「鳩山新代表は、選出後、壇上で「岡田候補の健闘に感謝申し上げる」としたうえで、「この戦いは、互いに相手を敵同士として戦ったわけではない。この国を良くしたいとの思いの戦い。戦いが終わればノーサイド。持てる力を出し合いながら、皆さんの総力を全員野球として結集して、日本の大掃除をやろうではないか。日本の夜明けを迎えるために新しい民主党の姿を示し、官僚主導を破壊し、国民・市民の皆さんの政治をつくるために先頭に立つことを誓う」と、総選挙勝利、政権交代に実現に向けて力強く挨拶した。また、岡田候補と固く握手し、大きく手を上げて、ともに政権交代の実現を誓い合った。
岡田候補も、感謝の弁を述べた後、「新しい民主党として、政権交代、政治を国民の手に取り戻すために一緒に頑張ろうではありませんか」と挨拶した。」(民主党のHPより「2009/05/16 【代表選】両院議員総会で新代表に鳩山由紀夫衆院議員を選出 挙党一致で政権交代へ」より引用)
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年5月17日付朝刊1面(14版)
「民主党代表に鳩山氏 岡田氏、重要ポストに
2009年5月17日1時25分
民主党は16日、小沢代表の辞任に伴う党代表選を東京都内のホテルで行い、鳩山由紀夫幹事長(62)を新代表に選んだ。党所属国会議員による投票の結果、鳩山氏が124票を獲得し、95票の岡田克也副代表(55)を破った。鳩山氏は選出後の記者会見で、岡田、小沢両氏を重要ポストで処遇する考えを表明した。
政権交代をかけた総選挙に向け、鳩山氏は党勢の立て直しを急ぐ。新代表の任期は、前代表の残り任期である来年9月まで。鳩山氏は、旧自由党との新党構想をめぐる混乱の責任をとって02年12月に辞任して以来の代表復帰だ。
鳩山氏は選出後、両院議員総会で「政権交代を果たして官僚主導の政治を打破し、市民、国民が主役になる政治をつくるため、先頭を切って走る」と表明。その後に岡田氏と会談し、新体制への協力を要請した。岡田氏も「わかりました」と応じた。
また鳩山氏は記者会見で、岡田、小沢両氏の処遇について「できるだけしっかりしたポストについていただく」と説明。岡田氏は幹事長や代表代行への起用が検討されており、執行部入りは確実だ。小沢氏については幹事長、代表代行ら党首脳による集団指導体制の一員に迎える意向。党役員人事の規模については小幅にとどめる考えだ。」
(2) 朝日新聞平成21年5月18日付朝刊1面(14版)
「民主幹事長に岡田氏、小沢前代表は代表代行に
民主党の鳩山代表は17日、代表選で戦った岡田克也副代表を幹事長、小沢一郎前代表を選挙担当の代表代行にそれぞれ起用する党役員人事を決めた。菅直人代表代行、輿石東参院議員会長(代表代行)は再任し、代表、幹事長、代表代行の計5人による集団指導体制で党運営にあたる。
小沢氏の処遇をめぐっては代表退陣後に実権を握る「院政」批判が出ていたが、退陣後ただちに執行部に復権したことになる。ほかの党役員については基本的に再任する。
代表選で開かれた党運営を訴えた政策通の岡田氏を要の幹事長に据えることで、挙党体制をアピールするとともに、総選挙に向けて政策発信を強めていく狙いがある。小沢氏は3人の代表代行の中でも「筆頭」扱いとし、代表時代に一手に仕切ってきた総選挙対策を引き続き担う。
鳩山氏は17日夕、東京都内のホテルで小沢氏と会談。続いて党本部に岡田氏を呼んで幹事長就任を要請した。
鳩山氏は人事決定後、党本部でほかの4人とともに記者会見し、「小沢さんは民主党を次の総選挙で勝利する体質に導いていただきたい。岡田さんは代表選で見事な、さわやかな戦いをした。挙党一致体制をつくりあげることが大事だ」と説明。小沢氏は「政権交代に向けて今まで以上に一生懸命がんばりたい」、岡田氏は「鳩山代表のもとで、しっかりがんばりたい」とそれぞれ決意表明した。」
1.小沢・民主党代表が読み上げたメモの全文は以下の通りです。
「平成21年5月11日
挙党一致をより強固にするために
衆議院議員 小沢一郎
