FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
10« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30.»12
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2008/11/29 [Sat] 23:47:35 » E d i t
国籍法改正案は、平成20年11月18日午後の衆院本会議で、全会一致で可決、参院に送付されました後、反対にあって迷走を続けていましたが、早ければ来月2日の委員会で付帯決議とともに採決され、3日にも参院本会議で可決・成立する見通しとなりました。

日本人の父と外国人の母をもつ子の日本国籍取得について最高裁は今年6月4日、両親の結婚を国籍取得の要件とした現行国籍法の規定を違憲とする判決を下しました。これを受けて、政府提出の改正案は、同規定の部分を削除した規定になっています。最高裁判決自体の検討については、「婚外子国籍確認訴訟(1):最高裁平成20年6月4日大法廷判決は、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法3条1項を違憲と初判断」(2008/06/07 [Sat] 05:36:09)をご覧下さい。


1.国籍法改正案の閣議決定、衆議院での採決、12月3日に成立という報道を合わせて引用しておきます。

(1) asahi.com(2008年11月4日12時2分)

国籍法改正案を閣議決定
2008年11月4日12時2分

 母親が外国人で、結婚していない日本人の父親から出生後に認知された「婚外子」が日本国籍を取得できるようにする国籍法改正案が4日、政府で閣議決定された。今年6月にあった最高裁の違憲判決を受けた改正で与野党ともに異論はなく、臨時国会での成立を目指す。

 最高裁は6月4日、結婚していないフィリピン人の母と日本人の父の間に生まれ、出生後に父親から認知された10人の子が日本国籍を求めた訴訟の判決で、両親の結婚を国籍取得の要件とした国籍法の規定を違憲と判断。法務省が改正に向けて動いてきた。

 改正により、両親が結婚しているかどうかに関係なく、出生後に認知された子供も出生前に認知された子供と同様、日本国籍の取得が認められる。最高裁判決を踏まえ、03年1月以降に届け出をしていた人はさかのぼって取得を認める。

 「偽装認知」による不正な国籍取得を防ぐため、うその届け出には罰則(1年以下の懲役か20万円以下の罰金)を新設する。(延与光貞)」



(2) NHKニュース(11月18日 15時14分)

国籍法改正案 衆議院を通過

 結婚していない日本人の男性と外国人の女性の間に生まれた子どもに、父親が認知すれば日本国籍を認めるなどとした国籍法の改正案は、18日の衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、参議院に送られました。

 国籍法の改正案は、日本人の男性と外国人の女性の間に生まれた子どもの国籍について、両親が結婚していなくても、父親が認知すれば日本国籍を認めるとしています。その一方で、父親の認知だけで日本国籍を認めれば、外国人の女性と子どもが日本で暮らすために、別の男性から虚偽の認知をしてもらうおそれがあるとして、虚偽の認知をもとにした届け出を行えば、1年以下の懲役か、20万円以下の罰則を科すことを盛り込んでいます。

 国籍法の改正案は、18日の衆議院本会議で採決が行われ、全会一致で可決され、参議院に送られました。ただ、採決の前に、自民党の一部の議員は「虚偽の認知による国籍が売買されるおそれがあり、改正案には賛成できない」として、採決に加わらず退席しました。」



(3) 朝日新聞平成20年11月28日付朝刊4面

国籍法改正案、3日にも成立 付帯決議案固まる
2008年11月28日6時18分

 参院での採決が先送りされている国籍法改正案について、与野党の参院法務委員会理事は27日、「半年ごとの国会への報告」などを盛り込んだ付帯決議案に合意した。懸念されている偽装認知を防ぐために、同委に半年ごとに施行状況を報告することを求めるほか、DNA鑑定導入の「要否及び当否を検討する」としている。

 決議案が固まったことで、改正案は早ければ来月2日の委員会で付帯決議とともに採決され、3日にも参院本会議で可決・成立する見通しとなった。ただ、自民、民主両党内には慎重論がくすぶっており、民主党は週明けに党内向けの説明会を開いて改正に理解を求める方針。

 付帯決議案はこのほか、父親への聞き取り調査の「可能な限りの実施」、出入国記録の調査なども求める。聞き取り調査では、父親の出生から現在までの戸(除)籍謄本、子の出生証明書、分娩(ぶんべん)の事実の記載がある母子手帳、母子の外国人登録原票の写しなど11点の資料提出などが想定されている。詳細は法務省が省令改正や通達で対応する。

 一方、新党日本の田中康夫代表は27日の質疑で、「『人身売買促進法』と呼びうる危険性をはらむ」としてDNA鑑定を法案修正で義務づけるよう求めた。付帯決議で言及する案については「官僚の裁量行政に陥る」と批判した。田中氏は民主党系会派に所属している。」



国籍法改正案では、父親の認知だけで国籍が取得できるようになるため、日本人男性に金銭を払うなどして虚偽の認知で国籍を取得する「偽装認知」には、新たに罰則を設けています(時事通信:2008/11/18-07:56)。すなわち、「うその届け出には罰則(1年以下の懲役か20万円以下の罰金)を新設」(朝日新聞)しています。

ところが、この罰則規定では不十分であるとして、「改正国籍法3条1項による国籍取得にあたってDNA鑑定を義務づける規定を設けるべきである」との主張があります。なぜだかインターネット上では、この主張が有力であるようです。では、この主張は妥当なのでしょうか。以下、検討してみたいと思います。
<11月30日追記>:まとめサイトについて紹介しました。)



-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

裁判例 *  TB: 3  *  CM: 5  * top △ 
2008/11/26 [Wed] 00:45:14 » E d i t
11月25日~12月1日は「犯罪被害者週間」です。


犯罪被害者週間

犯罪被害者等が、犯罪等により受けた被害から立ち直り、再び地域において平穏に過ごせるようになるためには、地域のすべての人々の理解と配慮、そしてそれ に基づく協力が重要です。内閣府では、犯罪被害者週間(11月25日~12月1日)中、犯罪被害者等の置かれた状況などについて国民の理解を深めるため、 「国民のつどい」を開催します。」(政府広報オンラインより)



11月24日は読売新聞、11月25日は北海道新聞、東京・中日新聞、西日本新聞の新聞紙面において、政府広報が掲載されています。犯罪被害者等の置かれた状況等について国民理解の増進を図るため、「国民のつどい」を始めとして各地でイベントが実施されます。ぜひ、足を運んでみてください。



1.皆さんは、犯罪被害者に対して、どのような意識をもっているのでしょうか。 偏見を抱いていたりしていませんか。

社会の偏見

 日本の社会では、被害者にも何か落ち度があるから、あるいはトラブルがあったから被害者になる、というような被害者に対する偏見も根強い。そのため、被害者を責めるような言動がなされたり、避けるような態度をとられたり、哀れみの視線で見られ遠巻きにされたりすることが多い。

 それは、犯罪被害者等基本法の基本計画の目的の中にも「犯罪被害者等は社会の例外的な存在であって、自分たちとは関係がないという誤った認識や、犯罪被害者等は特別に公的に守られ、尊重され、加害者からの弁償に加えて十分な支援が受けられることで容易に被害から回復できているという誤解もある。こうした認識の誤りもあり、犯罪被害者等に対する支援についての社会の関心は高いとはいえない。」と書かれていることからも分かる。

 また、社会の人たちが求める犯罪被害者像もある。事件から数か月間は嘆き悲しんでいてもその後はしっかりと立ち直り、人付き合いも仕事も普通にこなせるように元気になる被害者が精神的に強い立派な人とされる。それゆえ、被害者は周囲から「早く元気になりなさい。しっかりなさい。嫌なことは早く忘れなさい。」などと叱咤激励される。

 それに応えられない被害者は「弱い人」と周囲の人たちから評価をされがちなため、本当の気持ちを押し隠して表面的に元気なふりをする。そして、暗黙の要求に応えようとするため被害者の本当の姿は周囲に理解されにくい。

 何年か経ち、ようやく自分の気持ちを話せるようになり勇気をふるって、加害者への怒りの気持ちなどを正直に話すと「罪を憎んで人を憎まずというでしょう。加害者の家族も被害者よ」などと言われるため、結局何も言えず孤立感を深める。

 被害者自身も「罪を憎んで人を憎まず」との教育を受けている。「犯罪被害に遭った被害者は心身に深い傷を負い、そのショックが大きいため自分の努力だけで回復することは難しい。もし周囲に被害を受けた人があれば温かい支援の手を差し伸べるのが人としての姿」という教育は受けていない。日本の社会には犯罪被害者支援の必要性が浸透してない。被害者自身も一人で耐えるしかないと思い込んでいるため、頑張れない自分を責めて苦しむ。」(特定非営利活動法人 全国被害者支援ネットワーク編集『犯罪被害者支援必携』(東京法令出版、平成20年)116頁以下)


