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2008/09/30 [Tue] 23:45:47 » E d i t
麻生太郎首相は9月29日午後、衆参両院の本会議で就任後初の所信表明演説を行いました。しかし、(1)国会での合意形成(2)補正予算(3)消費者庁創設(4)日米同盟と国連(5)インド洋での補給活動の継続――の5点について、民主党が代表質問で具体的な対応を明らかにするよう逆質問する異例の内容でした(asahi.com(2008年9月29日20時4分))。

なお、所信表明演説に先立ち麻生太郎首相は、問題発言をした中山成彬前国土交通相の辞任について、任命責任が「私にあり、国民におわびする」と陳謝していました。陳謝した自体は適切だと思いますが、任命責任を感じるのであれば、閣議決定する所信表明演説の本文に盛り込むべきでした。



1.第170臨時国会での「所信表明演説」に関する記事を幾つか。

(1) 【共同通信:2008/09/29 15:40】

麻生首相、初の所信表明 衆院選へ民主攻撃

 麻生太郎首相は29日午後、衆院本会議で就任後初の所信表明演説を行った。

 首相は冒頭、中山成彬前国交相の辞任について「発言は誠に不適切で国民に深くおわびする」と謝罪した。

 民主党を「政局を第1義とし、国民の生活を第2義、3義とする姿勢に終始した。国会での意思決定を否定するのか」と批判、2008年度補正予算案への賛否明示を強く求めるなど次期衆院選を視野に対決姿勢を前面に打ち出す異例のスタイル。「緊急な上にも緊急の課題」として景気対策に全力を挙げる方針を示し、定額減税の年度内実施を明言した。

 後期高齢者医療制度については「説明不足もあり国民を混乱させた」と陳謝。「1年をめどに必要な見直しを検討する」と表明した。一方、税財政に関しては「年金などの社会保障財源安定の道筋を明確化すべく検討」の表現で、小泉純一郎首相時代から毎回首相演説に盛り込まれてきた「消費税」には触れなかった。

 汚染米不正転売問題などに絡み、新設を目指す消費者庁に問題商品の販売禁止権限を付与すると表明。海上自衛隊によるインド洋での給油活動については「手を引く選択はあり得ない」と継続を主張。北朝鮮の拉致、核、ミサイル問題の包括的解決と、拉致被害者全員の早期帰国実現を図ると訴えた。

 外交面では日米同盟の重要性を強調し、現状の国連を「少数国の方針で左右され得る」と指摘。中山成彬国交相辞任については触れなかった。

2008/09/29 15:40 【共同通信】」



(2) 毎日新聞平成20年9月30日付東京朝刊3面「質問なるほドリ」欄<NEWS NAVIGATOR>

首相の国会演説、いつ何のためにするの?=回答・中田卓二
 
 ◇交代直後の「所信」がポイント 独自色打ち出そうと工夫

 なるほドリ 29日に麻生太郎首相が所信表明演説をしたけど、首相はどんな時に国会で演説するの?

 記者 臨時国会と特別国会の冒頭や、会期中に首相が交代した時、首相が国政に対する考えを訴えるのが所信表明演説です。これに対し、通常国会の冒頭に政府全体の基本方針を説明するのが施政方針演説です。ただ、両演説の区別は法律で規定されたものではなく、明治憲法下の帝国議会の当時から慣例的に言われてきたのが、現在まで続いています。

  実際にはあまり違わないんだね。

  所要時間は所信表明演説がだいたい20分で施政方針演説の半分程度ですが、同じ内閣だと内容に大きな差は出ません。だから、首相交代の後の所信表明演説が注目されることが多くなります。

  見どころを教えて。

  最近は首相が独自色を出すことが多くなりました。小泉純一郎元首相は所信表明演説で「恐れず、ひるまず、とらわれず」と絶叫調で訴えました。人材育成の重要性を説いた「米百俵の精神」の挿話も話題になりました。続く安倍晋三元首相はカタカナ言葉を延べ109回も使い、議員の評判はあまり良くなかったようです。福田康夫前首相の演説には派手なキャッチコピーがなく、奇をてらうのを好まない「福田流」と受け止められました。麻生首相の場合は民主党批判に多くの時間を割いたのが特徴で、衆院選を意識した内容になりました。

  首相が自分で書くの?

  最後は首相が決めますが、各府省が盛り込んでほしい事柄を事前に首相官邸に上げ、首相を交えた勉強会を重ねてまとめるのが通例です。安倍氏が側近だけで原稿を練ったのは例外的です。ちなみに米国には大統領専属のスピーチライターがいます。

  外国の例も教えて。

  米国では大統領が毎年初めに議会で一般教書演説をして、国政に関する自身の考えを説明します。英国は日本と同じ議院内閣制ですが、女王が秋の開会式で演説して政府の施政方針を示します。中国の国会にあたる全国人民代表大会(全人代)では首相が毎年春、内外政策を掲げた政府活動報告をしています。(政治部)

==============

 ◇あなたの質問をお寄せください

 〒100-8051(住所不要)毎日新聞「質問なるほドリ」係 (naruhodori@mbx.mainichi.co.jp)

毎日新聞 2008年9月30日 東京朝刊」




(3) 麻生太郎首相の所信表明演説は、いわば「民主党への代表質問」のような演説でした。こうした異例の内容は、麻生首相が民主党との「政権選択」を国民に問う選挙を前に並々ならぬ意気込みを示したものといえます。自民党総裁としては、そうした意気込みを語るのは自然なことのようにも思います。

  イ:しかし、「所信表明演説」というものは、「首相が臨時国会召集の理由や主要政策に対する自身の考えを語るのが通例」(東京新聞平成20年9月30日付朝刊3面「核心」)、「本来、所信表明演説は自分の政権が何をしたいのか、広く国民に明らかにするためのもの」(毎日新聞平成20年9月30日付「社説」)、「新首相が内外の課題に対する見解を国民に提示するもの」(沖縄タイムス平成20年9月30日付「社説」)、です。

このように、「所信表明演説」は、首相が広く国民に対して、自己の内閣において何を実行する意図であるのかという政権運営の方針を伝えるものであって、野党を相手として演説するものではなく、特定の野党に対して逆質問・代表質問する場ではないのです。

麻生内閣が、いくら「選挙管理内閣(発足からあまり間を置かない国政選挙に臨むことを主目的とする内閣)」であるとしても、内閣の役割は、自らの責任で、国の基本的な政策の形成及び決定といった内政・外交へ取り組むことにあります。

ですから、野党を批判したり、体系立った政策の提示を野党に求めること自体、役割をはき違えています。景気対策などの政策課題に責任をもつのは内閣の側であって、野党の側ではないのです(北海道新聞平成20年9月30日付「社説」)。もし、政策首相が本気で民主党と論戦をしたいのであれば、予算委員会の審議や党首討論でやればいいのです(朝日新聞平成20年9月30日付「社説」)。


  ロ:そのため、「保坂展人のどこどこ日記」さんの「麻生総理、所信表明演説で「逆質問」(2008年09月29日)は、次のように述べています。

「今日の議院運営委員会では、総理が民主党に質問をして答弁しろと言うのであれば、10月1日の質問時間とは別枠で「答弁」の時間を別に設けるつもりがあるのかどうかと野党側が質した。総選挙前に対決ムードを煽り、国会対応や安保問題などを焦点にしていきたいという意図かもしれないが、行政府の長である内閣総理大臣が野党の国会対応や法案処理について「注文」をしたり「非難」をしてはいけないことは、この世界の常識だ。安倍晋三元総理は、これを理解しないで昨年の1月、「5月3日の憲法記念日までに国民投票法案を成立させたい」と発言したことが大きな問題となり、野党側の反発を呼んだのも記憶に新しい。」


要するに、国会運営は国会(議院)の自主性に委ねられている事柄ですから(議院の自律権)、行政府の長である内閣総理大臣が野党の国会対応や法案処理について「注文」をしたり「非難」をすることは、三権分立制に反するものであって妥当でないのです(議院運営委の野党側理事の発言。毎日新聞平成20年9月30日付朝刊2面)。

麻生首相は、9月29日夜、記者団に「代表質問でお答えいただけると期待している」と、改めて小沢氏を挑発しているように、いいアイディアで所信表明演説を行ったと思っているようですが、所信表明演説の意義を根本的に間違った理解をしているというべきです。

このように、麻生首相の所信表明演説は、「“民主党への代表質問”をするなんて、気分はもうすでに野党ですね」と揶揄されても仕方ないような演説だったといえるのです。



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2008/09/29 [Mon] 23:57:17 » E d i t
日教組解体など問題発言を繰り返した中山成彬国土交通相(65)は9月28日午前、麻生太郎首相を官邸に訪ねて「2008年度補正予算案などの審議に支障が出るのは本意ではない」として辞表を提出、首相は受理しました。閣僚在任わずか5日での辞任は、現行憲法下で2番目の短さとなりました。この短さは、「適材適所」の閣僚を選んだと述べた麻生首相に酷く恥をかかせた結果となりました。

辞任した中山成彬前国土交通相の後任に決まった金子一義元行政改革担当相は9月29日午前、皇居での認証式を経て正式に閣僚に就任しました。この後、麻生太郎首相が官邸で国土交通相の辞令を交付します(2008/09/29 10:28 【共同通信】。認証式では、「国務大臣」として認証されるだけで、「外務」「財務」などの担務は官邸に戻ってから首相がポスト名を記した補職辞令を各閣僚に渡す。補職辞令交付は初閣議に先立ち、首相執務室で官房長官立ち会いの下に行われる。)。

天皇、皇后両陛下は9月26日、国民体育大会出席のため特別機で大分県に入り、出産や新生児への高度専門医療を行う県立病院総合周産期母子医療センターを訪れるとともに、27日に国体開会式に出席、28日はホッケーと新体操を観戦し、夕方に帰京しました。9月29日午前に認証式が行われ、9月24日に召集された第170臨時国会は29日午後、天皇陛下をお迎えして参議院本会議場で開会式が行われ、陛下はお言葉を述べています。健康状態の心配があり、これほどお忙しい天皇陛下のことなぞ眼中になく、辞任せざるを得ないような暴言を吐きまくるのが中山成彬議員なのです。

10月1日付追記:中山国交相辞任について、東京新聞平成20年9月30日付朝刊29面「本音のコラム」を引用しました。)


 
1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月29日付朝刊1面(13版)

中山国交相が辞任 首相「任命責任ある」
2008年9月28日21時28分

 中山成彬国土交通相(65)は28日、麻生首相に辞表を提出し、受理された。「日教組が強いところは学力が低い」など一連の発言に対する批判が広がり、国会審議や総選挙への影響を最小限に抑える必要があると判断した。首相は臨時国会での所信表明演説を翌日に控えた時期に、閣僚が在任わずか5日間で辞任するという深刻な痛手を負った。

 首相は後任に、金子一義元行革担当相(65)の起用を決めた。中山氏の発言について首相は28日夕、官邸で記者団に「発言として、はなはだ不適切。閣僚になられたら、されない種類の発言だ」と述べ、「国民各位、関係している方々に心からおわびを申し上げる」と陳謝した。さらに「任命責任はあった」と認め、「後任を直ちに選任し、その方がきちんと対応していかなければならない」と述べ、信頼回復に努める考えを強調した。

 中山氏は辞表提出後、国交省内で記者会見し、「補正予算の審議をはじめ、国会の審議が滞ることには耐えられないという思いから、潔く身を引く決意をした」と語った。「成田空港の整備遅れは『ごね得』」「日本は単一民族」との発言については、「言葉足らず」と改めて撤回する考えを示したが、一連の日教組批判については「国交省の建物の中で発言したことは撤回したが、政治家中山成彬としては撤回したという考えはなかった」と語った。

 中山氏の在任期間は5日間。88年12月にリクルート問題で辞任した竹下内閣の長谷川峻法相の4日間に次ぎ、戦後2番目に短い。

 後任の金子氏は自民党の古賀派に属し、当選7回。衆院予算委員長などを経て、党税制調査会副会長などを務める。29日午前の認証式を経て正式に就任する。

 政権発足直後の閣僚辞任は、麻生政権にとって大きなイメージダウンだが、政府・与党は早期解散を目指す基本戦略は崩していない。

 臨時国会は29日に首相の所信表明演説、10月1~3日に衆参両院で代表質問が予定されている。その後、首相が意欲を示す08年度補正予算案の審議を行ったうえで解散するのか、野党の厳しい追及が予想される予算委員会を開かずに解散するのか、首相は補正審議に対する民主党の出方を見極めたうえで最終判断することになる。」



(2) 朝日新聞平成20年9月29日付朝刊2面「時時刻刻」(13版)

国交相辞任 麻生丸いきなり大揺れ

 支持率が伸びずスタートダッシュに失敗し、閣僚の辞任で出足からつまずいた。踏んだりけったりの麻生首相だが、自らの任命責任を認めて陳謝することで、幕引きを図ろうとする。衆院解散をめぐる与野党攻防は、29日の首相の所信表明演説で始まる国会論戦で最終局面を迎える。

