この事件については、このブログでは、事件の内容以前に、村木さんを当初から犯人視した報道を繰り広げてきたメディアに対して批判をしています。すなわち、朝日新聞が、元局長逮捕・起訴という冤罪を造り出したことを自慢しているという点です(
この事件に対して、同様の報道批判を行っているのが、松本サリン事件において犯人視されるなど報道被害・冤罪被害を受けた河野義行さんへのインタビュー記事がありましたので紹介したいと思います。
1.日刊ゲンダイ2010年(平成22年)9月14日付(13日発行)7面
「緊急インタビュー 河野義行さんも怒った! 小沢報道と松本サリン、郵便不正事件は同じです
厚生労働省の村木元局長の冤罪事件を報じる新聞を見て、順序が逆だろうと思いました。新聞は検察の批判記事を書きまくっていましたが、事件当初、自分たちはどう書いていたのか。村木さんを犯人扱いしてきたではないか。それなのに、手のひら返しで、検察批判に転じる。すいぶん、身勝手なものです。
◆あまりにおかしい大マスコミの身勝手報道
まず、自分たちの報道姿勢を反省し、それから検察批判が順序でしょう。松本サリン事件で私が犯人扱いされてきた時とまったく一緒の光景が繰り返されている。あの時も新聞は「長野県警、謝れ」みたいな報道をしましたが、一緒になって犯人扱いしてきたのは新聞です。私が恐ろしいと思ったのは当時、メディアが私に潔白を証明しろ、と迫ってきたことです。彼らにとって、捜査機関は絶対である。間違えるわけがない。それが違うと言うなら、自分で示せ、と。容疑者が真犯人かどうか、立証責任は捜査機関や検察にあるのに、通じない。
そして、松本サリン事件とまったく同じ構図なのが、小沢さんの政治と金の問題だと思います。
小沢さんは検察が本人を何度も事情聴取し、事務所や関係先も徹底的に家宅捜索した結果、不起訴になった。それなのに、メディアは「おまえは疑われているのだから、自分で疑いを晴らせ」と迫るのです。これは恐ろしいことです。
村木さんと違って、小沢さんは逮捕もされていないんですよ。それなのに、何年間も犯人扱いされ、説明責任を求められる。捜査当局=権力者の間違いを監視し、チェックするべき報道機関が、捜査当局のお先棒を担ぎ、法治国家を否定するようなことをする。
その背景には、さまざまなことがあるでしょう。小沢憎しがあるのかもしれないし、捜査当局との癒着もある。冤罪がなぜ、なくならないのかというと、組織の長が最初に一定の方向性を示すと、なかなか変えられないのです。見込み違いは、トップの能力を問われるからです。
だから、なかなか軌道修正ができない。証拠がないと、容疑者に大声を上げる。当局が描いた事件に持っていこうとし、供述を強要することになる。私のときがそうでしたが、変わっていない。
新聞がしっかりしなければいけないのに、小沢報道を見る限り、暗澹(あんたん)たる気持ちになります。(談)」
1.報道記事を幾つか。
(1) 時事通信(2010/09/10-22:40)
「村木元局長に無罪=検察構図を全面否定-障害者郵便悪用事件・大阪地裁
障害者団体向け割引郵便制度の悪用事件で、偽の団体証明書を作成したとして、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省元局長村木厚子被告(54)=休職中=に対する判決が10日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は、証明書作成について「部下に指示した事実は認められず、共謀は認定できない」と述べ、無罪を言い渡した。検察側は懲役1年6月を求刑していた。
村木元局長は捜査段階から一貫して無罪を主張。元局長の関与を認めた元部下らの供述調書が「検察官の誘導があった」として証拠採用されておらず、判決は、検察が描いた事件の構図を全面否定した。検察側は控訴するかどうか検討するとしているが、捜査手法が問題となるのは必至だ。
判決は、供述調書や公判証言について、客観的証拠に符合するかどうかの観点から信用性を慎重に検討した。
この結果、自称障害者団体「凛(りん)の会」元代表倉沢邦夫被告(74)=一審で一部無罪、検察が控訴=が石井一参院議員に厚労省への口添えを依頼したとの検察側主張について、「アポイントメントを取ったが、その後、石井議員に予定が入った」と否定。同省内で「議員案件」として証明書発行が決定していたとの点についても、「客観的状況と整合しない」と退けた。