(1) まず、こうした偏見の目で犯罪被害者に接したりしないことを求めたいと思います。しかし、こうした偏見があるため、被害者支援都民センターで実施した、平成18年度の調査結果によると、犯罪被害者遺族の87.3%が二次被害を受けたと答えています。二次被害を与えた人や機関は、近所の人58.3%、警察51.0%、親戚39.6%、検察34.4%、職場30.2%、裁判所27.1%、マスコミ26.0%となっています(特定非営利活動法人 全国被害者支援ネットワーク編集・前掲117頁)。



(2) 他の犯罪に比べ、性犯罪については一般的に誤ったイメージが根強いのが特徴です。その偏見の一例を挙げておきます。

1 被害者が加害者を挑発した結果,性犯罪が起きる
 「薄着やミニスカートなどの挑発的な服装を見て,急に性的欲求が高まった男性が性犯罪を起こすのだから,そのような服装をしている女性は被害にあっても仕方がない」と思っている人がいるのではないでしょうか。しかし,性犯罪は一部または全部が計画的に行われていることが多いようです。それには被害者の服装や容姿は関係なく,「誰でも良かった」というケースも多数含まれています。もちろん,パンツスーツや,ジーンズに丈の長いコートを着ていても被害にあうことがあります。

2 美しく若い女性が性犯罪の被害にあう
 被害者の年齢は幼児から80代まで,広範囲にわたっています。また,被害者の服装や外見,職業もバラバラです。幼児の場合は女児のみではなく,男児が被害にあって警察に届け出られるケースもあります。
 成人男性が性犯罪の被害を受けた場合は,誰かに相談したり警察に届け出ることもためらわれ,女性より深刻な状況に陥っていることも考えられます。

3 夜,一人歩きしなければ性犯罪にはあわない
 警察へ被害届が出された内容から,夜,一人歩きの女性が被害にあうことが多いのは事実ですが,午前中や夕方にも,性犯罪は起きています。自宅や普段よく行く場所でも事件は発生しており,夜と屋外だけが危険なのではありません。

4 性犯罪は見知らぬ男性から受ける
 顔見知りからの被害は知人にも相談しにくいため,警察へ届け出ることはもっと難しいと考えられますので実態は把握できておりませんが,被害全体に占める割合は高いと考えられています。警察への届け出をされた事件にも,知人からの被害が多数あります。

5 いやだったら,被害者は最後まで抵抗するはずだ
 被害者は恐怖で体が硬直したり,声も出なかったりして抵抗できなくなることがありますが,加害者を受け入れる気持ちがあったわけではありません。

6 性犯罪は大都市でしか起こらない
 事件は地域に関係なくどこでも発生します。地方では周囲の目を気にして警察に届け出られない場合も少なくないと考えられていますが,実態は不明です。

7 性的欲求を爆発させた男性が衝動的に性犯罪を行う
 性犯罪は計画的に行われていることが多く,また,周りに人がいる時や誰かに見つかりそうな場所では行われていないことからも,コントロールできない行動ではないことが判ります。

8 性生活に不満を持っている異常な男だけが性犯罪の加害者となる
 加害者は見るからに異常な男性だろう思われがちですが,社会的に地位があり,信頼されている人物であることも少なくないのです。もちろん,普段は妻や子,恋人と過ごし,家庭でも職場でも人と変わらない生活を送っている加害者もまれではありません。」(「広島県警察被害者支援室/犯罪被害者の現状」のHPより)


このように、「特に他の犯罪と異なり、性犯罪に対しては特有の誤解があるため、他の犯罪による被害者より辛い立場に立たされることが多い」(広島県警察被害者支援室)のですから、性犯罪による被害者への配慮は特に必要性が高いといえます。被害者全体の統計資料によっても、現在でも、「裁判所27.1%」という決して少なくない割合で裁判所で二次被害を受けているのですから、性犯罪被害者の場合は、もっと裁判所で二次的被害を受けていると推測できます。

そうすると、裁判員制度が実施されると、「法廷で市民の前に姿をさらす心理的圧力や尋問によるセカンドレイプ(想起による精神的苦痛)の恐れは一段と高くなる」(東京新聞平成20年11月25日付)のです。こうした裁判員制度下で懸念される性犯罪被害者への「セカンドレイプ」について、東京新聞「こちら特報部」は、連載記事「裁判員制度がわからない」シリーズの一環として記事にしていましたので、紹介したいと思います。



-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

2008/11/24 [Mon] 23:59:18 » E d i t
平成20年11月18日午前、さいたま市内で元厚生事務次官山口剛彦さん(66)と妻の美知子さん(61)が他殺体で見つかり、その後、11月18日午後6時半ごろ、東京都中野区上鷺宮2丁目、元厚生事務次官で社会保険庁長官も歴任した吉原健二さん(76)宅に宅配便配達を装った男が侵入、妻靖子さん(72)を刺して重傷を負わせて逃走した事件が発生しました。


1.厚生省で年金行政に携わった歴代次官の自宅が犯行現場となり、現場の状況や被害者の証言などから両元次官が標的にされたとみられること、被害者宅の玄関先での刃物を使った手口が共通していました。そのため警察庁は連続テロとの見方を強め、そのためか、新聞各社も「年金テロ」であるとの疑いを強くにじませた報道を続けていました。

(1) ところが、11月23日未明、小泉毅(たけし)氏(46)が「事務次官を殺した」と血のついたナイフを持って出頭し、「昔、保健所にペットを殺され、腹が立った」などと供述したことから、「年金テロ」との疑いを強くにじませた報道は間違いだったのではないか、との疑問が生じることとなりました。

 「共同捜査本部によると、小泉容疑者が所持していた運動靴の靴底の模様と、東京都中野区の元次官吉原健二さん(76)宅で妻靖子さん(72)が襲われた現場周辺に残されていた足跡が、ほぼ一致。山口さんの事件の現場に残された足跡とも一致した。さらに、小泉容疑者の供述内容が、靖子さんの着衣や室内の状況と符合したという。

 警視庁は、二十三日午前二時四十五分、任意同行した麹町署で小泉容疑者を逮捕した。容疑は二十二日午後九時半ごろ、警視庁本部前に止めた車内に全長約三十三センチ、刃渡り約二十センチの血のついたナイフ一本を携帯した疑い。」(東京新聞平成20年11月24日付朝刊)



(2) このように、小泉氏が両事件の犯人であると疑うだけの証拠はあるようですから、その小泉氏が出頭前に出したと思われる声明は重要です。新聞社では朝日新聞と読売新聞だけに、テレビ局では日本テレビ・TBSテレビ・フジテレビにも同じ声明を送りましたが、その声明を1つ紹介しておきます。(11月26日追記:毎日新聞平成20年11月25日付朝刊26面には、「小泉容疑者とみられる人物から本社に送信された文面」を掲載しています。24時間態勢でチェックしていない部署へ届いたため、気づかなかったとの説明をしています。)

 イ:朝日新聞平成20年11月24日付朝刊31面

朝日新聞に届いた、小泉容疑者らしき人物からの「声明」
2008年11月24日7時54分

【小泉容疑者とみられる人物から朝日新聞に送信された文面】(抜粋)

日時 2008年11月22日 19時00分 

件名 元厚生次官宅襲撃事件について


今回の決起は年金テロではない!

今回の決起は34年前、保健所に家族を殺された仇討(あだう)ちである!

私はマモノ(元官僚)とマモノと共生しているやつらを殺したが、やつらは今も毎年、何の罪の無い50万頭ものペットを殺し続けている。

無駄な殺生はするな!!!

無駄な殺生をすれば、それは自分に返ってくると思え!

<日本警察の捜査能力に疑問>

・私は左利きである。

・私は靴ひもタイプを使ってない。

・吉原の妻に使った凶器は山口を殺した包丁を使用した。

・山口の件では最初に出てきたのは剛彦である。

最初から逃げる気は無いので今から自首する。

以上」


この声明は、<1>犯行動機を語っていると共に、<2>見込み違いの捜査をしていると揶揄しているのです。年金テロであれば、年金受給年齢者に限定されてきてしまいますし、犯人が右利きであるとしてしまえば、左利きの者は容疑者から外れてしまいます。「靴ひもタイプを使っていない」のに「靴ひもタイプ」だと間違えれば、証拠も間違えてしまいます。

小泉氏がもし本当に犯人であるとすれば、今までの警察の捜査に関する報道からすれば、小泉氏は容疑者のリストから外れていた可能性があります。この声明からしても、見込み捜査の危うさが垣間見えるのです。


 ロ:11月24日付NHKニュースによれば、小泉氏は、数年前、犬や猫を保護して世話をする、ボランティアに従事し、熱心に取り組んでいたそうです。そこで関係者に「なんの罪もない犬や猫が殺されるのは保健所なんていらないものがあるからだ。国の方針は間違っている」などと述べていたとのことです。

