FC2ブログ
Because It's There
主に社会問題について法律的に考えてみる。など。
07« 1. 2. 3. 4. 5. 6. 7. 8. 9. 10. 11. 12. 13. 14. 15. 16. 17. 18. 19. 20. 21. 22. 23. 24. 25. 26. 27. 28. 29. 30. 31.»09
スポンサーサイト 
--/--/-- [--] --:--:-- » E d i t
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
スポンサー広告 *  TB: --  *  CM: --  * top △ 
2010/09/07 [Tue] 20:43:09 » E d i t
民主党代表選を巡っては、小沢一郎元民主党幹事長に対して強制起訴があることを前提とした報道が連日、なされています。マスコミは、無罪推定の原則(憲法31条)といった憲法や刑訴法の原則を平然と踏みにじり、検察審査会の決定はまるで「神の啓示」のごとく扱っているのです。

しかしながら、元裁判官や元検察官など法曹関係者からは、検察審査会において強制起訴を認めたことに対して強く批判がなされています。刑事事件に関わったことのある法律関係者の多くが、検察審査会に対して批判的であると言っていいかもしれません。


1.検察審査会とは、検察審査会制度は,検察官が被疑者を起訴しなかったことがよかったのかどうかを選挙権を有する国民の中からくじで選ばれた11人の検察審査員が審査する制度です。この制度は、公訴権の行使に民意を反映させて,その適正を図るために設けられたとされています。

(1) この「民意の反映」が「冷静・公正な思慮に基づく民意」であり、合理的な疑いを入れない程度に有罪と認めるだけの証拠があると判断した結果、起訴すべきだとの結論を出していれば、まだマシなのです。しかし、現実は、単に、感情論に基づいて、思い込みで有罪の証拠があると妄想して有罪視しているだけの結論になっているのではないでしょうか? 客観的に有罪の見込みがないのに起訴すべきと認めてしまっているのではないでしょうか? 

感情的に起訴を認める検察審査会やそれを肯定するマスコミ報道を放置すれば、無罪推定の原則(憲法31条)といった憲法や刑訴法の原則を無視することが普通となり、客観的に有罪の見込みがないのに起訴することが妥当という意識が蔓延しかねません。

そこで、その間違いを正すべく、法律的に間違った内容を展開しているコラム(朝日新聞平成22年6月1日付夕刊6面「窓~論説委員室から」)を引用し、その間違いを厳しく指摘したいと思います。


(2) 朝日新聞平成22年6月1日付夕刊6面「窓~論説委員室から」

99%と51%との間で

 「正直言って、こんな展開になるとは想定していませんでした」。最近、話題が検察審査(しんさ)会に及(およ)ぶと、戸惑(とまど)った表情を見せる法律家や学者が少なくない。

 検察の不起訴(ふきそ)処分をひっくり返し、強制的に裁判にかける権限が審査会に与えられて1年。民意の反映が目的だが、社会の耳目を集めた事件なので、専門家にはやや無理筋と映る「起訴すべきだ」との議決がいくつか出されている。

 「想定外」の背景には起訴や裁判に対する考えの違(ちが)いがあると言っていい。

 「容疑者やその家族にも生活がある。有罪が確実に見込めなければ起訴できない」とする検察。時に重大な過ちもなくはないが、ともあれこの姿勢が有罪率99%という現状をもたらした。

 一方、検察審の議決からは、有罪無罪にかかわらず、法廷(ほうてい)で事実関係を明らかにし、責任の所在を議論することに意義があるとの思いがうかがえる。「51%の確率で有罪が疑われれば起訴」で無罪も多いのが英国流だそうだが、それに通じる面があると指摘(してき)する研究者もいる。

 どちらが正解というものではないだろう。「有罪率99%」が裁判の形骸(けいがい)化などの弊害(へいがい)を生んだのは否めないが、さりとて「51%ルール」はいかにも乱暴で、世の中に受け入れられるとは思えない。

