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平成19年11月22日に提出されたものですので少し前の答弁書ではありますが、病気腎移植を巡る公文書ですから、知っておく必要があると思います。また、質問主意書の内容からすると、石井一参議院議員がレストア腎(病気腎)移植を原則禁止とした運用指針に対して疑問を抱いていることが分かります。原則禁止の運用指針を疑問視する石井議員と、それに対して答えている内閣の意識がどうなのか、よく見比べてみると興味深い点があると分かると思います。
引用するに当たり、病気腎移植に関する質問主意書を提出した石井議員に対して感謝の意を表したいと思います。
1.病腎移植に関する質問主意書
「質問主意書
質問第六四号
病腎移植に関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
平成十九年十一月二十二日
石 井 一
参議院議長 江 田 五 月 殿
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病腎移植に関する質問主意書
病腎移植は、がんなどで摘出された、本来は捨てられるべき腎臓を修復した上で、腎不全などで苦しむ別の患者に移植する手法である。万波医師らが日本で行ったこの手法は海外で評価されているが、日本では評価されず、本年七月厚生労働省から原則禁止の運用指針が出されたところである。
そこで、原則禁止の通達が出されるまでの検討内容、経緯について、以下質問する。
一 病腎移植問題に関しては、宇和島徳洲会、市立宇和島病院、呉共済病院、香川労災病院、相川委員会の五つの調査委員会が組織されている。この調査委員会での調査の結果、最終的に判明した病腎移植は十五年間に四十二例であった。これほど大規模な事案であればすべての症例を総合的に判断し、統計的な妥当性を持たせるために、横断的な調査委員会のシステムが必要であった。しかし、「十五年間に四十二例」という事実が判明しても「カルテ保存義務のある過去五年間の事例を調査する」という昨年十一月時点で立てられた基本方針を変更しなかったのはなぜか、明らかにされたい。
二 五つの調査委員会のうち三つがそれぞれ異なる調査報告を行い、二つが最終報告をまとめていない状況で、厚生労働省が病腎移植原則禁止の通達を出した理由を明らかにされたい。
三 厚生労働省は、「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正に関する意見募集の結果について、「関係学会声明や病腎移植を実施した各病院の調査委員会報告等において指摘された問題点を基に、これらの問題に対応するための措置を検討し、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会の審議を経て、行政手続法の定める手続きに従い、運用指針の改正を行う」としている。しかし、病腎移植の妥当性の根拠となる関係学会声明では、例えば病腎移植の「生着率」と「生存率」が挙げられているが、日本移植学会の幹部である高原史郎大阪大学教授は、生着率と生存率の数値が低い市立宇和島病院の症例二十五のみを解析した。なぜ厚生労働省は、四十二症例すべての統計的なデータに基づいた判断をしなかったのか、明らかにされたい。
四 「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正に関する意見募集の結果については、がんに冒された臓器(以下「担がん臓器」という。)移植の転移率が高い論拠として、「Transplantation 2002;74:358」、「Ann Transplant 1997;2:7」、「Ann Transplant 2004;9:53」という海外の論文を挙げている。しかし、実は担がん臓器の移植におけるがんの転移は極めて少ないとの論旨を、反対の視点から部分的、意図的に誤って引用しているなどの問題がある。さらに、他の論文も著しくデータの古いもので、最新の医学的根拠としてはあまりにも不適切ということを厚生労働省は認識しているのか、明らかにされたい。
また、以上のような論文のねつ造的解釈、誤った引用があまりにも目に余り、これでは全く誤った情報を流布することにより、国民をあらぬ方向に誘導しようとしているのではないかと考えるが、政府の認識を明らかにされたい。
五 厚生労働省は独自に病腎移植に関する最新の海外論文及び海外での症例報告などを検証したのか、あるいは関係学会に再調査を依頼したのか明らかにされたい。
六 厚生労働省が病腎移植を原則禁止としながら臨床研究の道を残したのはどのような根拠によるものか、明らかにされたい。
七 圧倒的なドナー不足、献腎不足、担がん臓器の増加などの中で、具体的な臨床研究の道筋をどのように考えているのか、政府の見解を明らかにされたい。
八 患者の治療の選択権に関しては、厚生労働省としては、病腎移植においてどのような条件下で認めるつもりか明らかにされたい。
右質問する。」
2.参議院議員石井一君提出病腎移植に関する質問に対する答弁書
「答弁書
答弁書第六四号
内閣参質一六八第六四号
平成十九年十二月四日
内閣総理大臣 福 田 康 夫
参議院議長 江 田 五 月 殿
参議院議員石井一君提出病腎移植に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。
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参議院議員石井一君提出病腎移植に関する質問に対する答弁書
一について
御指摘の基本方針が何を指すのか必ずしも明らかではないが、御指摘の調査委員会においては、五年以上前の事例についても調査しているものと承知している。
二及び三について
厚生労働省としては、病腎移植については、関係学会から、その医学的、倫理的妥当性に対する否定的見解が示されたこと、厚生科学審議会疾病対策部会臓器移植委員会において「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」(平成九年十月八日付け健医発第千三百二十九号厚生省保健医療局長通知。以下「運用指針」という。)を改正して迅速に対応する必要がある旨の指摘があったこと等を踏まえ、速やかに対応方針を示すこととし、平成十九年七月十二日の運用指針の改正により、現時点では医学的に妥当性がないので、臨床研究として行う以外は、これを行ってはならないこととしたものである。
四について
厚生労働省としては、「「臓器の移植に関する法律の運用に関する指針」の一部改正に関する意見募集の結果について」においては、御指摘の論文の論旨を引用してはおらず、提出された意見に対して回答する際の参考として、関係学会声明の前提とされた御指摘の論文のデータ及び市立宇和島病院の調査委員会の意見書の抜粋を掲載したものである。
五について
厚生労働省としては、御指摘の検証及び再調査は行っていないが、海外における病腎移植の調査研究の状況等については、本年度、厚生労働科学研究事業において調査研究が実施されているところである。
六について
お尋ねについては、病腎移植は、現時点では医学的妥当性がない治療方法であるが、将来、臨床研究等を通じて、有効性及び安全性が確立し、医学的に妥当となる可能性が残されているからである。なお、病腎移植を臨床研究として実施する場合は、運用指針、「臨床研究に関する倫理指針」(平成十六年厚生労働省告示第四百五十九号。以下「倫理指針」という。)を遵守すること等が前提となるものである。
七について
厚生労働省としては、臨床研究として行われる病腎移植については、運用指針、倫理指針等に基づき、研究機関等において必要な体制を整えた上で実施されるべきものであると考えており、その参考となるよう、五についてで述べた調査研究の成果について情報提供を行うこととしている。
なお、厚生労働省としては、臓器移植を希望する患者の数に比べ臓器提供の数が限られている現状においては、まずは臓器移植に関する啓発普及や提供意思の表示方法の周知等を図ることが重要と考えており、これらについて積極的に取り組んでいるところである。
八について
厚生労働省としては、病腎移植については、現時点では医学的に妥当性がないので、運用指針において、臨床研究として行う以外はこれを行ってはならず、また、当該臨床研究を行う者は倫理指針に規定する事項を遵守すべきであることとしており、患者は当該臨床研究の被験者としてならば、これを受けることができるものである。」
(3月7日追記:イージス艦「あたご」を擁護する一部のネットの意見に対して反論をした)
1.報道記事を幾つか。
(1) 毎日新聞2008年2月27日 東京朝刊
「海自イージス艦・漁船衝突:あたご航海長、防衛相が自ら当日聴取 説明で触れず
◇4首脳そろい
千葉・野島崎沖で起きた海上自衛隊のイージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳(せいとく)丸」の衝突事故で、石破茂防衛相ら首脳4人が、第3管区海上保安本部(横浜)の事情聴取前に直接、大臣室であたごの航海長から事情を聴いていたことが分かった。航海長をヘリコプターで移送する際は「けが人を運ぶ」と海保から許可を受けていたが、航海長を一緒に連れていくことは伏せていた。航海長は事故前の当直士官で、事故前後の状況を詳細に知る人物。石破氏はこれまで、直接事情を聴いたことを説明しておらず、「密室」での首脳4人による捜査前の聴取は批判を招きそうだ。
◇ヘリ移送、負傷者と偽る
関係者によると、海上幕僚監部(東京都新宿区)は事故直後、現場からの情報不足から、あたごの幹部を海幕に呼び出し詳しく事情を聴くことを計画。神奈川・横須賀基地からあたごに到着したヘリが、事故6時間後の19日午前10時ごろ、航海長を乗せ海幕に向かった。この際「けがをした乗組員を搬送する」と海保から許可を得ていた。
航海長は、海幕で約1時間にわたり事情を聴かれ、メモに従い「衝突2分前に緑の明かりを発見、1分前に漁船を見つけ全力後進で避けようとした」などと述べたとみられる。
さらに、これとは別に大臣室で、石破氏のほか増田好平・防衛事務次官、斎藤隆・統合幕僚長、吉川栄治・海上幕僚長の防衛省と自衛隊の4人が事情聴取していた。海幕による聴取と同様の説明をしたとみられる。航海長は午後2時半ごろ、再びヘリで戻ったという。
石破氏はこれまで、航海長からの聴取内容について、海幕から報告を受けたとだけ説明していた。また航海長の移送と聴取について、防衛省は「事前に海保の許可を得ていた」と説明していたが、3管は26日、「防衛省側から聴取の連絡を受けたのは聴取後だった」と発表した。
海保の捜査段階で、海自が当事者から聴取することは、禁止はされていないが捜査妨害の恐れがある。冬柴鉄三国土交通相はヘリでの航海長移送が判明した26日午前の会見で「内部的な調査権はあるにしても、私の方(海保側)の了解を得てやるのが法の仕組み」と不快感を示した。
◇「発見は9分前情報もあった」−−防衛省幹部
あたごの清徳丸発見時刻が事故の12分前とする公表が遅れ、結果として誤った情報が伝わったことについて、石破茂防衛相は26日午後の衆院安全保障委員会で「結果論としてまずかった」と述べ、対応のまずさを認めた。辻元清美氏(社民)の質問に答えた。
事故当日の19日午後8時半に海上幕僚監部から「12分前」情報を得たにもかかわらず、同11時の会見で海幕防衛部長が「2分前」と述べたことについては「連携のなさは否めない」と述べた。
一方、防衛省幹部は19日午後8時半には「9分前」という情報もあったことを明らかにし、精査に時間をかける必要があったと強調した。【田所柳子】
毎日新聞 2008年2月27日 東京朝刊」
(2) 朝日新聞平成20年2月27日付夕刊1面
「「適切でなかった」 防衛相、海保に無断の聴取認める
2008年02月27日12時13分
海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」と漁船清徳丸の衝突事故当日の19日午前、海上幕僚監部があたごの航海長をヘリコプターで呼び寄せて防衛省内で事情を聴いていた問題をめぐり、石破防衛相は27日午前の衆院予算委員会分科会で、海上保安庁に無断で行ったことを認めた。聴取は石破氏のほか事務次官、統合幕僚長、海上幕僚長ら4首脳が大臣室で行っていたことも新たに判明した。これまで同省は否定していたが、捜査を受ける側が「密室」で捜査当局に無断で聴取を行っていたことになる。捜査妨害や口裏合わせとの疑念も生じかねない行為に防衛省トップの石破氏自らがかかわったことで、一連の対応への批判がさらに高まりそうだ。
分科会で、高鳥修一氏(自民)が、航海長をヘリコプターで呼び寄せて事故当時の状況を聞いた経緯を質問した。石破氏は「防衛省において一刻も早く事故状況を把握し、対外的に説明するための行動だった」と釈明。そのうえで、「結果論となるが、海保の了解を得ないで乗組員の聴取を行っていたことは、内部的な調査であったとしても、必ずしも適切ではなかった」と述べ、これまでの防衛省側の説明を翻した。
あたごの衝突事故から約6時間後の19日午前10時前、海上幕僚監部が航海長をヘリで東京に呼んで事情を聴き、石破防衛相にも直接報告させていた。同省幹部によると、航海長が同省に到着した後、石破氏は大臣室で増田好平事務次官、斎藤隆統合幕僚長、吉川栄治海上幕僚長らとともに直接事情を聴いたという。
この経緯について同省は26日の会見では「航海長をヘリに乗せる前に、横須賀地方総監部が横須賀海上保安部に通報した」と説明していた。
一方、第3管区海上保安本部が調べたところ、出先機関を含め防衛省側からの事前連絡を受けた部署の確認はできなかった。19日午後、事後報告という形で防衛省から海上保安庁本庁に報告が入っていたことが分かったという。
さらに、海幕は19日深夜から20日未明にかけて、あたごに戻った航海長らに電話で事実確認の問い合わせをした際も、海保に断っていなかったことがすでに判明している。
民主党の鳩山由紀夫幹事長は27日午前、都内で記者団に、石破氏自らが航海長から事情を聴いていたことについて「隠蔽(いんぺい)工作だと思われても仕方ない。海保が事情聴取する前の口裏合わせに使えてしまう」と批判した。」
なんといっても、この事情聴取の最大の問題は次の点です。
