値がある」と話す。

 失業して生活が成り立たなくなった場合には、生活保護の申請という非常手段も検討するといい。申請先は自治体の窓口。ここでの担当者とのやりとりをスムーズに進める自信がないときは、生活保護に詳しい法律家らによって各地につくられているネットワーク組織(表参照)に相談するのが賢明だ。

 雇用している会社側との法的なトラブルを抱えているときは、各地の労働弁護団や個人加盟できるユニオン()に相談するのを勧める。生活が苦しくて借金を重ね多重債務状態に陥ったときは、各地の弁護士会や司法書士会、多重債務者救済の市民団体()が相談先だ。」


●生活が困窮したときの主な相談先
<相談先の団体名>                     <電話番号>

・首都圏生活保護支援法律家ネットワーク  048(866)5040
・生活保護支援ネットワーク静岡        054(636)8611
・東海生活保護利用支援ネットワーク     052(911)9290
・日本労働弁護団本部              03(3251)5363
・東海労働弁護団(事務局)           052(451)7746
・東京管理職ユニオン               03(5371)5170
・管理職ユニオン・東海              052(249)6669
・全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会  03(5207)5507
・愛知かきつばたの会(多重債務の相談)   052(916)9131」


24日にフリーダイヤル相談

 今年は役所や会社のほとんどが27日から来年1月4日まで休みになるので、生活が困窮した駆け込み先が心もとない。

 そこで、「反貧困ネットワーク」や生活保護問題対策全国会議などは24日に「生活保護・労働・多重債務・住まい何でも相談会」を実施する。生活困窮者が電話しやすいよう受け付け電話番号をフリーダイヤルにし、無料で相談に応じる。

 反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんは「生活保護の申請窓口に法律家が同行するのが適切な場合は、首都圏や東海地方などでは25日や26日に同行するよう頑張りたい」と説明する。

 相談会は24日限定。電話受付は午前10時からで、番号は(0120)110104(いいお年)。終了は▽埼玉午前零時▽東京午後10時▽千葉同4時▽愛知同8時▽静岡同5時▽滋賀同8時(記載地域以外からの相談も受け付ける)。」


ぜひ、こうした記事を目にして、多く人がこうした内容を多くの人に伝えて、相談できるようにして欲しいと思います。追い詰められ、どこへ相談したらいいのか分からない人も多いのですから。



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2008/12/17 [Wed] 23:14:11 » E d i t
民主党は平成20年12月15日、非正規労働者の就労支援や労働条件確保などが目的の雇用対策関連4法案を社民、国民新両党と共同で参議院に提出しました。雇用環境の急速な悪化を踏まえて週内の参院通過と年内の成立をめざしています。


■野党3党提出の緊急雇用対策法案

●採用内定取り消し規制法案 公布日に施行
取り消す場合、内定者に書面の理由明示を義務づける

●派遣労働者等解雇防止緊急措置法案 公布後2週間で施行、6ヶ月間の緊急措置
派遣切り防止のため、雇用調整助成金の対象を2ヶ月以上勤務の非正規社員に拡大

●住まいと仕事の確保法案 公布1ヶ月後施行
失業で住居も失った非正規雇社員らに、職業訓練等とセットで住宅貸与と最高月10万円の生活支援金を給付。解雇後も住居を提供した事業主には家賃助成。雇用保険の加入・受給要件の緩和。

●有期労働契約遵守(じゅんしゅ)法案 公布後1年以内に施行
期間の定めのある労働契約をする場合の理由明示、差別的取り扱いの禁止、契約期間中の退職ルールの明確化。合理的理由がない場合の雇い止めは制限」(朝日新聞平成20年12月16日付朝刊4面)




1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月16日付朝刊2面

野党3党 雇用対策4法案提出 18日の参院委採決目指す
2008年12月16日 朝刊

 民主、社民、国民新の野党三党は十五日、社会問題化している「内定取り消し」や「派遣切り」に対応するための雇用対策関連四法案を参院に共同提出した。二〇〇八年度第二次補正予算案の国会提出を先送りした政府との違いを見せることで「政府は無策だ」と印象付けるのが狙いだ。

 三党が共同提出したのは(1)採用内定取り消しを制限する「内定取り消し規制法案」(2)雇用調整助成金の対象に非正規労働者を期間限定で加える緊急措置法案(3)雇用保険の適用条件の緩和と月額最高十万円の生活支援を盛り込んだ雇用保険法改正案(4)有期雇用のルールを明確化する労働契約法改正案。

 野党は参院議院運営委員会で、四法案を厚生労働委員会に速やかに付託するよう求めたが、与党が拒否。採決で可否同数となったため、西岡武夫委員長が付託を決めた。野党は十八日に委員会採決し、翌十九日の参院本会議で可決、衆院に送付することを目指している。

 民主党の小沢一郎代表は京都市で記者団に「参院で可決を図り、衆院で政府・自民党の判断を待つ」と述べ、参院での強行採決も辞さない姿勢をにじませた。

 これに対し、自民党の尾辻秀久参院議員会長は「あまりにも国会の日程を無視し、どう考えても、これから審議できるような内容ではない。こうしたむちゃくちゃなやり方は受け入れられない」と批判した。」



(2) 朝日新聞平成20年12月16日付朝刊4面(14版)

野党 雇用でも攻め  4法案提出 スピード感強調
2008年12月16日1時46分
  
 「打倒麻生政権」で足並みをそろえる民主、社民、国民新の野党3党が15日、緊急雇用対策4法案を参院に提出した。第2次補正予算案の提出先送りと併せ、急速な雇用悪化に対する麻生政権の無策ぶりをあぶり出すのが狙い。週内に参院を通過させたうえ、民主党は麻生首相との党首会談を申し入れ、雇用対策の早期実行を迫る構えだ。

 「この年をどうやって越すかが切実な問題。政府・与党も異論はないはずだから、ぜひ強く協力を求めたい。(参院を早期通過させ)衆院で政府・自民党の判断を待つ」。民主党の小沢代表は15日、京都市で記者団に、雇用法案の年内成立に強い意欲をみせた。

 同党が強調するのが、スピード感のある対応だ。首相が打ち出した23兆円の緊急対策が反映されるのは、1月の通常国会に提出される第2次補正予算案や09年度予算案の成立後。直嶋正行政調会長は法案提出時に「首相は口では言うが、具体的なものは一向に出さない。我々は当面の危機に政治の責任を果たす」。小沢氏も15日、「(政府の緊急対策は)中身も現実の状況に対応できないし、スピードが大事と言いながら通常国会の話しかしない」と批判した。