数年前にボランティア活動

 小泉容疑者は、数年前、犬や猫を保護して世話をする、ボランティアに従事し「何の罪もない犬や猫が殺されるのは保健所があるからだ」などと話していたことがわかりました。

 犬や猫の保護活動をしている関東地方の団体によりますと、数年前、小泉容疑者から電話で「ボランティアをしたい」という申し込みがあり半年間ほど犬のおりの中を掃除したり散歩をさせたりするボランティア活動に熱心に取り組んでいたということです。

 この際、小泉容疑者は「なんの罪もない犬や猫が殺されるのは保健所なんていらないものがあるからだ。国の方針はまちがっている」などと話していたということです。父親によりますと小泉容疑者が小学生だった時、飼っていた犬を保健所で処分したことがあり小泉容疑者は逮捕された際も「保健所にペットを処分され腹が立った」と話しています。

 また小泉容疑者についてこの団体の関係者はほかの人とトラブルになったり声を荒らげたりすることもなく、本人からは「人づきあいが苦手だ」と聞かされたということで逮捕されたことは「信じられない」と驚いた様子で話していました。」(NHK首都圏ニュース:2008年11月24日 23時51分更新)



 「保健所は都道府県などの自治体が運営している。厚労省は、予防注射を受けていない犬などの捕獲や処分を定めた狂犬病予防法を所管し、自治体を指導する立場にあるが、自宅を襲撃された元厚生次官2人がこれらの行政を直接担当したことはなかった。

 環境省の2006年度の調査では、保健所などに引き取られた犬や猫のうち、殺処分となったのは計約34万匹。動物愛護団体「地球生物会議」によると、1997年度は64万匹余だったが、01年度に50万匹を切り、減少傾向にあるという。

 殺処分を巡っては、動物愛護の観点から批判が高まり、厚労省は昨年5月、動物愛護法を所管する環境省とともに、できるだけ生存の機会を与えるよう求める通知を自治体に出した。

(2008年11月24日03時16分 読売新聞)


現在では、「殺処分となったのは計約34万匹」であって、小泉氏の認識である「50万匹」とは食い違いがあるとはいえ、多数の殺処分がなされている事実は変わりません。「何の罪もない犬や猫が殺されている」という言葉自体は、真実をついています。小泉氏の父親は、34年前、人によく吼える犬という理由で、飼い犬を勝手に保健所に連れて行って殺処分したわけですが、身勝手な理由での殺処分の一例といえます。

声明に含まれている「無駄な殺生はするな!!! 無駄な殺生をすれば、それは自分に返ってくると思え!」という言葉からすると、あたかも小泉氏から仏教の教えを説かれているようで、重いものがあるように思います。もちろん、小泉氏自身が(もし犯人であるとすれば)「無駄な殺生」をしたことには変わりがないのですが。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 7  *  CM: 0  * top △ 
2008/11/23 [Sun] 23:56:16 » E d i t
「国内外で進化する人工臓器の最前線(1)(読売新聞平成20年10月19日(日)朝刊から連載)」(2008/10/27 [Mon] 00:00:04)の続きです。今回は、平成20年11月2・9日の2回分で、連載記事第3回は「人工内耳・人工視覚」であり、第4回は「人工骨」です。



1.もう一度、人工臓器とは何か、について触れておきます(日本人工臓器学会」のHPから引用)。

人工臓器とは?

心臓、肺、肝臓、腎臓などの臓器の機能が損なわれると種々の病気になり、重い場合は生命の危機にさらされます。人工臓器は、このように病んだ臓器の代行を目的として開発されたもので、さまざまな治療を通じて機能補助が行われます。一口に人工臓器といっても、20万人を超える患者さんの命を救っている人工腎臓(血液透析)から、人工肝臓のように臨床使用されていないものまで、さまざまです。」




-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

2008/11/18 [Tue] 18:41:31 » E d i t
最近、大阪では、たて続けに凄惨なひき逃げ事件が起きています。(11月22日追記:ひき逃げ事件について、毎日新聞平成20年11月22日東京朝刊の記事を引用しました。)


「▽先月21日に大阪市北区で飲酒し、無免許だったホスト(22)が会社員(30)をはね、約3キロ引きずって走行。会社員は死亡し、ホストには殺人容疑が適用された。

 ▽16日には同府富田林市で、飲酒した大工(41)が新聞配達中の少年(16)をはね、約7キロ引きずり、少年は死亡した。

 ▽17日未明にも大阪市天王寺区と東住吉区でひき逃げ事件が発生。男性1人が死亡、1人が重傷、両事件とも車両は逃走した。」(東京新聞平成20年11月18日付朝刊24面)



10月21日に大阪駅前で会社員(30)が車に約3キロも引きずられて死亡した事件、11月16日に新聞配達中の少年(16)が車に約7キロも引きずられて死亡した事件は、いずれも飲酒運転であったことが明らかになっています。

前者の10月21日の事件は、「衝突時の速度は30キロ程度で、すぐに手当てをしていれば、命に別条はなかったとみられている」(読売新聞平成20年11月18日付「社説」)のに引きずってしまったのですから、警察は、22歳の男性を自動車運転過失致傷罪の適用だけでなく、殺人罪の容疑で逮捕しています(「質問なるほドリ:「ひき逃げ」が「殺人」になるの?」(毎日新聞 2008年11月15日 東京朝刊)参照)。このケースは、自動車事故ではなく殺人に該当すると判断できるほど悪質なケースでした。

こうした凄惨・悪質なひき逃げ事件が相次いでいる原因としては、近時、酒酔い運転による死傷事故について厳罰化されたことが影響しているのでしょうか? また、大阪でこうしたひき逃げ事件が多いのは偶然なのでしょうか? 

この点について、東京新聞「こちら特報部」が記事にしていましたので、紹介したいと思います。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 1  *  CM: 6  * top △ 
2008/11/17 [Mon] 17:11:42 » E d i t
淀川労働基準監督署(大阪市)は平成20年10月27日、原発検査の作業中に被ばくし、悪性リンパ腫で死亡した沖縄県うるま市の喜友名(きゆな)正さんの妻末子さん(57)に、正式に労災支給決定を伝えました(毎日新聞 2008年10月28日 東京朝刊)。被ばくに起因する原発関連施設の労働者の労災認定はこれまで白血病と多発性骨髄腫、急性放射線症ですが、悪性リンパ腫では初となります(毎日新聞 2008年10月28日 東京朝刊)。


1.報道記事を幾つか。

(1) 沖縄タイムス2008年10月28日【朝刊】 社会

故喜友名さんに労災認定/悪性リンパ腫で初めて/妻末子さん、再発防止願う

 全国各地の原子力発電所や核燃料施設で働き、悪性リンパ腫で死亡したうるま市の喜友名正さん=当時(53)=について、大阪市の淀川労働基準監督署は二十七日、労災を認め、遺族補償の支給を決めた。放射線業務従事者が悪性リンパ腫で労災認定されたのは初めて。同日午後、県庁で記者会見した喜友名さんの妻末子さん(57)は「認定は当然で、被ばく労働者の救済範囲が広がる。多くの支援に深く感謝し、二度とこのような事故が起きないよう願う」と力を込めた。

 同署は悪性リンパ腫が「労災の対象疾患ではない」として二〇〇六年九月に不支給を決定。遺族は大阪労働局に不服を申し立てていた。

 これを受けて厚生労働省は専門家による検討会を設置し、国内外の疫学調査事例などを精査。一部の悪性リンパ腫について労災対象となるリンパ性白血病の類縁疾患とみなすことができ、「白血病の認定基準となる放射線被ばく線量を参考に(労災を)判断することが適当」などとする報告書をまとめた。

 代理人の金高望弁護士は「当初の末子さんの労災申請が門前払い同様に扱われ、認定まで莫大な労力を要した。問題は氷山の一角で、泣き寝入りも多い」と強調、関係者と連携し対象疾患の拡大などを厚労省に申し入れる考えを示した。

 喜友名さんは一九九七年に大阪市の放射線検査の下請け会社に入社し、北海道や福井県の原発などで放射能漏れなどを調べる非破壊検査に従事。一週間から二カ月ほど働いて被ばく線量が増えると帰郷する生活を繰り返し、六年四カ月の勤務で被ばくした放射線量は白血病の労災認定基準の三倍以上に達した。

 二〇〇三年暮れから鼻血や発熱などの症状が悪化、〇四年五月に悪性リンパ腫と診断され、翌年三月に亡くなった。」



(2) asahi.com(2008年10月28日7時51分)

原発労働被曝で労災認定、悪性リンパ腫では全国初
2008年10月28日7時51分

 原発や青森県の六ケ所再処理工場で放射能漏れ検査に従事し、05年3月に悪性リンパ腫で死亡した沖縄県うるま市の喜友名正さん(当時53)について、淀川労働基準監督署(大阪市)は27日、労災を認めることを決め、申請した妻末子さん(57)に通知した。原発労働による悪性リンパ腫の労災認定は全国初。白血病と急性放射線症以外で認められたのは2例目。