来る衆議院総選挙での必勝と、政権交代の実現に向け、挙党一致の態勢をより強固にするために、あえてこの身を擲(なげう)ち、民主党代表の職を辞することを決意致しました。
国民の皆様、支持者の皆様にご心配をおかけして参りましたことをお詫び申し上げるとともに、特に、この3年間、至らぬ私を支えて下さいました同僚議員の方々、党員・サポーターの皆様に、心より御礼を申し上げます。
もとより、今度の総選挙は、国民自身が政権を選択して、自らこの国と国民生活を救う、又とない機会であります。民主党にとっては、悲願の政権交代を実現する最大のチャンスであります。
民主党を中心とする新しい政権をつくり、「国民の生活が第一。」の政治を実現して、日本の経済、社会を根本から立て直すこと。そして、政権交代によって、日本に議会制民主主義を定着させること。その2つが、民主党に課せられた歴史的使命であり、私自身の政治家としての最終目標にほかなりません。
日本のために、また国民にとって、民主党にとって、そして私自身にとっても、何が何でも、ここで勝たなければならないのであります。
それを達成するためには、党内の結束・団結が絶対不可欠の条件であります。党内が乱れていたのでは、総選挙に勝利することはできません。逆に、挙党一致で臨みさえすれば、必ず勝利することができると確信しております。
私が代表の職にとどまることにより、挙党一致の態勢を強固にする上で少しでも差し障りがあるとするならば、それは決して私の本意ではありません。政権交代という大目標を達成するために、自ら身を引くことで、民主党の団結を強め、挙党一致をより強固なものにしたいと判断した次第であります。
正に、身を捨て、必ず勝利する。私の覚悟、私の決断は、その一点にあります。
連休中、熟慮を重ねて、その結論に達し、決断した以上、党内の混乱を回避するためにも、直ちに連休明けの本日、辞意を表明することに致しました。ただし、国民生活への影響を最小限に抑えるために、平成21年度補正予算案の衆議院での審議が終わるのを待ったうえで、速やかに代表選挙を実施していただきたいと思います。
重ねて申し上げます。新代表の下で挙党態勢を確立して総選挙に臨むことが、何よりも重要であります。もちろん、私もその挙党態勢の一員として新代表を支え、総選挙必勝のために最前線で戦い続けたいと思います。
国民の皆様、引き続き民主党をご支持下さいますよう、心よりお願い申し上げます。」
1.日経新聞平成21年4月12日付朝刊(日曜)5面
「調整中の議長声明案 「ミサイル」表現なく 主要国と日本、隔たり
国連関係筋によると、米国と中国が作成し、安保理の調整の基となっている議長声明案には「ミサイルを発射した」という表現がどこにも使われていない。北朝鮮が何を打ち上げたかは記さず、ただ「発射(launch)を非難する」としている。
だが、中国やロシアはミサイルと共通する人工衛星の打ち上げ技術の開発を「すべての国が持つ平和目的の宇宙開発権」だとして擁護。非常任理事国のベトナム、リビアなど将来の衛星技術開発を目指す途上国も同様の立場の国が多い。
日本政府は10日、北朝鮮が発射した物体の呼称を「飛翔体」から「弾道ミサイル」に改めたが、米国は9日、オーストラリアとの外務・防衛担当閣僚による安全保障対話で発表した共同声明で「ロケット」と表現した。
「『北朝鮮への非難』を明記した以上、発射したのがミサイルかロケットかを特定する必要はない」(安保理関係者)との説明も聞かれる。だが、主要国と日本との隔たりは隠しようがないのが現実だ。(ニューヨーク=中前博之)」
(1) この記事で分かるように、日本政府は、4月10日に北朝鮮が発射した物体の呼称を、わざわざ「飛翔体」から「弾道ミサイル」に改めました。しかし、この記事で分かるように、国連安保理の議長声明案には「ミサイルを発射した」という表現がどこにも使われておらず、米国は4月9日において、オーストラリアとの外務・防衛担当閣僚による安全保障対話で発表した共同声明で「ロケット」と表現しているのです。このように、日本政府のみが、諸外国と異なり、異質な表現を使っていることが分かります。