首相は沈黙一転陳謝

 28日午前、首相官邸の首相執務室。辞意を伝える中山国土交通相の話を、首相は無言で聞いていた。中山氏にかけた言葉はただ一言。「誠に残念」だけだったという。

 その直後に開かれた所信表明演説を検討する閣議でも、首相はこの話題には全く触れなかった。記者団から求められた取材にも応じず、河村官房長官に説明を委ねた。「何を発言してもマイナスにしかならない」(周辺)と、当初は沈黙を貫く方針だった。

 与党も、総選挙を控えて「選挙の顔」を傷つけるわけにはいかないと、予防線をはった。自民党の細田博之幹事長はこの日のNHKの番組で、首相の任命責任を認めたうえで「その責任は辞任を促し、(中山氏が)辞任することで1つの区切りだ」。公明党の北側一雄幹事長は同じ番組で「事実上、首相が罷免したと認識している」と、首相の指導力を強調してみせた。

 後任がスムーズに決まったことを受けて、首相自身も沈黙から一転、夕方になって記者団の前に現れた。国民や関係者に「心からおわび申し上げる」と2度繰り返し、任命責任も認めた。先手を打って野党の追及の矛先をかわす狙いがあったとみられる。

 首相は中山氏を「指名した段階では適任だったと思っている。この種の発言は普通、官僚の経験もある人がされないはず」と突き放した。そもそも中山氏は森元首相に配慮した最大派閥の「町村派枠」だった。後任は同派でなく、第3派閥の古賀派から金子一義・党税調副会長を起用。首相は「道路(特定財源の)一般財源化を現実にしていくのに、税に詳しい方でないとなかなか対応にしくい」と政策重視の人選を強調した。

 ただ、「失言癖」は麻生氏自身にもついて回る。総務相時代の05年10月、福岡県太宰府市の博物館の開館記念式典で「一文化、一文明、一民族、一言語の国は日本のほかにはない」と発言。中山氏の「単一民族」発言を受け、共産党の市田忠義書記局長は記者団に「麻生さんも単一民族がらみで近い発言をしたこともある。資質が欠ける人を任命した責任は免れない」と指摘した。

 首相はこの日、中山氏の発言について「政治家と閣僚は重さが違う」と述べており、中山氏の思想信条そのものを否定したわけではない。首相は組閣の際、「友人の友人はアルカイダ」などの発言が問題化した鳩山総務相にこう忠告した。「オレが言えたことじゃないが、失言には気を付けるように」。政府高官も「一番心配していたのは首相の発言」と漏らす。

 中山氏が辞任しても、野党は「任免権を全面的に有する首相の責任はやはり大きい」(小沢民主党代表)と、首相の任命責任を追及する姿勢を崩していない。(以下、省略)」



(3) 朝日新聞平成20年9月29日付朝刊39面

「事実と異なる」「表現きつい」 中山発言、閣僚も批判
2008年9月28日19時19分

 28日朝、中山国土交通相から辞表を受け取った麻生首相の表情は険しかった。

 閣議後の会見に臨んだ河村官房長官も、元文部科学相。中山発言問題については、「大臣の発言としては所管外で、のりを越えたと思う。日教組と文科省が敵対しても、教育は良くならない」と、やんわりと批判した。

 石破農林水産相は「日教組に対する考え方、単一民族という発言、成田闘争に対する発言は事実と異なる」としたうえで、「政府や内閣に対する信頼が揺らいだ」。鳩山総務相も「私も表現のきつい人間ですが、表現のきつい私から見ても、きついな。ちょっときついですね」と言った。」



麻生首相は、中山成彬大臣の辞任について、「発言として甚だ不適切。大変残念ですけれども、関係しておられた国民各位、またそれに関係しておられた方々に対して心からおわびを申し上げる次第です。必然的に辞めていただきました。」と述べて、国民やすべての関係者へ謝罪しています。

首相は中山氏を「指名した段階では適任だったと思っていた」が、「この種の発言は普通閣僚になられたらされない種類の発言だと思っています。」と述べたのですから、中山氏が閣僚経験者だけに大臣としての資質があったと思っていたが、実は大臣としての資質を欠いていた、とはっきり認めています。

河村官房長官も、「大臣の発言としては所管外で、のりを越えたと思う。日教組と文科省が敵対しても、教育は良くならない」と批判し、石破農林水産相は「日教組に対する考え方、単一民族という発言、成田闘争に対する発言は事実と異なる」としたうえで、「政府や内閣に対する信頼が揺らいだ」と厳しく批判しています(朝日新聞平成20年9月29日付朝刊)。中山氏の発言に対しては、鳩山総務相、斉藤環境相も批判を行っており、与党内でも非難の嵐です。内閣・与党一致して、中山氏の発言は妄言扱いなのです。(もっとも、中山氏は、『よくいった』と自民党議員は賛成していると暴露しているので(TBSニュース番組より)、与党での妄言扱いは表面的なものにすぎないのでしょう。)



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2008/09/27 [Sat] 22:55:42 » E d i t
中山成彬国土交通相は9月25日、共同通信社など報道各社とのインタビューで、成田空港建設への反対闘争について「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」と批判し、「日本は内向きな単一民族、日教組の強いところは学力が低い」など問題発言を連発しました。

後に、中山成彬国土交通相は「誤解を招く表現があった」として撤回してはいますが、一度発言した内容が消えるわけではありません。「晴れの大臣就任で、つい口が滑らかになりすぎたのか」(朝日新聞平成20年9月27日付「社説」)と皮肉られていますが、皮肉られても仕方がないほどの問題発言です。

「『一度発言したことはなかなか口の中に戻りませんから」と、事務方が進言するまでは発言を撤回する意思がなかったことも明らかにした」(朝日新聞平成20年9月27日付朝刊2面)も度し難いといえます。元々撤回する気もなかったこともあり、いくら撤回しようとも、国会議員としての資質を疑わせる発言ですから、大臣辞任はもとより国会議員も辞職するべきです。 自民党議員というのは、この程度の資質しかないほど腐っていることをも物語っています。


1.報道記事を幾つか。

(1) 日経新聞平成20年9月26日付朝刊2面

中山国交相が発言「日教組強いところ、学力低い」 後に撤回

 中山成彬国土交通相は25日、日本経済新聞などとのインタビューで「大分県の教育委員会の体たらくなんて日本教職員組合(が原因)ですよ。日教組の子どもなんて成績が悪くても先生になる」と語った。「私が(文部科学相時代に)全国学力テストを提唱したのは日教組の強いところは学力が低いと思ったから」とも発言した。

 国交相はその後、一連の発言について「誤解を招く表現だったので撤回する」とのコメントを発表したが、関係者の反発を招きそうだ。

 成田空港の整備方針に関しては「(かつて滑走路1本の)1車線が続いて情けないなあと。ごね得というか、戦後教育が悪かった。自分さえよければという風潮の中で、なかなか拡張もできなかったのは残念」と述べた。

 「外国人観光客を増やすためにどう取り組むか」との質問では「日本は単一民族で内向きになりがち。心を開かなければいけない」などと発言。過去にも中曽根康弘首相(当時)などによる同様の発言にアイヌ民族が抗議した例がある。供給過剰を是正するために再び規制強化に転じたタクシー問題では「ずらーっと客待ちをしている(タクシーの)運転手を考えると、ほかに仕事があればそっちに行きたいんだろうになあと思う。景気を良くして働く場ができることが大事」とタクシー運転手を差別したとも取れる発言もした。この発言は撤回していない。

 中山国交相は文科相時代、歴史教科書の検定問題について「やっと最近になって従軍慰安婦とか、強制連行とか、そういう言葉が減ってきて本当に良かった」との発言で批判されるなど、歴史や教育への認識で発言が問題になることが過去にもあった。」



国交相発言の要旨 「日本は内向きな単一民族/成田空港「ごね得というか…」

 【日教組】 大分県の教育委員会の体たらくなんて日教組ですよ。日教組の子供なんて成績が悪くても先生になるのですよ。だから大分県の学力は低いんだよ。なぜ全国学力テストを提唱したかと言えば、日教組の強いところは学力が低いのではないかと思ったから。現にそうだよ、調べてごらん。

 【単一民族】 外国人を好まないというか、望まないというか、日本は随分内向きな単一民族というか、世界とのあれがないものだから内向きになりがちですが、やはりまず国を開くというか、日本人が心を開かなければなりません。

 【成田空港】 1車線がずっと続いて日本とは情けないなあと。ごね得というか、戦後教育が悪かったと思いますが、公のためにはある程度自分を犠牲にしてでもというのが無くて、自分さえ良ければ、という風潮の中で、なかなか空港拡張もできなかったのは大変残念だった。中国なんかうらやましい。」



(2) 朝日新聞平成20年9月26日付夕刊15面

国交相「申し訳ない」「所管でない」「文科省に聞いて」
2008年9月26日12時25分

 成田空港整備への住民の反対を「ごね得」と批判するなどした自らの発言について中山国土交通相は26日午前の閣議後会見で「国民に迷惑をかけ申し訳ない」と謝罪した。

 中山国交相は、成田空港に関する発言と、海外からの観光客の誘致をめぐって日本人を「内向きな単一民族」と表現した発言については「国交省の所管事項にかかわること」として、事務方が用意した書類を読み上げながら空港整備とアイヌ民族の歴史的経緯について説明。その上で、「国交省の中で仕事をするのが初めてだったのでよくわからない点があった」「誤解を招く表現だった」と述べた。

 成田発言については、同日中に堂本暁子・千葉県知事の訪問を受け会談する、とも明らかにした。

 大分県教委の汚職事件に関連して「日教組(日本教職員組合)の子どもは成績が悪くても先生になる。だから大分の学力は低い」などと述べた点についても発言自体は撤回したが、意図や真意について記者らから問われても「所管事項ではないので」と繰り返し、詳しい言及を避けた。

 発言から数時間で撤回に至った流れについては「(事務方から)アイヌの方々が不快の念を持っていると聞いたため」と説明。「私人としての発言と公人としての発言は区別すべきだとあらためて認識させていただいた」とも述べ、謝罪姿勢と自説との間のへだたりもうかがわせた。

 「『日教組の強いところは学力が低い』というのは事実なのか」と問われた際には「文科省に聞いてください」と述べた後で「わたしも少しは知ってますけど」とも語った。」




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2008/09/26 [Fri] 23:57:33 » E d i t
大阪国際会議場で平成20年9月20日、臓器移植についての国際会議「第4回世界移植DAY」が開かれ、欧米やアジア諸国から臓器移植に携わる医師や専門家が集まりました。



1.Yahoo!!ニュース(9月1日18時40分配信 医療介護CBニュース)

「世界移植DAY」を大阪で開催-移植学会
9月1日18時40分配信 医療介護CBニュース


 日本移植学会(寺岡慧理事長)は、9月20日に大阪国際会議場(グランキューブ)12階の特別会議場で、臓器移植についての国際会議「世界移植DAY」を開く。共催はWHO(世界保健機関)と厚生労働省。

 同会議は、WHOが設立した「Fair Transplant財団」に本部を置き、各国の脳死臓器提供の推進を目的に2005年から毎年開催している。アジアでは初の開催となる。

 午前中は、「アジアの移植事情」をテーマにシンポジウムが行われ、中国、韓国、タイ、ベトナム、日本の代表が発表。各国における臓器移植の状況や問題点、脳死臓器移植を自国でカバーするための活動を報告する。
 午後は、日本の臓器提供推進に向けた活動を報告するほか、欧米で実際に運用されている臓器あっせんシステム、臓器提供施設で働く医療従事者への教育、法的環境などを解説する。参加の申し込みは不要。

 会場内では、9月19-21日の3日間、第44回日本移植学会総会も同時開催される。

最終更新:9月1日18時40分」




この国際会議「世界移植DAY」で大きな議論になったのが、移植臓器の「自国調達」の問題です。日本は、欧米に比べ、未だにドナーの数が極めて少ないうえに、15才未満の臓器移植が禁止されているため、患者の多くが移植をするため海外に渡っていきます。「自国調達」を主張するWHOや欧米の関係者からは、日本はもっと自国で移植を行えるよう努力すべきだという声が強まっています(「BSきょうの世界」(NHK2008年 9月24日 (水))の放送内容より)。

こうした「国際移植DAY」の議論について、東京新聞「こちら特報部」が記事にしていましたので、紹介したいと思います。この記事を読んで、「世界の中での日本の移植のあり方」を考える切っ掛けとしてみて下さい。



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2008/09/25 [Thu] 21:31:17 » E d i t
自民党の麻生太郎総裁(68)は9月24日午後、召集された臨時国会で衆参両院による首相指名投票を経て第92代、59人目の首相に指名され、首相親任式(憲法6条1項)と閣僚認証式(憲法7条5号)が皇居で同日夜行われ、新内閣が発足しました。

首相指名選挙(憲法67条1項)では、衆院は麻生氏を、参院は決選投票の末、小沢氏を指名しました。両院の議決が異なったことから、両院協議会が開催されましたが、意見は一致せず、憲法67条2項により、衆院の議決が優先され、再開された衆院本会議で麻生氏指名が正式に決まりました(時事通信2008/09/25-00:51)。

