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2008/08/28 [Thu] 06:00:10 » E d i t
福田康夫首相は8月26日午前、自民党本部での役員会で、9月12日に召集する臨時国会の会期を11月20日までの70日間とする方針を表明しました。70日間は、インド洋での給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案の衆院再可決には不十分で、今月末にまとめる総合経済対策の裏付けとなる08年度補正予算案の審議を最優先した会期となったとのことです(毎日新聞2008年8月26日東京夕刊)。

共謀罪

 実行行為や準備をしなくても、相談しただけで犯罪とみなされる。組織犯罪処罰法改正案に含まれ、対象犯罪は600以上。政府は国連総会で採択された国際組織犯罪防止条約(2000年)の批准には共謀罪新設が必要と主張しているが、労働組合や市民運動から「権利や自由が侵害される」との懸念が相次ぎ、野党や日弁連も強く反対している。」(東京新聞平成20年8月17日付朝刊26面)





1.臨時国会では、政府与党は、共謀罪法案成立へ向けての動きをするのではないかとの疑念をもたれています。それは、鳩山元法相が、G8司法・内務大臣会議において、勝手に「『早期に批准できるように全力で頑張ります。』という努力の誓いをした」からです(法務大臣閣議後記者会見の概要・平成20年6月17日(火)参照)。

鳩山元法相の発言

 「世界的な犯罪防止ネットワークに穴をあけている状態で申し訳ない。早く責任を果たしたい」(6月13日 マイケル・ムケージー米司法長官に)

 「このままでは肩身が狭いですね。はやりG8の一国ですから(中略)国際組織犯罪という絶対に撲滅しなければならない、その条約に入れないというのは、こんな情けないことはないので、党にもお願いして次期臨時国会で国内法が成立するよう努力します」(同17日 記者会見で)」(東京新聞平成20年8月17日付朝刊27面)



(1) もっとも、政府側は、「今月末にまとめる総合経済対策の裏付けとなる08年度補正予算案の審議を最優先した会期」にしたのです。要するに、総選挙における国民の目を意識して、共謀罪法案よりもずっと重要な「インド洋での給油活動を延長する新テロ対策特別措置法改正案」さえも、成立への努力はするが「衆院での再可決」といった無理をするつもりはない「会期日程」となったのです。

そうすると、総選挙を意識するならば、自民党側、特に、会期を70日間とする方針を表明した福田首相としては、未だに国民の間に批判が強い「共謀罪法案」成立に向けての積極的な動きは控えるだろう、とは思います。



(2) しかし、共謀罪法案は、現在も衆院で継続審議扱いであり、また、「保岡新法務大臣初登庁後記者会見の概要」(平成20年8月2日(土))を読むと、「共謀罪法案」成立への意欲を語っていますので、注意が必要です。

「【いわゆる条約刑法に関する質疑】
Q:条約刑法に関してですけれども,これまでも国会成立ができないでいて,一方で自民党,与党の方では,修正というか対象犯罪を小さくするような案が与党の方でも進んでいるというような状況の中で,このねじれ国会が続く中で,どういうふうにこの条約刑法を成立させていこうと思われるのか,お考えをお聞かせください。

A:ねじれ国会ですから,基本的に与野党で相談をして与野党の知恵を集めて,国民にとって,国益を果たす意味において,この法律が最もいい形で働くように内容を詰めていくべきだと思います。与党からは修正案が数回出まして,修正案,最終修正案みたいな,何回か出たと思います。これは,共謀罪の成立要件を具体的な事実に結びつけるなどして厳格化するということで提案したと思うのです。野党の方から一定の犯罪に限定する国際的な犯罪とか懲役5年以上の犯罪にしたらどうかという御提言もあります。そういう中で自民党の小委員会の中で検討を進めていますから,そこでの与野党の知恵を生かした案というのが出てきて,また,それについて一定の状況が整えば,それはまた国会に出して民主党や他の野党ともよく相談をして成立を図りたいと思っています。これは,もう国際的にテロ対策とか国際犯罪,組織犯罪とか,それからコンピュータ犯罪とかいろいろなものについて世界的にしっかりしたルールを作って早くまとめないと,世の中はどんどんすごい勢いで進んでいきますから,急を要すると思います。できるだけ早く実現するということが大事だと思います。144カ国の政府は批准している。我が国は,条約の締結について国会で承認していますけれども,そのときは,ほとんどの政党が賛成したと思うのです。そういう経緯もありますし,G8のイタリアやアメリカからは,司法大臣内務大臣会議で「早く頼むよ。」というような期待感が表明されていますし,そういった状況を踏まえてできるだけ早期に法案化して出すということが大事だと思っています。」


