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2010/01/10 [Sun] 23:59:26 » E d i t
医療法人徳洲会は平成21年12月30日、がん患者などから摘出し修復した腎臓を別の患者に移植する「修復腎移植(病気腎移植)」を、臨床研究として初めて実施しました。腎臓摘出については、光畑直喜医師が担当し、所属する呉共済病院(広島県呉市)で実施しています。3年間ストップしていた「修復腎移植(病気腎移植)」が臨床研究という形で再開されることになりました。宇和島徳洲会病院は、平成21年12月31日、記者会見を行っています。

修復腎移植(病気腎移植)をめぐっては、「厚生労働省が今年1月、『(ドナーの)対象疾患に制限を設けない』と全国の都道府県などに通知し、治療の手順やドナーから摘出した腎臓の修復に問題がなければ、腎がん患者をドナーとする臨床研究が可能とする見解を示していた」(産経新聞)ことを受けて、実施したものです。徳洲会は、「5年で5例の症例を目標とし、症例が集まった時点で、先進医療や保険適用の申請を行うとしており、将来的に通常医療を目指す」(中日新聞)としています。
1月11日付追記:「5.最後に」を追記し、まとめを行いました。)



1.まずは、記者会見前の報道記事を幾つか。

(1) 中日新聞平成21年12月31日付朝刊(東京新聞平成21年12月31日付朝刊3面(12版))

宇和島徳洲会、3年ぶりに病気腎移植 臨床研究で再開
2009年12月31日 朝刊

 がん患者などから摘出し修復した腎臓を別の患者に移植する病気腎移植について、愛媛県宇和島市の宇和島徳洲会病院で30日、臨床研究の1例目の移植手術が行われた。2006年11月に同病院の万波誠医師らが行っていた病気腎移植が問題化してから3年間、ストップしていた病気腎移植が臨床研究という形で再開した。

 ドナー(臓器提供者)は、直径4センチ以下の小さな腎臓がんの50代男性で部分切除など取り得る治療法の説明を受けた上で、腎臓摘出を強く希望。協力病院である呉共済病院(広島県呉市)で摘出手術が行われた。移植を受けた患者は、腎不全に苦しむ40代男性で、臨床研究での移植を希望する登録患者から、血液型や病状などから選ばれた。移植手術は万波医師らが行った。

 病気腎移植は原則禁止とされているが、厚生労働省が今年1月、小さい腎臓がんを修復した腎臓を含め、臨床研究を認める見解を示したことを受け、医療法人徳洲会の倫理委員会が7月、4センチ以下のがんを摘出した腎移植の臨床研究の実施計画書を了承した。

 患者が取り得る治療法の説明を受けた上で、摘出を希望した場合のみ協力を要請する。

 移植手術は、宇和島徳洲会病院と東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で行う。臓器提供はこの2病院と長崎医療センター(長崎県大村市)など7病院が行う。

 ドナーや移植患者から同意を得る時は、複数の第三者の確認を必要とし、各病院に設置した倫理委員会と、外部の専門家を含む「修復腎移植検討委員会」で適切かどうかを検討する。

 徳洲会は、5年で5例の症例を目標とし、症例が集まった時点で、先進医療や保険適用の申請を行うとしており、将来的に通常医療を目指すとしている。」



(2) 産経新聞平成21年12月31日付朝刊(地方・四国)(東京版では20面に掲載)

病腎移植を再開、臨床研究1例目 宇和島徳洲会病院
2009.12.31 09:46

 治療のために摘出した腎臓を修復し、他の腎臓病患者に移植する病腎(修復腎)移植を医療法人「徳洲会」などが30日に臨床研究として再開したことが徳洲会関係者への取材でわかった。手術は万波(まんなみ)誠医師の執刀で、宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)で実施され、約3年半ぶりの再開となる。

 徳洲会関係者によると、30日に呉共済病院(広島県呉市)で50代の男性患者(ドナー)に対する腎臓摘出手術とがん細胞の切除が実施され、宇和島徳洲会病院へ搬送された摘出腎を万波医師らのチームが修復し、別の重度の腎臓病患者の40代の男性へ移植した。

