諸宗山回向院は、安政大地震、関東大震災、東京大空襲など様々な天災地変・人災による被災者、海難事故による溺死者、遊女、水子、刑死者、諸動物など、ありとあらゆる生命が埋葬供養されており、有縁・無縁にかかわらず生きとし生けるすべてのものを供養する寺院です。この回向院は、今からおよそ350年前の明暦3年(1657年)に開かれた浄土宗の寺院ですが、「有縁・無縁に関わらず、人・動物に関わらず、生あるすべてのものへの仏の慈悲を説く」というのが、この寺院の理念となっています。
1.お彼岸の頃と重なるのですが、9月20日から26日は、動物愛護週間です。動物愛護管理法4条により、国民の間に広く動物の愛護と適正な飼養についての理解と関心を深めるため、9月20日から26日を動物愛護週間と定めています。そして、動物愛護週間には、全国各地で様々な動物愛護行事が行われます。
東京都内での行事は、平成22年度は「ふやさないのも愛」をテーマで開催されました。毎年、上野恩賜公園噴水池前広場で実施されているのですが、平成22年度は会場の都合という理由で、動物愛護週間前に実施してしまいました。
「◆平成22年9月12日(日)動物愛護シンポジウム(基調講演・パネルディスカッション) 13:00~16:30
【東京国立博物館(平成館講堂)】
●テーマ:ふやさないのも愛~繁殖制限を考える~ 動物たちの殺処分を減らすために、とても重要な繁殖制限。
不妊や去勢について「なんとなくわかっているつもりだけど……」
という方は多いのではないでしょうか。
この機会に、不妊・去勢や猫の室内飼育の重要性について勉強しませんか?
また、手話通訳の用意をしておりますので、受付にてお申し出下さい。
●基調講演:小方宗次氏(ヤマザキ学園大学准教授)~ペット(犬・猫・ウサギ等)の不妊去勢手術について~
◆不妊去勢手術の必要性
◆各動物の性成熟期・繁殖スタイル
◆不妊去勢手術のメリット・デメリット
◆早期不妊手術とは
●講演1:加隈良枝氏(帝京科学大学講師)~猫の適切な飼い方について~
◆猫の歴史・生態・行動学
◆猫の飼い方(三原則)
●講演2:高木優治氏(新宿区保健所)~地域猫活動について~
◆適切な飼い方がされていないために、飼い主のいない猫が存在。
◆地域猫活動の官民協働体制
●講演3:林典子氏(ハロー動物病院院長)~ウサギの適切な飼い方について~
◆ウサギの不妊手術方法
◆繁殖力の強いウサギの適切な飼い方
◆学校飼育動物のウサギの現状
●パネルディスカッション:◆コーディネーター:小方宗次氏
◆パネリスト:講演者
◆平成22年9月18日(土)動物愛護ふれあいフェスティバル 13:00~16:30
【上野恩賜公園噴水池前広場、こども動物園】
大テント
・動物愛護セレモニー
・勝ち残り○×クイズ大会
・愛犬のしつけ方教室
・聴導犬の実演
・動物紙芝居
中テント・ペット写真展
・おりがみ動物園
・動物クイズ広場
パネル展示コーナー・動物愛護週間ポスターコンクール入賞作品展
・動物個体識別事業
・災害に備えよう
動物愛護相談センター広場・動物愛護相談センターのお仕事紹介
~人と動物との共生社会の実現を目指して~
・パネル展示
・クイズコーナー」(「動物愛護週間中央行事実行委員会」のHPより引用)
今年のテーマは「ふやさないのも愛」であり、動物たちの殺処分を減らすための一方法です。
日本では30万頭もの犬や猫が殺処分されていますが、ドイツでは殺処分数はゼロです。日本のペットショップでは、売れる可能性が低くなった「生後約6ヶ月のビーグルの子犬を、生きたままポリ袋に入れて」、そのまま冷蔵庫に入れることで凍死させ、ゴミとして捨てるという信じがたい行為さえ、行っているのです(太田匡彦(著)『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版、2010年)20頁)。日本とドイツでは、ペットの命の尊さがあまりにも違っているのです。
あまりにもむごいペット事情については、いつかまた触れる予定ですが、最近でた書籍としては、太田匡彦(著)『犬を殺すのは誰か ペット流通の闇』(朝日新聞出版、2010年)、松坂星奈(著)『帰る家のないどうぶつたち』(PHP研究所、2010年)があります。ぜひご覧ください。
テーマ:ペットの健康・病気・怪我 - ジャンル:ペット
