東京地検特捜部は今後、再捜査して再び処分を出すことになります。昨年5月に施行された改正検察審査会法では、再捜査の末に再び不起訴としても、それに対して審査会が2度目の「起訴すべきだ」とする議決をすれば、裁判所が指定した弁護士によって強制的に起訴されることになっています(朝日新聞平成22年4月28日付朝刊)。
1.検察審査会で「起訴相当」とした点に触れた記事を幾つか引用します。
(1) 時事通信(2010/04/27-17:39)
「小沢氏「起訴相当」を議決=再議決なら強制起訴-陸山会規正法違反事件・検察審
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で告発され、不起訴処分となった小沢氏について、東京第5検察審査会は27日、「小沢氏の供述は不合理で信用できず、共謀共同正犯が成立する」として、起訴すべきだとする「起訴相当」を議決した。今後、東京地検特捜部が再捜査し、改めて処分を決める。
再び不起訴とされても、2回目の審査で、11人の審査員中8人以上が起訴すべきだと判断すれば、小沢氏は裁判所が指定する弁護士によって強制的に起訴されることになる。
検察審は議決書で、「政治資金収支報告書を提出前に確認せず、担当者が真実を記載していると信じて了承した」とする小沢氏の任意聴取での供述について、「極めて不合理、不自然で信用できない」とした。
土地代金の支払い直後に同会が金融機関から受けた4億円の融資については、融資関係書類に小沢氏が署名しており、金利を支払ってまで銀行融資を受けた点を挙げ、「土地代金の原資を隠すための偽装工作」と断定。陸山会の事務担当者だった衆院議員石川知裕被告(36)らが、絶対権力者の小沢氏に無断で工作をする理由はないと指摘した。
その上で、「絶大な指揮命令権限を持つ小沢氏の地位と、石川被告らの立場などを総合考慮すれば、共謀共同正犯が成立すると認定できる」と結論付けた。
さらに、「『秘書に任せていた』と言えば、政治家本人の責任は問われなくていいのか。政治家とカネにまつわる政治不信が高まっている状況下で、市民目線からは許し難い」と言及。「小沢氏を起訴して、裁判で真実と責任の所在を明らかにすることが、善良な市民としての感覚だ」と述べた。(2010/04/27-17:39)」
(2) 時事通信(2010/04/27-16:16)
「小沢氏起訴に現実味=結論、なお流動的
民主党の小沢一郎幹事長を嫌疑不十分で不起訴とした検察の判断を、国民から選ばれた検察審査会のメンバーは不当とみなした。今後、東京地検特捜部が再度不起訴とした場合には、今回と同じ東京第5検察審査会が改めて審査し、強制起訴するかどうかが決まる。小沢氏の起訴が現実味を帯びてきた。
ただ、審査員の任期は半年間で、3カ月ごとに約半数が交代する。5月以降、同審査会の審査員11人のうち6人が代わることなどから、結論はなお流動的だ。
昨年の西松建設事件で特捜部は、検察審査会による起訴相当の議決を受け、いったん不起訴とした同社元社長を起訴した。しかし、元社長は、疑いは残るが十分な証拠のない「嫌疑不十分」ではなく、証拠があっても処罰を求めない「起訴猶予」だったため、新たな証拠がなくても、検察官の裁量だけで起訴に転じることができた。
ある検察幹部は「特捜部が時間をかけて捜査し、上層部が嫌疑不十分と判断した以上、検察の結論が変わることは考えられない」と話す。再捜査の結果、小沢氏の不起訴処分が見直される公算は極めて小さいとみられる。
2度目の不起訴処分に対する再審査で、起訴相当が再び8人以上なら「起訴議決」となり、小沢氏は強制的に起訴される。8人未満の場合には「起訴議決をするに至らない」と議決し、不起訴のまま終結することになる。(2010/04/27-16:16)」
(3) 時事通信(2010/04/27-22:19)
「「想定内」「証拠評価の問題」=起訴可能性に否定的-法務・検察
検察審査会の起訴相当議決について、法務・検察幹部からは「想定していた」「証拠の評価の問題」などと、冷静な声が聞かれた。今後の再捜査については、「新証拠が見つかる可能性は低く、判断を覆すのは難しい」と、小沢氏起訴の可能性に否定的な見方が大勢を占めた。