 民主党は、法案の参院採決を25日に会期末を迎える臨時国会の最後の山場に据える。15日の参院議院運営委員会では異例の多数決によって法案の委員会付託を決定。18日の参院厚生労働委員会での審議・採決に向け、与党欠席でも採決を強行する考え。18日には連合との緊急集会や野党党首会談を開催。首相に小沢氏との党首会談を申し入れ、法案の年内成立を迫る方針だ。

 強硬路線の背景には、雇用法案は世論の後押しを得られるとの見通しがある。民主党政調幹部は「これだけ社会問題化しており、きちんと姿勢をみせた方がいい」と語る。

 社民、国民新両党も足並みをそろえる。社民党の近藤正道参院議員は「時宜にかなった法案。政府のようにやるやるで何も具体的なことをしないのではなく、法案を作って直ちに通して実行させるのが必要だ」、国民新党の亀井亜紀子参院議員は「スピードが一番大事。野党ができることを確実にやっていく。首相はいろいろメッセージを出すが、メッセージだけで終わっている」と述べた。

 採決強行には一線を画す共産党の市田忠義書記局長も法案については「我々としても肯定できる、前向きの内容が含まれている」と評価。与野党の政策協議を呼びかけた。

■与党反発「アリバイ工作」

 与党は反発を強める。審議時間を十分確保できない会期末近くでの法案提出に「(雇用対策に力を入れているとアピールする)野党のアリバイ工作だ」(自民党幹部)。自民党国対幹部は「臨時国会で、もう一騒ぎをしたいから参院で雇用法案を出したようだ」と皮肉った。15日、記者団に対応を問われた首相は「内容を見てないからわかりません」。党首会談についても「仮定の話には答えない」と語った。

 法案の内容にも疑問の声が出る。自民党の細田博之幹事長は15日の会合で、「民主党が出している雇用対策は、ほとんど社会主義。全部面倒みなきゃいけない。全員雇用され続けるように、すべては企業が負担するようにという主張で成り立っている。見かけは非常によいが、そうはなかなかいかない」と批判した。」



「第2次補正予算案の提出先送りと併せ、急速な雇用悪化に対する麻生政権の無策ぶり」(朝日新聞)。キヤノン(キヤノンの内部留保は9月末時点で約3兆円ある)やトヨタ自動車などが平然と大量解雇を行い、その結果、非正規労働者が職も住居も失い路頭に迷うことが増加している現状において、第2次補正予算案も出すことなく、雇用対策も打ち出さないという無能・無策で内部抗争しか頭にない、自民党・麻生政権と異なり、野党が代わって雇用対策法案を提出したのです。

共産党の市田忠義書記局長も法案については「我々としても肯定できる、前向きの内容が含まれている」と評価しているのですから(朝日新聞)、野党4党一致して、国民が感じている危機感に正面から向き合っているのです。

「『この年をどうやって越すかが切実な問題政府・与党も異論はないはずだから、ぜひ強く協力を求めたい。(参院を早期通過させ)衆院で政府・自民党の判断を待つ』。民主党の小沢代表は15日、京都市で記者団に、雇用法案の年内成立に強い意欲をみせた。」(朝日新聞)


小沢一郎・民主党代表の発言は、まさに正論です。しかし、自民党・麻生政権は、この正論を無視しようとしているのです。自民党にとっては、この年をどうやって越すかが切実な問題と感じている国民のことなぞ他人事なのです。



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2008/12/14 [Sun] 23:59:26 » E d i t
原則非公開の少年審判で、殺人などの重大事件について犯罪被害者や遺族の傍聴を認める改正少年法が平成20年6月11日午前の参院本会議で、自民、公明、民主各党などの賛成多数で可決、成立し、この改正少年法が平成20年12月15日、施行されます。

今回の少年法の改正案は、<1>殺人や強盗致死傷、危険運転致死などの重大事件で、加害者が12歳以上の場合、裁判官が精神状態などを考慮して、傍聴を可能にし、原則非公開の審判の例外を認めたこと、<2>損害賠償を請求する場合などに限定されている事件記録の閲覧、コピーも原則として許可することを内容とするものです。

この少年審判の傍聴は、2005年に閣議決定された犯罪被害者等基本計画に盛り込まれた支援策の1つで、「被害者らの権利を一層保護するため」(法務省の説明)です。しかし、被害者らの傍聴は、「少年審判の教育的・福祉的機能を後退させる恐れ」があり、また、改正少年法に盛り込まれた、記録の閲覧・謄写の要件緩和についても「経歴など少年に関する情報流出の危険性が増す」という批判がなされています(新潟日報2008年4月23日・新潟県弁護士会による意見書)。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月14日朝刊26面

双方のケア 運用に課題 少年審判 あすから 被害者傍聴開始
2008年12月14日 朝刊

 重大事件の被害者や家族に、原則非公開だった少年審判の傍聴を認める改正少年法が十五日、施行される。被害者席を新たに設けるなど準備に追われる家裁関係者。加害少年と被害者らが狭い法廷に同席することになるため、双方への心身の負担をいかに減らすのか、運用のあり方が試される。

 改正法施行に先立ち最高裁家庭局は審判が混乱しないよう、加害少年と被害者らの対面は避けるよう求めた。

 東京家裁では約三十-五十平方メートルの三法廷に被害者らの席を新設。被害者らは、裁判官に向き合うように座る加害少年から、少年鑑別所職員や学校関係者、保護司らを間に挟んで後方に座る。

 入廷の際は、加害少年が最初に入り、被害者らは後に続く。持ち物は事前にロッカーに預ける。「被害者らと加害少年の衝突が予測される場合などは職員を増やすこともある」(同家裁)という。

 十一月に全国の裁判長が集まった会議で新しい審判のイメージが話し合われ、遺影の持ち込みについては「認めていい」との意見が多数あったという。

 二〇〇〇年、金目当ての行きずりの中学生らに長男を殺された神奈川県内の母親(78)は当時、少年の名前や殺害理由も分からずじまいだった。「事件直後に審判で加害者と向き合うのは耐えられるかと心配はあるけど、遺族だったら悲しみに打ちのめされているより、加害者のことを知りたい」と新たな制度を評価する。

