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2007/11/30 [Fri] 06:52:10 » E d i t
光市事件の差し戻し控訴審弁護団に多数の懲戒請求が出されていた問題について、東京弁護士会は、同会に所属する弁護士1人について「正当な弁護活動で、懲戒処分には当たらない」と議決したとのことです(時事通信2007/11/27-13:21 )。 この報道と、この結論が及ぼす影響について、論じてみたいと思います。



1.報道記事をいくつか。

(1) 毎日新聞2007年11月27日 12時16分 (最終更新時間 11月27日 14時40分)(11月27日付夕刊)

光母子殺害:弁護士は懲戒せず 東京弁護士会が議決

 山口県光市で99年に起きた母子殺害事件差し戻し控訴審の弁護団(約20人)の弁護士に対して、全国で懲戒請求が相次いだ問題で、東京弁護士会が「正当な刑事弁護活動の範囲内で、懲戒しない」と議決していたことが分かった。 

 同弁護士会が所属弁護士1人について調査した結果をまとめた22日付の議決書によると、この弁護士は「広島高裁の公判で非常識な主張をし、被害者の尊厳を傷つけた」などとして懲戒請求されていた。これに対し弁護士会は「社会全体から指弾されている被告であっても、被告の弁明を受け止めて法的主張をするのは正当な弁護活動。仮に関係者の感情が傷つけられても正当性は変わらない」と退けた。

 懲戒請求を受けていた弁護士は「当然の結論だが、早く議決していただいた弁護士会には感謝したい」と話している。

 懲戒請求は、弁護士が所属する弁護士会に対して誰でもできる仕組み。光市事件弁護団への懲戒請求は、タレント活動で有名な橋下(はしもと)徹弁護士=大阪弁護士会所属=がテレビ番組で呼びかけたことをきっかけに爆発的に増えた。

 日弁連のまとめでは東京や広島など各地の弁護士会で計約7500件に達しているが、これまでに弁護士会が結論を出した十数件はいずれも「懲戒しない」と議決している。【高倉友彰】

【関連記事】
記者の目:光の母子殺害 広島拘置所の君へ=安部拓輝(周南支局)
犯罪被害者:山口・母子殺害の遺族、本村さん講演 被害者の支援訴え--郡山 /福島
【ニュースな言葉】光市母子殺害事件とは

毎日新聞 2007年11月27日 12時16分 (最終更新時間 11月27日 14時40分)」



(2) 産経新聞2007.11.27 12:33

東京弁護士会、光母子殺害の弁護士は懲戒せず
2007.11.27 12:33

 山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で、被告の元少年の弁護団を構成する各弁護士に対し「意図的に裁判を遅らせている」などとして大量の懲戒処分請求が出されていた問題で、東京弁護士会は27日までに、所属弁護士について懲戒処分をしないことを決定し、関係者に通知した。

 関係者によると、決定は22日付。被告の弁明に沿って弁護することは弁護士として正当な活動で懲戒理由に相当しないことなどが理由とみられる。

 日弁連によると、弁護団に対する懲戒請求件数は把握できただけで計7558件。

 大量請求は橋下徹弁護士(大阪弁護士会)がテレビで呼び掛けたことがきっかけとされ、インターネット上に各弁護士会に懲戒を求める書面のフォームが出回った。弁護団のうち4人が9月、橋下弁護士に損害賠償を求め広島地裁に提訴した。」



(3) 産経新聞平成19年11月28日付朝刊27面

弁護士1人の懲戒請求却下 光市の母子殺害

 山口県光市の母子殺害事件差し戻し控訴審で、殺人などの罪に問われた元少年の弁護団21人に全国から大量の懲戒請求が出されている問題で、東京弁護士会は所属弁護士1人について懲戒処分をしない決定をした。決定は22日付。決定を受けた弁護士は「当然の結果と考える」とコメントしている。

 この弁護士には「被害者を侮辱し、裁判の遅延を図った」などとして懲戒請求が出ていた。決定理由は「正当な弁護活動の範囲内で、裁判の遅延を図ったものでもなく、懲戒理由に相当しない」などとなっている。

 日弁連によると、弁護団に対する懲戒請求は把握できただけで計7558件に上っている。主任弁護人の安田好弘弁護士らが所属する第2東京弁護士会は、まだ結論を出していないという。」



(4) asahi.com(2007年11月28日21時33分)

元少年弁護人を懲戒せず 光市母子殺害で東京弁護士会
2007年11月28日21時33分

 東京弁護士会は28日、山口県光市で99年に起きた母子殺害事件で殺人罪などに問われた元少年(26)=一、二審で無期懲役=の差し戻し控訴審(広島高裁)で弁護人を務める同会所属の弁護士に出されていた懲戒請求について、懲戒しない決定をしたと発表した。「いかに多くの国民から指弾されている被告であっても弁護人は被告の基本的人権を擁護する責務がある」とした。

 この裁判をめぐっては、橋下徹弁護士(大阪弁護士会)が民放のテレビ番組内で、差し戻し審で一転して殺意否認の主張をした弁護団の懲戒を請求するよう視聴者に呼びかけるなどしていた。同会によると、懲戒請求者は殺意否認の主張は意図的な裁判遅延の試みと指摘していたという。」



(5) 読売新聞平成19年11月29日付朝刊38面

光市の母子殺害裁判で弁護士の懲戒せず…東京弁護士会

 山口県光市の母子殺害事件で、殺人罪などに問われた被告の元少年の弁護団に対し懲戒請求が相次いでいる問題で、東京弁護士会は28日、同会所属の河井匡秀弁護士について懲戒しないことを明らかにした。

 河井弁護士に対しては「意図的に裁判の遅延を試みている」などとして231件の懲戒請求があった。同会の綱紀委員会は「社会全体から指弾されている被告でも、その弁明を受け止めて法的主張を行うのは正当な弁護活動。遅延を試みた事実は認められない」と議決、同弁護士会は22日付で懲戒しないことを決定した。

 日本弁護士連合会によると、同弁護団あての懲戒請求は、6月以降、7558件に上っている。

(2007年11月28日23時28分 読売新聞)」





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2007/11/27 [Tue] 23:02:59 » E d i t
11月25日午後、愛媛県宇和島市において「万波誠先生の医療活動をストップさせないで」と題して、「移植への理解を求める会」第2回総会と記念講演会が開催されました。



1.まず報道記事を。

(1) 東京新聞平成19年11月26日付朝刊22面

病気腎移植の継続訴え決議 宇和島、患者ら800人

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師(67)らの病気腎移植が議論となってから約1年の25日、同医師らを支援する「移植への理解を求める会」(向田陽二代表)の講演会が愛媛県宇和島市で開かれた。患者など800人が出席。病気腎移植の有効性を訴え、万波医師らの医療活動継続を求める決議を行った。

 自らも万波医師の手で腎移植を受けた向田代表は「厚生労働省は病気腎移植を原則禁止し、保険診療適用外として、宇和島徳洲会病院などに診療報酬返還と保健医療病院の指定取り消し、万波医師の保険医取り消しを検討しているとされる」と指摘。

 代理出産などで知られる諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長も招かれ「患者の訴えや立場を軽んじてはならない。新しい医療は常にたたかれる。優れた点を検討していかないと、新しい医療は開発されない」と訴えた。

 広島大の難波紘二名誉教授は、病気腎移植は確認されただけで国内で90例、オーストラリアで40例余と発表。

 「オーストラリアを中心に世界で認められつつある。行き詰っている日本の移植医療を変える起死回生の道」とした。」



(2) 産経新聞2007.11.25 18:47

代理出産の根津院長が病気腎移植を評価 
2007.11.25 18:47

 病気腎移植を実施した宇和島徳洲会病院の万波誠医師の支援集会が25日、愛媛県宇和島市で開かれ、代理出産などを手掛けた諏訪マタニティークリニック(長野県下諏訪町)の根津八紘院長が参加、「歴史は病気腎移植を評価するはずだ」と万波医師を擁護した。

 2人の行為は日本移植学会や日本産科婦人科学会などから批判されている。根津院長は「学会は権威集団と化している。患者優先に立ち戻るべきだ」と主張した。

 集会では難波紘二広島大名誉教授が「過去約30年に世界で92例の病気腎移植が行われた」と強調。万波医師は来年1月の全米移植外科学会で、自らの病気腎移植事例を報告することを明らかにした。」



11月25日の講演会においては、「患者など800人が出席。病気腎移植の有効性を訴え、万波医師らの医療活動継続を求める決議を行った。」(東京新聞)ということを表明することが一番意義あることだったのだと思います。深刻なドナー不足の現状からすれば、病気腎移植を実施する必要性があるのですから。

また、 諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長が講演を行い、「歴史は病気腎移植を評価するはずだ」と述べて、患者のため必要となる医療を行うべきことを訴えたことも、意義あることであったと思います。根津八紘院長の名前は、代理出産(代理懐胎)問題を扱うこのブログでは、なじみのある名前ですから、改めて説明することはないでしょう。


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2007/11/24 [Sat] 21:34:39 » E d i t
病気腎移植問題については、このブログではずっと触れている問題です(「Because It's There 病気腎移植問題」参照)。つい最近でも、「病気腎移植、米移植外科学会で発表へ~万波医師らの発表は優れた演題の十傑に」で触れたばかりです。国は「医学的に妥当性がない」として手術を原則的に禁止する指針を打ち出したため(「改正臓器移植法運用指針を通知~病気腎移植が原則禁止に」(2007/07/17(火) 06:35:39)参照)、多くの報道機関(東京新聞、産経新聞を除く)は、病気腎移植問題についてまったく触れなくなっていますが。


1.ところで、「読売新聞:関西発・特集・問われる腎移植」をみると分かりますが、病気腎移植が騒動になったのは11月2日からだと分かります。

 「病気腎を移植11件 大半は親族以外…愛媛・宇和島徳洲会病院の万波医師

 生体腎移植手術に絡む臓器売買が明らかになった宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)は2日、過去に実施した生体腎移植で、病気のため摘出した腎臓を別の患者に移植したケースが11件あったという調査結果を発表した。病院関係者は、これらの腎臓は良性腫瘍(しゅよう)や動脈瘤(りゅう)などの病気で摘出されたものとしているが、他の腎移植医らによると、病気の腎臓を移植することは医学的にあり得ないという。臓器売買という法的な面だけでなく、移植手術そのものも大きな問題となりそうだ。(以下、省略)」(2006年11月03日掲載 読売新聞)



このブログで、病気腎移植について最初に触れたエントリーは、「「異端」の2医師の「独自の道徳観」は許されないのか?~毎日新聞11月20日付の記事批判」(2006/11/21(火) 18:02:21)ですから、このエントリーで論じ続けてほぼ丸一年になったわけです。報道機関が触れなくなっても、個人のブログは関心がある限り(閉鎖もせずにいれば)ずっと発信し続けることができますから、こういったことは報道機関と異なるブログの強みといえそうです。


病気腎移植騒動から1年経過したということで、東京新聞「こちら特報部」の片山夏子記者が、万波医師、10年前に「尿管がん」を修復した腎臓移植を受けた林秀信弁護士、万波廉介医師、呉共済病院の光畑直喜医師、香川労災病院の西光雄医師、フロリダ大学移植外科の藤田士朗准教授へのインタビューを行い、記事になっていました(東京新聞平成19年11月24日付朝刊20・21面「「病気腎移植騒動から1年 万波誠医師らに聞く」)。そこで、この記事を紹介したいと思います。


その前に一言。

なぜ万波医師ら病気腎移植を行っていたかというと、ドナーを切実に必要とする患者がいるのに、死体腎移植が圧倒的に不足しており、生体間腎移植にも問題点があるためでした。このブログでは、ほとんど腎臓移植に限って触れてきていますが、ドナー不足は腎臓だけに限らない問題であることは誰しも承知のことだと思います。

しかし、世界的にもドナー不足、しかも日本は世界に比べて深刻なドナー不足の現状において、日本政府はほとんど有効な手立てをとってきていません。「臓器移植法施行から10年~法改正の審議も必要だが、提供意思を生かせる態勢は?」で触れたように、臓器移植法は「3年をめどに見直すとの条文がありながら、国会はこの10年間放置したまま」ですし、現状において、臓器提供者の提供意思を生かせる態勢は十分ではないので、たとえ法改正したとしても臓器提供者が増加するとは思えないのです。

要するに、日本政府はどれほど患者が苦しもうと死んでしまおうとも、法改正もせずに、現行の臓器移植法を生かすような環境整備もしない……。結局、何もしていないのです。

これから引用するインタビューを記事を読んでも、病気腎移植に批判的な思いを持つ方もいるかもしれません(もっとも、このブログの愛読者は病気腎移植を否定することはないでしょうが)。しかし、ドナー不足解消のために何かをすることが急務なのですから、ただ批判をしたところで何も解決しないのです。批判をするのならばドナー不足解消のための実効性のある具体策を提言しないのであれば、無責任な言動にすぎないと思うのです。

ドナーを切実に必要とする患者のために、「目の前に患者がおるんじゃから、何とかしてあげないと。それが医療じゃないか」と問いかける万波医師の言葉、移植を待つ患者の気持ちなど、じっくり読んで頂きたいと思います。



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2007/11/23 [Fri] 17:41:56 » E d i t
大連立騒動構想については、賛否が分かれていますので、考える材料を提供する意味でもう1度触れておきます。


1.仕掛け人だった読売新聞は当然賛成ですが、朝日新聞もこのブログで紹介したように全面否定ではなく、日経新聞もまた同様でした。ですので、全否定を表明するのは全国紙では毎日新聞くらいであり、また、一部の政治学者も全否定するという状況でした。まずは、それらの記事を紹介しておきます。

(1) 毎日新聞平成19年11月19日付朝刊2面

 「発信箱:幻でよかった=与良正男

 もし、自民党と民主党が大連立に合意していたらどうなっていたか、考えてみる。今ごろ、福田康夫首相、小沢一郎副総理、○○相は民主党の……といった顔ぶれの内閣が着々と仕事を進めていただろうか。

 答えはノーだ。合意といっても、まず連立に向けた政策協議を始めることを確認するに過ぎない。恐らく両党の協議が続き、新聞には連日「調整難航」とかの見出しが躍っていたと思う。