検察首脳の1人は「想定していた」とした上で、「共謀はあるとしても、罪を問えるほどのものなのか。どういう共謀なのか具体的な指摘がないのに、起訴できるという指摘ばかりしている。『小沢氏はけしからん』という気持ちがあるのかもしれない」と話した。
別の幹部は「われわれは、80%有罪でも20%無罪だと思えば起訴しない。証拠の評価が違うということだ」と淡々とした様子。
法務省幹部は「内容が粗い。公開の場に引きずり出せというだけではないか」と苦言を呈した。
小沢氏や起訴された3被告への再聴取については、「任意捜査だから、断られたらそれまで」「事情聴取しても、同じ説明の繰り返しになる」などとする声が上がった。
中堅幹部は「時間をかけずに不起訴にするのではないか。再び起訴相当の議決がされれば、それは国民の意思だ」との考えを示した。(2010/04/27-22:19)」
(4) 朝日新聞平成22年4月28日付朝刊3面「『起訴相当』識者の声」(一部)
「検審の「証拠」おかしい――高井康行氏(弁護士)
私が参加した司法制度改革推進本部の裁判員制度・刑事検討会では、起訴猶予と嫌疑不十分を分けて考える必要性が指摘された。検察が「証拠があるが起訴しない」と判断した起訴猶予の場合、国民目線で起訴すべきかどうかを考え直す意味はある。しかし、嫌疑不十分は証拠の有無の問題。法律家が「証拠はない」と判断したのに、国民目線で見たら「証拠はある」というのはおかしい。
小沢氏を共犯者に問う直接的な証拠は、石川知裕衆院議員と池田光智元秘書の供述しかないが、議決書を読んでも、2人の供述内容がどの程度の具体性を持つのかわからないので、証拠価値の判断ができない。
仮に小沢氏が強制的に起訴されることになれば、政治的な意味も大きい。検察審査会は「これなら、検察審査会が起訴すべきだと判断するのも仕方がない」とわかるような具体的な説明をする必要があるのではないか。」
イ:これらを見ると、検察審査会の審査では、「市民目線からは許し難い」「(小沢氏を起訴して公開の場(裁判所)で真実の事実関係と責任の所在を明らかにすべき)……これこそが善良な市民としての感覚」などと、自らを「善良」と声高にに称して「市民」の名の下にいわゆる「感情論」むき出しで――証拠裁判主義や無罪推定の原則は頭の中から抜けてしまったまま――起訴相当と判断したことが分かります。
もっとも、決議文は審査員が作成するわけではないので、東京第五検察審査会で補助に就いた、ヤメ検である米澤敏雄弁護士の「作文」の可能性が高いので(後掲<追記>参照)、割り引いて考える必要がありますが(ヤメ検の作文――元検事の見解――にすぎないのに、読売新聞・日経新聞・東京新聞が「市民感覚」を大見出しにしたのは、かなり情けない思いがします)。
ロ:こうした感情論むき出し、いうなれば「私刑(リンチ)法廷」を求めた起訴判断となると、さすがに法律家集団である検察庁・法務省もついていけません。ですから、「共謀はあるとしても、罪を問えるほどのものなのか。どういう共謀なのか具体的な指摘がないのに、起訴できるという指摘ばかりしている。『小沢氏はけしからん』という気持ちがあるのかもしれない」(検察首脳)、「内容が粗い。公開の場に引きずり出せというだけではないか」(法務省幹部)と、結論だけでなく、決議内容に対しても感情論を諌める形で厳しく批判しています。
検察や法務省側のコメントを言い換えれば、「『共謀』という最も肝心な点の具体的な証拠がないのに、市民感情を振りかざして『うそつき』『小沢氏けしからん』と言ってみても、そんな感情論(=嫌疑刑)は、法と証拠に基づく近代裁判では通用しない」、「審査員は、刑事裁判を『公開リンチ』『吊るし上げ集会』と勘違いしているのでは? 刑事裁判は証拠に基づいて犯罪の有無を判断する場であって、市民やマスコミによる吊るし上げの場所でもないし、世間に対する情報公開の場所でもない。これだから裁判の意味さえ理解できていない、暗愚な市民やマスコミは困るんだよね。やれやれ。」ということでしょう。