一方、同省元係長上村勉被告(41)=公判中=が「独断で発行した」と証言したことについては「客観的証拠に符合する」と指摘。「一般人から見ると不自然だが、上村被告の行動傾向からは不自然とは言えない」と述べた。(2010/09/10-22:40)」
(2) 朝日新聞平成22年9月11日付朝刊1面
「厚労省・村木元局長に無罪判決 郵便不正事件で大阪地裁
2010年9月10日19時5分
郵便割引制度をめぐる偽の証明書発行事件で、虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われた厚生労働省の元雇用均等・児童家庭局長、村木厚子被告(54)の判決公判が10日、大阪地裁であった。横田信之裁判長は、検察側が描いた事件の構図の大半を否定。「村木元局長が証明書発行を部下に指示したとは認められない」と述べ、無罪(求刑懲役1年6カ月)を言い渡した。大阪地検は、2週間の控訴期間内に今後の対応を上級庁と協議する。
村木元局長は2004年6月、自称障害者団体「凛(りん)の会」が郵便割引制度の適用を受けるための偽の証明書を発行するよう、担当係長だった上村(かみむら)勉被告(41)=同罪で起訴、公判中=に指示したとして、昨年7月に起訴された。
検察側は、凛の会元会長の倉沢邦夫被告(74)=一審・同罪は無罪、検察側控訴=が石井一(はじめ)・参院議員(76)に証明書が発行されるよう頼み、石井議員が当時の塩田幸雄・障害保健福祉部長(現・香川県小豆島町長)に口添えした「議員案件」だったと指摘。捜査段階の上村被告らの供述に基づき、塩田元部長の指示を受けた当時課長の村木元局長が上村被告に証明書を不正発行させたと主張していた。
横田裁判長は今年5月の公判で、検察側が証拠採用を求めた上村被告らの供述調書計43通のうち34通について、「検事の誘導で作られた」などとして採用しないと決定。残りの9通や関係者の手帳などの客観的証拠などから、証明書発行が議員案件だったのか▽村木元局長が上村被告に発行を指示したのか――などを検討した結果、証明書発行が「議員案件」ではなかったと判断。また、村木元局長から上村被告への発行の指示は認められないと結論づけた。(平賀拓哉)
厚生労働省は10日午後、大阪地裁での村木厚子・元雇用均等・児童家庭局長の無罪判決を受けて、「判決の詳細は十分承知していないが、村木元局長の主張が認められたと聞いている。判決自体はまだ確定していないので、厚労省としても今後の動きを注視していきたい」とのコメントを発表した。
◇
〈郵便不正事件〉 障害者団体向けの郵便割引制度を悪用し、実態のない団体名義で企業広告が格安で大量発送された事件。大阪地検特捜部は昨年2月以降、郵便法違反容疑などで強制捜査に着手。厚生労働省から自称障害者団体「凛の会」が同制度の適用を受けるための偽の証明書が発行されたことが分かり、特捜部は昨年7月、発行に関与したとして村木厚子元局長や同会の元会長ら4人を虚偽有印公文書作成・同行使罪で起訴した。」
死刑か無期懲役の確定事件で再審が開始されるのは、「島田事件」の東京高裁決定(87年3月確定)以来約22年ぶりで、再審は早ければ秋にも宇都宮地裁で始まる見通しです。再審では、検察側が無罪判決が出るよう手続きを進め、無罪が言い渡される公算が極めて大きいとされています。弁護側は警察庁科学警察研究所(科警研)のDNA型鑑定など捜査の問題点を検証するよう求めていますので、再審でどこまで審理されるかが焦点となっています(時事通信:2009/06/23-12:53)。
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年6月23日付夕刊
「足利事件 再審を決定 東京高裁 無罪の公算大
2009年6月23日10時17分
栃木県足利市で90年に当時4歳の女児が殺害された「足利事件」の再審請求の即時抗告審で、東京高裁は23日、無期懲役が確定した菅家利和さん(62)=服役先の千葉刑務所から今月4日に釈放=の再審を開始する決定を出した。矢村宏裁判長は「菅家さんが犯人であると認めるのには合理的な疑いがある」と判断した。