保岡法務大臣は、「一定の状況が整えば,それはまた国会に出して民主党や他の野党ともよく相談をして成立を図りたい」「できるだけ早く実現するということが大事」「まえてできるだけ早期に法案化して出すということが大事」と繰り返して述べていますので、要注意であるといえます。

そこで、政府与党による共謀罪法案成立への動きに注意するため、東京新聞平成20年8月17日付26・27面【こちら特報部】の記事を紹介したいと思います。



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2008/03/12 [Wed] 22:39:04 » E d i t
最近、「共謀罪」という言葉が新聞紙面に出てくるようになりました。1981年のロス疑惑「一美さん銃撃事件」に関して、三浦和義氏は2003年3月に日本で無罪が確定しているにもかかわらず(殴打事件では有罪判決)、27年の歳月を経て再び刑事事件として処罰しようとして問題となったからです。


1.東京新聞平成20年2月29日付夕刊

ブログ情報が端緒に 三浦元社長逮捕 『新証拠なくても十分』2008年2月29日 夕刊

 【ロサンゼルス=阿部伸哉】米ロサンゼルスで一九八一年に起きた銃撃事件を捜査しているロス市警のリック・ジャクソン主任捜査官は二十八日(日本時間二十九日)、本紙の会見に応じ、サイパンで逮捕された元会社社長三浦和義容疑者(60)について「殺人罪と共謀罪の両方での立件を目指す」と明言。いわゆる「新証拠」については「なくても既に十分かつ強力な証拠がある」と述べた。また、三浦元社長が開設したインターネットのブログの書き込みが、逮捕のきっかけになったことも明らかにした。

 ジャクソン捜査官は「二十年前に出された逮捕状を執行した。当時から二十に上る有力な状況証拠がある」と述べ、妻一美さん=当時(28)=の殺人と共謀の罪名は「検察当局からも変更があるとは聞いておらず捜査方針に変化はない」と話した。

 一方で、日本の警察当局などに伝えたとされる「新証拠」について、「証拠内容などを日本側や米連邦捜査局(FBI)などに伝えることはありえない。言えるのは、カリフォルニア州の法律ではこれまでの証拠で十分、勝算があるということだけ」とし、新証拠を日本側に伝えたとする報道を否定した。

 逮捕のタイミングについては、「ミウラは米領に入る過ちを犯した」。ロス市警は二〇〇七年初め、三浦元社長がブログでサイパンなどへの旅行日程をつづっているという情報を日本側から得て、同年秋ごろから三浦元社長逮捕の準備を開始。「今回はグアムの入管当局から連絡を受けて逮捕した」という。「(無罪判決が出ている)日本からでは、身柄の引き渡しは難しいと考えた。米領か、米国と刑法犯身柄引き渡し条約を結んでいる第三国に出る機会をうかがっていた」と述べた。

 当時から捜査の中心として携わっていた元ロス市警のジミー佐古田氏(72)の捜査復帰にも言及。「郡検事局捜査官などに復帰する可能性は高い」と期待感を示した。」




この東京新聞への会見によると、ロス市警は、三浦和義氏を殺人罪と共謀罪で処罰する意思であることを明言しています。

「米ロサンゼルスで一九八一年に起きた銃撃事件を捜査しているロス市警のリック・ジャクソン主任捜査官は二十八日(日本時間二十九日)、本紙の会見に応じ、サイパンで逮捕された元会社社長三浦和義容疑者(60)について「殺人罪と共謀罪の両方での立件を目指す」と明言。いわゆる「新証拠」については「なくても既に十分かつ強力な証拠がある」と述べた。」