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件については、検察庁は証拠がないから不起訴にしたのです。ある検察幹部が述べるように、特捜部が1年も執拗に捜査し、上層部が(証拠がないために)嫌疑不十分と判断した以上、「検察の結論が変わることは考えられない」のです。ですから、高井康行氏(弁護士)が述べるように、「法律家が『証拠はない』と判断したから不起訴になったのに、国民目線で見たら『証拠はある』というのはおかしい」のです。刑事裁判は証拠裁判主義の原則に支配された、法律的な判断をする場なのですから、 市民の感情論で気ままに有罪証拠に仕立てるべきでないのです。
ハ:自らを「善良」と声高に称する市民は、本当に「善良」なのでしょうか?
誰しもがすぐに想像するはずですが、自ら「善良な市民」と声高に主張する者は、むしろ自分勝手な意見で無理難題や金銭を要求する悪質なクレーマーや、嫉妬心に駆られた行動であるのに正当性を主張して嫌がらせを繰り返すストーカーを思い起こさせるのです。
自らを「善良」と声高に称する市民(人物)に対しては、空恐ろしく感じ、むしろ警戒心を抱く――。これこそが一般人の常識ある感覚であると思うのです。
石川議員は、2月9日、地元の北海道帯広市内で会見に応じてはいますが、報道機関は「有罪認定」しているせいか、石川議員へのインタビューをしておらず、石川議員の言い分に耳を傾けようとしていません。離党届提出後、やっと報道機関のインタビュー記事が出ていたので、紹介したいと思います。
1.インタビュー記事を。
(1) 日刊ゲンダイ平成22年2月20日付(19日発行)3面
「本誌独占 石川知裕衆院議員が初激白
「私を貶めた水谷建設は許さない」
政治資金収支報告書虚偽記載で起訴された石川知裕衆院議員(36)が保釈後、初めて本紙の単独取材に応じた。検察の取り調べはどうだったのか。形式犯なのに起訴された悔しさは? 石川議員の口からは意外なセリフが飛び出した。
■「このままでは死んでも死に切れない」
石川議員の話を聞いたのは議員会館の事務所だ。部屋にはベビーベッドが置いてある。子供が生まれたばかりの女性秘書のためである。検察は乳飲み子がいる女性秘書も呼んで、長時間の聴取をした。本人は逮捕、起訴され、今後、長い裁判が待っている。まず、検察が憎くないのか。
「いえ、私が許せないのは水谷建設の方です。なぜ、私に5000万円を渡したというウソをついたのか。彼らは東京地検特捜部もだましたのです。なぜ、そんなことをする必要があったのか。水谷功氏の脱税を隠すためなのか。それとも誰かが絵図を描き、私や小沢幹事長を貶(おとし)めようとしているのか。背後にどんな力が動いているのか。真相が判明しなければ、死んでも死に切れません」
石川は1月15日に逮捕された。直前にガサ入れがあり、その後もきちんと聴取に応じていた。それなのに、国会開会直前の逮捕。国会関係者も驚いた。
「13日に強制捜査があり、14日にも取り調べられ、15日も行く予定でした。でも、連日はきついし、地元に戻ろうかとも思ったので、弁護士が連絡し、15日は回避してもらい、その代わり16、17日に行くことにしたのです。ところが、15日の夜7時になって、どうしても今から会って話をしたいと言ってきた。これは逮捕だなと思いました。検事が帝国ホテルの1階まで迎えに来てくれて、午後10時3分に逮捕されました。逮捕前は水谷建設からのお金のことばかりを聞かれました。ずっと事実ではありませんと申し上げた。そうしたら、政治資金収支報告書の虚偽記載で逮捕になったのです」「自殺の恐れ」は、うかがえない。水谷の裏献金で口を割らないものだから、吐かせるために逮捕した。検察権力の横暴、不当な取り調べと言うしかないが、石川は実に人がいい。
「いや、自殺の気はなくても、知人や検事に弱気の発言をした事実はありますからね。検察のご判断なのでしょう。取り調べの検事さんは人間的に優れていました。そういう人が特捜部の検事になるのでしょう。私は2人の検事から聞かれましたが、普段であれば、一杯やりたいな、という人たちでしたよ」とか言うのである。
■連日9時間に及んだ聴取の怖さ
検事が声を荒らげたことは? 「小沢はもう守らんぞ」と脅されたことは?