 喜友名さんは97年9月から04年1月まで国内の原発7カ所と再処理工場で勤務し、計99.76ミリシーベルトを被曝(ひばく)。専門家でつくる厚労省の検討会は今月3日、「原発労働による放射線被曝によって悪性リンパ腫を発病し、死に至った」として労災を認めるべきだとの報告書をまとめ、同労基署に送付していた。

 原発労働の労災については76年に作られた認定基準がある。末子さんは「認定は当然。夫は危険な仕事をして亡くなった。原発や労働環境を見つめ直すきっかけになれば」と話した。」



被ばくした原発労働者は何万人というほど多数いるのですが、表面化した労災認定としては、喜友名さんが10人目というほどごくわずかです(毎日新聞 2008年10月28日 東京朝刊)。労災認定を受けていない理由は色々あるのでしょうが、「当初の末子さんの労災申請が門前払い同様に扱われ、認定まで莫大な労力を要した。問題は氷山の一角で、泣き寝入りも多い」(喜友名さんの代理人の金高望弁護士)というのが1つの理由といえます。

こうした「当初の末子さんの労災申請が門前払い同様に扱われ、認定まで莫大な労力を要した」という経緯があることから、11月17日(月)14時~16時(予定)、「喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定にかかわる厚生労働省への申し入れと交渉」を行うとのです(「レイバーネット日本」の「原発被曝労働者の労災認定にかかわる厚労省申し入れ」)。

その交渉では、次のような項目を申し入れるようです。

「申し入れ事項
1.喜友名さんの悪性リンパ腫労災認定とその経過を各地の労働局・労基署に伝えること。その際、㈰2004年の長尾光明さんの多発性骨髄腫に続き、白血病類縁疾患の悪性リンパ腫を労災認定したこと、㈪労基署はりん伺せずに不支給決定したが、不服申し立ての中で支援者から問題を指摘され、本省協議(5回の検討会)を経て「自庁取り消し」となったこと、を明示すること。
2.原発被曝労働者の労災申請に対して、今回のような労基署の独善的な扱いが繰り返されないよう通知・徹底すること。
3.今回の「りん伺なしの不支給決定」が行なわれた経過とその責任を明らかにすること。
4.申請から3年、審査請求から2年、多大な心労と労力に対して当事者に謝罪すること。
5.原発被曝労働者の実態を把握し、労災申請に親身に応じる等、申請が行ないやすい環境を整えること。
6. 喜友名さんの過酷な被曝労働の実態およびそれがもたらされた原因を明らかにし、原発被曝労働者の健康被害を防ぐための措置をとるよう事業者に指示すること。
7.認定基準の例示疾患に白血病類縁疾患を追加すること。
8.離職者に健康管理手帳を発行し、無償の健康診断など、健康管理を行うこと。
9.検討会の検討経過と検討内容を公開すること」



このような申し入れを行うようですが、厚生労働省が行う、原発関連施設の労働者の労災認定についての「専門家による検討会」の委員について、東京新聞がインタビュー記事を掲載しましたので、紹介したいと思います。

このインタビュー記事では、表に出ない労災認定の舞台裏が分かるものであり、また、11月17日(月)14時から行う、厚労省への申し入れ項目の幾つかについては回答になっている点もあるため、興味深い記事といえます。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

2008/11/14 [Fri] 17:00:56 » E d i t
11月14日は「世界糖尿病デー」です。11月14日は、1921年に血糖値を調節するホルモン「インスリン」を発見したカナダ人医師、フレデリック・バンティングの誕生日。国連が2006年、このインスリン発見者の誕生日である11月14日にちなんで定めものです。2回目となった今年は、世界約740ヶ所、国内約50ヶ所がライトアップされ(毎日新聞 2008年11月13日 地方版〔播磨・姫路版〕)、「子どもの糖尿病対策の推進」をテーマに掲げています(毎日新聞2008年11月15日 東京朝刊)。
11月15日追記:読売新聞(2008年11月14日23時16分)によると、「エジプトのピラミッドやナイアガラの滝など、世界約100か国、約930か所の名所・旧跡」、「東京タワーを含め、国内では姫路城など48か所」でブルーのライトアップをしたそうです。)




「世界糖尿病デー」とは…

 現在、糖尿病は世界の成人人口の約5~6%が罹患しており、2025年には3億8000万人(2007年より64.7%増)に達すると予想されている。そこで、IDF(国際糖尿病連合)からの要請を受け、国連では2006年12月20日に「糖尿病の全世界的脅威を認知する決議」を総会決議で採択し、11月14日を「世界糖尿病デー」に指定した。糖尿病は現時点でも世界中で10秒に1人の命を奪っている計算になるが、その増加傾向は特に発展途上国で顕著になっている。世界糖尿病デーには世界各地で様々な関連イベントが予定されており、東京近郊では、東京タワーや、都庁などでブルーのライトアップが予定されている。ぜひ見に行って、糖尿病について考えたり、話し合ったりする一日にしてほしい。」(東京新聞平成20年11月14日付朝刊15面「企画特集」


IDF(国際糖尿病連合)は決議に先駆け、”Unite for Diabetes”(糖尿病との闘いのため団結せよ)というキャッチフレーズと、国連や空を表す「ブルー」と、団結を表す「輪」を使用したシンボルマークを採用しています。ですから、ブルーのライトアップが行われています(「世界糖尿病デー」公式ホームページも参照)。



1.「東京新聞フォーラム」は2008年10月27日(月)午後1時30分から、11月14日の世界糖尿病デーに合わせ「糖尿病と向き合う」というシンポジウムを開きました。普段は腎臓移植について触れていますが、腎臓移植に至らないよう予防が必要です。その1つとして、糖尿病について考えてほしいと思い、このシンポジウムの講演内容について、一部紹介してみたいと思います。

東京新聞フォーラム 「糖尿病と向き合う」

 東京新聞フォーラム「糖尿病と向き合う」(世界糖尿病デー実行委員会、日本糖尿病学会、日本糖尿病協会共催、厚生労働省、東京都後援、サラヤ特別協賛)が10月27日、東京・千代田区麹町の「TOKYO FMホール」で開かれた。

 最初に門脇孝・東京大学大学院教授と清野裕・関西電力病院院長が基調講演。続いて田嶼(たじま)尚子・東京慈恵会医科大学主任教授、桜山豊夫・東京都福祉保健局技監、本田佳子・女子栄養大学教授と門脇教授、清野病院長を交えた5人のパネリストが、日比野守男・東京新聞論説委員の司会で意見を交換した。パネル討論では田嶼教授が議論進行の座長も務めた。会場は300人近くの聴衆で満席、分かりやすく、ときにはユーモアも交えた討論に、時間のたつのを忘れ熱心に耳を傾けていた。」





-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

2008/11/13 [Thu] 23:13:48 » E d i t
日本経済新聞は、平成20年9月10(水)付朝刊から、「判決60年 文書に見る東京裁判」という連載を開始し、先日、連載を終えたようです。


東京裁判、全記録明らかに 国立公文書館が整理完了

 日中戦争、太平洋戦争の政府、軍指導者を裁いた極東国際軍事裁判(東京裁判)判決から今年11月で60年を迎えるにあたり、国立公文書館(東京・千代田)は所蔵する裁判記録(和文)の整理とマイクロフィルム化を完了した。

 同裁判全文書のマイクロ化は初めて。法廷に提出された被告尋問書や軍の機密文書などの書証の閲覧や検索、複写が可能になった。(07:00)」 (日経新聞2008年9月10日)


このように裁判全文書の閲覧や検索、複写が可能になったため、連載記事が可能となったのです。この連載記事の最後にまとめとして、「裁判記録を読んで」(上・下)という記事を掲載していました。これは、田母神氏の“日本の侵略行為正当化”論文を理解するうえで参考になると思い、紹介したいと思います。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

政治問題 *  TB: 1  *  CM: 1  * top △ 
2008/11/11 [Tue] 22:37:20 » E d i t
参院外交防衛委員会は平成20年11月11日午前、侵略戦争を否定する論文を発表し、更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長を参考人招致し、質疑を行いました。

今回の参考人招致は、妙な形式になっています。

「11日の質疑は、田母神氏1人に各党が質問する通常の参考人招致ではなく、新テロ対策特別措置法改正案の審議に同氏が出席、質問者から指名された場合に限って答弁する形式で実施される。同氏に持論を展開されることを警戒する自民党の要求を民主党が受け入れた。テレビ中継も行われない。」(時事通信:2008/11/10-21:00)


<11月16日追記>:読売新聞平成20年11月15日付夕刊2面「とれんど」欄でも、田母神氏の論文について、歴史的事実に関して批判を行っていたので、紹介しました。)



1.asahi.com(2008年11月11日17時1分)

「言論の自由」「ネットで支持も」田母神氏、強気に持論
2008年11月11日17時1分

 先の戦争を正当化する論文を書いて更迭された田母神(たもがみ)俊雄・前航空幕僚長が11日午前、参院外交防衛委員会の参考人招致に立った。自ら希望していた答弁。自衛隊のかつての実力者は、歴史認識や自衛隊のあり方を問われ、強気に持論を披露した。(中略)