「新証拠を日本側に伝えたとする報道を否定」していますし、この記者会見からすると、ロス市警には「新証拠」は存在しないようにも思えます。米国の刑事裁判では、「新証拠」なしに立証することが可能といえるのが、「共謀罪」であるのでしょう。


再び日本で脚光を浴び、よみがえった亡霊「共謀罪」に関して、東京新聞3月6日付「こちら特報部」で記事にしていましたので、紹介したいと思います。


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2007/07/26 [Thu] 22:28:59 » E d i t
参議院議員選挙の選挙戦も後わずかになりましたが、共謀罪法案については今や話題に上ることもなく、忘れ去れています。そこで、共謀罪法案について思い出してもらおうという記事が、東京新聞7月12日付「こちら特報部」に掲載されていました。その記事を紹介したいと思います。


1.まずは、各政党の参議院選挙政策(マニフェスト)から、共謀罪について触れた部分を引用しておきます。

(1) 自由民主党……「なし」

(2) 公明党……「なし」(公明党マニフェスト2007

(3) 民主党……「7.共謀罪導入に反対 
 政府は、国連組織犯罪防止条約を批准するための国内法整備として、共謀罪を新設する法案を国会に提出しています。共謀罪は、団体の活動として犯罪の遂行を共謀した者を処罰するものですが、犯罪の実行の着手、準備行為がなくても相談をしただけで犯罪となること、およそ国際性とは無縁な犯罪や重大犯罪とまではいえないようなものを含め619もの犯罪が対象となることなど、わが国の刑法体系を根底から覆しかねないものです。しかし、条約は「自国の国内法の基本原則に従って必要な措置をとる」ことを求めているにすぎず、また、条約が定める重大犯罪のほとんどについて、わが国の現行法は共謀を予備罪、準備罪、幇助犯、共謀共同正犯などの形で共謀を犯罪とする措置がとられています。したがって、わが国は何ら新規立法をすることなく条約を批准できると考えられることから、法案の成立に強く反対します。」(民主党の政権政策 マニフェスト

(4) 社会民主党……「13.犯罪への着手前の「共謀」自体を犯罪とする「共謀罪」の新設に反対します。」(社民党 参議院選挙公約2007

(5) 日本共産党……「なし」(2007参議院選挙政策(マニフェスト)

(6) 国民新党……「なし」(第21回参議院議員選挙 わが党の選挙公約

(7) 新党日本……「なし」(新党日本 マニフェスト


*自民党のHPの場合、マニフェストに直接リンクすることが難しいので、ここで掲載していません。



このように共謀罪法案への対応について、各政党の参議院選挙政策を比較してみると、民主党と社民党以外は触れていないことが分かります。ただし、従来の共謀罪法案への対応からすると、自民党や公明党は共謀罪法案導入に賛成、他の野党は導入反対の姿勢であると思います。

では、東京新聞7月12日付「こちら特報部」の記事を紹介します。

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2007/01/24 [Wed] 06:15:36 » E d i t
安倍首相は1月19日に、「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会で成立を目指すよう、長勢法相らに指示していたのですが(読売新聞1月20日付)、安倍首相は同法案の扱いについて22日夕には、「国会での法案の優先順位、審議の状況などもあるだろう。それは国会において判断をすることになると思う」と、与党の判断にゆだねる考えを表明していました。
東京新聞の報道によると、結局は、与党は、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めたようです。この報道についてコメントしたいと思います。


1.東京新聞平成19年1月24日付朝刊1面

 「共謀罪 通常国会 成立見送り

 与党は23日、犯行に至らなくても話し合っただけで処罰される「共謀罪」新設のための組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めた。

 安倍晋三首相は19日、長勢甚遠法相に通常国会での成立を図るよう指示したが、22日には与党の判断に委ねる方針に転換。与党内ではもともと慎重論が強かったため、先送りが固まった。

