もし自分に子供がいて世話をしてもらえる余裕があれば大丈夫でしょうし、少ないですが動物保護団体に預かってもらえる場合もあります。そういう手段ができなければ、動物たちは自治体に引き取られ、殺処分となってしまいます。長く家族同然に暮らしていたペットが殺処分となることだけは絶対に避けたいことです。では、どうしたらよいでしょうか? その点について、読売新聞平成20年2月9日付で記事を掲載していましたので、紹介したいと思います。
1.読売新聞平成20年2月9日付夕刊1面
「私が死んだらペット心配… 遺言相談相次ぐ 「世話」条件に遺産 1500万円の例も
愛するペットが困らないように、遺言を残しておきたい。遺言書作成のアドバイスを行う行政書士に、そんな相談が相次いで寄せられている。
民法上、ペットに直接遺産を残すことはできないため、ペットの世話をしてくれることを条件に、家族以外の人に遺産を贈るという内容の遺言書を作るケースも出てきた。少子高齢化で独り暮らしのペット愛好者も増える中、ペットへの“遺産相続”の問題に関心が高まりそうだ。
「人によっては、ペットは家族以上の存在。遺言への関心も非常に高い」
東京都台東区の行政書士、伊藤浩さん(46)のもとに、「ペットに遺産は残せるか」という相談が初めて寄せられたのは5年前。以来、約50件の相談があった。
民法上、ペットは「物」で、相続人にはなれないため、遺産を相続させることはできないが、伊藤さんは「負担付き遺贈という方法なら、事実上、ペットのために遺産を残すことはできる」と説明している。「負担付き遺贈」は本来、「親の面倒を見る条件で遺産を残す」「農業を継ぐ代わりに土地を与える」といった遺言の仕方だが、これをペットに応用した形だ。
この方法で、これまで3人が実際に遺言書を作成した。1人は70歳代の女性で、愛犬のために残す遺産は1500万円。贈り先は気心の知れた近所の友人だ。夫に先立たれ、独り暮らしになった女性は「これで肩の荷が下りました。私にもしものことがあっても、大丈夫ですね」と、ほっとした表情を見せたという。
ほかの2人も高齢者で、ペットの世話を条件に300万〜500万円の遺産を贈るという遺言書を作った。トラブルが起きないよう、遺言書は自筆ではなく公正証書にし、エサの回数や散歩の頻度など世話の内容を具体的に定めた「覚書」を、遺産を贈る相手と交わした。伊藤さんは「独り暮らしの高齢者がペットと暮らすケースは増えているが、飼い主が突然亡くなれば、最悪の場合、処分される可能性もある。遺言書を作っておくことは、飼い主の安心のためにも、ペットのためにも有効」と話す。
相談者は高齢者に限らない。インターネット上でペットに関する相談を受け付けている熊本市の行政書士事務所には、30歳代の独身女性2人から遺言書を起案してほしいという依頼があった。うち1人は十数頭の犬を飼っており、同僚など数人に数頭ずつ世話を託した遺言書を作ったという。
◆安易な依頼は禁物
ただ、遺産相続を巡る問題だけに、トラブルも予想される。弁護士でペットに関する法律問題に詳しい吉田真澄・帯広畜産大教授によると、〈1〉遺産だけ受け取って世話をしない〈2〉法定相続人などから異議が出る〈3〉世話を頼んだ人にペットがなつかない――など、様々な問題が生じる可能性があるという。
対策の一つは、遺言内容を実行に移す権限をあらかじめ与える「遺言執行者」を指定しておくこと。約束を守らない場合や、世話の内容があまりにもひどい場合、この遺言執行者が、遺産を贈るのを取り消すことができる。
とは言え「世話」の定義はあいまいだ。吉田教授は「ニーズが高まっているのは確かだが、安易な遺言書の作成は禁物。本当に世話ができる人なのかを事前にきちんとチェックするとともに、病気や緊急時の対応も含め、世話の内容をこと細かに決めておく必要がある」と話している。
(2008年2月9日15時06分 読売新聞)」
(*ネットでの見出しは「愛するペット困らぬように…行政書士に遺言相談が続々」だが、紙面の見出しに変更)
1.橋下弁護士に対して訴える方針であるとの報道記事は、次のようなものです。
(1) RCCニュース(中国放送)(8/27 18:01)
「光市母子殺害事件弁護団が提訴〜橋下弁護士のテレビ発言で損害賠償請求へ
タレント活動でも知られる弁護士がテレビ番組での発言をめぐってほかの弁護士から訴えられることになりました。山口県光市の母子殺害事件で、被告の元少年の弁護団が弁護団の活動を批判している橋下徹弁護士にテレビ番組で業務を妨害する発言をされたとして、損害賠償を求めて広島地裁に提訴する方針を固めました。
提訴するのは99年に起きた光市母子殺害事件の差し戻し控訴審で、被告の元少年の弁護団に加わっている広島弁護士会の足立修一弁護士や今枝仁弁護士などで最終的に原告の弁護士は4人から6人となる見通しです。