 「真実を知りたい」と願う被害者らの思いに応えて、傍聴は殺人や傷害致死、傷害などの重大事件ではほぼ認める方針だ。しかし、少年事件の多くは友人、先輩後輩、家族の中で起きているという事情もある。「制度の趣旨は理解するが、傍聴が難しいと判断されるケースも出てくるのではないか」とある家裁関係者はみている。

 <少年審判の傍聴> 改正少年法に盛り込まれた。加害少年が12歳以上で殺人や強盗致死傷、危険運転致死など被害者を死傷させた事件に限定。少年に心理的圧迫を与えないよう家裁は少年の付添人の弁護士から意見を聴いた上で傍聴の可否を個別に判断するが、審判への影響が懸念されない限り原則認める方針。対象事件は年間350-500件と想定。傍聴人にも不安や緊張を和らげるために、弁護士らの付き添いが認められる。」




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2008/12/12 [Fri] 23:59:29 » E d i t
与野党などの国会議員でつくる「修復腎移植を考える超党派の会」の会合が平成20年12月11日、開催されました。この会の会合はすべて注目に値するのですが、この日の会合は、特に注目する必要がありました。

なぜかというと、12月10日に腎不全患者たちが日本移植学会幹部に対して損害賠償訴訟を提起しましたが(「腎不全患者が日本移植学会幹部5人を提訴~修復腎(病気腎)移植の扉を開くために!(東京新聞平成20年12月11日付「こちら特報部」より)」(2008/12/11 [Thu] 23:59:39))、「国に対しても提訴する予定だったが、移植禁止を見直す立場の超党派議連会合が11日にあり、ここでの厚労省の対応を見極めることにした」(東京新聞平成20年12月11日付朝刊27面)からです。


1.まず、この会合の様子について、「修復腎移植を考える超党派の会」のメンバーである、山本ひろし参院議員のサイトから引用しておきます。

(1) 投稿者: 山本ひろし 日時: 2008年12月11日

'08.12.11 「修復腎移植問題を考える超党派の会」(東京都)

国対役員会の後、「障害者雇用促進法」について厚労省からヒアリングを受け、来週予定される審議の準備を進める。

さらに「修復腎移植問題を考える超党派の会総会」が午後から開催された。

杉浦会長から挨拶の後、昨日、元日本移植学会理事長達ら役員を相手取り、損害賠償を訴えた原告団の愛媛県の野村さん・弁護団林弁護士から経緯と心情を訴えられた。

自らも修復腎移植を受けた林・野村両氏から「国内と海外の実績でがんの腎臓を移植しても再発例はなく、修復腎移植の必要性・有効性を主張された。」

また最近亡くなられた2人の遺影をもたれ、修復腎移植を訴えられた「移植への理解を求める会」の代表である向田さんから「私達が生きられるのは修復腎の移植しか道はないのです。」と切々と訴えられるお話には胸が熱くなる思いであった。向田氏とは学生時代お世話になった愛媛県の県人会寮「明倫館」の後輩である事が判り、ご縁を感じた。

人工透析患者は約28万人。移植を希望される方は約3万人。移植が出来る17年待ちの状態の中、修復腎移植が認められれば多くの方の命が救われる。

私も故郷の一員として、「市立宇和島病院が愛媛県南予・高知県幡多地域の中核拠点病院として地域医療に与える影響性について具体的に話し、行政処分を取り下げるように訴える。」
今後、年内にも会をもち政治決着が図れるよう、働きかけをしてまいりたい。 (以下、省略)」



(2) 「修復腎移植を考える超党派の会」の会合などについては、何度も触れています。

「<1>発足準備:「保険医療機関指定・保険医登録の取消問題:患者団体らが抗議活動~超党派の議員連盟が、病気腎移植と通達の妥当性も再検証」(2008/02/20 [Wed] 23:59:24)

<2>発足:「“レストア腎(病気腎)移植”超党派の議員連盟発足~厚労省による「病気腎禁止」見直し求める(東京新聞2月22日付「こちら特報部」より)」(2008/02/23 [Sat] 06:12:46)

<3>第2回会合:「『修復腎』移植、万波氏以外に全国76例も~「修復腎移植禁止」は妥当だったのか?(東京新聞3月1日付「こちら特報部」より)」(2008/03/02 [Sun] 05:42:42)

<4>第3・4回会合:「「修復腎移植を考える超党派の会」の第3・4回の会合を紹介~デビッド・ニコル教授(豪州)は“レストア腎移植はすでに確立された医療”と明言!」(2008/04/05 [Sat] 17:06:08)

<5>第5回会合:「「修復腎移植を考える超党派の会」の第5回の会合を紹介~現場の医師たちが臨床の証言」(2008/04/21 [Mon] 21:56:10)

<6>方針決定:「病気腎移植容認・万波医師ら処分不要の提言へ、超党派議連が方針決定」(2008/05/10 [Sat] 17:01:26)

<7>修復腎移植容認の見解発表:「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表~5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)

<8>修復腎移植容認の理由:「超党派議員連盟が、修復(病気)腎移植を容認したわけは?~超党派議連の議論の詳報を紹介(東京新聞5月14日付朝刊「こちら特報部」より)」(2008/05/14 [Wed] 19:58:33)




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2008/12/11 [Thu] 23:59:39 » E d i t
重い腎臓病に苦しむ透析患者たち7人が平成20年12月10日、修復腎(病気腎)移植の扉を開くため、国が「原則禁止」を決める根拠を示した日本移植学会幹部ら5人に対し、総額6050万円の損害賠償を求める訴えを松山地裁に起こしました。

訴えによると、5人は「腫瘍(しゅよう)を取り除き移植しても高い確率で再発する」という意見をマスコミなどに発表し、その結果、厚生労働省は昨年7月、「医学的妥当性がない」とする同学会などの共同声明を受け、病気腎移植を原則禁止しました。原告側は、同学会側の見解について「全くの的外れか、事実と異なる虚偽の内容だ」として、病気腎移植を受ける権利が侵害されたと主張しています(時事通信:2008/12/10-22:11)。

被告となったのは、日本移植学会幹部であり、大島伸一氏(国立長寿医療センター総長・日本移植学会評議員)、高原史郎氏(大阪大学大学院医学研究科教授・日本移植学会副理事長)、田中紘一氏((財)先端医療振興財団先端医療センター長)、寺岡慧氏(東京女子医科大学腎臓外科教授・日本移植学会理事長)、相川厚氏(東邦大学医学部腎臓学教室教授)の5人です。

【用語解説】病腎移植(修復腎移植)