「聴取は石破氏のほか事務次官、統合幕僚長、海上幕僚長ら4首脳が大臣室で行っていたことも新たに判明した。これまで同省は否定していたが、捜査を受ける側が「密室」で捜査当局に無断で聴取を行っていたことになる。捜査妨害や口裏合わせとの疑念も生じかねない行為に防衛省トップの石破氏自らがかかわったことで、一連の対応への批判がさらに高まりそうだ。 」
本日(2月27日)報道されるまで、石破氏はこういった事情をすべて隠蔽していたのですし、「捜査妨害や口裏合わせとの疑念」と合わせると、防衛省トップである大臣として決して許されない行動でした。石破茂防衛相ら首脳4人がそろって、捜査前に秘密裏に聴取を行っているようだと、文民統制がまったく意味をなさなくなってしまいます。
石破氏が、いくら情報操作をしていないなどといってみたところで、防衛省トップである大臣自らの行動は隠蔽していたのですから、自らの言動とも矛盾しているのです。
1.まず、報道記事を幾つか。
(1) TBS−NEWSi(2月25日18:06)
「病腎移植聴聞会、実質的審理は延期
宇和島徳洲会病院での病気腎移植をめぐり、愛媛社会保険事務局は25日、保険医療機関取り消しの処分に向け、病院側の弁明を聞く聴聞を開きましたが手続きで紛糾し、実質的な審理は延期となりました。
「保険医の取り消しというのは死刑に匹敵するんです。単なる万波(医師)つぶしだ」(徳洲会側の弁護士)
この聴聞は、病気腎移植を執刀した万波誠医師と宇和島徳洲会病院など2つの病院の保険医療を取り消す方針を固めている愛媛社会保険事務局が、病院側の弁明を聞くため開いたものです。
しかし社会保険事務局のメンバーに東京から来た厚生労働省の職員が含まれていたことに対し、病院側が行政手続法違反だと反発し、聴聞の手続きをめぐって紛糾したまま、実質的な審理は行われませんでした。また、万波医師本人の聴聞も延期となりました。
「患者の命を重視していれば、こういう軽率な判断は出来ないと思います」(元患者)
病院側の弁護士によりますと、聴聞では社会保険事務局の通知に処分の具体的な根拠が示されていないとして、行政手続きの違法性を主張する予定だったということです。
聴聞は今年5月に再度開かれることが決まり、病院側は、「病気腎移植はかつて厚生労働省に報告している」などと徹底抗戦の構えです。(25日18:06)」
(2) 毎日新聞 2008年2月25日 大阪夕刊
「病気腎移植:指定医取り消し、聴聞会を延期
愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院の万波誠医師(67)らによる病気腎移植に関連し、愛媛社会保険事務局(松山市)は25日、病院の弁明を聞く聴聞会を開いた。診療報酬の不正請求を理由に保険医療機関指定を取り消す方針を固めているが、病院側は「聴聞会に厚生労働省の職員が入っている」と指摘。実質審議に入らないまま、5月19日に再度開くことになった。午後に予定されていた万波医師ら医師2人の聴聞も同じ日に延期された。
午前10時からの聴聞会には、病院側から院長や弁護士ら計22人が出席。聴聞会の手続きなどを巡るやり取りに終始し、約1時間半で終わった。
同事務局の古元大典事務局長は「手続き上の不備はない」。徳洲会グループの能宗(のうそう)克行事務総長は「本当に取り消しに値するのか検証したい」と話した。【加藤小夜、藤田健志】
毎日新聞 2008年2月25日 大阪夕刊」
以前、「厚労省は徳洲会病院の処分を先行して4月にも実施、宇和島病院は、外来患者の減る大型連休のある5月を処分期間とし、影響を最小限にとどめたい考えだ。」(2008年02月12日 読売新聞)という報道もありました。ところが、聴聞会が5月19日に延期されたことから、4月に徳洲会病院の処分の実施を図るという予定は破綻することになったのです。
気になったのは、毎日新聞の記事です。
「午後に予定されていた万波医師ら医師2人の聴聞も同じ日に延期された。」
「医師2人の聴聞」ということは、万波誠医師以外の医師にも保険医登録取り消しの処分があるということなのでしょうか? それとも、保険医登録と無関係に聞くことにしたのでしょうか? 他の報道機関では、万波誠医師以外のお名前は出ていないので、真偽は不明です。後の報道に待ちたいと思います。
厚労省や愛媛社会保険事務局により、病気腎移植が保険適用外とされて病院に診療報酬返還が請求された場合、非常に深刻な問題が生じることについて、東京新聞平成20年2月23日付26面「こちら特報部」で記事にしています。その記事を紹介したいと思います。
1.まず、その前に「“レストア腎(病気腎)移植”超党派の議員連盟発足〜厚労省による「病気腎禁止」見直し求める(東京新聞2月22日付「こちら特報部」より)」(2008/02/23 [Sat] 06:12:46)で触れた「修復腎移植を考える超党派の会」の趣意書を引用しておきます。
「修復腎移植を考える超党派の会」
趣意書
昨今、修復腎移植の是非が大きな社会問題となっておりますことはご案内の通りです。
移植を容認する立場からは、「患者の命を救うための医療行為であり患者に不満の声はなく、海外でも多くの同様の事例が存在し、かつ高い評価を得ている」との見解が示されております。
他方で、医学的に問題ありとする立場からは、「インフォームドコンセントや倫理面で問題があり、移植した腎臓の生着率や患者の生存率が劣り、修復腎移植は医学的に妥当性がない」との主張がなされております。
このように異なった見解が存在するなかで、中立かつ客観的な立場から両者の見解を検討し、この問題の適切な方向性を追及していくことは国会議員としての責務であると考えます。
そこでわれわれ有志議員が協議し「修復腎移植を考える超党派の会」を設立致しました。多くの議員の皆さま方のご入会をよろしくお願い致します。
平成20年2月21日
発起人 島村宣伸 深谷隆司 杉浦正健 竹本直一 平沢勝栄 衛藤晟一 佐藤信秋 山田正彦 松木謙公 家西悟 福島豊 山本博司 (順不同、敬称略)
議員各位
この趣意書は、「万波誠医師を支援します」さんの「患者・地域の願いは どこまで届くのか(3)」(2008/02/22 00:21)からの引用です。感謝します。(3月1日追記:平沢議員のHPによる趣旨書を参考にして修正した)
「地獄への道は善意で舗装されている」さんの「<病気腎移植>超党派の議連が発足 是非を再検討へ」によると、党派は、自民党、民主党、公明党、無所属であり、自民党、民主党、公明党を中心として39名本人出席、代理は35名で併せて74名が出席したとのことです。
この超党派の議員連盟の初会合の様子、宇和島徳洲会病院や市立宇和島病院の保険医療機関指定・万波誠医師の保険医登録取り消し処分によって被害を受ける地域住民の声について、東京新聞2月22日付「こちら特報部」が詳しく記事にしていましたので、紹介したいと思います。片山夏子記者による渾身の記事となっています。なお、2月23日付「こちら特報部」でも保険医療機関指定取り消し問題について触れています(明日、紹介します)。
1.まず、超党派の議員連盟発足についての報道を幾つか。
(1) TBS NEWSi(2月21日18:11)
「病気腎移植めぐり超党派議連を結成
病気腎移植をめぐり超党派の議員連盟が結成されました。議員連盟は、原則禁止にした厚生労働省の方針を再検証するとしています。
「厚生労働省の言われていることと、かたや、患者さんの言われていることは全く相容れないというか、対立した形になっているわけでございますけれども」(自民党 平沢勝栄 議員)
自民党と民主党などの議員を中心に結成された「修復腎」を考える超党派の会には、衆参両院あわせておよそ70人が参加しています。21日の初会合では厚生労働省の担当者と患者団体の双方を呼び、万波医師らが行った病気腎移植に関する意見を聞きました。
厚生労働省は去年7月、病気腎移植を原則禁止にしていますが、自民党の平沢勝栄議員は、「この移植で助かっている人もいる。なぜ厚生労働省はブレーキをかけるのか」と述べました。
会では今後、厚生労働省の方針を再検証した上で見解をまとめる方針です。また、病気腎移植で診療報酬の返還を求められている市立宇和島病院は、不正請求したとされるおよそ1億5000万円を返還する方針です。(21日18:11)」
(2) 日テレNEWS24<2/21 21:07>
「病腎移植を再検討、超党派議連が発足<2/21 21:07>
病気の腎臓を修復後、第三者に移植する、いわゆる病腎移植問題で、病腎移植について再検討する超党派の議員連盟が21日、発足した。
厚労省は去年7月、病気の腎臓を修復後、第三者に移植する病腎移植を事実上禁止する通知を出した。これに対し、病腎移植を推進した万波誠医師を支援する患者らは、臓器提供が少ない日本の現状では、病腎移植が有効な医療だと訴えている。
議員連盟では、厚労省の出した通知の見直しも含め、なるべく早い時期に方向性をまとめたいという。」
(3) YOMIURI ONLINE(地域:愛媛)(2008年2月22日)
「超党派議員連初会合 「病気腎移植最後の希望」 患者団体国に意見
宇和島徳洲会病院(宇和島市)の万波誠医師(67)による病気腎移植問題に絡み、議員連盟「修復腎移植を考える超党派の会」が21日、発足した。初会合が開かれた参院議員会館には、議員ら74人のほか、厚生労働省幹部も招かれ、患者団体のメンバーが「修復腎移植ができなくなるのは、患者にとって『死ね』と言われるのに等しい」と激しく意見をぶつけた。
会合では、同省の木倉敬之・大臣官房審議官らが、病気腎移植を関連5学会が否定していることなどを説明。病気腎移植について「現時点で認めるには極めて疑問の多い医療」としたうえで、「移植の是非と保険の不正請求問題は切り離して考えるべき。病気腎移植を認めると保険制度が崩壊してしまう」と強調した。
これに対し、腎移植経験者らでつくる「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)の向田代表は「修復腎移植は我々にとって最後の希望」と力説。別の会員は「病状を熟知した万波先生の保険医登録取り消しは死の宣告と同じ」と訴えた。
さらに、「移植を待つ患者が多い中、修復腎移植の道を閉ざすのは科学的でない」(福島豊衆院議員)、「捨てる腎臓を使う立派な発想」(山田正彦衆院議員)、「厚労省と患者の意見が対立している現状を何とかしたい」(平沢勝栄衆院議員)など、発起人の議員らが意見を述べた。
(2008年2月22日 読売新聞)」
超党派議員連盟発足については、TBSや日本テレビというテレビ報道が行われたので、新聞報道されるよりも見知った方が多かったかと思います。臓器移植問題は、深刻なドナー不足の日本においては国民の間に関心を高めるためにも常に報道しておくべき事項であり、特に腎臓移植の平均待機期間は16.6年という異常事態です。ですから、腎臓移植問題について積極的に報道するテレビ局の姿勢は高く評価できます。
米国移植外科学会は、今回応募された約120の演題のうち、万波医師らの論文を上位10本の1つに選出して表彰を行ったという報道についても、テレビ報道主導でしたから(「万波医師らによる病気腎移植(レストア腎移植)を、米移植外科学会が表彰〜万波医師らの論文を上位10本の1つとして」(2008/01/29 [Tue] 18:13:21)参照)、テレビメディアと新聞メディアとの意識の違いが浮き彫りになっているように思います。
「厚生労働省は去年7月、病気腎移植を原則禁止にしていますが、自民党の平沢勝栄議員は、「この移植で助かっている人もいる。なぜ厚生労働省はブレーキをかけるのか」と述べました。」(TBS)
日本では、1次移植(生涯1回限りの移植)に留まる患者さんが移植全体の96.1%を占め、2次移植はわずか3.78%。1度移植を受けて拒絶反応があっても、再び移植を受けることはまずありません(「■ 国際シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」」(徳洲新聞2008年(平成20年)2/4 月曜日 NO.606)、「国際シンポジウム「日本とオーストラリアの病腎移植」が開催」(2008/01/22 [Tue] 23:30:28))。しかも、日本での(死体)腎臓移植の平均待機期間は16.6年であり、多くの方は移植を受けることができないのですから、病気(レストア)腎移植の実施は、日本こそ切実に必要なことなのです。
日本だけでなくオーストラリアでも病気(レストア)腎移植を実施したことで多くの方が命を救われており、(すでに何度も触れているように)両国で良好な結果がでています(「国際腎不全シンポジウム開催(4月17・18日)+日本移植学会公表の生存率はインチキだった?(産経新聞より)」(2007/04/17 [Tue] 08:16:25)、「がんの病気腎移植、世界で試み〜ニコル教授に聞く(東京新聞1月27日「こちら特報部」)」(2008/01/27 [Sun] 21:49:14)参照)。
このように病気(レストア)腎移植で助かっている人がいるという歴然とした事実がある以上、平沢勝栄議員は、「この移植で助かっている人もいる。なぜ厚生労働省はブレーキをかけるのか」と述べたことは、実に正しい認識に基づく発言なのです。
なお、「万波誠医師を支援します」さんの「患者・地域の願いは どこまで届くのか(3)」(2008/02/22 00:21)では、超党派の議員連盟の発言(挨拶)が詳しく掲載されています。ぜひご覧ください。
1.まず、報道記事を幾つか。
(1) 読売新聞平成20年2月20日付朝刊1面
「提供卵子による体外受精、不妊治療の団体 実施へ…独自に指針
全国21の不妊治療施設で作る「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」は19日、友人や姉妹から提供された卵子を使う体外受精を独自のルールに基づいて進める方針を固めた。すでに同機関の倫理委員会で承認されている2例をまず実施し、その後も独自の指針を策定して実施していく。3月1日の理事会で正式決定する。
卵子提供による不妊治療は、卵巣を失ったり機能が低下した女性でも妊娠が可能になるため、海外でも米国を中心に広く行われており、多数の日本人が海外で卵子の提供を受けている。国内では、長野県の根津八紘医師が110例以上の実施を公表しているが、法整備の遅れなどもあって、一般的にはなっていない。