 99%と51%の間を揺(ゆ)れ動きながら、当面はひとつひとつの事件や容疑者に、冷静に向き合うほかない。足して二で割って済ませられないところが、刑事司法の奥(おく)深さでもある。<渡辺雅昭>」


イ:法律家や学者は、マスコミに対しては、ありのままに伝えたりはしません。

 「正直言って、こんな展開になるとは想定していませんでした」。最近、話題が検察審査(しんさ)会に及(およ)ぶと、戸惑(とまど)った表情を見せる法律家や学者が少なくない。
 検察の不起訴(ふきそ)処分をひっくり返し、強制的に裁判にかける権限が審査会に与えられて1年。民意の反映が目的だが、社会の耳目を集めた事件なので、専門家にはやや無理筋と映る「起訴すべきだ」との議決がいくつか出されている。」


コラムでは、検察審査会に対しては「戸惑う」としていますが、法律家や学者の多くは戸惑うどころか批判的です。

検察審査会に批判的な理由は、単に、コラムに書いているような「専門家にはやや無理筋と映る起訴相当としたから」ではありません。起訴相当とした検察審査会は、証拠不十分なのに起訴すべきだと判断したり、「他に証拠があるはずだ」などと決めつけた挙句、感情的な判断から有罪に違いないとまで判断しているのです。これでは、無罪推定の原則を念頭においた判断ではないばかりか、「証拠裁判主義」(刑訴法317条)に明らかに反してしまいます。刑事裁判の基本原則を無視するまでに、検察審査会がおかしくなってしまったのなら、有害でしかなく、強制起訴を認めるような法改正をするべきではなかったと、深く後悔しているのです。


 ロ:しかし、渡辺雅昭・朝日新聞論説委員は、そうした検察審査会に対して肯定的です。

そして、その趣旨に沿った形で、このコラムは、<1>現在の刑事司法は、容疑者の不利益を考慮して慎重な起訴にすべきとしてきたが、検察審査会は、「有罪無罪にかかわらず、法廷で事実関係を明らか」にすべきとしており、それは「起訴や裁判に対する考えの違い」による、<2>どちらが正解というわけではなく、現在の刑事法の考えである「99%」と、検察審査会の考えである「51%」の間を揺れ動きながら、個別事件ごとに処理するしかなく、それが妥当だ、としているのです。

しかし、99%は日本での有罪率ですが、これに対して、「51%」は、英国での有罪率ではなくて、捜査機関側による起訴する時点の有罪の見込みです。このように、同じ有罪率の問題ではないので、比較できないはずなのに、比較している点で、この論説自体が破綻しています。(英国でも有罪率は51%ではありません。)

間違いだらけのコラムですが、まず、こうした比較を平然としてしまうようなできの悪い学者は、まずいません。こうした間違いを流布しているのは、元々は、政治家です。ですから、この間違いコラムを書いた、渡辺雅昭・朝日新聞論説委員は、政治家の受け売りで書いたと思われます。そこで、政治家の説明を引用しておきます。


-- 続きを読む --

テーマ:政治・時事問題 - ジャンル:政治・経済

2010/09/05 [Sun] 16:56:01 » E d i t
民主党代表選においては、菅直人氏と小沢一郎氏が立候補していますが、検察審査会について批判的に言及した小沢氏の発言に注目が集まっています。

平成22年9月5・6日付追記:小沢一郎氏が、検察審査会の審査対象のあり方について考えを述べることは、「検察審査会への圧力として作用することは明らかである」とする批判への検討を追記しました。)



小沢氏、検査審に疑問呈す 『素人が決める仕組み』
2010年9月3日 夕刊

 民主党代表選に立候補した小沢一郎前幹事長は三日午前、テレビ朝日番組で、自らの資金管理団体の政治資金規正法違反事件に関連し、検察審査会の在り方に疑問を呈した。 

 小沢氏は、検察審査会について「強制力を持った捜査当局が不起訴と言ったことについて、いわば素人が良い、悪いと言う今の仕組みが果たしていいのか、という議論は出てくる」と指摘した。」(東京新聞平成22年9月3日付夕刊