 腎がんなどの患者から治療のために摘出した腎臓を、修復(レストア)したうえで腎不全患者に移植する生体移植。国内では宇和島徳洲会病院の万波誠医師らを中心とするグループが手がけた。移植関連学会などは、医学的な妥当性や患者選択の公平性などの問題を指摘しているが、海外では豪州で広く普及しているほか米国でも多数の手術例が報告されている。今年1月、全米移植外科学会に招かれた万波医師が日本での病腎移植の実績を報告し、高い評価を受けた。」(msn産経ニュース(2008.12.10 13:53)




1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年12月11日付朝刊27面

「病気腎移植 「学会が否定、治療侵害」  松山地裁に患者7人 幹部らを損賠提訴
2008年12月11日 朝刊

 病気腎移植の医学的妥当性を否定する発言によって治療を受ける権利が侵害されたとして、岐阜、広島、香川愛媛4県の透析患者と移植患者計7人が10日、日本移植学会幹部ら5人に計6050万円の損害賠償を求め、松山地裁に提訴した。

 原告によると、学会は昨年3月、関連学会と「現時点で医学的妥当性がない」という共同声明を発表。この声明を受けて厚生労働省は同年7月、臓器移植法の運用指針を改め、病気腎移植を原則禁止とした。原告は、学会幹部らが事実と異なる発言をして病気腎移植の道を閉ざし、治療を受ける権利を侵害したとしている。国に対しても提訴する予定だったが、移植禁止を見直す立場の超党派議連会合が11日にあり、ここでの厚労省の対応を見極めることにした。

 被告の1人、学会の相川厚理事は「5学会で共同声明を出した時と(意見は)変わらない。移植を受ける側の問題だけではない。提供する人に不利益があり、やるべきではない」と話した。」



(2) asahi.com:関西(2008年12月10日)

「病気腎移植認めて」 患者7人が学会幹部を提訴へ
2008年12月10日

 がんや尿道狭窄(きょうさく)などのため摘出された腎臓に治療を施したうえで別の患者に移植する「病気腎移植」をめぐり、慢性腎不全患者7人が10日、日本移植学会の幹部5人を相手に、病気腎移植を否定した見解の撤回と総額6050万円の慰謝料などを求める訴えを松山地裁に起こした。与野党の国会議員でつくる「修復腎移植(病気腎移植の別称)を考える超党派の会」が11日に東京で開く会合で厚生労働省に病気腎移植の容認を求め、その回答次第で国に対しても同様の訴訟を起こすという。

 提訴したのは愛媛、広島、香川、岐阜の4県の男女。

 病気腎移植については、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(68)らのグループが91~06年に42件を実施したことが判明。これを受けて厚労省は昨年7月、臨床研究以外の病気腎移植を禁止した。原告らはこの措置によって希望する医療を受ける権利を奪われ、憲法が保障する生存権を侵害されたと主張。日本移植学会は昨年3月、病気腎移植を全面否定する見解を出し、「国の誤った判断を導いた」としている。

 日本移植学会事務局は「訴状の内容を見ないと、コメントできない」としている。」



原告側は、日本移植学会幹部と厚生労働省を対象に損害賠償請求(民事訴訟)、国家賠償請求訴訟(行政訴訟)を予定していたのですが(<1>「「病腎移植禁止」で、愛媛など4県の腎不全患者らが国家賠償求め提訴へ」(2008/09/18 [Thu] 22:32:33)、<2>「「病気(修復)腎移植」実施求め、10月下旬ごろ提訴へ~国の無策打開を狙って」(2008/10/04 [Sat] 20:12:18)、<3>「「病気腎移植、早く認めて」国を提訴へ~時間と闘う患者の叫び(東京新聞平成20年10月5日付「こちら特報部」より)」(2008/10/05 [Sun] 23:59:30)も参照)、日本移植学会幹部を対象にした損害賠償請求(民事訴訟)を先行させたようです。

損害賠償訴訟を先行させた理由は、次の通りです。

 「国に対しても提訴する予定だったが、移植禁止を見直す立場の超党派議連会合が11日にあり、ここでの厚労省の対応を見極めることにした。」(東京新聞)

「与野党の国会議員でつくる「修復腎移植(病気腎移植の別称)を考える超党派の会」が11日に東京で開く会合で厚生労働省に病気腎移植の容認を求め、その回答次第で国に対しても同様の訴訟を起こすという。」(朝日新聞)


「修復腎移植を考える超党派の会」が要件を満たせば修復腎移植を容認する見解をまとめていますし、今年の9月頃から訴訟を起こすとの報道がありながら、厚生労働省は何も反応せず、日本移植学会は(簡単な記者会見を開いたが)正式な声明を出すと言いながら未だに無反応でした。

修復腎移植に無反応であっても、臓器移植拡大のための具体的な方策を提言・実行したのであれば、構わないのです。しかし、もちろん誰もが知っているように、厚生労働省及び日本移植学会は、「臓器移植拡大のための具体的な方策を提言・実行」をしていません。要するに、患者が次々と死亡しているにも関わらず、何もしていないのです。

このように、厚生労働省及び日本移植学会は、何万もの患者(人工透析患者は約27万人、腎移植待機患者は約1万1600人程)を見殺しにしており、今後も見殺しをし続けるのです。「提訴を目前に、原告入りするはずだった2人の患者が相次いで死去」(東京新聞)しているほど「ぎりぎり」の状態なのです。患者側は、「まだ生きていたい」との想いを抱き、修復腎移植禁止を見直してもらうため、提訴するしかなかったのです。



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2008/12/11 [Thu] 01:25:56 » E d i t
広島市安芸区で2005年11月、市立矢野西小1年の木下あいりちゃん(当時7歳)が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死罪などに問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ氏(36)の控訴審判決が2008(平成20)年12月9日、広島高裁でありました。

楢崎康英裁判長は「1審でヤギ被告の全供述調書を却下したことは不可解で、犯行場所を被告のアパート及びその付近とした事実認定は疑問がある。審理を尽くしておらず、訴訟手続きは違法」などとして、無期懲役とした1審・広島地裁判決を破棄、同地裁に差し戻しました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年12月10日付朝刊

「審理不十分」 広島女児殺害、ヤギ被告の無期判決破棄
2008年12月10日1時49分

 広島市安芸区で05年11月、下校中の小学1年生木下あいりさん(当時7)が殺害された事件で殺人、強制わいせつ致死、死体遺棄などの罪に問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トーレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決が9日、広島高裁であった。楢崎康英裁判長は「一審は審理を尽くしておらず違法」と述べ、一審・広島地裁の無期懲役判決を破棄して審理を地裁に差し戻した。弁護側は殺人などについて責任能力を争って無罪を主張しており、差し戻しを不服として上告する方針。