 自民党の中川秀直幹事長は23日の記者会見で「国会で総合的に取扱いを考えていくべきではないか」と述べ、成立にこだわらない意向を表明した。

 自民党の参院国対幹部は「参院選にマイナスになることはできない」と指摘。同党の衆院国対幹部も「共謀罪を採択すれば、他の法案が審理できなくなる」と述べた。

 同改正案は2003年3月に最初に国会提出され、廃案と再提出を繰り返してきた。テロリストやマフィアなどの国際犯罪組織による犯罪を防ぐことが目的だが、組織犯罪とのつながりが薄い窃盗も適用対象にしているため、野党が強く反発し、成立のめどが立っていない。

 このため、与党は通常国会での成立は見送り、参院選終了後に対象犯罪を絞り込む大幅修正を行い、今秋の臨時国会以降に成立を目指す方向で検討に入っている。」


 
2.共謀罪創設法案については、米国でさえ、共謀罪を定める条約5条を留保して批准しているように、5条は留保可能な条項なのです。なので、日本も5条を留保して批准すればよく、共謀罪を創設するような法案は必要ないのです(「「共謀罪」法案が今週審議入りの可能性~東京新聞平成18年10月22日付より」参照)。

「共謀罪が始まったら、きっと重大事件の捜査に支障が出てくるね」という現役の刑事さんの発言がある(「共謀罪創設の是非~「刑事が反対する理由」(東京新聞平成18年5月18日付)」を参照)ように、共謀罪創設法案は、捜査にとって有害であるとさえいえるのです。

このような法案である以上、

「「共謀罪」新設のための組織犯罪処罰法改正案について、25日召集の通常国会での成立を断念する方針を固めた。 」

ことは、喜ばしいことだと思います。いい加減に共謀罪法案を成立することを断念して欲しいものです。



3.それにしても、安倍首相は、法案の提出や成立、政策の実現への意欲を、突発的に明言し強気な姿勢を示したと思えば、比較的短期間にその姿勢を転換してしまうなど、言動が非常に軽く、まるで民主党の前原執行部と似ているのです。

 「自民党幹部は同日、「安倍首相は、民主党の前原(誠司前代表)執行部と似てきた」と指摘した。

 前原執行部は2005年の衆院選での民主党惨敗後、若い幹部をそろえて誕生した。だが、「偽メール問題」で事実関係をよく調べないまま、永田寿康衆院議員(当時)の質問を容認するなど、党内調整の未熟さや不手際が目立った。

 安倍首相も同様に、「周辺に仲良しの若手ばかり集めたため与党調整ができず、首相が先行して指示や方針を打ち出し、与党がついていけない」(自民党若手)ケースが相次いでいる。

 <1>一部の事務職らを法定労働期間規制から外し、残業代をゼロにする「日本版ホワイトカラー・エグゼンプション」制を導入するための労働基準法改正案<2>「共謀罪」を創設する組織犯罪処罰改正案<3>省庁再々編――が、その典型例だ。

 いずれも、首相が法案の提出や成立、政策の実現への意欲を明言しながらも、与党の同意を得られていない。関係者は、「調整が難航しているというよりは、与党がにべもなく否定し首相への配慮のかけらもない状態だ」と指摘する。

 首相の威厳や権威が軽視されていることを示す場面も目立っている。

 首相に近い1人は、「首相補佐官が人前で首相の方に手を回したり、閣議に首相があらわれても、直ちに立ち上がって迎えなかったり、おしゃべりをやめない閣僚もいる」と嘆いた。」(読売新聞平成19年1月23日付朝刊4面)



首相は、法案の提出や成立、政策の実現への意欲を明言していても、すぐに止めてしまうのですから、本当に意欲があったのかどうかさえ疑問視できそうです。

ひどいのは、

首相補佐官が人前で首相の方に手を回したり閣議に首相があらわれても、直ちに立ち上がって迎えなかったり、おしゃべりをやめない閣僚もいる」と嘆いた。」

という点です。安倍首相とは親しい間柄だったり、安倍首相が強い態度に出ないことから、内閣がまるで学級崩壊のような状況になっているのでしょう。しかし、「首相」は日本国を体内・対外的に代表する存在なのです。首相に対しては、それなりの敬意を払うだけの礼儀は持っておくべきです。