「取り調べの中身については言わない約束をしたので、ご想像に任せますが、取り調べは紳士的で、怒鳴られたのは1、2度です。ただ、肉体的にはつらかった。取り調べは午前中1時間、午後に3時間、夜に5時間。毎日9時間前後に及んだのです」
一番、つらかったことは?
「何度言っても裏献金の事実がないことを信じてもらえなかったことです。『証拠はそろっている、あとはあなたが真実をしゃべるだけだ』と言うのです。私は水谷建設が私に金を渡したという10月15日のアリバイを示せなかった。だから、堂々巡りになるのは仕方ないのかなとも思いましたが、許せないのは裏献金話を捏造した水谷です。水谷の幹部とは懇親会で名刺交換をした程度だし、功元会長については、捜したけど名刺もなかった。それなのに、現金を渡した日付まで指定して、私にアリバイがあったら、どうするつもりだったのでしょうか」
洪水のようなリーク報道に怒りはないのか。中には金の受け渡し現場を見たという第三者の証言を報じたテレビもあった。
「あれはひどいです。何らかの抗議、訴えることを検討しています」
それでも、一連の責任を取り、離党を余儀なくされた。今後は孤独な裁判が待っている。さぞ、悔しいのではないか。裏金でなければ、収支報告書の修正で済む話ではないか。
「虚偽記載については公判で明らかにしていきますが、反省すべきところもあります。離党については北海道11支部の人々が『離党すべきではない。強制的に離党させられるのであれば、我々も集団離党する』と言ってくれた。でも、私は離党せざるを得ないと思っていました。小沢幹事長とは会っていません。接触が禁止されているわけではありませんが、会えば何かと誤解されますから……」
」サバサバと吹っ切れたような表情で語る石川だったが、その胸中は察するに余りある。決して検察批判を口にしなかったのは、それだけ、検察の怖さを思い知らされたからなのだろうか。
(*原文では「2月15日」だが、石川衆院議員が逮捕されたのは「1月15日」なのでその点は修正した。)
ところが、この問題については、(「共同通信の調べ」によると?)政党交付金制度が導入された後に解散した17政党すべてが、解散後に交付金を国に返還していなかったことが分かったのです。17政党のうち、9政党は所属議員の政治団体に寄付するなどして使い切り、残金はゼロであって、残る8党も後継政党に引き継いでいました。要するに、政党交付金制度が導入された後、自由党を含めた解散政党すべてが、政党交付金を国に返還していなかったのですから、自由党の事例だけを非難するわけにはいかなくなったのです。
1.東京新聞平成22年2月11日付朝刊1面(11版S)
「解散17党 返還ゼロ 政党交付金 使い切りか引き継ぎ
2010年2月11日 朝刊
政党交付金制度が導入された後に解散した十七政党すべてが、解散後に交付金を国庫に返還していなかったことが十日、各党の使途報告書などから分かった。民主党の小沢一郎幹事長が党首を務めた自由党と同様に、所属する議員の政治団体への寄付などで使い切って残高ゼロだったのが九党。残りの八党は後継政党に資金を引き継いでいた。
自民、公明両党は、解散が決まった政党が政治団体に寄付することを禁じる政党助成法改正案を提出しているが、解散を正式決定前に寄付をすることは可能で、国庫への返還実現は難しそうだ。
交付金は税金で政党の活動を支援する制度で、政党助成法では「政党が解散し、政党交付金の残金がある場合は総務大臣が返還を求めることができる」としているが、使い切れば返す必要がない。また、後継の政党が届け出れば、残金を引き継ぐこともできる。
政党交付金の支払いは一九九五年から。各党は政党交付金の使途報告書を総務省に提出している。
解散時に残金がなかったのは、自由党のほか、自民党と合併した保守新党や、改革クラブ、太陽党など九党。
高額な支出は所属議員の政治団体への寄付で、各議員に分けて使い切っているのが実情。自由党は、小沢氏と関連の深い政治団体「改革国民会議」に約五億六千万円を寄付し、その後小沢一郎政治塾の運営費などに充てられているが、同党のケースは異例だ。