 一審は来年5月に始まる裁判員裁判のモデルケースとして、争点を事前に絞り込む公判前整理手続きを2カ月で8回実施。証拠調べを初公判から5日間、計25時間で終える集中審理も行った。高裁判決は一審の訴訟指揮や検察側の立証活動の不備を指摘しており、裁判員となる市民の負担軽減のための迅速化と、必要な審理を尽くすことの両立の難しさを強く印象づけた。

 06年7月の一審判決は、検察側が犯行場所を被告の「アパート自室内」から「アパート及びその周辺」と広げた訴因変更を認めた。しかし、高裁判決は、室内であれば「どのように連れ込んだか」で犯行形態が大きく異なるなど、犯行場所が屋内か自室かは量刑判断の上で非常に重要だと指摘。死刑が求刑された重大事件であり、刑事裁判には真相を明らかにする使命があることからみても「あいまいなまま判断するのは相当でない」と一審を批判した。

 また、一審は被告の捜査段階の供述調書を取り調べなかったため、犯行場所について事実を誤認したのではないかと考えざるを得ないと指摘。被告の自室から押収された毛布に被害女児のものと思われる毛髪と血が付いており、被告の「事件当日、毛布を部屋から外へ出していない」と受け取れる供述が信用できれば、犯行場所は室内と認定できたはずだと述べた。

 被告がペルーで少女に性犯罪をしたとされる前歴をめぐる資料については「一審判決がペルーでの前歴をおよそ考慮する必要がないかのように受け取れる点は賛同できない」と述べ、証拠採用した理由を「量刑や公判供述の信用性を判断するうえでも有用」と説明した。

 検察側、弁護側双方とも量刑を不服として控訴したが、判決は職権で一審の訴訟手続きそのものについて検討。公判前整理手続きの段階で被告の供述調書の任意性が争いになることが当然予想できたのに、この争点を取り上げなかったと非難した。さらに公判で「任意性を立証してまで取り調べる必要性はない」として証拠調べの請求を却下したことは訴訟手続きの法令に違反しているとした。検察側にも犯行場所特定のために必要だとはっきり主張しなかった不手際があると述べた。

 一審判決は、確定的な殺意に基づくわいせつ目的の犯行と断定。被害者が1人で前科がないことなどから「矯正不可能な程度までの反社会性、犯罪性があるとは言い切れず、死刑をもって臨むには疑念が残る事案と言わざるを得ない」と判断していた。」



(2) 日経新聞平成20年12月10日付朝刊39面

広島女児殺害 差し戻し  高裁「一審、審理尽くさず」無期判決破棄

 広島市安芸区で2005年11月、小学1年木下あいりちゃん(当時7)が殺害された事件で、殺人や強制わいせつ致死罪などに問われたペルー国籍のホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決公判が9日、広島高裁で開かれた。楢崎康英裁判長は「1審は審理を尽くしていない」として、無期懲役(求刑死刑)とした広島地裁判決を破棄し、審理を同地裁に差し戻した。弁護側は上告する方針。

 検察側は1審途中で、犯行場所を「被告のアパート室内」から「室内およびその付近」と訴因変更。1審判決は同様に事実認定した。

 これに対し楢崎裁判長は、捜査段階のヤギ被告の調書などに室内での犯行の可能性を示す内容があったものの、1審が被告の全供述調書の採用を却下したことを「誠に不可解」と指摘。「犯行場所に関する事実認定には疑問がある」とした上で、責任能力に疑問が生じるなど、屋外か屋内かは犯行経緯や態様に影響するとして、「合理的理由なく調書を却下しており、審理を尽くしていない」と述べた。1審判決に対し、検察、弁護側とも量刑不当を理由に控訴。高裁は双方の主張にない点を職権で判断した。

 広島地裁は06年7月、被害者が1人で計画性がなく衝動的犯行であること、前科について証拠がないことなどを理由に死刑を回避、無期懲役とした。控訴審で検察側は、被告がペルーで女児への性犯罪で2回訴追されたとする資料を証拠提出し改めて死刑を求めた。一方、弁護側は殺人と強制わいせつ致死罪について無罪を主張。仮に有罪だとしても無期懲役は重過ぎるとした。

 1審判決によると、トレス被告は05年11月22日午後、自宅アパートやその付近で、あいりさんの首を片手で絞め殺害。遺体を段ボール箱に入れ、近くの空き地に放置した。

■トレス被告の弁護人、井上明彦弁護士の話 控訴審での当事者双方の主張を無視して裁判所が職権で判断している。差し戻して被告に不利な証拠を提出するよう言っており、検察官がもう1人いるようなものだ。

■山舗弥一郎広島高検次席検事の話 (1審差し戻しは)予想外の判決だ。内容を検討の上、適切に対処したい。」



(3) 東京新聞平成20年12月10日付朝刊26面

女児殺害審理差し戻し 「無期」破棄 『調書却下は違法』 広島高裁
2008年12月10日 朝刊

 広島市で二〇〇五年、下校中の小学一年木下あいりちゃん=当時(7つ)=が殺害された事件で、殺人、強制わいせつ致死などの罪に問われたペルー人、ホセ・マヌエル・トレス・ヤギ被告(36)の控訴審判決公判が九日、広島高裁であり、楢崎康英裁判長は「供述調書を却下した訴訟手続きは違法」として、無期懲役の一審判決を破棄、審理を広島地裁に差し戻した。検察側は死刑を求めていた。弁護側は上告する方針。

 楢崎裁判長は判決理由で、女児の血液が付いた毛布を、被告が「屋外に持ち出していない」と供述したととれる検察官調書について「弁護人が公判前整理手続きで任意性を争うとしたのに、一審は争点整理をせず証拠請求を却下した」と指摘。

 一審判決は犯行場所を「被告のアパートとその付近」としているが「調書を調べれば場所が分かる可能性があり、犯行態様も明らかになると思われる」と述べ、裁判所が調書を却下したことや、検察官が必要だと主張しなかったことを「誠に不可解」と批判した。

 さらに、一審が屋外での犯行可能性を認めたことは「アパートは市道に面していて通行人に丸見え」などとして事実誤認があると判断。「犯行場所は重要な要素。法令違反が判決に影響することは明らか」として「場所があいまいなまま双方の主張を判断するのは相当でない」と結論付けた。