 冒頭、北沢俊美委員長(民主党)から「制服組トップが内閣総理大臣の方針に反したことを公表するという驚愕(きょうがく)の事案。昭和の時代に文民統制が機能しなかった結果、三百数十万人の尊い人命が失われたことを忘れてはならない」と指摘された。

 しかし、田母神氏は、落ち着いた様子で次から次へと持論を述べた。

 「(日本の植民地支配と侵略への反省や謝罪を表明して政府見解となった)村山談話と私の論文は別」と語り、「我々にも憲法19条(思想及び良心の自由)、21条(表現の自由)は……」と権利を主張しようとして、委員長から遮られる場面もあった。

 質疑が進むにつれ、言葉はなめらかになる。「私の書いたものは、いささかも間違っているとは思っていない」「自衛隊が動けなくなる。言論統制を徹底した軍にすべきではない」と述べた。」


こうして、村山談話と反しているにも関わらず、「村山談話と私の論文は別」と開き直り、相変わらず論文内容はまったく間違っていないと述べています。田母神俊雄・前航空幕僚長(60)は11月3日、都内で記者会見し、「解任は断腸の思い」としながらも、「誤っているとは思わない。政府見解は検証されてしかるべきだ」と主張していたのですが(朝日新聞)、その姿勢は一向に変えていないことが分かります。




2.この田母神俊雄前航空幕僚長の“日本の侵略行為正当化”論文については、その歴史認識については正しいと考える人がネット上では、多々いるようです。そこで論文に含まれる歴史認識に関する問題点について、近現代史の専門家(秦郁彦氏、保阪正康氏)が検証した記事がありましたので、紹介したいと思います。

(1) まずは、田母神氏の論文の要旨を引用しておきます。

田母神論文 要旨

 日本は19世紀の後半以降、朝鮮半島や中国大陸に軍を進めることになるが相手国の了承を得ないで一方的に軍を進めたことはない=<1>。我が国は日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために条約等に基づいて軍を配置したのである。

 この日本軍に対し蒋介石国民党は頻繁にテロ行為を繰り返す。実は蒋介石はコミンテルンに動かされていた=<2>。毛沢東共産党のゲリラが国民党内に多数入り込んでいた。コミンテルンの目的は日本軍と国民党を戦わせ、両者を疲弊させ、最終的に毛沢東共産党に中国大陸を支配させることであった。我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者なのである=同。

 1928年の張作霖列車爆破事件も関東軍の仕業だと言われてきたが、最近ではコミンテルンの仕業という説が極めて有力になってきている。1937年の盧溝橋事件も、今では「仕掛け人は中国共産党」という証言が明らかになっている。

 日米戦争も、日本を戦争に引きずり込むために米国によって慎重に仕掛けられた罠だったことが判明している。実は米国もコミンテルンに動かされていた。ルーズベルト政権内のコミンテルンのスパイが大統領を動かし、我が国を日米戦争に追い込んでいく。日本はルーズベルトの仕掛けた罠にはまり真珠湾攻撃を決行することになる=<3>。

 大東亜戦争の後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放されることになった。それは日露戦争、大東亜戦争を戦った日本の力によるものである。

 東京裁判は戦争責任をすべて日本に押しつけようとしたものだ。そのマインドコントロールは今なおも日本人を惑わせている。

 私たちは多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識しておく必要がある=<4>。我が国が侵略国家だったなどというのは正に濡れ衣である=<5>。私たちは輝かしい日本の歴史を取り戻さなければならない。」(朝日新聞平成20年11月11日付朝刊2面)

 


-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

政治問題 *  TB: 6  *  CM: 5  * top △ 
2008/11/08 [Sat] 23:59:09 » E d i t
 ジャーナリストでニュースキャスターも務めた筑紫哲也(ちくし・てつや)さんが平成20年11月7日午後1時50分、肺がんのため東京都内の病院で死去しました。73歳でした。

「メディアに携わる者にはなくてはならない、流れに流されてはならない「反骨」の人であった。希代のニュースキャスター、逝く。」(朝日新聞平成20年11月8日付夕刊1面「素粒子」)





1.朝日新聞平成20年11月8日付朝刊1面

筑紫哲也さん死去 NEWS23前キャスター 73歳
2008年11月7日21時26分

 政治・外交から文化まで幅広く報道するテレビキャスターとして長く親しまれ、雑誌「朝日ジャーナル」編集長も務めた朝日新聞元編集委員の筑紫哲也(ちくし・てつや)さんが7日午後1時50分、肺がんのため都内の病院で死去した。73歳だった。葬儀は近親者のみで行う。喪主は妻房子(ふさこ)さん。後日、お別れの会を開く予定。

 大分県生まれ。59年に朝日新聞社に入社し、68年には米軍統治下の沖縄特派員として返還交渉を取材。71年からの米ワシントン特派員時代には、当時のニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を取材した。

 84年に朝日ジャーナル編集長。「若者たちの神々」「新人類の旗手たち」などの企画が話題になり、「新人類」は流行語になった。

 外報部次長時代の78年、「こちらデスク」(テレビ朝日系)のキャスターになり、テレビでも知られるように。89年に朝日新聞社を退社し、TBS系の報道番組「筑紫哲也NEWS23」のキャスターに就いた。穏やかな語り口で、フリップにタイトルを示して世相を評論する「多事争論」のコーナーが話題を呼んだ。98年11月にはクリントン米大統領(当時)をスタジオに招くなど、各国の首脳と市民が直接対話する場の司会を務めた。

 07年5月、番組中で初期の肺がんを告白。治療に専念し、約5カ月後の10月に、がんを「ほぼ撃退した」として生出演を果たしたが、番組のキャスターが12月から後藤謙次氏に代わってテレビ出演が減っていた。

 08年度の日本記者クラブ賞を受賞。著書に「筑紫哲也のこの『くに』のゆくえ」「職業としてのジャーナリスト」「旅の途中」などがあり、共訳に「メディアの権力」など。「スローライフ」にも着目し、NPO法人「スローライフ・ジャパン」の理事を務めていた。」



89年10月からTBSの報道番組「筑紫哲也NEWS23」キャスターになりましたが、当時、夜のニュースは久米宏さんの「ニュースステーション」(テレビ朝日)が高視聴率を獲得しており、「報道のTBS」の威信をかけての外部からの抜てきでした。筑紫哲也さんは、活字ジャーナリズム出身らしく知的で抑制の効いた語り口で、久米さんと並んで、民放キャスターの代表的存在となりました(東京新聞平成20年11月8日付12面「芸能面」)。

筑紫哲也さんの死去を受け、筑紫さんが18年半、メーンキャスターを務めたTBS系「NEWS23」は、11月7日夜の放送冒頭、約20分間にわたって活躍を振り返りました。番組には、ジャーナリスト仲間の鳥越俊太郎さんが出演、「本当に残念」と声を詰まらせた。野中広務元官房長官や広島カープの山本浩二前監督、歌手の忌野清志郎さんら、筑紫さんと親交が深かった著名人らの談話を映像などで紹介していました(共同通信)。

テレビ番組での最後の「多事争論」は3月28日。少数派を切り捨てることが戦争につながる――。一貫した主張でした(日刊スポーツ平成20年11月8日付22面)。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

論評 *  TB: 2  *  CM: 2  * top △ 
2008/11/07 [Fri] 00:36:38 » E d i t
2期8年にわたるブッシュ共和党政権後の米国の新体制を決める、2008年米大統領選挙は11月4日、投開票が行われ、民主党のバラク・オバマ上院議員(47)が共和党のジョン・マケイン上院議員(72)を破り、第44代大統領に当選しました。黒人(アフリカ系)の大統領誕生は米建国後初めてです。

オバマ氏は来年1月20日、ワシントンで就任式を行い、第44代のアメリカ大統領に正式に就任し、任期は2013年1月までの4年です。副大統領にはジョゼフ・バイデン上院議員(65)が就任します。



1.朝日新聞平成20年11月6日付朝刊1面

「イエス、ウィー・キャン」オバマ氏が勝利宣言
2008年11月6日1時1分

 【ワシントン=小村田義之】08年米大統領選を制した民主党のバラク・オバマ上院議員(47)は4日深夜(日本時間5日昼)、地元イリノイ州シカゴで演説し、「この選挙で私たちが起こした行動により、米国に変革の時がきた」と勝利を宣言した。10万人近い観衆が歓呼で応えた。

 奴隷制度という過去を持ち、人種問題を抱える米国が、奴隷の子孫ではないものの、アフリカ系(黒人)の大統領を選んだ歴史的な選挙となった。

 オバマ氏は演説で「(リンカーン米大統領らが言った)『人民の人民による人民のための政治』は、なお滅びていないと証明した。あなたたちの勝利だ」と述べ、草の根の選挙運動を支えたボランティアの努力をたたえた。

