2.この講演会では、堤寛・藤田保健衛生大学教授と高杉敬久・広島県医師会副会長の講演だけでなく、兵庫県加古川市で音楽教室を主宰している作曲家・編曲家・ジャズピアニストの有末佳弘さん(透析5年目、レストア腎移植を支持)と堤寛・藤田保健衛生大学教授による演奏も行われています。
この講演会の詳しい内容については、
「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「「レストア腎移植を考える会」報告」(2008/04/28 12:49)で紹介されています。こちらをぜひご覧下さい。この「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」のエントリーを見ながら、新聞記事を見ていきたいと思います。
(1) 堤寛・藤田保健衛生大学教授の講演は、次のように記事にしています。
「同病院調査委の外部専門委員も務めた堤寛・藤田保健衛生大教授(病理学)は、各病院の調査委が出した「4センチ以下の腎がんは部分切除すべき」などの結論について、「実際には8割以上が全摘している」などと批判。「都会で考えられないぐらいに医師と患者の関係は密だという医療現場を無視している」とした。
堤教授は、ネフローゼ症候群の患者4人から提供された腎臓の移植を受けた患者8人のうち、4人の腎臓が機能している一方で、2人が悪性リンパ腫と骨髄異形成症候群の血液疾患を発症し死亡したことも明らかにした。」(毎日新聞)
「堤教授は、宇和島徳洲会病院(同県宇和島市)での病腎移植を外部委員として検証した経験を踏まえ、患者の満足度の高さや移植を受ける患者の心理的な負担の少なさを指摘。「移植までの待機時間の短縮にもつながる」と主張した。
また、国内では腎がん患者から年間に約2000個の腎臓が全摘出されている−との試算を提示。そのうち1000個を移植に利用した場合、「10年間で1538億円の医療費を削減できる」とし、「第3の道として有用性が高い」との見解を示した。」(産経新聞)
「同移植問題で、宇和島徳洲会病院(宇和島市)の専門委員を務めた藤田保健衛生大医学部(愛知県豊明市)の堤寛教授は「レストア腎移植と腎不全治療」と題し講演。病気、死体、生体の各腎移植の生着率などを示し、慢性透析患者に有用と強調。一方で「論文を発表し、世の中を納得させる活動をしていなかったのが残念」と述べた。」(愛媛新聞)
「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「「レストア腎移植を考える会」報告」(2008/04/28 12:49)と、以前聞いた、堤寛・藤田保健衛生大学教授についての講演内容からすると、レストア腎移植は「第3の道として有用性が高い」(産経新聞)という結論のものです。
毎日新聞では、
調査委が出した「4センチ以下の腎がんは部分切除すべき」などの結論について、「実際には8割以上が全摘している」などと批判という内容を紹介しています。これは、医療現場の実態は、日本移植学会や厚労省が言っている見解と、医療現場の実態は違っている(日本移植学会の移植医は医療現場を知らない!?)ことを述べたものです。やっと、毎日新聞も、地方版とはいえ、日本移植学会が唱えている「空想」ではなく、「現実」を記事にする気になったようです。
(2) 高杉敬久・広島県医師会副会長の講演については、次のように記事にしています。
「高杉副会長は、臓器移植法の施行後に死体腎移植の数が減ったことをデータで示したうえで、「自国での脳死移植が少ない中で、海外への渡航移植が増えている」と指摘。「医療は常に挑戦。現在の常識で未来の可能性をつぶしてはいけない」と話し、病腎移植のもつ可能性を強調した。」(産経新聞)
「広島県医師会の高杉敬久副会長は「レストア腎移植に思う」と題し、「患者の十分な同意があれば、捨てられる臓器を再利用できるのではないか」と訴えた。」(愛媛新聞)
この講演では、「自国の脳死移植が(10年で)約65例」なのに比べ、(欧米、フィリピン、中国等への)「海外渡航移植は522名に達している事実」(
「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「「レストア腎移植を考える会」報告」(2008/04/28 12:49))を指摘して、日本の市民が、日本よりも海外での臓器移植に頼り切っている現実を突きつけています。
「臓器移植法の施行後に死体腎移植の数が減ったこと」を示す「データ」は、臓器移植法が死体腎移植にとって阻害要因になってしまった現実をも突きつけています。
そして、結論としては、「摘出されて捨て去られる臓器は、待ち望んでいる人に十分な同意があるのなら、再利用できるのではないか」(
「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「「レストア腎移植を考える会」報告」(2008/04/28 12:49))として、「医療は常に挑戦。現在の常識で未来の可能性をつぶしてはいけない」と話し、病腎移植のもつ可能性を強調したわけです(産経新聞)。
日本よりも海外での臓器移植に頼り切っている現実と、臓器移植法が死体腎移植にとって阻害要因になってしまった現実を、しっかり確認しておく必要があります。
(3) 作曲家・編曲家・ジャズピアニストの有末佳弘さん(透析5年目、レストア腎移植を支持)と堤寛・藤田保健衛生大学教授による演奏については、
「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「「レストア腎移植を考える会」報告」(2008/04/28 12:49)をご覧下さい。素晴らしい演奏だったようです。
3.日本の市民は、日本よりも海外での臓器移植に頼り切っている現実に対して、厳しい宣言がまとめられました。
(1)