決定について検察、弁護側の双方は、最高裁に特別抗告しないことを明らかにした。再審は宇都宮地裁で開かれる。検察側は論告で無罪を求めるか求刑を放棄する方針で、菅家さんに無罪判決が言い渡される公算が大きい。
即時抗告審で高裁は、菅家さんの有罪立証の柱となった警察庁科学警察研究所(科警研)によるDNA型鑑定の証拠価値を判断するため、2つの再鑑定を実施した。決定は、そのうち、検察側が推薦した素鈴木広一・大阪医大教授(法医学)の鑑定結果を検討。鈴木鑑定が「女児の肌着に残された体液のD
NA型と菅家さんの型とは一致しない」としたことを受けて、「菅家さんは犯人でない可能性が高い」と指摘した。
さらに、この鑑定結果によって、捜査・公判段階での菅家さんの「自白」は「信用に疑問を抱かせるのに十分だ」と判断。これらの認定を踏まえ、再審開始の要件となる「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」にあたると結論づけた。
一方、弁護側が推薦した本田克也・筑波大学教授(法医学)は再鑑定で科警研の鑑定結果を「誤鑑定」と指摘していたが、決定は本田鑑定の当否は判断しなかった。
菅家さんは、91年12月に逮捕された。当初は犯行を「自白」。宇都宮地裁での一審公判の途中から否認に転じた。公判では、DNA型鑑定の結果が刑事裁判の証拠となるかが主な争点になった。地裁は93年、鑑定結果や「自白」が信用できるとして無期懲役を宣告。二審・東京高裁も96年に有罪と判断して控訴を棄却した。
弁護団は、科警研の鑑定は信用できないとして上告中の97年に最高裁に再鑑定を求めた。しかし、最高裁は00年に鑑定について「その後の科学技術の発展により新たに解明された事項なども加味して慎重に検討されるべきだが、これを証拠として用いることが許される」との判断を示し、無期懲役が確定していた。
菅家さんは02年に宇都宮地裁に再審請求。地裁が08年に棄却したため、東京高裁に即時抗告していた。」
(2) 東京新聞平成21年6月23日付夕刊1面
「足利事件 再審が決定 菅家さん無罪確定へ
2009年6月23日 夕刊
栃木県足利市で一九九〇年、四歳の女児が殺害された「足利事件」で、無期懲役が確定し、十七年半ぶりに釈放された菅家利和さん(62)が裁判のやり直しを求めた再審請求の即時抗告審で、東京高裁(矢村宏裁判長)は二十三日、「菅家さんが犯人ではない可能性が高い」と再審開始を決定した。近く、一審の宇都宮地裁で再審公判が開かれるが、検察側は有罪立証をせず、菅家さんに無罪判決が言い渡される。
無期懲役以上が確定した事件で、再審無罪になれば、八九年一月の静岡県の「島田事件」以来になる。
矢村裁判長は決定で、検察側が推薦した大阪医科大の鈴木広一教授による再鑑定結果について「菅家さんと女児の下着に付着した体液のDNA型が一致しないことが認められる。菅家さんが犯人であると認めるには、合理的な疑いが生じている」と述べた。
捜査段階の自白にも「有罪とされた一つの根拠であるが、再鑑定の結果は、自白の信用性に疑問を抱かせるのに十分な事実といえる」と指摘した。
弁護側が推薦した筑波大の本田克也教授による再鑑定に関し、検察側が「信用性に欠ける」とする意見書を出したが、決定は「鈴木鑑定のみで菅家さんのDNA型と一致しないことが認められる。本田鑑定の信用性を判断するまでもない」と触れなかった。
弁護側は、捜査段階の鑑定が誤っていたことや虚偽の自白の経緯を明らかにするため、鑑定を担当した警察庁科学警察研究所の技官らの証人尋問を求めたが、矢村裁判長は採用しなかった。
足利事件は二〇〇〇年七月、最高裁が初めて、DNA型鑑定の証拠価値を認め、菅家さんを無期懲役とした一、二審判決が確定。再審請求について東京高裁が再鑑定の実施を決め、今年五月、検察、弁護側が推薦した法医学者二人は、DNA型を不一致とする再鑑定書を提出した。
検察側は今月四日、再鑑定結果が「無罪を言い渡すべき明らかな証拠に該当する」とする意見書を東京高裁に提出し、再審開始決定前の異例の釈放に踏み切った。」
国沢前社長は罪状認否で「間違いありません」と述べ、起訴内容を全面的に認めており、弁護側は「事前に届け出なかっただけの形式犯にとどまる」として執行猶予付き判決を求めています。マスコミの注目を集めた公判ですが1回で結審し、判決は7月14日に言い渡される予定です。