東京地検特捜部は、小沢氏の資金管理団体の政治資金規正法違反事件に関連して、1年もかけて執拗に――足利事件でも1年も捜査機関は菅家さんを付け狙い、有罪とされたが冤罪であることが判明――捜査したのに、証拠不十分であるとして不起訴としたわけです。

そのため、小沢氏は、検察庁が証拠不十分であるとして「不起訴と言ったことについて、いわば素人が良い、悪いと言う今の仕組みが果たしていいのか」どうかと述べ、証拠不十分での不起訴は、検察審査会の審査対象を限定する必要があるのではないかと、疑問を呈したのです。(なお、小沢氏の発言では、証拠不十分での不起訴であることを明言してはいませんが、小沢氏が関わった事件では、証拠不十分での不起訴だったのですから、その点は当然に発言に含まれるでしょう。)

この発言に対して、報道機関は、「法律的にどの点で不当なのか」を示していないので分からないのですが、「小沢氏、検査審に疑問呈す」という見出しからすると、何となく非難めいた記事であるようです。しかし、証拠不十分での不起訴は検察審査会の対象から除外すべきだという、小沢氏の発言は本当に不当なのでしょうか? 3人の法律関係者(元裁判官と元検察官)へのインタビュー記事を引用しておきます。



1.朝日新聞平成22年7月3日付朝刊17面「オピニオン 耕論」

◆審査会は冤罪を防ぐために

――秋山賢三(あきやま・けんぞう)さん 元裁判官


 私は、司法手続きに司法が参加すること自体は、大変意義のあることだと思いますが、それは市民の英知を活用して、無実の人を処罰しないため、つまり、冤罪を生まないためにこそ行われるべきだと思います。

 その意味で、刑事法のプロである検察官が有罪にできないと判断し不起訴処分にした事件を強制的に起訴する権限を、くじ引きで選ばれた、法律知識のない市民に簡単に与える現行制度には反対です。

 日本では、起訴された被告の99.9%が有罪になるという実態があり、社会は「起訴=有罪」と受け止める傾向が強いのです。公務員は起訴されると休職となり、給料は4割カットされるし、民間会社員は起訴されると解雇されるケースも多い。物心両面の負担は言うまでもありません。

 だからこそ、起訴の判断は慎重さが求められるのです。まして、検察審査会に持ち込まれる告訴・告発事件の場合、容疑者とされる人が容疑事実を否認しているケースがほとんどですから、起訴の判断にはより一層の慎重さが求められます。

 検察という組織は、有罪にできると判断すれば必ず起訴します。その検察官が起訴しない事件について一般市民に起訴できる権限を与えるわけですから、冤罪を生む危険性が大きくなったと思います。

 理由は<1>審査員が一般に法律に詳しくない<2>限られた審査時間の中ですべての証拠を精査できるかどうか疑問<3>事前にメディア報道を見聞きして、予断と偏見を持って審議に臨む可能性が高い<4>被害者感情に短絡的に同調する可能性が高い、などです。

 例えば、明石歩道橋事故のような大規模事故の場合、業務上過失致死罪の適用が問題になります。こうした過失犯では、結果を予見できたか、回避できたかどうかが有罪・無罪の判断を分けますが、長年積み重ねられた多くの判例を知らなければ、正しい判断はできません。

 実際過去には、検察審査会が不起訴相当の議決を出したため、再捜査して起訴したものの、結果的に無罪判決が確定した事件は「甲山(かぶとやま)事件」「岡山遊技場放火事件」など、数多くあるのです。