同機関は昨年6月、日本産科婦人科学会や厚生労働省に対し、卵子提供による不妊治療の実施を承認するよう申し入れた。これに対し同学会は、生殖補助医療のルール作りを昨年から検討している日本学術会議の結論が出るまでは実施を見送るよう要請し、同機関もそれを了承した。
ところが、学術会議の検討は代理出産の是非が中心で、それより希望患者数が多い卵子提供についてはほとんど審議されなかった。19日に提示された報告書案にも盛り込まれなかったため、「『ノー』というサインはない」(高橋克彦理事長)と独自に実施する方針を固めた。2例は、いずれも卵子提供以外に妊娠の可能性がない夫婦。それぞれ子を持つ友人と姉妹から卵子提供を受ける。
JISARTの方針について、同学会の星合昊(ひろし)倫理委員長は「第三者の卵子提供を明確に禁止しているわけではない」とし、「体外受精は夫婦間に限る」とする会告の違反には当たらないとの見解を示している。
[解説]ルール作り早急に必要
JISARTが、独自の基準で妻以外の卵子を使った体外受精を進める方針を固めたのは、不妊患者の要望があるなかで、国や学会によるルール作りをこれ以上待てないという意思表示だ。
卵子提供については、厚生労働省生殖補助医療部会が2003年、匿名の第三者に限り卵子提供を認める報告書をまとめた。それから4年以上たつが、法制化に至っていない。日本学術会議の検討委でも、委員の吉村泰典・日本産科婦人科学会理事長らから卵子提供の是非を審議するよう再三の要望があったが、結局ほとんど審議されなかった。
議論を呼びそうなのは、JISARTが実施を検討しているケースは姉妹や友人からの卵子提供で、厚労省報告書が認めた匿名の第三者ではない点だ。だが、JISARTは「無報酬で匿名の提供者を探すのは非現実的」(高橋克彦理事長)と判断し、独自の基準で進める方針だ。
生殖補助医療技術は日進月歩だ。国や学会の動きが鈍ければ、患者の求めに応じて医療側が見切り発車し、社会が混乱する可能性も高まる。規制のあり方を早急に検討し、迅速に実行していくことが必要だ。(科学部 木村達矢)
(2008年2月20日 読売新聞)」
(2) 東京新聞平成20年2月20日付夕刊10面
「提供卵子の体外受精実施へ 不妊治療で独自指針 民間団体
全国21の不妊治療施設でつくる日本生殖補助医療標準化機関(JISART)は20日までに、第三者からの提供卵子による体外受精を実施する方針を固めた。卵子提供に関する明確な規制はないため、独自の指針をつくり、それに基づいて進める。3月1日の理事会で正式決定する。
卵子提供については厚生労働省の部会が2003年、心理的圧迫や家族関係の複雑化を避けるため、匿名の第三者に限って容認する見解を出しているが、法律や指針などのルール化には至っていない。
JISARTは昨年、友人姉妹の卵子を使う2件の体外受精を倫理委員会で承認し、日本産科婦人科学会などに実施を申請。同学会から、生殖補助医療について審議中の日本学術会議の結論を待つよう求められていた。
しかし、同会議の検討は代理出産が中心で、卵子提供についてはほとんど審議されず、ほぼまとまった報告書にも盛り込まれなかった。このため、まず倫理委が承認した2件について実施し、その後は同委の審議内容を踏まえて作成する指針に沿って行うとしている。」
また、保険医療機関指定や万波医師の保険医登録の取り消し処分がなされると、四国西南地域の多数の住民や万波医師を頼りにしている全国の患者が多大な被害を被ることを背景にして、超党派の議員連盟が動き出しています。
1.まず、2月18日の抗議活動について。
(1) YOMIURI ONLINE(地域:愛媛)(2008年2月19日)
「病気腎移植処分問題 患者団体反対の抗議文 「医療は大混乱来す」
宇和島徳洲会病院(宇和島市)の万波誠医師(67)らによる病気腎移植問題で、腎移植経験者らでつくる「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)は18日、松山市の愛媛社会保険事務局を訪れ、同病院と同市立宇和島病院の保険医療機関指定や万波医師の保険医登録の取り消し処分を行わないよう求める抗議文を古元大典局長に手渡した。
午後1時、会員ら約60人が同局前に集まり、「処分されれば四国西南地域の医療は大混乱を来す」などと訴える抗議文を提出した後、病気腎移植を一般医療として認めることなどを求め、全員でこぶしを突き上げて気勢を上げた。
同代表によると、古元局長は「患者の気持ちは厚生労働省に伝える」と答えたという。向田代表は「私たちの命がかかわる問題。万波先生を助けるため、今後も頑張りたい」と話した。
同会は19日には同省で同様の抗議活動を行う予定。
(2008年2月19日 読売新聞)」
(2) 産経新聞(2008.2.19 03:29)
「患者団体らが抗議 万波医師の処分撤回求め 愛媛
2008.2.19 03:29
愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で万波誠医師(67)が実施した病腎移植などをめぐり、厚生労働省が保険医療機関の指定と保険医登録の取り消しなどの処分方針を固めるなか、病腎移植の推進を求める「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)は18日、万波医師による保険診療の保証などを求める要望書を愛媛社会保険事務局の古元大典局長に手渡した。
要望書は、移植先進国では病腎移植が成果を収めていることや、万波医師による病腎移植は安全性と有効性が明らかになっていることなどを指摘。万波医師が病腎移植を行った同病院と市立宇和島病院の保険医療機関指定と万波医師本人の保険医登録の取り消しなどの処分方針の撤回を求めた。
古元局長は要望書を受け取ったあと、向田代表ら同会の役員ら6人と懇談。「処分については現時点ではまだ検討中。みなさんの気持ちは舛添要一大臣にも伝える」と応じたという。
このあと、向田代表らは同事務局の前で、集まった同会の会員ら約60人と「万波先生の医療活動を保証せよ」などとシュプレヒコールをあげ、抗議の意思を表した。
同会はこれまでに約7万人分の署名を同省に提出しているが、19日にはさらに約4万人分の署名を同省幹部に手渡し、要望を伝えるという。
一方、加戸守行知事は18日の定例記者会見で、短期間での再指定が予想される市立宇和島病院への処分方針について、「たとえ短期間でも病気の進行が止められるわけではない。タイムスパンの問題ではない」と、指定の取り消しに強く反対する姿勢を改めて示した。」
(3) 毎日新聞2008年2月19日
「病気腎移植:宇和島病院など「保険診療、継続保証を」 支援メンバーが要望書 /愛媛
◇社保事務局に要望書
宇和島徳洲会病院の万波誠医師(67)らによる病気腎移植に関連し、厚生労働省が万波医師の保険医登録と同病院、前任地の市立宇和島病院の保険医療機関指定を取り消す方針を固めたことに対して、万波医師らを支援する「移植への理解を求める会」のメンバーらが18日、保険診療の継続保証を求める要望書を愛媛社会保険事務局に提出した。19日には厚労省を訪ねる予定。
「患者の願いを聞いて」「南予の医療を守ろう」などのメッセージを掲げたメンバーら約60人が参加。同会役員らは「国民の健康を守るべき立場の貴省が、患者や住民の医療を受ける権利を奪うような処分を下すことは断じて許されない」と処分をしないよう求める文書を古元大典事務局長に手渡した後、面談した。
参加した高知県大月町の主婦、倉田洋子さん(63)は「万波先生は、移植後『大丈夫やけんね』『頑張ろう』と励ましてくれた。先生が診療を続けられなくなったらどうしたらええんか考えもつかない」と話した。
一方、加戸守行知事は、18日開かれた定例記者会見で「今は指定取り消しには絶対反対。取り消すのであれば、南予の地域医療について市や県に代わって厚労省がどのように保証なさるのですかと問い掛けをしたい」と述べた。【加藤小夜】
毎日新聞 2008年2月19日」
松山市の愛媛社会保険事務局の古元大典局長に対して、「処分されれば四国西南地域の医療は大混乱を来す」などと訴える抗議文を提出したということから、事の重大さが伺えると思います。
「(「移植への理解を求める会」)同会はこれまでに約7万人分の署名を同省に提出しているが、19日にはさらに約4万人分の署名を同省幹部に手渡し、要望を伝えるという。
一方、加戸守行知事は18日の定例記者会見で、短期間での再指定が予想される市立宇和島病院への処分方針について、「たとえ短期間でも病気の進行が止められるわけではない。タイムスパンの問題ではない」と、指定の取り消しに強く反対する姿勢を改めて示した。」(産経新聞)
約11万人もの方が署名に応じていることからして、地域住民の多数が危機感を抱いている問題であり、加戸守行知事も指定の取り消しに強く反対する姿勢を示していることから分かるように、「移植への理解を求める会」だけが不利益を受けるわけではなく、「医療過疎」と言われる地域においては、愛媛県知事が取り消し反対を表明するほど影響の大きい問題なのです。
漁船はあたごの艦首付近と衝突して船体が二つに割れ、船主の吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男の哲大(てつひろ)さん(23)=いずれも勝浦市川津=の2人が行方不明になっています。ぜひ生還してほしいと願っています。イージス艦「あたご」には業務上過失往来妨害の疑いがあります。
1.まず報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成20年2月19日付夕刊1面
「イージス艦と漁船衝突 漁師の父子不明 南房総沖
2008年02月19日20時32分
19日午前4時7分ごろ、千葉県南房総市野島崎の南南西約40キロの太平洋で、海上自衛隊のイージス護衛艦「あたご」(艦長・舩渡(ふなと)健1等海佐、基準排水量7750トン、全長165メートル)が、千葉県勝浦市の新勝浦市漁協所属のマグロはえ縄漁船清徳丸(7トン、同12メートル)と衝突した。清徳丸の船体は二つに折れ、乗り込んでいた同市川津の漁師吉清(きちせい)治夫さん(58)と長男哲大(てつひろ)さん(23)が行方不明になった。第3管区海上保安本部(横浜市)は同日夜、業務上過失往来危険の疑いであたご艦内を家宅捜索した。
現場海域では、2人を捜していた清徳丸の僚船が、治夫さんのウインドブレーカーを発見したが、2人の行方はわかっていない。
3管や海自によると、同日午前4時23分ごろ、あたごから3管に「艦首部分が漁船にぶつかった。漁船が二つに割れた」と連絡があった。あたごの乗組員がボートで捜したが、吉清さんらの姿はなかったという。
3管は、特殊救難隊が船尾と船首部分をそれぞれ捜索したが、2人は見つからず、操舵(そうだ)室がなくなっていた。衝突の衝撃で、2人は操舵室ごと海に投げ出された可能性があるとみている。
防衛省によると、あたごの見張り員が衝突の2分前、右前方に清徳丸の右舷を示す緑色の灯火を確認。あたごは1分前に衝突回避のための後進に切り替える一方で、清徳丸は前方約100メートルで右に大きくかじを切った。乗組員は「漁船に気づいたが、至近距離で回避が間に合わなかった」と話したという。
清徳丸は左側面の損傷が大きく、あたごの艦首に傷があることから、清徳丸の左側面に直角に近い角度で衝突したとみられる。3管は、あたごの右前方にいた清徳丸が衝突を避けようと右にかじを切ったところ、あたごが衝突した可能性があるとみて調べている。
海保は、あたごと清徳丸の双方が前方をよく見ていなかった疑いがあるとして、神奈川県横須賀市の海自横須賀基地に接岸したあたごの艦体や航行記録などを調べるとともに、乗組員から事情を聴いている。清徳丸の船体も、千葉県館山市沖に引航して調べる。
3管によると、事故当時、現場の天候は曇りで、視界は約20キロ。北よりの風約7メートルで、波の高さは0.5メートルだった。
千葉県勝浦水産事務所によると、清徳丸は三宅島経由で八丈島沖へ漁に向かう途中だった。海自によると、あたごは昨年10月に京都府舞鶴市の海自舞鶴基地を出航。1月21〜25日にハワイでの対空ミサイル発射試験を終え、19日午前9時に横須賀基地に着く予定で、現場海域を北上中。約300人が乗艦していた。
吉川栄治海上幕僚長は「このような事故を起こし、誠に遺憾であり、国民の皆様に深くおわび申し上げます。漁船乗員の捜索に全力を尽くしたい」との談話を出した。」
(2) 朝日新聞平成20年2月19日付夕刊14面
「民間船と衝突 過去も度々 海自衝突事故
2008年02月19日12時08分
海上自衛隊の艦船と民間船の衝突事故は、過去にも度々起きている。
多数の犠牲者が出たのは、88年7月に神奈川県横須賀沖で起きた潜水艦「なだしお」と大型釣り船・第1富士丸の衝突事故。92年12月、横浜地裁は、なだしおの元艦長が大幅に右転するといった衝突を回避する義務を怠り、「前進強速」の指令を出して航行を続けたとし、なだしお側の過失が事故の1次的原因とした。また、第1富士丸の元船長についても回避措置を怠って直進したなどと過失を認定。なだしおの元艦長に禁固2年6カ月執行猶予4年、釣り船の元船長に禁固1年6カ月執行猶予4年を言い渡した。この事故では、なだしおの救助活動の遅れや事故後に発覚した航泊日誌、海図の改ざんなども問題になった。
06年11月には練習潜水艦「あさしお」とパナマ船籍のタンカーが宮崎県日南市沖で衝突した。門司地方海難審判庁は07年8月、「潜水艦がタンカーの動静を十分監視せず、浮上を中止しなかった」として、当時のあさしお艦長の責任を認定。「艦内の情報伝達が不十分だった」「事故後に海上保安庁や相手船と速やかに通信ができなかった」などと問題点を指摘した。一方、宮崎地検は双方の乗員にけががなかったことなどを理由に、艦長を不起訴処分(起訴猶予)にした。」
「海上自衛隊の艦船と民間船の衝突事故は、過去にも度々起きている」のにもかかわらず、また、事故が起きました。潜水艦「なだしお」と大型釣り船・第1富士丸の衝突事故の際には、「なだしおの救助活動の遅れや事故後に発覚した航泊日誌、海図の改ざんなども問題」となったほど、自衛隊は国民の命どころか事故を起こした相手の命をも保護しようという意識に欠け、航泊日誌、海図の改ざんするなどの下劣な誤魔化しを行うのです。
今回の事件でも、また自衛隊は誤魔化しを行うのでしょうか?