「週刊朝日」の投稿欄は、一般の方ばかりですが、作家の方なども飼っている動物について何らかの文章を綴っていることはご存知だとは思います。作家の道尾秀介さんも、ご自分が飼っていたネコについて愛情溢れるコラムを書いていましたので、紹介したいと思います。
(9月27日追記:9月20日から9月26日までのまとめを追加しました。)
1.日経新聞平成21年9月25日付夕刊7面「プロムナード」
「葬式の理由――道尾秀介
もうすぐ飼い猫のヒメが死んで2年になる。彼女と出会ったのは、ちょうどいまから10年前の夏だった。
当時、住宅設備の販売会社で営業マンをやっていた僕は、溢(あふ)れるエネルギーのほとんどを仕事をサボることに注いでいた。段ボール箱の中で小鳥みたいにピーピー鳴いていた彼女を発見したのも、木陰に営業車を停(と)めてアイスか何かを食べていたときのことだ。その日は午後から雨の予報だったので、こりゃまずいなということで僕は彼女を一人暮らしのアパートへ連れ帰った。真っ白くて、なんだかティッシュペーパーを丸めたみたいで、でもどこか気品のある奴(やつ)だった。
コンビニで買ったキャットフードをやってみたが、空腹のはずなのに、彼女はツンとすまして一向に食べようとしない。首をひねりながらも、そのまま放っておいた。あとでそっと覗(のぞ)いてみたら、こっそり食べていた。――気取りやがって。名前はヒメに決まった。
いっしょに暮らしはじめると、ヒメはしだいに心をひらきはじめた。2週間ほど経(た)つと、いつも僕の後ろをついて回るようになった。食卓、ソファー、デスク、トイレ。風呂に浸(つ)かっているときは浴槽の縁に饅頭(まんじゅう)のように座り込み、恍惚(こうこつ)と目を閉じてミストサウナを楽しんでいた。夜は僕の布団に入って眠った。しばしば首まで這(は)い上がってきては僕を窒息寸前まで追い込み、危ういところで目を醒(さ)まして押しのけると、こんどは肛門(こうもん)を鼻先に押しつけて、ふたたび僕を窒息寸前にまで追い込んだ。テレビで総合格闘技の絞め技を見て、あれはもしかしたら臭(にお)いで落とそうとしているのかもしれないと考えるようになったのは、その頃(ころ)のことだ。
僕が作家になってからも、身体は大人なのに、中身は赤ん坊のままだった。パソコンに向かって原稿を書いていると、彼女はしきりに邪魔をした。にゃ、と短く鳴いてみたり、僕の手を噛(か)んでみたり、それでも無視していると、デスクに飛び乗ってキーボードの上を歩行した。原稿が無茶苦茶になってしまうので、そこでいつも僕はとうとう音を上げるのだった。
2年前の夏、彼女は急に僕のあとをついて回らなくなった。床に腹ばいになり、何もないところをぼんやりと、いつまでも見つめていた。様子がおかしいので獣医に連れていったのだが、さんざん身体をいじくり回されたあげく、とくに悪いところはなさそうだと言われた。納得のいかないまま家に連れ帰ってきた翌朝、彼女は冷たくなっていた。
僕は泣いて泣いて、ずっと泣いて、食事も、仕事も、何もすることができなくなった。立っていることすら難しかった。涙が止まってからも、きっと自律神経がやられていたのだろう、ひどい頭痛と腹痛がつづいた。ところが数日後、動物霊園でヒメを火葬し、お骨を家に持ち帰ってきたとき、不思議なことが起きた。体調がふっと回復したのだ。
お葬式というものは、やっぱり必要らしい。僕は少し寂しい気持ちでそれを実感した。
去年、庭にヒメシャラの木を植えた。根元にはヒメのお骨が埋めてある。夏になると真っ白な花をつけるはずなのだが……今年は咲いてくれなかった。ヒメのことだから、あとでこっそり咲いていたりするかもしれない。 (作家)」
1.FNN・フジネットワーク:平成21年9月21日放映「時代のカルテ~命の現場<1>~「深夜眠れぬ子犬たち」
「日本のペットが危機に直面している命の現場を取材しました。
動物愛護週間にちなんで、日本のペットが危機に直面している命の現場を取材しました。
日本のペットブームでは、幼い子犬や子猫が人気の中心となっている。
人間の欲望によって、深刻な危機に直面している小さな命の現実に迫った。
午前0時すぎの東京都内、飲食店が立ち並ぶ通りの中で、まばゆいばかりの照明がついた1軒のショップ。
ショーケースには、まだあどけない子犬と子猫たちがいた。
ここ数年、深夜営業のペットショップは増加している。
店の前にいた人は「超かわいい」と話していた。