(なお、これまで、衆議院と参議院の指名が異なった場合は、4回ありました。1948年2月に衆議院は芦田均、参議院は吉田茂、1989年8月に衆議院は海部俊樹、参議院は土井たか子、1998年7月に衆議院は小渕恵三、衆議院は管直人、2007年9月に衆議院は福田康夫、参議院は小沢一郎を指名しました。「福田内閣発足~前内閣の外から新たに起用されたのは17人中2人だけの「上書き保存内閣」」(2007/09/27 [Thu] 00:56:54)参照。)


1.前内閣である「福田内閣」は、9月24日午前の閣議で総辞職したのですが、その点の記事を1つ引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成20年9月24日付夕刊2面

福田内閣が総辞職 在任365日、7番目の短さ
2008年9月24日10時46分

 福田内閣は24日午前の閣議で総辞職した。皇居での新首相の任命式が同日中に行われると、昨年9月26日に就任した福田首相の在任期間は365日間で、現行憲法下の内閣では7番目の短さ。安倍前首相の366日間に1日及ばないことになる。

 首相は総辞職にあたって談話を発表。日銀総裁人事などで「ねじれ国会」に翻弄(ほんろう)されたことに触れ、「結果として十分な対応ができなかったことに、国民に対し、責任を痛感しておりました」とした。

 さらに消費者庁設置法の閣議決定や公務員制度改革などの実績を列挙して「改革は緒についたばかりですが、進むべき道標を立てることはできた」と在任中の成果を強調した。

 首相は閣議後の閣僚懇談会で「本当に短かったが、ご苦労さん。ありがとう」と閣僚に声をかけ、握手。閣議前、町村官房長官には「次の総理もねじれ国会で苦労するだろうなあ」と語ったという。午後1時前、官邸職員や省庁の幹部らに見送られ、1年間過ごした官邸を後にした。」



(2) 福田首相は、「結果として十分な対応ができなかったことに、国民に対し、責任を痛感しておりました」として、在任中の政治の停滞を陳謝してはいますが、突然の退陣に関する謝罪はありませんでした(毎日新聞 2008年9月24日 東京夕刊)。

また、首相の談話を読むと、「(ねじれ国会で)補給支援特措法案成立のために臨時国会は再度の延長を要し、歳入関連法案も予算成立から1カ月余遅れ、日銀正副総裁人事は4人もの候補者が否決されました」と、民主党の国会対応を批判したうえで、「国民に対し、責任を痛感しておりました」としているのですから、相変わらず他人のせいにしたのです。

「改革は緒についたばかりですが、進むべき道標を立てることはできた」として、在任中の成果を強調してはいるものの、成果として挙げたものは「消費者庁設置法の閣議決定や公務員制度改革など」いまだ法律化・実施されたものではなく、成果といえるものではないのです。

要するに、厳しいことを言えば、失敗は他人(=野党)の責任にして「政権投げ出し」をしても国民に謝罪をすることもないという極めて無責任で、構想という夢想を語っただけで何もしなかったのが「福田内閣」だったのです。




2.では、麻生内閣発足についての報道記事を幾つか。

(1) 東京新聞平成20年9月25日付朝刊1面

麻生内閣 発足 11月2日軸 総選挙へ
2008年9月25日 朝刊

 自民党の麻生太郎総裁(68)は二十四日に召集された臨時国会で第九十二代、五十九人目の首相に選出された。麻生新首相は直ちに組閣に着手し、同日夜からの皇居での首相任命式、閣僚認証式を経て新内閣が発足。これを受けて麻生首相は、衆院解散に伴う総選挙の日程に関し、十月二十一日公示-十一月二日投開票を軸に調整に入った。この場合、解散は十月十日前後となることが濃厚で、与野党は早速、臨戦態勢に入る。

 二十四日午後の衆参両院本会議での首相指名選挙は、野党が過半数を占める参院では民主党の小沢一郎代表(66)が指名され、両院協議会も物別れに終わった。このため、衆院の議決を優先する憲法の規定により、麻生首相が誕生した。

 この後、首相は首相官邸で公明党の太田昭宏代表と会談。続いて就任記者会見を行い、官房長官が読み上げるのが慣例だった閣僚名簿を自ら発表した。

 記者会見では「景気への不安、生活への不満、政治不信という危機にある。日本を明るく強い国にするのが私の使命だ」と決意表明した。財源が未定なことから、実現が危ぶまれている来年四月からの基礎年金の国庫負担割合の二分の一への引き上げは「約束事。実施します」と明言。インド洋での海上自衛隊による給油活動については「国際社会の一員として当然の責務だ」と、継続に強い意欲を示した。

 麻生内閣では、森英介法相(60)、塩谷立文部科学相(58)、浜田靖一防衛相(52)、小渕優子少子化担当相(34)、佐藤勉国家公安委員長(56)の五人が初入閣。鳩山邦夫総務相(60)、甘利明行革担当相(59)ら自民党総裁選で麻生首相を支持した議員を多く起用した。米国発の金融危機や景気対策に総合的に対処するため、中川昭一財務相(55)は金融相との兼務とした。福田改造内閣からは、野田聖子消費者行政担当相(48)ら五人を再任した。

 麻生首相は二十五日、国連総会出席のため訪米し、帰国後の二十九日に衆参本会議で所信表明演説を行う。十月一-三日には各党の代表質問で首相として初の論戦に臨む。」



(2) 東京新聞平成20年9月25日付朝刊29面

「世襲」閣僚11人 痛み分かるの

 麻生新内閣の閣僚18人のうち、祖父や父などが首相や国会議員経験者という「世襲議員」は麻生太郎首相をはじめ11人。小泉政権以後の内閣と比べて多くなっている。

 作家の落合恵子さんは「世襲議員の中には優れている人もいると思うけれども」と前置きし、「国民からみたら『世襲議員はきっと痛みを知らないんだろう』と思ってしまう。それほど生活はがけっぷちだ。国民本位というなら、もっと敏感にならないといけない」と批判した。

 「親の地盤をそのまま受け継いで国会議員になった閣僚がこれだけ占めると、国民の声はほとんど届かないでしょう。この内閣は『国民目線』ではなく『永田町目線』だ」

 最近、「自民党政治の終わり」を出版した学習院大の野中尚人教授(比較政治学)は「二世議員が閣僚に多いのは、自民党の人材発掘と育成力が弱まっていることを象徴している」と分析する。

 野中教授は「一人しか当選できない小選挙区制では、中選挙区制の時代よりも選挙が厳しくなり、親の地盤を受け継いだ人の方が立候補しやすい側面もある」とも指摘。今回入閣した小渕優子少子化担当相は小選挙区制導入後に政界入りした。

 また、鳩山邦夫総務相や中川昭一財務相、甘利明行革担当相ら総裁選で麻生首相を応援した功労者の入閣も目立った。」



◇麻生内閣の顔ぶれ(敬称略)

 ▽総理 麻生太郎(衆)
 ▽総務 鳩山邦夫(衆)
 ▽法務 森英介(衆)
 ▽外務 中曽根弘文(参)
 ▽財務・金融 中川昭一(衆)
 ▽文部科学 塩谷立(衆)
 ▽厚生労働 舛添要一(参)
 ▽農水 石破茂(衆)
 ▽経済産業 二階俊博(衆)
 ▽国土交通 中山成彬(衆)
 ▽環境 斉藤鉄夫(衆)
 ▽防衛 浜田靖一(衆)
 ▽内閣官房 河村建夫(衆)
 ▽国家公安 佐藤勉(衆)
 ▽行政改革 甘利明(衆)
 ▽経済財政 与謝野馨(衆)
 ▽消費者行政 野田聖子(衆)
 ▽少子化 小渕優子(衆)」(毎日新聞より)



この内閣の特徴は、何と言っても麻生新内閣の閣僚17人のうち、10人が「2世議員」であることです。閣僚の祖父か父が首相経験者なのは4人であり、閣僚の2世議員は、10人ですから(小泉内閣は5人、安倍内閣は4人、福田改造内閣は9人)、閣僚の2世議員は「最多」(毎日新聞)となっています。

 「作家の落合恵子さんは「世襲議員の中には優れている人もいると思うけれども」と前置きし、「国民からみたら『世襲議員はきっと痛みを知らないんだろう』と思ってしまう。それほど生活はがけっぷちだ。国民本位というなら、もっと敏感にならないといけない」と批判した。
 「親の地盤をそのまま受け継いで国会議員になった閣僚がこれだけ占めると、国民の声はほとんど届かないでしょう。この内閣は『国民目線』ではなく『永田町目線』だ」」(東京新聞)


有権者の投票により選ばれる国会議員であるのに、国会議員の地位を世襲しているかのように「2世議員」が増え、しかも内閣総理大臣は自由に大臣を任命できるはずなのに(憲法68条)、2世議員が10人もいるのです。もちろん、首相の祖父は吉田茂元首相であり、世襲議員の一人です(東京新聞2008年9月25日付【特報】「新首相地元の福岡8区を歩く 威容誇る“麻生城下町”」も参照)。

麻生首相は、組閣に伴い各閣僚に<1>国民本位の政策<2>官僚を使いこなす<3>省益よりも国益重視、の3点を指示しています。しかし、麻生首相を筆頭として2世議員ばかりの閣僚では、「『国民目線』ではなく『永田町目線』」であって、国民本位の政策自体が理解できず、実行できないでしょう。



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2008/09/24 [Wed] 23:46:13 » E d i t
白血病や難病の肺線維症との闘いをブログでつづり、肺移植を待ち望みながら、平成20年5月に31歳で亡くなった高松市の池田真一さんと、その遺志を継ごうとしている様子について、東京新聞「こちら特報部」が記事にしていました。

その白血病や難病の肺線維症との闘いの様子や生い立ち、妻由佳さん(31)との出会いなどを携帯電話の小説サイトでつづった内容については、今年3月、その内容をまとめ、「池田 真一(著)『生きたい!!―僕の履歴書』(リーブル出版、2008年)として、刊行されました。

「内容説明
闘いの日は続くけど、僕は生き続ける。最後の最後まで生き続ける−。白血病、肺線維症と難病に襲われながらも懸命に闘い続ける著者が綴るケータイ闘病記。 」(「オンライン書店ビーケーワン」より)


書籍化された後も、病との闘いをインターネットのブログに綴っていました。



1.池田真一の遺志を継いで、臓器移植についてもっと関心をもってほしいことや、普通に歩き、食事できることがどれほど幸せなことかなどを伝えるために、コンサートが何度か開かれています。その報道記事を幾つか引用しておきます。

(1) asahi.com:マイタウン・東京(2008年08月21日)

コンサート通じ支援 臓器移植の現状訴え
2008年08月21日

 難病と闘いながら、今年5月に亡くなった香川県の男性の遺志を受け継ぐため、臓器移植の現状と幸せについて考えようというライブコンサートが11日、新宿であった。男性は肺移植のドナーが見つかるのを待ちながら、病を経験して感じたことを自らの生い立ちや妻との出会いなどとともに一冊の本にまとめ、生前に出版していた。
(上林格)

 男性は高松市の池田真一さん(享年31歳)。高校1年のときに白血病と診断され、抗がん剤治療をうけた。大学1年のときに再発したが、骨髄移植を受けて理学療法士として働くまでに回復した。しかし、3年前に肺機能が低下して呼吸困難になる肺線維症にかかった。

 昨年6月、闘病中の池田さんは小説を書く携帯サイトを見つけた。病と闘ってきたそれまでの人生や妻とのなれそめなどを約2カ月間、投稿し続けた。サイトは友人の紹介や口コミで広がり、3月20日の3回目の結婚記念日にリーブル出版(高知市)から「生きたい!!僕の履歴書」という題名で出版された。

 池田さんはこの本に二つの遺志を書き残した。一つは臓器移植について、世間の人にもっと関心をもってほしいという願い。もう一つは、普通にご飯を食べたり歩いたりできることが、どれほど幸せなことなのか気づいてほしいという訴え。

 今回のライブコンサートを企画したのは、池田さんと中学校まで同級生だった神奈川県相模原市在住の作曲家山田智和さん(31)。「彼の人生の終幕を『残念だったね』という言葉で終わらせるべきではない。もっと多くの人に彼の遺志を伝えていきたいと考えた」

 移植を待ちながら難病と闘う人たちの命や家族の生活を芝居、お笑い、音楽を融合したコンサートを通じて支援していくプロジェクトを立ち上げた。収益金の一部は、日本臓器移植ネットワークに寄付するほか、全国の小、中学校への寄贈を目的とした本の購入費などに充てる「真ちゃん募金」を創設するための基金にするという。

 新宿で開かれた11日のライブはその第1弾だった。趣旨に賛同した山田さんの音楽仲間や池田さんの母校・法政大出身者らで構成するお笑いユニットなど計5組が出演した。会場には、池田さんが生前に取材を受けたテレビ番組の録画映像も流れた。山田さんが、生前の池田さんを励ますためにつくった応援歌「たったひとつの真実」も披露された。