1.報道記事を幾つか。
(1) 産経新聞(2008.2.16 18:04)
「日教組教員らの宿泊も拒否 教研集会でプリンスホテル
2008.2.16 18:04
グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が日教組による教育研究全国集会の会場使用を拒否した問題で、集会参加者の宿泊用に予約していた約190室についてもホテル側が使用を拒否していたことが16日、分かった。
日教組によると、教研集会参加予定の教員らの宿泊用に、2月1日から3日までの3泊分、約190室をグランドプリンスホテル新高輪に予約。しかし、ホテル側は全体集会の使用を拒否するとともに、宿泊も認めないと通告した。日教組側は急きょほかのホテルに部屋を確保した。
日教組は昨年5月、ホテルと会場の使用契約を交わしたが、11月になり、ホテルが右翼団体による妨害行為などを理由に契約を破棄。東京地裁と東京高裁がいずれも会場使用を認める仮処分を決定したが、ホテルが使用を拒み全体集会が初めて中止となった。
使用拒否問題で日教組は、ホテル側に対し損害賠償請求訴訟の提起も検討。ホテル側は「右翼団体からの圧力は一切なく、右翼団体を恐れて解約したのでもない」との声明を出していた。」
(2) 日経新聞平成20年2月19日付朝刊38面
「舛添厚労相「教研集会宿泊拒否、旅館業法違反の疑い」
舛添要一厚生労働相は18日の衆院予算委員会で、グランドプリンスホテル新高輪(東京・港)が日教組の教育研究全国集会参加予定者の宿泊を拒んだ問題について「(特段の理由がなければ宿泊を拒めない)旅館業法違反の疑いが濃厚だ。港区がホテル側を事情聴取する」と言明した。民主党の山井和則氏への答弁。
日教組がホテル側に契約通りの宴会場使用を求めた仮処分申請で、東京高裁は1月、「日教組は警視庁に警備を要請しており、ホテル側が危惧する街宣車の騒音などの混乱は防止できる」として宴会場を使用させるよう命じていた。
鳩山邦夫法相もこの点に触れ「裁判を無視してそれに反する行動を取る当事者がいるならば、法治国家にあるまじき事態だ」と批判的な見解を示した。(18日 21:26) 」
1.万波医師たちが病気腎(レストア腎)移植を行ったのは、日本では一次移植(生涯1回限りの移植)にとどまる患者が移植全体の96.1%を占め、二次移植はわずか3.78%であり、死体腎移植の平均待機期間は16.6年という絶望的な移植事情において、患者の命を救うために、単に捨てられてしまっていた腎臓を活用できないかということで行ったものです。
腎臓移植を待つ患者の平均待機期間は、例えばオーストラリアでは3〜4年、イタリアでは2〜3年ですから、世界各国は、日本ほど絶望的な移植事情ではありませんが、日本の(万波医師らを除く)移植医のように傍観して何もしないという愚かな態度はとっていません。世界的な臓器不足のなかで、各国は「健康な臓器」だけにこだわることなく移植臓器を増やすために多くの模索を行っているのです。
具体的にどのような模索を行っているかなどについて、日米伊の医師が集まって「第2回国際腎不全シンポジウム」において講演を行い、そのシンポジウムのために来日した医師らに対して、東京新聞はインタビューを行いました。そこで、そのインタビュー記事を紹介したいと思います。「第2回国際腎不全シンポジウム」に関する報道記事は、東京新聞が初めてのはずです。
シンポジウムに出席した医師の名前と講演内容については、「「第2回国際腎不全シンポジウム」、2月10日開催」(2008/02/12 [Tue] 23:56:10)をご覧ください。そちらを一読してから東京新聞の記事を読むと、より分かりやすいのではないかと思います。
東京新聞の紙面では、イタリア国立移植センターのアレサンドロ・ナンニ・コスタ所長の写真が掲載されていますので、ぜひ購入するなどしてご覧下さい。
1.報道記事をいくつか。
(1) ANN NEWS:2008/02/16(15:28)
「今度は「法務省や検察の基本的考えだ」鳩山法務大臣
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鳩山法務大臣は、全員無罪となった鹿児島の志布志事件を「冤罪にあたらない」と述べたことについて、「法務省や検察の基本的な考えだ」と発言を正当化しました。
鳩山法務大臣:「今回の冤罪の問題は、法務省や検察が常日ごろ言っていることをそのまま申し上げました。裁判による無罪は、冤罪とは表現しないというのは法務省検察の基本的な考え」
そのうえで、鳩山大臣は「検察のほうは謝るべきではないと思ったでしょうが、私は自らの気持ちでおわび申し上げた」と改めて謝罪の意を示しました。この冤罪をめぐる発言については、与野党からも批判が相次ぎ、鳩山大臣は国会で謝罪するなど対応に追われました。ただ、開き直りとも取られかねない今回の発言で、改めて批判を呼ぶ可能性もあります。」
(2) 毎日新聞2008年2月16日 22時10分
「鳩山法相:「検察が言っていること」冤罪否定発言で
鳩山邦夫法相は16日、福岡市で開かれた自民党福岡県連の会合で、鹿児島県議選の買収無罪事件を「冤罪(えんざい)と呼ぶべきではない」とした自身の発言について、「志布志のようにひどい取り扱い、理不尽な取り調べを受けた方が無罪になったなら、『冤罪が晴れた』と言って、全く反論できないと思ったので、心からおわびした」と述べ、改めて謝罪の意を示した。一方で「天に向かって恥じることはない。今回の冤罪の問題は、法務省や検察が常日ごろ言っていることをそのまま言った」と説明した。
鳩山氏は「真犯人が後から現れた場合を冤罪と言い、裁判による無罪は冤罪とは言わないというのが法務省、検察の基本的考え方だ」と指摘。「検察の方は謝るべきでないと思っただろうが、私は自らの気持ちでおわびした」と語った。
鳩山氏は14日の衆院予算委員会で発言を事実上撤回し、「今後、公式の場で冤罪という言葉は一切使わない」と答弁している。【堀井恵里子】
毎日新聞 2008年2月16日 22時10分」
「<志布志事件> 2003年の鹿児島県議選で、買収行為があったとして公選法違反(買収)罪で、当選した県議や住民が逮捕、起訴された。鹿児島地裁は07年2月、「強圧的、誘導的な取り調べで自白が引き出された可能性がぬぐえない」として被告12人全員に無罪を言い渡し、鹿児島地検は控訴を断念した。これを受けて最高検は、捜査や公判の問題点について報告書を公表。「供述の信用性の吟味が不十分だった」と指摘した。」(東京新聞平成20年2月14日付朝刊1面)
1.まず、報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成20年2月14日付朝刊33面
「鹿児島12人無罪「冤罪ではない」 鳩山法相が発言
2008年02月14日00時49分
被告12人全員の無罪が確定した鹿児島県議選の公職選挙法違反をめぐる「志布志事件」について、鳩山法相は13日、法務省で開かれた検察長官会同の席上で「私は冤罪と呼ぶべきではないと考えている」と発言した。後で記者会見を開くなどして、冤罪の定義について「無実の罪で有罪判決を受け、確定した場合」とし、裁判の結果として無罪となったケースとは分けて考えたと釈明した。
鳩山氏の発言は、全国から集まった検事正たちに対し、捜査のあり方について反省を求める中で出てきた。富山県氷見市の男性が実刑判決を受け、服役した後で真犯人が発覚した強姦(ごうかん)事件を「冤罪」と表現し、志布志事件は冤罪ではない、との見解を示した。
鳩山法相は発言の後、省内で会見を開き、「志布志事件では、被告とされた方に大変ご迷惑をおかけし、社会通念上は冤罪と言われても致し方ない」と釈明した。
志布志事件では元県議らが公選法違反で逮捕、起訴された。鹿児島地裁は昨年2月の判決で「客観的な証拠は全くない」として12人全員を無罪とし、確定している。
事件をめぐっては最高検が昨年8月、「反省すべき点は率直に反省しなければならない」などとして再発防止策を報告書にまとめている。」
(2) 時事通信(2008/02/14-12:14)
「鳩山法相の発言に苦言=町村官房長官
町村信孝官房長官は14日午前の記者会見で、鳩山邦夫法相が鹿児島県議選の買収無罪事件を「冤罪(えんざい)と呼ぶべきではない」と発言したことについて、「冤罪であるかないかという議論よりは、ああした不適切な手法による捜査は是正しなければいけないと強調すべきだ。その反省を強く持ち、今後適正な捜査が行われるべきだと強調しなければいけない」と苦言を呈した。」
(3) 朝日新聞平成20年2月15日付朝刊37面
「鳩山法相「冤罪と呼ぶべきでない」発言を謝罪 衆院委
2008年02月14日21時02分
鳩山法相は14日、被告12人の無罪が確定した鹿児島県議選の公職選挙法違反をめぐる「志布志事件」を「冤罪と呼ぶべきでない」と述べた自らの発言について、衆院予算委員会で「志布志の被告であられた方々が、不愉快な思いをされたとすれば、おわびをしなければならない」と陳謝した。
保坂展人議員(社民)の質問に答えた。冤罪の定義について、鳩山法相は「人違いで有罪判決を受け、服役までした場合」などに限定して解釈していたと釈明。「今後、このまったく不確定な『冤罪』という言葉は公式の場で一切使うまい、と考えるようになった」と述べた。
一方、福田首相は同日、法相の謝罪について、首相官邸で記者団に「被害を受けた方の立場になって考える必要があると私は思います」と述べた。 」
もし自分に子供がいて世話をしてもらえる余裕があれば大丈夫でしょうし、少ないですが動物保護団体に預かってもらえる場合もあります。そういう手段ができなければ、動物たちは自治体に引き取られ、殺処分となってしまいます。長く家族同然に暮らしていたペットが殺処分となることだけは絶対に避けたいことです。では、どうしたらよいでしょうか? その点について、読売新聞平成20年2月9日付で記事を掲載していましたので、紹介したいと思います。
1.読売新聞平成20年2月9日付夕刊1面
「私が死んだらペット心配… 遺言相談相次ぐ 「世話」条件に遺産 1500万円の例も
愛するペットが困らないように、遺言を残しておきたい。遺言書作成のアドバイスを行う行政書士に、そんな相談が相次いで寄せられている。
民法上、ペットに直接遺産を残すことはできないため、ペットの世話をしてくれることを条件に、家族以外の人に遺産を贈るという内容の遺言書を作るケースも出てきた。少子高齢化で独り暮らしのペット愛好者も増える中、ペットへの“遺産相続”の問題に関心が高まりそうだ。
「人によっては、ペットは家族以上の存在。遺言への関心も非常に高い」
東京都台東区の行政書士、伊藤浩さん(46)のもとに、「ペットに遺産は残せるか」という相談が初めて寄せられたのは5年前。以来、約50件の相談があった。
民法上、ペットは「物」で、相続人にはなれないため、遺産を相続させることはできないが、伊藤さんは「負担付き遺贈という方法なら、事実上、ペットのために遺産を残すことはできる」と説明している。「負担付き遺贈」は本来、「親の面倒を見る条件で遺産を残す」「農業を継ぐ代わりに土地を与える」といった遺言の仕方だが、これをペットに応用した形だ。
この方法で、これまで3人が実際に遺言書を作成した。1人は70歳代の女性で、愛犬のために残す遺産は1500万円。贈り先は気心の知れた近所の友人だ。夫に先立たれ、独り暮らしになった女性は「これで肩の荷が下りました。私にもしものことがあっても、大丈夫ですね」と、ほっとした表情を見せたという。
ほかの2人も高齢者で、ペットの世話を条件に300万〜500万円の遺産を贈るという遺言書を作った。トラブルが起きないよう、遺言書は自筆ではなく公正証書にし、エサの回数や散歩の頻度など世話の内容を具体的に定めた「覚書」を、遺産を贈る相手と交わした。伊藤さんは「独り暮らしの高齢者がペットと暮らすケースは増えているが、飼い主が突然亡くなれば、最悪の場合、処分される可能性もある。遺言書を作っておくことは、飼い主の安心のためにも、ペットのためにも有効」と話す。