“教育再生”は、まず、人間性に問題があったり、職務に対する責任感が欠如しているような首相補佐官・閣僚の一部から実施すべきであるように思います。

最近、内閣支持率が続落している(読売新聞では48%、朝日新聞は39%)という報道がありました(1月23日付朝刊)。このような内閣支持率低下の原因は、「安倍首相の指導力不足に不信」(読売新聞1月23日付朝刊)にも理由があるのかもしれませんが、不祥事ばかり出す閣僚、安倍首相の存在を軽視している周り(与党幹部、首相補佐官、閣僚)がいるからだと思うのです。
もっとも、そんな「周り」を任命したのは、安倍首相なのですから、安倍首相の自己責任といえるとは思います。

安倍首相はもう何もしない方がいいのではないでしょうか? 
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2006/10/23 [Mon] 00:38:14 » E d i t
「共謀罪」法案の行方については、「保坂展人のどこどこ日記」さんの「共謀罪、23日の理事会は流れたが緊張は続く」(共謀罪 / 2006年10月20日)を読むと、「24日に暴風圏内突入の危険性は低くなったが」「22日の「国民の審判」の結果次第」でもあるようです。
そこで、今週中にも「共謀罪」法案が審議入りするのではないかとの報道もありますので、東京新聞を引用してコメントしたいと思います。


1.東京新聞(平成18年10月22日付(日曜日)「こちら特報部」24・25面)

『共謀罪』法案 今週審議入りか

 国民の猛反発を買い、二〇〇三年三月の国会提出以来、成立が見送られ続けてきた「共謀罪」法案。来年七月の参院選を見据え、現在の臨時国会で成立させたいはずの与党だが、なぜか「重要五法案」からはずしている。野党は「死んだふり」と断定するが、早期審議入りはあるのか。外務・法務両省が反対派の日本弁護士連合会に激しく反論しているのも「アリバイづくり」なのか。 (市川隆太)

 今月五日に開かれた自民・公明両党の幹事長、政調会長、国対委員長会談で、共謀罪は臨時国会の「重要五法案」からもれた。

 ちなみに重要五法案に入ったのは▽教育基本法改正案▽テロ対策特別措置法改正案▽防衛省昇格法案▽国民投票法案▽北海道道州制特区推進法案-だ。政界関係者らは「重要法案入りしなかった以上、今国会成立の目は少ないとみるのが永田町の常識」と解説する。

 ただ、不人気な共謀罪の審議が次の通常国会にずれ込めば、与党にとっては次期参院選で苦戦する要因にもなりかねない。

 それだけに野党側は、重要法案からはずしたのはあくまで“死んだふり”で、実は間もなく審議入りし、一気に強行採決してくる可能性もあるとみている。

 今月十三日の参院予算委。「共謀罪は撤回したらいかがか」と迫る社民党の福島瑞穂党首に対し、安倍晋三首相は「この法案は必要であると考える」と突っぱねた。長勢甚遠法相も「与党と相談しながら早期成立を図りたい」としている。

 「(重要)五法案からはずしたのは、安倍首相が重要視する教育基本法改正案の邪魔をしないように、という程度の意味では。“ナンバー6”法案かもしれない。次期国会まで引きずると参院選が苦しくなる」と話す自民党議員もいる。

 こうした空気を察知してか、反対派には緊張感が漂う。十七日には国際人権団体「アムネスティ・インターナショナル」日本支部などが中心となり、国会付近でパフォーマンスと集会。口を布で覆われた人々が並び「共謀罪ができたらしゃべれなくなる」と訴えた。