東京の繁華街にある1軒のペットショップは、午前2時まで営業している。
一番若くて、生後35日のダックスフントの子犬がいた。
乳離れしてまもない子犬や子猫に引き寄せられるのか、真夜中のペットショップには、ひっきりなしに客が訪れていた。
都内にある別の店でも、展示されている主役は、やはり赤ちゃんのような子犬や子猫で、真夜中にたびたびショーケースから取り出され、客の手に抱かれていた。
深夜にもかかわらず、しつこく遊びを仕掛ける客のほか、ショーウインドーのケースをたたいて、眠っている子犬を起こそうとする酔っぱらいの客も少なくない。
そんなときでも、店員は注意せず、黙認している。
FNNの調査では、深夜営業のペットショップは、東京都内だけで少なくとも9店舗ある。
真夜中の光と騒音に長時間さらされて、子犬たちはいつも疲れているようにも見える。
現在の動物愛護法は、幼い時期の販売規制やペットショップの営業時間に明確な数字を示していない。
その結果、競い合うように深夜営業の店が乱立している。
深夜営業ペット店の元従業員は「夜のお仕事をされている方たちが主に多かったです。ぬいぐるみのように、もうワンちゃんを買っていかれたりするんですよね。よく同伴の方とかですかね、男性の方が『買ってあげるよ』と言うんで、買ってあげて」と話した。
深夜営業のペットショップでは、子犬や子猫がブランドバッグと同様、単なる商品として扱われていたという。
深夜営業ペット店の元従業員は「生き物が生き物じゃなく見えてくるんですよね。『モノ』という感じで。仕入れ自体は、オークションから来ているものなので、原価はもう非常に安いですね。それをやっぱり高い値段で、はやりに乗せて売る」と話した。
ペットの行動と中枢神経の関係を研究している麻布大学獣医学部コンパニオンアニマル研究室の菊水健史准教授は、深夜営業は科学的にも影響が大きいと指摘する。
菊水准教授は「発達期の動物というのは、夜、暗い時間に寝ると。その間に成長ホルモンというのが、血中に分泌されるんですね。体の発達だけじゃなくて、脳の発達もおそらくは、何らかの障害を受けることにはなると思います」と語った。
強い光は、ダイレクトに脳を刺激するため、生活パターンが破壊されて、障害が残る可能性があるという。
生後4~5週で売るペットショップなどが存在するが、その影響について聞いた。
菊水准教授は「極端に怖がりになるとか、攻撃的になるとか、次の新しい環境になかなかなじめないという動物が、犬ができてしまうと。ストレスに過敏になってしまって、免疫機能もすごく崩される。8週までは、(母親と)一緒にいるべき」と語った。
かわいらしさで購買欲を誘うため、8週目に満たず販売される子犬たち。
それ故に、問題行動を起こしたり、病気にかかりやすくなる可能性があった。
欧米の中でも動物愛護の精神が強いイギリス。
ペットショップで犬を売ることは、法律で禁じられているため、犬を飼おうとする人は、ブリーダーや犬の保護施設に行くことになっている。
ロンドン郊外で、ワイマラナー犬のブリーダーをしているパッツィー・ホリングスさん。
日本では、生後1カ月余りで子犬が販売されていると聞き、驚きと怒りをあらわにした。
パッツィー・ホリングスさんは「どうして育て上げた子犬たちを、そんなに早く売ってしまうのか、わたしには理解できません。一生を通じて、精神的に影響を及ぼすことになるでしょう。生後8週までは、一緒に生まれた仲間の精神的な刺激と、母親の愛情が必要だからです」と話した。
イギリスでは、子犬の将来を考え、法律によって生後8週に満たない段階での販売を禁止している。
実は日本でも、2005年の法改正のときに、環境省が生後8週未満の販売規制を検討したが、ペット業界の反発などから断念していた。
環境省動物愛護管理室の安田直人室長は「非常に子犬とか子猫に対する需要が高いとか、流通業界でどこまで対応できるかということがあって見送った。規制をかけるっていうことは、やっぱり権利を奪うわけですよね、ある意味」と語った。
業界の利益を優先させて、小さな命の未来を犠牲にした国の判断。
なぜ、子犬は商品として扱われるのか。
その答えは、わたしたち自身の中にあるのかもしれない。
(09/22 00:55)」
●YouTube-命の現場① 深夜眠れぬ子犬たち