相談者は高齢者に限らない。インターネット上でペットに関する相談を受け付けている熊本市の行政書士事務所には、30歳代の独身女性2人から遺言書を起案してほしいという依頼があった。うち1人は十数頭の犬を飼っており、同僚など数人に数頭ずつ世話を託した遺言書を作ったという。
◆安易な依頼は禁物
ただ、遺産相続を巡る問題だけに、トラブルも予想される。弁護士でペットに関する法律問題に詳しい吉田真澄・帯広畜産大教授によると、〈1〉遺産だけ受け取って世話をしない〈2〉法定相続人などから異議が出る〈3〉世話を頼んだ人にペットがなつかない――など、様々な問題が生じる可能性があるという。
対策の一つは、遺言内容を実行に移す権限をあらかじめ与える「遺言執行者」を指定しておくこと。約束を守らない場合や、世話の内容があまりにもひどい場合、この遺言執行者が、遺産を贈るのを取り消すことができる。
とは言え「世話」の定義はあいまいだ。吉田教授は「ニーズが高まっているのは確かだが、安易な遺言書の作成は禁物。本当に世話ができる人なのかを事前にきちんとチェックするとともに、病気や緊急時の対応も含め、世話の内容をこと細かに決めておく必要がある」と話している。
(2008年2月9日15時06分 読売新聞)」
(*ネットでの見出しは「愛するペット困らぬように…行政書士に遺言相談が続々」だが、紙面の見出しに変更)
1.では、「第2回国際腎不全シンポジウム」のプログラムを。
「12:30
●開会の挨拶
向田陽二「移植への理解を求める会」代表
12:40
1.「日本のレストア腎移植42例」〜全米移植外科学会での発表〜
藤田士朗・フロリダ大学助教授
13:10
2.「レストア腎移植が可能となった歴史的考察」
堤寛・藤田保健衛生大学教授
13:40
3.「通常医療としての担がん腎修復移植49例」
デビッド・ニコル氏(クイーンズランド大学教授)
14:10
4.「担がん腎の修復移植の症例」
ウィットソン医師およびマックスウェル・メング准教授
(米国カリフォルニア大サンフランシスコ校)
14:40
5.「イタリアにおける臓器ドナーの適合性の保証に関する基準」
アレサンドロ・ナンニ・コスタ教授
(イタリア国立移植センター所長)
15:10
6.「臓器ドナーの国際的な危機」
ジェレミー・チャップマン・国際移植学会理事長
15:40
7.パネルディスカッション〜「ハイリスクドナーの臓器活用について」
講演者全員出席
*6.の講演は急用のため中止
*座席の増設のため30分近く遅れて開始」
久々の演奏会の感想です。
演奏が終わって、コンサートホールから出るとかなりの雨、そのうち雪に変わったというかなり寒い日でありました。
<PROGRAM>
指揮者:渡邊一正
メゾ・ソプラノ:手嶋眞佐子
テノール:成田勝美
東京フィルハーモニー交響楽団、コンサートマスター:三浦章広
曲目
ビゼー:歌劇「カルメン」から
第1幕前奏曲
ハバネラ
セギディーリャ
第2幕への間奏曲「アルカラの竜騎兵」
花の歌
第3幕への間奏曲
第4幕への間奏曲
二重奏とフィナーレ「あんたね?俺だ」
チャイコフスキー:交響曲第4番 ヘ短調 作品36
ビゼー:歌劇「カルメン」はオペラを聴いたことがない人でも、抜粋した部分を聞いているはずですから、聞けばすぐに「カルメン」と分かると思います。
今回のコンサートでの「カルメン」は、「カルメン」からの抜粋、演奏会形式でした。
コンサートで「カルメン」を演奏する場合、「カルメン組曲」という形でオーケストラ部分のみを演奏することが多いと思うのですが、メゾ・ソプラノや、テノールが入っての演奏ですね。
主人公カルメン役には、メゾ・ソプラノの手嶋眞佐子さん、竜騎兵の伍長ドン・ホセ役にはテノールの成田勝美さん。指摘するまでもないのですが、お二人ともすばらしい美声で聴きに行った甲斐がありました。
手嶋眞佐子さんはカルメンらしく?赤を基調とした服装でした。
チャイコフスキー:交響曲第4番は、最も好きな曲の1つです。「憂いと情感にあふれた、最もチャイコフスキーらしい交響曲」(パンフレットの堀内修氏の解説)という評価もなされています。
コンサートで「交響曲第4番」を聴いたのは10年近く前だったはずで、久々に生演奏で聞けたのでそれだけで嬉しく、正直なところ、細かいところはどうだったかあまり覚えていません。
ただ、今回の演奏は、テンポが良く高揚感にあふれたものであり、聴いた後に楽しさが残るような熱演だったと思います。
演奏内容でなく見ていて面白いと思った点をいくつか。
第3楽章は弦楽器担当はすべて指で弦をはじいて演奏するのですが、第2楽章後に一斉に弓を床に置くことをはじめて知りました。一斉に置いて準備するのもなかなか壮観な感じでした。
それからコンサートマスターの弓がプチプチ切れ捲くっていたのでちょっと目を引きました。
あんなにも切れている様子を見たのは初めてでした。
ただし、アンコール曲がなかったのは残念でした。
雪が予想されていたため――実際に雪になりました――アンコール演奏はしないことになったのかもしれません。
演奏会の観客の様子についても少し書いておきます。
クラシックを題材にした漫画『のだめカンタービレ』の影響がほとんどなくなったためか、20〜30代の観客はほとんどおらず、公演に来る観客のマナーも良くなったように感じられました。ただ、高らかに「ブラボー!」と叫ぶ方はいましたが。
「都民芸術フェスティバル助成公演」のコンサートは、(チケット代が廉価であるため?)あまりにも観客のマナーが悪く、忙しいこともあって昨年は聴きに行くのを止めていたのですが、今年はイライラせずに楽しめそうです。
休憩時間のことです。
コンサートホールで販売している飲み物を購入する方がずいぶんと少なくなったことに少し驚きを感じました。あれほど購入するために並んでいた観客がまばらでした。コンサートホールで販売している飲み物は高めであることは確かですが。
もちろん、飲み物を飲む方が減ったわけではなく、ペットボトルを持ち込んで飲んでいる方がかなり見受けられました。土曜日のためか子供連れの方もいましたが、やはりペットボトルを飲んでいました。景気が良くないことを表しているように思えました。
1.まず、解説記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成20年2月2日付朝刊34面
「「信用失った」「安易な屈服」専門家ら
仮処分とは、訴訟を起こして判決に確定するまでに差し迫った危険や損害が申し立てた側に起きてしまう場合などに、「仮の状態」を定める手続きだ。
過去には公共の会場使用をめぐり、憲法上の「集会の自由」が最高裁で争われた判例はある。今回は、ホテルの営業上の利益と組合活動のどちらを重くみるかを考慮して、「使わせる」との結論に達したとみられる。
裁判所は、強制的に従わせる仕組みはもっていない。とはいえ、高裁決定に大企業が従わないケースは極めてまれだ。あるベテラン裁判官は「日教組は損害賠償や慰謝料を求める訴訟を起こすしかない」という。「ホテル側は営業上の自由を主張しても、認められる可能性は低いだろう」
危機管理の点からも、専門家はホテルの対応に首をかしげる。危機管理コンサルタントの田中辰巳さんは「集客事業は、過去に威圧的な妨害を受けている団体には慎重にならざるをえない」としながらも、契約を一方的に破り司法判断にも従わないことで、「企業としての信頼感、信用を失った」とみる。
蛇の目ミシン工業恐喝事件で最高裁は、警察に届けるなど適切な対応をすべきだったと、300億円を脅し取られた旧経営陣の過失を認定した。弁護士の久保利英明さんは「安易に屈したのが信じられない。リスクはあっても、社会のために闘うことも必要」と話す。
早稲田大学法学部長の上村達男教授(会社法)は「法を無視しても賠償すればよいという姿勢なら、法治国家の最低限のモラルに反する」と指摘する。」
注目すべき点は、
という点です。すなわち、蛇の目ミシン工業恐喝事件の最高裁の判断からすれば、右翼団体が多数の街宣車を繰り出し騒音を出そうとしても、ホテル側は警察と協力して対応する義務(善管注意義務・忠実義務)があるといえるわけです。「蛇の目ミシン工業恐喝事件で最高裁は、警察に届けるなど適切な対応をすべきだったと、300億円を脅し取られた旧経営陣の過失を認定した。」
なお、裁判所がプリンスホテルに会場確保を強制するといったように、「裁判所は、強制的に従わせる仕組みはもっていない」ことは確かです。しかし、仮処分を無視して行ってもいいわけではありません。例えば、新株発行差し止めの仮処分命令があるのに、あえて仮処分命令に違反して新株発行がされた場合には、その新株発行は差し止め理由の有無を問わず無効となるのです(最高裁平成5年12月16日判決)。「仮処分命令に違反したことが新株発行の効力に影響しないとすれば、差止請求権を株主の権利として認め、しかも仮処分命令を得る機会を株主に与えることによって差止請求権の実効性を担保しようとした法の趣旨が没却されてしまうことになるから」です。
(2) 東京新聞平成20年2月2日付朝刊3面「解説」
「プリンスホテル 問われる社会的責任 日教組集会使用契約破棄 司法判断も無視
教研集会の会場使用契約を一方的に破棄しただけでなく、使用させるよう求める司法判断までも無視したプリンスホテル側の姿勢は、有名ホテルグループという大手企業としての社会的責任を問われる対応といえる。
教研集会の会場の周辺では、毎回、大規模な抗議活動が実施される。周辺の交通規制や厳しい警備体制が敷かれ、ホテル側が主張するように、周辺住民の生活などに影響を及ぼすことがある。
そうした事情は広く知られた事実で、使用を拒むのなら、ホテル側は契約に応じるべきではなかった。日教組に所属する教員にとって、集会は全国の仲間と意見交換する貴重な場だが、こうした事態が続けば会場探しが難しくなり、表現の自由は狭められていく。
2003年、熊本県黒川温泉のホテルがハンセン病元患者の宿泊を拒否した際、ホテルよりも旅館業法違反で告発した県が批判を浴びたことがことがあった。元患者が暮らす療養所に「権利だけ主張しないで」など、匿名の手紙が届いたという。
民主主義の社会では、多様な言論の自由が認められなければならない。集会によって、ときに騒がしいことや不快なこともあるだろうが、それを含めて言論・集会の自由をどう支えるのか、一人ひとりの意識が問われている。(社会部・早川由紀美)」
注目すべき点は、
という点です。「2003年、熊本県黒川温泉のホテルがハンセン病元患者の宿泊を拒否した際、ホテルよりも旅館業法違反で告発した県が批判を浴びたことがことがあった。元患者が暮らす療養所に「権利だけ主張しないで」など、匿名の手紙が届いたという。」
熊本県黒川温泉のホテルは、他の宿泊客が嫌がるからという理由でハンセン病元患者の宿泊を拒否しました。ホテル側は、差別的な宿泊を禁止した旅館業法違反であって、宿泊拒否の理由がなかったのです。それなのに、ハンセン病元患者に対して「権利だけ主張しないで」という下劣な手紙が届きました。周りが迷惑するからということで、正当な利益が害される――。プリンスホテルの対応も、熊本県黒川温泉のホテルの対応とほとんど変わらないのです。
(3) 東京新聞平成20年2月2日付朝刊28面
「◆表現の自由を侵食――奥平康弘・東京大学名誉教授(憲法)の話
今までの平均的な考えでは、司法の判断が出ればそれに従うというのが常識だ。表現の自由は大事にされなければいけないという前提を共有することで、戦後60年かけて1つの文化が培われてきた。(私が参加する)「憲法9条の会」も会場探しが大変になってきているが、場所の確保があって、表現の自由も守られる。今回のような企業の姿勢が社会的に許されれば、これまで培われた文化は侵食されてしまうだろう。
◆初期対応悪かった――危機管理コンサルタント・田中辰巳氏の話
集客事業を営む企業は、過去に威圧妨害行為を受けた団体の利用受け付けには慎重にならざるを得ない。他の利用客の安心・安全確保ならびに警備に必要なコスト負担に懸念が生ずるからだ。ただし一度受けてしまい、取り消しが裁判所によって拒否された場合、受け入れなければコンプライアンス(法令順守)の姿勢が疑われる。リスク回避のため、全館を借り切ってもらう契約もできたはずだ。今回は初期対応のまずさに尽きる。」