後継政党に引き継いだのは、新党友愛、保守党など八党。新進党は六党に分裂したため、それぞれの党に分割して引き継いだ。
民主党に合流した新党友愛の場合は、民主党に約三億二千六百万円を引き継ぐ一方で、解散日に十億六千万円を党関連の政治団体「友愛協会」に寄付した。
【政党交付金】 特定の企業や団体との癒着を防ぐため、企業・団体献金の制限と併せて導入された政党への公的な助成金。1994年に成立した政党助成法に基づいて交付。国民1人当たりの負担額は年間250円。要件を満たした政党の議員数や得票数に応じて配分する。対象は(1)国会議員5人以上(2)国会議員が1人以上で、かつ前回衆院選か直近2回の参院選で得票率2%以上-のどちらかを満たす政党。95年以降、毎年計300億円超を交付している。制度に反対する共産党は受け取っていない。」
「■各政党の政党交付金の状況
政党:平和・市民―――解散時期:1996年4月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:新進党―――――解散時期: 97年12月――解散時の交付金の行方:自由党など6党に引き継ぎ
政党:太陽党―――――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:国民の声――――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:民政党に引き継ぎ
政党:黎明クラブ―――解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:フロムファイブ―解散時期: 98年1月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:新党友愛――――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:民主改革連合――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:民政党―――――解散時期: 98年4月――解散時の交付金の行方:民主党に引き継ぎ
政党:新党平和――――解散時期: 98年11月――解散時の交付金の行方:公明党に引き継ぎ
政党:市民リーグ―――解散時期:2002年3月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:改革クラブ―――解散時期: 02年7月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:保守党―――――解散時期: 02年12月――解散時の交付金の行方:保守新党に引き継ぎ
政党:自由党―――――解散時期: 03年9月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:保守新党――――解散時期: 03年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:無所属の会―――解散時期: 04年10月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ
政党:みどりの会議――解散時期: 04年11月――解散時の交付金の行方:残金ゼロ」
1.MSN産経ニュース(2009.7.25 22:37)
「入院中の息子を刺す 無職の女を現行犯逮捕
2009.7.25 22:37
25日午後5時15分ごろ、東京都文京区千駄木の日本医科大学付属病院から「入院中の患者を家族が刺した」と110番通報があった。警視庁駒込署員が駆けつけたところ、集中治療室に入院していた千葉県柏市西原、会社員、和田正人さん(40)が胸を刺されており、近くにいた母親が「刺しました」と認めたため、殺人未遂の現行犯で逮捕した。
逮捕されたのは同県我孫子市我孫子、無職、和田京子容疑者(66)。正人さんは約2時間半後に死亡したため、容疑を殺人に切り替える方針。
同署の調べによると、京子容疑者は午後5時10分ごろ、隠し持っていた包丁で正人さんの胸を刺した。病院関係者が目撃し、110番通報した。