「イギリスでは、子犬の将来を考え、法律によって生後8週に満たない段階での販売を禁止している」と言うように、欧米では、法律で8週(生後56日)未満は販売できません。「生後8週までは、一緒に生まれた仲間の精神的な刺激と、母親の愛情がないと、社会化を学ぶことができず、噛み癖など問題のある行動を生じやすくなるからです。また、生後8週未満での販売は、「ストレスに過敏になってしまって、免疫機能もすごく崩される」など病気になりやすくなるからです。
これに対して、日本のペットショップを見に行くと、ひどく小さい子犬・子猫をしばしば目にします。それは、日本では、元気で生育が良い子犬や子猫よりも、小さければ小さいほど売れるからです。一番売れるのは、生後40日~50日の方からで、それゆえ、生後10日くらいで親犬猫と引き離すブリーダーも少なくないようです(「空前のブームの陰で…ペットビジネス 悲惨すぎる実態」(3)(日刊ゲンダイ平成21年1月22日(21日発行)11面参照)。
小さい子犬・子猫が売れることから、ペットショップでは、大きくなり過ぎないように、エサや水は少な目に与えることがあり、栄養分が足りないために、小さかったり、大人しかったりするのです。小さいがゆえによく売れ、大人しいためによく売れる――。
生まれて間もなかったり、生後8週に満たない子犬・子猫など何物にも替え難いほど可愛いことは確かです。しかし、こうした小さい子犬・子猫を購入する方は、子犬や子猫は「単なる商品」ではなく、生き物であることが本当に分かっているのでしょうか? 食事や水を減らして無理に身体を小さくさせていることを分かって購入しているのでしょうか?
真っ当なペットショップももちろんあります。生後8週に満たない段階での販売を行うペットショップ業界はもちろん問題があります。ですが、そうしたペットショップ業界の利益を強く後押しするように、生後8週未満という小さい子犬・子猫を求める日本の市民が多数いる限りは、生後8週未満の販売を法律で禁止することは難しいように思います。結局は、市民の側が意識を変えるのかどうか次第なのではないかと思うのです。
テーマ:政治・経済・時事問題 - ジャンル:政治・経済
ペットフードの安全性の確保を図るため、「ペットフード安全法」(「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」)が平成21年6月1日(平成20年6月11日の参議院本会議で最終的に成立)、施行されました。(なお、この法律の対象となっているのは、動物すべてのペットフードではなく、犬及び猫用のペットフードのみです。)
9月20日から26日は「動物愛護管理法」により定められた「動物愛護週間」であることから、「ペットフード安全法」について、触れてみたいと思います。
1.報道記事とペットフード安全法の概要を紹介しておきます。
(1) 毎日新聞 2009年5月20日 東京朝刊
「どうぶつナビ:安全なペットフードを与えたい。
愛するペットには安心できる食べ物を与えたい ◆安全なペットフードを与えたい。
◇新法で表示義務化 6月施行、違反で製造禁止も
◇農薬、添加物に上限 「毎日同じ」避けて
東京都千代田区の皇居周辺。13歳と14歳のパグ「ノビオ」と「チャラ」を連れて散歩していた鳥山あゆみさん(43)は「2匹が高齢ということもあって、ペットフード選びにとても気を使うんです」という。「何が入っているのか分からないので怖い。動物は与えられたものしか食べられない。企業にしっかり責任を持たせてほしいですね」
ペットフードの安全性に不安が広がっている。07年に農林水産省と環境省が実施したインターネットによるアンケート(対象者3000人)では約4割の人が「十分な安全が確保されていないと思う」と答えた。
背景には、この年北米で中国産の原料を使ったペットフードが問題化したことがある。製造過程で、たんぱく質を多く見せるために工業用の化学物質メラミンが混入されていたことが発覚。米国では計4150匹の犬猫が死んだとの報告もある。流通するペットフードの半分以上が輸入品の日本でも、メラミンが混入した商品が見つかり、自主回収された。
国民生活センターによると、08年度に全国の消費生活センターなどに寄せられた犬猫用ペットフードに関する相談件数は195件。メラミン問題の影響で2年前の3倍以上に増えた。「飼い猫3匹が食べた直後に具合が悪くなり、1匹死んだ」など、32件で犬猫計62匹が死んだ。針金やビニール片が混入していたといった苦情も多い。