 昨年十一月に始まった控訴審で、被告のペルーでの女児への性犯罪歴に関する資料を初めて証拠採用した点については「前歴でも、被告の犯罪が確実なら量刑で考慮すべき場合がある」とした。」




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2008/12/10 [Wed] 23:59:51 » E d i t
低迷していた麻生内閣の支持率が急降下しました。朝日新聞の世論調査では22%、読売新聞は20.9%、毎日新聞では21%、共同通信は25.5%という低い支持率です。逆に、不支持率はどの調査でも6割前後(朝日新聞64%、読売新聞66.7%、毎日新聞58%、共同通信61.3%)に跳ね上がりました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年12月8日付朝刊1面

内閣支持22%、「首相適任」小沢氏逆転 朝日世論調査
2008年12月7日23時32分

 朝日新聞社が6、7の両日実施した全国世論調査(電話)によると、麻生内閣の支持率は22%で、前回調査(11月8、9日)の37%から急落した。麻生首相と民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかの質問でも、麻生氏を挙げる人は30%(前回49%)に大きく下がり、小沢氏の35%(同23%)が初めて上回った。「選挙の顔」としての首相の優位性は完全に失われ、発足2カ月余りですでに政権末期の様相だ。

 内閣支持率は、福田内閣末期とほぼ同じ水準にまで一気に下がった。不支持率は64%(前回41%)。その理由では「政策の面」が63%に達する。自民支持層でも内閣を支持する人は54%(同72%)にとどまり、「麻生離れ」が進んだ。無党派層の支持も11%(同26%)に下がった。

 麻生首相に「実行力がある」とする人は21%で、「そうは思わない」の68%が圧倒した。発足当初は「実行力がある」が54%、「そうは思わない」が28%だった。

 定額給付金を含む追加の補正予算案の提出を来年1月の通常国会に先送りしたことについては、「納得できる」23%を「納得できない」60%が上回った。来年度予算編成の基本方針で、これまでの財政再建路線を転換して、景気対策のため支出を柔軟に増やすとしたことには、「評価する」48%、「評価しない」35%で、一定の支持を受けた。

 麻生首相のこれまでの仕事ぶりの評価を聞くと、「期待外れだ」が最も多く44%、次に多いのは「もともと期待していない」の40%で、「期待通りだ」は12%、「期待以上だ」は1%だった。

 首相にふさわしいのが麻生氏か小沢氏かの問いでは、過去5回の調査でいずれも麻生氏が小沢氏に倍以上の差をつけてリードしていた。背景には野党支持層の一部や無党派層からも支持を受けていたことがあったが、首相への失望感の広がりから、それらが急速に失われたようだ。

 衆院の解散・総選挙の時期については、「早く実施すべきだ」が51%で「急ぐ必要はない」の40%を上回った。「早く実施」は10月下旬の調査では33%まで下がっていた。

 「いま投票するとしたら」として聞いた衆院比例区の投票先は自民28%(同30%)、民主36%(同33%)など。無党派層で民主に投票するという人が31%(同23%)に増え、民主がリードを広げた。政党支持率は自民27%(同30%)、民主23%(同24%)など。

     ◇

 〈調査方法〉6、7の両日、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る「朝日RDD」方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は2074人、回答率は58%。」



(2) 読売新聞平成20年12月8日付朝刊1面

麻生内閣の支持率半減21%…読売世論調査

 読売新聞社が5~7日に実施した全国世論調査(電話方式)で、麻生内閣の支持率は20・9%となり、11月初めの前回調査(40・5%)からほぼ半減した。

 不支持率は66・7%で約25ポイント跳ね上がった。

 麻生首相と民主党の小沢代表のどちらが首相にふさわしいかでも、麻生氏は前回比21ポイント減の29%に落ち込み、14ポイント増やした小沢氏の36%を初めて下回った。

 国民的人気の高さを背景に自民党総裁選で圧勝して誕生した麻生政権だが、わずか2か月余で“刷新効果”は消え去った。与党は強い衝撃を受けており、今後、自民党内で首相交代を求めたり、新党含みの動きが表面化したりする可能性もある。

 麻生内閣の支持率は「危険水域」とされる3割を割り込み、8月の本社面接調査で28・3%だった福田内閣末期より低い水準に落ち込んだ。

 内閣を支持しない理由は「政策に期待できない」32%が最も多かったが、「首相に指導力がない」29%(前回9%)、「首相に安定感がない」25%(同13%)が急増した。有権者が首相の資質に失望したことが、支持率急落を招く大きな要因になったようだ。

 最優先課題である経済・景気対策への評価も厳しい。内閣が今の経済情勢に「的確に対応していない」は83%を占め、追加景気対策のための第2次補正予算案提出を年明けに先送りしたことを「妥当ではない」とする人も67%に上った。

 また、首相が問題発言や失言を繰り返していることが政権運営に悪影響を及ぼしていると見る人は77%に上った。

 政党支持率も、自民は27・2%(前回比5・2ポイント減)と低下し、民主の28・2%(同4・8ポイント増)に逆転された。さらに、次期衆院比例選での投票先では、民主が40%、自民24%となり、麻生内閣発足以来初めて民主が自民を上回り、大きく差をつけた。

 ただ、衆院選後の望ましい政権では「政界再編による新しい枠組み」33%がトップで、「自民党と民主党による大連立」25%がこれに続いた。「民主党中心」は21%、「自民党中心」は12%だった。有権者の約6割は「自民か民主か」の二者択一を超えた新しい政治を求めていることになる。

 衆院解散・総選挙の時期は「年明けの早い時期」36%、「今すぐ」22%で、早期実施を求める声が約6割を占めた。「来年春ごろ」22%、「来年9月の任期満了までに」14%は、いずれも前回から大きく減った。

(2008年12月7日22時43分 読売新聞)」



(3) 毎日新聞平成20年12月8日付東京朝刊1面

毎日世論調査:内閣支持21%に激減 「首相に」も小沢氏

 毎日新聞は6、7の両日、電話による全国世論調査を実施した。麻生内閣の支持率は21%で10月の前回調査から15ポイント下落、不支持率は17ポイント増の58%だった。「麻生太郎首相と小沢一郎民主党代表のどちらが首相にふさわしいと思うか」という質問への回答は、麻生首相が21ポイント減の19%、小沢氏が3ポイント増の21%で両者が初めて逆転。「選挙の顔」と「党首力」を期待されて就任した首相が今後、厳しい政権運営を迫られるのは必至の情勢となった。(以下、省略)」