 9年前の自民・自由連立を思い出す。当時の小渕恵三首相と小沢・自由党党首が連立合意したのは1998年11月19日。その後、憲法解釈をどうする、議員は何人削減する、と暮れまで決着がつかず、連立内閣が発足したのは明けて1月14日だった。「国連平和活動参加の基本原則」(今とテーマは変わらない!)など肝心な点は先送り。関係者の疲労感だけが目立ったと記憶する。

 今度はもっともめていただろう。例えば小沢氏の国連中心主義に自民党が納得すると思えない。自民党内には不満がたまり、福田首相は逆に追い詰められていたかもしれぬ。両党協議のため国会は閉会。際どい調整は国民の目がとどかぬ密室で進んだ可能性も大きい。そんな状況で政治空白が続く--。

 政策は与野党の立場から堂々と国会の表舞台で論じればいい。向いている方向が同じなら譲り合うことも必要。どうしても一致できない点は無理に妥協することはない。衆院選で有権者の選択に委ねればいいのだ。

 その方が今の政治を一歩、先に進める近道である。「幻の大連立」に終わってよかったとつくづく思う。(論説室)

毎日新聞 2007年11月19日 東京朝刊」



(2) 朝日新聞平成19年11月6日付朝刊21面

疑問だらけの「大連立」 小沢・民主代表の辞意表明に寄せて――後房雄・名古屋大学教授(政治学)

 小沢一郎氏は、小選挙区制の導入による日本政治の2大政党化を一貫して主導してきた政治家である。しかし、93年の細川自民連立政権の樹立と、そのもとでの小選挙区導入という大きな成功以後は、失敗の連続であった。(中略)

●ありえない選択

 小選挙区制型の民主主義がどういうものかは、4回の総選挙、とりわけ05年の郵政総選挙を通じて有権者に明確に理解されるに至っていると思われる。

 各小選挙区でどちらの政党に議席を与えるかの選択を通じて、有権者は政権を選択するのである。だからこそ相対第1党になった党に得票率を超える過半数の議席を与える意味がある。マニフェスト(政権公約)の配布が公職選挙法でも認められたこともあって、政権選択選挙は日本でも定着しつつある。

 こうした状況で、自民党と民主党という二大政党が大連立を組むことは、小沢氏が推進してきた政治改革構想からしてありえないはずである。

 大連立の代表的な事例はドイツにおけるもので、66年から69年で続いているキリスト教民主同盟・社会同盟と社会民主党による大連立である。

 これは、第1党でも過半数の議席が獲得できない比例代表制のもとでこそありうる選択肢でああるが、ドイツにおいても、通常は第1党が第3党などとの間で連立を組んできた。いわんや、小選挙区のもとでの大連立など、戦時などの非常時においてしかありえない。

 小沢氏は、福田首相が安全保障について「きわめて重大な政策転換」を行ったことを大連立の理由に挙げているが、そうした共通の政策を実現するのならば、与野党間の合意で行えばよいのであって、連立政権を作る必要はない。

 民主党提出の法案を成立させることや民主党の政権担当能力を示すことも理由に挙げているが、それらは次の総選挙で過半数を獲得したうえでなすべきことである。

●二大政党の意義

 自民党との大連立、さらにはその後に予想される政界再編は、有権者の間にようやく定着してきている「政権を選挙で選択する」という小選挙区制民主主義のイメージを崩してしまいかねない。政権のもう1つの選択肢としての民主党イメージも崩壊するだろう。(以下、省略)

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うしろ・ふさお 54年生まれ。著書に『政権交代のある民主主義――小沢一郎とイタリア共産党』『「オリーブの木」政権戦略』など。」




これらは、大連立構想自体ありえない選択肢であるというものであり、典型的な主張でしょう。

なお、後房雄・名古屋大学教授は、「第1党でも過半数の議席が獲得できない比例代表制のもとでこそありうる選択肢」としていますが、ドイツは比例代表制だけではないので、明らかに間違った理解です。ドイツの国会議員の選挙制度は、「連邦議会議員の半数の299人は小選挙区比較多数得票主義によって選ばれ、残りの半数は比例代表制によって選ばれる」(選挙制度研究会編『わかりやすい公職選挙法〔第14次改訂版〕』(平成19年、ぎょうせい)321頁)からです。

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2007/11/21 [Wed] 23:35:47 » E d i t
宇和島徳洲会病院の万波誠医師らは、病気腎移植の症例や成果を、来年1月に米フロリダ州マルコ島で行われる米国移植外科学会で発表することになりました。この報道について紹介したいと思います。

11月21日付東京版朝刊で報道したものとしては、東京新聞と産経新聞だけでした。臓器移植問題については、多くの報道機関がいかに関心が薄い事柄(毎日新聞は否定的な態度……。)であるかを現しているようです。「国民の生命に関する問題は何よりも優先すべきである」という意識が乏しいと感じます。


1.まず、報道記事を。

(1) 東京新聞平成19年11月21日付朝刊1面

病気腎移植 米で発表へ 1月 万波医師ら学会で
2007年11月21日 朝刊

 宇和島徳洲会病院の万波誠医師らが、病気腎移植の症例や成果を、来年一月(二十五-二十七日)に米フロリダ州マルコ島で行われる米国移植外科学会の冬季シンポジウムで発表することが二十日、分かった。万波医師らの発表は、優れた演題の十傑に選ばれ、注目を集めている。

 病気腎移植は、がんなどで摘出された腎臓を修復した上で、腎不全などで苦しむ別の患者に移植する手法。万波医師らのグループが一九九一年から四十二例の手術を実施したが、臓器摘出の経緯が不透明であるなどと批判を集め、今年七月に厚生労働省が、手術を原則的に禁止する運用指針を通知した。

 一方、欧米などでは「ユニークな手法」と評価する意見も多く、今年五月の米国移植外科学会でも、いったんは演題に採択された。しかし、日本移植学会が田中紘一理事長名で「論文は米移植学会にふさわしくないと考えている」などとする手紙を送ったため、発表は取りやめになった。

 万波医師らと、ドイツやフランスなどの学会で病気腎移植について発表してきたフロリダ大学の藤田士朗准教授は「世界的なドナー(臓器提供者)不足の中で、どう可能性を広げるか、各国で関心が高い」と話す。

 万波医師は「少しでも方法が広がれば救われる患者が出てくる。海外での発表がきっかけとなり、日本でも、もう一度議論されたらうれしい」と話した。」




(2) 産経新聞平成19年11月21日付東京朝刊30面

 「病腎移植 論文発表へ 万波医師、米学会で
11月21日5時46分配信 産経新聞

 病気治療のために摘出した腎臓を第三者に移植する「病腎移植」について、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師らが執筆した論文が、来年1月に開かれる全米移植外科学会の冬季シンポジウムで発表されることが20日、分かった。

 同論文は、同学会の今年5月に開催された総会で発表されることが一度決まったが、日本移植学会が「万波医師の病腎移植は倫理面で問題があり発表論文として適切でない」との意向を伝えたため、発表が取り消されていた。

 米学会側が今月上旬、共同執筆者である藤田士朗・米フロリダ大学准教授のところに、論文を上位10本の入選作の1本として表彰することを伝えてきた。万波医師ら執筆者側は「世界の医師らに病腎移植の有効性が分かってもらえる機会になれば」としている。

 発表される論文のタイトルは『腎移植の最後の手段-生体病腎移植』。万波医師ら6人が共同執筆した。手がけた病腎移植の42症例を追跡した結果、がんに侵された部分を切除した腎臓を移植したケースで、再発がなかったことなどを紹介、病腎移植の有効性を示した内容になっている。

 病腎移植をめぐっては、日本では日本移植学会などが「現時点では医学的な妥当性はない」として否定的な立場をとっている。一方で、深刻なドナー(臓器提供者)不足を背景に、米国では臓器を有効に使う手段の一つとして高い関心があり、一部では実施例も報告されていることが、今回の論文評価の背景となったとみられる。」




病気腎移植の症例については、すでにドイツとフランスの国際学会で発表しており、平成19年9月23~25日、米国・シカゴで開催された「トランスプラントサミット2007」で、藤田士朗・フロリダ大学助教授は、日本で宇和島徳洲会病院(愛媛県)の万波誠医師らが実施した病腎移植症例のうち、悪性腫瘍の16例に絞ってポスター発表を行っていました(「徳洲新聞No.590[2007(平成19)年10月8日]1面:米国初 シカゴの国際学会で 藤田助教授が病腎移植症例を発表」参照)。

ですから、米国において初めて発表するわけではないのですが、来年1月は口頭での発表を行うものであり、米国で権威ある米国移植外科学会で初めて発表するものです。


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2007/11/20 [Tue] 23:59:41 » E d i t
国連総会の人権問題を扱う委員会で、EU=ヨーロッパ連合などが提出した死刑執行の一時停止を求める決議案の採決が行われ、日本や米国などは反対しましたが、賛成多数で採択されました(11月2日、死刑執行の一時停止を求める決議案を国連総会の委員会に提出する予定であるとの報道について、「刑訴法475条2項の期間延長問題~“刑訴法改正検討していない”と閣議決定」を参照)。今回の死刑執行の一時停止を求める決議は、このあと総会に提出され、採決にかけられる見通しになっています。


1.まず、(決議案を提出したとの報道も含めて)報道記事から。

(1) asahi.com2007年11月02日19時18分

 「死刑執行停止求める決議案提出 EUなど72カ国
2007年11月02日19時18分

 イタリアなどが1日、死刑の執行停止を求める決議案を国連総会に提出した。人権問題を扱う第3委員会で月内にも採決される見通し。加盟192カ国のうち、提出時点で72カ国が共同提案国に名を連ねており、決議案作成を主導してきた欧州連合(EU)加盟27カ国は賛成多数での採択に自信を見せている。

 決議案は死刑制度の継続に「深刻な懸念」を示すとともに、制度が存続している各国に、(1)制度の廃止を視野にした執行の一時停止(モラトリアム)(2)死刑の適用の漸進的削減(3)死刑に直面する人の人権保護の尊重――などを要求。廃止国に対しても制度を再導入しないよう求めている。

 同委員会には94年、2000年までの死刑執行停止などを促す決議案が出されたが、小差で否決された。その後も死刑廃止国が増加しており、国際人権団体のアムネスティ・インターナショナルによると、死刑を10年以上執行しないなど事実上廃止している国を含めた死刑廃止国は133カ国。一方、死刑存続国は日米や中国など64カ国・地域だという。」



(2) 朝日新聞平成19年11月16日付夕刊2面

死刑執行停止決議を採択 日米などは反対 国連総会委
2007年11月16日11時01分

 【ニューヨーク=松下佳世】人権問題を扱う国連総会第3委員会は15日、死刑執行の停止(モラトリアム)を求める決議案を賛成99、反対52、棄権33で初採択した。死刑制度が存続している日本や米国、中国などは反対した。年内に総会本会議で正式に採択される見通しだ。総会決議に法的拘束力はないが、決議案を主導した欧州連合(EU)などは、執行の停止を実質的な死刑全廃への足がかりにする考えだ。

 決議案は87カ国が共同提案。死刑制度の継続に「深刻な懸念」を示すとともに、制度存続国に(1)死刑制度廃止を視野に入れた執行の一時停止(2)死刑が適用される対象犯罪の漸進的削減(3)死刑の執行状況や死刑に直面する人の人権状況を事務総長に報告すること――などを要求。廃止国に対しても制度を再導入しないよう求めている。

 同様の決議案はイタリアなどの主導で94年にも提出されたが、小差で否決された。99年には反対派の修正要求が通ったため、採決を断念した経緯がある。今回も、「刑事司法制度は国内管轄事項だ」とするシンガポールやエジプトなどが修正案を出して抵抗したが、原案通りで採択された。

 EU議長国ポルトガルのサルゲイロ国連大使は採択後、「幅広い支持を得られたことは、死刑制度が人権問題であり、その執行停止が人権状況の改善につながるとの認識が共有できた表れだ」と歓迎した。

 一方、日本の神余隆博次席大使は「日本では、国民の大半が最も悪質な犯罪には死刑を宣告すべきだと信じている。死刑制度の廃止に向かうことは難しい。死刑廃止に国際的な合意はない」と反対の理由を説明した。」

*紙面では、3段落2行目以降は未掲載。なお、ネットでは『日米などは反対』とし、紙面では『日米中など反対』という見出しだが、中国は先進国ではないため、ネットの見出しの方が適切だろう。



(3) 東京新聞平成19年11月16日付夕刊2面

 「国選委員会、死刑停止決議を採択 日米など反対 来月、総会で採択
2007年11月16日 10時13分

 【ニューヨーク=石川保典】国連総会第3委員会(人権)は15日、死刑制度を堅持する加盟国に死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議案を賛成多数で採択した。12月の総会本会議で正式採決されれば、総会で初の決議となる。法的拘束力はないが、世界の死刑廃止の流れに拍車をかけ、政治的な圧力となりそうだ。

 決議案は、死刑制度は「人間の尊厳をむしばむ」として、死刑執行に深い憂慮を表明。▽死刑制度廃止を前提とした死刑執行の一時停止▽適用罪を減らし執行を制限▽事務総長に執行状況や死刑囚の人権保護手続きの報告―などを求めている。

 欧州連合(EU)を中心に87カ国が共同提出し、賛成99、反対52、棄権33票だった。反対したのは、死刑を執行している日本、米国、中国、シンガポール、イラン、イラクなど。「決議案は国の司法権に対する明らかな侵害だ」として、同決議案を骨抜きにする修正案が計14提出されたが、2日間にわたる審議でいずれも反対多数で否決された。

 日本の神余隆博次席大使は「日本の世論は多数が死刑を支持している。すべての国が世論を慎重に考慮した後にのみ、決議案は採択されるべきだ」などと述べた。

 人権団体アムネスティ・インターナショナルによると、事実上、死刑を廃止した国は計133カ国。先進国で死刑があるのは日本と米国だけ。」

*東京新聞のHPでは、共同通信配信記事のみ。



(4) 毎日新聞平成19年11月16日付東京夕刊

 「国連第3委:死刑の一時停止求める決議案を初採択

 【ニューヨーク小倉孝保】欧州連合(EU)など87カ国が国連総会第3委員会(人道問題)に提出していた死刑執行の一時停止(モラトリアム)を求める決議案が15日、小差で採択された。同委員会が死刑のモラトリアム要求決議案を採択したのは初めて。国際社会で死刑反対の動きが強まっていることを象徴する結果といえそうだ。