 また、世界の人々に向けて「今夜、米国以外の議会や王宮から見つめている人々、忘れられた世界の片隅でラジオを聞いている人々に対して言いたい。(今日成し遂げられた)米国の物語は特異だが、我々の行き先は共有できる。米国の新政権の夜明けが近づいている」と呼びかけた。「この世界を破壊しようとする者たちを、我々は打ち負かす。そして、平和と安全を求める人々を支援する」と決意を語った。

 また、米国の「本当の力」として「武力や富の力ではなく、民主主義や自由、機会や希望といった絶えざる理想」を挙げた。そのうえで「米国は変化できる。我々の団結は完遂できる。これまで成し遂げたことから、今後、達成できることへの希望が生まれる」と語った。

 一方でオバマ氏は「待ち受けている膨大な課題を理解している」とも語った。イラクとアフガニスタンという「二つの戦争」や金融危機を例に「道のりは長く、険しい。1年、あるいは(大統領任期の)1期(4年)の間には達成できないかも知れない」との認識を示した。

 そのうえで「できやしないという人に出会ったら、『イエス、ウィー・キャン(我々はできる)』と答えてやろう」と呼びかけた。

 これに先立ち、ブッシュ大統領はオバマ氏に電話し、「あなたは、これから人生の偉大な旅に出ようとしている」と祝意を伝えた。

 ブッシュ氏は5日午前、ホワイトハウスで声明を読み上げ、次期オバマ政権への移行について、現政権による「完全な協力」を約束した。また、前夜の電話でオバマ氏夫妻をホワイトハウスに招いたことを明らかにした。

 ABCニュースは5日朝、オバマ氏が民主党のエマニュエル下院議員(イリノイ州選出)に、ホワイトハウスの首席補佐官への就任を打診したと報じた。

 一方、上下両院選挙は民主党が過半数を維持し、民主党主導の議会が次期オバマ政権を支える形が固まった。」



オバマ氏は演説のなかで、「(リンカーン米大統領らが言った)『人民の人民による人民のための政治』は、なお滅びていないと証明した。あなたたちの勝利だ」と述べ、草の根の選挙運動を支えたボランティアの努力をたたえています(朝日新聞)。このように、演説の中で、『人民の人民による人民のための政治』という民主主義の意義について語って見せたこと自体、米国が民主主義国家であることを、改めて明言したように思えました。 (日本の政治ではありえないことですが)

民主党は、クリントン前大統領以来、8年ぶりに共和党から政権を奪回しました。同時に行われた議会選でも、「上下両院選挙は民主党が過半数を維持し、民主党主導の議会が次期オバマ政権を支える形が固まった」わけです。すなわち、オバマ新政権は行政府(ホワイトハウス)、立法府(議会)ともに民主党が支配する「安定政権」となり、景気対策などで思い切った政策を打ち出す環境が整ったことになります(2008/11/05 14:29 【共同通信】)。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

2008/11/04 [Tue] 23:31:14 » E d i t
「麻生太郎首相の自宅を見に行こう」と呼び掛け、無届けでデモ行進を行ったなどとして、警視庁公安部と渋谷署は10月26日、東京都公安条例違反と公務執行妨害の現行犯で、氏名不詳の男3人を逮捕しました(時事通信:2008/10/26-20:55)。


その逮捕の事実については、次のように報道されていました。

首相私邸へ無届けデモ 公務執行妨害などで3人逮捕

 警視庁公安部は26日、東京都渋谷区の麻生太郎首相の私邸へ向けて行進するイベントを開き、無届けでデモを行ったり、警察官による逮捕を妨害したとして、公務執行妨害と東京都公安条例違反(無許可デモなど)の現行犯で参加者の男3人を逮捕した。

 公安部によると、3人のうち1人は、同日午後3時ごろから、許可を得ずに渋谷駅ハチ公前広場で集会を開催。午後3時50分ごろ、同区宇田川町の路上で、風船や麻生首相を模した人形を掲げるなどして無届けでデモを行った疑い。他の2人は、条例違反の逮捕を防ごうとして警察官の職務を妨害した疑い。

 イベントには約50人が参加。主催者側は「デモ申請は必要ないはず。不当逮捕だ」と主張している。

2008/10/26 20:12 【共同通信】




1.このように、「公務執行妨害と東京都公安条例違反(無許可デモなど)の現行犯」だとしているのですが、「麻生でてこい!!リアリティツアー救援会ブログ」で紹介しているように、実際の映像を見ると、少なくとも公務執行妨害罪(刑法95条)を犯した事実があるとはおもえません。

(1) 東京新聞平成20年11月4日付夕刊8面

逮捕映像、視聴14万回超 首相邸「無届けデモ」容疑
2008年11月4日 08時38分

 フリーターの労働組合などが10月26日に呼び掛けた麻生太郎首相の私邸見物への途中、参加者3人が「無届けデモ」などとして警視庁に現行犯逮捕された際の映像3本がインターネットの動画共有サイト「ユーチューブ」で公開され、再生(視聴)回数は4日までに計14万回を超えた。芸能やお色気映像に交じってランキング上位に入り、同労組に激励メールなども相次いでいる。

 東京都渋谷区にある首相の私邸見物はフリーター全般労働組合(東京)などが主催。私邸の資産価値は一部で62億円と報じられたことから、格差社会の実態を見ようと「リアリティツアー・62億ってどんなだよ。麻生首相のお宅拝見」と銘打って実施された。

 逮捕容疑は公務執行妨害や東京都公安条例違反で、公開されている映像は(1)多数の警察官が参加者を取り押さえ、手足を持って連行する様子(2)警察官とみられる男性らが「誰かに警告させないとね」と話し合い「よし」「公妨だ」と言って参加者に飛び掛かるシーン(3)逮捕前に制服の警察官が「きょうは届けてないから車道は駄目」などと参加者と話している場面。

 ユーチューブが集計する「最も再生されたランキング」で、2日は3本ひとまとめで国内19位に入った。

(共同)」



(2) 毎日新聞平成20年11月3日付朝刊11面「<現代>を読む」(一部引用)

若年層の「戦争待望論」 90年代後半から続く閉塞感   

 「貧困」がやっと可視化された現在、若者などワーキングプアの人々は「労働/生存運動」という形で声を上げつつある。が、10月26日、信じられない事件が起きた。フリーター全般労働組合が麻生太郎首相に団体交渉を申し入れ、麻生首相宅を見に行くツアーが企画されたのだが、歩道を歩いていただけで3名が、私の目の前で公務執行妨害などの容疑で逮捕されたのだ。

 貧しい人々が格差と貧困に対して声を上げ、行動しようとしただけで今度は厳しい弾圧に晒(さら)される。いったい若者たちは、何を希望とすればいいのだろうか。

------------------------------------------------------------
雨宮処凛 あめみや・かりん 1975年生まれ。パンクロック歌手、右翼活動家などを経て作家に。著書に『全身当事者主義』など多数。
------------------------------------------------------------」




-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

事件 *  TB: 4  *  CM: 6  * top △ 
2008/11/03 [Mon] 23:27:02 » E d i t
市民的及び政治的権利に関する国際規約(「自由権規約」)に基づく、国連(UN)の自由権規約委員会(Human Rights Committee)は2008年10月30日、日本の人権保障状況に関して問題の改善勧告を含む「最終見解」を公表しました。これは、自由権規約の実施状況に関する第5回日本政府報告書に対して、2008年10月15日、16日に行われた審査を踏まえたものです。


1.「最終見解」は、合計34項目にも及ぶ詳細な評価・勧告となっています。ですから、自由権規約委員会は、日本の人権状況保障状況は、広範囲にわたって問題点があると指摘しているといえます。後で詳しい内容を引用しておきますが、全体的な特徴について触れておきます。

(1) 「最終見解」の中では、少しだけ評価を受けた点がありました。

前回の審査から今回の審査までの10年間に、<1>男女平等社会の実現を目指す方策(男女共同参画基本計画の樹立、女性の雇用差別、DV防止法改正など女性と子どもに対する暴力問題)に関して、一定の改善がなされたこと、<2>及び国際刑事裁判所への加盟等を積極的な側面として評価しています(会長声明集 Subject:2008-10-31 国際人権(自由権)規約委員会の総括所見に対する会長声明)。



(2) しかし、自由権規約委員会は、第6パラグラフから第34パラグラフに至る29項目にもわたり、日本政府に対して具体的な改善勧告を行っています。勧告内容は多岐にわたるとともに、1998年の前回勧告に比べても極めて具体的かつ詳細なものになっています(「アムネスティ・インターナショナル日本」の「日本 : 自由権規約委員会の最終見解発表 日本の人権保障政策のグランドデザインが示される」(2008/10/31) )。

 イ:問題とされた主要な項目は次のものです。(( )はパラグラフの項目の数字です。)