 ドナーは小径腎がんの患者で、呉共済病院などから病状の説明を受けた本人が腎臓の全摘出に同意し、臨床研究に参加した。移植を受けた男性は徳洲会の移植事務室にレシピエント登録され、確認作業をへた上で、徳洲会の外部委員で構成される移植検討委員会でドナーの適格審査とレシピエントの最終順位決定を実施、報告を受けた宇和島徳洲会病院が手術の実施を承認した。宇和島徳洲会病院が移植を受ける男性に手術のリスク説明などを行った。

 病腎移植をめぐっては厚生労働省が今年1月、「(ドナーの)対象疾患に制限を設けない」と全国の都道府県などに通知し、治療の手順やドナーから摘出した腎臓の修復に問題がなければ、腎がん患者をドナーとする臨床研究が可能とする見解を示していた。

 病腎移植は3~18年にかけ、万波医師らのグループが計42例を実施したが、「医学的妥当性に欠く」として日本移植学会など移植関連5学会は反対を表明している。徳洲会は平成26年7月ごろまでに臨床研究手術を5例実施し、厚労省などに対し手術の保険適用に向けた働きかけを行う。」


 イ 中日・産経新聞だけは、平成21年12月31日付で報道しています。このように中日・産経新聞は、宇和島徳洲会病院が平成21年12月31日に記者会見を行う前に、報道できる内容を取材できているのですから、この2つの報道機関は徳洲会病院側と良好な関係を維持できているようです。


 ロ 「(修復腎移植)移植手術は、宇和島徳洲会病院と東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で行う」とのことです。従来の修復腎移植は、宇和島徳洲会病院といった瀬戸内海近辺の地域に限られていましたが、今後は、「東京西徳洲会病院(東京都昭島市)」でも実施します。そうすると、今後は、関東在住の腎不全患者も移植を受けられる可能性があるといえそうです。



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2009/07/20 [Mon] 01:40:43 » E d i t
医療法人徳洲会は平成21年7月15日、がんなど病気の患者から摘出した腎臓を第三者に移植する「病気腎移植」の臨床研究について、グループの倫理委員会で承認を得たと発表しました。今月内にも体制を整え、万波誠医師が勤める宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)と、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で臨床研究という形で、病気腎移植を再開するとのことです。



1.この件については、中日新聞が最も詳しい内容を載せています。なお、東京新聞でも掲載していますが、中日新聞の記事よりも何行か削除していますので、中日新聞の記事を引用します。

(1) 中日新聞2009年7月16日 朝刊

病気腎移植を再開 徳洲会が倫理委で了承、月内にも
2009年7月16日 朝刊

 がん患者などから摘出した腎臓を別の患者に移植する病気腎移植について、医療法人徳洲会は15日、グループの倫理委員会を開き、小さながんを摘出した腎移植の臨床研究の実施計画書を、内部監査委員会を設置するなどの条件付きで了承した。月内にも体制を整え、万波誠医師が勤める宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)と、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で臨床研究という形で、病気腎移植を再開する。

 病気腎移植は原則禁止とされているが、厚生労働省が今年1月、小さい腎臓がんを修復した腎臓を含め、臨床研究を認める見解をあらためて示したことを受け、徳洲会は実施計画書の作成を進めてきた。

 徳洲会によると、臨床研究は、直径4センチ以下の小さいがんを切除した腎臓が対象。患者が摘出を希望した場合のみ協力を要請する。

 ドナー(臓器提供者)、移植する患者とも20歳以上とし、感染症や他の部位のがん患者などは除外する。

 臓器提供は、移植手術を行う2病院のほか、徳洲会の病院で泌尿器科のある3病院と、呉共済病院(広島県呉市)、長崎医療センター(長崎県大村市)の計7病院となる。

 ドナーや移植患者から同意を取る時は、複数の第三者の確認を必要とし、各病院に設置した倫理委員会と、東京西徳洲会病院に設置する外部の専門家を含む「修復腎移植検討委員会」で適切かを検討する。