人間の食べ物には「食品衛生法」、家畜には「飼料安全法」があり、一定の安全が守られている。ペットフードにはこれまで業界の自主基準しかなかったが、6月1日から「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律(ペットフード安全法)」が施行され、農薬や添加物の上限、表示の義務化が始まる。違反した商品は製造や販売を禁止する措置がとられる。また、商品には原材料のすべてが表示されるようになる。
現状よりは前進だが、まだ課題は残る。獣医師の資格を持ちオーダーメードのペットフードを製造している「ほりんふ」(神奈川県平塚市)の代表、浦元進さんも「新法には原材料の質や産地については表示義務がない」と指摘する。
では飼い主はどんなことに気をつければいいのか。浦元さんは「企業の姿勢、価格の妥当性、食べたときの動物たちの反応などを総合的に判断して、自分とペットに合ったものを探す努力を」とアドバイスする。保存料など添加物の表示にも注意を払いたい。
ペットフード以外のものを与える際には、タマネギやブドウなど動物には有害になるものがあるため、注意が必要だ。最近では、それぞれの食性を学んで手作り食を与える飼い主も増えている。
飼料・ペットフードコンサルタントの本澤清治さんは「ペットフードは毎日同じものを食べがちなので、有害なものが混ざっていると、体内に日々蓄積されていく。飼い主が確かな知識を持ち、他のフードや手作り食と混ぜたりして、いろいろなものを食べさせた方が安心でしょう」と話す。【田後真里】
毎日新聞 2009年5月20日 東京朝刊」
(2) ペットフード安全法の概要(「環境省」の「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」(ペットフード安全法)より引用)
「1 経緯
○平成19年3月、米国において、有害物質(メラミン)が混入した愛がん動物用飼料(ペットフード)が原因となって、多数の犬及び猫が死亡。6月には、メラミンが混入したペットフードが、我が国で輸入販売されていたことが判明。
○同年8月、農林水産省及び環境省が合同で有識者による「ペットフードの安全確保に関する研究会」を設置。11 月には研究会の中間とりまとめとして、動物愛護の観点からペットフードの安全確保に緊急に取り組むべきであり、法規制の導入が必要であるとの方向性が示された。
○平成20年3月、第169回国会に「愛がん動物用飼料の安全性の確保に関する法律」案を提出。6月11日成立、18日公布。
2 趣旨
愛がん動物用飼料の安全性の確保を図り、もって愛がん動物の健康を保護し、動物の愛護に寄与するため、愛がん動物用飼料の基準又は規格を設定するとともに、当該基準又は規格に合わない愛がん動物用飼料の製造等を禁止する等の措置を講ずる。
3 法律の内容
(1)基準又は規格の設定及び製造等の禁止
農林水産大臣及び環境大臣は、愛がん動物用飼料の基準又は規格を定めることができることとし、当該基準又は規格に合わない愛がん動物用飼料の製造、輸入又は販売を禁止する。
(2)有害な物質を含む愛がん動物用飼料の製造等の禁止
農林水産大臣及び環境大臣は、有害な物質を含む愛がん動物用飼料等の製造、輸入又は販売を禁止することができる。
(3)愛がん動物用飼料の廃棄等の命令
農林水産大臣及び環境大臣は、製造業者、輸入業者又は販売業者に対し、廃棄、回収等必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(4)製造業者等の届出
製造業者又は輸入業者は、農林水産大臣及び環境大臣に、氏名、事業場の名称等を届け出なければならない。
(5)帳簿の備付け
製造業者、輸入業者又は販売業者(小売の場合は除く。)は、販売等をした愛がん動物用飼料の名称、数量等を帳簿に記載しなければならない。
(6)報告徴収、立入検査等
農林水産大臣又は環境大臣による愛がん動物用飼料の製造業者等からの報告徴収、製造業者等への立入検査等について定める。」
イ:ペットフードの被害事例としては、中国産原料を使ったペットフードを巡って2007年3月、米国で半生状態の製品を食べた犬や猫が腎不全で数千匹も死亡しました。ペットフードに含まれる小麦グルテンを中国企業が米国などに輸出する際、品質をよく見せるためにプラスチック原料のメラミン(有害物質)を添加していたことが原因でした。