 満席になった約60人の聴衆を前に、池田さんの妻由佳さん(31)は遺影を抱いて舞台に上がった。「主人と同じように病に立ち向かっている人たちに、決して1人じゃないよって、伝えていきたい」

 昨年暮れ、山田さんは高松市の自宅で療養する池田さんを見舞った。久しぶりの再会だった。そのとき、小学校の卒業記念にもらった、地元特産の花崗岩(か・こう・がん)の庵治石のことが話題になった。

 石には「自分の好きな言葉」が彫られていた。山田さんのには「夢」。当時から音楽を仕事にしたいと考えていた。その夢は実現した。

 池田さんは「新しい道」。何度も病を克服し、自ら切り開いてきた今に通じている道なのかもしれない、と2人で話したという。

 池田さんが残した「新しい道」を受け継いでいく2回目のプロジェクトは、11月に香川で予定されている。」



(2) 四国新聞(2008/09/12 09:37)

観客の心打つ/池田真一さん追悼コンサート
2008/09/12 09:37

 肺線維症のため5月に亡くなった香川県高松市の池田真一さん(享年31歳)をしのぶコンサートが、このほど新宿のライブハウスで行われ、友人が作詞作曲した応援歌の演奏や生前の映像などが集まった観客の心を打った。

 池田さんは1977年生まれ。2度の白血病治療を乗り越え、理学療法士として活躍していたが、28歳で肺線維症を発症。肺移植を待ちながら、闘病中の苦悩と希望をつづったエッセーを携帯サイトに投稿し、多くの共感を呼んだ。

 コンサートは、そんな池田さんの人生を紹介したいと小学時代の同級生、山田智和さん(31)=神奈川県相模原市=が中心となり企画。山田さんは東京を拠点に作曲活動をしており、池田さんの生前に贈った応援歌「たったひとつの真実」がライブハウスの関係者の耳に留まり、東京での追悼コンサートが実現した。

 当日は同曲の演奏のほか、池田さんの闘病を追ったテレビのニュース番組の放映や妻の由佳さんのあいさつも行われ、そのひたむきな人生が、100人を超える観客の心に深く響いた。

 「真ちゃんの人生を知ることで、1人でも多くの人が臓器移植に関心を持ってくれれば」と山田さん。11月には高松でのコンサートも予定している。」


山田智和さんたちのバンド名は「one truth only」であり、9月21日に開かれた日本移植学会の市民公開イベントにも出演しています。その出演の様子をも含めて記事にしている、東京新聞「こちら特報部」を、次に紹介しておきます。



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2008/09/23 [Tue] 22:02:09 » E d i t
民主党は平成20年9月21日、東京都内のホテルで臨時党大会を開き、小沢代表の無投票3選を正式に承認しました。小沢氏の任期は10年9月末までの2年間です。小沢氏は「所信表明」と位置づけた代表受諾演説で、政策財源は「劇的な予算の総組み替え」で生み出すと説明し、今月中にまとめるマニフェスト(政権公約)で、実行手順を3段階で示す方針を明らかにしています。

他方で、自民党は9月22日午後、党本部で両院議員総会を開き、党所属国会議員と各都道府県代表による投票の結果、麻生太郎幹事長(68)が投票総数527票(うち無効2票)のほぼ3分の2に当たる351票を獲得して他の4候補(与謝野馨経済財政担当相(70)が66票、小池百合子元防衛相(56)が46票、石原伸晃元政調会長(51)が37票、石破茂前防衛相(51)が25票)を破り、第23代総裁に選出しました。任期は福田康夫首相の残りで来年9月末までの1年間となります。

小沢代表も麻生総裁も、選出時に演説を行っています。その演説を引用して比較検討してみたいと思います。


1.まず、演説文を引用する前に、自民党総裁選に関する記事を引用しておきます。

(1) 朝日新聞平成20年9月23日付朝刊35面

「すぐやめるんだろう」…無効票に

 自民党総裁選の地方票141票の行方を決めた予備選の投票率が、前回の07年総裁選と比べ、31道府県で下がったことが分かった。党勢拡大も狙っただけに、同党の地方組織の幹部たちは「党員でさえ盛り上げっていないのに、これで総選挙は戦えるのか」と危機感を募らせている。

 地方での予備選は今回、全都道府県で行われた。投票率の最高は島根の61.61%、最低は長崎の43.16%。前回と比較できる35都道府県のうち、31道府県で下がり、徳島では12.4ポイント、鹿児島も11.83ポイント、福井10.01ポイントと3県では2ケタも下がった。

 一方、上がったのは、郵送投票を認めた熊本の19.58ポイント、石原伸晃、小池百合子、与謝野馨の地元選出3氏が立った東京の7.16ポイントのほか、青森3.97ポイント、長野2.75ポイントの4県にとどまった。

 前回予備選を見送った福田首相の地元、群馬では、安倍元総裁が選出された前々回と比べ8.41ポイント落ち、同県連幹部は「首相の辞任後でがっかりした人がいた」と言った。

 各地の無効票の中には、「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と書かれた投票用紙があった。地方組織の幹部たちは「政権投げ出しへのおしかりでは……」「総選挙は気を引き締めないと大変」と戦々恐々だ。」



早々に「勝ち馬に乗れ」とばかりに多数の国会議員が麻生太郎氏に支持が集まり、無意味な総裁選でした(いわば「総裁選ごっこ」「総裁選ツアー」)。小泉政権下において地方経済や地方の自民党組織を破壊してしまったのに、反省を示すこともありません。これでは、「前回の07年総裁選と比べ、31道府県で下がった」ことも、当然の結果です。

無効票の中には、「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と書かれた投票用紙がありました(朝日新聞)。安倍氏や福田氏を選んだときと同様、「勝ち馬に乗れ」とばかりに多数の国会議員が麻生太郎氏に支持が集まるという反省のなさ、2代続けての「政権投げ出し」に対する反省の弱さを目の当たりにすれば、自民党員であればなおさら、呆れた意識になるはずです。

投票用紙に「小沢一郎」「オバマ」のほか、「自民党はもうダメだ」(栃木)、「どうせすぐやめるんだろう」(東京)と明記し、あえて無効票をいとわずに、自民党本部が直接目にする文書で批判するほど、自民党員には自民党に対しての批判が強くなっているといえます。特に、「小沢一郎」と明記した投票用紙は、民主党に投票することを明言しているようなものです。

自民党員の間にこうした批判が渦巻いている以上、麻生太郎氏の総裁就任演説には、2代続けての政権投げ出しへの反省をどう表現しているかがポイントでした。また、自民党は与党であり、民主党は与党になり得るのですから、国民への向けたメッセージをしていることが不可欠です。そうした2点につき、語っているか否かに注目して、次の演説文を読んでみてください。



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2008/09/22 [Mon] 05:06:23 » E d i t
2005年9月10日、衆院選で共産党への支持を得ようと、東京都世田谷区の警視庁職員官舎の1階で、集合ポストに共産党機関紙「しんぶん赤旗」の号外を配ったという事案について、国家公務員法(政治的行為の制限)違反罪に問われた元厚生労働省社会統計課課長補佐宇治橋真一被告(60)=定年退職=の判決が9月19日、東京地裁であり、小池勝雅裁判長は求刑通り罰金10万円を言い渡しました。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月20日付朝刊38面

赤旗配布の厚労省元職員に有罪判決 政治的行為を認定
2008年9月19日15時31分

 05年9月の総選挙の投開票日前日に、東京都内の警視庁職員官舎の集合ポストに共産党機関紙「しんぶん赤旗」の号外を配ったとして、国家公務員法違反(政治的行為の制限)の罪で在宅起訴された、厚生労働省元課長補佐の宇治橋真一被告(60)=3月に定年退職=の公判で、東京地裁(小池勝雅裁判長)は19日、求刑通り罰金10万円とする判決を言い渡した。弁護側は控訴する方針。

 公判では、公務員の政治的活動を禁じ、罰則を設けた法律の規定が、表現の自由を定めた憲法に違反するかなどが争点となった。

 判決は、郵便局職員が60年代に社会党(当時)のポスターを掲示・配布したことが国公法違反に問われた「猿払(さるふつ)事件」で、「合憲」と認めた最高裁判決(74年)の判断を踏襲。「公務員が政治的に中立であることは国民全体の重要な利益だ」とし、「中立性を損なうおそれのある行為を禁止することは、必要やむを得ない範囲で憲法上許される」と認めた。

 宇治橋元課長補佐が機関紙を配布したことは「政治的偏向の強い行為で、強い違法性がある」と指摘。「職務に関係なく休日に配った個人的な行為で、犯罪にはあたらない」とした弁護側の主張を退け、国公法の規定は合憲だと結論づけた。

 宇治橋課長補佐は住居侵入の疑いで現行犯逮捕され、国公法違反で追送検された。だが、検察側は住居侵入罪については「事案が軽微だ」として不起訴処分としていた。

 同様の事例では、赤旗の配った社会保険庁職員が06年6月に東京地裁で罰金10万円執行猶予2年の有罪判決を受け、控訴している。」



(2) 毎日新聞平成20年9月20日付東京朝刊29面

警視庁官舎・赤旗配布:元厚労課長補佐に有罪、罰金10万円--東京地裁判決

 共産党機関紙を配布したとして、国家公務員法(政治的行為の制限)違反に問われた元厚生労働省社会統計課課長補佐、宇治橋真一被告(60)=定年退職=に対し、東京地裁は19日、求刑通り罰金10万円を言い渡した。小池勝雅裁判長は「衆院選前日に相当枚数を配っており、公務員の政治的中立性に抵触する」と述べた。弁護側は20日にも控訴する方針。

 判決によると、宇治橋被告は衆院選前日の05年9月10日、東京都世田谷区の警視庁職員官舎の郵便受け32カ所に「しんぶん赤旗」の号外を投函(とうかん)し、人事院規則が禁止する政治的行為をした。

 弁護側は「休日に職務と関連のない文書を配布しており、公務とは無関係」と訴えたが、小池裁判長は「政党の機関紙配布は法が制限する『政治的行為』の中でも政治的偏向の強い類型に属し、放任すれば行政の中立的運営に対する国民の信頼が損なわれる」と指摘した。

 宇治橋被告は住居侵入容疑で現行犯逮捕されたが、拘置が認められずに釈放されて起訴猶予処分となり、国家公務員法違反で在宅起訴された。【伊藤一郎】

 ◇「事実見てない」「中身薄っぺら」--被告ら会見

 判決後に会見した小林容子・主任弁護人は「大変残念な判決。日本の政治活動の自由が問われた事件だったが、中身の薄っぺらい判決だった」と批判した。

 宇治橋被告は「(判決は)国家公務員が勤務時間外にビラをまくことが公務の遂行に支障を来し、行政に対する国民の信頼を損なうと言っているが、組織の一員として仕事をしてるのに党派的なものが発揮できると裁判長が認識したということは、事実を見てないのか、行政が分かってないと思う」と語った。

 ◇官僚的な判決--奥平康弘・東大名誉教授(憲法)の話

 「最高裁判決があるから」「たかが罰金10万円」という意識がのぞく官僚的な判決だ。近年、非政治的であることをよしとする雰囲気が強まっているが、それ自体が物言わぬ市民を作り出そうとする政治性を含んでいる。判決は、国家公務員の問題にとどまらず、国民全体の自由を制限する方向に利用されかねない。

 ◇法の適用、限定を--土本武司・白鴎大法科大学院長(刑事法)の話

 被告が筆頭課長補佐の地位にあったことに照らせば有罪は妥当だ。ただ、公務員も表現の自由はできる限り保障する必要があり、法の適用にあたっては、直接的、具体的に中立性を損なう行為のみを違法と限定すべきだ。公務員の政治的行為について区別する努力を始めるべきだ。

毎日新聞 2008年9月20日 東京朝刊」




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2008/09/21 [Sun] 22:06:54 » E d i t
お彼岸を迎えました。平成20年9月19日、諸宗山無縁寺回向院(東京都墨田区)において秋季彼岸会「家畜総回向」がありましたので、この法要のため参詣してきました(前回の「彼岸会」については、「平成20年春季彼岸会・犬猫小鳥等家畜総回向」(2008/03/18 [Tue] 19:58:09)をご覧下さい)。


諸宗山回向院は、安政大地震、関東大震災、東京大空襲など様々な天災地変・人災による被災者、海難事故による溺死者、遊女、水子、刑死者、諸動物など、ありとあらゆる生命が埋葬供養されており、有縁・無縁にかかわらず生きとし生けるすべてのものを供養する寺院です。この回向院は、今からおよそ350年前の明暦3年(1657年)に開かれた浄土宗の寺院ですが、「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説く」というのが、この寺院の理念となっています。

近時、ペット供養訴訟については、最高裁が相次いで出ていますが、回向院が当事者となったペット供養訴訟の判決では回向院側が勝訴し(「回向院のペット供養訴訟:「ペットの遺骨保管施設への課税処分は違法」が確定~最高裁平成20年7月17日決定」(2008/07/19 [Sat] 01:17:39))、愛知県春日井市の宗教法人「慈妙院」が当事者となり、ペット供養が法人税課税となるかが問題となった「最高裁平成20年09月12日判決」では、慈妙院側は敗訴しています。こうした対照的な結果がでているため、余計に回向院が動物供養を行っている寺院として知られた存在になったといえるでしょう。