 検察審査会の議決には強制力のない時代ですらそうだったのですから、議決に強制力が付与された現在の制度の下では、冤罪が生まれる可能性はかなり高まると思います。

 こうした危険性を回避するため、検察審査会の議決に強制力を付与する条件として、以下のことを提案したい。

 <1>「起訴相当」の議決をするためには、現在11人の委員中8人以上の賛成でいいとされているが、これを全員一致の賛成が必要とする<2>現行法では「起訴相当」の議決2回で強制起訴となっているが、これを3回(または4回)とする<3>捜査資料の公開を徹底する、という三つです。

 検察官は起訴の権限を独占し、しかも起訴するかどうかに関して大きな裁量権を認められており、それに対する市民からの監視とチェック機能は必要です。しかし、検察審査会のように、検察官が起訴しない事件を起訴させる方向に市民が関与するのではなく、検察官が起訴すべきでない事件を起訴させないためのチェック機能こそ市民に求められていると思います。 (聞き手・山口英二)
----------------------------------------------------------------
1940年生まれ。67~91年裁判官。徳島地裁で徳島ラジオ商殺し事件の再審開始決定に関与。退官後は主に冤罪事件の弁護を担当。」



(1) 法曹のみならず法を学ぶ者であれば誰でも尊敬している、元裁判官で弁護士の秋山賢三さんは、「検察審査会のように、検察官が起訴しない事件を起訴させる方向に市民が関与するのではなく、検察官が起訴すべきでない事件を起訴させないためのチェック機能こそ市民に求められている」とし、不当な不起訴か否かを是正する検察審査会自体に否定的な見解なのです。

そして、検察審査会を肯定したとしても、「刑事法のプロである検察官が有罪にできないと判断し不起訴処分にした事件を強制的に起訴する権限を、くじ引きで選ばれた、法律知識のない市民に簡単に与える現行制度には反対」>としています。要するに、法律知識のない素人の市民が、安易に強制起訴ができるようになった現行検察審査会法は妥当でないとしているのです。

「法律知識のない素人の市民が、安易に強制起訴ができるようになった現行検察審査会法は妥当でない」との考えは、検察審査会の権限を限定するべきとする点で、小沢一郎氏の見解と共通します。しかも、不当な不起訴か否かを是正する検察審査会自体に否定的な見解を採用している点では、検察審査会の存在を是認する小沢一郎氏の見解よりも一層、検察審査会に批判的なのです。

「証拠に基づいた認定」というよりも感情論によって結論を出している、最近の検察審査会の審理の現状に危惧を抱く法曹は多いので、この秋山説(立法論)が、法曹界の多数を占める考えといってよいでしょう。ですから、小沢一郎氏の発言に対しては、法曹界の多数は賛成しているはずで、報道機関が小沢氏の発言を問題視するのか不思議でなりません

沢氏の発言に対して、朝日新聞平成22年9月4日付朝刊1面は、「『不見識だ』驚く法曹界」という見出しを出していますが、これは多数の意見に反する「虚偽の見出し」というべきです。むしろ、「『見識がある』肯定的な法曹界」と書くべきでした。「強制起訴制度の導入はするべきではなかった」と、後悔している法曹の方が多いのですから。

もちろん、裁判員制度や強制起訴制度の導入を積極的に推進した、弁護士の四宮啓氏(国学院大学教授)だけは、小沢氏の発言を批判――批判内容は意味不明ですが――しています(朝日新聞平成22年9月4日付朝刊)。しかし、制度導入の問題点に目をつぶった「信者」なのですから、思想的に小沢氏の発言に否定的なのは当然でしょう。



(2) 元裁判官で弁護士の秋山賢三さんが、このような見解を採用しているポイントは、法律知識のない素人が検察審査会で強制起訴が可能となった点で、多くの事件で冤罪の危険性が高まったのであり、市民が冤罪を作り出すようなことは止めるべきだということです。