 どの患者に移植するかは、医師らのほか、患者らがつくる特定非営利活動法人を含む外部の選定委員会を設置して決める。移植手術は、宇和島徳洲会病院では万波医師が執刀。東京西徳洲会病院の手術も、時間が許す限り立ち会う。

 5年で5例の症例を目標とし、症例が集まった時点で、先進医療や保険適用の申請を行うとしている。

 このほか、親族間で偶発的に見つかった他の病気腎の移植についても、臨床研究として始める。

 【病気腎移植】 がんなどで摘出された腎臓を修復した上で、腎不全などで苦しむ別の患者に移植する手法。万波誠医師らのグループが1991年から42例の手術を実施したとされるが、「臓器摘出の経緯などが不透明」などの強い批判が集まり、社会問題になった。これを受け厚生労働省は2007年7月に、臨床研究以外は手術を原則的に禁止する方針を打ち出した。」



(2) 改正臓器移植法が平成21年7月13日、成立しましたが、同法は公布日から1年後に施行するもので、まだ先のことです(なお、本人が事前に書面で意思表示をしていれば、臓器移植が必要な親族に優先提供できる規定は公布日から半年後に施行します)。法律的な可能性としては臓器移植は増加することになりますが、臓器移植増加に対応できるだけの医療体制が整っていないのですから、実際上、増加するかは全く不透明です。

これに対して、臓器移植の一種である修復腎移植については、万波誠医師とそのグループによる「修復腎移植」の第1例は1991年1月に広島県呉市の呉共済病院で行われ、それ以来2006年9月までに計42例が実施されていました。

そして、小さな腎臓がんや尿管がんを切除して行われた、これまでの修復腎移植では、万波誠医師を中心とする「瀬戸内グループ」による悪性腫瘍16例(腎細胞癌8,下部尿管癌8)、ニコル教授(オーストラリア)による腎臓がん55例、ブエル教授(米国)による14例のいずれも、移植患者へのがん再発転移はありません(「移植への理解を求める会」の「修復腎移植Q&A」より引用)。

ですから、すでに日本だけでなく海外においても、修復腎移植の実績が存在しているのであって、有効性も(医師の技量にも影響されるとはいえ)一定限度、確認できているのです。日本では修復腎移植に対応した医療体制が整っていたのですから、経験済みの医療体制を踏まえたうえでの実施が可能なのです。

日本臓器移植ネットワークでの腎臓移植希望登録者数でさえ1万1千名を超えているのに、腎臓移植は、2008年にやっと210例となった程度なのです(2007年では187例。生体腎移植を含めると毎年1000例前後)。ですから、腎臓移植の平均待機期間は2007年度で約14年にも及んでいるのです「献腎移植登録説明会」(平成21年8月・愛知腎臓財団)(PDF)参照)。

しかも、移植によって必ずしも生着し機能するわけではないのですが、一度、腎臓移植を受けると、二度以上腎臓移植を受ける方はほとんどいないのです。長い待機期間を経た後に献腎移植を受け、又は色々な確執がありながら生体腎移植を受けた患者や家族にとって、すぐに腎臓が機能しなくなったときの嘆きは、察するに余りあるものがあります。

「移植への理解を求める会」による推計によると、全国で年間1万2千個の腎臓が治療のために全摘出・廃棄されているのが現実です。こうした摘出・廃棄される腎臓を利用する修復腎移植は、(1万2千個のうち、1、2割は修復すれば使える腎臓とはいえ)「脳死を人の死とする」ことに納得できない人々が数多い中で慌しく改正された臓器移植法の効果に頼るよりも、はるかに現実的で実効的な移植医療です。

こうした現実的で実効的な修復腎移植が、7月中にも実施可能ということは、腎臓移植を待っている患者やその家族、そして、将来において患者となり得る多数の市民にとって、臨床研究という形ではありますが、やっと現実的な移植医療が復活したといえるのです。


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2009/07/06 [Mon] 23:59:18 » E d i t
医療法人「徳洲会」は、臨床研究として修復腎(病気腎)移植を開始する方針を明らかにしました。移植は、早ければ7月中にも、万波誠医師が勤める宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)か、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で移植を実施する方針を明らかにしています。