すなわち、死因としては、「米国獣医師会(AVMA)は、リコール対象となったペットフードを食べたイヌやネコの病理解剖所見から、メラミンとシアヌル酸の化学反応によって結晶が生じ、これにより腎臓の機能が阻害された可能性があることを発表」(「愛知県衛生研究所」の「メラミン添加によるペットフード原材料の擬装」(2007年6月7日))しています。
このように米国で中国産の原料で作られたペットフードを食べた犬や猫が相次いで死んだ問題を受けて、農林水産省と環境省は、ペットフードの安全性を確保するため新たな法規制を行い、安全に関する基準や規格を定め、立法化・施行に至ったわけです。
ロ:ペットフード安全法のポイントは、ペットフードの製造・輸入・販売のすべての段階において、<1>有害な製品が市場に出回ることの防止、<2>仮に有害な製品が出回ってしまった場合の対応、を確実にするために、法規制をしたことにあります(ペットフード安全法研究会「ペットフード安全法の解説」(2009年、大成出版社)6頁参照)。
日本では、ペットフードは、公正取引委員会に認定された「ペットフードの表示に関する公正競争規約」によって規制され、表示および使用原料についての規準がありました。また、「飼料安全法」「食品衛生法」「毒物劇薬法」「薬事法」「と畜場法」などによる法規制も一応、制約になっていたようです(「ペットフード協会」の「ペットフード工業会からのお知らせ」(平成14年9月2日)参照)。
しかし、米国・EUなど諸外国においては、既にペットフード用飼料の法規制がなされていたのに対して(ペットフード安全法研究会「ペットフード安全法の解説」(2009年、大成出版社)6頁)、日本では、ペットフードをも念頭に置いた添加物規制はなかったのです。
もっとも、法的規制ではないのですが、日本でも、ペットフード業界で定めた「添加物使用に関する自主規準」(米国のAAFCO(全米飼料検査官協会)やEUのFEDIAF(ヨーロッパペットフード産業同盟)など欧米で法的に規制され使用可能な添加物、および日本における食品添加物、飼料添加物に限定した内容)に従っていました。
このように「ペットフードにはこれまで業界の自主基準しかなかった」(毎日新聞)という指摘は間違いであり(ある馬鹿な弁護士もラジオで法規制がないと述べていた)、全く法規制がないわけではなく、無制限にペットフードを製造販売していたわけではありません。ですが、ペットフード用の成分に関する法規制はなかったため、<1>有害な製品が市場に出回ることの防止、<2>仮に有害な製品が出回ってしまった場合の対応、を確実することは困難であったため、このたび法規制の運びとなったわけです。
なお、「ZAITEN・2007/11/01発売号 (12月号)」では、「ペットビジネス『知られざる現実』」という特集が組まれています。「飼い主は知らない『ペットフードの真実』」(獣医&作家 堺英一郎)、「日本のペットフードは大丈夫ですか 農水省畜水産安全管理課境課長に直撃!」(聞き手・本誌 北原伸一)といった記事があります。ペットフード安全法制定前の状況を知るには良い内容ですので、機会があればぜひご覧下さい。
例えば、東京都内では、平成20年9月19日及び20日に、環境省・東京都・台東区・財団法人日本動物愛護協会などの動物愛護団体等が協働して、動物愛護週間中央行事「動物愛護ふれあいフェスティバル」を実施しています。今年度のテーマは、「めざせ! 満点飼い主」です。
「■ 動物愛護ふれあいフェスティバル
日時: 9月19日(土)11時00分~16時00分
場所: 上野恩賜公園内噴水前広場・上野動物園
内容: めざせ!満点飼い主クイズ大会、愛犬しつけ方教室、聴導犬実演、動物ふれあいコーナー、スタンプラリー、動物紙芝居、動物お絵かき・動物折り紙、ポスター展示、パネル展示など
■ 動物愛護管理シンポジウム
日時: 9月20日(日)12時30分~16時30分
場所: 東京国立博物館平成館講堂
内容: 動物愛護シンポジウム(めざせ!満点飼い主-ペットの高齢化について考える)の開催」