「「ミサイル発射報道」を検証〜メディアは「慌てず」「騒がず」のはずが……(東京新聞平成21年4月8日付「こちら特報部」より)」(2009/04/08 [Wed] 23:59:17)において、「ミサイル発射報道」について検証した記事を紹介しましたが、「ミサイル、ミサイル」と連呼してお祭り騒ぎを繰り広げた日本の報道機関は、こうした諸外国による評価を見て、恥ずかしく思わないのでしょうか。
(2) 日本の報道機関による報道は、「北朝鮮によるミサイル発射問題」の前は、西松建設献金事件一色でしたが、その報道も妙なものばかりでした。検察OBからも疑問視する声があがるほどの捜査であるのに、検察リーク情報を垂れ流し続けました。漆間巌官房副長官による「自民党側は立件できない」発言も物議を醸しましたが、その言葉通り、自民党側は依然として立件されていません。
<1>「民主党・小沢一郎代表の秘書を逮捕〜政治資金規正法違反(虚偽記載など)の疑いで」(2009/03/06 [Fri] 01:37:44)
<2>「西松建設献金事件:政府高官は、「自民党側は立件できない」と発言〜「事実上、国策捜査である」と暴露したと変わらないのでは?」(2009/03/07 [Sat] 23:36:09)
<3>「「自民側は立件できず」と発言した政府高官は漆間巌官房副長官〜漆間氏の実名公表した河村官房長官は「不適切な発言で厳重注意」」(2009/03/08 [Sun] 23:59:22)
<4>「漆間巌官房副長官、「記憶にない」とすっとぼける〜愚劣な言い逃れでも罷免もしないなんて、麻生首相は正気なのか?」(2009/03/11 [Wed] 23:59:41)
<5>「西松建設献金事件:検察庁は、リーク情報による情報操作は止めて「公の場で説明責任」を果たすべきではないか?」(2009/03/14 [Sat] 23:59:27)
<6>「シンポジウム「青年将校化する東京地検特捜部〜小沢第一秘書逮捕にみる検察の暴走〜」 を開催(平成21年3月15日開催)<3月16日追記>」(2009/03/15 [Sun] 16:24:48)
<7>「小沢・民主党代表への事情聴取見送りに〜立件困難ゆえだが、リーク情報を流して散々煽ってきた責任(検察・報道機関)はどうとるのだろうか?」(2009/03/20 [Fri] 18:12:13)
<8>「西松建設献金事件:検察OBも疑問の声〜「単純に考えて時期は最悪だ」」(2009/03/22 [Sun] 23:59:20)
<9>「西松建設献金事件:小沢氏の公設第1秘書を政治資金規正法違反のみで起訴〜検察は説明責任を果たすことなく、「逮捕・起訴=有罪」視する報道も相変わらず。」(2009/03/28 [Sat] 16:15:17)
<10>「捜査手法も着手時期も疑問多い〜宗像紀夫・元東京地検特捜部長に聞く(朝日新聞平成21年4月1日付「オピニオン」より)」(2009/04/03 [Fri] 02:05:26)
西松建設献金事件は政治資金規制法違反のみで起訴されたにすぎず、北朝鮮による「人工衛星発射」問題も人工衛星発射実験に過ぎないのですから、いずれもさほど騒ぐほどの問題ではないのに、なぜか日本の報道機関は異常反応していたのです。これらの報道については、月刊誌「世界」の編集長も問題視していたため、その「編集後記」を紹介したいと思います。
もっとも、 北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)と米北方軍司令部は4月5日、北朝鮮が発射したミサイルについて「第1段階は日本海に落下し、残りの部分は先端部も含めて太平洋に落ちた」と発表し、人工衛星打ち上げは失敗だったと明らかにしています(朝日新聞)。
北朝鮮による人工衛星打ち上げの問題については、「マスコミも政府も騒ぎすぎ。騒げば北朝鮮はいい気になるだけ」といった市民の声もあるように(朝日新聞)、単なる人口衛星打ち上げなのですから、もっと冷静に反応するべきだったとの声が上がっています。そこで、東京新聞「こちら特報部」だけは、「ミサイル発射報道」を検証する記事を掲載していましたので、紹介することとします。
1.東京新聞平成21年4月8日付22面「こちら特報部」
「「ミサイル」過剰報道?