憲法学上も、危機管理の面からしても、プリンスホテルの対応は不当だったわけです。この事案で東京地裁・東京高裁は日教組側を主張を認めたわけですが、専門家の立場からすれば、その裁判所の判断は妥当であるということになります。
プリンスホテルによる「司法判断無視」の行動については、顧問弁護士は何も言わなかったのでしょうか? 万が一、顧問弁護士が是認したのであれば、懲戒請求が認められることは確実で、今後弁護士活動ができなくなる(業務停止。弁護士法57条1項2号)可能性があります。もちろん、「司法判断無視」をしてよいなどとアドバイスをした弁護士は皆無に等しいと思いますが。
この事件においては、プリンスホテル側が妥当でないことは明らかであり、新聞メディアばかりでなく、行政側もプリンスホテルを名指し同然で非難する見解を表明しています。
「日教組の教研集会が閉会 文科次官も「司法尊重を」
グランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)の会場使用拒否で、初めて全体集会の開催が中止に追い込まれるという異例の事態となった日教組の教育研究全国集会が3日間の日程を終えて4日、閉会した。
日教組は閉会に当たりアピール文を発表。「憲法で保障された集会の自由にかかわる重要な問題」と指摘した上で「憲法の理想を実現するため、学校現場からの教育改革を目指す」と強調した。
文部科学省の銭谷真美事務次官も同日の定例会見で「会場の理由で全体集会を中止せざるを得なかったのは残念。一般論として、法治国家である以上、司法決定は尊重されるべきだ」と述べた。
今回の教研集会では、全体集会の会場となっていたプリンスホテルが一方的に契約を破棄、施設使用を命じる裁判所の仮処分決定の後も使用を拒否したため、都内各会場で教育格差や学力問題などを討議する分科会のみが開かれた。
2008/02/04 18:37 【共同通信】」
裁判所は、具体的な紛争について法を適用して裁定する作用を有しているのですから、裁判所が裁定した以上、訴訟当事者及び他の国家機関は、その司法判断を尊重しなければなりません。
文部科学省の銭谷真美事務次官が「法治国家である以上、司法決定は尊重されるべき」と述べて(明示していなくても名指ししているに等しい形で)プリンスホテルを非難していますが、法律論及び法治国家下における国家の姿勢として至極当然のことを述べたわけです。
1.まず、事実関係について詳しい報道記事などを幾つか。
(1) 東京新聞平成20年2月2日付朝刊1面
「日教組 全体集会を中止 プリンスホテル 高裁の使用命令拒否
2008年2月2日 朝刊
二日から東京で始まる「教育研究全国集会(教研集会)」の全体集会について日教組は一日、開催中止を決めた。会場となっていたグランドプリンスホテル新高輪(東京都港区)が一方的に契約を解除、東京高裁が使用を命じる決定をしたにもかかわらず、従わないため。教研集会は一九五一年から開かれているが、五十七回の歴史で初めて全体集会が開けない異例の事態となった。
教研集会は日教組に所属する教員が、日ごろの教育実践などについて発表し、意見交換をする。日教組側は昨年五月、約二千人が参加する全体集会の会場として、同ホテルと「飛天の間」の使用について契約した。しかし、十一月になってホテル側が、右翼団体による抗議活動の可能性などを理由に契約を一方的に解除した。
日教組の申し立てに基づき東京地裁は会場の使用を認め、東京高裁も先月三十日、ホテル側の抗告を棄却した。
日教組は、契約上は使用開始となるはずだった一日午前にあらためて使用できるようホテルに要請。だがホテル側の姿勢は変わらず、予約していた会場は既に他の団体に貸し出されていたことも分かり、全体集会の開催を断念したという。
集会は四日まで。二日午後から各教科や「生活指導」「教育格差」などのテーマに分かれて行う分科会は、予定通り都内の複数の会場で実施される。
教研集会では過去にも、日本武道館や東京体育館などの使用をめぐり裁判となったが、集会の中止に追い込まれたことはなかった。
プリンスホテルの話 集会が実施された場合、大規模な抗議行動により周辺地域が多大な騒音にさらされることが予想され、周辺に迷惑をかける。裁判所の決定は、極めて短時間に、十分な審理のないままなされたもので大変残念だ。」
(2) 毎日新聞平成20年2月2日付朝刊
「日教組会場問題:教研・全体集会を中止、史上初 ホテル、拒否崩さず
日本教職員組合(日教組)は1日、東京都港区のグランドプリンスホテル新高輪で2日から予定していた「教育研究全国集会」(教研集会)の全体集会の中止を発表した。右翼団体の妨害を理由にホテルが開催を拒否したため。教研集会は1951年に始まり、全国各地で毎年1回開催されているが、全体集会の中止は初めて。
全体集会で民間ホテルの会場使用を予定したのも初めてだが、ホテル側が昨年、契約解除通知してきたことから、日教組側が仮処分を申し立てており、東京高裁が会場使用を認めた判断をしている。集会の約30ある分科会は、ほかの十数カ所の施設で4日まで予定通り開く。
日教組によると、昨年3月、イベント会社を通じて会場使用を申し込み、妨害行動が予想されることも説明。5月にホテルと契約したが、11月に契約解除通知が届いた。日教組は契約解除の無効を求めて東京地裁に仮処分を申請。東京地裁は使用を認め、東京高裁も先月30日「ホテルが警察と十分な打ち合わせをすれば混乱は防止できる」とホテル側の抗告を棄却した。
日教組は1日、再度、ホテル側に使用を求めたが、「既にほかの予約が入っている」と拒否された。全体集会は2000人規模で、格差を断ち切る教育を求める基調報告などを行う予定だった。
記者会見で森越康雄委員長は「ホテルは企業の論理を司法より優先させた。悔しい」と述べた。近くホテルに損害賠償を求め提訴する意向を示した。
ホテルは「客の安全安心をモットーとしており、150台もの街宣車が来る集会は開けない。裁判所の判断は重大だと受け止めているが、契約解約は有効で法令違反と思わない」と話している。
日教組によると、これまで4回、会場側の使用拒否で裁判になったが、いずれも日教組の言い分が認められ、中止になったことはなかった。【山本紀子】
◇社会おかしい兆候−−奥平康弘・東京大学名誉教授(憲法学)の話
戦後「集会の自由」と言いながら「開催場所の確保」が課題となってきたが、公的施設であれ私的施設であれ、徐々に市民の側の権利が守られるべきだという考え方が確立してきた。今回、会場使用を認める裁判所の判断があるにもかかわらず、ホテル側が「公的秩序」を前面に出した対応をするのは、社会がおかしくなってきた兆候だ。
毎日新聞 2008年2月2日 東京朝刊」
(3) 日教組のHPの「ニュース・最新の情報」より引用
「ホテル側の司法判断無視に抗議 第57次教育研究全国集会全体集会中止の抗議声明
日教組は2月2日(土)から4日(月)の3日間、東京で第57次教育研究全国集会を開催するため諸準備を進めてきました。
昨年の3月には全体集会会場としてグランドプリンスホテル新高輪に会場使用を申し込み、予約金を払うなどして10月末まで打ち合わせ等を進めてきました。しかし、11月はじめに突如、会場予約を白紙に戻すとの通告が一方的にされました。
日教組はグランドプリンスホテル新高輪が契約の一方的破棄をするのか承服できないため撤回を求めて、12月4日に東京地方裁判所に対し「仮処分命令申し立て」を行いました。
そして、東京地裁(07年12月26日、08年1月16日)、東京高裁(08年1月30日)で3度の司法判断でも日教組の主張が認められています。
日教組は契約どおり会場を使用させるよう最後まで話し合いをしましたが、ホテル側は司法判断を無視して「契約解除は撤回しない」との回答に終始しました。
こうした経過の中で、準備の時間を考え、2月1日に日教組中央執行委員会として、「全体集会」中止の決断をせざるを得なくなりました。
2日午後からの分科会討議は予定どおり開催します。」
橋下氏の発言が間違っていることについては、「山口県岩国市の住民投票問題:橋下節に疑問の声〜あんたこそ憲法学べ!」でも詳しく説明しましたが、憲法学者である小林節・慶応大学教授も、大阪日日新聞で連載中の「一刀両断」において詳しく論じています。そこで、このコラムについて紹介しておくことにします。
1.大阪日日新聞平成20年2月5日付「一刀両断」
「岩国の主張は決して間違っていない
H20/02/05
在日米軍の一部部隊の岩国基地移駐をめぐって、憲法論議が起きている。争点は、国政と地方自治の役割分担についてである。
まず、米軍の移駐の是非を住民投票と市長選の争点にした前市長が、「反対」の民意を受けて国に抵抗した。それに対して、国が市への補助金を停止して、市長が辞職せざるを得なくなり、政争になってしまった。
国の立場を支持する論者は、大要、次のように主張する。
つまり、まず、(1)防衛は国の政策課題であって、地方自治の管轄ではない。さらに、(2)わが国は間接民主制を採用しているので、地方住民が国政に、意向を伝える方法は代議士等を通してであり、住民投票による意思表示は正しい方法ではない。
しかし、私は、そうした考え方は、間違った形式主義であると思う。
まず、憲法は、九二条で、地方自治の在り方は「地方自治の本旨」に基づいて定めるとしており、これは、地方に特有な課題は、国を排して、自治体がその住民の意向に従って処理する…ことだと解されている。また、九五条は、国政の対象事項であっても特定の自治体だけにかかわる問題についてはその住民に拒否権があると定めている。
確かに、日米安保条約の是非や米軍の世界規模での再編についてわが国としてどういう姿勢で対応するかは純然たる国政事項である。その上で、安保条約を是とし、かつ、米軍再編に同盟国として協力することを国策として国会と内閣で決めたとしてもなお、そのための負担を国内でどう配分するかは、半面で地方自治の課題である。
もっと分かりやすい例は沖縄である。つまり、日米安保条約は国策として正しいと私も考えているが、だからと言って、在日米軍基地の70%以上があの小さな沖縄県にあることは、私は、政策として正しくないと思う。だから、国は、沖縄の負担を軽減させるために基地を国内に分散させる努力をすべきだし、少なくとも、今は沖縄に代替的利益を供与する努力をもっとすべきであろう。
そして、そのためには、何よりも、国の高いレベルの責任者が、住民の意向を受けた首長と直接、誠実に話し合う必要がある。
このように、国策としての米軍再編協力を具体的に特定地域として受け入れるか否かは地方自治の課題である。だから、国としては誠実に話し合うしか方法はないし、経験上、それで必ず解決できる問題のはずである。(慶大教授・弁護士)」
井原前市長が発議し、06年3月に住民投票が行われ、神奈川県の米軍厚木基地から空母艦載機部隊を岩国基地に移す計画に対する賛否を問い、「反対」が87.4%でした。この山口県岩国市にある米軍岩国基地への空母艦載機移転問題で、なぜか、大阪府知事選で初当選した橋下徹氏が「国の防衛政策に地方自治体が異議を差し挟むべきでない」と述べて同市が06年に行った住民投票を批判しました。
これに対し、前岩国市長の井原勝介氏(57)は2月1日、記者会見で「主権者である市民、国民が国政にものを言うのは当然だ。大阪でこういう問題が起きれば、国策だから府民の声は聞かないということなのか」と反論し、橋下氏も「憲法を勉強していただきたい」と譲らず、地方自治の在り方を巡ってバトルを繰り広げています。この問題については、数名の憲法学者などがコメントしていて面白いことになっているので、取り上げたいと思います。(2月4日追記:文献を明示しておきました)
1.asahi.com(2008年02月03日11時38分)
「橋下節に疑問の声「あんたこそ憲法学べ」 岩国住民投票
2008年02月03日11時38分
米空母艦載機移転をめぐり06年春に山口県岩国市が実施した住民投票に対する橋下徹・次期大阪府知事の発言に、憲法学者や政治学者らが首をかしげている。弁護士でもある橋下氏は、反論した前岩国市長の井原勝介氏を「憲法を勉強して」と痛烈に批判したが、「橋下さんこそ不勉強では」との指摘も出ている。