■『補選の直後攻めてくる』

 日弁連も十八日、大規模な集会を開き、野党議員が次々と危機感を訴えた。

 衆院法務委員会の野党筆頭理事である平岡秀夫議員(民主)は「与党は委員会の理事懇談会でも、法案審議の順序すら明かさない。異常事態だ」と話す。

 「政府与党は(二十二日投開票の)衆議院の補欠選挙までは(法案が不人気ゆえに)触れず、直後から一気に共謀罪を国会審議に持ち出してくるだろう。週明けから攻めてくると思う」

 別の衆院議員も「与党は二十三日夜に委員会の理事懇談会をやりたがっている。その席上、翌日からの共謀罪審議入りを決めるつもりでは」と推測する。

 この集会では、共謀罪法案と国連条約との関係なども取り上げられた。

 政府与党は、国連の国際組織犯罪防止条約を批准するには共謀罪を導入しなければならない、と力説してきた。現在の日本に共謀罪を導入しなければならない事情はないが、条約批准のために、導入せざるを得ない-という主張だ。

 この政府与党の主張について、パネリストの桐山孝信・大阪市大教授(国際法学)は国際法の常識に反していると指摘。「あれを聞いて、いすから転げ落ちそうになった」と述べた。

 桐山氏は「日本は二〇〇三年に国会で条約を承認している。あとは内閣が国連事務総長に批准書を送るだけで(条約に)入ったことになる」と、批准手続きのイロハを説明。「国内法が整備されていようと、されていまいと、条約は批准できる。日本に不必要なところが抜けていても(立法しなくても)まったく問題なく(共謀罪が書かれている)条約五条は適用しませんよ、ということで留保を付けて国連事務総長に批准書を送ればよい。それで国連から何か言われるということはない」と解説した。

 条約が共謀罪の導入を義務づけているか否かには議論があるが、政府与党は「義務づけられている」との立場だ。その点について、桐山氏はこう説明した。

 「何も宣言しないで条約に入った(批准した)場合は、日本も共謀罪を作らなければならない。しかし、『日本は共謀罪を作りません』と宣言した上で条約に入るのは構わない」

 さらに桐山氏は日本政府が批准していない人権関係の国連条約が積み残されていることを指摘し、「つまみ食い」とも批判した。

 パネリストとして同席したジャーナリスト・大谷昭宏氏は「政府に『なぜ、国民をだますのか。どんな下心があるのか』と問わなくてはいけない」と、怒りをかみ殺すように話した。

 「だました」という例がある。日弁連と民主党の調査で最近、米国が国際組織犯罪防止条約のうち、条約五条を留保して批准していたこと分かった。米国では州法で、ごく一部の犯罪にしか共謀罪を設けていない州があるため、共謀罪導入をうたった五条を留保したとみられている。

 集会では、保坂展人衆院議員(社民)が、この問題に触れ、「外務省に『米国の留保の事実に、いつ気付いたのか』と質問したら、米国が批准した昨年十一月から知っていた、ということだった」と説明。米国の留保を知っていながら、日本が共謀罪を留保して条約批准することは「できない」と主張し続けた政府の態度に疑義を呈した。

■『テロ対策となおも主張』

 一方、本来の条約の趣旨と法案との乖離(かいり)も疑問の一つだ。国際組織犯罪防止条約は越境犯罪組織によるカネとモノを目的とした犯罪を対象とした「マフィア対策条約」だが、共謀罪導入論者からは「テロ対策条約」と誤解させるような発言も続いている。前述の参院予算委(十三日)でも、安倍首相は「国際社会がテロとの戦いを続けている。国際社会が連携して封じ込めていくことが大切であり、この法案は必要である」と強調。質問者の福島氏から「共謀罪はテロ対策が立法目的なのか」と反論された。

 この問題では、大谷氏が「テロ対策という言葉を水戸黄門の印籠(いんろう)のように使っている」と批判。日弁連も「テロ対策条約ではないじゃないかと、いくら指摘しても、ああいう言い方をやめない。今回の安倍首相の答弁もそうだ」と、いら立ちを隠さなかった。