何人にも無罪推定の原則(憲法31条)が保障されているにも関わらず、報道機関も一般人も「起訴=有罪」と受け止める傾向が強く、有罪視報道は相変わらず続いています。このような不当な社会的な制裁に加えて、「公務員は起訴されると休職となり、給料は4割カットされるし、民間会社員は起訴されると解雇されるケースも多い」のです。さらに、刑事手続によって、容疑をかけられた者は、経済的・精神的・肉体的にも著しい不利益を受けるのですから、起訴の判断は慎重さが求められるのです。

まして、「検察審査会に持ち込まれる告訴・告発事件の場合、容疑者とされる人が容疑事実を否認しているケースがほとんどですから、起訴の判断にはより一層の慎重さが求められ」るのですが、その検察官が起訴しない事件について、法律の知識が乏しい一般市民が、極めて少ない審査時間で、強制起訴できる権限まで与えたのですから、より冤罪を生む危険性が大きくなったのです。
 

 「実際過去には、検察審査会が不起訴相当の議決を出したため、再捜査して起訴したものの、結果的に無罪判決が確定した事件は「甲山(かぶとやま)事件」「岡山遊技場放火事件」など、数多くあるのです。
 検察審査会の議決には強制力のない時代ですらそうだったのですから、議決に強制力が付与された現在の制度の下では、冤罪が生まれる可能性はかなり高まると思います。」


秋山賢三さんが指摘するように、強制起訴を認めていなかった過去の事例でも、多くの冤罪を生んでいました。強制起訴が可能になった現在、冤罪の可能性が高まったと危惧するのは、ごく当然の判断です。

検察官の起訴権限に対して市民からの監視とチェック機能は必要です。しかし、検察審査会のように、検察官が起訴しない事件を起訴させる方向に市民が関与するのではなく、検察官が起訴すべきでない事件を起訴させないためのチェック機能こそ、すなわち、冤罪を作り出す方向ではなく、冤罪を防止する方向に市民は、行動するべきなのです。検察審査会が引き起こした「甲山(かぶとやま)事件」「岡山遊技場放火事件」という冤罪事件に対して、心から反省して対応するべきなのです。

こうした秋山賢三弁護士の考えに賛同する法曹関係者は多いように思われます。





-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

2009/05/07 [Thu] 05:40:45 » E d i t
殺人事件での時効制度の廃止などを訴える遺族会「宙(そら)の会」が平成21年5月3日、都内で第1回全国大会を開催しました。同会には17件の未解決事件の遺族61人が参加し、遺族や活動の賛同者ら約120人が大会に出席しました。

大会では時効制度撤廃を求める嘆願書が読み上げられ、同会は今後集める署名とともに、月内にも法務省や各政党に提出するとのことです。その嘆願書によると、(1)時効制度の廃止、(2)公訴時効の停止の2点だけでなく、(3)時効が成立した遺族に対する国家賠償責任という点をも求める活動を進めるとしています(時事通信:2009/05/03-20:18)。


1.報道記事を幾つか。

(1) 毎日新聞平成21年5月4日付朝刊26面(14版)

「時効成立は国賠を」 「遺族の会」全国大会 

■見直しに加え、嘆願提出へ

 時効制度見直しを求めて結成された「殺人事件被害者遺族の会(宙(そら)の会)」の第1回全国大会が3日、東京都千代田区の明治大学で開かれた。これまで求めてきた「時効の廃止」「時効の停止」に加え、「時効が成立した遺族に対する国家賠償責任」を三つ目の柱として嘆願書に盛り込んだ。月内にも法務省や各政党に提出する。

 この日までに入会したのは、国内外の17事件の遺族と、賛助会員61人。大会には約200人が集まった。

 上智大生殺害事件(96年9月)で次女を失った小林賢二・代表幹事(62)が嘆願書を読み上げ、「時効制度は、『生命』という最も崇高な『尊厳』を喪失させている」と、廃止・停止を改めて求めた。また、「国家は刑事・民事で処罰権・賠償権を行使することにより秩序の安定を図っている」として、義務を結果的に果たせなかった責任を賠償という形で救済すべきだと訴えた。

