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2008/03/09 [Sun] 23:59:30 » E d i t
「日本学術会議が報告書最終案(上)〜代理出産の法律による原則禁止など10項目の提言」の続きです。


本来、日本学術会議が法務省及び厚生労働省から依頼された任務は、「代理懐胎が生殖補助医療として容認されるべきか否かなど、代理懐胎を中心に生殖補助医療をめぐる諸問題について、従来の議論を整理し、今後のあり方等について調査審議を行う。」はずでした。しかし、生殖補助医療をめぐる諸問題すべて検討すべきだったのに、代理出産のみに終始してしまい(子供の権利も不確定のままで、最も必要性に迫られていた卵子提供の是非さえも決定しなかった)、依頼された任務を怠ったのです。

「生殖補助医療の在り方検討委員会」の鴨下重彦委員長は、「国会で幅広い議論が展開され、必要な立法化に向けて準備が開始されることを心から念願する」とし、「放置は許されない」と法規制を強く迫っています。しかし、日本学術会議自体が依頼された任務を怠って不十分な提言しか提出できなかったのに、よくも「放置は許されない」などと法規制を迫ることができるものだと唖然とします。しかも、立法内容を殆ど空白のままで「生殖補助医療法(仮称)」という、すべてを網羅したような新たな立法を要求するのですから、ここまで日本学術会議が厚顔無恥だとは思いませんでした。

こんな厚顔無恥な提言で立法せよというのですから国会議員も呆れていると推測できますが、では、代理出産を含めた生殖補助医療に関する法制化の見込みはどうなっているのでしょうか? 「日本学術会議が報告書最終案(下)」では、この点について触れてみたいと思います。



1.まず、「Q&A」形式で分かりやすい記事を。

(1) 日経新聞平成20年2月25日付朝刊23面「Q&A」欄

代理出産 法制化には時間  倫理観の問題 集約は難しく

 不妊夫婦が妻以外の女性に子どもを産んでもらう代理出産の是非を議論してきた日本学術会議の検討委員会が19日、最終報告書案を提示した。今後焦点となる法制化はどうなるのか、見通しなどをまとめた。

  どこが法制化を担当するのか。

  政府は法案提出に後ろ向きだ。今回の報告書は、政府への答申というわけではなく拘束力がない。加えて「価値観にかかわる問題で、役所が主導することはなじまない」(厚労省)との理由から、国会が議員立法で法案提出すべきだとの考えだ。

  国会の状況は。

  代理出産を議論する超党派の勉強会があるが、昨年6月以来、活動は休止状態。報告書を受けて3−4月から議論を再開する予定だ。法案の提出時期は未定としているが、時間がかかりそうだ。

  なぜ時間がかかるのか。

  全体からみれば熱心な議員は少なく、また代理出産のような倫理観にかかわる問題は意見がまとまりにくい。ただ、最高裁が昨年3月、法整備を求める判決を出している以上、法制化棚上げでは政治が無策との批判も浴びかねない。

 法案の対象範囲をどこまで広げるかで状況は変わりそう。報告書案は代理出産に限らず生殖補助医療(不妊治療)全般の法律を作るべきだと提言。生命倫理政策を決める委員会の設置を求める声もある。国会がこうした抜本的な法整備に動くなら、さらに長期化する可能性がある。

  法案の内容は原則禁止という報告書案通りになるのか。

  超党派の勉強会は条件付きで認める考えを持つ議員が多い。報告書を参考にはするが、必ずしもその通り法案を作るとは限らない構え。さらに国会での議論となると、また違う意見も出るとみられる。全面解禁という逆の結論に至る可能性は低いが、容認方向へ軌道修正される可能性は残る。」




(2) この記事から理解できる重要な点が2点あります。

  イ:重要なポイントとして、「今回の報告書は、政府への答申というわけではなく拘束力がない」のであり、「価値観にかかわる問題で、役所が主導することはなじまない」ために、生殖補助医療の法律は、議員立法で制定するしかないということです。

そうなると、不妊治療・生殖補助医療に理解がある国会議員が主導して立法化することになりますが、そのような議員は少なく、意見集約は難しいのです。また、最も生殖補助医療に関する法案を作成する能力を有する「代理出産を議論する超党派の勉強会」は、「報告書を受けて3−4月から議論を再開する予定」なのですから、これでは早期の立法化のめどが立つわけがありません。

しかも、報告書案は、中身がほとんどないのに「代理出産に限らず生殖補助医療(不妊治療)全般の法律を作るべきだと提言」してしまったばかりか、「生命倫理政策を決める委員会の設置」まで望んだのです。ここまで大風呂敷を広げたら、抜本的な法整備が必要になり、「さらに長期化」します。

ですから、日本学術会議の意向とは異なり、代理出産を含めた生殖補助医療に関する法制化の見込みは当分なく、早期の立法化はあり得ないのです。

そうなると、報告書でも例外的にも代理出産を容認し、他の生殖補助医療につき何も決定せず、法制化されないことが前提となるため、生殖補助医療につき各医療機関を法的に制約するものはないことになります。そこで、各医療機関は、独自のガイドラインに基づいて生殖補助医療を実施していくことになるのです。


  ロ:もう1つ重要なポイントは、最も生殖補助医療に関する法案を作成する能力を有する「代理出産を議論する超党派の勉強会」は、条件付きで認める考えを持つ議員が多く、生殖補助医療全般につき原則自由であるという主張であるということです。

ですから、代理出産原則禁止という日本学術会議の報告書とは相容れず、報告書には政府に対しても拘束力がないため、「代理出産を議論する超党派の勉強会」は、報告書を参考にはするとしても、報告書どおりの法案を作る可能性はほとんどないということです。

今やどの意識調査でも、過半数の人が代理出産を認めていますし、昨年3月に厚労省が実施した国民の意識調査では、代理出産を「社会的に認めてよい」とした人は54%、「認められない」は16%というほど大きな差異が生じているくらい、代理出産を認める意識は広がっているのです。しかも、04年4月〜05年9月に、浜松医大医学部5年の男女174人を対象に調査した結果によると、代理出産については、70%もの学生が「社会的に賛成できる」と答えています(毎日新聞平成18年11月27日付夕刊2面)。

このように、一般人だけでなく、医者の卵さえも一致して代理出産を容認している以上、そのような世論を無視して代理出産を禁止するような議員立法は不可能です。報告書は全く無意味だったとはいえないまでも、無駄な作業だったといえるでしょう。

そうなると、どういう内容の議員立法になるかが気になります。

野田聖子衆議院議員によると、「生殖補助医療は原則自由、患者主体で行えるとする特例法」となり、母子関係については「生まれた子供は、法的に実子とできる」とし、「本人が納得して責任を取るなら、国はそれを止めません」という原則に基づいた立法になる予定とのことです(「野田聖子議員が語る「代理出産は認めるべき」〜nikkeiBPnet(12月1日)より」(2006/12/23 [Sat] 23:14:44)参照)。



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