毎日新聞平成20年5月3日付東京朝刊2面「臓器移植:「国内完結で」 ドナー保障も各国に要求−−国際学会宣言
国際移植学会は2日、トルコのイスタンブールで開いた国際会議で、移植用臓器を「自給自足」することを各国に求める宣言をまとめた。さらに、生体臓器移植については、提供者(ドナー)保護のための保障制度作りを各国に呼び掛けることで合意した。
日本移植学会によると、会議には78カ国から150人を超す専門家が参加。移植を希望する患者が国内で臓器提供を受けられるよう、脳死や心停止後のドナーを増やす取り組みをすることを各国に求めるとした。
臓器売買や移植のために海外に行く「移植ツーリズム」などが問題になっているためで、ドナー増加のために国際協力する必要性についても言及した。
脳死、心停止後の提供は慢性的に不足しており、世界保健機関(WHO)によると、世界で実施されている臓器移植の約半数は生体からの提供だ。中国やフィリピン、インドなどでは人道的な問題も指摘されている。
このため、「生体ドナーはもう一人の患者だ」と位置付け、ドナー選定に必要な費用の支払いや、ドナーへの休業補償など総合的な保障制度を各国がまとめることを求めた。
厚生労働省研究班が実施した海外渡航移植に関する報告によると、日本からの渡航移植患者は06年3月までで522人に上った。外国人への腎臓移植の全面的禁止を4月に決めたフィリピンでも、多くの日本人患者が渡っていたという。【大場あい】
毎日新聞 2008年5月3日 東京朝刊」
この宣言の特徴は、2点です。
「国際移植学会は2日、トルコのイスタンブールで開いた国際会議で、移植用臓器を「自給自足」することを各国に求める宣言をまとめた。さらに、生体臓器移植については、提供者(ドナー)保護のための保障制度作りを各国に呼び掛けることで合意した。」
「「生体ドナーはもう一人の患者だ」と位置付け、ドナー選定に必要な費用の支払いや、ドナーへの休業補償など総合的な保障制度を各国がまとめることを求めた。」
臓器移植は自国で自己完結することと、生体ドナーへの補償制度、すなわち生体ドナーへの金員の支払い(免税措置なども含む)を行うべきだというものです。
前者の点は、国際移植学会という一私的団体が宣言したものであって、各国や各国市民に対して何ら拘束力を有しないものです。ですから、国際移植学会がいくら「臓器移植は自国で自己完結、自給自足せよ」と求めたところで、海外移植が困難になるわけではありません。
といっても、外国人に対する臓器移植を制限する動機にはなりうるものですから、日本の市民にとっては「厳しい宣言」であることは確かです。
後者の点は、生体臓器の提供では、米国のウィスコンシン州が3年前に、最大1万ドルの税を軽減する州法を制定しており、医療費や入院期間中の賃金相当額が所得控除の対象になっているように、「臓器提供に伴い失った所得を補償するという考え方」が広がりつつあるという現実を肯定したものだといえそうです(
「移植シンポジウムで各国が現状報告〜臓器売買深刻化浮き彫り(東京新聞6月3日付「こちら特報部」)」(2007/06/06 [Wed] 20:59:23)参照)。
臓器移植に伴って金銭支出をする以上、ある意味、臓器売買ともいえるのですが、世界的には「臓器提供に伴い失った所得を補償する」ことは臓器売買に当たらないという理解が広がり、臓器売買禁止の厳格な適用は貫かれなくなってきているわけです。
(2) 国際移植学会は“臓器移植は国内完結で”という学会宣言をしている以上、世界的なドナー不足の現状からすれば、世界各国において、今後一層、外国人に対する臓器移植を制限していくことが予想されます。
日本の市民が日本よりも海外での臓器移植に頼り切っている現実と、臓器移植法が死体腎移植にとって阻害要因になってしまった現実を踏まえれば、日本はどういう道を採るべきなのでしょうか?
今後、一層、海外での臓器移植は制限されるため、<1>臓器移植を必要とする患者は日本で移植できずにただ死の影におびえ続けるだけなのか、<2>臓器移植を増やす方策を探ることで、移植を必要とする患者の命を救済するかどうか、です。答えるまでもなく、後者の道を探るしかありません。生きることは、人間の本質的前提なのですから。
臓器移植法の改正もままならず、しかも、臓器提供数も極めて少ないという現実(死体腎移植の平均待機期間は16年)からすれば、最も現実的で実効性のある方策は「修復腎(レストア腎)移植を認めて推進すること」しかないと思うのです。
もし、修復腎(レストア腎)移植を否定するのであれば、他に現実的で実効性のある方策を提言するべきです。
日本移植学会の会員にように、ただ、難癖をつけて海外での修復腎(レストア腎)移植さえも否定し、修復腎移植を肯定することを「万波病」などと揶揄することは、万波医師ほどの移植の技量もなく、医師として無能であることを自ら暴露しただけにしか見えません。日本移植学会の高原教授は、自ら腎臓移植件数1000例と誇っていますが(
「「修復腎移植を考える超党派の会」の第5回の会合を紹介〜現場の医師たちが臨床の証言」(2008/04/21 [Mon] 21:56:10)参照)、あまりに疑わしいので惨めなだけです(なお、万波誠医師は、現時点で腎移植を700例ほど実施しているようです)。
日本移植学会の態度には見切りをつけ、日本の市民及び国会議員は、臓器移植を切望する患者の命を救済するため、最も現実的で実効性のある方策である、修復腎移植を推し進めるしかない、と意識を変えるべきなのです。その意味で、「修復腎移植を考える超党派の会」は「議員立法で臨床研究としてレストア腎移植を進め、1人でも多くの患者さんを救うべき」としており、その動きに対して、多くの賛同が集まることを願っています。
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