 集会参加者からは「政府与党は、北朝鮮の核実験を共謀罪導入の追い風に使うのではないか」という懸念や「条約批准にあたり、共謀罪を新たに導入した国はノルウェー、ニュージーランドしか見当たらないという事実も無視されている」といった声も上がった。

 一方、法務、外務両省は日弁連や野党の主張に対抗し、ホームページで反論を展開。これに対し、日弁連もホームページで再反論を行うなど、国会外でのバトルも激化している。

 役所側の反論が「すでに国民の疑問はぬぐい去った」という強行採決の建前づくりを狙ったものではないのか-反対派からは、そんな懸念も漏れている。

<デスクメモ> 加藤紘一氏の実家への放火はテロだが、政府与党はだんまり。イラク戦争とその後の犠牲者は数十万人に上るが、ブッシュ政権は無視。都合のいい風にテロだの脅威だの。「〇×詐欺」の源流は、このへんにないのか。今週は後々、「暗い時代への転換点」と語られる一週間になるかも。もう十分、暗いけど。 (牧)」




2.幾つかのポイントを取り上げて見たいと思います。


 「国際組織犯罪防止条約は越境犯罪組織によるカネとモノを目的とした犯罪を対象とした「マフィア対策条約」だが、共謀罪導入論者からは「テロ対策条約」と誤解させるような発言も続いている。前述の参院予算委(十三日)でも、安倍首相は「国際社会がテロとの戦いを続けている。国際社会が連携して封じ込めていくことが大切であり、この法案は必要である」と強調。質問者の福島氏から「共謀罪はテロ対策が立法目的なのか」と反論された。

 この問題では……日弁連も「テロ対策条約ではないじゃないかと、いくら指摘しても、ああいう言い方をやめない。今回の安倍首相の答弁もそうだ」と、いら立ちを隠さなかった。」


この記述を読むと、安倍首相も「共謀罪」法案がよく分かっておらず、官僚に教えられたまま喋っているという感じがよく分かると思います。すべての法律について熟知して欲しいとは言いませんが、これだけ審議で揉めている、しかも多大な人権制約を伴う刑罰法規なのですから、もう少し理解しておくべきではないかと思います。


(1) 共謀罪法案の問題点がいくつが挙がっていますが、まず1つは、共謀罪を定める条約5条を留保して批准できるか否かの点です。

 「政府与党は、国連の国際組織犯罪防止条約を批准するには共謀罪を導入しなければならない、と力説してきた。現在の日本に共謀罪を導入しなければならない事情はないが、条約批准のために、導入せざるを得ない-という主張だ。

 この政府与党の主張について、パネリストの桐山孝信・大阪市大教授(国際法学)は国際法の常識に反していると指摘。「あれを聞いて、いすから転げ落ちそうになった」と述べた。

 桐山氏は「日本は二〇〇三年に国会で条約を承認している。あとは内閣が国連事務総長に批准書を送るだけで(条約に)入ったことになる」と、批准手続きのイロハを説明。「国内法が整備されていようと、されていまいと、条約は批准できる。日本に不必要なところが抜けていても(立法しなくても)まったく問題なく(共謀罪が書かれている)条約五条は適用しませんよ、ということで留保を付けて国連事務総長に批准書を送ればよい。それで国連から何か言われるということはない」と解説した。

 条約が共謀罪の導入を義務づけているか否かには議論があるが、政府与党は「義務づけられている」との立場だ。その点について、桐山氏はこう説明した。

 「何も宣言しないで条約に入った(批准した)場合は、日本も共謀罪を作らなければならない。しかし、『日本は共謀罪を作りません』と宣言した上で条約に入るのは構わない」


要するに、共謀罪を導入しなくても批准はできるし、共謀罪を定める条約5条を留保を付けて国連事務総長に批准書を送ればよいから、「国連の国際組織犯罪防止条約を批准するには共謀罪を導入しなければならない」という主張は、「国際法の常識」に反する(桐山孝信・大阪市大教授(国際法学))ということです。国際法の常識に反するような見解を主張してまで、導入しなければならないのでしょうか?


