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主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
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2008/05/14 [Wed] 19:58:33 » E d i t
自公民の厚労部会長や医師出身の議員など、超党派のおよそ80人の議員からなる「修復腎移植を考える超党派の会」(杉浦正健会長)が、修復腎(病気腎)移植を容認するとの見解を打ち出したことについては、「病気腎移植容認・万波医師ら処分不要の提言へ、超党派議連が方針決定」(2008/05/10 [Sat] 17:01:26)「超党派議連が「病気腎移植容認、万波医師と病院への処分不要」を発表〜5月19日開催予定の聴聞会も延期に」(2008/05/13 [Tue] 22:22:34)において、触れたとおりです。

この議連の見解は、病気の腎臓の移植を原則禁止とする厚労省の見解とは正反対の内容です。しかも、修復腎移植について保険診療を認めていくべきであるとしていることも重要です。

「厚生労働省や学会から「医学的妥当性がない」とされ、同省が臨床研究以外は「原則禁止」とした病気腎(修復腎)移植をめぐる情勢に13日、大きな変化が起きた。与野党の議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」(会長・杉浦正健元法相)が、逆に「容認」の見解を打ち出し、「保険診療も認めるべき」と、踏み込んだからだ。宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師の症例批判を展開する学会とは対極に踏み出した議連。議論の詳報をお伝えする。」(東京新聞5月14日付)



このように、東京新聞5月14日付「こちら特報部」では、超党派議連の議論の詳報を伝えているので、この記事を紹介したいと思います。

5月15日追記「現在のガン治療の功罪〜抗ガン剤治療と免疫治療」さんも、超党派議連の見解報道について触れているので追記として紹介しました。)
5月20日追記:鈴木宗男議員も、超党派議連に参加なされていたので、触れた部分を引用しました。)



1.その前に。

あらゆる社会問題についても言えることではあるのですが、この修復腎移植問題についても、根本的な点について勘違いしている方がいる点が気になります。そこで、1つ触れておきます。それは、「修復腎移植を希望する患者がいるはずがない、大部分の患者さんは部分切除を望むはずだから、病腎移植を提供する者はほとんどいるはずがない」という否定論です。

(1) 徳洲新聞No.620[2008(平成20)年5月12日]3面

レストア腎、患者さんの半数が移植を希望

レストア腎移植(いわゆる病腎移植)問題で、とかく置きざりにされがちなのが患者さんからの視点。実際にレストア腎移植を希望する患者さんは、いったいどれほどいるのだろうか。こうした興味深い研究が発表された。

 横浜市で開催された「第96回日本泌尿器科学会総会」(4月25〜27日)で、「腎移植ドナーの適応拡大は議論されるべきでは:腎癌腎移植に関する献腎移植希望登録者および透析患者の意識調査から」との演題を発表したのは、長崎医療センターの松屋福蔵・泌尿器科医長らのグループ。
 研究は、長崎県内の献腎移植希望登録更新者74名(男47名、女27名)、透析患者さん87名(男56名、女31名)が対象。一般的な腎がんの医学的解説を行い、転移しない可能性は約9割とした上で、レストア腎の移植を受けたいかどうかをアンケート調査した。
 その結果、条件つき希望を含め肯定的意見は更新者39名(53%)、透析者39名(45%)。絶対に受けないとしたのは、更新者で32名(43%)、透析者で41名(47%)となった。
 発表を行った松屋医師は「生体腎移植のあてもないまま、腎移植を待たざるを得ない患者さんやご家族の、移植できる腎臓さえあればとの思いを切実なものとして受け止め、ドナーの適応拡大について議論すべき時期にきている」と主張した。
 この発表に対し、日本移植学会の高原史郎副理事は「しっかりとしたインフォームドコンセント(十分な説明と同意)をすれば、大部分の患者さんは部分切除を望むはず。病腎移植といっても(全摘を前提としているため)数はほとんど限られるのではないか」と質問した。しかし、日本泌尿器科学会の公式データとして「修復腎移植を考える超党派の会」に提出された腎がんの全摘率は82%となっている。
 高原副理事の質問に松屋医師は「私の経験では、部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない。助かる患者さんがたとえ1人でも、その可能性を検討すべき。無条件にノーというべきではない」と答えている。
 また、発表後に同医師はレストア腎移植問題に言及。「C型肝炎問題と同じように、患者さんの声が大切。そうした臓器でも移植を望む患者さんがどれだけいるかによると思います」と話した。」


この発表での質疑は実に興味深いものがあります。

日本移植学会の高原史郎副理事は、「大部分の患者さんは部分切除を望むはず」だと批判しているのに対して、松屋医師は「私の経験では、部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない」と答えています。松屋医師の経験は、実績のある泌尿器科専門医では誰もが共通して経験している事実なのですから、高原氏は、泌尿器科専門医の経験則について無知であることを自ら暴露しています。



(2) 「第96回日本泌尿器科学会総会」での長崎医療センターの松屋福蔵・泌尿器科医長らのグループの研究発表によれば、「条件つき希望を含め肯定的意見は更新者39名(53%)、透析者39名(45%)。絶対に受けないとしたのは、更新者で32名(43%)、透析者で41名(47%)」という調査結果が出ています。これは、腎臓移植を希望している患者のうち、修復腎移植を希望する患者が半数を超えているのですから、病気腎移植を希望する患者はいるのです。

また、十分な実績のある泌尿器科専門医の経験からすれば、「部分切除と全摘の両方を説明しても、全摘を望む患者さんはそれほど稀ではない」(松屋医師の話)のです。ですから、「日本泌尿器科学会の公式データとして「修復腎移植を考える超党派の会」に提出された腎がんの全摘率は82%となっている」のです。このように、80%も捨ててしまっている腎臓があるのですから、病気腎移植を提供する者はいるのです。

このように、「修復腎移植を希望する患者がいるはずがない、大部分の患者さんは部分切除を望むはずだから、病腎移植を提供する者はほとんどいるはずがない」という否定論は、間違っているわけです。

修復腎移植問題は、死体腎移植の平均待機期間は16.6年というあまりにも深刻なドナー不足の状況において、修復腎移植であっても移植を望む「患者の声を大切」しようではないか、ということなのです。

「患者の声を大切」にする――。

これは医師としてごく基本的な態度であるのですが、修復腎移植の是非は、「医師としてごく基本的な態度」が問われている問題でもあるのです。


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