<1>法執行官への人権研修、および国内人権機関(6、7、8、9)
<2>公共の福祉(10)
<3>女性差別(11、12、13、14、15)
<4>死刑制度、および被拘禁者の人権(16、17、21)
<5>代用監獄、および捜査取り調べの可視化(18、19)
<6>刑事施設および留置施設視察委員会(20)
<7>日本軍性奴隷制(22)
<8>人身売買(23)
<9>外国人研修および技能実習生(24)
<10>出入国管理(25)
<11>表現の自由(26)
<12>子どもの虐待、および婚外子差別(27、28)
<13>LGBTへの差別(29)
<14>マイノリティへの差別(30、31、32)
<15>報告期限および勧告の配布(33)



 ロ:報道では、自由権規約委員会は、日本の死刑制度について「ここ数年、死刑執行の件数が着実に増えている」として懸念を示したとして(NHKニュース(10月31日 12時7分))、日本政府に対し、「(国内の)世論調査に関係なく死刑制度の廃止を検討すべきだ」と勧告したという点が大きく取り上げられました。その死刑問題についてのパラグラフは、詳しくは次のようなものです。

パラグラフ16では、次のように勧告された。「世論の動向にかかわりなく、締約国は死刑の廃止を考慮すべきであり、一般世論に対して、死刑を廃止すべきであるということを必要な限り説明すべきである。現段階では、規約6条の2に規定された通り、死刑は最も重大な犯罪のみに厳格に限定すべきである。死刑囚の処遇、高齢者に対する死刑執行や精神疾患を持つ人の死刑執行については、より人道的なアプローチがとられるべきである。締約国はまた、死刑囚や家族が死刑執行に絡む心理的な負担を少しでも軽くすることができるよう、死刑の執行日時に関して、十分な期間的余裕をもって事前に知ることができるようするべきである。死刑囚に対しては、恩赦、減刑、執行延期手続きなどがより柔軟に認められるべきである。」

パラグラフ17では、次のように勧告された。「締約国は、死刑事件に関しては必要的再審査手続きを設けるとともに、再審請求や恩赦の出願がなされている場合には執行停止の措置をとるべきである。恩赦の出願に関して回数制限を設けることは考慮してもよい。再審請求にかかわる弁護人との打ち合わせについては、すべて秘密接見交通が保障されるべきである。」

これらに加えて、パラグラフ21では、次のように指摘された。「締約国は、死刑囚の拘禁を原則として昼夜間独居とすることについて、そうした原則を緩め、昼夜間独居は限られた期間のみの例外的な措置とし、期間制限を設けること。保護房に収容される囚人の身体的、精神的診断を事前におこなうこと。不服申立てができずに明確な基準もなく指定される「第4種制限区分」により一定の囚人を隔離処遇することを止めること。」


このように、死刑問題については、パラグラフ16・17にわたって詳細に勧告を行っています。昼夜にわたる独居拘禁の関係のパラグラフ21でも取り上げられ、合計3つのパラグラフにおいて勧告するほど、死刑問題については問題視しているといえます。

  (イ) パラグラフ16では、死刑を廃止していない現段階においても、死刑の適用犯罪を「最も重大な犯罪」に厳格に限定すべきことを求めています。これは、以前の勧告内容に厳格性要件を付け加えたものであって、「具体的な立法措置として死刑適用犯罪を減少させ、量刑基準も客観的かつ厳格にすることが求めたもの」(「アムネスティ・インターナショナル日本」の「日本 : 自由権規約委員会の最終見解発表 日本の人権保障政策のグランドデザインが示される」(2008/10/31) )といえるのです。

要するに、自由権規約委員会は、立法により、明確に死刑の適用を減らせと要求しているのですが、体感治安の悪化という感覚だけによる厳罰化の要請に流されて、死刑の適用を増やしている裁判所への非難でもあるといえます。

  (ロ) また、パラグラフ16では、死刑確定者の保護の改善をも要請しています。(a)高齢者、精神障害者への死刑執行に関しては、厳格な保障手続を設けることを要請し、(b)死刑囚や家族の心理的な負担を少しでも軽くため、死刑執行の日時については、十分な期間的余裕をもって事前に告知すること、(c)現実的に機会を奪われ、その結果再三にわたる請求を余儀なくされている再審請求や恩赦出願に関して、これらを柔軟に認めること、を求めています。

刑訴法480条は心神喪失者への刑の執行停止を定め、482条2号は「年齢70年以上」の者への刑の執行停止を定めており、事実認定の誤りを救済するという再審請求制度といったより人権に配慮した趣旨を貫くことを求めたものですから、(a)~(c)の要請は、日本政府が日本の現行法の趣旨を歪めた対応をしているとさえ、いえるものです。

  (ハ) パラグラフ17では、死刑確定者の救済措置の改善を要請しています。(a)死刑判決での必要的再審制度の導入、(b)再審・恩赦の請求について、必要的に死刑執行停止の効力を持たせること、(c)再審手続に関しては、再審が実際に開始されるまで秘密接見交通が認められないのが現状であるため、再審請求の手続に関して、弁護人との秘密接見交通を保障すること、を求めています。

これらは、「公正な裁判を保障する上での当然の措置だが、これがとられていない日本の現状が極めて厳しく糾されたもの」(「アムネスティ・インターナショナル日本」の「日本 : 自由権規約委員会の最終見解発表 日本の人権保障政策のグランドデザインが示される」(2008/10/31) )といえます。

  (ニ) パラグラフ21では、刑事拘禁制度の改善を要請しています。すなわち、死刑囚を例外なく、昼夜独居拘禁とする現在の体制を緩和し、昼夜間独居拘禁は限られた期間のみの例外的な措置とすることを求めています。

人間を独居拘禁の環境に長期間おいておくと人格は崩壊するのですから、故意に精神疾患に陥らせているとさえいえるため、憲法13条(個人の尊重)、18条(奴隷的拘束の禁止)、36条(残虐な刑罰の禁止)に違反するおそれがあります。これは、日本政府が日本の現行法に反し、非人道的な対応をしているとして、非難しているものと判断できます。


 ハ:特徴的な点は、パラグラフ34において、パラグラフ17、18、19、21に関しては、自由権規約委員会は、日本政府に対して1年以内に進捗状況について報告することを求めていることです。すなわち、

<a>パラグラフ17の内容:死刑事件に関しては必要的再審査手続の創設、再審請求や恩赦請求がなされている場合は必要的に執行停止、再審請求に関して弁護人との間で秘密接見交通を保障、
<b>パラグラフ18の内容:代用監獄制度の厳格な保障措置を満たさない限り廃止、尋問での弁護人の立会の肯定、起訴前保釈の導入)、
<c>パラグラフ19:長時間の取調べ禁止・規制違反の場合の罰則創設、取り調べの全過程のビデオ録画、取り調べへの弁護人の立会い、黙秘を不利益に判断せずに、裁判所は自白よりも科学的な証拠に依拠すべき、
<d>パラグラフ21:死刑囚を例外なく昼夜間独居拘禁する体制を緩和すること、保護房拘禁の最長時間を制限し、事前に医師の診断を必要とすること、審査の申請のできない独居拘禁を継続しない、


については、1年以内の改善を求めているのです。

その他、以前に勧告され未だ実現していない項目についても、今後の審査における報告義務が規定されており、徹底したものとなっています。また、自由権規約委員会は、パラグラフ33により、日本政府がこの「最終見解」への対応などを3年後の2011年10月29日までに報告するよう求めており(NHKニュース(10月31日 12時7分))、かなり短期間に報告することを求めています。

パラグラフ33では、次回報告期限を短めに設定するとともに、今回の「最終見解」の内容について、社会一般のみならず、政府、行政府、司法府部内の末端に至るまで、その内容を周知徹底させることを特に強調しています。「日本政府の今回の審査に際しての回答が形式にとどまり、かつ前回勧告からほとんど進展がなかった点を強く懸念しての要請事項」(「アムネスティ・インターナショナル日本」の「日本 : 自由権規約委員会の最終見解発表 日本の人権保障政策のグランドデザインが示される」(2008/10/31) )です。要するに、自由権規約を批准しておきながら、自由権規約を遵守せず、条約の誠実な遵守を要求した憲法98条2項に反している対応を強く非難したため、あえて指摘したものといえます。


 ニ:特徴的な点としては、日本政府が日本国民に知らせる責任を懈怠していることを非難している点をも挙げることができます。

今回の審査に際しては、さまざま場面で日本政府は世論の動向や反対意見の存在を、改善措置をとらない言い訳として用いていました(例えば、死刑制度の存在、民法における差別的規定の存在)。しかし、国民の多数派に歯止めをかけて、少数派の人権を保障することにこそ、人権を保障する意義がある以上、人権制約の問題は、世論の動向で決めてはならないのです。ですから、「むしろ世論や一般に広まる誤解を是正する役割や責任が締約国にあることが、再三指摘されています」(「アムネスティ・インターナショナル日本」の「日本 : 自由権規約委員会の最終見解発表 日本の人権保障政策のグランドデザインが示される」(2008/10/31) )。