 大会では冒頭、世田谷一家殺害事件(00年12月)で長男一家4人を失った宮沢良行会長(81)が「憲法記念日にあたる本日、『生命の尊厳』を多くの国民に考えていただき、時効制度の是非を問いたい」とあいさつ。

 作家の柳田邦男さんが特別講演を行い「自分や家族が被害者だったらという視点が必要だ。宙の会の活動は命を大切にする社会の第一歩になる」と話した。

==============

 ■解説

 ◇救済に道筋を


 時効成立後、刑事責任を追及できなかった遺族が、容疑者に損害賠償を求めるケースがある。民事でしか闘えない遺族のつらさは想像に難くないが、それ以上につらいのは、容疑者が浮かばないまま時効を迎えた遺族だ。刑事でも民事でも救われない遺族救済に道筋をつけるべきときではないだろうか。

 90年12月の札幌信金職員、生井宙恵(みちえ)さん(当時24歳)殺害事件(05年時効)で、遺族が殺人容疑で指名手配された男に賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は08年3月、男に7500万円の支払いを命じた。しかし、男は所在不明のままで、賠償金が支払われる見込みはない。

 一方、78年に殺害された東京都足立区立小教諭、石川千佳子さん(当時29歳)の遺族が、時効成立後に名乗り出た元警備員の男(73)に賠償を求めた訴訟では、最高裁が先月28日、男の上告を棄却し、4255万円の支払いを命じた東京高裁判決が確定した。

 しかし、時効成立事件で、容疑者が分かっていることはまれで、ほとんどの事件で、遺族は親族を殺害された怒りと悲しみをぶつける相手もないまま、事件捜査を終えた捜査当局から「容疑者不詳で不起訴」との処分通知を受け取るだけだ。今は、泣き寝入り以外の選択肢は遺族にはない。

 15年間捜査した結果が、紙一枚ではあまりにも悲しすぎる。【山本浩資】

毎日新聞 2009年5月4日 東京朝刊」



-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

2009/04/05 [Sun] 22:42:18 » E d i t
法務省は平成21年4月3日、殺人など凶悪・重大事件の公訴時効の在り方について、同省の勉強会がまとめた中間報告を発表しました。

公訴時効制度の見直しの是非には踏み込んでいませんが、見直す場合の4つの方策について提示しています。その中間報告では、(1)公訴時効制度の廃止、(2)公訴時効期間の延長、(3)犯人のDNA情報を基に検察官が氏名不詳のまま起訴し、時効が停止する制度の導入、(4)確実な証拠があれば裁判所が検察官の請求を認め時効を停止(延長)できる制度の創設、の4つの見直し案を提示しています。

公訴時効は、2004年の刑事訴訟法改正で、死刑に当たる罪は15年が25年、無期の懲役・禁固の罪は10年が15年にそれぞれ延長されたばかりですが、森英介法相は平成21年1月、被害者遺族らの要望を受け、「殺人など重大事件の公訴時効のあり方を検討する勉強会」を法務省内に設置することを明らかにし、勉強会が行われてきました。

勉強会は今後、被害者団体や学識経験者、警察、日弁連などの意見を聴いて検討を重ね、今夏に最終報告書をまとめる方針です(時事通信:2009/04/03-09:11)。

なお、検察統計年報によると、2007年までの10年間に時効を迎えた殺人、放火、強盗、強盗致死傷、強盗強姦、強姦、強姦致死傷の凶悪事件は計1778件で、殺人事件だけでも年間50件前後で推移しています(共同通信:2009/04/03 09:30)。



1.森英介法相は、「公訴時効の在り方を検討する勉強会」について、次のような記者会見を行っていました。

(1) 法務大臣閣議後記者会見の概要 平成21年1月5日(月)

