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進まない日本の臓器移植〜国際会議「世界移植DAY」で各国から厳しい意見相次ぐ(東京新聞平成20年9月26日付「こちら特報部」より)
2008/09/26 23:57

大阪国際会議場で平成20年9月20日、臓器移植についての国際会議「第4回世界移植DAY」が開かれ、欧米やアジア諸国から臓器移植に携わる医師や専門家が集まりました。



1.Yahoo!!ニュース(9月1日18時40分配信 医療介護CBニュース)

「世界移植DAY」を大阪で開催−移植学会
9月1日18時40分配信 医療介護CBニュース


 日本移植学会(寺岡慧理事長)は、9月20日に大阪国際会議場(グランキューブ)12階の特別会議場で、臓器移植についての国際会議「世界移植DAY」を開く。共催はWHO(世界保健機関)と厚生労働省。

 同会議は、WHOが設立した「Fair Transplant財団」に本部を置き、各国の脳死臓器提供の推進を目的に2005年から毎年開催している。アジアでは初の開催となる。

 午前中は、「アジアの移植事情」をテーマにシンポジウムが行われ、中国、韓国、タイ、ベトナム、日本の代表が発表。各国における臓器移植の状況や問題点、脳死臓器移植を自国でカバーするための活動を報告する。
 午後は、日本の臓器提供推進に向けた活動を報告するほか、欧米で実際に運用されている臓器あっせんシステム、臓器提供施設で働く医療従事者への教育、法的環境などを解説する。参加の申し込みは不要。

 会場内では、9月19-21日の3日間、第44回日本移植学会総会も同時開催される。

最終更新:9月1日18時40分」




この国際会議「世界移植DAY」で大きな議論になったのが、移植臓器の「自国調達」の問題です。日本は、欧米に比べ、未だにドナーの数が極めて少ないうえに、15才未満の臓器移植が禁止されているため、患者の多くが移植をするため海外に渡っていきます。「自国調達」を主張するWHOや欧米の関係者からは、日本はもっと自国で移植を行えるよう努力すべきだという声が強まっています(「BSきょうの世界」(NHK2008年 9月24日 (水))の放送内容より)。

こうした「国際移植DAY」の議論について、東京新聞「こちら特報部」が記事にしていましたので、紹介したいと思います。この記事を読んで、「世界の中での日本の移植のあり方」を考える切っ掛けとしてみて下さい。



2.東京新聞平成20年9月26日付朝刊26面「こちら特報部」

進まない日本の移植 臓器提供「世界とズレ」 各国から厳しい意見

 医療水準が高いのに、なぜ日本では移植が進まないのか―。このほど大阪で開かれた「世界移植デー」で、欧米やアジア諸国から集まった臓器移植に携わる医師や専門家から、なかなか進まぬ日本の現状に、厳しい意見が相次いだ。 (片山夏子)

 国際移植学会のジェレミー・チャップマン会長(オーストラリア)は、「日本は骨髄移植では世界のリーダー的な存在。医療水準は高く、移植に関しても技術は世界レベル。それなのになぜ進まないのか」と疑問を呈した。同学会医療担当部長のフランシス・デルモニコ氏(米国)も「高い医療技術がありながら、米国やドイツで移植をしなくてはならないのはなぜか。日本は自国で移植ができるようにすべきだ」と発言した。

 昨年の人口百万人当たりの脳死に伴う臓器提供者数を比べると、スペイン34.3人、米国24.6人に対して、日本は0.1人と極端に少ない。アジアでは韓国が2.9人で年々伸びている。日本では、臓器移植法ができてから10年以上たつが、脳死下の臓器提供が進まないことに各国から質問が集中した。

 日本の現行法では、臓器提供者は、15歳以上で、脳死判定を受けて提供する意思を生前書面で表示していることに加え家族が了承することが条件になっている。

 デルモニコ氏は「脳死は感情的なものでなく、科学的、医学的な死であり不可逆。脳死が死であることは当たり前だ」と指摘。世界保健機関(WHO)の移植担当理事ルーク・ノエル氏も「脳死は科学的な死で、臓器提供するかとは別のこと。2つを切り離して考えるべきだ」。

 ドイツ臓器移植財団のギュンター・キルステ氏は、「日本の脳死判定のやり方にも問題がある。もっと医療界で話し合うべきだ」と発言。ノエル氏は、臓器提供に強制はあってはならないとした上で、「適切な情報を与えて提供の意思を聞くことは、むしろ義務だ」と述べた。