 賛成はEUのほかトルコ、イスラエルなど99カ国。反対は日本、米国、中国など52カ国、棄権が33カ国。12月中旬の総会で採択されれば正式な国連総会決議になるが、委員会が小差だったため、総会での採択は微妙な情勢だ。日本はモラトリアムが憲法に反することなどを理由に反対した。

 採択された決議案は▽死刑は人間の尊厳を否定し、死刑廃止は人権保護に貢献すると確信する▽世界的な死刑廃止や執行一時停止の動きを歓迎する▽死刑を廃止した国には死刑制度を復活させないことを求める--としたうえで、死刑執行を続けている国に対して▽死刑を制限して執行を受ける者の数を減らす▽死刑廃止に向けてモラトリアムを作る--ことなど求めている。

 決議案の協議では、モラトリアムの設定が最大の焦点となり、イランやエジプトなどは、その部分を「死刑を凶悪犯罪に限定する」との表現に替えるよう求める決議案を提出したが否決された。

 EUはここ数年、死刑のモラトリアム要求決議案採択を目指してきたが採択のめどが立たず、提案を見送ってきた経緯がある。国連人権委員会(現在の人権理事会)では「死刑に疑問を投げかける」決議案が採択されたことがある。

 人権擁護に取り組む非政府組織(NGO)「アムネスティ・インターナショナル」は「歴史的な決議だ」と歓迎を表明した。

毎日新聞 2007年11月16日 9時56分」




毎日新聞は以前、「国連総会では欧州を中心に20カ国以上がモラトリアム決議案を支持する見通しだが、大票田のアフリカやアジアの国々は死刑制度支持の国が多い。決議案は11月2日までに総会の第3委員会(人道と文化)にかけられ、採択されれば総会にかけられる。」(毎日新聞 2007年10月18日 西部朝刊「死刑執行停止決議案:支持を、免田さんが訴え--国連の討論会」)という記事を載せていて、決議案否決の方向性にあることを仄めかしていました。しかし、その見通しを間違っていたわけです。



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2007/11/19 [Mon] 23:59:41 » E d i t
日本に入国する外国人に指紋採取と顔画像の提供を義務付ける改正出入国管理・難民認定法が11月20日に施行されます。この改正出入国管理・難民認定法問題について触れたいと思います。


1.まず、報道記事を。

(1) 中日新聞平成19年11月19日付朝刊

外国人の指紋、20日から採取 「テロ対策」で入国時
2007年11月19日 朝刊

 16歳以上の外国人を対象に、入国審査で指紋と顔写真の提供を義務付ける改正入管難民法が20日施行され、全国の27空港や126の港で一斉に運用が始まる。

 こうした「生体情報」採取システムは、米中枢同時テロ後に導入した米国に次いで2番目。政府はテロ対策のためとしているが、日弁連や人権団体などから「情報の保存期間が不明で、犯罪捜査に際限なく利用される」と懸念の声が出ている。

 新システムでは、スキャナーで両手人さし指の指紋を読み取り、続いて顔写真を撮影。パスポートに記載された氏名などの情報とともに電磁記録として保存する一方、過去に強制退去処分を受けた外国人や警察による指名手配者など、計80万-90万件の生体情報データベースとその場で照合する。

 指紋や顔写真の提供を拒んだり、生体情報がデータベースと一致した場合、別室で特別審理官による口頭審理などを経て、強制退去や警察への通報などの処分を受けることがある。

 16歳以上でも(1)在日韓国・朝鮮人ら特別永住者(2)外交・公用での来日(3)国の招待者-などは制度の対象外。

 入管が収集した情報は捜査当局が必要に応じて照会し、利用できる。保存期間について、法務省は「テロリストに有益な情報を与えることになる」として明らかにしていない。

 日本人や特別永住者らが事前に指紋を登録しておき、指紋照合だけで出入国できる「自動化ゲート」も20日から、成田空港で先行導入される。」




(2) 中国新聞'07/11/18

 「「新たな外国人差別」 指紋採取に在住者反発 '07/11/18

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 「新たな差別だ」―。外国人に指紋と顔写真の提供を義務付ける入国審査制度が二十日から始まるのを前に、日本在住の外国人から反発の声が上がっている。

 東京都内に住むトルコ国籍のクルド人男性(29)は「何の犯罪もしていないのに、指紋採取を強制されるのは悲しい。外国人差別がまた一つ増えた」とやりきれない様子。「日本は米国に追従してイラク戦争に首を突っ込んだ。テロの心配をする必要があるのはなぜなのか、聞きたい」

 「日本で十五年暮らして永住も考えているが、制度的に差別されるのは初めて。とても悲しく、怒りを感じている」と話すのは、都内の大学院で学ぶオーストラリア国籍のステファニー・クープさん(38)。「人を見たら泥棒ではなく友達と思え。その上で犯罪は許さないという、これまでの日本社会の方が安全で魅力的だ」と嘆いた。

 一九八五年に指紋押なつを拒否し、外国人登録法違反容疑で逮捕された在日韓国人三世の張学錬(チャン・ハンニョン)弁護士(44)は特別永住者。「テロ対策というなら日本人も特別永住者も指紋を採らないとおかしい。なぜ外国人だけテロリスト扱いなのか。合理性がないということは、差別にほかならない」と怒りをあらわにした。」



入国審査の改正ですから、「全国の27空港や126の港で一斉に運用が始まる」ことになります。ただし、地方によっては、実際上、11月20日に実施するわけではありません。例えば、福岡入国管理局那覇支局石垣港出張所管内では、12月2日に石垣港入港予定の大型クルーズ船「飛鳥」に乗り込んでくる外国人乗客50人近くを対象に行う審査が、初の新入国審査となる見通しだそうです(八重山毎日新聞2007-10-31 10:07:05)。
「全国の27空港や126の港で一斉に運用が始まる」のですから、それに要する人員・費用はかなりのものになります。専用装置の開発だけでも総予算36億円だそうですから、全体の費用総額は相当なものになるわけです。ですから、これだけの巨額の費用に見合うだけの効果が得られるのかどうかが問われることになります。

この「新入国審査」法の特徴は、「在日韓国・朝鮮人ら特別永住者」が対象外であるということです。これは、「今回の制度の対象から在日韓国・朝鮮人ら「特別永住者」が除かれたのは、かつて外国人登録法の指紋押捺(おうなつ)制度が激しい抵抗を受けて00年に全廃されたことが背景にある」(朝日新聞11月19日付朝刊)のです。このように対象外であるため、「在日韓国・朝鮮人ら」は、この法改正に対して大反対するという状況になっていません。


外国人指紋押捺制度は、過去において存在ていたのですが、訴訟となるほど猛反対を受けたため平成11年に廃止されたのです。ところが、今回の改正でこの外国人指紋押捺制度が復活することになったわけです。

今回の外国人指紋押捺制度に対しては、不当な外国人差別であるとして反対もあり、訴訟になる可能性があります。しかし、過去において外国人指紋押捺制度は、最高裁平成7年12月15日判決により合憲と判断されていたこと、また、違う点も多いとはいえ、裁量の幅の広い入国管理上の問題でもあることから、訴訟となったとしても合憲判断となる可能性が高いといえます。

 「個人の私生活上の自由の1つとして、何人もみだりに指紋の押なつを強要されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法13条の趣旨に反し許されない。しかし、外国人登録法の指紋押なつ制度[平成11年法134により廃止]は、外国人の居住関係及び身分関係を明確にするための最も確実な制度であり、その立法目的には合理性・必要性がある。また、本件当時の制度内容は、押なつ義務が3年に1度で、押なつ対象指紋も一指のみであり、その強制も罰則による間接強制にとどまるものであって、精神的・肉体的に過度の苦痛を伴うものとまではいえず、その方法においても相当なものであった。(最高裁平成7年12月15日判決)」



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2007/11/18 [Sun] 23:59:18 » E d i t
全国の特定郵便局長やOB、その家族ら約20万人が、昨年3月に発足した国民新党の職域支部「国民新党憲友会」に加入し、自民党職域支部「大樹」の会員がほぼ消滅してしまったとのことです。東京・中日新聞の調べで分かったそうです。


1.報道記事を。

(1) 東京新聞平成19年11月18日付(日曜)朝刊1面

 「自民『大樹』支部 ほぼ消滅 20万人 国民新に 特定郵便局長ら移籍
2007年11月18日 朝刊

 全国の特定郵便局長やOB、その家族ら約二十万人が、昨年三月に発足した国民新党の職域支部「国民新党憲友会」(東京都千代田区)に加入していたことが、本紙の調べで分かった。長年、自民党を強力に支援してきた特定郵便局関係者が大量移動したもので、かつては十万人以上いた自民党職域支部「大樹(たいじゅ)」の会員は昨年、一万人を大きく下回った。自民党の有力な集票組織の事実上の“消滅”状態は、次期総選挙にも大きな影響を与えそうだ。 

 憲友会の昨年分の政治資金収支報告書によると、同会は元郵政官僚の長谷川憲正参院議員が代表を務め、約十九万五千四百人が加入する。昨年の収入は約三億円で、一人当たり千円の党費計約二億円と、個人からを中心とした寄付約一億円を集めた。支出は都道府県支部への交付金が中心となっている。

 特定局長OBや家族らは長年、都道府県ごとに自民党の大樹支部を組織。国政選挙のたびに自民党を強力に支援してきたが、郵政民営化が最大の争点となった一昨年九月の衆院選をきっかけに、急速に自民離れが進んだ。

 都道府県の自民党大樹支部の政治資金収支報告書を本紙で集計したところ、二〇〇四年は約十一万二千八百人が党・会費計約一億八千万円を納めた。

 ところが、郵政解散のあった〇五年は計約三万八千三百人(党・会費計約七千七百万円)と激減。昨年はさらに約三千六百人(同約六百万円)にまで落ち込んだ。

 憲友会の幹部は「自民党大樹支部にいた多くの人が、憲友会に移ってきた」と話している。

 憲友会代表の長谷川議員は〇四年の参院選に出馬、約二十八万票を集めて自民比例三位で初当選したが、民営化法に反対して離党。綿貫民輔・元自民党幹事長らと国民新党の結成に参加した。国民新党は今国会に郵政民営化見直し法案を民主党と共同提出している。

 長谷川議員は「民営化は見直すべきで、二十万人という数字は今後もあきらめずに闘争を展開するという意思表示だ。選挙で自民と民主の候補者が競り合った場合、われわれが乗るのと乗らないのとでは大きく違う」と話している。」


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2007/11/17 [Sat] 21:10:42 » E d i t
小沢・民主党代表は、11月15日、朝日新聞の単独インタビューに応じて、大連立構想が問題となった福田首相との会談の経緯などについて語っています(朝日新聞平成19年11月16日付朝刊1・3・4面)。このインタビューでは、多くの点について明確に答えているので、読む価値のあるインタビューだと思い、紹介します。


1.朝日新聞平成19年11月16日付朝刊1面

「自分の政治判断、今でも正しいと」 小沢・民主党代表インタビュー
2007年11月16日08時01分

 自ら「プッツンした」と語った辞意撤回騒動から1週間。民主党の小沢代表が15日、朝日新聞の単独インタビューに応じ、福田首相との会談をめぐる一連の経緯や、新たな政権戦略を語った。

 「選挙で勝てる最大の方策で、自分の政治判断は今でも正しいと思っている。だが、みんなが望まないのだから捨てる以外ない」(大連立協議)

 「渡辺(恒雄・読売グループ本社会長)さんまでは張本人だからいい」(党首会談を持ちかけてきた相手について)

 「連立が最優先課題だった。特措法さえ連立なら譲っても構わない、憲法解釈、国際貢献の基本原則も180度転換しても構わない、そこまで言い切った」(党首会談での首相の言動)

 「自民党は進退窮まっている。民主党の目玉政策を実現できれば選挙に絶対有利だ」(大連立の利点)

 「ばかばかしい」(小沢氏離党説)」




かなり長いインタビュー記事ですので、ネットでは冗長なイメージとなり読みづらいかと思います。ですので、紙面での見出しを引用しておきます。この見出しをみると全体のイメージをつかみやすいのではないか、と思います。

「自分の政治判断、今でも正しいと」

「渡辺(恒雄)さんは張本人だから」

「離党する気なら自民党出ないよ」

「ブッシュ大統領なんて支持されてない。何で気兼ねするんだ」


この見出しで分かるように、渡辺(恒雄)さんが大連立構想の仕掛け人であることを明言しています。また、もはやブッシュ大統領の政策に従うべきでないことを述べていることが分かります。

では、以下、インタビュー記事をご覧下さい。解説も引用しています。



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2007/11/16 [Fri] 23:46:30 » E d i t
参院外交防衛委員会は、11月15日午後、防衛専門商社「山田洋行」の元専務宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領容疑などで逮捕=との癒着が明らかになった防衛省の守屋武昌前事務次官(63)を証人喚問しました。守屋氏は、この日も最初は「迷惑をかけるので名前は差し控えたい」と拒んでいましたが、とうとう、宮崎容疑者との宴席について、久間章生元防衛相ら四人で会食したことや、米国防総省OBを囲む会に額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)が同席したことを明らかにしたのです。


1.報道記事をいくつか。

(1) 朝日新聞平成19年11月16日付朝刊1面

守屋氏喚問で「宴席に額賀・久間氏」 民主、問責も視野
2007年11月16日00時56分

 防衛省の守屋武昌・前事務次官(63)は15日、参院外交防衛委員会での証人喚問で、軍需専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)=業務上横領などの容疑で逮捕=との宴席に額賀福志郎財務相と久間章生元防衛相が同席していたことを明らかにした。額賀、久間両氏は防衛庁長官経験者で、喚問終了後、いずれも「記憶にない」などと話した。民主党は衆院で両氏の証人喚問を求めるなど、国会での説明を要求。同党は現職閣僚である額賀氏の問責決議案の提出も視野に入れており、進退問題に発展する可能性もある。海上自衛隊の給油活動再開のための補給支援特措法案を、12月15日まで延長した今国会の会期内に成立させることは厳しい情勢となった。