(2) もう1つ指摘している点もやはり、共謀罪を定めている条約5条を巡る問題で、どういう国が5条を留保しているのかということです。

 「「だました」という例がある。日弁連と民主党の調査で最近、米国が国際組織犯罪防止条約のうち、条約五条を留保して批准していたこと分かった。米国では州法で、ごく一部の犯罪にしか共謀罪を設けていない州があるため、共謀罪導入をうたった五条を留保したとみられている。

 集会では、保坂展人衆院議員(社民)が、この問題に触れ、「外務省に『米国の留保の事実に、いつ気付いたのか』と質問したら、米国が批准した昨年十一月から知っていた、ということだった」と説明。米国の留保を知っていながら、日本が共謀罪を留保して条約批准することは「できない」と主張し続けた政府の態度に疑義を呈した。」


これを知ったとき唖然としました。「マフィア対策」や「テロ対策」に追われている米国でさえ、条約5条を留保して批准していたのです。なぜ、日本において躍起になって、条約5条を留保せずに批准し、共謀罪の創設をしなければならないのでしょうか? 日本では、米国に比較してずっと必要性がないはずです。


(3) 共謀罪法案の問題点としてもう1点挙げておきます。政府与党案では、長期4年以上の自由刑にあたる罪を「重大犯罪」(条約2条a号)として、約700にのぼる罪につき共謀を罰することになりますが(広島大学名誉教授・森下忠「●海外刑法だより(256):条約刑事国際法の国内法化――共謀罪問題に寄せて」判例時報1936号26頁)、それでよいのかという点です。

 「わが刑法(1907年制定)は、イタリア実証学派の影響の下に、犯罪構成要件の統合を図り、広い幅の法定刑を規定していることである。例えば、窃盗は10年以下の懲役(刑235条)。

 これに対し、大陸法系の刑法典における法定刑は、一般的に低い。例えば、単純窃盗の法定刑は、フランスが3年以下(刑311-3条)、イタリアも3年以下(刑624条)、スペインは18か月以下(刑240条)、中国刑法でも3年以下(264条)、ドイツ(刑242条)とポーランド(刑278条)が5年以下の自由刑となっている。

 それゆえ、国越組織犯罪防止条約が「長期4年以上の自由刑にあたる罪」を「重大犯罪」(serious crime)と定義した(2条b)のは、外国ではそれなりの理由が認められたからであろう。諸外国の法制とわが国のそれとの間の違いを認識する必要がある。」(広島大学名誉教授・森下忠「●海外刑法だより(247):重大国際犯罪の共謀」判例時報1908号35頁


要するに、日本刑法は、広い幅の法定刑を規定している法制度を採用しているのに対して、条約締結国である諸外国が当然のように前提としている刑法典は、法定刑が一般的に低く、幅が狭い法制度を採用しているのです。これでは、条約批准により諸外国では不都合はなくても、日本では不都合が生じるのは当然ではないでしょうか。日本刑法と相容れないわけです。



3.「保坂展人のどこどこ日記」さんの「共謀罪、隠してきた米国留保の謎が解け始めている」(共謀罪 / 2006年10月22日)を読むと、

 「120カ国以上が批准したこの条約で国内法制化した国はノルウェーしかないということに注目してもらいたい。(私の質問主意書に対しての答弁書) 国際組織犯罪対策条約にグローバルスタンダートで歩調をあわせるのであれば、共謀罪創設は必要なく、既存の法律の一部改正などの手直しで十分だ。……他の国は、「国連立法ガイド」に従って、自国の法体制を大事にしながらやっとるぞ。」



どの国も自国の法体系を尊重して、条約を締結・批准しているのです。法体系の尊重は法的安定性にとって重要なことですから、こういった国益を考えれば当然の対応です。政府与党が考える「国益」はどこへ向いているのでしょうか? 
米国でさえ、条約5条を留保しているのですから、政府与党がいつも考えている「米国に追従することこそ国益」ということではなさそうですが。政府与党は、日本国民の利益・法体系を尊重しないことは確かです。

テーマ:共謀罪 - ジャンル:政治・経済

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