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊1面(13版)
「前西松社長に1年6ヵ月求刑 西松事件 検察「寄付は闇献金」
西松建設から民主党の小沢一郎前代表側への違法献金事件をめぐって、19日に東京地裁(山口雅高裁判長)で開かれた初公判は、即日結審した。検察側は論告で「ダミー団体名義の寄付は闇献金と何ら異なることはない」と両者の「金銭的癒着」を厳しく非難。政治資金規正法違反などの罪に問われた同社前社長の国沢幹雄被告(70)に禁固1年6ヵ月を求刑した。判決は7月14日に言い渡される。
検察側は論告で、西松建設から小沢側への献金は、公共工事の受注談合をめぐって小沢事務所から「天の声」を得ることが目的だったと主張した。実際には西松建設が寄付しているのに、ダミー団体の名義を使って寄付の主体を偽り、談合の構造・実態を隠蔽(いんぺい)したことは「寄付の存在そのものを収支報告書に記載しない、いわゆる闇献金と何ら異なるところはない」と位置づけた。
そのうえで、西松建設が少なくとも4件の公共工事を談合のうえ高い落札率で受注したことから、「納税者である国民に負担を強いた。まさに公共工事受注に係る建設業者と特定政治家側との金銭的癒着を国民の目から覆い隠した」と指摘。 「政治資金規正法の趣旨・目的を踏みにじる、きわめて悪質な犯行だ」と述べた。
国沢前社長は、被告人質問で弁護人から心境を問われ、「他のゼネコンも大なり小なり(談合を)しているので、競争に勝つために必要だと思い続けてきた。悪弊をなくす発想がなかったのは、私の経営者としての限界で、忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。
また、山口裁判長が「談合をしていた頃と、後とどちらが楽だったのか」と尋ねると、「談合がなくなって気は楽になったが、競争が激しくなって(会社の)実績そのものは伸びなかった」と説明した。
国沢前社長の弁護側は最終弁論で、「一種の形式犯で、マスコミの過熱で贈収賄と同列かのような報道があった。罪刑を超える非難は許されない」と主張。身柄の拘束期間が長期にわたったことも批判し、「(小沢側への寄付は)ゼネコン他社との競争で無理からぬ面があった」と執行猶予付きの判決を求めた。
外国為替及び外国貿易法違反の罪に問われた同社元副社長の藤巻恵次被告(68)には、検察側は懲役6ヵ月を求刑した。(浦野直樹、藤森かもめ)」」
(2) 朝日新聞平成21年6月20日付朝刊39面(14版)
「争わぬ西松、一日結審
株主総会前 会社再生優先
2009年6月20日5時31分
東京地裁で19日開かれた西松建設前社長・国沢幹雄被告(70)らの初公判。即日結審は、会社再生のために早期に決着を着けたい西松建設側の意向だったが、立証に自信を見せる検察側も早急な公判準備に対応。政界からも注目された重要公判の審理は意外にも1日で幕を閉じた。検察側は「説明責任」に応えるべく議論を重ね、小沢事務所とゼネコン談合の癒着構造という、違法献金の「悪質性」を冒頭陳述で強調した。
午前10時から始まった初公判は、被告人の罪状認否、検察側の冒頭陳述と速いテンポで進んだ。午後も公判は続き、被告人質問などがあった。
弁護人から心境を問われた国沢前社長は「外為法違反、政治資金規正法違反とも大なり小なり競争に勝つためには必要であると思い続けてきた。立件されて、悪弊をなくす努力はなぜできなかったのか、と思う。忸怩(じくじ)たる思いだ」と述べた。
昼の休憩を挟み、予定された午後4時半より1時間半近く前に、弁護側の最終弁論が終わって結審した。
西松建設関係者らによると、即日結審は、組織改革を進めている同社側が、6月26日の株主総会前に事件を総括するため、早期の結審を望んだ結果だったという。今月上旬から検察側に即日結審を打診し、検察側も論告求刑の準備まで急ピッチで進めた。
民主党の小沢一郎前代表の公設第1秘書・大久保隆規被告(48)=政治資金規正法違反の罪で起訴=の初公判の日程のめどが立たない中で、西松建設側の公判でスムーズな審理を望む検察側の意向とも合致したとみられる。
一方、裁判関係者によると、注目される大久保秘書の初公判については、検察側、弁護側とも総選挙に影響を与える可能性があることについて考慮しているため、「総選挙前に開かれる可能性は低い」という。