正人さんは自傷行為を行い、約10日前から入院していた。同署は動機を調べている。」
長男である和田正人さんは自殺を行いましたが、幸いにも未遂にとどまり一命は取り留めたわけです。ですから、本来、家族としては助かったことを喜ぶべきことなのに、母親は和田正人さんの胸を刺して殺してしまい、悲劇をもたらしたのです。そのため、誰もが「なぜ?」と思ったことでしょう。警察も疑問におもって「同署は(母親の)動機を調べている」わけです。
その後の報道として、「自殺を図った息子の回復が見込めないので将来を絶望し殺した」と供述していることが分かったともされていますが、 回復ができないほど意識不明という意味なのか、よく分かりません。そこで、母親が刺した動機にかかわる点について、東京新聞平成22年2月9日付夕刊で記事になっていたので、紹介したいと思います。
東京地裁は平成22年2月5日、3被告人の請求を受けて保釈を決定し、検察側は決定を不服とする準抗告をしなかったため、石川知裕さん、大久保隆規さん、池田光智さんは、5日夕方、小菅の東京拘置所を出ています(共同通信:2010/02/05 18:27)。
1.報道記事を。
(1) 毎日新聞平成22年2月5日付東京朝刊1面
「小沢氏団体不透明会計:小沢氏は不起訴 虚偽記載、容疑不十分 石川議員ら3人起訴
小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の土地購入を巡る事件で、東京地検特捜部は4日、当時の事務担当者で同党衆院議員、石川知裕容疑者(36)ら3人を政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴した。虚偽記載額は約21億6900万円に達する。同法違反容疑で告発されていた小沢氏については容疑不十分で不起訴処分とした。
ほかに起訴したのは、当時の会計責任者で公設第1秘書、大久保隆規(48)と石川議員の後任の事務担当者で元私設秘書、池田光智(32)両被告。
起訴状などによると、陸山会が04年10月に東京都世田谷区の土地を約3億5200万円で購入した際、石川議員と大久保秘書は共謀して原資となった小沢氏からの借入金4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかったなどとされる。また、大久保秘書と池田元秘書は共謀し、07年5月に小沢氏に返済した4億円を同年分の収支報告書に記載しなかったなどとされる。
特捜部は土地購入費に充てられた4億円を「小沢氏の手元に集まった金」と認定。虚偽記載は、この4億円を隠す経理操作と判断。4億円の原資について「公判で明らかにする」とする一方、「隠ぺい工作の執ようさ、額の大きさから起訴すべきだと判断した」と述べた。
これまで中堅ゼネコン「水谷建設」(三重県桑名市)元幹部らが「土地購入直前に5000万円を石川議員に渡した」と供述。石川議員らは授受を否定しているが、特捜部は立証を目指す。一方、小沢氏について特捜部は、虚偽記載の意思や共謀関係を立証するだけの証拠はないと結論づけた。
小沢氏の不起訴処分については、告発した市民団体などが検察審査会に不服を申し立てる可能性がある。
毎日新聞 2010年2月5日 東京朝刊」
(2) 東京地検特捜部は、昨年3月の西松建設事件以降、約1年間にわたり執拗に小沢一郎氏・民主党を狙い撃ちした捜査を行い、民主党への選挙妨害を繰り広げるだけでなく、「検察リーク」により、証拠もないのに様々な疑惑――例えば、贈収賄、脱税、談合、闇献金など多数――を垂れ流して世論操作を行ってきました。最後は、国会開会直前に衆議院議員を逮捕するといった不逮捕特権(憲法50条)を潜脱し、任意とはいえ国民の代表者である議員であり、政権与党の幹事長である小沢氏に2度も聴取を行い、国会審議を大きく阻害するという国会軽視の行為までやったのです。