1.報道記事などを幾つか。

(1) 共同通信(2009/06/30 12:28)

7月にも病気腎移植の臨床研究 徳洲会が手順書策定

 医療法人徳洲会は30日、病気の患者から摘出した腎臓を用いる病気腎移植の臨床研究の手順を定め、早ければ7月中にも、万波誠医師が勤める宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)か、東京西徳洲会病院(東京都昭島市)で移植を実施する方針を明らかにした。

 医学的な問題点について提供者や移植を受ける患者に十分に説明し、同意を得るとしている。

 徳洲会によると、外部の医療専門家などからなる「徳洲会グループ共同倫理委員会」が6月、親族間の病気腎移植の臨床研究の手順書を承認。7月中旬の同委員会では、親族以外の提供についての手順書も審査し、承認される見通し。

 厚生労働省は1月、病気腎移植の臨床研究について「対象疾患に制限を設けない」と都道府県などに通知。徳洲会は実施方針を示していた。

2009/06/30 12:28 【共同通信】」



(2) 徳洲新聞2009年(平成21年)7/6 月曜日 NO.679

修復(病腎)移植の臨床研究を開始~東京西徳洲会病院~

6月17日、東京で開催された徳洲会グループ共同倫理委員会(三井利夫委員長)で、東京西徳洲会病院(昭島市・板垣徹也院長)が「生体腎移植に関する臨床研究・修復腎(病腎)を用いた親族間生体腎移植」のプロトコール(定められた治療法)を提出。審査の結果、条件つきで承認された。

今年1月の厚生労働省からの通達により、疾患を特定せず臨床研究での修復腎移植が可能となった。それを受けて、東京西徳洲会病院が実施するもの。今後、宇和島徳洲会病院(愛媛県・貞島博通院長)も実施施設として追加される。

この共同倫理委員会の承認により、徳洲会グループの幹部会でも修復腎移植の臨床研究の開始を認めるとともに、同研究にかかる費用は全額グループで負担することを決定した。今後、これを足がかりとして、親族以外の第三者をドナー(臓器提供者)とする修復腎移植の臨床研究が共同倫理委員会で審査されることになる。」



(3) MSN産経ニュース(2009.6.30 21:23)

病腎移植臨床研究、少なくとも5件実施 徳洲会グループが方針
2009.6.30 21:23

 医療法人「徳洲会」が臨床研究として病腎(修復腎)移植の再開を明らかにしたこと受け、徳洲会グループ(東京都千代田区)の能宗克行事務総長は30日、今年7月中旬から5年以内に少なくとも5件の病腎移植を宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)などで実施する方針を明らかにした。研究成果が得られ次第、厚生労働省に対し病腎移植の保険適用を求めるという。

 徳洲会グループによると、7月15日に外部の専門家を交えた徳洲会グループ共同倫理委員会で承認されるとみられる臨床研究計画書に、第三者間における病腎移植の手術手順などを明記。そのうえで「腎がん患者をドナーとする移植を5年以内に少なくとも5件実施する」(能宗事務総長)との計画を盛り込むという。

 臨床研究の結果、病腎移植が腎臓移植の新しい技術としての成果が得られれば、厚労省に対し患者の入院費用などが医療保険で支払われるよう求める。」



 イ:厚生労働省は2007年7月、臓器移植法の運用指針を改正し、臨床研究以外の修復(病気)腎移植を禁止し、日本移植学会によって、事実上、修復腎移植が禁止されていました。ところが、今年1月27日付で「臨床研究の実施に際し、対象疾患については特段制限していない」という通知を都道府県などを通じて医療機関に流したのです。

この通知により、臨床研究さえも禁じられていた修復腎移植が、臨床研究での修復腎移植は可能であることが明確になったのです(「厚労省が平成21年1月27日、修復腎移植の臨床研究を正式容認~容認する「通知」受け、修復腎移植を今年中に再開へ」(2009/02/11 [Wed] 23:59:38)参照)。