メディアは「慌てず」「騒がず」のはずが…
北朝鮮の「ミサイル発射」一色となった、このところの新聞・テレビ。政治とカネ、年金、雇用、教育と、国民を苦しめる問題が山積なのに、メディアは「ミサイル、ミサイル」の大合唱だった。でも、あれで、にんまりしたのは誰? 「大満足」とのたまったかという将軍様ではないか。「ミサイル発射報道」を検証する。
■専門家ら苦言
■MD宣伝/外交の視点欠如/北の誇示手助け
「核搭載想定の実験?」「米に突きつける脅威 『成功』なら本土も射程に」 「北の技術 脅威増す」 「『長射程』進歩の跡」 「(金正日総書記)後継態勢構築へ『祝砲』」。発射予告期間前から新聞に躍った刺激的見出し。専門家らは過剰報道だと苦言を呈する。
「騒ぎましたな。見出し自体が一種の評論になっていた」とは軍事ジャーナリストの前田哲男氏。発射を「ミサイル」と表現した点に触れ、「日本政府も『飛翔(ひしょう)体』と言っている段階で『ミサイル』と報道したのでは、それ自体が1つの立場を選択したことになる」。日本の情報衛星がどんな情報を集めたのか不明だと指摘、 「情報衛星は4機打ち上げられており、一日一回は北朝鮮上空を通過するとされる。1998年のテポドン発射で数百億円もかけて整備した情報衛星なのに、メディアが伝えようとしないのも不思議だ」。
先制攻撃論の台頭も危惧(きぐ)。「ミサイル防衛(MD)システムの前倒しや敵基地攻撃に利用したい勢力の声が大きくなるだろうが、メディアは悪乗りせず、歯止めをかけなければ」といさめた。
北朝鮮内部情報誌「リムジンガン」(アジアプレス出版部)の編集人・石丸次郎氏は「ミサイル騒動の本質は対北朝鮮外交だったはず。結果的に日本の外交は発射を止められなかった。安倍、福田、麻生と政権の混迷が続いて北朝鮮にどう向き合っていくかという外交ビジョンが欠落していたことが理由の1つだと思う。この5年ほどの場当たり的な対北外交について、メディアはもっと検証すべきだった」と指摘する。
石丸氏は金正日政権の宣伝にもなったとみる。 「北朝鮮は経済的、軍事的に弱体化が進んでおり、その実態を覆い隠して大きな虚像を示したい。日本のメディアは北朝鮮の『全面対決』 『戦争も辞さず』といった激しい言葉に安易に反応してミサイルの恐怖感を増幅させ、結果的に北朝鮮の虚像づくりに手を貸してしまった。金正日のミサイルパフォーマンスを手伝ってしまったといえる」
「メディアは有事さながらに『お国の一大事だ、頑張らなきゃ』と、異を唱えるどころか先導した。特にテレビは過剰報道。どこかの国のアナウンサーとダブってみえるアナもいた」とは上智大学の田島泰彦教授(憲法、メディア法)。「その陰で、県知事の政治献金問題などが埋もれた」
「在京6紙の見解は
批判をもとに各社に質問したところ、以下のような回答だった。
後藤康浩・日本経済新聞アジア部長 北朝鮮の『ミサイル』発射は日本にとって重要な問題と考えており、読者に必要な情報を提供するとともに、客観的な報道を心がけてきました。過剰報道や騒ぎすぎとのご指摘は当たらないと考えております。
小菅洋人・毎日新聞政治部長 北朝鮮のミサイル発射に関しては、ご質問にあるような指摘を考慮したうえで、読者に必要な情報を吟味し、適切に報道したと考えております。
読売新聞東京本社広報部 読者が求めている情報や新聞が読者に伝えるべき情報について、適切な裏付け取材をした上で、公正、冷静な記事を掲載しました。
朝日新聞広報部 北朝鮮のミサイル発射は、国民の安全にかかわると同時に読者の関心が極めて高いニュースであり、正確かつ迅速な報道に努めました。ご質問の中にあるような「指摘」は当たらないと考えています。
鶴田東洋彦・産経新聞編集長 今回、北朝鮮が「衛星」名目でミサイル発射を強行したことは日本のみならず、世界の平和、安全への挑戦と考えている。とりわけ日本にとっては列島の上空を通過したわけで、断じて許されない行為だ。北朝鮮はテポドンとは別に、日本を射程に収めた中距離弾道ミサイル「ノドン」を実戦配備している。国民の恐怖感を考慮すると、北朝鮮の現状分析、安保理の動きなど詳細な報道は当然と考える。
水野和伸・東京新聞(中日新聞東京本社)編集局長 本紙の基本は「冷静な対応」。 北朝鮮の姿勢を批判しながらも大げさな脅威論や臨戦下の報道にならないよう抑制した対応ができた。特に国民に説明されないまま迎撃ミサイルが市街地に配置される問題を指摘、独自の紙面を作りました。」