 2度目となった証人喚問で守屋氏は、宮崎元専務との宴席に同席した2人の政治家の名前を初めて明らかにした。10月29日の衆院テロ対策特別委員会での証人喚問では、「名前をはっきり言うだけの自信と日付もわからないので、答弁を控える」として、名前は出さなかった。

 守屋氏の証言によると、額賀氏が出席した会合は一昨年くらいで、米国防総省のジェームズ・アワー元日本部長が来日した時に東京・神田の料亭で開かれた。守屋氏が出向くと、すでに宮崎元専務がおり、次いで額賀氏が顔を見せたが、最初に帰った。他の政治家も同席したという。

 久間氏が参加した宴席は2、3年前。旧防衛庁近くの東京・六本木の料亭で開かれた。日米の国防族議員らによる年2回のシンポジウムを主催する「日米平和・文化交流協会」の秋山直紀・常務理事から「大臣と飲むから来ないか」と誘われ、出向いたという。守屋氏が到着して間もなく久間氏は引き揚げ、その後は守屋氏、秋山氏、宮崎元専務の3人で飲んだという。話した内容は「覚えていない」と述べた。

 額賀氏は15日夕、財務省で記者団に「全く記憶にない。これまで宮崎氏や守屋氏から接待を受けたことはない」と全面的に否定。一方、久間氏は朝日新聞の取材に対し「3年ほど前の話なので、記憶に自信がない」としながらも、4人の会合については「あり得るかもしれない」と含みを持たせた。

 この日の喚問で守屋氏は、ヘリコプター装備品納入代金を山田洋行が水増し請求したとされる問題で、当時防衛局長だった守屋氏が担当課に電話をしていたとされる点について「記憶が一切ない」と述べた。

 また、次期輸送機(CX)のエンジン調達に絡み03年8月に開かれた装備品審査会議の段階で、山田洋行が米ゼネラル・エレクトリック社の代理店だったことを前回の証人喚問で「知らなかった」と答えていた問題についても改めて「当時の認識として一切記憶がない」と語った。

 ゴルフや飲食などの過剰な接待を受け続けていたことについては「それが刑事罰に該当するということであれば、逃れる考えは全くない」と述べた。そのうえで、石破防衛相から自主返納を求められていた退職金について「受け取る資格はない。返納する覚悟でございます。申し訳ございません」と返納に応じる考えを示した。

 政治家から契約関係で何らかの圧力を受けたことがあるかどうかも問われた。守屋氏は、建設関係で政治家から相談を受け、担当部署を紹介した記憶はある、と述べた。

 前回の証人喚問後に明らかとなった、同氏の側近とされる防衛政策局の課長(47)との不透明な資金のやり取りについても質疑があった。

 守屋氏の証言によると、10年前、父親から相続した山を売ってできた資金があり、この課長から「少し増やしてあげますよ。貸してください」と言われて、2500万円と2000万円の2回に分けて貸したという。

 しかし、返済が困難となり、5年ほどかけて何回かに分けて返済された、と説明した。上司・部下の間の巨額な貸し借りについて守屋氏は「金を増やしてあげるという言葉に乗った甘さがあった」と釈明した。

     ◇

 守屋氏が額賀、久間両氏の宴席同席を明らかにしたことを受け、民主党は15日夜、衆院テロ対策特別委員会で両氏の証人喚問を求める考えを自民党側に伝えた。民主党など野党は、現職閣僚である額賀氏が「記憶にない」と、守屋氏の証言と食い違う説明を繰り返してきたことを特に重視、額賀氏が財務相を続ければ「予算編成に支障が生じる」などとして、自発的な辞任も求める構えだ。

 これに対し、福田首相は15日夕、首相官邸で記者団に「額賀氏から『宮崎、守屋両氏から接待を受けたことはない。仮にその会合に出席していたとしても、誰が出席していたか覚えていない』という報告があった」と明らかにした。そのうえで「そういう会合に出ることは政治家としてよくあることだ」と述べ、説明責任を果たせば同席自体は問題ないという認識を示した。

 自民党は両氏の証人喚問には応じず、国会の委員会などで説明すればよいとの立場だが、与野党逆転の参院に舞台を移した補給支援特措法の審議に大きな影響を与えることは必至だ。

 与野党は19日の参院本会議での審議入りに向けて協議をしていたが、民主党は15日、証人喚問後の与野党の参院国対委員長会談で、「証人喚問の結果を受けて疑惑解明を徹底しなければ、給油新法に話が行ける状況でない」として、19日の審議入りには応じられないとの考えを伝えた。

 審議入りは早くても26日以降にずれこむ見通しで、12月15日の会期末までに十分な審議時間を確保することは困難な情勢だ。年末には来年度予算編成が控えており、政府・与党は疑惑の行方を見定めたうえで、再延長してでも今国会成立をめざすのか、継続審議などの道を探るのか、難しい判断を迫られることになる。

 民主党は額賀氏が辞任に応じない場合には、参院で問責決議案の提出も検討する構え。額賀氏は防衛庁長官時代の98年10月、同庁の装備品調達を巡る不祥事に絡み、参院で問責決議を可決され、辞任したことがある。額賀氏の進退問題に発展すれば、福田政権に深刻なダメージとなることは避けられない状況だ。」



(2) 朝日新聞平成19年11月16日付朝刊37面

 「覚悟決め「久間」「額賀」 守屋前次官「罰逃れない」
2007年11月15日20時44分

 覚悟を決めたのか。15日午後、参院の証人喚問にのぞんだ守屋武昌・前防衛事務次官(63)は、これまでかたくなに口をつぐんでいた政治家の名を一転して、明かした。一方、追及の矛先が防衛省全体に向けられると、涙ぐむ場面も。前次官を300回以上にわたってゴルフ接待していた軍需専門商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者(69)が東京地検に逮捕されてから1週間。守屋前次官は自らの「刑事責任」にも言及した。

 「あの、それでは、あの申し上げますけども、えー、久間先生と、あの、額賀先生ではなかったかと思っております」

 午後1時に証人喚問が始まって40分近くが過ぎたころだった。守屋前次官が、山田洋行の宮崎元専務と一緒だった宴席に同席していた政治家として、久間章生・元防衛相と、元防衛庁長官の額賀福志郎・財務相の名前を挙げると、委員会室が一瞬静まりかえった。

 冒頭の答弁はのらりくらりだった。「宮崎さんに確認しないで、えー、私が、あのー、政治家の方のお名前を申しますとですね、その方にご迷惑をおかけすることになりますので、軽々にお名前を申し上げるわけにはいかない」。10月29日に衆院で行われた証人喚問でも、「答弁を控える」だった。

 ところが、浅尾慶一郎委員(民主)に、「『思う』と付けていただいて結構」「包み隠さず証言するという宣誓と異なるのではないか」などとたたみかけられると、守屋前次官は両目をギュッと閉じた。苦渋の表情を浮かべた後、決意したかのように立ち上がって切り出した。

 額賀氏との会合は「はっきり覚えておりまして」と語り、場所が東京・神田の料亭だったことや、出席者が来た順番などを明かした。山本一太委員(自民)に「記憶は確かか」とただされても、否定しなかった。

 自らの職務権限や便宜供与に関する疑惑に話が及ぶと、「記憶にございません」を連発。省内で調達品を選ぶ「装備審査会議」での関与については、委員長に補足説明する機会を求め、各部隊で決められた装備品の選定方針を「覆すというのは、よほどのことがない限りはできない」と語気を強めた。

 宮崎元専務が逮捕されたことが影響したのか。この日の守屋前次官は覚悟を決めたかのように「責任」という言葉を何度も口にした。

 「今日の疑惑を起こした私の責任を逃れる考えは全くありません。それが刑事罰に該当するということであれば、それを逃れる考えは全くありません」。前次官は、退職金を返納する考えを示すとともに、自らが捜査の対象になっていることを示唆した。

 一方、防衛省全体の構造に問題があるのではないかという問いには、声を震わせて反論。「一生懸命仕事をしている多くの隊員が疑惑の目で見られることが私には一番つらい」「私のことをもって多くの隊員がそうであるふうにとっていただかないようお願いします」。懇願するような守屋前次官の目には、うっすらと涙が浮かんでいた。」



(3) 東京新聞平成19年11月16日付朝刊1面

 「額賀財務相久間元防衛相『記憶にない』
2007年11月16日 朝刊

 額賀福志郎財務相は十五日夕、防衛省の守屋武昌前事務次官が同日の参院外交防衛委員会で、防衛専門商社「山田洋行」の元専務宮崎元伸容疑者との宴席に額賀氏が同席していた、と証言したことについて「まったく記憶にない」と否定した。財務省内で記者団の質問に答えた。財務相はこれに加え「宮崎さんや守屋さんから接待を受けたことはない」と強調した。

 守屋氏は、ジェームズ・アワー元米国防総省日本部長を東京・神田の料理屋に招いた会合に、財務相が同席したと証言。財務相は「アワーさんとの会合に出席したようなことはまったくない」と否定。ただ、宮崎容疑者との接点について「会食は二人でやったことはない。数人とか多勢ではあると思う」と述べた。

    ◇

 自民党の久間章生元防衛相は十五日、守屋武昌前防衛事務次官が同日の証人喚問で、防衛商社「山田洋行」元専務の宮崎元伸容疑者との宴席に久間氏も同席したと証言したことについて「全く記憶にないが、全否定するほど記憶が確かでない。行政をゆがめたことはない」と述べた。共同通信社の電話取材に答えた。

 久間氏は「解離性大動脈瘤(りゅう)」のため、十月末から都内の病院に入院している。」




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2007/11/15 [Thu] 22:05:23 » E d i t
鳩山法相は、相変わらず、国民に対して警鐘を鳴らしていると胸を張っているようです。


1.まずは、どのような警鐘かというと、次のような記事を引用しておきます。

鳩山法相「治安に関する私の発言、うそは一つもない」
2007年11月11日00時30分

 鳩山邦夫法相が10日、自身の選挙区の福岡県久留米市で開かれた会合で「治安に関する私の発言に、うそは一つもない」と発言した。鳩山法相は「私の友人の友人はアルカイダ」発言が問題となり、釈明に追われたが、その後も「テロリストが日本をうろうろしている」と語るなど、波紋を呼ぶ発言を繰り返している。

 会合は地方の道路財源確保を求める福岡、佐賀両県の首長ら300人が参加した総決起大会で、鳩山法相は来賓として出席した。

 出席者や秘書によると、鳩山法相は来賓あいさつの中で「私の発言にうそはない」と語ったほか、「大臣として体を張って国を守る義務がある。そのために多少国民に警笛を鳴らして、お知らせしなければならない」などと強調したという。」(朝日新聞2007年11月11日00時30分




日本の市民の大多数は、鳩山法相は「福田内閣の笑いもの」という意識です。ところが、最近は、鳩山邦夫氏の言い分を正当化しようとするジャーナリスト(上杉隆氏)も出てきています。上杉氏は、週刊朝日において次のように書いています(なお、上杉隆氏は鳩山邦夫氏の元秘書)。

 「鳩山は、福田内閣における笑いものとさえなっている。だが、筆者はどうしても彼を笑えない。……それは、鳩山の語っていることがウソではないと知っているからだ――。(中略)

 鳩山主催の記者懇談会に参加した。場所は赤坂の「津つ井」。宴も半ば、鳩山の話のほとんどは役人に対する不満と怒りに変わっていた。「バリ島でのテロ情報を提供しても役人はまったく動かないんだ。防衛、外務などの担当者を呼んで警告をしておいてもだ。とくに、『モリヤ』という役人は『まあ、委員長、それはそれでこの法案ですが』なんて言って無視するんだ。日本国内にも危険が迫っているかもしれないというのに、いった、どういう神経をしているんだ」

 盛んに不安を煽っているように思えた。」(週刊朝日2007年11月23日号・ジャーナリスト上杉隆「官邸が封印する『アルカイダ情報』」21頁)

などと、鳩山氏の発言を引用して、守屋前事務次官がテロ情報を無視した事実があると仄めかし、「政府はこの事実を隠したいがために『テロ情報』のすべてを封印しようとしているのではないか」と、上杉氏は結論付けて、鳩山法相を擁護し、政府の対応を批判しています。


では、本当に官邸はテロ情報を封印しようとしているのでしょうか? 鳩山氏がもたらしたテロ情報を半ば無視した役人の対応は不当なものであり、鳩山法相の発言を真面目に受けとるべきなのでしょうか? 