1.お彼岸の頃と重なるのですが、9月20日から26日は、動物愛護週間です。動物愛護管理法4条により、国民の間に広く動物の愛護と適正な飼養についての理解と関心を深めるため、9月20日から26日を動物愛護週間と定めています。そして、動物愛護週間には、全国各地で様々な動物愛護行事が行われます。

例えば、東京都内では、平成20年9月20日及び23日に、環境省・東京都・台東区・動物愛護団体等が協働して、動物愛護週間中央行事「動物愛護ふれあいフェスティバル」を実施しています。

主な行事

●平成20年9月20日(土曜日) 午前11時から午後4時まで
 【上野恩賜公園噴水池前広場、動物園ホール・こども動物園】

動物愛護セレモニー
愛犬のしつけ方教室
ペット写真展
聴導犬実演 等
※大雨の場合、屋外での行事は中止します。

●平成20年9月23日(祝日) 午後1時30分から午後5時まで(午後12時30分受付開始)
 【東京国立博物館平成館講堂】

 動物愛護シンポジウム(基調講演・パネルディスカッション)
 「まもれますか? ペットの健康と安全」」




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2008/09/18 [Thu] 22:32:33 » E d i t
厚生労働省が運用指針で「原則禁止」としている「病気腎移植」について、愛媛県などの腎不全患者ら約10人が、国家賠償を求める訴訟の準備を進めているとのことです。厚生労働省は昨年7月、臓器移植法の運用指針で「病気腎移植」を「原則禁止」としたため、「治療を受ける権利」を侵害されたとの理由です。

また、「患者らは、病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対しても、『事実と異なる発言をした』として損害賠償を求め提訴することを検討している」(産経新聞)、とのことです。

「病気腎移植訴訟」は、「臓器移植への妨害を排除する」という前例のない訴訟ですから、もっと報道されてよいはずです。しかし、関東で発行している新聞社では産経新聞のみでの報道でして(朝日新聞、読売新聞、日経新聞では報道なし)、東京新聞でさえも報道していない状況ですので、かなり戸惑いました。(その当たりの事情は色々とあるようです。)

9月20日追記:「専門家の責任」、特に学会の説明責任について、裁判例を1つ紹介しました。)
9月21日追記:厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)から、病気腎移植についての発言を引用しました。)


1.報道記事を幾つか

(1) 産経新聞平成20年9月13日付朝刊

病腎移植求め国賠提訴へ 10月にも松山地裁に 患者ら「権利侵害」
2008.9.13 01:30

 治療のために摘出した腎臓を別の患者への移植に用いる「病腎移植」を、厚生労働省が原則として禁止したため適正な治療を受ける権利を侵害されたとして、腎不全患者らが10月初めにも国を相手取り、病腎移植を受ける権利の確認と国家賠償を求める訴訟を松山地裁に起こすことが12日、分かった。患者側は受ける治療を選択する自己決定権があることを主な論拠として争う方針。論議が続く病腎移植の是非をめぐる判断は、新たに法廷へと舞台を移すことになる。

 また患者らは、病腎移植が医学的な妥当性を欠くとの見解を示した日本移植学会の幹部らに対しても、「事実と異なる発言をした」として損害賠償を求め提訴することを検討している。

 訴えるのは、人工透析を受けている愛媛や香川、広島、岡山などの慢性腎不全患者ら約10人。賠償請求額は1人当たり最高で約1000万円となる見通し。

 厚労省は日本移植学会などの見解を踏まえ、平成19年7月に臨床研究以外の病腎移植の禁止を全国に通知。さらに16年9月からの約2年間に宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(67)らが行った病腎移植は保険診療とは認められないとの見解を示した。

 しかし患者側は、手術後の経過などをもとに病腎移植の妥当性や有効性を認める専門家が国内外にいることから、「必要かつ有効な医療」と強調。患者が自ら望む治療を受ける権利は、憲法が保障する自由権や生存権に基づいており、「公共の福祉に反しない限り、国が禁止することは許されない」としている。

 また、厚労省が病腎移植を保険診療として認めないことについても、「法的な根拠が存在しない」と指摘。こうした厚労省の方針により、治療を受ける権利が侵害されたと訴える。

 患者が受ける治療を選択する権利をめぐっては、信仰上の理由で拒否したのに行われた輸血の是非が争われた「エホバの証人輸血拒否訴訟」で、最高裁が12年2月、患者の自己決定権を認める判断を示している。」



(2) 四国新聞(2008/09/14 09:29)

香川など中四国の患者らが国提訴へ/病気腎移植
2008/09/14 09:29

 病気の腎臓を摘出し別の患者への移植に使う病気腎移植を厚生労働省が禁止したため、治療を受ける権利を侵害されたとして、重度の腎臓病で人工透析を受けている香川県内など中四国の患者ら約10人が、国家賠償を求める訴訟の準備を進めていることが13日、分かった。

 関係者によると、提訴を予定しているのは香川県内の40代の男性患者と岡山、広島、愛媛4県の患者ら。さらに賛同する人の参加を呼び掛けている。賠償請求額や提訴先の裁判所は未定で、今後弁護士らと協議して決める。

 病気腎移植の医学的妥当性を否定した日本移植学会の幹部に対する訴訟も検討しているという。

 病気腎移植は、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(67)が中心となって実施し、医学的妥当性などの観点から問題となった。厚労省は昨年7月、病気腎移植の原則禁止を盛り込んで改正した臓器移植法の運用指針を都道府県などに通知した。

 しかし、病気腎移植をめぐっては5月中旬、国会議員グループの「修復腎移植問題を考える超党派の会」が条件付きで容認する見解をまとめているほか、オーストラリアなど国外の一部では同様の移植が行われているという。」



(3) 産経新聞平成20年9月14日付朝刊

病腎移植訴訟 「第3の道」へ活路、早期の司法判断を
2008.9.14 02:47

 生体腎と死体腎の移植に次ぐ「第3の道」として、病腎移植の一般医療化を厚生労働省に要望してきた腎不全患者たち。裁判所の判断が患者の望み通りになれば、臓器提供者(ドナー)不足に悩まされてきた腎移植医療は大きく前進することになる。

 日本では現在、透析患者が27万人を超えるといわれ、約1万1600人が腎移植の機会を待ち望む。しかし、年間に実施される死体腎移植は150件前後。平均16年は待たねばならず、その間に亡くなる患者も多い。

 本来、患者の福利を最優先にすべき国が病腎移植を原則禁止としたことで、結果的には患者が「治療を受ける権利」を十分に行使できない状況が生じている。

 そもそも、移植関係学会の意向を受けるかたちでガイドラインを出した国が、国内で実施された病腎移植を綿密に調査したかには疑問が残る。宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが実施した42件について、「生存率や安全性は死体腎移植と遜色(そんしょく)ない」と報告する専門家も複数いる。

 そのうえで、藤田保健衛生大の堤寛教授は広島県の腎臓疾患の手術数などをもとに「全国では推計で毎年約2200個の腎臓が全摘出される」と指摘。「その半数でも移植に回すことができれば、多くの患者が助かる」と訴える。

 また、豪州・クイーンズランド大のデビッド・ニコル教授はこれまでに55件の病腎移植を実施。米移植外科学会のリチャード・ハワード元会長も「多くの透析患者を解放することになる」と賛意を示し、海外でも病腎移植を支持する輪は広がっている。

 深刻なドナー不足の日本で、新しい医療に背を向けてはならないだろう。早期の裁判所の判断が望まれる。(力武崇樹)」



この「病気(修復)腎移植訴訟」(国家賠償訴訟)の「提訴を予定しているのは、万波医師を支援する「移植への理解を求める会」の向田陽二代表と愛媛、香川、広島、岡山4県の患者らで、向田代表は『賛同する人がいれば原告になってほしい』と話している」とのことです(毎日新聞2008年9月13日 大阪夕刊)。

産経新聞によると、「賠償請求額は1人当たり最高で約1000万円となる見通し」としていますが、毎日新聞や共同通信(四国新聞)によると、「賠償請求額や提訴する裁判所は今後確定する」(毎日新聞2008年9月13日 大阪夕刊)としており、はっきりしていません。



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2008/09/14 [Sun] 05:26:53 » E d i t
保岡興治法相は9月11日、3人の死刑を執行したと発表しました。死刑執行は6月17日の幼女連続誘拐殺人事件の宮崎勤元死刑囚ら3人以来で今年4回目で、8月に発足した福田改造内閣で初めてとなります。保岡法相による執行命令は、森内閣で法相を務めた2000年11月以来2回目です。

「9・11」は、米同時多発テロがあった日です。執行命令は福田康夫首相が辞任を表明した9月1日以降とみられ、あえて9月11日追悼式・鎮魂の日に死刑を執行し命を奪ったのですから、現日本政府にとっては、「9・11」は無関係な他国の出来事・他人事のようです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月11日付夕刊1面(4版)

3人の死刑を執行 政治空白期 異例の実施

 法務省は11日、死刑囚3人について死刑を執行した、と発表した。8月の内閣改造で保岡法相が就任して以来初めて。首相が退任を表明し、後任の自民党総裁の選出が続く「政治的空白期」に異例の死刑執行となった。これで確定死刑囚は102人になる。

 法相は記者会見で「法治国家の秩序を守る責任者として粛々と職務を遂行する」と述べ、政治的な情勢と無関係に執行していく姿勢を示した。

 鳩山前法相は2カ月に1度という過去にないペースで執行したが、保岡法相も福田改造内閣で就任してから1カ月あまりという短期間で執行した。保岡氏は、森内閣時代にも法相で、00年11月に3人の死刑を執行している。

 法務省によると、執行されたのは、万谷義幸(68)、平野勇(61)、山本峰照(68)の3死刑囚。万谷、山本の両死刑囚は大阪拘置所で、平野死刑囚は東京拘置所で執行された。

 万谷死刑囚は、強盗殺人罪で無期懲役刑を受け、刑務所から仮出所中の87年から88年にかけて、大阪市内で女子短大生(当時19)ら若い女性3人を次々と襲い、そのうち1人を刺殺した。

 山本死刑囚は神戸市東灘区で04年7月、いとこ夫婦を刺殺し、現金や腕時計を奪った。平野死刑囚は94年、栃木県市貝町で牧場経営者夫婦を殺害、金品を奪い、証拠を隠すために夫婦宅に放火した。」



(2) 朝日新聞平成20年9月11日付夕刊13面(4版)

3人死刑執行 保岡法相「粛々と」 首相退陣は「関係ない」

 退陣を表明している福田内閣の保岡法相が11日、死刑を執行した。確定死刑囚が100人を超えるなか、前任の鳩山前法相はペースを従来より速めて在任1年間で13人を執行。午前11時から記者会見を開いて自ら執行を発表した保岡法相は「大臣によっていろいろ執行のあり方が変わるということがあってはならない」と強調した。

 会見で保岡法相は、3人の死刑囚の犯罪事実を説明して「誤りなきを確認し、法秩序を守る責任者として執行した」と語った。首相が退陣を表明し、自民党総裁選が行われている中で執行したことについては「粛々と職務を遂行する立場と存じている」「全く関係ありません。純粋に法的な手順に沿って対応している」と淡々と述べた。

 刑事訴訟法は、確定から6ヶ月以内に法相が執行を命令するよう定めている。しかし実際は、07年までの10年間に執行された死刑囚は平均して8年間、拘置所に収容されてきた。確定判決から執行までの時期は、万谷義幸死刑囚が約6年8ヶ月、山本峰照死刑囚が約2年5ヶ月、平野勇死刑囚が約1年11ヶ月だった。

 鳩山前法相は2ヶ月に1度のペースで死刑を執行。一時は止まっていた執行が93年に再開されて以降、1人の法相のもとでの執行としては長勢元法相の10人を上回り、最多だった。また、6月に執行した連続幼女誘拐殺人事件の宮崎勤元死刑囚は確定から2年4ヶ月で、従来より大幅に短縮された。

 今回の執行について、作家の吉岡忍さんは「法相は『粛々』と言うが、それだけでは済まない。更生や贖罪(しょくざい)とはどういうことかを自分の言葉で語り、死刑制度について問題提起をしないといけない。語らないままでは、再発防止につながらない」と批判。「政治のドタバタの時期の執行は、命を軽くしてしまう」と危機感を示した。

 また、死刑に詳しい菊田幸一・明治大名誉教授は「ハイペースで死刑執行が続く異常事態だ。保岡氏は就任から約1ヶ月しかたっておらず、死刑囚の記録を十分に精査したとは思えない。増えていく死刑確定囚を機械的に処理して増やさないようにするという行政的な判断が優先されている」と語った。」



(3) 読売新聞平成20年9月11日付夕刊18面(4版)「解説」

法相交代しても死刑執行の流れ

 保岡法相が就任してからわずか1か月で、3人の死刑が執行された。鳩山邦夫・前法相の在任中、2か月に1度の早いペースで死刑執行が繰り返されたが、法相交代後も、法務省が執行を着々と進める姿勢であることが明確になった。