「経済の麻生」などとほらを吹いた麻生首相、漢字誤読ばかりの無教養な麻生首相を、もう誰もが支持しなくなったのは当然です。麻生内閣はもはや誰もが期待していないのですが、残念なことに、戦後最低といえる麻生氏がまだ首相の地位にいることです。この金融危機のさなかに。

 「定額給付金を含む追加の補正予算案の提出を来年1月の通常国会に先送りしたことについては、「納得できる」23%を「納得できない」60%が上回った。来年度予算編成の基本方針で、これまでの財政再建路線を転換して、景気対策のため支出を柔軟に増やすとしたことには、「評価する」48%、「評価しない」35%で、一定の支持を受けた。」(朝日新聞)

 「内閣を支持しない理由は「政策に期待できない」32%が最も多かったが、「首相に指導力がない」29%(前回9%)、「首相に安定感がない」25%(同13%)が急増した。有権者が首相の資質に失望したことが、支持率急落を招く大きな要因になったようだ。
 最優先課題である経済・景気対策への評価も厳しい。内閣が今の経済情勢に「的確に対応していない」は83%を占め、追加景気対策のための第2次補正予算案提出を年明けに先送りしたことを「妥当ではない」とする人も67%に上った。」(読売新聞)


なぜ、麻生内閣は、誰もが望んでいる「経済・景気対策」を実施しようとしないのか、不思議でなりません。これらの不支持の理由は、世論調査するまでもなく、日本の市民であれば誰もがすぐに分かることなのですが、麻生内閣だけは誰もが目を背けているのです。



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2008/12/08 [Mon] 05:51:45 » E d i t
「人工臓器の最前線」については、2回にわたって触れてきましたが、今回で最終回です。今回は、平成20年11月16日の1回分で、連載記事第5回は「義手」です。


<1>「国内外で進化する人工臓器の最前線(1)(読売新聞平成20年10月19日(日)朝刊から連載)」(2008/10/27 [Mon] 00:00:04)
<2>「国内外で進化する人工臓器の最前線(2)」(2008/11/23 [Sun] 23:56:16)




1.もう一度、人工臓器とは何か、について触れておきます(日本人工臓器学会」のHPから引用)。


人工臓器とは?

心臓、肺、肝臓、腎臓などの臓器の機能が損なわれると種々の病気になり、重い場合は生命の危機にさらされます。人工臓器は、このように病んだ臓器の代行を目的として開発されたもので、さまざまな治療を通じて機能補助が行われます。一口に人工臓器といっても、20万人を超える患者さんの命を救っている人工腎臓(血液透析)から、人工肝臓のように臨床使用されていないものまで、さまざまです。」




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2008/12/06 [Sat] 19:45:35 » E d i t
日本人の父親と外国人の母親の間に生まれ父親が出生後に認知した子について、両親が結婚していなくても日本国籍の取得を認める改正国籍法が、平成20年12月5日午前の参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立しました。公布から20日以内に施行されます(改正国籍法附則1条)。

なお、婚外子国籍確認訴訟については、<1>「婚外子国籍確認訴訟(1):最高裁平成20年6月4日大法廷判決は、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法3条1項を違憲と初判断」(2008/06/07 [Sat] 05:36:09)、<2>「婚外子国籍確認訴訟(2):国籍取得のためにDNA鑑定を義務づける規定は妥当なのか?~DNA鑑定自体を取り入れることは大歓迎ですが、本当にいいのですか?」(2008/11/29 [Sat] 23:47:35)もご覧下さい。


1.報道記事を幾つか。

(1) 日経新聞平成20年12月5日付夕刊18面

生後認知にも日本国籍 改正法成立、違法行為に罰則

 日本人の父親と外国人の母親の間に生まれ父親が出生後に認知した子について、両親が結婚していなくても日本国籍の取得を認める改正国籍法が、5日午前の参院本会議で自民、民主両党などの賛成多数で可決、成立した。自分の子でないのに偽って出生後に認知する違法行為を防ぐため、罰則規定を盛り込んだ。法務省も審査体制を強化する方針だ。

 公布から20日以内に施行する。違法行為の防止では、法務局に虚偽の国籍取得届を提出した場合に、1年以下の懲役か20万円以下の罰金を科する条項を記した。法務省は審査体制強化の一環として出入国情報の照合などに力を入れる。

 本会議では、国民新党や新党日本など民主党会派の7人と無所属の2人が「偽装認知を誘発する」などとして反対に回った。衆院本会議の採決では一部の保守系議員が採決前に退席したものの、全会一致で通過していた。
 
 改正国籍法は、両親の婚姻を国籍取得の条件とする現行法の規定を違憲とした最高裁判決を踏まえた内容となった。ただ、取得条件の緩和により、日本に外国人労働者などを違法に送り込もうとするグループが日本人男性に金銭を払い、虚偽の申請書を提出する手口が続出する、などの指摘が一部の議員から出た。

 このため参院法務委員会は4日、<1>DNA鑑定など科学的な確認方法の導入の検討<2>認知した父親への聞き取りなど審査の厳格化<3>委員会への定期的な状況の報告――を柱とする付帯決議を採択した。ただ、DNA鑑定は「特定の人への差別だ」との意見も根強い。最高裁は6月、結婚していない日本人の父親とフィリピン人の母親の間に生まれ、生後に認知された10人の子について、全員の日本国籍を認めた。」



(2) 朝日新聞平成20年12月5日付夕刊1面(14版)

改正国籍法、成立 偽装対策懸念9議員が反対

 結婚していない日本人の父親と外国人の母親との間に生まれ、生後に認知された婚外子にも日本国籍を認める改正国籍法が5日、参院本会議で与党と民主、共産、社民各党などの賛成多数で可決、成立した。偽装認知への対策が不十分などとの立場から、国民新党と新党日本、無所属の計9人が反対し、自民党の有村治子、衛藤晟一、山東昭子の3氏が棄権した。

 両親の未婚を理由に日本国籍を認めないのは「不合理な差別で違憲」とした6月の最高裁判決をふまえ、政府が11月に改正案を提出。自民、民主両党が早期成立で合意していたこともあり、衆参両院での実質審議は計3日というスピード成立となった。

 審議中に与野党内で偽装認知への懸念が高まり、4日の参院法務委員会では改正案とともに付帯決議案も可決。半年ごとの国会への報告、父子関係を確認するためのDNA鑑定導入の必要性を検討することなどについて、政府に配慮するよう求めた。