橋下氏の発言が飛び出したのは1月31日。3日告示の岩国市長選で艦載機移転容認派が推す前自民党衆院議員の福田良彦氏を応援するビデオ撮影に応じた後、「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と持論を展開。井原氏が「国民が国政にものを言うのは当然」と反論すると、1日に「憲法を全く勉強していない」などと再反論した。
橋下氏の発言に対し、小林良彰・慶大教授(政治学)は「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、それを憲法が制限することはあり得ない」と指摘。「防衛は国の専権事項だが、基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。それは憲法が認めた言論の自由だ」と述べ、「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」と皮肉った。
小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。
奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」と突き放した。「弁護士が『憲法』と言えば、いかにも説得力があるように聞こえるが、政治家として政治的な発言をしたまでのこと。人びとの注目を集め、目的は達成したんじゃないのかな」と冷ややかに語った。 」
2.憲法を学ぶ者はもちろん、法律の素人であっても「橋下氏こそ、もっと憲法を勉強しろよ!」と、即座に思ったに違いありません。
憲法学が専門でない、政治学専門の小林良彰・慶大教授にまで、
と皮肉られるようでは、弁護士を廃業した方がいいように思います。「橋下さんこそ憲法を勉強した方がいいんじゃないか」
(1) 橋下氏は、「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」と述べていますが、その是非はともかく、住民投票の対象事項に限界があるのではないか、という議論自体はあることは確かです。
地方自治体の住民投票である以上、その対象事項は当該自治体の権限に係わるもの、すなわち、国の固有権限に含まれる事項(憲法改正、条約締結、全国レベルで問題となる法律の制定・改廃等)は住民投票の対象外であり、地方や住民に関係の深い事項(地方の行政組織の変更や地方の環境保全に関する問題等)に限られると解されています(辻村みよ子「憲法(第2版)」563頁)。
そこで、「神奈川県の米軍厚木基地から空母艦載機部隊を岩国基地に移す計画に対する賛否」は、国家の防衛政策に関わるといえるため、対象事項になるのか問題となるわけです。過去において、1996年8月新潟県巻町で原発を巡る住民投票が実施され(投票率88%、原発反対61%、賛成39%)、同年9月には日米地位協定見直しと米軍基地整理縮小の賛否を問う住民投票が沖縄県で実施され(投票率59%、整理縮小の賛成に89%)、こういう住民投票が対象事項外なのではないかが問題となりました。
この問題については、小林良彰・慶大教授が述べるように、「防衛は国の専権事項だが、基地問題は地元住民にとって生活問題だから、意見を言う資格がある。」として、「地方や住民に関係の深い事項」に当たるとして、住民投票の対象事項となるという理解がなされているのが一般的だと思います。
国家政策に関わる住民投票について、辻村みよ子・東北大学教授は次のように通説的な見解を述べていますから、小林良彰・慶大教授が述べていることは通常の解釈を示したものと判断できると思います。
「巻町の事例は国の原子力政策・エネルギー政策に関係し、また、沖縄の県民投票も日米安保条約に基づく地位協定にあり方が問題となったため、住民投票の対象となりうるか否かの議論が生じた。いずれも、一面では、国の固有の政策に関するものであるとはいえ、他面では、当該地方住民の利益や権利と深くかかわり、国は地方に協力を求める立場であるため、地方の対応如何が住民投票の対象になりうる事項であったと解される。しかも、住民投票が裁可型でなく、諮問型である以上、住民の意思を国の政策に反映させるために、これを対象として地方の意思を示すことは、地方自治の本旨からしても本来可能であると考えられる。」(辻村みよ子「憲法(第2版)」563頁)
このようなことから、橋下氏が「防衛政策に自治体が異議を差し挟むべきではない」と述べて、岩国市が行った住民投票を批判したことは妥当性を欠いているのです。
(2) このように、住民投票の対象事項だけに限れば議論はあることは確かです。しかし、06年春に山口県岩国市が実施した住民投票は、諮問型(投票結果が議会や長に対して単に助言的効果をもつに止まるもの)です。
住民投票制度には、裁可型(投票結果が議会や長への拘束的効力をもつもの)と諮問型(投票結果が議会や長に対して単に助言的効果にとどまるもの)がありますが、諮問型では住民投票の結果を尊重するにとどまり、地方議会や長の意思決定を拘束しないのです。
拘束しない以上、そのような諮問型住民投票では、地方議会や長の権限を法的に制約するものではないため、およそ憲法上の抵触は生じません。上記のように、わざわざ住民投票の対象事項につき論じてみましたが、諮問型の住民投票では、実のところ住民投票の対象事項の議論は意味がないのです。それで、小林良彰・慶大教授(政治学)や奥平康弘・東大名誉教授(憲法)は、次のように明言しているのです。
「この種の住民投票には法的拘束力がない。住民の意思の確認・表明なのだから、それを憲法が制限することはあり得ない」
「法的拘束力のない住民投票の是非について、わざわざ憲法を引き合いに出すこと自体が論外」
「論外」という強い言い方を読めば明白でしょう。このようなことからすると、橋下氏が岩国市が行った住民投票は憲法上問題があると批判すること自体、「論外」な主張だといえるのです。
なお、諮問型住民投票の効力について、ネット上では誤解があるようなので、触れておきます。
諮問型の場合、結果についての法的拘束力はないので助言的な問題提起にとどまることになりますが、事実上の拘束力は有する(=事実上、住民の意思に拘束される)とされています。なぜなら、諸条件を考慮して住民投票の実現に踏み切った以上、その結果が地方行政上に全く反映されないことは住民自治の趣旨に反することになるからです。
仮に住民投票の結果が尊重されない場合には、住民の意思に反する地方政治を排除するため、地方自治法で認められている首長リコールや議会解散請求手続に移行することが可能です。事実上の拘束力とはこのような政治的責任追及手段を伴う趣旨であるのです(辻村みよ子「憲法(第2版)」564頁)。
(3) しかも、橋下氏が述べるような「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」という理屈は、どう考えても意味不明です。(=住民投票は代表民主制と矛盾・抵触し、代議制を弱体化させるので否定すべきという昔の主張はあったが、なぜ「間接代表制」が、住民投票を認めた上で「対象を制限する」という論理に結びつくのか、意味不明。思いつきで喋ったのでは?)
憲法は、地方議会議員のみならず、首長も住民の直接選挙により選ばれ(93条2項)、地方特別法につき住民投票を規定する(95条)など、地方自治では国政と異なって相当程度、直接民主制的制度を重視しているのです。
特に、憲法92条は「地方自治の本旨」に基づいて、地方自治の組織や運営を決定しなければならないとしており、この「地方自治の本旨」には、「住民自治」、すなわち、地方行政はその地方の住民の意思に基づいて自主的に運営されなければならないことを含んでいるのです。このように、地方公共団体は、地方自治の本旨に基づき、住民の意思に従って創意と工夫を凝らしながら地方政治にあたるというプランを描いているわけです。
ですから、住民投票は、直接民主制的制度を重視している地方自治にかなうものであり、地方自治の本旨と合致するものですから、住民の意思を聞く制度として活用することが期待されています。このような、憲法上の地方自治制度からすれば、地域の問題について広く住民の意思を問う方向へ理解することになるはずです。なので、小林節・慶大教授(憲法)も次のように述べています。
「小林節・慶大教授(憲法)は「橋下さんは憲法を紋切り型に解釈しているのではないか」と首をひねる。「地域の問題について住民の声を直接聞いて、その結果を地方自治体の意向として国に示して実現を図っていい、というのが憲法の考え方だ」と言う。」
橋下氏は、「間接代表制をとる日本の法制度上、直接民主制の住民投票の対象には制限がある」と述べていますが、間違って理解している(50年前の憲法論のまま?)としか思えません。
そこで、この公開講演会の報道について紹介したいと思います。まずは、報告書案の骨子を掲げておきます。
「◆学術会議の検討委がまとめた報告書案の骨子◆
▽代理出産は法律で禁止すべき
▽営利目的での代理出産の実施・依頼・斡旋(あっせん)は、国外での実施も含め、代理母を除く関与者を処罰すべき
▽法律で実施の要件と手続きを定め、代理出産を試行することは考慮されてよい
▽代理出産が行われた場合、産んだ女性を母とするルールを適用すべき。養子または特別養子縁組による、親子関係の成立は認めてよい」(読売新聞平成20年1月31日付朝刊11面)
1.報道記事をいくつか。
(1) 時事通信(2008/01/31-20:14)
「「子の福祉最優先」「禁止に反対」=代理出産めぐり公開講演会−日本学術会議
第三者に子供を産んでもらう代理出産をテーマに、日本学術会議主催の公開講演会が31日、都内で開かれた。30日に「法律で禁止」の報告書案をまとめた同会議の委員らが出席し、それぞれの意見を表明した。
まず委員長の鴨下重彦東大名誉教授が、報告書案の概要を説明。「(是非を)決めるのは学術会議ではなく国民、国会。そのための考える材料にしてほしい」と述べた。
小児科医の水田祥代九州大学病院長は、生殖補助医療によるハイリスク出産の増加や、子供への心理的影響などの問題を指摘し、代理出産に反対。室伏きみ子お茶の水女子大教授は生物学の視点から、遺伝的つながりのない環境の胎児への影響などを懸念、「子の福祉を最優先させるべきで、子供への影響を明らかにせずに技術だけを拡大させることは危険」とした。
不妊治療に長く携わる吉村泰典慶応大教授は「当事者間で完結しない医療は無制限には認められない。公的機関による審査と長期にわたる管理が必要」と、禁止以外の道を提案した。
加藤尚武東大特任教授(倫理学)は「ある医療を法律で禁止するには、理論的な想定ではなく臨床的事例による証明が必要。その要件が不足している」とし、禁止に反対。辻村みよ子東北大法学研究科教授も「これまでに出ている禁止論は十分でない」と指摘した。」
(2) 時事通信(2008/01/31-21:56)
「 「もっと具体的な議論を」=米で代理出産の向井さん−学術会議講演会に参加
31日開かれた日本学術会議の公開講演会に、米国での代理出産で双子をもうけたタレント向井亜紀さんも参加。終了後記者会見し、「生まれてくる子供の福祉など、大きな問題がある割には、具体的な議論がなされていない」と批判した。
向井さんは、法律で禁止しながら調査研究のため試行の道を残すとの同会議委員会の結論に、「代理出産に伴うさまざまなリスクに対して、国は何ができるのか決まっていない。まず法律で禁止してから調査を始めるというのは順番としておかしい」と疑問を投げ掛けた。
一方で、「調査目的でも、(実施の可能性を)喜んでいる夫婦もいる。彼らに希望を与えているということに責任を持ってほしい」と、今後の議論に期待も示した。」
(3) 毎日新聞2008年2月1日東京朝刊
「代理出産:「禁止」案、学術会議講演会で賛否の声−−根津医師、06年以降に3組実施
◇一部委員も異論
不妊夫婦の受精卵で他の女性が妊娠・出産する代理出産を巡り、日本学術会議は31日、東京都内で公開講演会を開いた。同会議の委員会が作成した「代理出産は法律で禁止すべきだ」との報告書案を説明し、会場から賛否両論の声が出た。一部委員からも「認めるべきだ」との意見が出されたが、鴨下重彦委員長は「生まれる子のことを考えるべきだ。報告書案の方向は変わらないと思う」と述べた。