 今回執行された平野勇死刑囚は、最高裁で死刑が確定してから約1年11か月での執行。前回、宮崎勤元死刑囚が確定してから約2年4か月での早期執行で注目されたが、これよりもさらに早い執行となった。

 また、山本峰照死刑囚の1審は、裁判員制度に向けて裁判迅速化のために導入された「期日間整理手続き」が適用され、わずか2か月で終了。同手続きを経て初めて死刑判決を受けたケースだったうえ、本人が控訴を取り下げたことで死刑が確定した。

 保岡法相は、前回法相を務めた2000年にも、5か月間の短い任期で3人の死刑執行を命令。今回の執行を発表した記者会見では、「大臣によって執行の在り方が変わるということは、あってはならない」と述べた。首相の退陣表明が執行時期を早めたのではないかとの質問には、「純粋に法的な手順に沿っており、影響はない」とした。

 今年に入っての死刑執行は13人となり、一けた台かゼロで推移した1977年以降では、突出して多い。来年5月に裁判員制度が始まると、迅速な審理で死刑判決に至り、しかも早期に執行されるケースが増えていく可能性がある。 (田中史生)」




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2008/09/12 [Fri] 23:57:55 » E d i t
昨日、9月11日で、このブログを始めてから3年になりました(「9・11米同時多発テロから6年~北海道新聞9月11日「卓上四季」より」(2007/09/11 [Tue] 21:57:04)「9・11米同時多発テロから5年」(2006/09/12 [Tue] 06:37:37)も参照)。3年前、9月11日にブログを開始したのは、9・11の米同時多発テロが発生した日であり、郵政民営化だけが問われた総選挙の日だからでした。


1.報道記事をいくつか。

(1) 朝日新聞平成20年9月12日付朝刊8面

9・11テロから7年 NYなどで追悼式
2008年9月11日22時15分

 【ニューヨーク=真鍋弘樹】米同時多発テロから7年がたった11日、攻撃の標的となったニューヨークの世界貿易センタービル跡地近くで、追悼式が催された。同ビルの崩壊で犠牲が出た約90カ国からの学生と遺族らによって、2751人に上る犠牲者の名前が読み上げられた。

 同ビル北棟に航空機が突入した午前8時46分(日本時間午後9時46分)、犠牲者への黙祷(もくとう)が始まった。遺族らは、跡地の中心部に下りて献花。在ニューヨーク総領事館によると、日本からは5家族13人が、この日の追悼式に出席するために現地入りした。

 ニューヨーク市の最新の追跡調査では、テロ後、最悪で7万人の市民に心的外傷後ストレス障害(PTSD)、1万2600人にぜんそくが発症した恐れのあることがわかった。被害を受けた救助関係者や住民らのうち、7割がハイジャック機突入などの衝撃的なシーンを目撃したと推定されるという。

 この日は、別のテロ現場となったワシントン郊外の米国防総省とペンシルベニア州でも式典が行われた。」



(2) 日経新聞平成20年9月12日付朝刊8面

米同時テロから7年、NYで追悼式

 3000人近くが死亡した米同時テロから7年を迎えた11日、ニューヨークの世界貿易センター跡地で追悼式典を開催。その後オバマ、マケインの両米大統領候補はそろって跡地を訪れる。この日だけは批判の応酬を“休戦”し、国民の結束を強調するのが狙いだ。ただ、選挙戦では人種や世代間の分断が目立つなど、「結束」が実感できる状況にはないようだ。

 式典では例年どおり、1機目の旅客機が突入した午前8時46分を皮切りに、2機目の突入と2棟のビルが倒壊した時刻の計4回にわたって黙とう。遺族らが犠牲者の名前を読み上げた。

 両候補は既に「同時テロを政争の具にするな」という犠牲者遺族の要望を受け、同日はテレビの選挙広告を休止することを約束。先週末に発表した共同声明で「同時テロでは民主党、共和党の区別なく、米国民として全員が結束した。当日は政治は脇に置き、結束を新たにしたい」と述べた。

 米ホワイトハウスでは11日午前、ブッシュ米大統領がローラ夫人、チェイニー副大統領夫妻とともに、同時テロが発生した時刻に南庭で黙とうをささげた。航空機が激突した米国防総省(ペンタゴン)では犠牲者を追悼する新たな記念碑の前で式典を開いた。大統領は同式典で「どんな日も我々の思いはこの場に戻る」と演説、テロ根絶への決意を新たにした。

(ニューヨーク=中前博之)(02:00) 」



(3) 東京新聞平成20年9月12日付朝刊7面

【関連】『戦争』の出口どこへ 米テロ7年 大統領選 遺族の思い
2008年9月12日 朝刊

 【ニューヨーク=加藤美喜】突然のテロが最愛の家族の命を奪ってから七年。「対テロ戦争」の出口が見えないまま、米国は新たな大統領を選ぶ節目を迎えた。9・11の遺族たちは、米国の向かう先を複雑な思いで見つめている。

 「あのテロが残したものは何なのか」

 証券マンの息子を亡くしたハーバート・ウィーダさん(66)は自問を続ける。自爆してでも米国人を殺したいと思ったテロリストたち。この七年、米国はテロの動機を強めこそすれ、無くす方向には進んで来なかったと思う。「イラク戦争は不寛容な世界をつくった。新大統領は分裂を終わらせる人を」

 一方「ブッシュ政権は正しい選択をしてきた」と評価するのは、消防士の義弟を失った退役軍人ティム・サムナーさん(55)。「テロ直後は米国全体が共通の敵に向かい団結していたはず。戦争のおかげで、われわれの安全は保たれた」

 二十五歳の姉を失った教師ジョン・シグムンドさん(29)は、共和党大会で使われた世界貿易センタービルの映像に「姉の死を選挙戦に利用しないで」と憤る。ただ遺族会設立者の一人、カリー・リマックさん(33)は、オバマ、マケイン両氏がこの日選挙戦を“休戦”したことを喜び「テロの政治利用が終わる一歩に」と期待する。

 ニューヨークの追悼式典には日本人遺族も参列。息子の銀行員杉山陽一さん=当時(34)=を亡くした住山一貞さん(71)=東京都目黒区=は、ブッシュ政権の選択を「やむを得なかった」と話す。願うのは犯人逮捕。「テロがなぜ、どう実行されたのか。裁判ではっきりとさせてほしい」」



「9・11」での追悼式について、日本ではニュースとして流す時間は極めて少なくなりました。追悼式に関する記事も、全国紙(朝日、読売、毎日、日経)では9月12日付朝刊1面での報道はしなくなったことも、もう過去の出来事にすぎず、ニュースとしての価値が下がったことを示唆しています(東京新聞だけが1面掲載。)。(米大統領選挙で激しく競り合う両候補者、民主党のオバマ上院議員と共和党のマケイン上院議員がそろってニューヨーク・世界貿易センター跡地を訪問したことについては、9月12日付夕刊1面での報道。)

日本では、「9・11」報道よりも、自民党総裁選を延々と報道しています。しかし、麻生太郎氏が自民党総裁に当選することが殆ど決まっているのですし、衆院選までの「期間限定の首相選び」なのですから、自民党総裁選は単なる茶番劇にすぎません。

全くの茶番劇なのに、自民党総裁選候補者は「9・11」追悼をまるで無視し、投票権のない市民に向けての演説など行うといった「総裁選ごっこ」を繰り広げ、茶番劇を盛り上げようと奔走しています。どうやら、2代続けて政権を投げ出した無責任政党であることをすっかり忘れたかのように、自民党は、郵政民営化選挙のようなバカ騒ぎをもう一度夢見ているようです。

このように、日本では、特に自民党にとっては「9・11」は他人事であって、すでにどうでもいいような過去の出来事なのです。



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2008/09/11 [Thu] 07:59:13 » E d i t
宇和島徳洲会病院の万波誠医師らによる修復(病気)腎移植をめぐり、愛媛社会保険事務局は宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分を予定していました。ところが、超党派のおよそ80人の議員からなる「修復腎移植を考える超党派の会」(杉浦正健会長)が、修復腎移植を容認するとの方針を決定を出したことから、愛媛社会保険事務局は5月12日、宇和島徳洲会病院と万波医師らの行政処分に関する(5月19日予定の)聴聞会の延期を決定し(「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表~5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)参照)、そのままに延期したままになっています(再開時期は未定)。

最近、その進展状況に関する記事が出ていましたので、紹介したいと思います。
9月23日付追記:厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)から、厚労省の対応につき引用しました。)


1.日経新聞平成20年9月8日付夕刊16面

宇和島徳洲会病院 「病気腎」処分宙に浮く  病院側が抵抗 進展なく半年

 病気腎移植をめぐる宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の診療報酬不正請求問題で、保険医療機関の指定取り消し処分に向けた厚生労働省と愛媛社会保険事務局の手続きが、2月の聴聞会後、半年以上もストップ、宙に浮いた異例の状態が続いている。

 病院側が病気腎移植の正当性を主張し、処分に激しく抵抗しているのに加え、病気腎移植を容認した超党派の国会議員グループの動きも背景にあるようで、今後の見通しは不透明なままだ。

 宇和島徳洲会病院は、万波誠医師(67)が実施した計11件の病気腎移植に保険を適用、診療報酬を請求した。しかし厚労省は保険適用外の不正請求と判断。今春、処分に踏み切る方針だった。

 弁明を聴くため2月25日に開いた聴聞会は、病院側が開催手続きの不備を主張し、実質審議に入らず延期に。5月19日の2回目の聴聞会は直前になって突然、社会保険事務局が延期を決めた。以降、聴聞会は開かれていない。

 5月13日、国会議員グループの「修復腎移植問題を考える超党派の会」が、条件付きで病気腎移植を容認する見解をまとめた。病気腎移植を否定する厚労省や日本移植学会と対立する議員らの動きが、処分手続きに微妙に影響を与えているとみる向きは少なくない。

 徹底抗戦の構えを崩さない徳洲会関係者は「学会が病気腎移植を否定する新たな根拠を示すなど、流れが変わるまで聴聞会は再開されないのではないか」と話す。

 愛媛社会保険事務局の松本蔵彦局長は「ルールにのっとり粛々とやるだけ。処分方針に変わりはない」とするが、10月1日に組織改編が予定されており、少なくとも今月中の再開は事実上不可能とみられている。」



この記事によれば、愛媛社会保険事務局自体が「10月1日に組織改編が予定されて」いることから、組織改編直前に処分手続きを進めることは困難であるとして、「少なくとも今月中の(処分手続きの)再開は事実上不可能」だとのことです。行政処分の進展状況は気がかりだったのですが、ともかく10月1日までは安心できるようです。(9月23日付追記:後掲した、厚生労働省の「閣議後記者会見概要」(H20.05.16(金)09:15~09:26 ぶら下がり)によれば、10月1日後も行政処分手続きは進まないようです。)



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2008/09/08 [Mon] 19:32:08 » E d i t
大阪府立国際児童文学館(吹田市)は、国内外の児童文学や絵本、紙芝居など約70万点を所蔵し、研究を行っている文学館・専門図書館です。その大阪府立国際児童文学館が、廃館の危機にさらされています。橋下知事は6月にまとめた大阪維新プログラム案で、同館を廃止し、蔵書を府立中央図書館(東大阪市)に移設する方針を表明しているからです。(なお、「大阪府立国際児童文学館の図書館への移転統合問題に関するQ&A」もぜひご覧下さい。)

その橋下徹知事は9月6日、国際児童文学館(吹田市)について、報道陣に対し、「8月に館内をビデオで隠し撮りした。(利用者を増やす)努力をした形跡がない。議会に証拠に持っていきたい」と述べ、私設秘書を使って利用実態を秘密裏に撮影(=いわゆる「盗撮」)していたことを明らかにしました。橋下知事は、こうした秘密撮影(=「盗撮」)について何ら違法性がないとの認識のようです。


1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月7日付朝刊(日曜)33面

橋下知事、職員の仕事ぶり「隠し撮り」 国際児童文学館
2008年9月6日19時44分

 大阪府の橋下徹知事は6日、府が財団法人に運営させている国際児童文学館(吹田市)で、職員の働きぶりや展示の工夫などをチェックするためにビデオの隠し撮りをしていたことを報道陣に明らかにした。府の財政再建案には文学館の廃止が盛り込まれており、知事は「あれだけ(存廃を)大議論したのに努力の形跡が何も見られない。府議会が求めればビデオを見せたい」と語った。

 知事によると、私設秘書にビデオカメラを持たせて8月中の2日間、存廃の論議が進む複数の公の施設を「覆面リサーチ」したという。文学館以外にどこを調査したのかは明かさなかった。

 文学館のビデオを見た感想として、「マンガばかりが並んでいるから『マンガ図書館』に名前を変えるべきだ」「職員にやる気がない」と厳しく批判した。

 財政再建案では、09年度中に文学館を府立中央図書館(東大阪市)へ移転させ、財団法人の存廃についても結論を出す。知事はこの日に視察した中央図書館については「レイアウトなどを大変工夫している。やっぱり人が集まる施設でないと努力しない」と語り、文学館移転のメリットを改めて強調した。」