今年2009年で動物愛護週間制定60周年を迎えたためか、前よりも多くのテントが出ていたように感じられ、前よりも大規模なイベントとなったように思います。例えば、震災の際には、人として必要な物があるようにペット用として必要な物がありますが、準備をしていない方も多いのではないでしょうか。そうした点を気づかされる展示などもありました。
なお、郵便事業株式会社は、本年(2009年)で動物愛護週間制定60周年を迎えることを記念して、特殊切手「動物愛護週間制定60周年記念」を発行しました。その切手の販売もなされていました。
1.動物愛護週間に関連した記事を幾つか。まず、対照的な結果となっている、熊本市・埼玉県でのケースと、奈良県のケースについて触れた記事を。
(1) 朝日新聞平成21年9月19日付朝刊33面「生活」面
「捨てられるペットを救え あすから動物愛護週間
20日から始まる動物愛護週間は、ペットのいのちと向き合う好機だ。飼い主の都合で捨てられたり迷子になったりして、殺処分される犬や猫は年に約30万匹。自治体の保健所などは、身勝手な飼い主に苦言を呈したり、民間のペットショップと協力して新たな飼い主を探したりして処分を減らそうと試みている。 (赤井陽介)
◆ショップと連携 飼い主探し ■ 身勝手な処分に苦言
熊本市の保健所の市動物愛護センターでは、職員がペットの飼い主と電話で激しくやり合う場面が絶えない。
飼い主 「処分するのがお前の仕事だろ」
職員 「飼い主の責任も果たさないでそんなことを言うのはおかしい」
同センターは06年から、飼い主の勝手な都合でペットを引き取るよう求められた場合、簡単には受け入れない方針を徹底し、飼い主の説得を試みることにした。かむ、ほえるという理由で手放そうとする人には、しつけの仕方を伝授。プロのインストラクターを紹介することもある。
だが、飼い主を説得できなかったこともある。闘犬用に土佐犬を飼っていた人が「使い物にならなくなった」として処分を強く要求。センターとしては、その犬を注射で安楽死させる場面に飼い主を立ち会わせることが精いっぱいだった。松崎正吉所長は「言われるままに処分するのは簡単。飼い主に憎まれても、命を捨てることの重大さを伝えたい」と話す。
センターで殺処分された犬猫は05年度は813匹だったが、飼い主への厳しい応対を徹底した06年度には571匹に減った。市民が引き取り手探しに協力してくれたこともあり、今年度は交通事故に遭った猫1匹を安楽死させただけだ。
センターは、ホームページにペットの写真を載せて飼い主を募集する活動にも力を入れている。8月からは、飼いやすさを一つ星「たくさんの時間とたくさんの愛情が必要」から、五つ星「人慣れしやすい。初めて飼う方向き」まで段階別に示すことを始めた。「シャイだがなでてもらうのが大好き」 「おっとりした性格」といったそれぞれの性格なども詳しく紹介するようにし、見た目ではわからない情報の提供を増やしている。
□ ■ □
埼玉県で殺処分などを担う県動物指導センターがペットショップと連携し、捨てられた犬猫の新たな飼い主を探す試みが昨年から始まった。同センターによると、保健所など公的機関が地域の動物愛護団体に譲渡するケースは一般的だが、民間企業に譲り渡すのは全国でも極めて珍しいという。
越谷市の大型ショッピングセンター内にあるペットショップ「ペコス」。数年前に愛犬と死別したという買い物客の宮崎義博さん(54)は、「ここに来るといやされる。機会があれば飼いたい」と、窓越しに雑種犬を眺めていた。
この一角の名は「ライフハウス」。店を営む会社が「いのちを少しでも救いたい」という願いを込めて名付けた。紹介しているのは、県動物指導センターから譲られた犬ばかり。値札はなく、その代わりに「セカンドパートナーを待ってます」という張り紙があった。
こうした連携について、同センターの大畑佳代子・担当部長は「民間企業に譲り渡すことに不安を持つ人もいるかもしれない。ただ、恐れるばかりでは殺処分は減らせない」と語る。買い物客が行き交う大型ショッピングセンターという立地の良さが手伝って、引き取りを希望する人が増えると見込んでいる。
ペットショップ側も、引き取り手が飼い主に適しているか否かを見極める工夫をしている。
「最後まで買い続ける意思があるか」 「家族全員が飼うことに賛成しているか」など19項目にわたって細かく質問。この1年で20匹が引き取られた。甘竹理沙店長は「飼い主が見つかるペースがどんどん速くなっている」と話した。」