この点について、東京新聞11月14日付「こちら特報部」で記事にしていましたので、次に紹介したいと思います。


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2007/11/14 [Wed] 20:18:43 » E d i t
「鳩山法相放言問題~死刑廃止団体が参加しての「死刑勉強会」も、いつもの陳情と変わらず……。」において、鳩山邦夫法相は11月9日、死刑制度の廃止を求めている保坂展人衆院議員(社民)や学者、市民団体関係者らを法務省に招いて意見交換し、元最高裁判事の団藤重光氏(94)の代理人が文書を手渡した、との記事を紹介しました。

「死刑廃止を唱えている元最高裁判事の団藤重光氏は、高齢のため代理人が出席。「死刑は日本の文化に合っている」とする鳩山法相の主張に対して「日本は伝統的に死刑を好まず、死刑を行わない時代が長かった」などとする文書を手渡した。」(朝日新聞平成19年11月10日付朝刊33面)



1.戦後(現在に至るまで)の刑事法学(刑法、刑事訴訟法)において、最も傑出した業績を残し多大な影響力を与えた人物は誰かと問われれば、ほとんどの研究者・法曹関係者が団藤重光博士と平野龍一博士を挙げるはずです。記事中では、「元最高裁判事」という肩書きのみですが、そんな肩書きが霞むほど団藤重光氏が刑事法学に残した業績は輝かしいものなのです。鳩山法相は、団藤重光氏がどれほど重きを置かれている人物か知らないのでしょうが、団藤氏がどんなメッセージを渡したのか、ぜひ知りたいと思っていました。

「保坂展人のどこどこ日記」さんは、「團藤重光さんから鳩山法相にあてたメッセージ」(2007年11月13日)において、この団藤重光氏のメッセージの全文を掲載していましたので、引用・紹介したいと思います。このメッセージは、東大准教授の伊東乾氏が、鳩山法務大臣との「死刑執行に関する勉強会」のために、団藤氏から聞き取ったものを文書化したものだそうです。




 「なぜ死刑は廃止されねばならないのか ―――死刑問題勉強会のために
 
日本は古来、死刑を行わない時代が長かったことを多くの国民は知っているでしょうか。昔の記録に残っています。平安時代、嵯峨天皇の810年に藤原仲成が誅されてから、「保元の乱」の勃発で1156年に再開されるまで、実に300年以上にわたって死刑は停止されていました。

そもそも唐から輸入された「律令」を手本に大宝・養老律令を制定したとき、日本では法定刑を中国よりも一、二等軽くしたものが多いのです。818年には盗犯について死刑を事実上廃止しています。

遣唐使を廃止し、日本ならではの文化が栄えた「国風文化」の時代、日本には死刑がありませんでした。日本の文化は古来、伝統的に死刑を好まず、忌まわしいものとして避けてきました。

これを、トマス・モアの時代の15,6世紀のイギリスと比べると、違いは顕著です。あちらでは無数の窃盗犯が片端から死刑になっていたわけですから、大変な差があります。

『保元物語』に「国に死罪を行えば、海内に謀反の者絶ず」とあるように、こうした死刑の長期停止には、殺生を戒め、慈悲を本旨とする仏教の影響もあるのかもしれません。

これは明治以後に西洋近代法学が輸入される直前までの、伝統的な日本文化全体に通じます。私は陽明学に深く影響を受けましたが、江戸時代初期の陽明学者、熊沢蕃山は

「君子の治世は殺を用いず」「仁君は法を乱すを慎みたまえ」「人を殺すに政をもってするは、刃より甚だし。刃は限りあり。不正の殺は限りなし」と語っています。

 死刑、つまり人間が人間を殺す刑罰は、法の名のもとに決して存在してはならない、という共通認識が、21世紀の今日、国際的に合意されています。EUを初め国連加盟国の大半が死刑を廃止し、フランスは2007年、憲法によって死刑を禁止しました。

なぜ死刑はあってはならないのか? 

それは要するに人間性に反するからです。生命は天の与えたもの、人間が決して作り出すことができないもので、これを人が奪うことは決して許されません。
死刑は大変にむごたらしい、きわめて残酷な刑罰です。
 
さらに学術的な二つの理由で、死刑はあってはなりません。

ひとつは裁く側の人間の可謬性です。人間に完全ということはない、必ず誤りを犯すのが人間であり、その人間が、取り返しのつかない死という刑罰を科すことはできません。

可謬性の問題は私の友人でナチス・ドイツの惨禍に遭われたユダヤ系科学哲学者、サー・カール・ライムント・ポパー博士が第二次世界大戦後に、詳細に論じています。
 
いまひとつは、裁かれる側の人間の主体性、すなわち悔悟による変化、矯正の可能性です。重い罪を犯した人が、悔い改めて聖人になる例も歴史上数多く存在しています。
   
そうした可能性をすべて奪う死刑は、あってはなりません。この「主体性理論」については、私の「死刑廃止論」第六版(有斐閣)で詳細に論じました。

 日本国憲法の下で死刑が合憲とされた最高裁判例は、戦争犯罪者に死刑を宣告する極東軍事裁判がまだ進行している昭和23年に、苦渋の元で下されたものでありました。

人が人を殺すことを容認することは、憲法を含め、あらゆる法律以前にあってはならないものです。これは各国別に異なる憲法によって定められるような水準の問題ではなく、もっと深い人間性に根ざすものです。

一国の憲法の制度がどうあろうとも、つまり日本で言うならば欽定憲法の時代でさえも、死刑は本来あってはならなかったものだと私は思います。旧憲法時代、私はまだ死刑廃止論には到達していませんでしたので、残念ながらそのような主張をしませんでした。しかし、大日本帝国憲法の下でも、死刑は廃止されねばならないものだったと思います。

 昨今、民心を寒からしめるような残虐な犯罪の報道を多く目にしますが、「汝、殺すなかれ」は個別の法を超えた絶対的な命題です。

これを国が率先してこそ、民心も安定します。EUを初めとする死刑廃止国の現状すべてが、その成功の証拠となっています。

 以上から、死刑は絶対的に廃止されなければならないものであると結論します。

2007年11月8日 94歳の誕生日に 団藤重光」


*上記文書は、11月9日、鳩山法務大臣との「死刑執行に関する勉強会」に筆者が準備の上、持参したものである。もし表記に瑕疵があれば、すべては筆者の責任である。(談・校正、聞き取り文責:伊東 乾)

 


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2007/11/13 [Tue] 17:26:03 » E d i t
11月9日、死刑執行のあり方をめぐる省内勉強会に、死刑制度の廃止を求めている保坂展人衆院議員(社民)や学者、市民団体関係者らを招いたとの報道がありました。「法相が死刑廃止派とこうした機会を持つのは異例」との評価もありましたが……。


1.まず、報道記事をいくつか。

(1) 朝日新聞平成19年11月10日付朝刊33面

「死刑勉強会」 廃止論を聴取  法相、議論続ける意向

 鳩山法相の指示で死刑執行のあり方をめぐる省内勉強会を設けている法務省は9日、「アムネスティ・インターナショナル日本」や「死刑執行停止連絡会議」など死刑廃止を訴える団体から意見を聴いた。同省が死刑廃止団体側から公式に意見を聞くのは極めて異例だ。

 勉強会は非公開。アムネスティの寺中誠事務局長や連絡会議代表世話人の菊田幸一・明治大名誉教授らが参加した。菊田氏は「まず終身刑導入について大臣と意見交換したい」。寺中事務局長は「絞首刑が苦痛のない処刑方法ということはない」と主張した。

 死刑廃止を唱えている元最高裁判事の団藤重光氏は、高齢のため代理人が出席。「死刑は日本の文化に合っている」とする鳩山法相の主張に対して「日本は伝統的に死刑を好まず、死刑を行わない時代が長かった」などとする文書を手渡した。

 鳩山法相は、今後も廃止団体側との議論を続ける考えを示したという。」




(2) 共同通信2007/11/09 13:04東京新聞2007年11月9日 13時04分

 「死刑廃止派招き意見交換 鳩山法相「粛々と執行」

 鳩山邦夫法相は9日、死刑制度の廃止を求めている保坂展人衆院議員(社民)や学者、市民団体関係者らを法務省に招いて意見交換した。法相が死刑廃止派とこうした機会を持つのは異例。

 終了後に記者会見した保坂議員らによると、イランでの公開処刑の写真を見せて「残虐な刑罰に当たる」と訴え、死刑と無期懲役の間に終身刑を設ける案を提示するなどしたのに対し、法相は「100年でも200年でも議論すべき問題だが、私の任期中は粛々と執行する立場だ」と答えたという。

 保坂議員は「30分しか時間がなかったので、あらためて機会を設けたい」と話し、死刑廃止論者として知られる団藤重光元最高裁判事と法相との面会も検討していることを明らかにした。

 鳩山法相は10月の衆院法務委員会で「死刑廃止論者の声を聴く機会を持ちたい」と表明していた。

2007/11/09 13:04 【共同通信】」




(3) 朝日新聞平成19年11月13日付朝刊11面「ウオッチ」欄

法相、責任ある発言を

 法務省は9日、省内で開いている「死刑執行に関する勉強会」に死刑廃止を訴える学識者や市民団体を参加させた。死刑の「自動化」を唱えた鳩山法相が「廃止論者の意見も聞いてみたい」と言ったのがきっかけだった。

 「陳情」ではなく、公式な場に招いて死刑廃止論と向き合う。確かに、画期的だ。「妄言」とも批判された発言から結果的に生まれた「成果」と言えなくもない。

 ただ、会合は30分ほどだった。出席者によれば、市民団体側の主張を法務省側が聞き置く、という構図で終わったようだ。これではいつもの陳情と変わらない。

 法務省が死刑執行のあり方を本気で検討し始めているかといえば、答えはノーだ。死刑廃止団体の参加も、法相が公言してしまったので「仕方なく」という姿勢。幹部の一人は「こんなものでいいなら、いつでもやるよ」と言う。

 自動化発言は妄言ではない――。鳩山法相は言い切る。であればこそ、この議論は責任を持って、真剣に進めてほしい。そうでなければ「発言の軽い大臣」の汚名はそそげない。(市川美亜子)」




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2007/11/09 [Fri] 23:59:11 » E d i t
不妊夫婦の子供を第三者の女性に産んでもらう、いわゆる代理出産について、社会的に認めてもよいと考える人は過半数に上ることが11月6日、厚生労働省が実施した意識調査で分かり、同日開かれた日本学術会議の委員会で報告されました。

つい最近も、諏訪マタニティークリニックの根津八紘院長の患者団体「二輪草の会」代表らが11月4日、日本学術会議の委員会や同学会に対して、代理出産や非配偶者間の体外受精を認めるよう要望書を送ったとのことです(時事ドットコム(2007/11/04-20:32 代理出産など容認要望=根津院長患者団体、日本学術会議に))。日本学術会議の検討委員会は、来年の1月に結論を出すことから、多くの情報が集約されつつあるようです。(後述する追記参照)。


1.まず、報道記事を。

(1) 日経新聞平成19年11月7日付朝刊38面

 「代理出産「容認」54%・厚労省が意識調査、「利用したい」も過半数

 病気などで子供を産めない女性の代わりに、第三者に子供を産んでもらう代理出産を「認めてもよい」と考える人は54%に達し、容認派が初めて半数を超えたことが6日、厚生労働省の生殖補助医療に関する国民意識調査でわかった。自分の場合でも半数が「利用したい」と回答。代理出産の是非などを議論する日本学術会議の検討委員会で同日、報告された。

 調査は今年2―3月、全国の20―69歳の男女5000人を対象に実施し、約3400人から回答を得た。代理出産のうち、受精卵を第三者の子宮に入れて産んでもらう方式について聞いた。

 一定の条件下で「認めてもよい」が54%で、「認められない」の16%を大幅に上回った。容認派は2003年の前回調査(42.5%)より増え、半数を超えた。

 代理出産をしてもらう第三者として望ましい人を聞いたところ、最も多いのは「本人の姉妹」で約4割を占めた。

 自分が子供に恵まれない場合に代理出産を利用したいかどうかでは、「利用したい」(9.7%)と「配偶者が賛成したら利用したい」(40.9%)を合わせると半数を上回った。

 調査期間中の3月、タレントの向井亜紀さん夫妻が米国で実施した代理出産による子供を巡り、最高裁が出生届を受理しない決定を出しており、同省は「(裁判なども)影響しているのではないか」とみている。

 代理出産以外の生殖補助医療については、第三者からの卵子提供による体外受精は容認が39.8%。第三者からの精子提供による人工授精も、国内での実績があるにもかかわらず、容認が38.1%にとどまった。

 代理出産は法律では禁止されていないが、日本産科婦人科学会が指針で禁じている。

 議論の高まりを受けて厚労省と法務省は昨年、代理出産などに関する審議を日本学術会議に依頼。同会議は来年1月をメドに報告書をまとめる予定だ。


▼代理出産

 <1>夫婦の精子と卵子を体外受精させ、第三者の女性の子宮に入れて産んでもらう「ホストマザー」<2>夫の精子を第三者の女性に人工授精する「サロゲートマザー」――の2方式がある。今回の調査は前者を対象にしている。

 支持する意見の一方、批判も根強く、「第三者を妊娠・出産に伴うリスクにさらす」「女性を生殖の道具にしている」「家族関係を複雑にする」などの声が出ている。

 国内では長野県の根津八紘医師が2001年に初の実施を公表した。03年に厚生労働省の審議会が「禁止すべきだ」とする報告書をまとめ、日本産科婦人科学会も指針で禁止したが、法制化はされなかった。」(11月06日22:24)」



(2) TBS News-i(11月06日18:01)

 「代理出産「認めて良い」初めて5割超す

 子供を生めない女性が他の女性に子供を産んでもらう「代理出産」について、厚生労働省が国民の意識調査を行ったところ、「認めて良い」という人が4年前より増加し、5割を超えたことがわかりました。

 調査は、厚労省が今年2月から1か月間、20歳から69歳の5000人を対象に行い、およそ3400人から回答が寄せられました。

 それによりますと、「代理出産」について「認めて良い」という人は4年前は42.5%だったのに対し、今回の調査では54.0%と増えて、初めて5割を超えました。

 「認めて良い」とする理由については、子宮を摘出した女性が自分たちの子供が持てる(71.5%)が最も多く、次いで病気などで体が弱くて子供がが産めない女性が自分の子供を持てる(68・5%)、本人達がやりたいのであれば良いと思う(49.6%)でした。

 しかし、自分自身あるいは自分の妻が子供に恵まれない夫婦のために代理出産してもよいかと尋ねたところ、女性のおよそ42%と男性の36%が「どんな場合もしたくない」と回答しました。

 この結果は、「代理出産」について法的な規制を設けるか検討している日本学術会議の「生殖補助医療のあり方検討会」に報告され、検討材料の一つとなります。(06日18:01)」



(3) YOMIURI ONLINE(2007年11月6日22時10分)

 「第三者の精子・卵子、生殖補助医療で「認める」は減少傾向

 夫婦以外の第三者の精子や卵子を用いた生殖補助医療を認めてよいと考えている人は減少傾向にあることが、厚生労働省が今年実施した国民意識調査で明らかになった。

 逆に、夫婦の受精卵を第三者の女性の子宮に移植する代理出産(借り腹)については、4年前の前回調査より大幅に増えて半数を超えた。親子の遺伝的な関係を重視する国民の意識が背景にあるとみられる。

 調査結果によると、夫が不妊の場合に第三者の精子を用いる人工授精について、容認派は38・1%にとどまり、1999年、2003年の調査に比べ約9ポイント減少した。この方法は日本産科婦人科学会の会告(指針)で認められているが、今回の調査では27・0%が「認められない」とした。

 また、第三者の卵子と夫の精子を用いた体外受精と、精子と卵子がともに第三者のものである受精卵を用いた治療についても、容認派はそれぞれ39・8%、27・8%にとどまり、調査のたびに減少する傾向が見られた。