そこで、徳洲会は、徳洲会グループ共同倫理委員会を開催し、その委員会が「生体腎移植に関する臨床研究・修復腎(病腎)を用いた親族間生体腎移植」のプロトコール(定められた治療法)を承認するなど、厚労省の通知に従う形で臨床研究開始の準備を進めたわけです。

厚労省の通知に従って進めた臨床研究なのですから、事前の手続としては何の問題もないということになります。


 ロ:残る問題としては、まず、<1>実際に実施する際の手続を適正に行うこと(=インフォームド・コンセントなど)です。この点は、臨床研究計画書に従うこととなりますが、「医学的な問題点について提供者や移植を受ける患者に十分に説明し、同意を得るとしている」(共同通信)としています。

もう1つの問題は、<2>医療費の問題です。臨床研究となれば、患者が高額な医療費を負担する可能性もあるので、事実上、実施不可能になりかねないからです。この点は、「同研究にかかる費用は全額グループで負担することを決定した」(徳洲新聞)とのことで問題はないようです。また、「研究成果が得られ次第、厚生労働省に対し病腎移植の保険適用を求める」(産経新聞)ようであり、いずれは、他の腎移植と同様に保険適用されることが予定されています。


 ハ:産経新聞によると、「腎がん患者をドナーとする移植を5年以内に少なくとも5件実施する」(徳洲会グループの能宗事務総長)ようです。そうすると、5年以内には、5人の患者が確実に救済されるということになります。



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2009/05/08 [Fri] 00:41:19 » E d i t
厚生労働省が原則禁止としている病気腎移植(修復腎移植)について、愛媛県などの慢性腎不全の患者7人が「治療を受ける権利を侵害された」として、日本移植学会の幹部ら5人に総額6050万円の損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が平成21年4月21日、松山地裁(高橋正裁判長)でありました。

これに対して、被告となった学会幹部側は答弁書で「病気腎移植は現時点で安全性が確認されておらず、治療として一般化できない」などとして訴えの棄却を求め、全面的に争う姿勢を示しています。



1.報道記事を幾つか。

(1) 「徳洲新聞2009年(平成21年)5/4 月曜日 NO.670」

修復腎移植再開を願い~松山地裁で第1回口頭弁論~

4月21日、愛媛県・松山地裁(高橋正裁判長)で、慢性腎不全患者と腎移植患者7人が日本移植学会の幹部ら5人に対し、損害賠償などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が行われた。

原告側は「本来、患者を救うべき立場である同学会の田中紘一・元理事長、大島伸一・元副理事長、寺岡慧・現理事長、高原史郎・現副理事長、相川厚・現理事は、厚生労働省や報道機関などに対して修復腎移植に関するまったくの的外れか、事実と異なる発言を繰り返し、臨床研究以外の修復腎移植を原則禁止するという厚労省の判断を導いた。その結果、同移植を受ける権利と生存権を侵害された」として、総額6050万円の損害賠償などを求めている。口頭弁論では、幹部らは全面的に争う姿勢を示した。次回は6月30日に開かれる予定。

その後の記者会見で、原告団長の野村正良さんは次のように訴えた。

「この裁判は、修復腎移植の正当性を明らかにして再開することが目的。一般医療として再開できれば、多くの患者さんを救うことができます」

原告の一人、長谷川博さんは「学会幹部は、最初から結論ありきで否定してきました。医者は医療行為が許される代わりに、それなりの知見と人格が求められるはず。なぜ、ここまで意固地になるのかわかりません。私たち患者は、元気になって社会復帰し、少しでも世の中の役に立ちたいと願っています。わずかな希望を閉ざさないでください」と強調した。

弁護団は被告側の答弁書について、「私たちの疑問に対してはぐらかし、相変わらず的外れな主張を繰り返しています。全てを明らかにするためにも、医学的妥当性について争うことは大歓迎です」と説明した。

厚労省は、修復腎移植の臨床研究に際し「対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」を1月27日付で全国の医療機関に通達。徳洲会グループは修復腎移植の臨床研究実施を急ぎ、通常医療としての再開を目指す。」