講演会には医療関係者や不妊患者ら約150人が参加。委員の水野紀子・東北大教授は「子がほしいという希望は、周囲の圧力などによって生まれたものともいえる」と、報告書案を支持する理由を述べた。一方、委員の加藤尚武・東京大特任教授は「全面禁止するほどの危害があるとは思えない」と禁止に反対する見解を示した。
会場からは「過半数が代理出産を容認した世論調査結果をどう考えるのか」との声が上がる一方、「代理出産が認められると、不妊治療のレールからますます下りられなくなる」と、禁止に賛成する人もいた。
米国での代理出産で双子を産んでもらったタレントの向井亜紀さんも参加。終了後に「データがない状況で禁止にされるのは悲しい。しかし、(報告書案が言及した)国による代理出産の臨床研究の実施はたくさんの人に希望を与えるので、代理出産する女性の健康を国がどう保障するのかなど、責任を持ってほしい」と話した。【永山悦子、下桐実雅子、大場あい】
◇06年以降、3組実施−−根津医師
諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘(ねつやひろ)院長は31日、06年以降に3組の代理出産を実施し、2人の子どもが生まれて1人が妊娠中であると発表した。根津院長は「危険な状態になった女性はいない。日本学術会議の報告書案は到底承服できない」と話した。
根津院長によると、代理出産を引き受けたのは、いずれも40代以上で母親を含む親族の女性。「研究を深め、高齢者の妊娠、出産の充実をはかるべきではないか」と述べた。日本産科婦人科学会の吉村泰典理事長は「学術会議で検討中で結論を待つべきだ」と話す。
根津院長はまた、米国で第三者の受精卵の提供を受けて妊娠した独身の60歳の女性が昨年、出産したことを明らかにした。国内最高齢に並ぶとみられる。
これまでに明らかになっている国内最高齢の出産は、米国で卵子の提供を受け、01年に出産した60歳の女性。【永山悦子、池乗有衣、須田桃子】
毎日新聞 2008年2月1日 東京朝刊」
1月31日に講演会を行い、国民に対して一応の説明を行ったうえで、年度内に最終的な報告書をまとめるとのことです。
1.1月30日の会合の内容・様子(代理出産の例外的な実施条件を巡り議論が紛糾し、結論は持ち越し)について、報道記事を幾つか。
(1) NHKニュース1月30日 19時2分
「代理出産 例外的に容認の素案
赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう代理出産の是非について、日本学術会議の検討委員会は新たな法律を作り、原則として禁止する一方で、国の厳重な管理の下なら例外的に認めてよいのではないかとする報告書の素案を示しました。代理出産をめぐっては、国や学会などが全面的に禁止すべきだとしており、例外的ではあっても実施を認める今回の素案は、これまでの流れを大きく変えることになりそうです。
日本学術会議は、専門家による委員会を設けて去年1月から代理出産の是非について検討を行ってきましたが、30日に開かれた会合で報告書の素案を示しました。素案では、新しい法律を作って原則として代理出産を禁止し、営利目的の場合には罰則を付けるべきだとしています。
しかし、代理で出産する女性の心と体にどのような影響があるかや、生まれる赤ちゃんの成長の状況などについて科学的なデータを集めるため「代理出産の試行は考慮されてよい」として、国の厳重な管理の下で例外的に認めてよいのではないかとしています。
代理出産をめぐっては、5年前、厚生労働省の部会が罰則付きの法律を作って全面的に禁止すべきだとする報告をまとめたほか、専門の医師で作る日本産科婦人科学会も指針で禁止しています。検討委員会は、一般の人からも意見を聞いたうえで近く最終的な報告書をまとめることにしていますが、例外的ではあっても代理出産の実施を認める今回の素案は、これまでの流れを大きく変えることになりそうです。 (1月30日 19時2分)」
1月30日の会合の結論のポイントは3点ありますが、1点目としては、このNHKの報道内容が端的でしょう。
「赤ちゃんをほかの女性に産んでもらう代理出産の是非について、日本学術会議の検討委員会は新たな法律を作り、原則として禁止する一方で、国の厳重な管理の下なら例外的に認めてよいのではないかとする報告書の素案を示しました。代理出産をめぐっては、国や学会などが全面的に禁止すべきだとしており、例外的ではあっても実施を認める今回の素案は、これまでの流れを大きく変えることになりそうです。」
これまで厚労省の部会の報告書は全面禁止であったのに、報告書素案は――臨床研究の形であっても――例外的にも代理出産を認め、しかも国の厳重な管理下で実施するというのですから、国が代理母のリスクなどの責任を負担することを認めつつ、代理出産の実施を行うわけです。管理する者はその責任をも負担するというのが法理論(管理監督責任論)ですから。
代理出産を実施している米国でも、代理出産につき国が責任を負担してくれることはないのですから、従来、全面禁止であったのに、「例外的ではあっても実施を認める今回の素案は、これまでの流れを大きく変えることになりそうです」という評価は妥当なものといえるのです。
(2) 日経新聞平成20年1月31日付朝刊42面
「代理出産「容認の余地」は 学術会議、なお紛糾 報告書案は原則禁止
不妊夫婦が妻以外の女性に子供を産んでもらう代理出産の是非を議論している日本学術会議の「生殖補助医療の在り方検討委員会」(委員長・鴨下重彦東大名誉教授)は30日会合を開き、代理出産を法律で原則禁止する報告書案をまとめた。
条件付きで代理出産を試行することは認める方向だが、この日は例外的な実施をどのように認めるかを巡って議論が紛糾。最終的な結論は来月の会合へ持ち越された。検討委は31日に東京都内で公開講演会を開き、一般の意見も聴いた上で、2月にも最終報告書をまとめる方針。
報告書案の内容は、法律で代理出産を原則禁止し、営利目的だった場合には刑事罰を科すというもの。一方で国の管理下で厳しい条件を設けて代理出産を試行することを認めており、将来、改めて是非を判断する必要性にも言及している。
30日の会合では、実施の余地を巡って委員の意見が分かれて議論が紛糾。「禁止しながら試行を認めることは、例外的な条件付き容認とどう違うのか」「試行とは生まれてくる子供に失礼。第三者機関の厳しいチェックの下、認める道を残すべきだ」など異論が噴出。検討委は最終報告書に向けて調整を図る方針。」
1月30日の会合で最も議論になったのは、例外的な実施をどのように認めるかを巡ってでした。これが1月30日の会合のポイントの2点目です。
「30日の会合では、実施の余地を巡って委員の意見が分かれて議論が紛糾。「禁止しながら試行を認めることは、例外的な条件付き容認とどう違うのか」「試行とは生まれてくる子供に失礼。第三者機関の厳しいチェックの下、認める道を残すべきだ」など異論が噴出。検討委は最終報告書に向けて調整を図る方針。」
代理出産一律否定派は、「禁止しながら試行を認めることは、例外的な条件付き容認とどう違うのか」と述べ、代理出産を将来にわたって一切認めないようにしたい意図を明らかにしています。他方、代理出産肯定派は、「試行」とした実施することは子供の人権への配慮に欠けるため、「試行とは生まれてくる子供に失礼。第三者機関の厳しいチェックの下、認める道を残すべきだ」と述べています。このように、報告書素案の実施条件に関しても、賛否が分かれたことが表れています。
報告書素案は、「国の厳重な管理下で実施」するというものですが、財政難の折、管理する場合の費用や補償費用がどれほど全く未知数です。先進国において国が管理する代理出産はまずないので、個人が負担すべき費用との配分も不明です。このように国の負担費用が全く不透明なのですから、「国の厳重な管理下で実施」することは財務省が嫌うことは必至です。
このように、「国の厳重な管理下で実施」するという報告書素案は、実現性が著しく低い案です。「第三者機関の厳しいチェックの下、認める道を残すべきだ」という代理出産肯定派の意見の方が現実的で妥当な案といえそうです。
(3) 毎日新聞平成20年1月31日付朝刊2面(13版)
「代理出産「養子縁組で親子容認」 学術会議検討委、結論は持ち越し
不妊夫婦の受精卵で他の女性が妊娠・出産する代理出産について、日本学術会議の検討委員会は30日、「生まれた子の母は出産した女性とし、依頼夫婦とは養子や(戸籍上ほぼ実子と同様に扱う)特別養子縁組によって親子関係を認めてもよい」とする報告書案を示した。代理出産の是非は、一部容認を求める意見があったため、前回案の「法律で一律禁止すべきだ」を「禁止すべきだ」と弱めた。しかし、まだ異論があり、結論は持ち越した。
親子関係の規定については、「血のつながりがある子を実子と認めないのは不当だ」との批判が出た。
報告書案は、国の管理下で代理出産を「試行」し、例外的に実施することも「考慮されてよい」としたが、「禁止としながら国が試験的に実施するのは整合性がとれない」などの意見も出された。
鴨下重彦委員長は「大きな結論の変更が必要とは考えていない。(法律で禁止することに対し)皆さんの考えにずれはないのではないか」と話した。【永山悦子、大場あい】
毎日新聞 2008年1月30日 20時18分」
イ:毎日新聞の記事をみても、原則禁止で、例外的に容認する報告案の方向にほぼ決定していることが分かります。「「代理出産の是非は、一部容認を求める意見があったため、前回案の『法律で一律禁止すべきだ』を『禁止すべきだ』と弱めた。」としているように、「一律禁止」という表現を止めて、例外的に容認することを認めているのですから。また、鴨下重彦委員長も「大きな結論の変更が必要とは考えていない。(法律で禁止することに対し)皆さんの考えにずれはないのではないか」と話していることからすれば、報告書素案の結論を変更する可能性はまずないので、一律禁止の芽はなくなったといえるからです。
もっとも、毎日新聞の見出しは、「結論は持ち越し」とし、「まだ異論があり、結論は持ち越した」としているなど、報告書案の方向に反した意見を掲載し、1月30日の会合の結論を歪めて報道しているようです。
おそらくは、毎日新聞は、代理出産強行反対派委員(水野紀子教授など)からのリークを基にして報道しているため、こういった奇妙な報道になっているのだろうと思います。代理出産禁止は、記事を担当している永山悦子記者の意見と合致しているので、毎日新聞の記事は、禁止の方向性へ向けて誘導したい意図があり、常に割り引いて読む必要があります。
ロ:代理出産強行反対派委員が、代理出産の身体的危険性を主張して、代理出産を一律禁止にしたいという主張を貫きたいと画策しようとしても、日本で実施を公表している医療機関では問題が生じていないというのであれば、いくら代理出産の身体的危険性を説いたとしても説得力がありません。
「新たに2組が代理出産 長野の根津医師
2008.1.31 15:54
諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が、新たに3組の夫婦で代理出産を試み、うち2組が出産して子供を得たことが31日、関係者の話で分かった。1組は妊娠中だという。
根津医師はこれまでに五組の夫婦で代理出産を実施、計7人の子供が生まれたことを明らかにしている。
今回明らかになった3組は、すべて平成17年以降に実施しており、代理母となったのはいずれのケースも母親など親族だという。
代理出産をめぐっては、日本学術会議の検討委員会が「代理母や子供への影響が問題だ」として、法律で原則禁止を求める報告書をまとめつつある。根津医師は「3組の母子ともに健康に問題はなく、委員会の判断は間違っている」と話しているという。」(産経新聞2008.1.31 15:54)
この産経新聞の報道は、代理出産強行反対派委員が、日本で実施している代理出産の現状を把握することなく、観念論で議論していることがよく分かるものとなっています。




