 一方で、同学会が禁止している代理出産を容認する人は過半数の54・0%に達し、「認められない」とする人は16・0%にとどまった。厚労省は「米国で代理出産を依頼した人の親子関係を巡る裁判などが話題になったことが影響した」とみている。

 調査は今年2~3月、20~60歳代の男女5000人を対象に実施し、3412人(68・2%)が回答。生殖補助医療のあり方を検討している日本学術会議の検討委員会で6日、報告された。

(2007年11月6日22時10分 読売新聞)」




(4) 毎日新聞平成19年11月7日付朝刊3面

 「代理出産:「容認」初の過半数 妊娠、出産への理解度で差

 厚生労働省は6日、国民の代理出産に対する意識調査の結果を、同日開かれた日本学術会議の生殖補助医療のあり方検討委員会に報告した。代理出産は日本産科婦人科学会の指針で禁止されているが、「一般に認めてもよい」と答えた人が54%と、99年に同様の調査を始めて以来、初めて半数を超えた。ただ、妊娠・出産の危険性を理解していない人に容認する傾向が強く、代理出産をめぐる最高裁の決定などが社会的な話題になったことにより、一般の関心が高まったことが影響しているとみられる。

 調査は今年2~3月、20~69歳の男女5000人を対象に実施し、3412人(68.2%)から回答を得た。

 不妊の夫婦に代わり他の女性が妊娠、出産する代理出産について、「利用したい」という人が9.7%と、前回調査(03年)より2・5ポイント増えた。「配偶者が望めば利用したい」という人を含めると50.6%と、半数を超えた。また、「社会的に認めてよい」と答えた人は54%に達し、99年調査の43%、03年調査の42.5%から大きく増えた。

 一方、自分や自分の妻が他人のために代理出産に協力することは、「どんな場合もしたくない」という人が約4割いた。

 代理出産では、妊娠・出産という負担を他人に任せる点が問題とされる。妊娠・出産の負担に対する理解度が低い回答者が代理出産を容認する率は、理解している回答者の1.3倍になった。年齢別でも、20歳代の人が容認する率は、それ以上の世代の人より1.6~4倍も高かった。

 代理出産をめぐっては、昨年秋、長野県のクリニックで、祖母が孫を産む治療が実施されたことが明らかになった。また、タレントの向井亜紀さん夫妻の代理出産で生まれた双子をめぐる最高裁決定などがあり、メディアで多く取り上げられた。

 一方、第三者の精子や卵子、受精卵を使う不妊治療については、「利用したい」や「一般に実施を認めてよい」という人が、いずれも前回調査に比べて減少した。調査を担当した山縣然太朗・山梨大教授は「『夫婦二人の子ども』にこだわる傾向が強まり、代理出産を容認する人が増え、第三者の配偶子を使う不妊治療が避けられる結果になったようだ。ただ、妊娠・出産の危険性を理解していない人や、若い世代に代理出産を容認する声が多く、結果については慎重な分析が必要だ」と話している。【永山悦子】

毎日新聞 2007年11月6日 22時49分」



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2007/11/08 [Thu] 23:59:41 » E d i t
民主党の小沢一郎代表は11月7日午後、党本部で開かれた両院議員懇談会で「この体にもう一度ムチを入れ、次期衆院選に政治生命のすべてを懸け、全力で戦い抜き、必ず勝利する決意をした」と、辞意を撤回し、続投する意向を正式に表明、拍手で了承されました。


1.まず、小沢代表が辞意撤回を正式に表明したとの記事を。

(1) 朝日新聞平成19年11月8日付朝刊1面

 「小沢代表「総選挙に政治生命」 続投を正式に表明
2007年11月08日01時33分

 民主党の小沢代表は7日、党両院議員懇談会で「政治生命を総選挙にかけると決意した。もう一度、代表を務め、最後の決戦にあたりたい」と述べ、辞意撤回を正式表明した。続く記者会見で総選挙前の連立協議入りを否定し、対決路線に戻る考えを示した。これを受けて、政府・与党は今国会の会期を12月半ばまでの35日程度延長する方向で最終調整に入った。自衛隊の給油活動を再開するための補給支援特措法案は衆院で再議決して成立させるべきだとの意見が強まっている。

 小沢氏は懇談会で「党首会談をめぐり、国民、民主党支持者らに多大の迷惑をかけたことをおわびする」と陳謝。福田首相との党首会談を踏まえて「大連立」を党執行部に提案した理由については「政権の一翼を担えば主要政策が実現し、政権担当能力を目に見える形で国民に示し、総選挙で勝つ可能性が高まると考えた」と説明した。

 そのうえで小沢氏は、今後は次の総選挙での勝利に党代表として政治生命をかける考えを表明。7日に衆院選挙対策本部を立ち上げ、党の選挙態勢作りを本格化させる方針を明らかにした。

 続く記者会見では「連立問題のことは考えずに総選挙で頑張る、と。みんなの総意もそうだったので、ただひたすら総選挙に向けて全力で頑張る」と述べ、総選挙前に再び連立構想を持ち出す考えはないことを強調。首相との党首会談についても「基本的には今後、やるようなことにはならないと思う」と否定した。また、当面の焦点となる補給支援特措法案への対応は「基本的な考え方の違いだから、足して2で割る考え方は通じない」と述べ、反対する考えを改めて示した。

 一方、与党は民主党が対案をまとめたことを踏まえ、7日の衆院テロ対策特別委員会理事会で特措法案の修正協議を民主党に呼びかけたが、民主党側は拒否。これを受けて特措法案の今国会成立に向け、審議を急ぐ方針を固めた。

 提案していた7日の衆院委員会採決は先送りしたものの、10日に会期末を迎える国会を延長し、週明けに衆院通過を図る構えだ。参院での審議時間を確保するとともに、参院否決後に衆院で再議決し、3分の2以上の賛成で成立させることも見据え、延長幅は12月半ばまでの35日前後を軸に最終調整をしている。当初は1カ月程度の延長を検討していたが、衆院の通過が1週間程度ずれ込んだことが影響した。

 小沢氏の辞任騒動で民主党が党勢立て直しを迫られることから、衆院で再議決を強行しても「参院で首相の問責決議案を出す余裕はない」(首相周辺)との見方が政府・与党内で強まっている。問責決議案が提出されれば解散に踏み切る構えを見せつつ、民主党の対応を見極め、再議決に踏み切るかどうか政府・与党は最終的に判断する。」




(2) 「大連立」は究極の対話路線だったのですが、この「大連立」構想否定、代表辞任騒動の結果、対決路線の方向になりました。今回の騒動の裏には、読売新聞による政治謀略が行われていた以上、対話路線採用は難しくなったともいえます。

「続く記者会見で総選挙前の連立協議入りを否定し、対決路線に戻る考えを示した。これを受けて、政府・与党は今国会の会期を12月半ばまでの35日程度延長する方向で最終調整に入った。自衛隊の給油活動を再開するための補給支援特措法案は衆院で再議決して成立させるべきだとの意見が強まっている。」


議会制民主主義においては、国会審議は常に妥協が求められます。ですから、ドイツのメルケル政権が「大連立」を実施しているように「大連立」が全く認められないという報道(毎日新聞)もおかしな話でしたし、特に、「ねじれ国会」では自民民主両党の法案をスムーズに成立させるためには、妥協が必要だったのです。今回の騒動の結果、対決路線を採らざるを得ないとしても、果たしてよかったのでしょうか、国民にとって。

小沢氏が説明したように、大連立により「政権の一翼を担えば主要政策が実現」するのであり、もし大連立が成立すれば予算成立前の成立である以上、来年度から実施できるため(「筑紫哲也ニュース23」11月8日放送の「民主党・小沢代表と筑紫哲也氏の会談より)、これは国民の利益になることなのです。国民にとっては、政権交代は今の状況を改善するための手段であって、目的ではないのです。

毎日新聞は「日本中を驚かせた大連立騒動」(11月8日付「社説」)などと書いていますが、ドイツのメルケル政権で大連立が行われており、読売新聞はすでに8月16日付「社説」で自民民主両党の大連立を説いていたのですから、驚くほどのことではないです。「大連立」自体は決して否定すべきものではないのですから(「福田首相が「大連立」を打診~民主党は拒絶。挙句、小沢代表は代表辞任へ……。」参照)。

大連立構想に勝手に驚いて右往左往したのは日本の報道機関(朝日新聞、日経新聞)であり、市民の側は冷静だったと思います。「日本中を驚かせた」なんて、捏造報道は止めてほしいものです。



(3) 今回の大連立・小沢代表辞任騒動により、次期選挙に関して蔓延していた民主党議員の楽観ムードがなくなったと思います。民主党議員は、身を入れて選挙対策を行い、何が国民のための政治になるのか、よく考えてほしいものです。

「小沢氏は、今後は次の総選挙での勝利に党代表として政治生命をかける考えを表明。7日に衆院選挙対策本部を立ち上げ、党の選挙態勢作りを本格化させる方針を明らかにした。
 続く記者会見では「連立問題のことは考えずに総選挙で頑張る、と。みんなの総意もそうだったので、ただひたすら総選挙に向けて全力で頑張る」と述べ、総選挙前に再び連立構想を持ち出す考えはないことを強調。」



衆参両院議員懇談会では、仙谷由人元政調会長は「小沢代表と議員団の間のコミュニケーションがとれているように思われても、それは表層的なもの」と、小沢氏に詰め寄っていましたが、小沢代表の責任であるとは思えません。民主党議員団は国民の代表者であり、代表であろうと対話をする義務を国民に対して負っているのですから、民主党議員団が何も言わない方が悪いのです。コミュニケーション不足は小沢代表のせいではなく、民主党議員の側に問題があるというべきです。仙谷由人元政調会長の文句は、議員にあるまじき甘えにすぎないのです。

「郵政」で動けぬ民主党
政治部 小嶋誠治(6月27日)

 郵政民営化法案をめぐる国会審議が終盤に近づくなか、民主党の存在感が薄い。郵政民営化は政府と自民党の対立構図が基本で、黙ったままでは民主党は絡めない。それなのに対案提出を見送るという。郵政問題で民主党は自らを「蚊帳の外」に置こうとしているように見える。

 今国会の会期延長を議決する17日夜の衆院本会議に先立ち、民主党は党本部で両院議員懇談会を開いて郵政民営化法案への対応を協議した。

 「国民にわかりやすく説明できる対案を考えてほしい」。都連選挙対策委員長である末松義規氏が訴えると、白眞勲氏ら若手から賛同の声が続出した。だが、仙谷由人政調会長は「今国会は対案を出さずに政府に対峙(たいじ)する」とあくまで慎重だった。(以下、省略)」(日経新聞平成18年6月27日付「風向計」


仙谷議員は、今回の騒動において小沢批判の筆頭に挙がる人物でした。しかし、今回の騒動が読売新聞による政治謀略であることが分からず、「大連立」の意義も分からずに、批判を繰り広げたのですから、仙谷議員の政治センスのなさは、郵政民営化選挙当時と一向に変わらないのです。 仙谷議員は、郵政選挙当時の失敗をまた繰り返すつもりでしょうか。小沢代表が次期選挙で民主党が勝てるのかどうか、危機感を抱くのも無理もないのです。


忘れてはならないことは、今回の騒動の仕掛け人は渡辺読売会長であり、それと一体となって行動したのが自民党なのです。国民の側が非難を向ける相手は、小沢代表ではなく、渡辺読売会長と自民党なのです。



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2007/11/07 [Wed] 23:59:40 » E d i t
11月6日、2007年版犯罪白書が閣議に報告されました。

今年の犯罪白書の特集テーマについては、19年ぶりに「再犯者の実態と対策」を選んでおり、その分析結果によると「再犯者」による犯罪は犯罪件数の6割近くを占めていました。白書によると、1948年から06年までに有罪が確定した人の中から過失犯や交通犯を除いた上、100万人を無作為に抽出し、この100万人が起こした計約168万件の犯罪を調査した結果、57.7%が再犯によるものだったとなっています。そのため、再犯防止対策が重要になってきたということです。

もう1点重要なことは、4年連続で刑法犯の認知件数が減少していることです。いわゆる「体感治安」は悪化しているかもしれないが、現実的には治安の悪化という結果になっていないということです。

「昨年1年間の刑法犯の認知件数は287万7027件(前年比7・9%減)で、戦後最多だった02年から4年連続の減少となった。刑法犯の検挙者数は124万1358人(同2・9%減)で、検挙率は51%(同2・8ポイント増)だった。白書では刑法犯の減少について「窃盗犯の減少が要因」と分析する一方で、暴行、傷害事件が増加傾向や高水準にあることを指摘している。」(読売新聞平成19年11月6日付夕刊1面


以下、詳しく見てみることにします。


1.まず報道記事について。

(1) 朝日新聞平成19年11月6日付夕刊14面

 「「再犯者」の犯罪、全件数の6割に 犯罪白書
2007年11月06日11時13分

 罪を犯した後で再び罪を重ねる「再犯者」による犯罪は犯罪件数の6割を占める――。法務省は6日に公表した今年の「犯罪白書」に、こんな分析結果を掲載した。「少数の者によって多数の犯罪が引き起こされている」と指摘。社会に出た後に仕事に就くための支援や、更生を見守る「保護観察」を充実させることで再犯を防ぐ必要があると訴えている。

 ここ数年間、奈良の女児誘拐殺害事件や愛知県安城市の乳児殺害など再犯者による凶悪事件が相次ぎ、法務省は犯罪白書の特集テーマに「再犯者」を選んだ。

 調査は同省の法務総合研究所が実施した。故意で罪を犯して48年から06年の間に刑が確定した100万人を無作為抽出して調査。このうち再犯者は29%だった。その一方、100万人による犯罪計168万件のうち58%が再犯者による犯罪で、初犯者に比べて数が少ない再犯者が半数以上の犯罪を起こしている実態が浮かび上がった。

 2回の罪を重ねた再犯者による犯罪が最多の18%で、3回が10%、4回の7%と続く。10回以上の罪を重ねた人による犯罪も6%あった。

 罪の種類別の再犯率は、初犯で窃盗を犯した人が再犯に至った割合が45%、覚せい剤取締法違反は42%、傷害・暴行は33%だった。年代別では、初犯時の年齢が65歳以上の人は16%が6カ月以内、31%が1年以内に再び罪を犯していることもわかった。どの年齢層よりも高い数値だった。