(2) 毎日新聞平成20年9月7日付東京朝刊27面

橋下大阪知事:廃止方針の児童文学館の仕事ぶりを隠し撮り

 大阪府の橋下徹知事は6日、廃止方針を打ち出している府立国際児童文学館(吹田市)の館内の様子を調べるため、職員に内緒で2日間にわたってビデオ撮影したことを明らかにした。橋下知事は「なんの努力の形跡もうかがわれない」と映像を見た感想を述べた。「隠し撮り」について「民間だったら当たり前のリサーチ」と話したが、その手法は議論を呼びそうだ。

 橋下知事の私設秘書が8月、撮影した。知事は「(来館者を増やす)取り組みは一切感じられなかった」と酷評。子どもたちが漫画ばかり読んでいたとして、「実際は漫画図書館」と不満を表した。映像は府議会などでの公表を検討する。

 文学館の北田彰常務理事は「びっくりした。府民サービスを心がけて、いつ誰が来てもきちんと対応している」と困惑気味に話した。6月から書庫などの見学ツアーを始め、50回で延べ約500人が参加したといい「7月の来館者は昨年の4割増、8月は5割増になった」と反論。さらに「『漫画ばかり』と言われるが、70万点の資料のうち14%に過ぎない」と話した。

 府は財政再建案で、文学館を来年度中に廃止し、機能を中央図書館(東大阪市)に移す方針を示している。橋下知事は「行政は予算を付けても、執行の管理ができていない。本当にやっているのかチェックするのが僕のやり方」と話し、廃止を検討する他の施設についても府職員らに「隠し撮り」させる方針を示した。【長谷川豊、田中博子】

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【関連写真】国際児童文学館を視察した際の橋下徹知事の写真

毎日新聞 2008年9月6日 21時24分(最終更新 9月7日 0時15分)」



(3) 東京新聞平成20年9月7日付朝刊27面

職員を隠し撮りチェック 橋下知事 
2008年9月7日 朝刊

 大阪府の橋下徹知事が、財政再建のため廃止の方針を打ち出した国際児童文学館(同府吹田市)で、職員の様子をビデオカメラで隠し撮りさせていたことが6日、分かった。職員の仕事ぶりをチェックするためとしているが、調査方法が妥当かどうか議論を呼びそうだ。

 橋下知事は記者団に「民間だったら当たり前で、本当にやっているかをチェックするまでが僕の仕事のやり方」と説明。映像を見た感想を「あれだけ騒がれている中で、(利用者を増やす)何の努力の形跡もうかがわれない状況だった」と述べた。

 知事によると、八月に私設秘書が児童文学館を訪れ撮影。同様に存続が取りざたされている府立施設についても部局に「覆面リサーチ」を指示したという。

 橋下知事は「文学館は『漫画図書館』。あれだけの(来場)人数で、果たしてそこに税金をかけて維持する必要があるのか」と疑問を示し、この日視察した中央図書館(東大阪市)の来場者の多さを引き合いに出して努力不足を強調した。

 ただ、児童文学館は児童書の収集と研究が目的の施設で、一般客の利用は限られている。」




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憲法 *  TB: 2  *  CM: 3  * top △ 
2008/09/05 [Fri] 06:17:16 » E d i t
福田首相は、9月1日夜(9時半)、首相官邸で緊急に記者会見して「辞任することを決意した」と表明しました。辞任自体も無責任ですが、気になったのは、記者会見として次のような内容を述べていたことです。



1.福田首相会見要旨

(1) 毎日新聞平成20年9月2日付朝刊5面「首相退陣表明:会見要旨(1)「駆け引きで政治空白つくってはならない」」

 「ねじれ国会の運営について「今年に入ってから景気問題が大きな課題として浮上した。国民や農林漁業、零細企業などの強力な対策を作るため、改造を断行した。強力な布陣の下、先週総合的な対策をとりまとめられた。臨時国会では、補正予算や消費者庁設置法など一刻の猶予もない重要な案件を審議する。先の国会では民主党が国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った。その結果、何を決めるにも時間がかかった」と民主党を批判した。

 そのうえで、「いま日本経済、国民生活を考えた場合、体制を整えた上で国会に臨むべきであると考えた。ここで政治空白を作ってはならない。この際、新しい布陣で政策の実現を図って参らなければならない、と判断し、本日辞任することを決意した」と辞意を表明した。」



(2) 毎日新聞平成20年9月2日付朝刊5面「首相退陣表明:会見要旨(2)記者団との一問一答」

「Q 総理が冒頭で挙げられた消費者庁、道路等々の成果はいずれも道半ば。ご自身の手で仕上げるのが責任というのが普通ではないか。新体制でやるのはどうしてか。もう一つ、総理大臣が辞めるのが政治的空白を生むのではないか。国民が景気等々悪いときに、辞めること自体が空白を生むのではないか。

A 消費者庁はだいたい法案がまとまった。この趣旨は国会にこれから説明していく。私に続く人がこのことを重要に考えやってくれる、それを期待しているが、ここまでまとまれば、あと国会でどういう審議をされるか、その点について野党とどういう話をするかそれはお任せするしかない。無責任といえば全部終わるまでやっていないといけない。本当にやってられるかという問題がある。第二の問題ですが。私が続けていって国会が順調にいけばいいが、そういうことはさせじという野党がいるかぎり、新しい政権になってもそうかもしれないが、私の場合内閣支持率の問題もあるかもしれないし、そのへんは困難を伴う。政治空白というが、いまが政治空白を作らないには一番いい時期だという判断をした。国会の途中で何かあったなら、そのほうがより大きな影響を国民生活に与える。これから大事な法案、政策を打ち出すわけだが、法案だけ考えても経済対策あり、給油法の問題あり、消費者庁もある。前国会の積み残しもたくさん大事なものがございますから、そういうものを順調に仕上げなければならない。そのためには、私が、いろいろ考え判断した結果、いま辞任をして新しい人に託した方がよりよい、という判断をした。

Q 決断に至る過程で総理ご自身が解散総選挙をご自身の手でやると考えたことあるのか。民主党との間でねじれ国会のもとで、政策遂行が難航したが、民主党の小沢代表に対しておっしゃりたいことがあれば。

A ねじれ国会で大変苦労させられた。話し合いをしたいと思ってもそれを受け付けてもらえないことが何回もあった。与党の出す法案に真っ向反対、それも重要法案に限って真っ向反対と、聞く耳持たずと言うことが何回もあった。私が小沢代表に申し上げたいのは国のためにどうしたら良いのか虚心坦懐、胸襟を開いて、話し合う機会がもっとあったら、話し合いたかったということを言いたい。」



要するに、福田首相にとっては、野党が、内閣提出法案の成立に反対、それも重要法案ほど真っ向から反対するために、与党の思い通りに国会審議が進まなかったという不満が辞任の理由の1つなのです。このように、野党が与党に対して非協力的だったことを辞任理由の1つとしているのです。では、野党が与党に対して非協力的だったことは、辞任理由として適切なのでしょうか?  朝日新聞での解説を紹介しておきます。


なお、福田首相辞任表明を受けて、各紙は9月3日朝刊で特集記事を組んでいました。例えば、朝日新聞は、「視点」欄において、飯尾潤・政策研究大学院大教授が、「視点――ワイド――」欄において、松原隆一郎・東京大教授、浜矩子・同志社大教授、作家・佐野眞一氏が、「文化面」では、杉田敦・法政大教授が解説を行っていました。毎日新聞は、24面において司会として倉重篤郎・東京本社編集局次長で、中曽根元首相、御厨貴・東京大教授、飯尾潤・政策研究大学院大教授3人による「福田首相退陣緊急座談会」がありました。読売新聞は、「福田首相退陣談論」と題して(13面)、中曽根康弘元首相、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長、田中明彦・東大教授へのインタビュー記事を掲載していました。

これらのうち、次の点が気になりました。すなわち、読売新聞平成20年9月3日付朝刊13面の「福田首相退陣談論」の記事において、丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長は、

「選挙態勢を構築するうえで、辞任表明は今のタイミングがベストであり、その意味では決して政権の投げ出しではない。ただ、これは「選挙のプロ」の話で、国民には非常にわかりにくかった。」

と述べています。これから引用する解説を見れば分かりますが、「政治学のプロ」である政治学者からみても、「政権の投げ出しではない」とはいえません。「『選挙のプロ』の話」との言い訳を付け、また、自民党に尻尾を振って恭順の意を示すのも経済界の一員としては妥当な行動なのでしょうが、経済界の見識の劣化を感じる発言でした。



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2008/09/02 [Tue] 23:58:57 » E d i t
福田康夫首相(72)=自民党総裁=は9月1日夜(9時半)、首相官邸で緊急に記者会見し「新しい布陣で政策実現を図っていかなければならないと判断し、辞任することを決意した」と表明しました。8月の内閣改造も政権浮揚には結び付かず、昨年9月末の内閣発足後、わずか11カ月で退陣となりました。

福田首相が夜9時半から、緊急記者会見を行うとの報道を聞いて、「衆議院の解散」を宣言するのかと予想していたのですが、唐突な首相辞任表明だったのです。9月12日から開始するはずだった臨時国会はどうするのでしょうか。1ヶ月前の内閣改造は何だったのでしょうか(「福田改造内閣が発足~小泉路線にピリオドをうったが、代わり映えがしない閣僚ばかり……。」(2008/08/03 [Sun] 17:55:03))。1か月で改造内閣を放り投げてしまったのですから、「安心実現内閣」だと述べたことは、全くのウソだったのです。


 「あまりにも唐突に、福田首相が辞任を表明した。
 安倍前首相の突然の政権放り出しから、わずか1年足らず。自民党の首相が2代続けて自ら政権を投げ出すことになる。極めて異常、無責任としか言いようがない。野党第1党に政権を引き渡せという声が出ても不思議はない。それほどの事態だ。
 いま辞任すればそんな批判を浴びせられるであろうことは、首相も十分わかっていたはずだ。それなのになぜ、こんな決断を下したのか。 」(朝日新聞平成20年9月2日付「社説」)


安倍晋三前首相は、国会で所信表明演説を終えた直後の昨年9月12日、突如として辞任を表明して「政権投げ出し」を行ったために、「無責任」と批判を受けました(「安倍首相辞任~今、辞めるのは無責任すぎるが、そこまで病状悪化なのか……。」(2007/09/13 [Thu] 21:04:30)「安倍政権の成果を振り返る~“美しい国”理念、道半ばで終演」(2007/09/14 [Fri] 22:27:01))。

ですから、福田首相は、臨時国会直前での、1年足らずでの突然の政権投げ出しは、「無責任」との非難を受けることは分かっていたはずです。それなのに、またしても政権を投げ出したのですから、「政権投げ出し」は自民党の伝統芸能となったようです。



1.報道記事を幾つか。

(1) 朝日新聞平成20年9月2日付朝刊1面(13版)

福田首相辞任 国会運営手詰まり 2代続け政権放棄
2008年9月1日23時27分

 福田首相は1日夜、首相官邸で緊急に記者会見し、辞任する考えを表明した。衆院解散・総選挙の時期やインド洋での給油継続のための補給支援特措法の延長問題などをめぐって公明党との路線対立が露呈。対決姿勢を強める民主党との間で「ねじれ国会」を乗り切る展望が開けず、これ以上の政権維持は困難と判断した。昨年9月の就任から1年に満たない辞任表明。自民党は後継を選ぶ総裁選に入るが、麻生太郎幹事長が軸になるとみられる。首相は会見で「先の国会では民主党が重要案件の対応に応じず、国会の駆け引きで審議引き延ばしや審議拒否を行った」とし、「今度開かれる国会でこのようなことは決して起こってはならない。そのためにも体制を整えた上で国会に臨むべきだと考えた。新しい布陣のもとに政策の実現を図って参らないといけないと判断し、辞任を決意した」と理由を説明した。

 この時期の辞任表明については「国会の実質審議入りには時間がある、国民にも大きな迷惑がかからないと考え、この時期を選んだ。今が政治空白をつくらない一番いい時期だと判断した」と述べ、秋の臨時国会召集前に決断したことを強調した。

 公明党が年末年始の解散・総選挙を視野に補給支援特措法の再議決に難色を示し、経済政策でも赤字国債発行につながる可能性の高い定額減税を主張するなど、同党との距離が広がっていた。首相は「自公政権が順調にいけばいい。しかし、私の先を見通す、この目の中には決して順調ではない可能性がある。不測の事態に陥ってはいけないとも考えた」と語り、公明党とのすれ違いが辞任決断の背景にあることもにじませた。辞任を決断した時期については、総合経済対策のとりまとめを受けた先週末だったことも明らかにした。

 首相は、政治資金や年金記録問題、防衛省の不祥事などをあげ、「次から次へと積年の問題が顕在化し、その処理に忙殺された」と振りかえった。その一方で、道路特定財源の一般財源化や消費者庁設置構想など自らが手がけてきた政策を「だれも手を付けなかった国民目線での改革」と位置づけ、「最終決着はしていないが、方向性は打ち出せた」と述べた。