 WHOのガイドラインでは、本人の意思が不明の場合は家族の同意で提供が可能。また、多くの西欧諸国では、本人が拒否していなければ提供できる。ノエル氏は「日本の状態は世界標準から外れている」とした。

 15歳未満が提供できないことには、さらに厳しい意見が。チャップマン氏は「日本の子どもは死を宣告されるようなもの」。スイス移植財団のフィリップ・モレル総裁は「法が子どもの命を助けないのと同じ」。

 世界的な臓器不足の中で、国際的に「自国の移植は自国で」という流れになってきている。オーストラリアでは以前、日本人の移植を受け入れていたが、今は受け入れていない。米国やドイツは現在、外国人を受け入れているが、ドイツのキルステ氏は「日本の子ども一人を受け入れれば、結果的にドイツの子が一人亡くなる。自国民を優先するなどさまざまな議論が出ている」と、今後、受け入れが難しくなっていくことを示唆した。

 現在、国会に臓器移植法改正案が出されているが、審議はなかなか進まない。チャップマン氏は「移植ができないと死んでしまうという現実にたって考えるべきだ。何より透明性が大切。医療への信頼がないと、移植医療は進まない」とした。」



この東京新聞の記事の中から、国際会議「世界移植DAY」に集まった臓器移植の専門家の意見を取り出してみます。

<国際移植学会のジェレミー・チャップマン会長>
・国際移植学会のジェレミー・チャップマン会長(オーストラリア)は、「日本は骨髄移植では世界のリーダー的な存在。医療水準は高く、移植に関しても技術は世界レベル。それなのになぜ進まないのか」と疑問を呈した。
・15歳未満が提供できないことには、さらに厳しい意見が。チャップマン氏は「日本の子どもは死を宣告されるようなもの」。
・チャップマン氏は「移植ができないと死んでしまうという現実にたって考えるべきだ。何より透明性が大切。医療への信頼がないと、移植医療は進まない」とした。

<国際移植学会医療担当部長のフランシス・デルモニコ氏>
・同学会医療担当部長のフランシス・デルモニコ氏(米国)も「高い医療技術がありながら、米国やドイツで移植をしなくてはならないのはなぜか。日本は自国で移植ができるようにすべきだ」と発言した。
・デルモニコ氏は「脳死は感情的なものでなく、科学的、医学的な死であり不可逆。脳死が死であることは当たり前だ」と指摘。

<世界保健機関(WHO)の移植担当理事ルーク・ノエル氏>
・世界保健機関(WHO)の移植担当理事ルーク・ノエル氏も「脳死は科学的な死で、臓器提供するかとは別のこと。2つを切り離して考えるべきだ」。
・ノエル氏は、臓器提供に強制はあってはならないとした上で、「適切な情報を与えて提供の意思を聞くことは、むしろ義務だ」と述べた。
・WHOのガイドラインでは、本人の意思が不明の場合は家族の同意で提供が可能。また、多くの西欧諸国では、本人が拒否していなければ提供できる。ノエル氏は「日本の状態は世界標準から外れている」とした。
・15歳未満が提供できないことには、さらに厳しい意見が。スイス移植財団のフィリップ・モレル総裁は「法が子どもの命を助けないのと同じ」。

<ドイツ臓器移植財団のギュンター・キルステ氏>
・ドイツ臓器移植財団のギュンター・キルステ氏は、「日本の脳死判定のやり方にも問題がある。もっと医療界で話し合うべきだ」と発言。
・ドイツのキルステ氏は「日本の子ども一人を受け入れれば、結果的にドイツの子が一人亡くなる。自国民を優先するなどさまざまな議論が出ている」と、今後、受け入れが難しくなっていくことを示唆した。」



こうした厳しい非難を読むと、世界各国から「日本の移植医療」はどう見られているのか、よく分かると思います。こうした批判にされされていることを踏まえて、「世界の中での日本の移植のあり方」を考える必要があります。

その際問題なのは、この国際会議「世界移植DAY」での議論を記事にしたり、放映する報道機関がほとんどないことです。報道さえもしないようでは、極めて深刻なドナー不足の現状、15才未満の臓器移植が禁止されているため、患者の多くが移植をするため海外に渡っていくという現状を変えることは不可能です。市民は、日本に向けられた厳しい批判を知ることがないのですから。

まずは、報道機関が臓器移植についての現状を出来る限り報道することが大切だと思います。

臓器移植問題については、このブログでも、「Because It's There 臓器移植問題 「Because It's There 修復(病気)腎移植問題」として触れていますが、少しでも「世界の中での日本の移植のあり方」を変えていく切っ掛けになればと思います。


カテゴリ:臓器移植問題

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