 法総研は「覚せい剤や窃盗は何度も同じ罪を繰り返す傾向が強く、特別な指導が重要。特に窃盗は8割が無職で就業支援の必要性がある」「高齢者は就業が難しく、生活苦や居場所のなさから罪を重ねる場合が多い」と分析している。」



(2) 東京新聞平成19年11月6日付夕刊2面

 「戦後の犯罪、6割が再犯  若年ほど繰り返す 100万人調査07年犯罪白書

 戦後に刑事裁判で有罪が確定した100万人による犯罪を調べた結果、総数の6割近くが再犯だったことが、6日の閣議に報告された法務省の2007年版犯罪白書で分かった。初犯時に若い人ほど再犯傾向が強いことも判明。白書は「犯罪の要因を解明し、継続的な対策を行う必要がある」と指摘している。

 白書によると、1948年から06年までに有罪が確定した人の中から過失犯や交通犯を除いた上、100万人を無作為に抽出。この100万人が起こした計約168万件の犯罪を調査した結果、58%が再犯によるものだった。

 最初に犯した罪別の再犯率を見ると、最も高いのは窃盗の45%で、次いで覚せい剤取締法違反42%、傷害・暴行33%、強盗と強姦がともに32%―の順。

 同一罪での再犯は、窃盗と覚せい剤取締法違反がいずれも29%、傷害・暴行も21%で、こうした犯罪を繰り返す人が多い実態が浮き彫りになった。

 また、初犯時の年齢層別の再犯率は、20代前半が41%と特に高く、以下、20代前半23%、30代前半23%、同後半18%と、年齢が上るにつれ低くなっていた。

 余命が長いほど再犯が多いという要因はあるが、初犯後5年以内に限っても、20代前半の再犯率は最近も25%前後の高水準で推移しており、若年犯罪者の更正が進んでいないことがデータで裏付けられた形だ。

 一方、10犯以上の「多数回再犯者」を年齢別に見ると、最後の裁判時に60歳以上だった人の割合は、1990年に11%だったのが、05年は40%にまで上昇。高齢者自体の増加に加え、雇用環境の悪化などが影響しているとみられる。」



(3) 日経新聞平成19年11月6日付夕刊17面

戦後の犯罪、6割再犯・07年版犯罪白書

 戦後、刑事裁判で有罪が確定した100万人による犯歴を調べたところ、全犯罪件数の6割近くが再犯(2犯以上)だった実態が、6日に閣議報告された「2007年版犯罪白書」で分かった。20歳代と高齢者の再犯率が高いことも判明。白書は「初犯者が次の犯罪に至るのを防ぐことが重要」と指摘、年齢など特徴に応じた防止策を求めている。

 今回の白書のテーマは「再犯者の実態と対策」。1948年から2006年までの間で、交通犯や過失犯を除いて無作為に抽出した100万人の犯歴計約168万件を分析した。

 その結果、全体の57.7%が再犯で、再犯者が犯歴者全体(100万人)の28.9%を占めていた。約3割の再犯者が全犯罪の約6割を起こしたことになる。

 白書は年齢層別の犯罪実態も調査した。再犯者の初犯時の年齢をみると、全体の42.9%が20―24歳、25―29歳が19.0%で、20歳代だけで6割以上を占める結果が出た。

 さらに初犯時に20―24歳だった年齢層は、約47%が2年以内に2回目の犯罪に至っていることが判明。25―29歳も37.9%となっており、特に若年層(20歳代)で再犯までの期間が短いことが明らかになった。

 高齢者の再犯までの期間も同様に短く、初犯者のうち2年以内に再び罪を犯したのが60―64歳の場合で63.8%、65歳以上で75.5%に達していた。

 初犯の罪名で再犯率をみると、窃盗犯が最も高く、44.7%が再び何らかの犯罪に手を染めていた。覚せい剤取締法違反の犯歴者も再犯率が41.6%と高い水準だった。

 調査結果を踏まえ、白書は「年齢や罪種など再犯者の特性に応じた対策が必要」と分析。特に2回目の犯罪を防ぐために「再犯の可能性にも留意して捜査や公判を行い、適正な刑罰を科すことが重要」などと指摘し、刑務所や保護観察所での処遇改善の必要性についても提言した。」



罪名の種類ごとの再犯率が一番犯罪傾向が分かりやすいので、それも挙げておきます。これは、朝日新聞と東京新聞が犯罪白書を元に作成した図表を併せたものです。

◆罪の種類ごとの再犯率

・窃盗――45%(29%)<16%>
・覚せい剤取締法違反――42%(29%)<13%>
・傷害・暴行――33%(21%)<12%>
・強盗――32%(2%)<30%>
・強姦――32%(3%)<29%>
・詐欺――30%(11%)
・風営法違反――29%(21%)
・強制わいせつ――24%(7%)
・放火――20%(4%)
・殺人――17%(1%)

*( )内は初犯と同じ罪で再犯した率で、< >内は1件目と異なる罪で再犯した率。小数点以下は四捨五入」





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論評 *  TB: 0  *  CM: 2  * top △ 
2007/11/06 [Tue] 23:59:49 » E d i t
辞職願を提出していた民主党の小沢代表は、11月6日夜、鳩山由紀夫幹事長らに「もう一度がんばりたい」と語り、辞意を撤回する意向を伝えたようです。7日に両院議員懇談会に出席して経過を説明したうえで、記者会見して正式に表明するそうです。これで、小沢氏の代表辞任騒動は一応の決着を見たことになります。

いまさらになりますが、民主党の小沢代表が11月4日に行った辞任表明会見の内容で気になったのは、猛烈なマスコミ批判です。


1.まず、辞任表明記者会見の全文を紹介します。

(1) asahi.com(2007年11月04日18時48分)

小沢氏「混乱にけじめ」 「報道に憤り」とも 会見全文
2007年11月04日18時48分

 民主党の小沢代表が4日、開いた辞意表明会見での全発言は以下の通り。(別に質疑応答での全発言)

 民主党代表としてけじめをつけるに当たって私の考えを述べたい。福田総理の求めによる2度にわたる党首会談で、総理から要請のあった連立政権樹立を巡り、政治的混乱が生じた。民主党内外に対するけじめとして、民主党代表の職を辞することを決意し、本日、辞職願を提出し、私の進退を委ねた。

 代表の辞職願を出した第1の理由。11月2日の党首会談において、福田総理は、衆参ねじれ国会で、自民、民主両党がそれぞれの重要政策を実現するために連立政権をつくりたいと要請された。また、政策協議の最大の問題である我が国の安全保障政策について、きわめて重大な政策転換を決断された。

 首相が決断した1点目は、国際平和協力に関する自衛隊の海外派遣は国連安保理、もしくは国連総会の決議によって設立、あるいは認められた国連の活動に参加することに限る、したがって特定の国の軍事作戦については、我が国は支援活動をしない。2点目は、新テロ特措法案はできれば通してほしいが、両党が連立し、新しい協力体制を確立することを最優先と考えているので、あえてこの法案の成立にこだわることはしない。

 福田総理は以上の2点を確約された。これまでの我が国の無原則な安保政策を根本から転換し、国際平和協力の原則を確立するものであるから、それだけでも政策協議を開始するに値すると判断した。

 代表の辞職願を出した第2の理由。民主党は、先の参議院選挙で与えていただいた参議院第一党の力を活用して、マニフェストで約束した年金改革、子育て支援、農業再生を始め、国民の生活が第一の政策を次々に法案化して、参議院に提出している。しかし、衆議院では自民党が依然、圧倒的多数占めている。

 このような状況では、これらの法案をすぐ成立させることはできない。ここで政策協議をすれば、その中で、国民との約束を実行することが可能になると判断した。

 代表辞任を決意した3番目の理由。もちろん民主党にとって、次の衆議院選挙に勝利し、政権交代を実現して国民の生活が第一の政策を実行することが最終目標だ。私も民主党代表として、全力を挙げてきた。しかしながら、民主党はいまだ様々な面で力量が不足しており、国民の皆様からも、自民党はだめだが、民主党も本当に政権担当能力があるのか、という疑問が提起され続けている。次期総選挙の勝利はたいへん厳しい。

 国民のみなさんの疑念を一掃させるためにも、政策協議をし、そこで我々の生活第一の政策が採り入れられるなら、あえて民主党が政権の一翼を担い、参議院選挙を通じて国民に約束した政策を実行し、同時に政権運営の実績も示すことが、国民の理解を得て、民主党政権を実現させる近道であると判断した。

 政権への参加は、私の悲願である二大政党制に矛盾するどころか、民主党政権実現を早めることによって、その定着を実現することができると考える。

 以上のような考えに基づき、2日夜の民主党役員会で福田総理の方針を説明し、政策協議を始めるべきではないかと提案したが、残念ながら認められなかった。

 それは、私が民主党代表として選任した役員から不信任を受けたに等しい。よって、多くの民主党議員、党員を指導する民主党代表として、党首会談で誠実に対応してもらった福田総理に対しても、けじめをつける必要があると判断した。

 もう一つ。中傷報道に厳重に抗議する意味において、考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。

 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。

 それにもかかわらず事実無根の報道がはんらんしていることは、朝日新聞、日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それによって、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な中傷であり、強い憤りを感じる。

 このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。

 また、自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身に問うてもらいたい。

 報道機関には、冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。」



(2) 全文の文字数のうち、辞任に関しては1350文字、「中傷報道」批判に関しては666文字ですから、「中傷報道」批判に費やした文面は、全体のほぼ3分の1にも及んでいるのです。ですから、形式上は辞任表明会見ではあっても、報道批判するために記者会見をしたといってよいほどです。

「中傷報道」批判部分について取り出しておきます。

「もう一つ。中傷報道に厳重に抗議する意味において、考えを申し上げる。福田総理との党首会談に関する報道について、報道機関としての報道、論評、批判の域を大きく逸脱しており、強い憤りをもって厳重に抗議したい。特に11月3、4両日の報道は、まったく事実に反するものが目立つ。

 私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけたとか、今回の連立構想について、小沢首謀説なるものが社会の公器を自称する新聞、テレビで公然と報道されている。いずれもまったくの事実無根。党首会談、および会談に至るまでの経緯、内容について、私自身も、そして私の秘書も、どの報道機関からも取材を受けたことはなく、取材の申し入れもない。

 それにもかかわらず事実無根の報道がはんらんしていることは、朝日新聞、日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し、自らその世論操作の一翼を担っているとしか考えられない。それによって、私を政治的に抹殺し、民主党のイメージを決定的にダウンさせることを意図した明白な中傷であり、強い憤りを感じる。

 このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機であると思う。報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らかだ。

 また、自己の権力維持のため、報道機関に対し、私や民主党に対する中傷の情報を流し続けている人たちは、良心に恥じるところがないか、自分自身に問うてもらいたい。

 報道機関には、冷静で公正な報道に戻られるよう切望する。」



「このようなマスメディアのあり方は、明らかに報道機関の役割を逸脱しており、民主主義の危機である」ということだけでも厳しい言い方なのに、それだけでなく、「報道機関が政府与党の宣伝機関と化したときの恐ろしさは、亡国の戦争に突き進んだ昭和前半の歴史を見れば明らか」とまで言うのですから、強烈な報道批判です。



(3) 小沢代表が、「朝日新聞、日経新聞を除き、ほとんどの報道機関が、自民党の情報を垂れ流し」と批判していることから、誰しもがすぐに分かるとは思いますが、自民党の情報を垂れ流していたと批判を受けたのは、読売新聞と毎日新聞です。この2社は、自覚があるため反論を行っています。

小沢氏は真実を語れ

 実に理解に苦しむ発言である。

 民主党の小沢代表は4日の記者会見で、辞任表明に続けて報道機関への批判を展開した。「私の方から党首会談を呼びかけたとか、私が自民、民主両党の連立を持ちかけた」などの報道は「全くの事実無根だ」というのだ。

 党首会談は小沢氏の方から持ちかけたもので、「大連立」構想も小沢氏の提案だった、といった点は読売新聞も報道した。小沢氏の批判がこれを指すのであれば、「事実無根」などと批判されるいわれは全くない。

 いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており、確実な裏付けを取ったうえでの報道だ。(中略)(政治部長 赤座弘一)」(読売新聞(2007年11月5日1時35分)




小沢・民主代表:辞意表明 奇計が生む国民の悲劇=政治部長・小松浩

◇あるはずもない「情報垂れ流し」

 我々メディアにとって今回の大連立協議の真相をやぶの中で終わらせることは、読者に不誠実な態度である。毎日新聞は両者の関係者の取材を踏まえ、国際貢献の恒久法を巡る福田、小沢両氏の合意などを正確に報じてきた。とりわけ「小沢首謀説」にかかわる記事は、情報源を明示し、双方の言い分を掲載している。「情報垂れ流し」や「世論操作」の意図が、あるはずもない。政治史に残る動きを、さまざまな情報を基に積極的に伝えるのは、報道機関の当然の責務と考える。

 小沢氏はメディア報道に事寄せて反論した。そこに、権力ゲームを長年にわたって続けてきた小沢氏の、政治家としての限界を垣間見る。

 奇計・奇略による合従連衡劇は、有権者に政治への無力感を植えつけるか、再びかつての乱暴な劇場型政治に引き戻すことになりかねない。それは政治の喜劇、国民の悲劇ではないか。

毎日新聞 2007年11月5日 東京朝刊」(毎日新聞平成19年11月5日付朝刊1面



読売新聞の渡辺恒雄グループ本社代表取締役会長が、「大連立」構想を念頭において党首会談の仕掛け人であるのですから、渡辺氏自身が、福田首相側から党首会談や「大連立」を持ちかけたという真相を知っているのに、新聞記事では全く異なる記事にするのです。8月16日の読売新聞の社説では、参院選の自民党惨敗(ざんぱい)を受けて、自民、民主両党に大連立を説いていたのですから(朝日新聞平成19年11月6日付夕刊2面「窓」)、読売新聞の渡辺氏が主導的に行っていたのは明白なのです。

このように、読売新聞は、真相を知っていて捏造記事を書くのですから、確信犯です。民主党側は首脳会談の中身はほとんど小沢代表しか知らなかったのですから民主党側からの情報はないことも考慮すれば、反論記事中では「いずれも首相周辺をはじめ多くの関係者が証言しており」という記述なのですから、ほとんど首相側からの情報を垂れ流したことを自白しています。