(2) asahi.com:マイタウン・愛媛(2009年04月22日)

学会側 争う姿勢
2009年04月22日

●病気肝移植訴訟 口頭弁論
 原告、必要性訴え


 がんや尿道狭窄(きょうさく)などのため摘出された腎臓に治療を施したうえで別の患者に移植する「病気腎移植」をめぐり、県内外の慢性腎不全患者7人が日本移植学会の幹部ら5人を相手取り、病気腎移植を否定した見解の撤回と総額約6千万円の慰謝料などを求めた訴訟の第1回口頭弁論が21日、松山地裁(高橋正裁判長)であった。学会幹部側は答弁書で「病気腎移植は現時点で安全性が確認されておらず、治療として一般化できない」などとして訴えの棄却を求め、全面的に争う姿勢を示した。(中田絢子)

 提訴したのは愛媛、香川、広島、岐阜の4県の男女。訴状によると、病気腎移植は宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師(68) らのグループが91~06年に42件を実施したことが判明。これを受けて日本移植学会は07年3月、病気腎移植を全面否定する見解を出し、厚生労働省も同7月、臨床研究以外の病気腎移植を禁止した。原告らは、学会が「国の誤った判断を導いた」とし、希望する医療を受ける権利を奪われ、憲法が保障する生存権を侵害されたとしている。

 この日の口頭弁論で、原告の3人が病気腎移植に対する思いや透析治療のつらさを訴えた。00年8月に病気腎移植を受けた原告団長の野村正良さん(60) =松山市=は「腎臓の機能は落ちておらず、修復腎(病気腎)移植の素晴らしさを身をもって感じている。修復腎移植を正当に評価してほしい」 と述べた。透析治療中の元高校教諭、花岡淳吾さん(53)=岐阜県高山市=は「透析治療を受けた日は一日寝たきりで、吐き気やおう吐が日常化している。学会は修復腎移植に対し、異論があるのなら、きちんと検証し、その根拠を示すべきだ」と訴えた。

 口頭弁論の後で記者会見した原告の一人で、病気腎移植の実現を求める患者らの団体「移植への理解を求める会」代表の向田陽二さん(51)=松山市=は「これから私たちと学会の意見を一つひとつ戦わせていく。修復腎移植を認めてもらえるよう頑張りたい」と話した。」

(*この記事の見出しは「病気肝移植訴訟」となっているが、「病気腎移植訴訟」の間違い。)



(3) 毎日新聞2009年4月22日地方版(愛媛)

病気腎移植損賠訴訟:第1回口頭弁論 原告ら会見--地裁 /愛媛

 ◇「患者の願い分かってくれたはず」

 やっと土俵に上がれた--。県内などの慢性腎不全の患者7人が病気腎移植(修復腎移植)について非難声明を出した日本移植学会の幹部らを相手取って損害賠償を求め松山地裁に起こした訴訟の第1回口頭弁論。21日、原告や弁護団らは閉廷後、松山市内のホテルで記者会見を開いた。原告団長の野村正良さん(60)=松山市=は「患者が修復腎移植を願っていることは分かってもらえたのでは」と振り返った。

 訴状の陳述後にあった3人の原告による意見陳述では、車椅子に座って出廷した長谷川博さん(49)=香川県丸亀市=が「社会復帰するために移植を受けたい。これはぜいたくな望みなのでしょうか」と語気を強めた。また、約3年前から人工透析を受ける花岡淳吾さん(54)=岐阜県高山市=も「透析患者は1年の半分が寝たきりの状態」と現状を話し、「修復腎移植に対して異論があるならきちんと検証し、根拠を示すべきだ」と訴えた。

 被告の幹部らは、全面的に争う姿勢。A4サイズの用紙18枚に上る答弁書で、「原告の主張には理由がない」などと反論している。

 原告弁護団の光成卓明弁護士は「原告の意見に対して、正面から答えていない印象。今後は医学的な問題についての論争が中心となるだろう」と見通しを語った。【柳楽未来】

【関連記事】
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民主:臓器移植法改正案の勉強会開く
麻生首相:補正予算案などの早期成立を指示