足立弁護士らは橋下徹弁護士が今年5月、大阪のテレビ番組に出演した際、正当な理由がないにもかかわらず弁護団の懲戒処分を弁護士会に請求するよう視聴者に呼びかけて業務を妨害したとして、原告の弁護士1人あたりおよそ100万円の損害賠償を橋下弁護士に求める方針です。
この訴訟のために足立弁護士らには6人から7人の弁護団が組織され、9月3日頃、広島地裁に訴状を提出することになっています。
足立弁護士らの提訴の方針について橋下弁護士は「訴状が出されれば、その上できちんと対応したい」と話しています。 (8/27 18:01)」
(2) 中国新聞('07/8/28)
「光母子殺害で弁護士が提訴へ '07/8/28
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光市母子殺害事件の差し戻し控訴審で、テレビ番組で弁護団の懲戒処分を弁護士会に申し立てるよう呼び掛け、活動を妨害したとして、弁護団に加わる広島弁護士会所属の弁護士数人が、大阪弁護士会所属の橋下徹弁護士を相手に1人当たり100万円の損害賠償を求め、近く広島地裁に提訴する方針を決めた。訴えによると、橋下弁護士は5月下旬、十分な調査もせず、テレビ番組で視聴者に呼び掛けたとしている。」
この2つの記事によると、 足立弁護士ら数名の弁護士は、橋下徹弁護士が、5月下旬、大阪放映のテレビ番組において、「正当な理由がないにもかかわらず」ないしは「十分な調査もせずに」、弁護団の懲戒処分を弁護士会に請求するよう多数の視聴者に呼びかけて(教唆)、業務を妨害したということで、不法行為(民法709条又は719条2項[共同不法行為])に基づく損害賠償請求を求める訴えを起こすということのようです。
2.では、足立弁護士ら数名の弁護士による、橋下弁護士に対する損害賠償請求は認められるでしょうか?
(1) 橋下弁護士は、「懲戒請求ってのは誰でも彼でも簡単に弁護士会にいって懲戒請求立てれますんで何万何十万という形であの21人の弁護士の懲戒請求立てて貰いたいですね。……1万2万とか10万人位この番組見てる人が一斉に弁護士会にいって懲戒請求をかけてくれ……下さったらですね弁護士会の方としても処分出さないわけにはいかないですよ」(「たかじんのそこまで言って委員会」07-05-27放送分)と述べており、この点が重要です。懲戒請求を単なる署名活動と誤解させるような発言です。
仮に適法な懲戒請求であっても、10万人位という過剰な懲戒請求を唆すことは、懲戒請求を受けた者及び所属弁護士会に過剰な負担を求めるものであり、実際上、数百件に及ぶ懲戒請求がなされているのですから、懲戒請求を受けた者及び所属弁護士会に対して業務妨害を生じさせたことは明白です。
ですから、仮に「正当な理由がないにもかかわらず」ないしは「十分な調査もせずに」という要素がない、適法な懲戒請求であっても、10万人位という過剰な懲戒請求を唆すことは、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が十分に成り立つということです。懲戒請求を受けた弁護士は、根拠のない請求により名誉・信用等を不当に侵害されるおそれがあり、また、その弁明を余儀なくされる負担を負うことになるのですから、懲戒請求は署名活動ではないのです。
(2) 「弁護士に対する懲戒請求と不法行為の成否〜“母子殺害で懲戒請求数百件”との報道を聞いて」においていくらか検討したように、弁護団は、接見により得られた被告人の(否認)供述及び鑑定書・家庭裁判所の調査官による「少年記録」(精神年齢は4、5歳)・第1審での被告人質問では否認しているといった証拠に基づいて、差し戻し審において殺人罪でなく傷害致死罪であるなど事実誤認があるという弁護活動を行っているのです。
そうすると、弁護人は被告人の利益のために誠実に弁護する(誠実義務)という刑事弁護の基本に沿った弁護活動を行っていることは明らかであって、異論を挟むことも困難です。ですから、「正当な理由がないにもかかわらず」懲戒請求をしたことは明らかであって、橋下弁護士は不当な懲戒請求を唆したことになります。
なお、いまだに「懲戒請求のテンプレートのHP」がありますが、このテンプレートは全く懲戒請求の理由になっていません(「弁護士に対する懲戒請求と不法行為の成否〜“母子殺害で懲戒請求数百件”との報道を聞いて」参照)。このHPでも、橋下弁護士のテレビ発言を掲載しており、いまだにこのHPとともに不当な懲戒請求を煽っているのです。
(3) しかも、弁護団は、報道機関に対して、差し戻し控訴審の初公判2日前に、新たな証拠に基づき提出した更新意見書について2時間をかけて説明し、また、当日には100頁ある更新意見書のコピーを記者に配布したのです(週刊金曜日2007.6.8(657号)・人権とメディア第400回、浅野健一「光市母子殺害事件報道 検察メディア一体の弁護士攻撃だ」31頁)。