これに対して、毎日新聞は、記者には事の真偽を判断するだけの能力がないため、自民党の情報を垂れ流してしまったのです。「党首会談では、民主党に振り分けられる財務相など閣僚ポストまで話し合われた」(毎日新聞11月4日付)などと、あまりにも荒唐無稽な内容を記事にするのですから。

毎日新聞は元々、政治記事を書くだけの知識・情報が著しく不足しています。「大連立」はドイツのメルケル政権でも行われており、「大連立」構想自体は国際的にも政治判断として否定すべきものではないのに、「大連立」構想を「奇計・奇略による合従連衡劇」と全面否定しまうほど愚かなのです。この反論記事は、政治部長の署名記事なのですから、政治部長もメルケル政権のことを知らないのです。全く呆れ果ててしまいます。


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2007/11/04 [Sun] 19:43:33 » E d i t
福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表は11月2日午後、国会内で2度目の党首会談を行い、福田首相は民主党との連立協議を打診しました。衆院で与党、参院で野党が多数を占める「ねじれ国会」下で、法案審議が滞っている状況を打破するため、首相は自衛隊海外派遣を随時可能にする恒久法を制定することも提案したのですが、小沢氏はいずれも回答を留保し、民主党は2日夜、役員会を開いていずれも拒否することを決定し、小沢氏はこの後、首相に拒否の意向を伝えた。これで大連立は頓挫したわけです。 


1.まず、報道記事から。

(1) 朝日新聞平成19年11月3日付朝刊1面

首相が連立打診、民主拒絶 協議も「反対」
2007年11月02日23時28分

 福田首相は2日、民主党の小沢代表と会談し、自民、公明両党と民主党による連立政権樹立に向けた政策協議を始めることを提案した。さらに、小沢氏のかねての主張でもある、そのつど特別措置法を定めなくても自衛隊の海外派遣を可能にする恒久法(一般法)の検討を条件に、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための補給支援特措法案への賛成を求めた。しかし、小沢氏は会談後、党役員会に諮ったうえで「(連立協議は)受諾できない」と、首相に正式に回答。首相が「逆転国会」のもとで政策を実現する新体制を模索したトップ会談は決裂した。これを受け、政府・与党は今国会の会期を3~4週間延長したうえで、特措法案の今国会成立を目指す。民主党など野党が多数を占める参院で可決される見通しはなく、衆院で3分の2以上の賛成で再議決するかどうかが焦点となる。

 10月30日に続く2度目の会談は、国会内で2回にわたり約2時間、ほとんど2人きりで行われた。

 福田首相は会談後、首相官邸で記者団に対し、「今の政治状況を打開しなければいけない。国民生活のこともある。国の政治がとまっていていいのか。政策を実現するための体制を作る必要があるという考え方で、いろいろな提案をした」と述べ、民主党との「大連立」に向けた政策協議を打診したことを認めた。

 一方、首相の提案を持ち帰った小沢氏は2日夜、党役員会を開いて対応を協議。「政権交代が目的だ」「国民や支持者の理解が得られない」など反対論が相次ぎ、最終的に全員一致で提案を拒否する方針を確認した。この後、小沢氏が首相に電話し、「連立はのめない。誠意ある対応を頂いたが、結果として(連立は)できません」と正式に伝えた。

 自民党は98年の参院選で惨敗し、今回と同じように参院で与野党が逆転した時、小沢氏が党首を務めていた自由党(当時)と連立を組み、その後、さらに公明党を加えた3党連立政権をつくることで政権運営を安定化させたことがある。

 ただ、小選挙区比例代表制のもとで政権交代を競う2大政党が大連立を組んでも、小選挙区で候補者を調整して一本化しない限り選挙で戦うことになり、協力関係を維持するのは難しい。また、候補者調整には両党内で強い反発が出るため、難航は必至。このため、自民党内にも実現性を疑問視する声が多かった。

 大連立を組めば、衆参両院で9割を超す議席を占める巨大与党の誕生にもなることから、民主党の鳩山由紀夫幹事長は2日夜、「大連立は大政翼賛会的な話で、国民の批判を受ける」と述べ、あくまで総選挙を通じて政権交代を目指す考えを強調した。

 一方、民主党の連立拒否について、町村官房長官は記者団に対し、「ずいぶん早く拒否を決めた。首相が真剣に国を思い、提案したのに、こんなに早くノーという答えが出るとは意外だし、残念だ」と語った。」



(2) 朝日新聞平成19年11月3日付朝刊2面

連立、民意が大前提――編集委員・星浩

 穏やかなイメージを売り物にしてきた福田首相が突然仕掛けたのは、民主党との連立という大技だった。衆院では自民、公明両党が圧倒的多数を占めるが、参院では野党が与党を大きく上回る。そんな状況下では重要な政策も進まない、というのは大義名分だ。

 参院選での自民党の歴史的惨敗は、インド洋での給油活動からの撤退という事態をもたらした。米国からは強い不満が伝えられている。国内の政治日程を考えても、来年度予算に絡む重要法案が軒並み廃案となる懸念が出始めてきた。

 危機感を募らせた福田氏が、事実上の大連立ともいえる「新体制」づくりを呼びかけたことには、それなりの理由がある。

 だが、このもくろみを簡単に受け入れるわけにはいかない。民主主義に欠かせないルールを踏み外しているからである。

 参院選で示された民意は年金や格差、政治とカネなどを巡る自民党政治への厳しい批判だった。福田氏は「反省」を表明しているが、政策変更の中身は明確ではない。

 2年前の総選挙は、当時の小泉首相のペースで郵政民営化の是非が最大の争点となった。自民、民主両党は郵政問題だけでなく年金や靖国問題などで対決した。その2党が一転して連立を組むことに理はない。民主党が拒絶し、この構想が頓挫したのは当然だ。

 政策実現のための連立自体は、頭から否定されるべきものではない。しかし、それはあくまでルールが必要である。

 第一歩は、公開の論争だ。福田・小沢会談は10月30日、11月2日と立て続けに行われた。関係者によると、それ以外にも2人は非公式の会談を持っていたという。そうした折衝を重ねた半面、31日に予定されていた党首討論は中止となった。自民、民主両党の政策の共通点と相違点を国民に提供する格好の場を捨てて密室の協議を優先することは本末転倒である。

 そのうえで連立は民意に沿うものでなければならない。各党は選挙でマニフェスト(政権公約)を示す。選挙後には政策の優先順位を示し、妥協できるものは合意する。そうした手順が大切だ。

 小泉政権で衆院の圧倒多数を得た自民党だが、総選挙の洗礼のないまま安部、福田両政権が続いた。衆参両院の「ねじれ」現象も加わり、解散・総選挙で民意を問うタイミングは迫ってきている。自民党がなお連立を指向するなら、衆参両院の「ねじれ」に対応するための民主党との協議の枠組みを明示すべきだ。

 インド洋での給油中断を受けて、新たな国際貢献はどうあるべきか。年金制度の改革、財政の再建、格差の是正……。山積する政策課題の解決とともに、政党が衆参両院の「ねじれ」に対応する作法を築き上げる知恵が求められてる。」




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2007/11/03 [Sat] 19:48:05 » E d i t
またしても、鳩山法相は、思いつき発言をしていたことが明確になりました。

鳩山邦夫法相は10月24日の衆院法務委員会で、死刑執行命令は判決確定から6カ月以内と定めた刑事訴訟法について「規定が実態に合わず、半年というのがあまりに短すぎるならば、国会に諮って若干延ばす方法があるかもしれない」と述べ、法改正の可能性を示唆していました。しかし、11月2日、期間延長に関して刑訴法を改正ことを否定する閣議決定が行われたからです。



1.読売新聞平成19年11月3日付朝刊4面

政府、刑訴法改正「検討していない」 死刑執行規定巡り

 政府は2日の閣議で、鳩山法相が死刑の執行について刑事訴訟法が判決確定から6か月以内の執行を定めていることに関し、「半年という規定が短すぎるなら、国会にはかって若干延ばす方法もある」と発言したことに関し、「現段階において、刑事訴訟法の改正は検討していない」とする答弁書を決定した。

 答弁書は、1997年から2006年までの10年間に、死刑判決の確定から刑の執行まで平均が7年11か月であることを明らかにした上で、「人の命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に慎重を期している。違法状態を長年容認していたものとは考えない」としている。松野信夫参院議員(民主)の質問主意書に答えた。」





2.刑訴法475条2項「6箇月以内」の期間延長の要否については、「衆院法務委員会での鳩山法相の発言を検討~刑訴法475条2項「6箇月以内」の期間延長の要否」において一度触れています。


(1) そのエントリーにおいて、次のように述べて厳しく批判を行いました。

「要するに、刑訴法475条2項は、それに違反したからといって特に違法の問題を生じない、すなわち法的拘束力のない訓示規定であり、また、法務大臣に対し期間内に死刑執行を命ずるべき国に対する職務上の義務はあるが、死刑確定者に対する義務はないということです。
言い換えると、法的拘束力のない訓示規定なのですから、6ヶ月という期間にほとんど意味がないことになります。

このように、6ヶ月という期間にほとんど意味がないのですから、「刑事訴訟法475条2項本文が、6ヶ月の期間内での執行を定めていることにつき、短すぎるからということで、刑事訴訟法を法改正する必要」はないのです。おそらく、法務省の官僚は、鳩山法相に対して、何度もこの下級審判例を含めてレクチャーしたはずですが、鳩山法相は少しも覚えていないようです。

仮に期間を延長するとしても、適切な期間とは何年だとするのでしょうか。実際は平均7年5ヶ月ですから一律に7年5ヶ月にすることも考えられます。7年間は命の保障があるということで心の安寧が得られるという利点はあるともいえますが、7年に及ぶ長期間を経て執行することには変わりがないのですから、やはり死の恐怖を感じさせたままということになり、人の尊厳を害するといえるのですから、長期間の定めが果たして妥当なのかどうか、疑問があります。

しかも、仮に7年5ヵ月後一律に執行するという法改正にするのであれば、そうすると冤罪の可能性も断ち切って執行することにつながるのです。そのような法改正は自動執行化と同様ですから、10月23日の閣議決定に反するものであって、そのような法改正は不可能に近いのです。」



松野信夫参院議員(民主)が質問主意書を提出していたことは知りませんでしたが、福田内閣が「現段階において、刑事訴訟法の改正は検討していない」とする答弁書を決定したことは、当然の結論であり、予測できたものだったといえます。


もっとも、「現段階において」という形で含みを持たせている点で、将来的に改正がありうるかもしれません。ですが、期間延長をするとしても適切な年数を決定することはきわめて困難ですから、期間を延長する法改正は将来的にもありえないと考えるべきです。含みを持たせているのは、拷問禁止条約による死刑執行の停止の勧告、死刑廃止の国連決議の予定により、死刑執行の停止という形で期間を改正する可能性が含まれていると、裏読みしたほうがよいかと思われます。



(2) もう1点、答弁書は触れています。

「答弁書は、1997年から2006年までの10年間に、死刑判決の確定から刑の執行まで平均が7年11か月であることを明らかにした上で、「人の命を絶つ極めて重大な刑罰の執行に慎重を期している。違法状態を長年容認していたものとは考えない」としている。」



「鳩山法相“署名なしで死刑執行を”発言~暴言に法相の資質を疑う!(毎日新聞9月27日付「社説」より)」においても、次のように説いて、違法状態ではないとしていました。

「免田事件では、1951年(昭和26年)12月25日に最高裁で死刑確定後、1972年(昭和47年)4月に申し立てた再審請求(第6次)でやっと再審開始決定となり、1983年(昭和58年)7月15日、熊本地裁は無罪判決を宣告したのです。もし、6ヶ月という期限を墨守していたら、免田栄さんは、生きて無罪となることはできませんでした。こういう実例があると、再審事由の有無の判断は慎重にならざるを得ないのです。しかも、死刑判決確定後の再審請求は、免田事件に限らず(財田川事件、松川事件、島田事件)、いずれも何度も再審請求をしているのです。

刑事訴訟法475条の趣旨は、死刑が人の命を奪う極刑であって、一旦執行されると回復が不可能であることから、その執行手続を特に慎重にすることにあります。そうすると、法務大臣が、執行命令を行うかどうかについて6ヶ月を大幅に超えてでも慎重に判断することは、475条の趣旨にかなうものであって、不当な判断ではないと理解することが可能なのです。

このようなことから、現実の再審事件を考慮すれば、6ヶ月という原則的期限(2項本文)はほとんどないに等しい状態であっても、そのような状態・運用は刑事訴訟法475条の趣旨には違反しないものであるとして、不当なものではないと考えられるのです。」



このように答弁書は、刑訴法475条に関する一般的な法解釈に沿った判断ですから妥当な結論であり、十分予測できた決定なのです。



(3) 「死刑自動執行“必要なし”と閣議決定~やはり鳩山発言は思いつきだったわけだ……。」で触れたように、「自動執行化」発言が思いつきであることが明確になったばかりか、今回、刑訴法475条2項本文の期間延長に関しても思いつきであることが明確になりました。鳩山法相の放言は、死刑制度に関する議論する契機になったことは確かですが、結局は思い付きばかりであり、「友人の友人はアルカイダ」などと放言しまくりなのです。

もっとも、「思い付きだ発言をするな」という批判に対して、鳩山法相は「思い付きではない」と反論していますが、閣議決定で全否定された以上、まったく説得力がないのです。鳩山氏は、自分の行動を客観的に理解することもできないのです。表面的には法的な論理をまったく理解できないから思いつき発言になってしまうのでしょうが(法的な論理が分からないから、思いつきだと思えない)、根底には、鳩山氏自身が社会常識を欠き、人権意識が乏しいからこそ、こういった発言を繰り広げてしまうのだと思います。

法的な論理が分からず、社会常識を欠いている法相ですから、このような法相の発言は、今後は、法務省内ではまったく無視する対応をするでしょうし、福田内閣としても閣議決定によって否定するだけであって、世論としても何を話そうと与太話であるとして、無視していくことになるでしょう。鳩山法相の発言が、死刑制度に関して世論を喚起することになればと思いましたが、もはや無理になったようです。


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テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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