 反対した新党日本の田中康夫代表は「DNA鑑定制度の導入と父親の扶養義務の責任明確化を(国籍法に)明記しない改正は『人権侵害法』に他ならない」と語った。

     ◇

■改正のポイント

●父の認知があれば、両親が結婚していなくても届け出によって子の日本国籍を認める

●03年1月以降に改正後の条件を満たしている者は、さかのぼって国籍取得を認める

●うその国籍届け出に対する罰則(1年以下の懲役か20万円以下の罰金)を新設する 」




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2008/12/04 [Thu] 22:55:53 » E d i t
いま、自動車や電機など輸出産業を中心にした大企業は、輸出の落ち込みや景気の後退を口実として大量解雇を行っており、失業と同時に住む場所さえも失ってしまい、深刻な問題になっています。その失業者の多くは、正社員と同じように働かされていたのに、低収入で身分不安定な派遣労働者や期間労働者です。

 「青森県弘前市。コピー機部品を製造する「キヤノンプレシジョン」では、約240人の派遣社員らが31日付で職場を去った。契約解除は10日、突然告げられた。同社の担当者は「輸出が急減し、絞り込みを迫られた」と話す。 (中略)
 トヨタ自動車九州(福岡県)は6月と8月の2回、計800人の派遣契約を解除した。日産自動車も栃木、九州工場などで、計1千人の契約を更新しない方針だ。」(asahi.com:2008年11月1日1時18分)

 「いすゞ自動車は、同工場と藤沢工場(神奈川県藤沢市)の派遣社員や期間従業員の計約1400人の契約を今月26日で打ち切る方針を公表している。」(中日新聞2008年12月4日 夕刊)

 「ホンダは4日、世界的な新車市場縮小を受け、国内工場の期間工490人を来年1月末までに追加削減することを明らかにした。対象は、埼玉製作所(埼玉県狭山市)、浜松製作所(静岡県浜松市)、熊本製作所(熊本県大津町)、栃木製作所(栃木県真岡市)。(時事通信:2008/12/04-13:38)」

 「キヤノンの大分県内生産子会社2社が、工場で働く労働者1177人について請負会社との契約解除などに踏み切ることが4日、分かった。消費不振に伴うデジタルカメラの生産縮小に伴う措置とみられる。東芝大分工場(大分市)でも、契約社員の継続打ち切りなど380人の雇用を削減する。(時事通信:2008/12/04-14:54)




1.報道記事を幾つか紹介しておきます。

(1) 東京新聞平成20年12月4日付朝刊23面

雇用破壊:住居も喪失 生活漂流

 急速な景気悪化の影響で、社会問題化している派遣労働者の“大量解雇”。収入がなくなるだけでなく、失業と同時に寮や社宅を追い出される“住居喪失者”が増えている。簡易宿泊所やネットカフェに駆け込む人だけでなく、中にはホームレス生活に追い込まれる人も。「国は救済策と同時に、労働者切り捨てを生む派遣制度の見直しを急ぐべきだ」。労働者側は怒りにも似た声で訴える。 (出田阿生)

◆18年派遣勤務「今日で解雇」 敷金、礼金あてなし

 「今日で終わりだから」。先月末の夕方、神奈川県厚木市の自動車部品工場。派遣社員として検査の仕事をしていた男性(54)は、派遣会社の担当者から突然、そう通告された。

 「なぜ」と聞いても、「そういうことだから」。通算18年も同じ派遣会社に勤めてきたのに、たった一言で首を切られるとは思いもしなかった。さらに今月中旬までに、派遣会社が借り上げているアパートから出て行くように言い渡された。

 18歳で青森県から上京。トラック運転手など正社員として働いたこともあったが、30代のころ、就職情報誌で「派遣」という働き方があることを知った。「派遣の走りのころ。当時はバブル景気で給料も良かった」と男性は振り返る。

 今、住んでいるアパートは家賃4万円。冷蔵庫や洗濯機、テレビのレンタル料として約3000円が家賃と一緒に月給から差し引かれる。ここ数年の月収の手取りは約10万円。貯金は4万円しかない。新しい部屋を借りる敷金や礼金にはとても足りない。

 ハローワークで必死に仕事を探すが、50代半ばの年齢がまず壁に。ヘルニアの持病で重い肉体労働はできない。故郷とは10年来、音信不通で、たとえ帰っても仕事はない。

 派遣会社との交渉の末、退去期限はいったん延長された。だが、収入の道が絶えた今、家賃を払う方策がない。六畳一間の部屋で、話し相手もなく一人でいると、動悸(どうき)が止まらなくなる。住まいを失ったら、簡易宿泊所か、ネットカフェか、野宿生活か…。

 「河川敷でホームレスの人たちの青いシートを見ると、ああ自分もいよいよなのかと。怖いんです」」



都、60万円融資事業  なお乏しい 公的支援策 

 ネットカフェ難民らの支援策として、東京都はこの夏から特別貸し付け事業を始めた。都内で半年以上生活していることなどを条件に、アパートの入居費用や生活資金を60万円まで無利子で融資する。11月末までに122人が利用した。

 都生活支援課は「派遣切りに遭った労働者も対象。安いアパートの物件や保証人も紹介している」と話す。同じ貸し付け事業は、大阪府と愛知県でも厚労省が委託する形で、早ければ来年2月にも始まる見通しだ。

 しかし、これ以外の対策としては「ハローワークで社員寮付きや住み込み可能な求人を紹介する」(厚労省)という程度にとどまっているのが現状。社民党などは、1960年代に再就職を求める元炭鉱労働者のために建設され、昨年に譲渡・廃止が決まった雇用促進住宅(全国約1500ヶ所)の活用を主張している。

◆切り捨て許すな

 労働問題に詳しい中野麻美弁護士の話 「住む」ことは人権のひとつで、それを失うのは「安心」を失うということ。誰にも侵害されない自分の空間がなくなったら、自尊心をはぎ取られ、明日への英気を養うことすらできなくなる。派遣先の都合で突然、人間ではないかのように切り捨てる、そんな雇用形態を許してはならない。そのためには登録型派遣から、賃金や雇用が継続的に保障される常用型に切り替えていくことが必要。政府の労働者派遣法改正案では努力義務にすぎないが、労働者の権利として明文化すべきだ。登録型では家を借りにくく、住宅ローンも組めないというハンディがある。」




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