毎日新聞 2009年4月22日 地方版」




この3つの記事を読めば、この修復腎移植訴訟を提起した意義と、閉廷後の記者会見の内容がよく分かると思います。

 「その後の記者会見で、原告団長の野村正良さんは次のように訴えた。
 「この裁判は、修復腎移植の正当性を明らかにして再開することが目的一般医療として再開できれば、多くの患者さんを救うことができます
 原告の一人、長谷川博さんは「学会幹部は、最初から結論ありきで否定してきました。医者は医療行為が許される代わりに、それなりの知見と人格が求められるはず。なぜ、ここまで意固地になるのかわかりません。私たち患者は、元気になって社会復帰し、少しでも世の中の役に立ちたいと願っています。わずかな希望を閉ざさないでください」と強調した。」


これらのコメントで修復腎移植訴訟の意義は明らかでしょう。修復腎移植は、日本では万波誠医師以外に76件の治療例があり、また、諸外国では、例えば、オーストラリアでは1996年から実施され、55例(2008年8月末現在)にも及んでいるなど、特異な療法ではなかったのです。それなのに、日本移植学会の幹部らは、なぜか修復腎移植を「絶対禁忌」扱いし、修復腎移植禁止へ導いたのですから、実に不可解です。

患者及び一般市民にとっては、「今まで国内外で問題なく実施してきたことを禁止することを止めてほしい。深刻なドナー不足の日本では、患者にとってはこの移植医療が命綱なのだから、邪魔をしないでくれ」というだけなのです。間違っても、日本移植学会の幹部に対して、修復腎移植をしてほしいなどと、無理な(技量的に不可能な!?)御願いをするわけではないのです。


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2009/02/11 [Wed] 23:59:38 » E d i t
厚生労働省は07年7月、臓器移植法の運用指針を改正し、臨床研究以外の病気(修復)腎移植を禁止し、日本移植学会など関連学会は、がんを含め病気(修復)腎移植について否定的な見解を示していたため、現在まで、臨床研究での病気(修復)腎移植さえも、事実上、全面禁止されていました。

ところが、平成21年1月27日付の通知(健臓発第0127001号)では、「いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと」と明記して、厚労省は、臨床研究での病気腎移植が実施できることを正式に認め、事実上、禁止されていた病気腎移植が解禁されることになりました。臓器移植法の運用指針自体を再改正してはいないのですが、「通知」と言う形で実質的に改正したことになります。

元々は、平成20年12月11日、超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」の会合において、厚労省は病気腎移植の実施を容認する見解を表明しており(「厚労省、がん腎移植も臨床研究容認の見解公表~「修復腎移植を考える超党派の会」の会合において」(2008/12/12 [Fri] 23:59:29)参照)、この見解どおりの「通知」を発表したというのが事の経緯です。

 「この日、東京・永田町の参院議員会館で開かれた超党派議連「修復腎移植を考える超党派の会」の会合は熱を帯びた。(中略)
 厚労省の担当審議官は「当初、われわれの説明が不十分な点があって混乱を招いた。われわれとしてはがんの修復腎も臨床研究の対象となるという見解」と明確に答えた。(中略)
 担当課長は「この問題が起きた2年前の時点に比べ、今の医学界の常識は変わってきたように思う。2年前は医学的には認められなかったが、日本以外の国でも(病気腎移植を)しているし、がんは転移するのではないかということも言われていたが、新しい知見も出てきた」と発言。」(東京新聞平成20年12月12日付朝刊24面「こちら特報部」)




1.まず、 今年1月27日付の通知(健臓発第0127001号)を引用しておきます((参考)として掲載している「ガイドライン」は除く)。なお、この情報は、「修復腎移植推進・万波誠医師を支援します」さんの「厚労省 腎がん等の修復腎移植・臨床研究を正式に認める」 (2009/02/10 20:06)「motosuke.net」さんの「2009年02月07日 修復腎移植(病腎移植)再開近し」、及び福岡市のHPでの「最近の通知・通達等(医療施設関係)」で知ることができました。お二方と、「通知」のPDFをいち早く掲載した福岡市に感謝します。
                                                                                                