そうすると、最高裁平成19年4月24日判決によれば、懲戒請求者は「懲戒請求を受ける対象者の利益が不当に侵害されることがないように,対象者に懲戒事由があることを事実上及び法律上裏付ける相当な根拠について調査,検討をすべき義務を負う」のですから、100頁ある更新意見書又はそれに類似する証拠を入手する必要があり、それを読めば、弁護内容が証拠に基づいて行っていることは明らかなので、懲戒事由に当たらないことが明白です。
ですから、このような証拠資料を入手することなく懲戒請求をした者は、「十分な調査もせずに」懲戒請求をしたことは明らかです。特に、テレビ視聴者という立場である者にとっては、100頁ある更新意見書又はそれに類似する証拠を、簡単に入手することは非常に困難です。
なので、橋下弁護士が「懲戒請求ってのは誰でも彼でも簡単に弁護士会にいって懲戒請求立てれます」と唆すことは、「十分な調査もせず」に懲戒請求できることを唆したのですから、明らかに不当な懲戒請求を唆したことになります。
ただし、現在では、差し戻し控訴審において、被告人質問において被告人は殺意を否定しており、鑑定人の証人喚問もなされており、山口県光市「母子殺害事件」 弁護団記者会見(1) 全6回(00:09:07)といった情報やあることから、「100頁ある更新意見書又はそれに類似する証拠」の入手がかなり容易になったと思います。
もっとも、こういった情報を入手すれば、弁護内容が証拠に基づいて行っていると容易に判断できるでしょう。なお、光市事件における最高裁弁護人弁論要旨・補充書は、以前から書籍として出版されています(『光市裁判 年報・死刑廃止2006』発行: 2006年10月)。この書籍は通常人も容易に入手でき、しかも読めば、法律に疎い「通常人」であっても、弁護内容が証拠に基づいて行っているという位は、容易に判断できるでしょう。
なお、橋下弁護士は、ご自身のブログにおいて、「弁護団は、なぜ第1審や第2審と異なる弁護をするのか国民に対して説明していない」として、説明義務違反が懲戒理由にあたると述べています。しかし、説明義務自体(法的根拠がなく、守秘義務違反のおそれがあるので)認められないことはもちろん、差し戻し控訴審の初公判2日前と当日において、報道機関に対して説明しているのですから(一部報道済み)、説明義務を果たしていないという言い分は妄想にすぎません。
(4) もっとも、橋下弁護士に対する損害賠償請求については、多少の問題点があります。すなわち、まだ(多くは)懲戒請求が却下される前の損害賠償請求であるから、不当な懲戒請求かどうか分からないのではないか、という点です。
通常、弁護士に対する懲戒請求に不法行為を認めた裁判例は、懲戒請求が却下された後であることは確かです。しかし、すでに述べたように10万人位という過剰な懲戒請求を唆すことは、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償請求が十分に成り立つのです。
また、前述のように「正当な理由がないにもかかわらず」懲戒請求をしたことは明らかであり、「十分な調査もせず」に懲戒請求できることを唆したのですから、明らかに不当な懲戒請求を唆したことになります。
懲戒処分の決定前で提訴することは、これ以上、不当な懲戒請求をしないように、不当な懲戒請求を抑制するという必要性から行うものと考えられます。このように必要性が高いことを考慮するべきです。
このようなことから、懲戒請求が却下される前であっても、損害賠償請求を求めることは問題ないと思われます。
(5) このような検討からすると、足立弁護士ら数名の弁護士による、橋下弁護士に対する損害賠償請求は認められるものであり、損害賠償請求が認められる可能性が非常に高いと考えます。
足立弁護士らは、損害賠償額として原告1人100万円を予定しているようです。名古屋地裁平成13年7月11日判決は100万円、最高裁平成19年4月24日判決は50万円の賠償金を認めていることから、従来の裁判例並みの額といえます。
もっとも、従来の裁判例は、1つの懲戒請求による損害につき認めた損害額ですから、事情が異なります。橋下弁護士の場合、10万人もの懲戒請求を煽り、結果として数百件の懲戒請求がなされているのですから、煽った行為と個別の懲戒請求との因果関係をすべて立証することは難しいことを考慮しても、数千万円の賠償額を認めることも可能かもしれません。
なお、差し戻し控訴審後の弁護団の記者会見については、山口県光市「母子殺害事件」 弁護団記者会見(1) 全6回(00:09:07)で見ることができます。ぜひご覧下さい。