イ しかし、起訴状などによると、「陸山会が04年10月に東京都世田谷区の土地を約3億5200万円で購入した際、石川議員と大久保秘書は共謀して原資となった小沢氏からの借入金4億円を同年分の政治資金収支報告書に記載しなかった」ことと、「大久保秘書と池田元秘書は共謀し、07年5月に小沢氏に返済した4億円を同年分の収支報告書に記載しなかった」だけで、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪のみでの起訴であって、それ以外の多数取り上げられた罪はすべて起訴事実にありません。
今回の捜査は、足利事件を髣髴とさせるような、長期間小沢一郎氏・民主党を付け狙った異常な捜査でした。また、多くの報道機関が、「検察リーク」を無批判に垂れ流し、いわゆる「光市母子殺害事件」と同様に、極めて感情的で「有罪視」した報道を行っており、またしても刑事手続の大原則である無罪推定の原則(憲法31条)が大きく損なわれました。
異常な捜査も小沢一郎氏の秘書・元秘書を次々と逮捕したのも、ともかく小沢一郎氏を起訴したいという一念であったことは誰の目にも明らかです。しかし、約1年間にわたって検察と報道が一体となってバカ騒ぎした挙句、結局は、本来、入り口にすぎなかったはずの、政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪のみの起訴で「一連の捜査は終結」(東京新聞平成22年2月5日付)したのです。
もっとも、特捜部は土地購入費に充てられた4億円を「小沢氏の手元に集まった金」と認定し、「虚偽記載は、この4億円を隠す経理操作と判断」し、「隠ぺい工作の執ようさ、額の大きさから起訴すべきだと判断した」と述べています。しかし、所詮は、入り口にすぎなかった政治資金規正法違反(虚偽記入)の罪を大きく見せているだけであって、「張子の虎」にすぎないのです。見込み捜査の失敗をこうした言い訳で取り繕うことは、捜査機関の常套手段ですから、また同じことの繰り返しをしているのかと、うんざりする思いです。
ロ 政権交代により、やっと利権と腐敗にまみれた自民党政権と決別し、民意が尊重される社会に変え、格差社会の是正を図りつつあるのに、また元に引き戻そうとする検察と報道機関にはうんざりする思いです。米国さえも次のような記事にあるように、小沢氏が起訴されることを望んでいなかったのです。
「小沢幹事長、春の訪米検討 キャンベル氏の要請うけ
2010年2月5日21時3分
民主党の小沢一郎幹事長が4月末から5月上旬の大型連休中に訪米することを検討している。来日したキャンベル米国務次官補が2日、小沢氏と国会内で会談した際、民主党の大規模な訪米団を編成するよう要請。小沢氏は即答を避け、検討する姿勢を示したという。
鳩山由紀夫首相は5月末までに、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設先を決定すると明言している。キャンベル氏が求めた訪米時期は決着期限に近く、小沢氏が訪米した場合、移設問題が協議される可能性もある。」(朝日新聞平成22年2月6日付朝刊4面)
このように、「来日したキャンベル米国務次官補が2日、小沢氏と国会内で会談した際、民主党の大規模な訪米団を編成するよう要請」していることから分かるように、米国は小沢一郎・民主党幹事長を日米関係において重要な役割をもつ人物と評価しています。2月2日といえば、小沢氏を起訴するか否か最終決定される直前であり、その時期に小沢氏に対して訪米を要請しているのですから、ある意味、米国が日本国に対して(いい加減に「バカ騒ぎ」と「暴走する検察」は止めさせて)小沢氏を不起訴にすることを強くアピールしていたといえます。
「小沢氏は即答を避け、検討する姿勢を示した」とありますが、もし「検察と報道機関が一体となったバカ騒ぎ」がなければ、訪米することを即答できたはずです。「バカ騒ぎ」は、実に無駄な時間を費やしていると感じます。
2月2日に米国が訪米要請という事実からすれば、米国は、日米双方の国益にとって、小沢氏が政治的に失脚することを望んでおらず、早く日米間の政治問題を解決してほしいかがよく分かります。こうした米国の明示的な行動を目にすると、「検察と報道機関が一体となったバカ騒ぎ」は、米国側も苦々しく思っており、日米双方の国益を害するものであったように感じられるのです。