■説明責任を意識 検察、大久保被告裁判控え
東京地検は、3月24日に大久保秘書を起訴した際、「看過しえない重大かつ悪質な事案」などと述べた。だが、「悪質な事案」の意味については、「公判で明らかにする」としていた。
その後、国沢前社長らの初公判が6月19日に決定。検察関係者らによると、東京地検特捜部は、違法献金の動機を明らかにするためにも、東北地方の公共工事をめぐるゼネコン談合組織と小沢事務所の関係について、この初公判で指摘することを早期に決めたという。東京地検内には、「検察の説明責任を問う声も高まっていたので、ぜひそれに応えたい」という考えが強かったという。
ただし、最高検など上級庁と公判の方針を検討する中で、「踏み込んだ内容にして、小沢氏側の余計な反発を招くことにならないか」との慎重論も出た。
特捜部が初公判前に準備した冒頭陳述は約20ページに及んだ。それが上級庁との検討を重ね、約半分となった。西松建設以外のゼネコン各社と小沢事務所の関係など、直接立証にかかわらない部分を削っていった結果だという。
また、談合にかかわる罪は立件しておらず立証する必要もないことから、西松建設の献金の動機という範囲におさめるように工夫したという。」
1.報道記事を幾つか。
(1) 東京新聞平成21年6月6日付朝刊27面(12版)
「飯塚事件、再審請求へ DNA新証拠提出目指す
2009年6月5日 23時00分
福岡県飯塚市で1992年、女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑が確定、昨年10月に執行された久間三千年元死刑囚=当時(70)=の遺族が今秋にも再審請求(死後再審)する方針を固めたことが5日、弁護団への取材で分かった。弁護団は菅家利和さん(62)の再審無罪が確定的となった足利事件と同様、DNA型鑑定をめぐる新証拠の提出を目指す。
弁護団によると、飯塚事件は足利事件とほぼ同時期に、同じ「MCT118」という検査法で、DNA型鑑定が実施された。被害者の遺体に付いた血液と元死刑囚のDNA型が一致したとされ、確定判決の根拠の一つとなっている。
血液は残っておらず、足利事件のようにDNA型を再鑑定することはできない。ただ血液から抽出された犯人のものとされるDNA型はMCT118の「16-26」タイプで、元死刑囚の遺族のDNA型と比較するなどして誤りを見つける。
「16-26」タイプは足利事件の旧鑑定で、被害者の衣服に残った体液や菅家さんのDNA型とされたが、再鑑定では異なる結果となった。
確定判決によると、元死刑囚は92年2月、飯塚市内の路上で小学1年の女児2人を車に乗せて誘拐し、首を絞めて殺害するなどした。94年の逮捕以降、一貫して無実を訴えていた。
(共同)」
(2) 読売新聞:九州発(2009年6月6日)
「足利事件と同じDNA鑑定法、飯塚事件再審請求へ
1992年に福岡県飯塚市で女児2人が殺害された「飯塚事件」で死刑判決が確定し、昨年10月に刑が執行された久間三千年(くまみちとし)元死刑囚の弁護団が、今秋以降にも福岡地裁に再審請求する方針であることがわかった。
久間元死刑囚は無罪を主張していたが、最高裁は2006年9月、DNA鑑定の信用性を認めた。弁護団は「足利事件」と同じDNA鑑定法だったこともあり、鑑定の不備を柱に再審を求める方針。久間元死刑囚の親族も請求に同意しているという。
久間元死刑囚は92年2月、小学1年の女児2人(いずれも当時7歳)を車で連れ去り、殺害して山中に遺棄した疑いで94年9月に逮捕された。犯行を直接裏付ける物証はなく、遺体周辺から採取された血痕のDNA鑑定が一致したことが逮捕につながった。
飯塚事件の鑑定法は足利事件と同じく、DNAの配列の一部だけを目で見るなどして調べる「MCT118型検査法」を採用。弁護側は「鑑定は不正確」として無罪を主張したが、最高裁は鑑定結果の信用性を認めた。
弁護団は約15人態勢で、7月上旬にも会議を開き、再審請求に向けた立証方針を決める見通し。まずはDNA鑑定に関する検証に取り組むが、当時の試料は残っておらず再鑑定はできないという。
弁護団の岩田務弁護士は「再審請求に向けて、さらに鑑定不備を裏付けるような証拠を固めていきたい」と話している。
(2009年6月6日 読売新聞)」