その例として挙げることができるのは、すでに述べたパラグラフ33のほかに、パラグラフ16があります。パラグラフ16では、「世論の動向にかかわりなく、締約国は死刑の廃止を考慮すべきであり、一般世論に対して、死刑を廃止すべきであるということを必要な限り説明すべきである。」と勧告しています。「世論の動向にかかわりなく」という点は、人権保障の意義、立憲主義的憲法の目的からすれば、あまりにも当たり前の指摘なのですから、「日本政府は、人権保障の意義について無知すぎる」と罵倒されているに等しいものです。

他にも、民法における差別的規定の存在についても(パラグラフ11、28)、委員は、「死刑と同様、国内に反対意見があることを差別的制度存続の理由にしてはならない」と批判を行っています(「アジア女性資料センター」の「国連人権委員会自由権規約審査:進展ない女性差別解消に強い批判」(投稿日時: 2008-10-20))。各人の実質的差異といった合理性がなければ差別は許されないのですから(憲法14条、相対的平等)、反対意見があることだけでは合理的な理由とならず、憲法14条に反するものです。日本政府は、ごくごく当然の批判を受けたのです。


 ホ:他の特徴としては、日本政府は他の団体と協力することを求めています。すなわち、自由権規約委員会は、「最終見解」の冒頭パラグラフ2において、日本弁護士連合会やアムネスティ・インターナショナル日本といったNGOと政府とが不断に対話することにより、人権状況を改善する努力を強く求めているのです。


-- 続きを読む --

テーマ:死刑 - ジャンル:政治・経済

2008/11/02 [Sun] 17:52:23 » E d i t
浜田靖一防衛相は10月31夜、航空自衛隊トップの田母神俊雄航空幕僚長(60)を更迭しました。そして、政府は10月31日深夜の持ち回り閣議で、田母神氏を航空幕僚監部付とする人事を承認しています。防衛省設置法の規定により、岩崎茂・航空幕僚副長が当面、航空幕僚長の職務を行う、とのことです(朝日新聞2008年11月1日10時22分)。

田母神俊雄航空幕僚長(60)が「日本が侵略国家だったとは濡れ衣だ」などと主張する論文を民間企業の懸賞論文で発表したことが10月31日、分かったためです。

言動をめぐり、自衛隊のトップが更迭されるのは、「現地部隊が超法規的行動を取ることはあり得る」などと発言し、1978年に解任された栗栖弘臣統合幕僚会議議長(故人)以来です(時事通信:2008/11/01-01:36)。


1.田母神俊雄航空幕僚長の論文の題は「日本は侵略国家であったのか」というものであり、次のような内容です。

「日中戦争、日本は被害者」空幕長論文要旨
2008年11月1日3時1分

 田母神俊雄航空幕僚長の論文「日本は侵略国家であったのか」の要旨は次の通り。

 日本は朝鮮半島や中国大陸に一方的に軍を進めたことはない。日清戦争、日露戦争などによって国際法上合法的に中国大陸に権益を得て、これを守るために軍を配置した。
 我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者だ。
 日本政府と日本軍の努力で(満州や朝鮮半島の)現地の人々は圧政から解放され、生活水準も格段に向上した。
 日本はルーズベルトの仕掛けたわなにはまり真珠湾攻撃を決行した。
 大東亜戦争後、多くのアジア、アフリカ諸国が白人国家の支配から解放された。日露戦争、大東亜戦争を戦った日本の力によるものだ。
 東京裁判は戦争責任をすべて日本に押しつけようとした。そのマインドコントロールが今なお日本人を惑わせている。自衛隊は領域の警備もできない、集団的自衛権も行使できない、武器の使用も制約が多い、攻撃的兵器の保有も禁止されている。がんじがらめで身動きできない。このマインドコントロールから解放されない限り、我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。
 多くのアジア諸国が大東亜戦争を肯定的に評価していることを認識する必要がある。我が国が侵略国家だったなどというのはぬれぎぬである。」(朝日新聞平成20年11月1日付朝刊39面



論文は中国への侵略について「中国政府から『日本の侵略』を執拗(しつよう)に追及されるが、我が国は蒋介石により日中戦争に引きずり込まれた被害者」など、一貫して日中戦争や太平洋戦争での日本の役割を正当化する内容です。

そればかりか、日本の安全保障政策についても「集団的自衛権も行使できない。武器使用も制約が多く、攻撃的兵器の保有も禁止されている。(東京裁判の)マインドコントロールから解放されない限り我が国を自らの力で守る体制が完成しない」と、武器使用制約の緩和など自衛隊の運用政策にも踏み込んだものであって、抜本的な転換を求めているものです(朝日新聞平成20年11月1日付朝刊「田母神空幕長更迭へ 懸賞論文で『日本の侵略ぬれぎぬ』」)。



-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

政治問題 *  TB: 2  *  CM: 8  * top △ 
2008/11/01 [Sat] 23:54:16 » E d i t
戦時中の大規模な言論弾圧事件として知られる「横浜事件」で、治安維持法違反の罪で有罪判決を受けた元改造社編集部員、故小野康人さんの遺族が起こした第4次再審請求について、横浜地裁(大島隆明裁判長)は10月31日、再審開始を決定しました。決定は第3次請求より踏み込んで当時の捜査や裁判のずさんさを批判しており、「拷問を受け虚偽の自白をした」とする口述書は「無罪を言い渡すべき新たな証拠」と認定しました。

◇横浜事件再審決定の骨子◇

 ▼再審を開始する

 ▼大赦により赦免されたとしても再審を請求することが許され、名誉回復などの実益がある

 ▼事件の記録が廃棄されているからといって、再審請求を認めないのは裁判所のとるべき姿勢ではない

 ▼「共産党再建の準備会」とされた会合は慰労会の可能性が高く、当時の写真などは、無罪を言い渡すべき新証拠と言える

 ▼拷問による自白強制の可能性が高いが、第1次再審請求棄却では最終的、実質的判断を下していない」(読売新聞平成20年10月31日付夕刊1面より)



横浜事件の再審を巡っては、他の元被告人が起こした第3次請求で初めて再審開始が認められました。2005年3月の東京高裁決定は「拷問による自白」を認定し再審開始を支持しましたが、治安維持法の廃止などを理由に、有罪、無罪を判断せずに裁判を打ち切る「免訴」判決が今年3月、最高裁で確定しています(日経新聞平成20年10月31日付夕刊23面)。



1.報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年10月31日付夕刊1面

横浜事件『無罪とすべき』 再審開始を決定
2008年10月31日 夕刊

 戦時下最大の言論弾圧とされる横浜事件で、終戦直後に治安維持法違反の有罪判決を受けた元被告の遺族らが申し立てた第四次再審請求について、横浜地裁は三十一日、拷問を受けたなどとする元被告の口述書などについて「無罪を言い渡すべき明確な証拠である」として再審開始を決定した。 

 横浜事件の再審開始は、別の元被告の遺族らが行った第三次請求に次いで二回目。有罪確定から六十三年で、司法の責任が再び法廷で裁かれる。弁護団は「横浜事件が特高警察と司法によるねつ造であったことを認めており、決定に敬意を表したい」と高く評価した。

 大島隆明裁判長は決定理由で、元被告が共産主義を広めたとする有罪判決について「これを証明すべき証拠が存在せず、ただちに有罪の事実認定が揺らぐ」と指摘。「拙速といわれてもやむを得ないずさんな事件処理がされた」「不都合な事実を隠ぺいしようと記録を破棄した可能性がある」と当時の裁判所を強く批判した。

 再審を請求していたのは、雑誌「改造」の元編集部員、故小野康人さんの次男新一さん(62)と長女斎藤信子さん(59)。小野さんは「改造」に掲載された社会評論家細川嘉六氏の論文「世界史の動向と日本」の校正を行い、「共産主義を啓蒙(けいもう)した」として、一九四五年九月に有罪判決を受けた。

 遺族らは「論文は共産主義とは関係ない」とする鑑定書を新証拠として提出し、「共産党再建準備会議」とされた会合についても「単なる慰労会」と主張していた。決定は鑑定書の証拠採用はしなかったものの、「共産主義的啓蒙論文といえるか疑問を禁じ得ない」と指摘。会合は「慰労会そのもの」と断定した。

 横浜事件をめぐっては、第一、第二次再審請求がいずれも最高裁で棄却された。第四次とは別の元被告の遺族らが請求した第三次請求で初めて再審が開始されたが、有罪・無罪を判断せずに裁判を打ち切る「免訴」が最高裁で確定した。

 今回の決定でも第三次請求での免訴確定を踏まえ、「治安維持法が廃止されていることなどから、再審を開始しても免訴判決をするほかない」と述べた。

◆上級庁と対応協議

 中井国緒・横浜地検次席検事の話 当方の主張が認められず、残念。上級庁と協議して今後の対応を決めたい。」




-- 続きを読む --

テーマ:裁判 - ジャンル:政治・経済

裁判例 *  TB: 2  *  CM: 1  * top △ 
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。