麻生太郎首相は3月9日の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件にからみ「(捜査が)自民党議員に波及する可能性はない」とした漆間(うるま)巌官房副長官のオフレコ発言について「誤った報道」と擁護したのです。ところが、首相は同日夜、首相官邸で記者団に「報道が誤ったわけではない」と語り、誤報発言を「撤回した」と明言したのです。麻生首相は、またしても、間違った発言を行い、修正後、発言を撤回するという相変わらずの失敗を繰り返したわけです。
1.報道記事を幾つか。
(1) 朝日新聞平成21年3月9日付夕刊1面(4版)
「「自民側立件できぬ」発言 首相「誤った報道」 参院予算委
2009年3月9日14時2分
麻生首相は9日午前の参院予算委員会で、西松建設の違法献金事件に絡んで「自民党側は立件できない」とした漆間(うるま)巌官房副長官の発言について、「オフレコの記者懇での発言が誤って報じられた」と述べ、報道機関の誤報であるとの認識を示した。首相が発言を否定する漆間氏を擁護したことで、批判の矛先は首相にも向かいそうだ。
■漆間氏「記憶にない」
首相は同日午後の同委で午前の自らの発言について「漆間副長官の記憶と記者の受け止め方の間にはずれがあったというのが正確なところだ」と釈明した。
漆間氏も同委に出席し、「特定の政党を挙げて、どうのこうのとか、そういう話はしていない」と公式に発言を否定。その一方で「真意が伝わらない形で報道され、ご迷惑をかけた」と陳謝した。国会で官僚トップの事務の官房副長官が答弁に立つのは異例。首相は「先例としない扱いで国会に出席をさせることにした」と述べた。
漆間氏はまず、記者との懇談はオフレコで、録音もメモもないため、「記憶の限りで話したい」と述べたうえで、(1)この種の事件では一般論として違法性の認識を立証することはいかに難しいか(2)金額の多寡は違法性の認識を立証するうえで大きな要素となる(3)検察は本人が否認しても起訴できるだけの証拠を持っているとみられる――の3点を指摘したと説明。「特定の政党の議員への捜査の帰趨(きすう)は発言していない」と述べた。
「自民党側に捜査が及ばない」という趣旨の発言をしたという報道について、「事実に反するのか」と問われた漆間氏は「私が警察出身者であるので誤解されたのではないか。マスコミ側が私の発言をどう認識されたのかはわからない。私が記憶している部分では(そういう発言はなく)、あとは記者の認識の問題だ」と述べた。
一方で漆間氏は「一般論であっても言う必要はなかった。申し訳ない」とも釈明。副長官就任以来、「検察当局とは一切の接触をしていない」「検察の捜査について事前に報告を受けたり、どうなっているかと聞いたりしたことはない。今回の件で私が情報を持っていたことは全くない」と強調した。
漆間氏の発言には、民主党が「内閣の中枢と検察との間でやり取りがあったと思われても仕方がない」(鳩山由紀夫幹事長)と問題視。この点について漆間氏は「官房副長官就任後、検察当局と接触していない」「この事件は新聞報道で知った」と述べた。
漆間氏の発言は、発言者を特定しないで報道できる記者との5日のオフレコ懇談で出た。そのため、報道各社は発言者を「政府高官」などとして報道。その後、民主党などが「官邸が検察情報を入手していると疑わせる」と問題視した。同党は発言者が漆間氏とみて、漆間氏を予算委員会に呼び、真意をただす構えを見せていた。
河村官房長官は8日、この高官を漆間氏と明かしたうえ、「極めて不適切な発言」と漆間氏を厳重注意していた。」
「自民への言及 各社報道
麻生首相は9日の参院予算委で、5日夕に首相官邸で行われた漆間氏との記者懇の内容をもとにした記事について、「発言が誤って報じられた」と答弁した。しかし、報道各社の記事は、細かな表現に違いはあるものの、漆間氏が「自民党側に捜査は及ばない」という趣旨の発言をしたと一様に報じている。
朝日新聞も、自民党でも西松建設関連の献金が明らかになっていることについての漆間氏の記者懇での発言をもとに、「自民党側は立件できないと思う。特に(違法性の)認識の問題で出来ないだろう」と6日付朝刊で掲載した。
首相発言について、河村官房長官は9日の記者会見で、「記者団の受け止めと漆間副長官の言われたことにズレがあったのではないか、という認識だと思う。そこのズレがあったということを『間違った』という表現をされたのだと思う。それは総理の本意ではないと思う」と釈明した。
◇
■漆間官房副長官の発言に関する各社の報道
朝日新聞「自民党側は立件できないと思う」
読売新聞「自民党の方にまで波及する可能性はないと思う」
毎日新聞「この件で(東京地検が)自民党の方までやることはないと思う」
日本経済新聞「自民党に及ぶことは絶対ない」
共同通信「自民党議員に波及する可能性はないと思う」」