【公訴時効制度に関する質疑】

Q:一部報道で出ていますが,時効の撤廃等について,法務省の方で検討を進めるという話が出ていますけれども,詳しく教えて下さい。

A:公訴時効制度については,現在,被害者の方々を中心として,殺人等の凶悪・重大な犯罪について見直しを求める声が多く寄せられています。そこで,この点に関する様々な御意見を参考にしながら,殺人等の凶悪・重大な犯罪に関する公訴時効制度の在り方について検討をしていきたいと考えています。現時点では,法務省内で刑事局を中心に行うわけですけれども,体制等はこれから相談をして決めていきたいと思っています。

Q:やはりそのきっかけとしては,犯罪被害者の会の去年の動きとか,あるいはDNAの進歩とか,そういったものが契機となっているのでしょうか。

A:それも1つの契機ではありますけれども,やはり社会の時代の変化とか,あるいは技術の進歩とか,そういったことが非常に顕著でありますし,一方でそういったことと法律的な整合性も十分取れていることも必要でありますので,結論ありきという取組ではなくて,論点の洗い出しといったところに主眼を置いて,当面の検討をさせたいと思っています。

Q:それは,時効の延期とか,あるいは撤廃までも含めてですか。

A:もちろん,視野に入れてです。くれぐれも申し上げますけれども,結論先にありきという検討会でないということは御承知置き下さい。

Q:例えば,検討会の報告ですとか,そういったメドはいつぐらいになりますか。

A:そういった時期も含めて,これから相談をしたいと思っています。」




-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

2009/03/16 [Mon] 23:59:23 » E d i t
毎日新聞は、オウム真理教(アレフに改称)による松本サリン事件の被害者でありながら、当初から捜査機関と報道機関が執拗に容疑者扱いした河野義行さんに対して、インタビューを行い、記事にしていました。


特集ワイド:オウム事件被害者・河野義行さんの心の軌跡

 「人は間違うもの」
     ―――だから、自分の中で人生を総括するしかない

 オウム真理教(アレフに改称)による松本サリン事件の被害者でありながら容疑者扱いされた河野義行さん(59)と、事件に関与した元幹部との間に交流が生まれたという。人は自分を傷つけた人間を許すことができるのだろうか。河野さんの心を知りたいと訪ねた。」(毎日新聞 2009年3月10日 東京夕刊)



1.「河野義行さん(59)と、事件に関与した元幹部との間に交流が生まれた」点を紹介したのは、週刊朝日 2009年2月13日号(発売日:2009年2月3日)での「松本サリン事件 河野義行氏と元オウム信者 交流900日 長距離バスで通うサリンの庭」という記事です。毎日新聞側としては、この週刊朝日の記事を読んで、インタビューを記事にしている「特集ワイド」向きのネタを見つけたとして、河野義行さんにインタビューを行ったのでしょう。

週刊朝日の記事は、河野さんだけでなく、オウム真理教の元幹部の声も紹介していることから、「河野義行さん(59)と、事件に関与した元幹部との間の交流」がよく分かり、充実した内容となっています。

これに対して、毎日新聞の記事は、元幹部に対してインタビューを行っていないため――毎日新聞は、被害者家族は加害者を許すべきでなくいつまでも糾弾するべきであって、加害者は何時までも刑期を終えたとしても罪人として扱うべきとの立場ですから、元幹部にインタビューする気もないのでしょうが――、「河野義行さん(59)と、事件に関与した元幹部との間に交流が生まれた」という点につき、読者に十分な回答を示さずに終わっており、欠落した記事となっています。

週刊朝日の記事の二番煎じであって、比較して物足りない内容であるとはいえ、「被害者家族は加害者を許すべきでなくいつまでも糾弾するべきであって、加害者は何時までも刑期を終えたとしても罪人として扱うべき」との意識を盛んに流布している毎日新聞が、全く立場を異にする河野義行さんの声を紹介したことは、非常に価値があることであると思います。

そこで、河野義行さんへのインタビュー記事を紹介したいと思います。



-- 続きを読む --

テーマ:法律全般 - ジャンル:政治・経済

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。