 福田首相は昨年9月、安倍前首相の突然の辞任を受けて首相に就任。「ねじれ国会」打開のため、民主党の小沢代表との大連立を狙ったが、小沢氏が民主党執行部の反対にあい、不調に終わった。

 補給支援特措法や、ガソリン税などの暫定税率を復活させた税制改正関連法などを成立させるため、衆院の3分の2による再可決に踏み切った。ただ、日本銀行総裁人事では迷走し、支持率も低迷。政権浮揚が期待された7月の北海道洞爺湖サミット後も支持率があがらず、与党内からも「福田首相の下では総選挙を戦えない」との声があがっていた。

 首相は局面を打開するため、先月2日に改造内閣を発足させたが、支持率は低迷。新内閣で起用した太田農水相に事務所費の問題が浮上するなど厳しい政権運営が続き、安倍前首相と同様に政権を途中で投げ出す形になった。

 首相は会見に先立ち、首相官邸で麻生太郎幹事長と会談し、自民党総裁選の準備に着手するよう指示した。同党はこれを受け、臨時国会前に総裁選を実施する。12日に予定されていた国会召集は先送りされる公算が大きい。新首相が選出されれば、新首相のもとで年内に解散・総選挙に踏み切る可能性も出てきた。

 福田首相は就任前の昨年9月の記者会見で、首相の「辞め方」について問われ、「出処進退はきちんとしなければいけない。総理大臣の場合は、日本全体のリーダーなので極めて重い」と述べたうえで「退陣の時期を決断するのは、大変重い決断だ。このことに、政治家はすべてを賭けてもいいと思っているくらいだ」と語っていた。」



(2) 朝日新聞平成20年9月2日付朝刊31面

会見の最後、首相怒り 記者質問に「あなたと違う」
2008年9月2日0時4分

 「『ひとごとのように』とあなたはおっしゃったけどね、私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」。ふだん感情を表に出すことの少ない福田首相が、辞任会見の最後の質問で、珍しく気色ばんだ。

 この答えを引き出したのは中国新聞の男性記者。「総理の会見が国民にはひとごとのように聞こえる。辞任会見もそのような印象を持った」という質問だった。

 この記者は、朝日新聞の取材に「会見での首相の語り口を聞いていたら、まさに『ひとごと』という言葉通りだなと感じた」と明かす。首相の熱意のなさを批判する時にしばしば聞かれる「ひとごと」というキーワードを最後の最後にぶつけてみようと、あえて厳しい質問をしたという。

 この夜の会見で首相は、自身の不人気ぶりを自ら皮肉るように語った。国会運営の難しさを語る際には、「私の場合には内閣支持率の問題があるかもしれない」とあえて支持率に言及。消費者庁構想など成果を語る時も「目立たなかったかもしれないが……」とグチめいた口調だった。」



福田首相が「私は自分自身のことは客観的に見ることができるんです。あなたとは違うんです」と述べたことで、印象的な記者会見となりました。

福田首相は、「新しい布陣のもとに政策の実現を図って参らないといけないと判断」したのですが、客観的にみれば「新しい布陣」になっても、今まで異なった国会審議になるわけがなく、今、政権を放り投げてしまえば、より野党が批判を行い、より自民党に対する不信感が生じてしまいます。

 「福田首相の1日夜の退陣表明は、政権の“後見役”である自民党の森元首相、青木幹雄・前参院議員会長らにも直前に電話で伝えただけの「たった一人の決断」だった。後継に最も近い位置にある麻生幹事長は「政権投げ出し」の悪印象を懸念して翻意を促したが、それも振り切っての表明だった。(中略)
 唐突感を抱いたのは、元首相の森喜朗、前参院議員会長の青木幹雄らも同様だった。福田から連絡を受けたのは記者会見の30分前。森は料亭で知人と酒を酌み交わしている最中だった。
 青木は周囲に漏らした。
 「福田さんは勘違いしている。新体制になっても、仁義なき戦いと割り切っている野党が態度を改めない限り、政権を取り巻く状況は変わらない。むしろ、政権を投げ出したイメージは、『麻生人気』ではカバーできないほど、深刻だ」
 福田は一夜明けた2日午前の自民党役員会で、辞任への理解を求めた。
 「急な話で大変お騒がせして申し訳ないが、ぜひ新しい総裁を選んでしっかりした体制を作ってほしい」
 自民党は「政権投げ出し」の逆風を、後継総裁選びでどこまで挽回(ばんかい)できるか。居並ぶ党幹部たちも、今は予測ができないに違いない。
( 2008年9月2日 読売新聞)」(読売新聞平成20年9月2日付夕刊1面)



この「政権投げ出し」のおかげで、総選挙になれば、自民党は壊滅的な大敗を喫する可能性が高くなりました。客観的に見れば、壊滅的な大敗の原因を作った張本人であるとの謗りを受けてしまうと判断できたはずです。「客観的に見ることできる」と豪語して見せても、それは福田首相の勝手な思い込みにすぎないように思うのです。



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2008/09/01 [Mon] 18:27:53 » E d i t
福島県立大野病院で4年前、帝王切開手術を受けた女性が死亡し、産婦人科の医師が業務上過失致死などの罪に問われた裁判で、検察当局は8月29日、無罪を言い渡した福島地裁の判決に対して、控訴しないことを発表しました。控訴期限は9月3日なのですから、早々と断念を表明してしまったのです。

9月2日付追記:大野病院事件の控訴断念に言及したブログを紹介し、一部引用しました。)



1.報道記事を幾つか。

(1) YOMIURI ONLINE(地域:福島)(2008年8月30日)

「新たな立証難しい」大野病院事件

控訴断念で検察側

 大熊町の県立大野病院で2004年12月、帝王切開手術を受けた女性(当時29歳)が死亡した医療事故を巡る裁判は、福島地検が29日、控訴断念を表明したことで、無罪判決が確定することになった。業務上過失致死罪などに問われた加藤克彦医師(40)=休職中=について、県病院局では「判決が確定した時点で復職になる。復職後のことについては加藤医師の考えを聞いて検討する」としている。

 子宮に癒着した胎盤をはがし続けた処置の妥当性が問われた裁判で、「子宮摘出に移るべきだった」と主張した検察側に対し、20日の判決は立証不足を指摘していた。

 福島地検の村上満男次席検事はこの日、「(刑罰を科す基準となり得る)医学的準則には様々な考え方があり、裁判所が要求する程度も考え方としてはあり得る。あり得る以上は覆せない」と立証が及ばないことを認め、「証拠に基づいて過失があると判断したが、裁判所と過失、注意義務のとらえ方に違いがあった」と述べた。また、控訴審は原則として1審の証拠に基づいて審理されるため、新たな立証が難しいと説明した。

 ただ、任意捜査でなく、逮捕したことについては「逮捕の要件を慎重に判断して行ったもので、正当だったと思う」とし、起訴したことも「証拠に基づいたもので誤っていない」とした。

 今後については「より慎重、適正に捜査をしたい」と語った。

 また、県警刑事総務課の佐々木賢課長も、「県警としては、法と証拠に基づいて必要な捜査を行ったものと考えている。今後も本判決をふまえ、慎重かつ適切に行って参りたい」と話した。

 これに対し、加藤医師の弁護団は「当然の結論」とするコメントを出し、日本産科婦人科学会も「医療現場の混乱を収束する上で医療界全体にとっても妥当な判断」という声明を出した。

 一方、女性の父、渡辺好男さん(58)は読売新聞の取材に対し、「(事故について)まだ疑問に思うことがあり、生涯真実を求めていきたい」と胸の内を語った。判決当日に県に提出した、医療事故の再発防止を求める8項目の要望書にも触れ、「要望書は今の自分にとって希望。患者の視点で変えていける環境を提案しており、順番に変えていってほしい」と話した。

(2008年8月30日 読売新聞)」




(2) 東京新聞平成20年8月30日付朝刊28面

産科医無罪確定へ 帝王切開死亡 検察が控訴断念
2008年8月29日 18時47分

 福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開で出産した女性=当時(29)=が手術中に死亡した事件で、業務上過失致死などの罪に問われた産婦人科医加藤克彦医師(40)を無罪とした福島地裁判決について、福島地検は29日、控訴断念を決めた。無罪が確定する。

 医療行為をめぐり医師が逮捕、起訴され、医療界の猛反発を招いた異例の事件は1審で終結する。地検は、主張の根拠となる臨床例の提示や新たな鑑定人確保などが困難と判断したとみられる。

 公判では、子宮に癒着した胎盤をはがし続けた判断の是非が最大の争点になり、20日の判決は「標準的な措置だった」と過失を否定した。

 検察側は「直ちに子宮を摘出すべきだった」としたが、判決は「根拠となる臨床症例を何ら示していない」と退け、立証が不十分と批判。「ほとんどの医師が従う程度の一般性がなければ刑罰を科す基準にならない」と指摘した。

 福島地検の村上満男次席検事は「裁判所の要求する一般性の程度も考え方としてあり得る。判断を覆すのは困難と判断した」と説明。「控訴に際し原則、新たな証拠提出ができないことも影響した」とも述べた。

 加藤医師は04年12月、女性の帝王切開手術を執刀した際、大量出血を予見できたのに、子宮に癒着した胎盤を無理にはがして失血死させたとして逮捕、起訴された。判決は、死亡を警察に届けなかったとされた医師法違反罪も含めて無罪(求刑禁固1年、罰金10万円)を言い渡した。
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■ほっとしている

 加藤克彦医師の話 心中ほっとしております。(逮捕からの)2年6ヶ月は長く、支えてくださった皆さまに大変感謝しております。これからも地裁医療に私なりに精いっぱい取り組んでまいります。あらためまして患者さんのご冥福をお祈り申し上げます。」



(3) この2つの記事には色々と興味深い点が出ています。

  イ:1点目。

「福島地検の村上満男次席検事はこの日、……「証拠に基づいて過失があると判断したが、裁判所と過失、注意義務のとらえ方に違いがあった」と述べた。」(読売新聞)



「福島県立大野病院事件(下):福島地裁平成20年8月20日判決への評価~医療過誤に対する刑事責任の追及はやめるべきか?」(2008/08/24 [Sun] 19:23:40)を読んでいたら、「裁判所と過失、注意義務のとらえ方に違いがあった」との意味は、改めて説明するまでもないと思います。捜査機関側とすれば、「従来通りの『刑事の過失』の意味と『注意義務の捉え方』で立証したのに、違う基準を持ち出してきて立証不十分だとして無罪としたのだから、やってられなれないよ」という気持ちでしょう。


  ロ:2点目。

「福島地検の村上満男次席検事はこの日、「(刑罰を科す基準となり得る)医学的準則には様々な考え方があり、裁判所が要求する程度も考え方としてはあり得る。あり得る以上は覆せない」と立証が及ばないことを認め、……た。また、控訴審は原則として1審の証拠に基づいて審理されるため、新たな立証が難しいと説明した。」(読売新聞)


この部分は、裁判所が「刑事の過失は民事の過失とは異なる」とした判示に言及した点です。確かに、 「刑事の過失は民事の過失とは異なる」のかどうかについて議論があるところであり、今回の裁判が最初とはいえますが、一概に完全に否定することはできません。

本来、法解釈の統一性が損なわれると、捜査はもちろん、各裁判所の判断が異なってしまいますから、通常は、控訴するはずなのですが、検察側は控訴しなかったのです。「有罪立証に全力を挙げた検察が、地裁段階での無罪の結論に異を唱えないで従うのは異例のこと」(河北新報平成20年9月1日付「社説:控訴断念の意味かみしめて/大野病院事件」)だといえます。


  ハ:3点目。

 「福島地検の村上満男次席検事はこの日、……控訴審は原則として1審の証拠に基づいて審理されるため、新たな立証が難しいと説明した。」(読売新聞)

 「福島地検の村上満男次席検事は……「控訴に際し原則、新たな証拠提出ができないことも影響した」とも述べた。」(東京新聞)


現行法の控訴審は、事後審、すなわち、事件それ自体ではなく、1審判決の当否について審査する方式ですから、原則としては1審に現れた証拠を基礎にして原判決の当否を審査します。その点では、村上満男次席検事が述べるとおりです。

ただし、事実認定及び量刑に関する事後審査については、刑事訴訟法393条1項により新たな証拠を提出でき、裁判所が認めれば新たな証拠を調べることはできるのです。ですから、法律上、新たな証拠の提出ができ、裁判所も通常、認めている現実からすれば、控訴可能だったのです。

しかし、法律上可能であっても、日本の医療界側が非協力的であるため、将来的にも、判決を覆すために必要な証人や鑑定といった「新たな証拠を出すことは不可能」(朝日新聞平成20年8月30日付朝刊39面)だったと言う点が最大の理由というべきでしょう。

もっとも、「福島地検の村上満男次席検事はこの日、……控訴審は原則として1審の証拠に基づいて審理されるため、新たな立証が難しいと説明した」とあるように、根拠の乏しい、単なる形式的な理由を述べてみせたことは、村上満男次席検事の意向よりも、協議していた上級庁の意向が強く、福島地検としては従わざるを得なかったと推測できるかもしれません。



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