                                          健臓発第0127001号
                                          平成21年1月27日


各[都道府県・指定都市・中核市]衛生主管部(局)長 殿

                        厚生労働省健康局疾病対策課
                                  臓器移植対策室長

     「臓器の移植に関する法律」の運用に関する指針(ガイドライン)
    の取扱いについて


 臓器移植の推進については平素から御高配を賜り、厚くお礼申し上げる。
 さて、平成9年10月8日付け健医発第1329号保険医療局長通知「『臓器の移植に関する法律』の運用に関する指針(ガイドライン)」(以下「ガイドライン」という。)については、平成19年7月12日に改正され、「第12 生体からの臓器移植の取扱いに関する事項」を追加したところである。
 今般、「臨床研究に関する倫理指針」(平成20年厚生労働省告示415号)が本年4月より施行されること等を踏まえ、ガイドラインの正確な理解を進めるとともに、適正な臓器移植の実施を図るため、改めてその趣旨等を下記のとおり示すので、貴職におかれては内容を十分御了知の上、貴管下の医療機関等に対する周知方につきよろしく御配慮願いたい。

                      記

1 いわゆる病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していないこと。

2 個別の臨床研究の実施に際しては、臨床研究を行う者等が、「臨床研究に関する倫理指針」に規定する事項を遵守し、実施するものであること。



1月27日付通知(健臓発第0127001号)の意味を分かりやすく説明すれば、次の2点になります。すなわち、

<1>臓器移植法の運用指針では、臨床研究での病気腎移植を禁止していないのに、日本移植学会等関連学会は、事実上、臨床研究での病気腎移植を全面禁止にしていたのですから、いわば「ガイドライン」を歪めていたわけです。

超党派の国会議員らが宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠医師による病気腎移植を容認する見解を出したことについて、日本移植学会の寺岡慧理事長は平成20年5月19日、「医学的に(誤解が)かなりある」として、反対する考えを明らかにしていました(asahi.com:2008年5月19日18時54分)。 この見解表明も、「ガイドライン」を歪めることを堂々と公言していたことになります。

ですから、平成21年1月27日付の「通知」では、「ガイドラインの正確な理解を進める」ことを強調し、「病腎移植の臨床研究の実施に際し、対象疾患についてはガイドラインにおいて特段制限していない」旨を明記して、臨床研究での病気腎移植の実施は許されているのだとして、学会の行動を批判したのです。

すなわち、「臓器移植法の運用指針では、臨床研究での病気腎移植を禁止していないのに、事実上、臨床研究での病気腎移植を全面禁止にしていた、日本移植学会等関連学会の対応は不当な制限であり、事実上であっても、臨床研究での病気腎移植の実施を阻害することは許されない」ことを示したのです。


<2>平成21年1月27日付の「通知」における「適正な臓器移植の実施を図るため」という点は、「2 個別の臨床研究の実施に際しては、臨床研究を行う者等が、「臨床研究に関する倫理指針」に規定する事項を遵守し、実施するものであること」に対応しています。

この点は、病気腎移植への批判というよりも、万波誠医師たちが実施した病気腎移植への批判を行っている日本移植学会側に配慮したものといえます。もっとも、臨床研究に関する倫理的指針に従うことには、誰も異存がないのですから、病気腎移植を肯定する側にとっても何の問題もないのです。

むしろ、「臨床研究に関する倫理指針」のみを遵守しさえすれば、病気腎移植を実施できるのですから、日本移植学会側が日本移植学会が承認した医療機関のみが実施できるといった、不当な制約を拒絶することができるのです。


要するに、厚労省は、(臨床研究に限るとはいえ、)いかなる疾患であっても病気腎移植をすることは可能であるとして、病気腎移植の医学的妥当性を認めて、病気腎移植の実施を肯定したのであり、医学的根拠が不十分なままで病気腎移植を禁じていてた日本移植学会等関連4学会を批判し、臨床研究の自由(学問研究の自由)という本来の医療のあり方の遵守を求めたのです。



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テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

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